JP2019170287A - 低発汗コーティング用油性食品およびこれに被覆された食品の発汗抑制方法 - Google Patents
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これを防止するために、特許文献1に、チョコレート類を製造するに際し、溶解度(20℃の水100gに溶けるグラム数)が80以下の糖類を糖原料の40重量%以上の割合で使用することを特徴とする含水食品用チョコレート類の製造法が提案されているが、使用できる糖類に制限があり、使用量を多くしなければ充分な効果が得られにくい。
また、特許文献2に、油脂中にラウリン系油脂を70%以上、SU2及びU3トリグリセリド(Sは飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸)の合計を20%以下含有し、そのSFI(固体脂含有量指数)が、10℃で60〜75%、20℃で55〜70%、30℃で15〜35%であるチョコレート組成物が提案されているが、水分が20〜30重量%を含む洋菓子やパン等の含水食品を被覆する場合は有効であるが、これ以上の水分を含む高含水食品になると汗かき現象が経時的に生じてしまう。
しかしながら、保水剤として主に用いる澱粉類等は添加量が多くなりがちであったり、デキストリンなどといった特定の原料を加える事でコストが上昇したり、食味に影響が出かねないなどの問題があった。
このように、被覆用油脂組成物の品質改善のため、油脂組成や乳化剤などいくつかの技術が検討されているものの、未だ充分なものではなかった。
例えば、焼菓子の表面に少なくとも2つの油脂性材料の層が被覆されている複合菓子であって、かつ、内層に低融点の油脂性材料からなる層を含み、その外側に高融点の油脂性材料からなる層を含む複合菓子(特許文献5)が、また食品をチョコレートで被覆するに際し、予め該食品の表面を油脂で下塗した後チョコレート類を被覆することを特徴とする被覆チョコレート類のひび割れ防止法(特許文献6)が開示されているが、特に包装にも発汗にも触れられていない。
(1)0℃以上の状態で閉鎖系包材内に密閉される水分活性0.7以上の食品表面を被覆した油性食品Aの全面を被覆することを、並びに以下のB又はCの少なくとも一方を満たすことを特徴とする低発汗コーティング用油性食品。ただし、
B:乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、油分30%以上である。
C:油分50%以上である。
(2)(1)記載の低発汗コーティング用油性食品にてコーティングされた組み合わせ食品。
(3)0℃以上の状態で閉鎖系包材内に密閉される水分活性0.7以上の食品表面を被覆した油性食品Aの全面を被覆することを並びに、以下のB又はCの少なくとも一方を満たすことを特徴とする低発汗コーティング用油性食品にて被覆することを特徴とする、発汗抑制方法。ただし、
B:乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、油分30%以上である。
C:油分50%以上である
といったものである。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。本発明において、油性食品とは、油脂が連続相をなす油脂加工食品であり、その代表的なものとしては、一般的にはチョコレートやグレーズと呼ばれるものであり、それは全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート生地および準チョコレート生地を含むが、これらに限定されるものではなく、カカオマス、ココア、カカオバター、カカオバター代用脂、ハードバター等を利用した油脂加工食品をも包含するものである。またいわゆるガナッシュと呼ばれる、含水チョコレートも本発明におけるチョコレートに含まれるが、望ましくは水分量がチョコレート全体に対して15%以下、さらに望ましくは10%以下である事が、また油相が連続相であり、固形分がある場合は油相に内包されていることが望ましい。また、固形分がなく、油脂のみであっても構わない。
本発明において被覆対象となる食品は水分活性が0.7以上の食品でありさえすれば特に限定はされない。望ましくは水分活性が0.85以上であり、0.85以上である方が本発明の効果が従来のものより明確になる。水分活性が0.7未満であると、本発明を用いるまでもなく、従来のコーティングチョコレートであっても、発汗しにくく、本発明の効果が得られにくい。
なお、水分活性は計算上その上限は1であり、本願発明においても1以下、すなわち考えうる最も水分活性の高い食品であっても、本発明の効果である発汗抑制効果は従来の製品より効果的に得られる。
具体例としては、シュークリーム、エクレア、クリームの注入されたドーナツ、コッペパンなどの水分の多いパンなどが好適にもちいられ、本発明の効果が特に得られやすい。
上記高含水の食品は0℃以上の状態で閉鎖系包材内に密閉される状態である必要があり、本発明の効果はその密閉状態にて水蒸気が一定の相対湿度以上に維持された状態であることで発揮される。
さらには、前記高含水の食品の表面を油性食品Aにて被覆した状態である必要がある。この油脂食品Aは従来の油性食品、いわゆるチョコレートであったり、グレーズであったり、フォンダンであったりと特に限定はされない。特に従来、そのままこういった高含水食品にコーティングして閉鎖系の包材に密閉されると発汗をしやすいものほど、本発明の効果が得られやすい。
また、後述の低発汗コーティング用油性食品が、固形分が既存のものより少ないであったり、甘味度が低い乳糖のような糖を使用する場合は、油性食品Aが食感と風味(主にシャリシャリとしたグレーズに求められる食感であったり、甘味が相当する)を担う、すなわちショ糖のような甘味度の高い糖を多く用いたものを用いた方が、全体としての食感と風味を維持しつつ、発汗耐性を持つという目的に対しては望ましい。
また、油脂食品Aは高含水食品の表面を全面であろうと、一部分であろうとどのような面積を覆っていても本発明においては関係ない。
本発明における、低発汗コーティング用油性食品は前記高含水食品の表面を覆った油性食品Aの全面を被覆した状態である必要がある。ここでいう全面とは油性食品Aは高含水食品側と接触している部位以外の面積の90%以上、望ましくは95%以上、さらに望ましくは100%、すなわち全面を覆い尽くしている状態が好ましい。以下に示す機序でわかる通り、露出している部分は油性食品Aの本来の発汗耐性しかないので、そのおおわれていない部分に対しては本発明の効果が及ばない。よって、できる限り油性食品の表面を隙間なく覆うことが本発明の発汗抑制効果が効果的に得られる。
すなわち、その一つであるBの条件は、乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、油分30%以上である。
C:油分50%以上である。この場合固形分の種類はBと異なり、問わない。
上記の通り、固形分の種類により油脂の含有量は異なる条件が規定されているが、本発明の低発汗コーティング用油性食品に含まれる油脂の含有量は油性食品全体に対してであり、乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有している場合は、30重量%以上、望ましくは35%以上、さらに望ましくは40重量%以上であることが好ましい。これは従来のコーティングチョコレートに用いられる油脂含有量程度、あるいはそれ以上である、すなわち上記の糖を用いている場合は、従来のコーティングチョコレートと同程度の油分で構わない。
逆に、Cの条件では固形分に規定を設けず、たとえば吸湿しやすく発汗耐性という点では弱いとされるショ糖であっても、油分が、50%以上、望ましくは60%以上である場合は発汗を抑える機能が発現する。
また、B、C双方の条件のどちらか少なくとも一方を満たせばその発汗抑制機能が発生するため、Bの条件の糖類を用いて、油分50重量%以上の低発汗コーティング用油性食品も本条件に含まれる。むしろ発汗を抑える機能は向上する。さらにはB、C共に、油脂の含有量の上限は特に設けられず、油脂100%であっても構わない。よって作業性や風味食感の商品設計上の規定に従って条件B、Cそれぞれ油脂含有量を決めることができる。
前述の通り、油脂の含有量は固形分の種類によって異なるものの、本発明の油脂としては、その物性が以下にあるSFCの規定を満たせば、その由来は特に限定されない。一例としては、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施したものが例示できる。
かかる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、ヒマワリ油、落花生油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が例示できる。
本発明のチョコレートに含まれる油脂の固体脂含量(SFC)は20℃で20%以上であることが望ましく、さらに好ましくは35%以上である。
20℃で20%未満であると、かみだしが硬くすっと溶けるというチョコレートとしての好ましい食感が得られにくい。また40℃で10%を超えると口どけが低下し、いわゆるワキシーな食感になってしまう。
なお、上限は特に限定されず、100%以下である。20℃においてはSFCが大きくとも口どけには影響されない。
なおSFC値はAOCS official method cd16b-93 (ダイレクト法) に準じて測定する。
固形分はその量においてその下限はなく、添加されなくても構わない。
そのため固形分自体も可食性でありさえすれば限定されない。また、吸湿性の大小も一部低油分の場合以外は関係ない。固形分の上限は油脂含有量の下限(20重量%)の残余すべてが固形分である場合の80%であるが、作業性と商品設計に応じて適宜選択できる。具体的な例としては砂糖、カカオマス等の原料由来のカカオ固形分などが挙げられる。上記の通り、本発明においては油性食品A表面を低発汗コーティング用油性食品が覆っている必要があるため、商品設計上求められる風味的な部分は油脂食品Aで果たせばいいが、それでも低発汗コーティング用油性食品自体の物性上、あるいは油性食品Aを覆ってしまうため、風味上も商品設計上必要とされる風味、特に甘味などが要求される場合がある。その場合、固形分の中でも発汗に大きな影響がある糖質、特にショ糖などを含む、すなわち条件Cの場合であっても、油分が50%以上であれば発汗を抑制させることが可能であり、さらに、固形分が乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有している、すなわち条件Bの場合においては、油分は30%まで減らした状態でも発汗を抑制させることが可能である。なお、本発明における糖類は、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デキストリン、水飴等が例示できる。単糖類としては具体的には、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロースを挙げることができる。またオリゴ糖類としては、通常2糖類から6糖類までのものが含まれるが、具体的にはショ糖、マルトース、乳糖、トレハロース、マルトトリオース等を挙げることができる。糖アルコール類としては具体的には、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール等を挙げることができる。
なお、この条件Bの対象となる乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、とは糖類の総量中に対して乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、トレハロースの総和が60%以上が望ましく、より望ましくは80%以上、さらに望ましくは可能な100%に近づける事が好ましい。上記乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、トレハロース以外のショ糖などが増加すると発汗抑制効果が減少していく。もっとも、その場合ですら条件Cの油分が50%を超えた状態ならば、発汗抑制効果は十分に得られる。
一般に、油性食品のなかでも代表的なものであるチョコレートはカカオ豆をあらかじめ細かく砕き、すりつぶしたカカオマス、ココアパウダー、ココアバター、ココアバター代用脂、甘味料及び粉乳等を適宜混合し、ロールリファイニング(微粒化)工程、コンチング工程を行って製造される。
本発明におけるチョコレートの製造方法としては特に限定されるものではなく、既存の製造工程を適宜用いることが出来るが、上記の通り固形分は必ずしも必要なく、粒度が粗いことを目的とする商品設計もあるため、その場合はロールリファイニング工程を不要とするケースもあるため、適宜工程を組み合わせて用いる事が出来る。
本発明の低発汗コーティング用油性食品は、既存のコーティング用油性食品と同様に、油脂組成物を40〜50℃に加温溶融し、上記の被覆対象となる食品に被覆し、室温にて静置やクーリングトンネルの通過によって冷却、固化して使用することができる。
本発明における低発汗コーティング用油性食品とはコーティング(被覆)目的用途に用いられる油性食品であり、対象となる可食物表面を被覆した油性食品Aの全面を被覆する状態にコーティングすることを特徴とする。ここでいう全面とは前述の通り油性食品A表面の90%以上、望ましくは100%をコーティング油性食品で覆っている状態を指し、対象となる可食物および油性食品Aとは別の材質(可食物の水分量の規定を満たさないもの、例えば可食物に刺した串状のものなど)は対象とならない。あくまでも別途規定の水分量を満たすもの可食物表面を被覆した油性食品Aの表面を対象に覆うことを指す。
また被覆されたコーティング用油性食品の厚さは特に限定はされないが、0.5mm〜10mmの厚さを有することが好ましい。発汗の防止は0.5mm程度で十分に発揮されるが、薄すぎるとコーティング用油性食品としては風味、たとえばチョコレートの風味を感じにくくなる場合がある。また厚すぎると、作業性やコスト的に望ましくなく、可食物の商品設計に影響を及ぼす場合がある。
本来考えられていた発汗機序は次のとおりである。チョコレートなどに代表される油性食品を被覆した高含水の可食物からチョコレートに水分が移行し、チョコレート層の内部を空気との界面に向かって移動する。その際に内部の糖類を溶解しながら表面に移動し液滴となる。表出した液滴は糖を高濃度で含有している為、水あめ状であり、保存中に包材に付着したり、喫食時に手を汚すことがある。そのため、低溶解度の糖類を配合、油脂配合の調整および乳化剤の工夫などによる油脂結晶の緻密化などの方法を用いてきた。
しかしながら、今回得られた知見からは、以下のような発汗機序が推測される。
すなわち、高含水の可食物においてチョコレートが被覆されていない部分の表面から水が蒸発して包材内を満たし、チョコレート表面に露出している糖を溶解し液糖状になることが発汗現象の機序であると推測される。
上記、油性食品表面に露出している糖について説明する。本発明における油性食品において連続相は油相であるが、糖などの固形分はその油相表面から一部露出していると推察される。発汗、すなわち糖の潮解(吸湿)はその露出した糖の表面で進行するため、油相が糖粒子を十分に覆い、吸湿させないために必要な油分が存在する。
その油分は固形分がどんなに吸湿しやすい糖を用いた場合であっても、すなわち条件Cの場合でも、油分50重量%以上あればよく、また、乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有している場合は、多少油分が少ない状態でも発汗を抑制できるため、油分30%以上あればよい。
事実、本発明は従来予想されていた機序によって発汗が起こるならば、コーティングが従来型の一層の被覆であるか、本発明のような二層であるかは発汗現象に大きな影響を与えないと考えられるが、実際、二層コーティングすることは、一層コーティングすることより、発汗抑制の観点で顕著な効果がみられることが以下の実施例でも明らかである。
本発明における閉鎖系包材内に密閉された状態は、包材内と外界との間に少なくとも水分の移動がほとんどない状態であり、密閉包装内に水分活性0.7の物質を置いて密閉し、その12時間後までにその測定温度における平衡相対湿度に到達し、その後その平衡相対湿度の90%以上が保管の期間維持される状態を指す。
閉鎖系包材内への密閉された状態での保存条件は、0℃以上を維持している必要がある。0℃未満の場合も水分の蒸発は起こるが、発汗現象は極端に遅く、本発明の効果が得がたい。
閉鎖系包材内への密閉された状態でその後の流通、販売時にも、本発明によれば、汗かきが低減、防止できるようになった。
以下の表に示す配合にてコーティングチョコレートを調製した。なお、配合組成以外の共通する調製方法等は以下に示す。
※ 単位:油分は重量%、他は重量部。
※ ラウリン系ハードバター:商品名「パルケナH」、SFC(20℃)96%、SFC(30℃)52%、不二製油株式会社製
得られたコーティング用油性食品を50℃に温調し、市販のドーナツ(Aw0.92)に表2のとおり上層と下層にそれぞれのコーティング用油性食品をコーティングして密封し25℃で72時間保管して蒸発と発汗の有無を評価した。
なお、下層はドーナツ表面に直接コーティングしてある油性食品を、上層は下層表面のさらに上に下層が露出しないようにコーティングした油性食品を指す。
また、発汗評価は発汗(表面に液滴状のもの)が目視で確認出来る状態をさして「発汗」とし、それ以外を「なし」とした。また蒸発評価は、湿度計を同封して測定し、保管前(60%RH)よりも湿度が上昇しているかどうかを確認した。
また、水分活性(Aw)の測定は、Aqua Lab Series 3TE(Decagon Device Inc製)を使用して行った。数値は、測定開始後にサンプル温度が25℃になった時点で読み取った。
ただし、汗かき以外にも、コーティング用油性食品として、食感、風味の評価も行っている。ただグレーズにおいて独特のシャリシャリとした食感(以降シャリ感と称す)は有効な食感評価の一つではあるが、リファイン系と呼ばれるコーティング用油性食品においては、シャリ感は必要ないため、本発明は発汗抑制に効果があれば課題は解決したと見なす。
また、表面の発汗状況はコーティング直後を図1に、72時間後のものは図2にそれぞれ示した。
下層に油分30重量%のショ糖グレーズに、上層も同じく油分30重量%のショ糖グレーズをコーティングした比較例1の場合、これは油分30重量%のショ糖グレーズを単独でコーティングした場合と同じであるが、ショ糖と風味・食感は既存のままであり、従来品と同様の良好な甘味とシャリ感が感じられる。しかし発汗評価はやはり従来品と同じく抑制できずに発汗した。
しかし、上層を油分60重量%まで増加させたショ糖グレーズ(60)、そして乳糖を用いた実施例2・3においては、発汗が抑制され、また下層のショ糖グレーズが従来並の甘さとシャリ感を発揮できる為、油分が上昇した分固形分の糖が減ることによる甘味度やシャリ食感が低減したショ糖グレーズ(60)や乳糖のように甘味度が低い上層のコーティングを施しても、全体としては良好な風味・食感であった。
また、その傾向はそれ自体に甘味もシャリ感も全くない油脂をコーティングした実施例4においても発揮され、発汗を防止しながらも十分に風味食感を維持したコーティング用油脂食品であった。
下層が油分60重量%のショ糖グレーズはそれ自体が発汗に耐性があるものの、比較例2のような場合は上層30重量%のショ糖グレーズが発汗するため、甘味度やシャリ感は得られたものの発汗を抑制することはできなかった。一方、上層も60重量%のショ糖グレーズの場合は、油分が上昇した分固形分の糖が減ることによる甘味度が低減するものの、比較的良好な甘味度とシャリ感、そして発汗を防止できる商品であった。
下層が油分30重量%の乳糖グレーズはショ糖のグレーズと異なり、油分が30重量%程度であっても、それ自体が発汗に耐性がある。しかし比較例3の上層の30重量%のショ糖グレーズが発汗するので結果的に発汗耐性は付与されない。しかし上層部も30重量%の乳糖グレーズの場合は発汗しない。ただ、発汗は抑えられるものの、乳糖自体の甘味度が低い為、甘味や食感が従来の油性食品程度から劣る結果となる。ただ、従来より、甘味ではなく、塩味(たとえばチーズ味のような)を意図した油性食品には、ショ糖の代わりに乳糖を使うケースはよくあり、そういった用途においては従来と同程度の食感と風味は達成できており、そして発汗耐性を付与できている点から、有効である。
下層が油分60重量%の乳糖グレーズは30重量%の場合と同様に発汗耐性が付与されている。しかし比較例4の上層の30重量%のショ糖グレーズが発汗するので結果的に発汗耐性は付与されない。しかし上層部も60重量%の乳糖グレーズの場合は発汗しない。ただ、発汗は抑えられるものの、乳糖自体の甘味度が低い上に、さらに乳糖30重量%のグレーズよりさらに、固形分が少なくなる為、甘味や食感が従来の油性食品程度から劣る結果となる。ただ、上記、実施例6と同様に塩味を意図した油性食品においては従来と同程度の食感と風味は達成できており、そして発汗耐性を付与できている点から、有効である。
乳糖の系と同様に下層が油脂コーティングの場合はそれ自体が発汗に強い耐性があるが、比較例5の上層の30重量%のショ糖グレーズが発汗するので結果的に発汗耐性は付与されない。しかし上層部も油脂コーティングならば発汗しない。そして、発汗は抑えられるものの、乳糖の甘味度が低かった以上に油脂のみのコーティングは甘味もシャリ感もない為、甘味や食感が従来の油性食品程度から劣る結果となる。
ただ、上記、実施例6と実施例7と同様に発汗耐性を付与できている点から、商品設計によっては有効である。
Claims (3)
- 0℃以上の状態で閉鎖系包材内に密閉される水分活性0.7以上の食品表面を被覆した油性食品Aの全面を被覆することを、並びに以下のB又はCの少なくとも一方を満たすことを特徴とする低発汗コーティング用油性食品。
ただし、
B:乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、油分30%以上である。
C:油分50%以上である。 - 請求項1記載の低発汗コーティング用油性食品にてコーティングされた組み合わせ食品。
- 0℃以上の状態で閉鎖系包材内に密閉される水分活性0.7以上の食品表面を被覆した油性食品Aの全面を被覆することを並びに、以下のB又はCの少なくとも一方を満たすことを特徴とする低発汗コーティング用油性食品にて被覆することを特徴とする、発汗抑制方法。ただし、
B:乳糖、無水ブドウ糖、イソマルツロース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上を固形物として含有し、油分30%以上である。
C:油分50%以上である。
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