JP2019183218A - 高圧水素容器、及び、高圧水素用鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
・タイプI :金属容器
・タイプII :金属・フープ巻き容器
・タイプIII:金属・全周巻き容器
・タイプIV :非金属・全周巻き容器
S:0.010%以下、Al:0.005〜0.10%、O:0.005%以下、N:0.008%以下、Cr:0〜5.0%、Mo:0〜1.5%、V:0〜1.0%、W:0〜3.0%、Nb:0〜0.1%、Ti:0〜0.1%、Zr:0〜0.2%、Hf:0〜0.2%、Ta:0〜0.2%、Ni:0〜5.0%、Cu:0〜3.0%、Co:0〜3.0%、B:0〜0.01%、Ca:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、REM:0〜0.50%、残部:Feおよび不純物である、化学組成を有し、粒径20μm以上の硫化物系介在物および酸化物系介在物の合計個数が断面観察で10個/100mm2以下である。特許文献2では、粒径20μm以上の粗大な硫化物系介在物及び酸化物系介在物の個数を抑えることにより、疲労破壊を抑制し、耐久比を高めることができる、と記載されている。
胴部及び/又は蓋部は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.00%、P:0.025%以下、S:0.0200%以下、Al:0.005〜0.050%未満、Cr:0.30〜1.50%、Mo:0.15〜1.50%、Ti:0.002〜0.050%、B:0.0001〜0.0050%、N:0.0070%未満、O:0.0050%未満、V:0〜0.30%、Nb:0〜0.100%、W:0〜1.00%、Ca:0〜0.0100%、Mg:0〜0.0100%、Zr:0〜0.0100%、希土類元素:0〜0.0100%、Co:0〜1.00%、Ni:0〜0.50%、及び、Cu:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、固溶Cを0.010〜0.050質量%含有し、引張強度が900〜1100MPaであり、降伏比が85%以上である。
図1は、後述の実施例の各試験番号の固溶C量と高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性との関係を示す図である。
疲労き裂進展速度比=(da/dN1)/(da/dN2) (A)
胴部及び/又は蓋部は、質量%で、C:0.20〜0.50%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.00%、P:0.025%以下、S:0.0200%以下、Al:0.005〜0.050%未満、Cr:0.30〜1.50%、Mo:0.15〜1.50%、Ti:0.002〜0.050%、B:0.0001〜0.0050%、N:0.0070%未満、O:0.0050%未満、V:0〜0.30%、Nb:0〜0.100%、W:0〜1.00%、Ca:0〜0.0100%、Mg:0〜0.0100%、Zr:0〜0.0100%、希土類元素:0〜0.0100%、Co:0〜1.00%、Ni:0〜0.50%、及び、Cu:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、固溶Cを0.010〜0.050質量%含有し、引張強度が900〜1100MPaであり、降伏比が85%以上である。
疲労き裂進展速度比=(da/dN1)/(da/dN2) (A)
<Mo>c=(<Fe>a+<Cr>a+<Mn>a)×<Mo>b/(<Fe>b+<Cr>b+<Mn>b) (1)
<Mo>d=<Mo>a−<Mo>c (2)
<C>a=(<Fe>a/55.85+<Cr>a/52+<Mn>a/53.94+<Mo>c/95.9)/3×12 (3)
<C>b=(<V>a/50.94+<Mo>d/95.9+<Nb>a/92.9)×12 (4)
(固溶C量)=<C>−(<C>a+<C>b) (5)
図2は、本実施形態による高圧水素容器の中心軸を含む断面図である。図2を参照して、高圧水素容器1は、胴部2と、一対の蓋部3A、3Bとを備える。
本実施形態による高圧水素用鋼材は、上述のとおり、高圧水素容器の胴部及び/又は蓋部に適用可能である。本実施形態の高圧水素用鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
炭素(C)は、鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Cはさらに、製造工程中の焼戻し時において、炭化物の球状化を促進し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。炭化物が分散されればさらに、鋼材の強度が高まる。C含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、鋼材の靭性が低下し、焼割れが発生しやすくなる。したがって、C含有量は0.20〜0.50%である。C含有量の好ましい下限は0.23%であり、より好ましくは0.25%である。C含有量の好ましい上限は0.45%であり、より好ましくは0.40%である。
シリコン(Si)は、鋼を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%である。Si含有量の好ましい下限は0.15%であり、より好ましくは0.20%である。Si含有量の好ましい上限は0.45%であり、より好ましくは0.40%である。
マンガン(Mn)は、鋼を脱酸する。Mnはさらに、鋼材の焼入れ性を高める。Mn含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、Mnは、P及びS等の不純物とともに、粒界に偏析する。この場合、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Mn含有量は0.05〜1.00%である。Mn含有量の好ましい下限は0.25%であり、より好ましくは0.30%である。Mn含有量の好ましい上限は0.90%であり、より好ましくは0.80%である。
燐(P)は不純物である。すなわち、P含有量は0%超である。Pは、粒界に偏析して鋼材の耐疲労き裂進展特性を低下する。したがって、P含有量は0.025%以下である。P含有量の好ましい上限は0.020%であり、より好ましくは0.015%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、P含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、P含有量の好ましい下限は0.0001%であり、より好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。
硫黄(S)は不純物である。すなわち、S含有量は0%超である。Sは、粒界に偏析して鋼材の耐疲労き裂進展特性を低下する。したがって、S含有量は0.0200%以下である。S含有量の好ましい上限は0.0050%であり、より好ましくは0.0030%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、S含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、より好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Al含有量が低すぎれば、この効果が得られず、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。一方、Al含有量が高すぎれば、粗大な酸化物系介在物が生成して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Al含有量は0.005〜0.050%未満である。Al含有量の好ましい下限は0.015%であり、より好ましくは0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.040%であり、より好ましくは0.035%である。本明細書にいう「Al」含有量は「酸可溶Al」、つまり、「sol.Al」の含有量を意味する。
クロム(Cr)は、鋼材の焼入れ性を高める。Crはさらに、鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、高温焼戻しを可能にする。その結果、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Cr含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、鋼材の靭性及び耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Cr含有量は0.30〜1.50%である。Cr含有量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.40%である。Cr含有量の好ましい上限は1.30%である。
モリブデン(Mo)は、鋼材の焼入れ性を高める。Moはさらに、微細な炭化物を生成し、鋼材の焼戻し軟化抵抗を高める。その結果、Moは、高温焼戻しにより鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Mo含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Mo含有量が高すぎれば、上記効果が飽和する。したがって、Mo含有量は0.15〜1.50%である。Mo含有量の好ましい下限は0.25%であり、より好ましくは0.30%であり、さらに好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.50%である。Mo含有量の好ましい上限は1.30%であり、より好ましくは1.20%であり、さらに好ましくは1.15%である。
チタン(Ti)は窒化物を形成し、ピンニング効果により、結晶粒を微細化する。その結果、鋼材の強度が高まる。Ti含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、Ti窒化物が粗大化して鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Ti含有量は0.002〜0.050%である。Ti含有量の好ましい下限は0.003%であり、より好ましくは0.005%、さらに好ましくは0.010%である。Ti含有量の好ましい上限は0.040%であり、より好ましくは0.030%である。
ボロン(B)は鋼に固溶して鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。B含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、B含有量が高すぎれば、粗大な窒化物が生成して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、B含有量は0.0001〜0.0050%である。B含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0007%である。B含有量の好ましい上限は0.0030%であり、より好ましくは0.0020%である。
窒素(N)は不可避に含有される。すなわち、N含有量は0%超である。NはTiと結合して窒化物を形成し、ピンニング効果により、鋼材の結晶粒を微細化する。しかしながら、N含有量が高すぎれば、Nは粗大な窒化物を形成して、鋼材の耐疲労き裂進展特性を低下する。したがって、N含有量は0.0070%未満である。N含有量の好ましい上限は0.0065%であり、より好ましくは0.0060%である。上記効果をより有効に得るためのN含有量の好ましい下限は0.0005%であり、より好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
酸素(O)は不純物である。すなわち、O含有量は0%超である。Oは粗大な酸化物を形成し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を低下する。したがって、O含有量は0.0050%未満である。O含有量の好ましい上限は0.0040%であり、より好ましくは0.0030%、さらに好ましくは0.0020%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、O含有量の極端な低減は、製造コストを大幅に高める。したがって、工業生産を考慮した場合、O含有量の好ましい下限は0.0001%であり、より好ましくは0.0002%であり、さらに好ましくは0.0003%である。
上述の高圧水素用鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、V、Nb及びWからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、高圧水素用鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、V含有量は0%であってもよい。Vが含有される場合、VはC又はNと結合して炭化物、窒化物、又は、炭窒化物(以下、「炭窒化物等」という)を形成する。炭窒化物等は、ピンニング効果により鋼材のサブ組織を微細化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Vはさらに、焼戻し時に微細な炭化物を形成する。微細な炭化物は鋼材の焼戻し軟化抵抗を高め、鋼材の強度を高める。Vはさらに、球状のMC型炭化物となるため、針状のM2C型炭化物の生成を抑制して、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Vが少しでも含有されれば、これらの効果がある程度得られる。しかしながら、V含有量が高すぎれば、鋼材の靭性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.30%である。V含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。V含有量の好ましい上限は0.20%であり、より好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Nb含有量は0%であってもよい。Nbが含有される場合、Nbは炭窒化物等を形成する。炭窒化物等はピンニング効果により鋼材のサブ組織を微細化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Nbはさらに、球状のMC型炭化物となるため、針状のM2C型炭化物の生成を抑制して、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Nbが少しでも含有されれば、これらの効果がある程度得られる。しかしながら、Nb含有量が高すぎれば、炭窒化物等が過剰に生成して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Nb含有量は0〜0.100%である。Nb含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.002%であり、さらに好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.007%である。Nb含有量の好ましい上限は0.070%であり、より好ましくは0.050%、さらに好ましくは0.030%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、W含有量は0%であってもよい。Wが含有される場合、Wは炭窒化物等の生成を促進し、炭窒化物等のピンニング効果により鋼材のサブ組織を微細化し、鋼材の耐水素脆性を高め、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。しかしながら、W含有量が高すぎれば、鋼材中に過剰な炭窒化物が生成して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、W含有量は0〜1.00%である。W含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.05%である。W含有量の好ましい上限は0.60%であり、より好ましくは0.50%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ca含有量は0%であってもよい。Caが含有される場合、Caは、鋼材中の硫化物を微細化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Caが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Ca含有量は0〜0.0100%である。Ca含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0040%であり、より好ましくは0.0025%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Mg含有量は0%であってもよい。Mgが含有される場合、Mgは、鋼材中のSを硫化物として無害化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Mgが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Mg含有量が高すぎれば、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Mg含有量は0〜0.0100%である。Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Mg含有量の好ましい上限は0.0040%であり、より好ましくは0.0025%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Zr含有量は0%であってもよい。Zrが含有される場合、Zrは鋼材中の硫化物を微細化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。Zrが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が高すぎれば、鋼材中の酸化物が粗大化する。したがって、Zr含有量は0〜0.0100%である。Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Zr含有量の好ましい上限は0.0025%であり、より好ましくは0.0020%である。
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、REM含有量は0%であってもよい。REMが含有される場合、REMは鋼材中の硫化物を微細化し、鋼材の耐疲労き裂進展特性を高める。REMはさらに、鋼材中のPと結合して、結晶粒界におけるPの偏析を抑制する。そのため、Pの偏析に起因した鋼材の耐疲労き裂進展特性の低下が抑制される。REMが少しでも含有されれば、これらの効果がある程度得られる。しかしながら、REM含有量が高すぎれば、鋼材中の酸化物が粗大化して、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、REM含有量は0〜0.0100%である。REM含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0006%である。REM含有量の好ましい上限は0.0040%であり、より好ましくは0.0025%である。
コバルト(Co)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Co含有量は0%であってもよい。Coが含有される場合、Coは鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Coが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Co含有量が高すぎれば、製造コストが大きく嵩む。したがって、Co含有量は0〜1.00%である。Co含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Co含有量の好ましい上限は0.60%であり、より好ましくは0.50%である。
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ni含有量は0%であってもよい。Niが含有される場合、Niは鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Niが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、局部的な腐食を促進させ、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Ni含有量は0〜0.50%である。Ni含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。Ni含有量の好ましい上限は0.20%であり、より好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.09%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Cu含有量は0%であってもよい。Cuが含有される場合、Cuは鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、この効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、鋼材の焼入れ性が高くなりすぎ、鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、Cu含有量は0〜0.50%である。Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、より好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。Cu含有量の好ましい上限は0.35%であり、より好ましくは0.25%である。
本実施形態による高圧水素用鋼材は、固溶Cを0.010〜0.050質量%含有する。固溶C量が0.010質量%未満であれば、鋼材中の転位の固定が十分でなく、優れた耐疲労き裂進展特性が得られない。一方、固溶C量が0.050質量%を超えれば、かえって鋼材の耐疲労き裂進展特性が低下する。したがって、固溶C量は0.010〜0.050質量%である。固溶C量の好ましい下限は0.015質量%であり、より好ましくは0.020質量%である。
本実施形態において、固溶C量は、鋼材中の炭化物中のC量(質量%)の、鋼材の化学組成のC含有量からの差分を意味する。鋼材中の炭化物中のC量は、鋼材に対して抽出残渣分析を実施して残渣として得られた炭化物(セメンタイト及びMC型炭化物)中のFe濃度<Fe>a、Cr濃度<Cr>a、Mn濃度<Mn>a、Mo濃度<Mo>a、V濃度<V>a、Nb濃度<Nb>aと、抽出レプリカ法により得られたレプリカ膜をTEM観察することにより特定されたセメンタイトに対してEDSによる点分析を実施して得られたセメンタイト中のFe濃度<Fe>b、Cr濃度<Cr>b、Mn濃度<Mn>b、Mo濃度<Mo>bとを用いて、式(1)〜式(5)により求める。
<Mo>c=(<Fe>a+<Cr>a+<Mn>a)×<Mo>b/(<Fe>b+<Cr>b+<Mn>b) (1)
<Mo>d=<Mo>a−<Mo>c (2)
<C>a=(<Fe>a/55.85+<Cr>a/52+<Mn>a/53.94+<Mo>c/95.9)/3×12 (3)
<C>b=(<V>a/50.94+<Mo>d/95.9+<Nb>a/92.9)×12 (4)
(固溶C量)=<C>−(<C>a+<C>b) (5)
なお、本明細書において、セメンタイトとは、Fe含有量が50質量%以上の炭化物を意味する。以下、固溶C量の算出方法を詳しく説明する。
高圧水素用鋼材から切粉状の分析サンプルを採取する。鋼材が板材である場合、板厚中央部から分析サンプルを採取する。鋼材が鋼管である場合、肉厚中央部から分析サンプルを採取する。酸素気流中燃焼−赤外線吸収法により、C含有量(質量%)を分析する。これを鋼材のC含有量(<C>)とする。
析出C量は、次の手順1〜手順4により算出する。具体的には、手順1で抽出残渣分析を実施する。手順2でTEMを用いた抽出レプリカ法、及び、EDSによりセメンタイト中の元素濃度分析(以下「EDS分析」という)を実施する。手順3でMo含有量を調整する。手順4で析出C量を算出する。
手順1では、鋼材中の炭化物を残渣として捕捉し、残渣中のFe、Cr、Mn、Mo、V、及び、Nb含有量を決定する。ここで、「炭化物」とは、セメンタイト(M3C型炭化物)及びMC型炭化物の総称である。具体的な手順は以下のとおりである。鋼材から6mm径で長さ50mmの円柱状試験片を採取する。鋼材が鋼板である場合、板厚中央部から、板厚中心が横断面の中心になるように円柱状試験片を採取する。鋼材が鋼管である場合、肉厚中央部から、肉厚中心が横断面の中心になるように円柱状試験片を採取する。採取した円柱状試験片の表面を、予備の電解研磨にて50μm程度研磨して新生面を得る。電解研磨した試験片を、電解液(10%アセチルアセトン+1%テトラアンモニウム+メタノール)で電解する。電解後の電解液を0.2μmのフィルターを通して残渣を捕捉する。得られた残渣を酸分解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析にてFe、Cr、Mn、Mo、V、及び、Nb濃度を質量%単位で定量する。この濃度をそれぞれ<Fe>a、<Cr>a、<Mn>a、<Mo>a、<V>a、及び、<Nb>aと定義する。
手順2では、セメンタイト中のFe、Cr、Mn、及び、Mo含有量を決定する。具体的な手順は以下のとおりである。鋼材からミクロ試験片を切り出す。鋼材が鋼板である場合、板厚中央部からミクロ試験片を切り出す。鋼材が鋼管である場合、肉厚中央部からミクロ試験片を切り出す。切り出したミクロ試験片に対して鏡面研磨を行い、表面を仕上げる。試験片を3%ナイタール腐食液に10分浸漬し、表面を腐食する。腐食した表面をカーボン蒸着膜で覆う。蒸着膜で表面を覆った試験片を5%ナイタール腐食液に浸漬し、20分保持し、蒸着膜を剥離させる。剥離した蒸着膜をエタノールで洗浄した後、シートメッシュですくい取り、乾燥させる。この蒸着膜(レプリカ膜)を、TEMで観察し、20個のセメンタイトについてEDSによる点分析を行う。セメンタイト中の炭素を除く合金元素の合計を100%とした場合の、Fe、Cr、Mn、及び、Mo濃度を質量%単位で定量する。20個のセメンタイトについて濃度を定量し、それぞれの元素の算術平均値を<Fe>b、<Cr>b、<Mn>b、及び、<Mo>bと定義する。
続いて、炭化物中のMo濃度を求める。ここで、Fe、Cr、Mn、及び、Moはセメンタイトに濃化する。一方、V、Nb、及び、MoはMC型炭化物に濃化する。すなわち、Moは、焼戻しによりセメンタイト及びMC型炭化物の両方に濃化する。したがって、Mo量については、セメンタイト及びMC型炭化物について個別に算出する。なお、Vはセメンタイトにもその一部が濃化する場合がある。しかしながら、Vのセメンタイトへの濃化量は、MC型炭化物への濃化量と比較して無視できるほど小さい。したがって、固溶C量を求める上で、VはMC型炭化物のみに濃化するとみなす。
<Mo>c=(<Fe>a+<Cr>a+<Mn>a)×<Mo>b/(<Fe>b+<Cr>b+<Mn>b) (1)
<Mo>d=<Mo>a−<Mo>c (2)
析出C量は、セメンタイトとして析出するC量(<C>a)とMC型炭化物として析出するC量(<C>b)の合計として、算出される。<C>a及び<C>bはそれぞれ、式(3)及び式(4)により、質量%単位で算出される。なお、式(3)は、セメンタイトの構造がM3C型(MはFe、Cr、Mn、及び、Moを含む)であることから導かれた式である。
<C>a=(<Fe>a/55.85+<Cr>a/52+<Mn>a/53.94+<Mo>c/95.9)/3×12 (3)
<C>b=(<V>a/50.94+<Mo>d/95.9+<Nb>a/92.9)×12 (4)
固溶C量(以下、<C>cともいう)は、鋼材のC含有量(<C>)と、析出C量との差として、式(5)により質量%単位で算出する。
<C>c=<C>−(<C>a+<C>b) (5)
本実施形態による高圧水素用鋼材のミクロ組織は、主として焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトからなる。より具体的には、ミクロ組織は体積率で90%以上の焼戻しマルテンサイト及び/又は焼戻しベイナイトからなる。すなわち、ミクロ組織は、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上である。ミクロ組織の残部はたとえば、残留オーステナイト等である。上述の化学組成を有する鋼材のミクロ組織が、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの体積率の合計が90%以上を含有すれば、引張強度TSが900〜1100MPaとなり、及び、降伏比YRが85%以上となる。
本実施形態による高圧水素用鋼材の形状は、特に限定されない。高圧水素用鋼材はたとえば鋼管でもよいし、鋼板でもよい。高圧水素用鋼材が鋼管である場合、継目無鋼管であってもよい。高圧水素用鋼材の厚さは特に限定されない。高圧水素用鋼材が鋼管である場合、好ましい肉厚は20mm以上であり、さらに好ましくは25mm以上であり、さらに好ましくは30mm以上である。好ましい肉厚の上限はたとえば55mmである。高圧水素用鋼材が鋼板である場合、好ましい板厚は20mm以上であり、さらに好ましくは25mm以上であり、さらに好ましくは50mm以上である。好ましい板厚の上限は200mmである。
本実施形態による高圧水素用鋼材の引張強度TSは900〜1100MPaであり、降伏比YRは85%以上である。本明細書でいう引張強度TSは、JIS Z2241(2011)に準拠した、鋼材の長手方向(軸方向、圧延方向と同義)に平行な平行部を有する全厚引張試験片を用い、JIS Z2241(2011)に準拠して、常温(25℃)大気中にて実施する引張試験で得られた引張強度TS(MPa)を意味する。また、降伏比YRは、引張強度TSに対する降伏強度YSの比(YR=YS/TS)である。降伏強度YSは、上述の引張試験により得られた、0.2%耐力(MPa)を意味する。
本実施形態による高圧水素用鋼材では、90MPaの高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性に優れる。本実施形態の高圧水素用鋼材は、90MPaの高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性に優れるため、90MPa以下の高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性にも当然に優れる。具体的には、45MPa以上の高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性に優れ、さらに、70MPa以上の高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性に優れる。ここで、耐疲労き裂進展特性とは、疲労き裂進展抵抗が高いことを意味し、き裂が進展しにくいことを意味する。
疲労き裂進展速度比=(da/dN1)/(da/dN2) (A)
本実施形態による高圧水素用鋼材の製造方法は、準備工程と、焼入れ工程と、焼戻し工程とを備える。準備工程は素材準備工程と、熱間加工工程とを含んでもよい。本実施形態では、高圧水素用鋼材の製造方法の一例として、継目無鋼管の製造方法を説明する。継目無鋼管の製造方法は、素管を準備する工程(準備工程)と、素管に対して焼入れ及び焼戻しを実施して、継目無鋼管とする工程(焼入れ工程及び焼戻し工程)とを備える。以下、各工程について詳述する。
準備工程は、上述の化学組成を有する中間鋼材を準備する。中間鋼材が上記化学組成を有していれば、中間鋼材の製造方法は特に限定されない。ここでいう中間鋼材は、最終製品が鋼板の場合は、板状の鋼材であり、最終製品が鋼管の場合は素管(Hollow shell)である。
素材準備工程では、上述の化学組成を有する溶鋼を用いて素材を製造する。具体的には、溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片(スラブ、ブルーム、又は、ビレット)を製造する。溶鋼を用いて造塊法によりインゴットを製造してもよい。必要に応じて、スラブ、ブルーム又はインゴットを分塊圧延して、ビレットを製造してもよい。以上の工程により素材(スラブ、ブルーム、又は、ビレット)を製造する。
熱間加工工程では、準備された素材を熱間加工して中間鋼材を製造する。鋼材が鋼管である場合、中間鋼材は素管に相当する。始めに、ビレットを加熱炉で加熱する。加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1100〜1300℃である。加熱炉から抽出されたビレットに対して熱間加工を実施して、素管(継目無鋼管)を製造する。たとえば、熱間加工としてマンネスマン法を実施し、素管を製造する。この場合、穿孔機により丸ビレットを穿孔圧延する。穿孔圧延する場合、穿孔比は特に限定されないが、たとえば、1.0〜4.0である。穿孔圧延された丸ビレットをさらに、マンドレルミル、レデューサ、サイジングミル等により熱間圧延して素管にする。熱間加工工程での累積の減面率はたとえば、20〜70%である。
焼入れ工程は、準備された中間鋼材(素管)に対して、焼入れを実施する。本明細書において、「焼入れ」とは、A3点以上の中間鋼材を急冷することを意味する。焼入れ温度は800〜1000℃である。焼入れ温度とは、熱間加工後に直接焼入れを実施する場合、最終の熱間加工を実施する装置の出側に設置された温度計で測定された、中間鋼材の表面温度に相当する。焼入れ温度とはさらに、熱間加工後に補熱した後、焼入れを実施する場合、再加熱(補熱)を実施する熱処理炉の温度に相当する。
焼戻し工程は、上述の焼入れ処理を実施した後、焼戻し処理を実施する。本明細書において、「焼戻し」とは、焼入れ後の中間鋼材を再加熱して、保持することを意味する。焼戻し温度は、鋼材の化学組成、及び、得ようとする引張強度TSに応じて適宜調整する。つまり、本実施形態の化学組成を有する中間鋼材(素管)に対して、焼戻し温度を調整して、鋼材の引張強度TSを900〜1100MPaに調整する。ここで、焼戻し温度とは、焼入れ後の中間鋼材を加熱して、保持する際の熱処理炉の温度に相当する。
焼戻し後の冷却は、従来は制御されていなかった。しかしながら、500℃〜200℃の間は、炭素(C)の拡散が比較的早い温度域である。そのため、焼戻し後(つまり、上記焼戻し温度で上記保持時間保持した後)の鋼材の冷却速度が遅ければ、固溶していたCのほとんどが、温度低下中に再析出してくる。つまり固溶C量が、ほぼ0質量%になる。そこで本実施形態においては、焼戻し後の中間鋼材(素管)を急冷する。
本実施形態の高圧水素容器の製造方法の一例は次のとおりである。
上述の高圧水素用鋼材を用いて、胴部を製造する。たとえば、高圧水素用鋼材である継目無鋼管を所望の長さに切り出して、胴部を製造する。必要に応じて、胴部の内面を周知の方法で研磨して平滑鏡面としてもよい。同様に、上述の高圧水素用鋼材を用いて、蓋部を製造する。たとえば、高圧水素用鋼材である鋼板を所望の形状に切り出して、蓋部を製造する。
上記の焼戻し処理後の各試験番号の板状供試材に対して、以下に説明する引張強度TS及び降伏比YR試験、固溶C量測定試験、高圧水素環境下における疲労き裂進展速度比評価試験を実施した。
次の引張り試験により、各試験番号の鋼材の引張強度TS及び降伏比YRを求めた。JIS Z2241(2011)に準拠した全厚引張試験片を板状供試材から採取した。全厚引張試験片の平行部は、鋼材の長手方向に平行とした。平行部の長さは60mmとし、平行部の直径は14mmとし、標点距離は50mmとした。
各試験番号の鋼材について、上述の測定方法により、固溶C量(質量%)を測定及び算出した。なお、TEMは日本電子(株)製JEM−2010で、加速電圧は200kVとした。EDS点分析は、照射電流を2.56nAとし、各点で60秒の計測を行った。TEMによる観察領域は8μm×8μmとし、任意の10視野で観察した。固溶C量の計算において用いる、各元素の残渣量及びセメンタイト中の濃度は表3のとおりであった。
式(A)で定義される高圧水素ガス環境下での疲労き裂進展速度比を、次の試験により求めた。各試験番号の板状供試材から、ASTM E647に準拠した、図5Bに示すCT試験片を採取した。具体的には、板状供試材の肉厚中央位置から、図5Bに示すCT試験片を切り出した。このとき、き裂進展方向が圧延方向となるように、CT試験片を切り出した。
疲労き裂進展速度比=(da/dN1)/(da/dN2) (A)
得られた疲労き裂進展速度比を表2に示す。
表2に試験結果を示す。
2 胴部
2A、2B 端部
3A、3B 蓋部
Claims (6)
- 筒状の胴部と、
前記胴部の両端部に配置され、前記胴部とつながっており、前記胴部を密閉可能な一対の蓋部とを備え、
前記胴部及び/又は前記蓋部は、
質量%で、
C:0.20〜0.50%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.05〜1.00%、
P:0.025%以下、
S:0.0200%以下、
Al:0.005〜0.050%未満、
Cr:0.30〜1.50%、
Mo:0.15〜1.50%、
Ti:0.002〜0.050%、
B:0.0001〜0.0050%、
N:0.0070%未満、
O:0.0050%未満、
V:0〜0.30%、
Nb:0〜0.100%、
W:0〜1.00%、
Ca:0〜0.0100%、
Mg:0〜0.0100%、
Zr:0〜0.0100%、
希土類元素:0〜0.0100%、
Co:0〜1.00%、
Ni:0〜0.50%、及び、
Cu:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、
固溶Cを0.010〜0.050質量%含有し、
引張強度が900〜1100MPaであり、降伏比が85%以上である、
高圧水素容器。 - 請求項1に記載の高圧水素容器であって、
前記胴部及び/又は前記蓋部の前記化学組成は、
V:0.01〜0.30%、
Nb:0.002〜0.100%、及び、
W:0.02〜1.00%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高圧水素容器。 - 請求項1又は請求項2に記載の高圧水素容器であって、
前記胴部及び/又は前記蓋部の前記化学組成は、
Ca:0.0001〜0.0100%、
Mg:0.0001〜0.0100%、
Zr:0.0001〜0.0100%、及び、
希土類元素:0.0001〜0.0100%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高圧水素容器。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高圧水素容器であって、
前記胴部及び/又は前記蓋部の前記化学組成は、
Co:0.02〜1.00%を含有する、
高圧水素容器。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高圧水素容器であって、
前記胴部及び/又は前記蓋部の前記化学組成は、
Ni:0.02〜0.50%、及び、
Cu:0.01〜0.50%からなる群から選択される1種以上を含有する、
高圧水素容器。 - 高圧水素用鋼材であって、
質量%で、
C:0.20〜0.50%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.05〜1.00%、
P:0.025%以下、
S:0.0200%以下、
Al:0.005〜0.050%未満、
Cr:0.30〜1.50%、
Mo:0.15〜1.50%、
Ti:0.002〜0.050%、
B:0.0001〜0.0050%、
N:0.0070%未満、
O:0.0050%未満、
V:0〜0.30%、
Nb:0〜0.100%、
W:0〜1.00%、
Ca:0〜0.0100%、
Mg:0〜0.0100%、
Zr:0〜0.0100%、
希土類元素:0〜0.0100%、
Co:0〜1.00%、
Ni:0〜0.50%、及び、
Cu:0〜0.50%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、
固溶Cを0.010〜0.050質量%含有し、
引張強度が900〜1100MPaであり、降伏比が85%以上であり、
90MPaの高圧水素ガス環境での耐疲労き裂進展特性に優れる、
高圧水素用鋼材。
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