JP2019203873A - 転がり軸受の診断方法、転がり軸受の診断装置、及び転がり軸受装置 - Google Patents

転がり軸受の診断方法、転がり軸受の診断装置、及び転がり軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】転がり軸受に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高める。【解決手段】転がり軸受の診断方法は、次のとおりである。回転する転がり軸受30の振動をセンサ11が計測して当該振動に応じた信号を出力する。前記信号に基づく波形データをケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データを生成する処理を、所定時間毎に繰り返して行う。解析データが生成される毎に、当該解析データのうちの第一ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値を、閾値と比較すると共に、当該解析データのうちの第二ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値を、閾値と比較する。前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する。【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受の診断方法、転がり軸受の診断装置、及び転がり軸受装置に関する。
転がり軸受は、外輪、内輪、これら外輪と内輪との間に設けられた複数の転動体、及び複数の転動体を保持する保持器を備える。転がり軸受では、構成部材同士の接触による振動発生、更には、過度の昇温及び転動体の焼付き等の不具合発生を防止するために、潤滑油が与えられる。回転が継続すると潤滑油が消費され、やがて潤滑油が不足し、転がり軸受に振動が発生しやすくなる。例えば、潤滑油が充分であり転がり軸受の構成部材間に適切な油膜が形成されている間は、振動が発生し難いが、潤滑油が不足して油膜が途切れると、振動が発生する。
前記のような不具合発生を防ぐために、転がり軸受等の振動をセンサによって検知する方法が知られている。従来、加速度センサから出力される実効値を監視し、実効値の振幅に著しい変化が現れると潤滑油を追加する。これにより、正常な潤滑状態に復帰させる。なお、特許文献1には、センサの計測結果を解析して診断を行なう方法が開示されている。
特開平8−261817号公報
前記のとおりセンサの実効値に基づいて潤滑油を追加しても、正常な潤滑状態に迅速に復帰させることができない場合がある。これは、例えば、センサの実効値の振幅に著しい変化が現れる前から、油膜切れが発生している場合があり、遅れて潤滑油を追加しても、すぐにはその油膜切れを解消できないことが理由の一つとして考えられる。また、特許文献1の方法を転がり軸受の診断に適用した場合、転がり軸受の構成部材の回転に伴う振動ノイズ等によって精度が低くなる。このように、従来の方法では、異常の検出が遅れる場合があり、また、検出精度が低いという問題点がある。
そこで、本発明は、転がり軸受に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高めることを目的とする。
本発明の転がり軸受の診断方法は、回転する転がり軸受の振動をセンサが計測して当該振動に応じた信号を出力し、前記信号に基づく波形データをケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データを生成する処理を、所定時間毎に繰り返して行い、前記解析データが生成される毎に、当該解析データのうちの第一ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値を、閾値と比較すると共に、当該解析データのうちの前記第一ケフレンシ帯とは異なる第二ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値を、閾値と比較し、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する。
本発明の発明者は、転がり軸受の振動発生には、複数の原因があることに着目し、前記波形データをケプストラム演算して得られる解析データのケフレンシに、原因毎にピーク値が生じることを見出した。そこで、前記診断方法では、前記解析データにおいて、異なる第一ケフレンシ帯及び第二ケフレンシ帯それぞれのピーク値を閾値と比較する。このため、転がり軸受の振動に複数の原因があり、その振動発生のタイミングが異なっていても、いずれか一つの原因で振動が発生していれば、その原因に基づくケフレンシのレベルにピーク値が現れ、この振動発生を検知することが可能となる。よって、転がり軸受に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高めることができる。
また、前記転がり軸受は、当該転がり軸受の転動体を保持する保持器が固定輪によってガイドされる形式の軸受であり、前記第一ケフレンシ帯は、前記転動体の自転周波数に相当する値を含む所定範囲であり、前記第二ケフレンシ帯は、前記保持器の公転周波数に相当する値を含む所定範囲であるのが好ましい。
ここで、前記転がり軸受における主な振動発生の原因として、次の二つが考えられる。
(1)転動体による振動
(2)保持器による振動(固定輪と保持器との接触による振動)
そこで、前記のとおり、転動体の自転周波数に相当する値を含む所定範囲を第一ケフレンシ帯とし、この第一ケフレンシ帯における第一ピーク値が閾値を超えている場合、転動体による振動を検知することが可能となる。また、保持器の公転周波数に相当する値を含む所定範囲を第二ケフレンシ帯として、この第二ケフレンシ帯における第二ピーク値が閾値を超えている場合、保持器による振動を検知することが可能となる。このため、転動体による振動と保持器による振動との双方を検知することが可能となる。
また、前記診断方法では、第一時間帯において前記センサからの信号を取得して前記波形データを取得し、前記第一時間帯の後の第二時間帯に、前記波形データのケプストラム演算を行って前記解析データを生成し、前記第一ピーク値及び前記第二ピーク値と前記閾値との比較を行ない、前記第二時間帯と重なる時間帯に、前記センサから信号を取得して前記波形データを取得するのが好ましい。この方法によれば、ケプストラム演算及び閾値との比較を行なう第二時間帯に、別の波形データをセンサからの信号に基づいて取得することができる。このため、例えば、第二時間帯において転がり軸受に異常が発生して振動が大きくなっている場合に、その異常発生を取り逃がす(見過ごす)のを防ぐことが可能となる。
また、本発明の診断装置は、転がり軸受の振動を計測して当該振動に応じた信号を出力するセンサと、前記信号に基づく波形データをケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データを生成する処理を、所定時間毎に繰り返して行なう演算処理部と、前記解析データが生成される毎に、当該解析データのうちの第一ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値を、閾値と比較すると共に、当該解析データのうちの前記第一ケフレンシ帯とは異なる第二ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値を、閾値と比較し、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方が前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する比較処理部と、を備える。
この診断装置によれば、前記解析データにおいて、異なる第一ケフレンシ帯及び第二ケフレンシ帯それぞれのピーク値が閾値と比較される。このため、転がり軸受の振動に複数の原因があり、その振動発生のタイミングが異なっていても、いずれか一方の原因で振動が発生していれば、その原因に基づくケフレンシのレベルにピーク値が現れ、この振動発生を検知することが可能となる。よって、転がり軸受に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高めることができる。
また、前記診断方法に関して、転がり軸受の周方向に沿った少なくとも二つの計測箇所における振動を前記センサは計測し、少なくとも二つの前記計測箇所それぞれで得られた前記センサの信号に基づいて前記解析データを個別に生成し、個別に生成した前記解析データのうちの少なくとも一つの解析データにおいて、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成するのが好ましい。この場合、転がり軸受の周方向に沿った少なくとも二つの計測箇所においてセンサが振動を計測し、少なくとも一つの計測箇所において異常の判定がされると、異常判定信号が生成される。よって、異常判定の感度を向上させることが可能となる。
また、本発明は、転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための前記診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つのポンプと、を備える転がり軸受装置であって、前記診断装置は、前記ポンプと同数であって転がり軸受の周方向に沿って設けられた前記センサを備え、一つの前記センサと当該センサの計測箇所の近傍に潤滑油を吐出する一つの前記ポンプとが対応付けられて一組のセンサユニットが構成され、前記演算処理部は、少なくとも二つの前記センサそれぞれの信号に基づいて前記解析データを個別に生成し、前記比較処理部は、個別に生成した前記解析データのうちの少なくとも一つの解析データにおいて、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成し、前記異常判定信号が生成されると、当該異常判定信号を生成する基となった前記信号を出力した前記センサの組に含まれる前記ポンプが、潤滑油を吐出する。
この転がり軸受装置によれば、転がり軸受の周方向に沿った少なくとも二つの計測箇所においてセンサが振動を計測し、少なくとも一つの計測箇所において異常の判定がされると、異常判定信号が生成される。すると、この異常判定信号を生成する基となった信号を出力したセンサの計測箇所の近傍に潤滑油が吐出される。よって、転がり軸受において潤滑油異常が発生しても、迅速にその異常を解消させることが可能となる。
また、本発明は、転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための前記診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つのポンプと、を備える転がり軸受装置であって、前記転がり軸受は、固定輪、回転輪、当該固定輪と当該回転輪との間に介在する複数の転動体、及び当該転動体を保持する保持器を有し、当該保持器が当該固定輪に滑り接触することで当該固定輪によってガイドされる形式の軸受であり、前記少なくとも二つのポンプには、前記転動体又は前記回転輪に向かって潤滑油を吐出する第一のポンプと、前記保持器と前記固定輪との間の滑り接触部に潤滑油を吐出する第二のポンプとが含まれ、前記異常判定信号が生成されると、前記第一のポンプと前記第二のポンプとのうちの少なくとも一方が動作する。
この転がり軸受装置の場合、保持器は固定輪に滑り接触することで固定輪によってガイドされることから、保持器と固定輪との間の滑り接触部において焼付き等の異常が発生する可能性がある。そこで、前記構成によれば、診断装置によって異常判定信号が生成されると、第一のポンプは、転動体又は回転輪に向かって潤滑油を吐出することが可能であり、第二のポンプは、保持器と回転輪との間の滑り接触部に潤滑油を吐出することが可能である。このため、前記滑り接触部において潤滑状態を改善することが可能となる。
また、本発明は、転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための前記診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出するポンプと、を備える転がり軸受装置であって、前記転がり軸受は、固定輪、回転輪、当該固定輪と当該回転輪との間に介在する複数の転動体、及び当該転動体を保持する保持器を有し、前記異常判定信号が生成されると、前記ポンプは、前記転動体の転走領域の一部に向かって、前記保持器の公転周波数に基づいて求められた吐出周波数で潤滑油を間欠的に吐出する。
この転がり軸受によれば、診断装置によって異常判定信号が生成されると、ポンプは転動体の転走領域の一部に向かって間欠的に潤滑油を吐出する。保持器の公転周波数は転動体の公転周波数と同じとなることから、ポンプによる潤滑油の吐出周波数が、保持器の公転周波数に基づいて求められることで、ポンプは、転動体の通過タイミングに合わせて潤滑油を吐出できる。このため、ポンプによって潤滑油を転動体に当てて付着させることが可能となる。
また、この場合において、前記吐出周波数は、前記公転周波数に前記転動体の数を乗算して得た値の約数であるのが好ましい。この場合、複数の転動体に対して潤滑油を当てることが可能となる。
本発明によれば、転がり軸受に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高めることができる。この結果、異常が検出されると(異常判定信号が生成されると)、例えば潤滑油の追加供給を行なうことで異常を解消し、軸受寿命を延ばすことが可能となる。
本発明の診断装置の一例を示す概略構成図である。 波形データの説明図である。 解析データの一例を示す説明図である。 診断方法を示すフロー図である。 診断方法の第一の形態の説明図である。 診断方法の第二の形態の説明図である。 転がり軸受装置の他の形態を説明する図であり、給油ユニットを軸方向から見た場合の図である。 転がり軸受装置の他の形態を説明する断面図である。 転動体の通過タイミングと、潤滑油の吐出タイミングとを説明する図である。
〔全体構成について〕
図1は本発明の診断装置の一例を示す概略構成図である。診断装置10は、転がり軸受30における異常を検出する。このために、診断装置10は、センサ11と、センサ11からの信号に基づいて各種演算処理を含む制御を行なう制御ユニット12とを備える。本実施形態では、転がり軸受30と診断装置10とが一体となって軸受装置7が構成される。軸受装置7は、更に潤滑油を吐出するポンプ14及びこの吐出のための潤滑油を溜めるタンク15を含む給油ユニット13を備える。制御ユニット12は、ポンプ14に指令信号を出力する機能を更に有する。ポンプ14は前記指令信号に基づいて潤滑油を転がり軸受30に向かって吐出する(噴出する)。診断装置10及び給油ユニット13は、転がり軸受30の軸方向隣に設けられる間座16に設置される。
転がり軸受30は、外輪31、内輪32、これら外輪31と内輪32との間に設けられている複数の転動体33、複数の転動体33を保持する環状の保持器34を備える。図1に示される形態では、転動体33が玉であり、転がり軸受30は玉軸受である。なお、転動体33は、玉以外に円筒ころや円すいころ等であってもよい。本実施形態では、内輪32が図外の軸と共に回転する回転輪である。保持器34は複数の転動体33を周方向に間隔をあけて保持する。保持器34が有する円環状の環状部35の外周面35aは、外輪31の内周面の一部に滑り接触する。これにより、保持器34の回転は固定輪となる外輪31によってガイドされる。間座16は外輪31に接触した状態にある。
〔診断装置10について〕
診断装置10は、前記のとおりセンサ11と制御ユニット12とを備える。センサ11は、例えば加速度センサ(圧電型加速度ピックアップ)であり、外輪31の振動を計測し、振動の大きさに応じた信号を出力する。前記のとおりセンサ11が間座16に設置されることから、センサ11は間座16を通じて外輪31の振動を計測する。センサ11は、転がり軸受30(外輪31)の振動を計測してこの振動に応じた信号を制御ユニット12に出力する。
制御ユニット12は、メモリ等を含むマイコンによって構成される。制御ユニット12は、マイコンが保存するコンピュータプログラムにしたがって、各種演算処理を行なう機能及びポンプ14を制御する機能を有する。これらの機能を有する機能部として、制御ユニット12は、演算処理部21、比較処理部22、及び給油制御部23を有する。なお、制御ユニット12は、転がり軸受30と別に設けられてもよく、この場合、制御ユニット12はコンピュータによって構成されてもよい。
演算処理部21は、センサ11からの信号に基づいて波形データを取得する。図2に、この波形データの一例が示される。波形データD1は、センサ11からの出力の加速度波形の時間変化を示すデータ(時間波形のデータ)である。演算処理部21は、波形データD1をケプストラム演算する機能を有する。ケプストラム演算は、波形データD1をフーリエ変換してパワースペクトルを求め、その対数データを再度フーリエ変換する処理である。演算処理部21は、波形データD1をケプストラム演算することで、ケフレンシ毎のレベル(ケプストラムのレベル)を示す解析データD2を生成する。解析データD2の一例が図3に示される。演算処理部21は、前記のように、波形データD1を取得し、この波形データD1をケプストラム演算して解析データD2を生成する処理を、所定のサンプリング周波数で、所定時間毎に繰り返して行なう。
図3に示されるように、生成された解析データD2において、第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2が設定されている。これら第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2の設定については、後に説明する。転がり軸受30の回転数が一定であれば、第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2はそれぞれ一定(固定)となる。つまり、転がり軸受30の回転数によって、第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2は変化する。
比較処理部22は、解析データD2が生成される毎に、この解析データD2のうちの第一ケフレンシ帯Q1に含まれるケフレンシ毎のケプストラムのレベルの第一ピーク値を、第一閾値A1と比較する機能を有する。また、比較処理部22は、解析データD2が生成される毎に、この解析データD2のうちの第二ケフレンシ帯Q2に含まれるケフレンシ毎のケプストラムのレベルの第二ピーク値を、第二閾値A2と比較する機能を有する。図3に示される解析データD2では、第一ケフレンシ帯Q1において、ケフレンシq1にケプストラムのピークが生じていることから、このピークの値が第一ピーク値L1に設定される。第一ピーク値L1が第一閾値A1と比較される。そして、第二ケフレンシ帯Q2において、ケフレンシq2にケプストラムのピークが生じていることから、このピークの値が第二ピーク値L2に設定される。第二ピーク値L2が第二閾値A2と比較される。なお、第一閾値A1と第二閾値A2とは同じであってもよく、異なっていてもよい。比較処理部22は、更に、異常判定信号を生成する機能を有する。異常判定信号の生成条件は、前記比較の結果、第一ピーク値L1と第二ピーク値L2とのうちの少なくとも一方が、それぞれの閾値(A1,A2)を超えている場合である。比較処理部22が行なう処理については、後の診断方法においても説明する。
給油制御部23は、ポンプ14が行なう潤滑油の吐出動作を制御する。具体的に説明すると、比較処理部22が前記異常判定信号を生成すると、給油制御部23は、指令信号をポンプ14に出力する。すると、ポンプ14は潤滑油を吐出する。
〔診断方法について〕
前記構成を備えた診断装置10によって行われる転がり軸受30の診断方法について説明する。図4は、診断方法を示すフロー図である。回転する転がり軸受30の振動がセンサ11によって常時計測される(図4のステップS1)。演算処理部21は、センサ11の出力信号に基づく波形データを取得する(ステップS2)。例えば、図2において、波形データD1は、時刻t101から時刻t102までの所定時間のデータである。波形データD1が取得されると、演算処理部21は、この波形データD1をケプストラム演算し(ステップS3)、ケフレンシ毎のレベルを示す解析データD2(図3参照)を生成する(ステップS4)。
すると、図4のステップS5では、演算処理部21は、解析データD2中の第一ケフレンシ帯Q1に含まれるケフレンシ毎のレベルの中から、レベルの最も高いピーク値を有するケフレンシを抽出する。更に、演算処理部21は、解析データD2中の第二ケフレンシ帯Q2に含まれるケフレンシ毎のレベルの中から、レベルの最も高いピーク値を有するケフレンシを抽出する。「第一ケフレンシ帯Q1」及び「第二ケフレンシ帯Q2」は、後述する予備演算によって設定される。この予備演算については後で説明する。本実施形態では、図3において、第一ケフレンシ帯Q1に含まれるデータの中から、レベルの最も高いピーク値(第一ピーク値)L1を有するケフレンシq1が抽出される。第一ケフレンシ帯Q1の範囲の一例を挙げると、中央値は3500Hzであり、この中央値のプラスマイナス5〜10%の範囲を、第一ケフレンシ帯Q1とすることができる。そして、第二ケフレンシ帯Q2に含まれるデータの中から、レベルの最も高いピーク値(第二ピーク値)L2を有するケフレンシq2が抽出される。第二ケフレンシ帯Q2の範囲の一例を挙げると、中央値は150Hzであり、この中央値の±5〜10%の範囲を、第二ケフレンシ帯Q2とすることができる。
図4のステップS6では、抽出された第一ピーク値L1が第一閾値A1と比較され、抽出された第二ピーク値L2が第二閾値A2と比較される。このステップS6の処理は、比較処理部22(図1参照)によって実行される。第一閾値A1及び第二閾値A2は予め設定された値である。前記比較の結果、次の「条件1」と「条件2」とのうちの少なくとも一方が満たされる場合(図4のステップS6でYesの場合)、比較処理部22は異常判定信号を生成する。
・条件1:第一ピーク値L1>第一閾値A1
・条件2:第二ピーク値L2>第二閾値A2
異常判定信号が生成されると、給油制御部23(図1参照)はポンプ14を動作させる指令信号を出力する(ステップS8)。すると、ポンプ14は潤滑油を転がり軸受30に供給する。これに対して、比較の結果、前記「条件1」及び「条件2」の双方が満たされていない場合(図4のステップS6でNoの場合)、前記診断方法のステップS1からステップS6が継続して実行される。
図3に示される解析データD2の場合、第二ケフレンシ帯Q2に含まれるケプストラムのピーク値である第二ピーク値L2が、閾値A2を超えている。つまり、前記条件1は満たされていないが、前記条件2が満たされる。このため、異常判定信号が生成され、給油が行われる。
〔診断方法の二つの形態〕
図5は、図4に示される前記診断方法の第一の形態の説明図である。この第一の形態では、前記のとおり、センサ11による振動計測がされ(図4のステップS1)、波形データが取得されると(ステップS2)、この波形データの解析としてケプストラム演算が行われ解析データが生成される(ステップS3、S4)。この解析により、前記条件1と条件2とのうちの少なくとも一方が満たされている場合、異常判定信号が生成され(ステップS6、S7)、潤滑油が供給される(ステップS8)。図5に示されるように、時系列のデータである前記波形データを生成するために、センサ11からの信号を取得する時間帯がT1(第一時間帯T1、例えば10秒間)である。この第一時間帯T1の後の第二時間帯T2において、生成された波形データの解析が実行される。解析の結果、つまり、前記条件1及び前記条件2を用いた判定の結果、異常判定信号が生成されない場合、第二時間帯T2の後の第三時間帯T3において、再び、時系列のデータである波形データを生成するために、センサ11からの信号が取得される。
図6は、図4に示される前記診断方法の第二の形態の説明図である。この第二の形態では、第一の系統として、前記のとおり、センサ11による振動計測がされ(図4のステップS1)、波形データが取得されると(ステップS2)、この波形データの解析としてケプストラム演算が行われ解析データが生成される(ステップS3、S4)。図6に示されるように、時系列のデータである前記波形データを生成するために、センサ11からの信号を取得する時間帯がT1(第一時間帯T1)である。この第一時間帯T1の後の第二時間帯T2において、生成された波形データの解析が実行される。以上の点では、前記第一の形態と同じである。第二の形態では、第二の系統として、第二時間帯T2において、第一時間帯T1で取得した波形データ(第一波形データ)の次の時系列のデータである波形データ(第二波形データ)を生成するために、センサ11からの信号を取得する。つまり、第二時間帯T2では、波形データの解析と、波形データの生成のためのセンサ11からの信号の取得とが、並行する(同時演算処理)。そして、第二時間帯T2の後の第三時間帯T3において、第二の系統では、波形データの解析として、第二時間帯T2で取得された第二波形データのケプストラム演算が行われ解析データが生成される。また、第一の系統では、第三時間帯T3にて、第一の形態と同様、更に後の波形データ(第三波形データ)を生成するために、センサ11からの信号が取得される。そして、各解析により、前記条件1と条件2とのうちの少なくとも一方が満たされている場合、異常判定信号が生成され、潤滑油が供給される。
図5に示される第一の形態では、波形データの取得と波形データの解析とが交互に実行される(一系統の診断方法)。これに対して、図6に示される第二の形態では、波形データの取得と波形データの解析とが交互に実行される診断方法が、二系統で行われる。つまり、第二の形態では、第一の系統の波形データの取得と並行して、第二の系統の波形データの解析が実行され、第一の系統の波形データの解析と並行して、第二の系統の波形データの取得が実行される。なお、図6では、第一の系統と第二の系統との間で、振動波形取得と波形解析とが同じ時間であるように記載されているが、波形解析に要する時間は振動波形取得の時間と異なっていてもよい。よって、例えば、振動波形取得の時間中に、波形解析が開始され終了されていればよい。
〔予備演算について〕
ケプストラム演算により得られた解析データD2(図3参照)の中から第一ピーク値L1及び第二ピーク値L2を抽出する際(図4のステップS5)、前記のとおり解析データD2のうちの一部である「第一ケフレンシ帯Q1」が抽出範囲の対象とされ、また、解析データD2のうちの他部である「第二ケフレンシ帯Q2」が抽出範囲の対象とされる。これら第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2の設定は、次に説明する予備演算に基づいて行われる。前記診断方法の前に予備演算が予め行われる。
この予備演算では、第一ケフレンシ帯Q1の設定のために、転がり軸受30(図1参照)の転動体33の自転周波数(回転数)が演算によって推定される。推定された転動体33の自転周波数に相当する値を含む所定範囲が、第一所定ケフレンシ帯Q1として設定される。また、第二ケフレンシ帯Q2の設定のために、保持器34の公転周波数(回転数)が演算によって推定される。推定された保持器34の公転周波数に相当する値を含む所定範囲が、第二所定ケフレンシ帯Q2として設定される。
転動体33の自転周波数及び保持器34の公転周波数は、内輪32の回転速度、外輪31の回転速度(本実施形態ではゼロ)、転動体33の平均直径、転動体33のピッチ円直径、内輪32及び外輪31に対する転動体33の接触角に基づいて、従来知られている演算式によって求められる。内輪32の回転数は、一体に回転する図外の軸の回転数に基づく。軸の回転数は、この軸が含まれる機器の制御装置から取得することができる。又は、前記軸受装置7は、回転数を検出するためのセンサを備えていてもよく、このセンサによって内輪32(又は保持器34)の回転数が求められてもよい。
演算式によって転動体33の自転周波数が求められると、その自転周波数の例えばプラスマイナス5〜10%の範囲が、第一ケフレンシ帯Q2として設定される。演算式によって保持器34の公転周波数が求められると、その公転周波数の例えばプラスマイナス5〜10%の範囲が、第二ケフレンシ帯Q2として設定される。
ここで、前記のように、予備演算により第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2の設定が可能となることは、本発明の発明者による鋭意研究の結果により見出された。すなわち、本実施形態の転がり軸受30は(図1参照)、保持器34が固定輪である外輪31によってガイドされる形式である。このような転がり軸受30の場合、潤滑異常による振動発生の原因の一つとして、外輪31と保持器34との接触が挙げられる。発明者はこの点に着目し、前記接触により、ケプストラム演算して得られる解析データのケフレンシにピーク値が生じることを見出した。すなわち、転がり軸受30の回転が継続され、潤滑油が消費されると、保持器34と外輪31との間に形成される油膜が途切れることがある。この場合に、保持器34が外輪31に直接的に接触する。しかも、この接触は周期的な現象となる。そこで、保持器34の公転周波数と、振動発生の周波数とが一致する場合があることに着目し、予備演算の結果により、ケプストラムにピークを有する第二ケフレンシ帯Q2の設定が可能となることを見出した。また、これと同様に、転動体33の一部において異常が発生すると、転動体33の自転周波数と、振動発生の周波数とが一致する場合があることに着目し、予備演算の結果により、ケプストラムにピークを有する第一ケフレンシ帯Q1の設定が可能となることを見出した。よって、第一ケフレンシ帯Q1に、転動体33の原因によるケプストラムのレベルのピークが現れ、第二ケフレンシ帯Q2に保持器34の原因によるケプストラムのレベルのピークが現れることが想定され、各原因による振動発生の検知が可能となる。
〔前記実施形態の診断方法について〕
以上より、本実施形態の診断方法は次のようにして実行される。すなわち、回転する転がり軸受30の振動をセンサ11が計測してこの振動に応じた信号を出力する(図4のステップS1)。制御ユニット12は、前記信号に基づく波形データD1をケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データD2を生成する処理(ステップS2〜S5)を、所定時間毎に繰り返して行う。制御ユニット12は、解析データD2が生成される毎に、この解析データD2のうちの第一ケフレンシ帯Q1に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値L1を、第一閾値A1と比較すると共に、前記解析データD2のうちの第一ケフレンシ帯Q1とは異なる第二ケフレンシ帯Q2に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値L2を、第二閾値A2と比較する(ステップS6)。前記第一ピーク値L1と前記第二ピーク値L2とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値(A1,A2)を超えると、異常判定信号を生成する(ステップS10)。
この診断方法では、生成された解析データD2(図3参照)において、異なる第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2それぞれのピーク値(L1,L2)を、それぞれの閾値(A1,A2)と比較する。これは、転がり軸受30の振動発生には、複数の原因があることに着目したことによる。すなわち、波形データD1(図2参照)をケプストラム演算して得られる解析データD2(図3参照)のケフレンシに、原因毎にピーク値が生じることから、異なる第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2それぞれのピーク値(L1,L2)を、それぞれの閾値(A1,A2)と比較する。このため、転がり軸受30の振動に複数の原因があり、その振動発生のタイミングが異なっていても、いずれか一つの原因で振動が発生していれば、その原因に基づくケフレンシのレベルにピーク値が現れ、前記診断方法によれば、この振動発生を検知することが可能となる。よって、第一ケフレンシ帯Q1は、第一の原因によって転がり軸受30に振動が発生する場合に前記レベルのピークを有するケフレンシを含む範囲に設定され、第二ケフレンシ帯Q2は、第一の原因とは異なる第二の原因によって転がり軸受30に振動が発生する場合に前記レベルのピークを有するケフレンシを含む範囲に設定される。
ここで、本実施形態のように(図1参照)、保持器34が固定輪である外輪31によってガイドされる形式の転がり軸受30の場合、主な振動発生の原因として、次の二つが考えられる。
(1)転動体33による振動
(2)保持器34による振動(固定輪(外輪31)と保持器34との接触による振動)
そこで、本実施形態では、転動体33の自転周波数に相当する値を含む所定範囲が、第一ケフレンシ帯Q1として設定され、この第一ケフレンシ帯Q1における第一ピーク値L1が第一閾値A1を超えている場合、転動体33による振動を検知することが可能となる。また、保持器34の公転周波数に相当する値を含む所定範囲が、第二ケフレンシ帯Q2として設定され、この第二ケフレンシ帯Q2における第二ピーク値L2が第二閾値A2を超えている場合、保持器34による振動を検知することが可能となる。このため、転動体33による振動と保持器34による振動との双方を検知することが可能となる。
前記のとおり、異なる第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2それぞれのピーク値(L1,L2)を、それぞれの閾値(A1,A2)と比較する診断方法によれば、転がり軸受30に発生する可能性のある異常を早期に検出でき、異常検知の信頼性を高めることができる。本実施形態では、この診断方法によって潤滑異常が検出されると(異常判定信号が生成されると)、給油ユニット13及び給油制御部23の機能によって、転がり軸受30に対して潤滑油の追加供給が行われる。よって、潤滑異常が解消され、軸受寿命を延ばすことが可能となる。
転がり軸受30において(図1参照)、転動体33による振動は、低速高負荷の回転状態で発生しやすい場合がある。これに対して、保持器34による振動は、高速低負荷の回転状態で発生しやすい場合がある。このため、本実施形態では、第一ケフレンシ帯Q1が、転がり軸受30が有する転動体33の自転周波数に相当する値を含む所定範囲であり、第二ケフレンシ帯Q2が、転がり軸受30が有する保持器34の公転周波数に相当する値を含む所定範囲である。この構成によれば、低速高負荷の回転状態であっても、高速低負荷の回転状態であっても、これら第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2のうちの一方又は双方に、閾値を超えるようなケプストラムのピーク値を発生させることができる。よって、転がり軸受30における異常を検知することが可能となり、異常検知の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の診断方法では、図6に示されるように、第一時間帯T1においてセンサ11からの信号を取得して波形データD1が取得される。この第一時間帯T1の後の第二時間帯T2に、前記波形データD1のケプストラム演算が行われ解析データD2が生成され、第一ピーク値L1及び第二ピーク値L2と閾値(A1,A2)との比較が行われる。そして、この第二時間帯T2と重なる時間帯に、センサ11から信号を取得して波形データが取得される。この方法によれば、ケプストラム演算及び閾値との比較を行なう第二時間帯T2に、別の波形データD1をセンサ11からの信号に基づいて取得することができる。このため、例えば、第二時間帯T2において転がり軸受30に異常が発生して振動が大きくなっている場合に、その異常発生を取り逃がす(見過ごす)のを防ぐことが可能となる。
前記実施形態では、第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2の設定を、予備演算に基づいて行なう場合について説明した。しかし、この設定を、転がり軸受30を実際に回転させて行なう予備試験の結果に基づいて行ってもよい。つまり、転がり軸受30を所定時間回転させ、センサ11によって波形データを生成すると共に、この波形データをケプストラム演算する処理を、刻々と行なう。ケプストラム演算によって得られた解析データにおいてケフレンシのレベルが(例えば閾値を超えて)大きくなると、その解析データにおいてレベルのピーク値を有するケフレンシを抽出する。この抽出したケフレンシに相当する値を含む範囲を、一つのケフレンシ帯(例えば、第一ケフレンシ帯)に設定する。更に回転を継続し、別のタイミングで得られた解析データにおいてケフレンシのレベルが、別のケフレンシ帯において(例えば閾値を超えて)大きくなると、その解析データにおいてレベルのピーク値を有するケフレンシを抽出する。この抽出したケフレンシに相当する値を含む範囲を、他のケフレンシ帯(例えば、第二ケフレンシ帯)に設定する。このように実験的に第一ケフレンシ帯Q1及び第二ケフレンシ帯Q2の設定が行われてもよい。
〔他の形態について(その1)〕
図7は、軸受装置(転がり軸受装置)7の他の形態を説明する図であり、給油ユニット13を軸方向から見た場合の図である。ここで、図1に示される形態では、給油ユニット13が有するポンプ14は一つである。図7に示される形態では、給油ユニット13が有するポンプ14は複数(図例では四つ)である。これらポンプ14は、転がり軸受30(図1参照)の中心線Cを中心として周方向に沿って離れて設けられている。図7に示される形態では、複数のポンプ14は、周方向に沿って等間隔で配置されている。なお、ポンプ14は、少なくとも二つ設けられていればよく、四つ以外であってもよい。各ポンプ14は、図1の場合と同様、転がり軸受30の一部に対して潤滑油を吐出する。
診断装置10は、ポンプ14と同数のセンサ11を有する。各センサ11は、中心線Cを中心として周方向に沿って離れて設けられている。センサ11は、図1の形態と同様、間座16を通じて外輪31(図1参照)の振動を計測し、振動の大きさに応じた信号を出力する。図7に示されるように、一つのセンサ11と一つのポンプ14とによって一つのセンサユニット40が構成されている。一つのセンサユニット40に含まれるセンサ11とポンプ14とは隣接して設けられている。一つのセンサユニット40に含まれるポンプ14は、そのセンサユニット40に含まれるセンサ11の振動計測箇所の近傍に潤滑油を吐出する。つまり、本実施形態では(図7参照)給油ユニット13の上下左右の四箇所にセンサユニット40が設けられている。例えば、上のセンサユニット40のセンサ11は外輪31の上部における振動を感度良く検出可能である。上のセンサユニット40のポンプ14は、上部のセンサ11の振動計測箇所の近傍となる転がり軸受30の上部に対して潤滑油を吐出する。このように、一つのセンサ11と、このセンサ11の計測箇所の近傍に潤滑油を吐出する一つのポンプ14とが対応付けられて、一組のセンサユニット40が構成されている。
診断装置10が有する制御ユニット12(図1参照)は、四つのセンサ11からの信号を取得する。また、制御ユニット12は、四つのポンプ14それぞれに対して個別に指令信号を出力する。つまり、任意のポンプ14から潤滑油が吐出される。制御ユニット12の構成及び機能は、図1の形態と同じである。つまり、制御ユニット12は、図4に示すフローに沿って各種処理を行う。ただし、制御ユニット12は、四つのセンサ11毎に区別して、前記各種処理を行う。
具体的に説明すると、センサ11が四つ設けられていることから、制御ユニット12が有する演算処理部21は、四つのセンサ11それぞれの信号に基づいて解析データD2(図3参照)を個別に生成する。本実施形態では、上下左右のセンサ11それぞれの信号に基づいて、上下左右それぞれに対応した四つの解析データD2が、所定時間毎に繰り返し、生成される。
制御ユニット12が有する比較処理部22(図1参照)は、解析データD2が生成される毎に、個別に生成した四つの解析データD2それぞれにおいて、第一ケフレンシ帯Q1に含まれるケフレンシ毎のケプストラムのレベルの第一ピーク値を、第一閾値A1と比較し、第二ケフレンシ帯Q2に含まれるケフレンシ毎のケプストラムのレベルの第二ピーク値を、第二閾値A2と比較する。四つの解析データD2それぞれにおいて、前記比較が行われ、四つの解析データD2のうちの一つでも、図4のステップS6に示される条件(条件1と条件2とのうちの少なくとも一方)が満たされると、異常判定信号が生成される。つまり、個別に生成した解析データD2のうちの少なくとも一つの解析データD2において、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの閾値を超えると、比較処理部22は、異常判定信号を生成する。
例えば、図7において上部に位置するセンサユニット40のセンサ11が出力した信号に基づいて生成された解析データD2において、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの閾値を超えているとする。この場合、異常判定信号が生成されるが、給油制御部23は、上部に位置するセンサユニット40のポンプ14を動作させる指令信号を、そのポンプ14に出力する。すると、上部のセンサユニット40のポンプ14から潤滑油が吐出される。このように、異常判定信号が生成されると、この異常判定信号を生成する基となった信号を出力したセンサ11の組(センサユニット40)に含まれるポンプ14が、潤滑油を吐出する。
以上のように、図7に示される形態の軸受装置7は(図1も参照して説明すると)、転がり軸受30と、転がり軸受30の異常を診断するための診断装置10と、転がり軸受30に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つ(図7では四つ)のポンプ14とを備える。そして、診断装置10によって行われる転がり軸受30の診断方法は、次のとおりである。すなわち、転がり軸受30の周方向に沿った四つの計測箇所における振動をセンサ11は計測する。四つの計測箇所それぞれで得られたセンサ11の信号に基づいて解析データD2を個別に生成する。個別に生成した解析データD2それぞれにおいて、前記第一ピーク値と閾値とを比較すると共に、前記第二ピーク値と閾値とを比較する。個別に生成した解析データD2のうちの少なくとも一つの解析データD2において、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号が生成される。
この構成を備える軸受装置7によれば、転がり軸受30の周方向に沿った四つの計測箇所においてセンサ11が振動を計測し、少なくとも一つの計測箇所において異常の判定がされると、異常判定信号が生成される。すると、この異常判定信号を生成する基となった信号を出力したセンサ11の計測箇所の近傍に潤滑油が吐出される。よって、転がり軸受30において潤滑油異常が発生しても、迅速にその異常を解消させることが可能となる。センサ11は、外輪31の周方向に離れた複数箇所を対象として振動を計測することから、センサ11が一つである場合と比較して、異常判定の感度を向上させることが可能となる。
〔他の形態について(その2)〕
図8は、軸受装置(転がり軸受装置)7の他の形態を説明する断面図である。図8は、転がり軸受30の中心線Cを含む断面における図である。図8の形態においても、図1の形態と同様に、保持器34が有する円環状の環状部35の外周面35aは、固定輪となる外輪31の内周面の一部に滑り接触する。これにより、保持器34の回転は外輪31によってガイドされる。なお、図8の形態の場合、保持器34は、転動体33の軸方向の両側に環状部35が設けられていて、そのうちの一方(図8では右側)のみが外輪31の内周面の一部に滑り接触する。外輪31の内周面の前記一部、及びこの一部に接触する環状部35の外周面35aを含めて「滑り接触部45」と称する。
図8に示される軸受装置7においても、図7の場合と同様、少なくとも二つのポンプ14が設けられている。図8では、上部及び下部に二つのポンプ14が設けられている。図8において給油ユニット13の下部に設けられているポンプ14(以下、「第一のポンプ14−1」と称する。)は、転動体33である玉に向かって潤滑油を吐出するように設けられている。なお、第一のポンプ14−1は、回転輪となる内輪32(内輪32の軌道)に向かって潤滑油を吐出するように構成されていてもよい。これに対して、図8において給油ユニット13の上部に設けられているポンプ14(以下、「第二のポンプ14−2」と称する。)は、保持器34と外輪31との間の前記滑り接触部45に潤滑油を吐出するように設けられている。第二のポンプ14−2が吐出した潤滑油は、環状部35の外周面35aと、この外周面35aに接触する外輪31の前記一部とのうちの一方又は双方に付着する。ポンプ14は、少なくとも二つ設けられていればよく、図7の形態と同様に四つのポンプ14が設けられていてもよい。この場合、四つのうちの一部のポンプ14が、第二のポンプ14−2である。そして、残りのポンプ14が、第一のポンプ14−1である。
図8に示される軸受装置7において、診断装置10は、ポンプ14より少ない数(例えば一つ)のセンサ11を有していてもよいが、本実施形態では、図7の場合と同様、ポンプ14と同数のセンサ11を有していて、複数のセンサユニット40が構成されている。診断装置10が有する制御ユニット12の構成及び機能は、図1の形態と同じである。つまり、制御ユニット12は、図4に示すフローに沿って各種処理を行う。制御ユニット12が有する演算処理部21は、複数のセンサ11それぞれの信号に基づいて解析データD2(図3参照)を個別に生成する。個別に生成した解析データD2のうちの少なくとも一つの解析データD2において、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの閾値を超えると、比較処理部22は、異常判定信号を生成する。
異常判定信号が生成されると、第一のポンプ14−1と第二のポンプ14−2とのうちの少なくとも一方から、潤滑油が転がり軸受30に吐出される。具体的に説明すると、異常判定信号を生成する基となった信号を出力したセンサ11が、第二のポンプ14−2と組となっているセンサである場合、第二のポンプ14−2から潤滑油が吐出される。つまり、保持器34と外輪31との間の滑り接触部45に潤滑油が供給される。これに対して、異常判定信号を生成する基となった信号を出力したセンサ11が、第一のポンプ14−1と組となっているセンサである場合、第一のポンプ14−1から潤滑油が吐出される。つまり、転動体33(又は内輪32の軌道)に潤滑油が供給される。
または、異常判定信号が生成されると、第一のポンプ14−1及び第二のポンプ14−2の双方が潤滑油を吐出するようにしてもよい。この場合、滑り接触部45以外に、転動体33又は内輪32(内輪32の軌道)にも潤滑油が供給される。また、異常判定信号を生成する条件となる閾値を、第一のポンプ14−1及び第二のポンプ14−2それぞれについて、異なるように設定してもよい。
以上のように、図8に示される軸受装置7は、転がり軸受30と、転がり軸受30の異常を診断するための診断装置10と、転がり軸受30に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つのポンプ14とを備える。本実施形態では、診断装置10は、転がり軸受30の周方向に沿って離れて設けられた少なくとも二つのセンサ11を備える。前記少なくとも二つのポンプ14には、転動体33(又は内輪32)に向かって潤滑油を吐出する第一のポンプ14−1と、保持器34と外輪31との間の滑り接触部45に潤滑油を吐出する第二のポンプ14−2とが含まれる。そして、異常判定信号が生成されると、第一のポンプ14−1と第二のポンプ14−2とのうちの少なくとも一方が動作し、潤滑油が転がり軸受30に供給される。
図8に示される軸受装置7では、転がり軸受30は、保持器34が外輪31に滑り接触することで外輪31によってガイドされる形式の軸受である。このため、保持器34と外輪31との間の滑り接触部45において焼付き等の異常が発生する可能性がある。そこで、前記構成によれば、診断装置10によって異常判定信号が生成されると、第一のポンプ14−1は、転動体33(又は内輪32)に向かって潤滑油を吐出することが可能であり、第二のポンプ14−2は、前記滑り接触部45に潤滑油を吐出することが可能である。このため、滑り接触部45においても潤滑状態を改善することが可能となり、焼付き等の異常の発生を防止することができる。
〔ポンプ14による潤滑油の吐出タイミングについて〕
前記各形態の軸受装置7において、ポンプ14が潤滑油を吐出するタイミングについて以下、説明する。前記各形態(例えば、図1参照)の軸受装置7の給油制御部23は、保持器34の公転周波数に基づいて求められた吐出周波数でポンプ14が潤滑油を間欠的に吐出するように制御する。これにより、後にも説明するが、ポンプ14が吐出した潤滑油を転動体33に当てることができる。潤滑油を転動体33に直接的に当てることで、その潤滑油は外輪31の軌道及び内輪32の軌道にも広がることができ、迅速に転がり軸受30の潤滑性を確保することが可能となる。この結果、潤滑油の無駄な消費が減り、使用する潤滑油量の低減が可能となる。
なお、図1では、ポンプ14は潤滑油を油滴として転がり軸受30の中心線Cに平行な方向に向かって吐出(噴出)し、その油滴を転動体33に接触させるように構成されている。他の例として、潤滑油が、転動体33が通過する転走領域を通過しても、最終的に内輪32の軌道に到達するように、ポンプ14は潤滑油を吐出する構成としてもよい。この場合であっても、保持器34の公転周波数に基づいて求められた吐出周波数で潤滑油が吐出されれば、潤滑油は転動体33に当たることができ、仮に、タイミングがずれて、潤滑油が転動体33に当たらなかったとしても、内輪32の軌道に当たることができる。
保持器34の公転周波数は、前記のとおり、内輪32の回転速度、外輪31の回転速度(本実施形態ではゼロ)、転動体33の平均直径、転動体33のピッチ円直径、内輪32及び外輪31に対する転動体33の接触角に基づいて、従来知られている演算式によって求められる。しかし、本実施形態では、前記のとおり、保持器34の公転周波数と転がり軸受30における振動発生の周波数とが一致するという着想に基づき、前記解析データD2から演算によって保持器34の公転周波数が求められる。具体的に説明すると、解析データD2において、第二ケフレンシ帯Q2において、ケプストラムにピークが発生するケフレンシを求め、このケフレンシ(その逆数)を保持器34の公転周波数とみなす。図3に示される解析データD2の場合、ケフレンシq2(その逆数)が保持器34の公転周波数とみなされる。
ポンプ14が潤滑油を間欠的に吐出する吐出周波数を、保持器34の公転周波数と一致させてもよいが、更に本実施形態では、保持器34の公転周波数に転動体33の数を乗算し、その乗算した値の約数を、吐出周波数として設定する。図9は、転動体33の通過タイミングと、潤滑油の吐出タイミングとを説明する図である。なお、ポンプ14が潤滑油を油滴として吐出することから、前記「通過タイミング」とは、ポンプ14が吐出する油滴の飛翔軌道を、転動体33が通過するタイミングである。なお、保持器34の公転周波数に転動体33の数を乗算した値は、すべての転動体33のそれぞれが前記飛翔軌道を通過する周波数となる。
図9の上側のタイムチャートに示されるように、転動体33は前記飛翔軌道を一定の時間間隔Δtで通過する。この時間間隔Δtが、保持器34の公転周波数に転動体33の数を乗算した値の逆数となる。この時間間隔Δtで、ポンプ14が潤滑油を吐出する場合、飛翔軌道を通過するすべての転動体33に潤滑油を当てることができる。本実施形態では、保持器34の公転周波数に転動体33の数を乗算した値の約数が、吐出周波数として設定される。これにより、図9の下側のタイムチャートに示されるように、整数をnとすると、前記時間間隔Δtの整数倍の時間間隔(Δt×n)でポンプ14は潤滑油を吐出する。この結果、複数の転動体33に対して間欠的に潤滑油を接触させることが可能となる。
以上のように吐出周波数が設定された場合、ポンプ14からは次のとおり潤滑油が吐出される。つまり(例えば、図1参照)、診断装置10によって異常判定信号が生成されると、ポンプ14は、転動体33の転走領域の一部に向かって、所定の吐出周波数で潤滑油を間欠的に吐出する。そして、前記「所定の吐出周波数」は、保持器34の公転周波数に基づいて求められた値である。保持器34の公転周波数は各転動体33の公転周波数と同じとなることから、吐出周波数が保持器34の公転周波数に基づいて求められることで、ポンプ14は、転動体33の通過タイミングに合わせて潤滑油を吐出できる。このため、ポンプ14によって潤滑油を転動体33に当てて付着させることが可能となる。
保持器34の公転周波数をそのまま前記吐出周波数とした場合、ポンプ14が吐出した潤滑油(油滴)は、同じ転動体33に当たる。しかし、本実施形態では、前記吐出周波数は、保持器34の公転周波数に転動体33の数を乗算して得た値の約数である。この場合、複数の転動体33に対して潤滑油を当てることが可能となる。これにより、ポンプ14により供給された潤滑油は、転がり軸受30に広がりやすくなり、転がり軸受30の潤滑性を維持することが容易となる。
〔その他について〕
図7及び図8に示される形態のように、センサユニット40(センサ11又はポンプ14)が複数設けられた軸受装置7の場合、いずれかのセンサユニット40(センサ11又はポンプ14)が故障したとしても、残りの他のセンサユニット40(センサ11又はポンプ14)は機能することができる。このため、全体として信頼性の高い軸受装置7となる。
図7及び図8に示される各形態では、複数のセンサユニット40が、一つの制御ユニット12によって制御される。しかし、センサユニット40毎に制御ユニット12が設けられていてもよく、各制御ユニット12が各センサユニット40を制御してもよい。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
前記実施形態では(図1参照)センサ11が、外輪31側の間座16に取り付けられた場合について説明したが、外輪31に直接取り付けられていてもよい。
前記実施形態では(図1参照)転がり軸受30に対する給油手段は、潤滑油を吐出する(噴出する)ポンプ14による構成としたが、これ以外であってもよく、例えば、オイルエアの供給による構成であってもよい。
10:診断装置 11:センサ 14−1:第一のポンプ
14−2:第二のポンプ 21:演算処理部 22:比較処理部
30:転がり軸受 31:外輪(固定輪) 32:内輪(回転輪)
33:転動体 34:保持器 40:センサユニット
45:滑り接触部 A1:第一閾値 A2:第二閾値
D1:波形データ D2:解析データ Q1:第一ケフレンシ帯
Q2:第二ケフレンシ帯 T1:第一時間帯 T2:第二時間帯
T3:第三時間帯

Claims (9)

  1. 回転する転がり軸受の振動をセンサが計測して当該振動に応じた信号を出力し、
    前記信号に基づく波形データをケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データを生成する処理を、所定時間毎に繰り返して行い、
    前記解析データが生成される毎に、当該解析データのうちの第一ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値を、閾値と比較すると共に、当該解析データのうちの前記第一ケフレンシ帯とは異なる第二ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値を、閾値と比較し、
    前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する、転がり軸受の診断方法。
  2. 前記転がり軸受は、当該転がり軸受の転動体を保持する保持器が固定輪によってガイドされる形式の軸受であり、
    前記第一ケフレンシ帯は、前記転動体の自転周波数に相当する値を含む所定範囲であり、
    前記第二ケフレンシ帯は、前記保持器の公転周波数に相当する値を含む所定範囲である、請求項1に記載の転がり軸受の診断方法。
  3. 第一時間帯において前記センサからの信号を取得して前記波形データを取得し、
    前記第一時間帯の後の第二時間帯に、前記波形データのケプストラム演算を行って前記解析データを生成し、前記第一ピーク値及び前記第二ピーク値と前記閾値との比較を行ない、
    前記第二時間帯と重なる時間帯に、前記センサから信号を取得して前記波形データを取得する、請求項1又は2に記載の転がり軸受の診断方法。
  4. 転がり軸受の振動を計測して当該振動に応じた信号を出力するセンサと、
    前記信号に基づく波形データをケプストラム演算してケフレンシ毎のレベルを示す解析データを生成する処理を、所定時間毎に繰り返して行なう演算処理部と、
    前記解析データが生成される毎に、当該解析データのうちの第一ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第一ピーク値を、閾値と比較すると共に、当該解析データのうちの前記第一ケフレンシ帯とは異なる第二ケフレンシ帯に含まれるケフレンシ毎のレベルの第二ピーク値を、閾値と比較し、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方が前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する比較処理部と、
    を備える、転がり軸受の診断装置。
  5. 転がり軸受の周方向に沿った少なくとも二つの計測箇所における振動を前記センサは計測し、
    少なくとも二つの前記計測箇所それぞれで得られた前記センサの信号に基づいて前記解析データを個別に生成し、
    個別に生成した前記解析データのうちの少なくとも一つの解析データにおいて、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受の診断方法。
  6. 転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための請求項4に記載の転がり軸受の診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つのポンプと、を備える転がり軸受装置であって、
    前記診断装置は、前記ポンプと同数であって転がり軸受の周方向に沿って設けられた前記センサを備え、
    一つの前記センサと当該センサの計測箇所の近傍に潤滑油を吐出する一つの前記ポンプとが対応付けられて一組のセンサユニットが構成され、
    前記演算処理部は、少なくとも二つの前記センサそれぞれの信号に基づいて前記解析データを個別に生成し、
    前記比較処理部は、個別に生成した前記解析データのうちの少なくとも一つの解析データにおいて、前記第一ピーク値と前記第二ピーク値とのうちの少なくとも一方がそれぞれの前記閾値を超えると、異常判定信号を生成し、
    前記異常判定信号が生成されると、当該異常判定信号を生成する基となった前記信号を出力した前記センサの組に含まれる前記ポンプが、潤滑油を吐出する、
    転がり軸受装置。
  7. 転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための請求項4に記載の転がり軸受の診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出する少なくとも二つのポンプと、を備える転がり軸受装置であって、
    前記転がり軸受は、固定輪、回転輪、当該固定輪と当該回転輪との間に介在する複数の転動体、及び当該転動体を保持する保持器を有し、当該保持器が当該固定輪に滑り接触することで当該固定輪によってガイドされる形式の軸受であり、
    前記少なくとも二つのポンプには、前記転動体又は前記回転輪に向かって潤滑油を吐出する第一のポンプと、前記保持器と前記固定輪との間の滑り接触部に潤滑油を吐出する第二のポンプとが含まれ、
    前記異常判定信号が生成されると、前記第一のポンプと前記第二のポンプとのうちの少なくとも一方が動作する、
    転がり軸受装置。
  8. 転がり軸受と、前記転がり軸受の異常を診断するための請求項4に記載の転がり軸受の診断装置と、前記転がり軸受に対して潤滑油を吐出するポンプと、を備える転がり軸受装置であって、
    前記転がり軸受は、固定輪、回転輪、当該固定輪と当該回転輪との間に介在する複数の転動体、及び当該転動体を保持する保持器を有し、
    前記異常判定信号が生成されると、前記ポンプは、前記転動体の転走領域の一部に向かって、前記保持器の公転周波数に基づいて求められた吐出周波数で潤滑油を間欠的に吐出する、
    転がり軸受装置。
  9. 前記吐出周波数は、前記公転周波数に前記転動体の数を乗算して得た値の約数である、請求項8に記載の転がり軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114137063A (zh) * 2021-11-29 2022-03-04 中国航发哈尔滨轴承有限公司 一种基于弱磁探测的滚动轴承故障诊断方法

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