以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、図1は運転支援装置の概略構成図、図2乃至図4は運転モード切換制御ルーチンのフローチャート、図5は運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移判定サブルーチンを示すフローチャート、図6は第1の運転支援モードから手動運転モードへの遷移判定サブルーチンを示すフローチャート、図7は第1の運転支援モードから第2の運転支援モードへの遷移判定サブルーチンを示すフローチャート、図8は第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移判定サブルーチンを示すフローチャート、図9は閾値変更サブルーチンを示すフローチャート、図10は走行シーンと付与ポイントとの関係を例示ずる図表、図11は各運転モードへの遷移図である。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示す運転支援装置1は、自動車等の車両(自車両)に搭載されている。この運転支援装置1は、車外の走行環境を認識するためのセンサユニット(走行環境認識手段)として、ロケータユニット11及びカメラユニット21を有し、これらの両ユニット11,21が互いに依存することのない完全独立の多重系を構成している。また、運転支援装置1は、走行制御手段としての走行制御ユニット(以下、「走行_ECU」と称す)22と、エンジン制御ユニット(以下「E/G_ECU」と称す)23と、パワーステアリング制御ユニット(以下「PS_ECU」と称す)24と、ブレーキ制御ユニット(以下「BK_ECU」と称す)25と、を備え、これら各制御ユニット22〜25が、ロケータユニット11及びカメラユニット21とともに、CAN(Controller Area Network)等の車内通信回線10を介して接続されている。
ロケータユニット11は、道路地図上の自車位置を推定するものであり、自車位置を推定するロケータ演算部12を有している。
このロケータ演算部12の入力側には、自車両に作用する前後加速度を検出する前後加速度センサ13、前後左右各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ14、自車両の角速度或いは角加速度を検出するジャイロセンサ15、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信するGNSS受信機16等、自車両の位置(自車位置)を推定するに際し、必要とするセンサ類が接続されている。
また、ロケータ演算部12には、記憶手段としての高精度道路地図データベース18が接続されている。高精度道路地図データベース18はHDD等の大容量記憶媒体であり、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)が記憶されている。この高精度道路地図情報は、自動運転を行う際に必要とする車線データ(車線幅データ、車線中央位置座標データ、車線の進行方位角データ、制限速度等)を保有しており、この車線データは、道路地図上の各車線に数メートル間隔で格納されている。
ロケータ演算部12は、自車位置を推定する自車位置推定部12a、地図情報取得部12bを備えている。
地図情報取得部12bは、例えばドライバが自動運転に際してセットした目的地に基づき、現在地から目的地までのルート地図情報を高精度道路地図データベース18に格納されている地図情報から取得し、取得したルート地図情報(ルート地図上の車線データ)を自車位置推定部12aへ送信する。自車位置推定部12aは、GNSS受信機16で受信した測位信号に基づき自車両の位置座標を取得し、この位置座標をルート地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置を推定すると共に走行車線を特定し、道路地図データに記憶されている走行車線中央の道路曲率を取得する。
更に、自車位置推定部12aは、トンネル内走行等のようにGNSS受信機16の感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境では、車輪速センサ14で検出した車輪速に基づき求めた車速、ジャイロセンサ15で検出した角速度、前後加速度センサ13で検出した前後加速度に基づいて自車位置を推定する自律航法に切換えて、道路地図上の自車位置を推定する。
カメラユニット21は、車室内前部の上部中央に固定されており、車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配設されているメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなる車載カメラ(ステレオカメラ)と、画像処理ユニット(IPU)21c、及び走行環境認識部21dとを有している。
IPU21cは、両カメラ21a,21bで撮像した自車両前方の前方走行環境画像情報を所定に画像処理し、対応する対象の位置のズレ量から求めた距離情報を含む前方走行環境画像情報(距離画像情報)を生成する。
走行環境認識部21dは、IPU21cから受信した距離画像情報等に基づき、自車両が走行する進行路(自車進行路)の左右を区画する区画線の道路曲率[1/m]、及び左右区画線間の幅(車幅)を求める。この道路曲率、及び車幅の求め方は種々知られているが、例えば、道路曲率は前方走行環境画像情報に基づき輝度差による二値化処理にて、左右の区画線を認識し、最小二乗法による曲線近似式等にて左右区画線の曲率を所定区間毎に求め、更に、両区画線間の曲率の差分から車幅を算出する。
そして、この左右区間線の曲率と車線幅とに基づき車線中央の道路曲率(本実施形態では、これを「カメラ曲率」と称する)を求め、更に、車線中央を基準とする自車両の横位置偏差、正確には、車線中央から自車両の車幅方向中央までの距離(自車横位置偏差Xdiff)を算出する。
また、走行環境認識部21dは、距離画像情報に対して所定のパターンマッチング等を行い、道路に沿って存在するガードレールや縁石、及び、立体物(種別、距離、速度自車両との相対速度等)の認識を行う。
ロケータ演算部12の自車位置推定部12aで推定した自車位置、カメラユニット21の走行環境認識部21dで求めた自車横位置偏差Xdiff及び立体物情報等は、走行_ECU22で読込まれる。
走行_ECU22には、運転モードとして、手動運転モードと、第1の運転支援モードと、第2の運転支援モードと、が設定されている。
ここで、手動運転モードは、ドライバによる保舵を必要とする要保舵運転モードであり、例えば、ドライバによるステアリング操作、アクセル操作、及び、ブレーキ操作等の運転操作に従って、自車両を走行させる運転モードである。
また、第1の運転支援モードも同様に、ドライバによる保舵を必要とする要保舵運転モードである。すなわち、第1の運転支援モードは、ドライバによる運転操作を反映しつつ、例えば、E/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25等の制御を通じて、主として、先行車追従制御(Adaptive Cruise Control)と、車線維持(Lane Keep Assist)制御や車線逸脱防止(Lane Departure Prevention)制御とを組み合わせて行うことにより、目標進行路に沿って自車両を走行させる、いわば半自動運転モードである。
また、第2の運転支援モードは、ドライバによる保舵を必要とすることなく、例えば、E/G_ECU23、PS_ECU24、BK_ECU25等の制御を通じて、主として、先行車追従制御(Adaptive Cruise Control)と、車線維持(Lane Keep Assist)制御や車線逸脱防止(Lane Departure Prevention)制御とを組み合わせて行うことにより、目標進行路に沿って自車両を走行させる自動運転モードである。従って、第2の運転支援モードでは、目標進行路を設定不能となった場合等には、ドライバに運転操作を引き継ぐか(すなわち、手動運転モード等の要保舵運転モードに遷移するか)、または自車両を路側帯等に自動的に停止させる回避制御が行われる。
これら第1,第2の運転支援モードでは、走行環境認識部21d等において自車進行路上の前方に先行車が認識されている場合には、例えば、先行車の走行軌跡等に基づいて目標進行路を設定し、自車両を、車線を逸脱することなく先行車に対して追従させることが可能となっている。また、第1,第2の運転支援モードでは、先行車を認識しない場合には、例えば、自車進行路等に基づいて目標進行路を設定し、セット車速を目標車速として自車両を走行させることが可能となっている。
このように走行_ECU22に設定された各運転モードは、モード切換手段としてのモード切換部30からの切換信号に基づいて選択的に実行可能となっている。
モード切換部30には、例えば、カメラユニット21において推定した自車進行路に関する各種情報(カメラ曲率、自車横位置偏差等)、及び、ロケータユニット11において推定した道路地図上の自車位置等に関する各種情報が、走行_ECU22を介して入力される。このモード切換部30は、自車位置推定部12aで推定した自車位置の道路地図上の車線中央からの横位置と、走行環境認識部21dで求めた自車横位置とを常時比較する。そして、その差分(の絶対値)が予め設定した閾値を超えている場合、自車位置推定部12aで推定した自車位置と走行環境認識部21dで求めた自車横位置との何れかの信頼度が低下していると判定し、自動運転を行うためのシステム条件が成立していないと判断する。
また、モード切換部30の入力側には、各種スイッチ・センサ類として、ドライバが自動運転(運転支援制御)のオン/オフ切換を行う自動運転スイッチ31と、ドライバがステアリングを保舵(把持)しているときオンするハンドルタッチセンサ32と、ドライバによる運転操作量としての操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ33と、ドライバによる運転操作量としてのブレーキ踏込量を検出するブレーキセンサ34と、が接続されている。
そして、モード切換部30は、上述のシステム条件の成否についての判定結果、及び、各種スイッチ・センサ類からの入力情報に基づき、走行_ECU22において実行される運転モードの切換制御を行う。
E/G_ECU23の出力側には、スロットルアクチュエータ26が接続されている。このスロットルアクチュエータ26は、エンジンのスロットルボディに設けられている電子制御スロットルのスロットル弁を開閉動作させるものであり、E/G_ECU23からの駆動信号によりスロットル弁を開閉動作させて吸入空気流量を調整することで、所望のエンジン出力を発生させる。
PS_ECU24の出力側には、電動パワステモータ27が接続されている。この電動パワステモータ27はステアリング機構にモータの回転力で操舵トルクを付与するものであり、自動運転では、PS_ECU24からの駆動信号により電動パワステモータ27を制御動作させることで、現在の走行車線の走行を維持させる車線維持制御、及び自車両を隣接車線へ移動させる車線変更制御(追越制御等のための車線変更制御)が実行される。
BK_ECU25の出力側には、ブレーキアクチュエータ28が接続されている。このブレーキアクチュエータ28は、各車輪に設けられているブレーキホイールシリンダに対して供給するブレーキ油圧を調整するもので、BK_ECU25からの駆動信号によりブレーキアクチュエータ28が駆動されると、ブレーキホイールシリンダにより各車輪に対してブレーキ力が発生し、強制的に減速される。
次に、上述のモード切換部30における運転モードの切換制御について、図2乃至図4に示す運転モード切換制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるもので、ルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ずステップS101において、現在選択されている運転モードが手動運転モードであるか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、現在の運転モードが手動運転モードであると判定した場合にはステップS102に進み、現在の運転モードが手動運転モードでない(すなわち、第1の運転支援モード、或いは、第2の運転支援モードである)と判定した場合にはステップS105に進む。
ステップS101からステップS102に進むと、モード切換部30は、手動運転モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立しているか否かの判定を行う。
この判定は、例えば、図5に示す遷移条件判定サブルーチンのフローチャートに従って実行されるもので、サブルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ず、ステップS201において、自動運転を行うためのシステム条件が成立しているか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、システム条件が成立していると判定した場合にはステップS202に進み、システム条件が成立していないと判定した場合にはステップS204に進む。
ステップS201からステップS202に進むと、モード切換部30は、ドライバによって自動運転スイッチ31がオン操作されたか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、自動運転スイッチ31がオン操作されたと判定した場合にはステップS203に進み、自動運転スイッチ31がオン操作されていないと判定した場合にはステップS204に進む。
ステップS202からステップS203に進むと、モード切換部30は、手動運転モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立したと判定した後、サブルーチンを抜ける。
一方、ステップS201或いはステップS202からステップS204に進むと、モード切換部30は、手動運転モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立していないと判定した後、サブルーチンを抜ける。
図2に示すメインルーチンにおいて、ステップS102からステップS103に進むと、モード切換部30は、上述の遷移条件判定における遷移条件の成否を調べる。
そして、第1の運転支援モードへの遷移条件が成立していない場合、モード切換部30は、そのまま(すなわち、手動運転モードを維持したまま)ルーチンを抜ける。
一方、第1の運転支援モードへの遷移条件が成立している場合、モード切換部30は、ステップS104に進み、運転モードを手動運転モードから第1の運転支援モードに遷移させた後、ルーチンを抜ける。
また、ステップS101からステップS105に進むと(図3参照)、モード切換部30は、現在選択されている運転モードが第1の運転支援モードであるか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、現在の運転モードが第1の運転支援モードであると判定した場合にはステップS106に進み、現在の運転モードが第1の運転支援モードでない(すなわち、第2の運転支援モードである)と判定した場合にはステップS114に進む。
ステップS105からステップS106に進むと、モード切換部30は、自動運転を行うためのシステム条件が成立しているか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、システム条件が成立していると判定した場合にはステップS107に進み、システム条件が成立していないと判定した場合にはステップS113に進む。
ステップS106からステップS107に進むと、モード切換部30は、ドライバによって自動運転スイッチ31がオフ操作されたか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、自動運転スイッチ31がオフ操作されたと判定した場合にはステップS113に進み、自動運転スイッチ31がオフ操作されていないと判定した
場合にはステップS108に進む。
ステップS107からステップS108に進むと、モード切換部30は、第1の運転支援モードから手動運転支援モードへの遷移条件が成立しているか否かの判定を行う。
この判定は、例えば、図6に示す遷移条件判定サブルーチンのフローチャートに従って実行されるもので、サブルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ず、ステップS301において、ブレーキセンサ34で検出されたブレーキ踏込量が予め設定された第1の閾値としての閾値Pbth1よりも大きいか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、ブレーキ踏込量が閾値Pbth1よりも大きいと判定した場合にはステップS304に進み、ブレーキ踏込量が閾値Pbth1以下であると判定した場合にはステップS302に進む。
ステップS301からステップS302に進むと、モード切換部30は、操舵トルクセンサ33で検出された操舵トルク(より具体的には操舵トルクの絶対値:以下同じ)が予め設定された第1の閾値としての閾値Psth1よりも大きいか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、操舵トルクが閾値Psth1よりも大きいと判定した場合にはステップS304に進み、操舵トルクが閾値Psth1以下であると判定した場合にはステップS303に進む。
ステップS302からステップS303に進むと、モード切換部30は、第1の運転支援モードから手動運転モードへの遷移条件が成立していないと判定した後、サブルーチンを抜ける。
一方、ステップS301或いはステップS302からステップS304に進むと、モード切換部30は、第1の運転支援モードから手動運転モードへの遷移条件が成立したと判定した後、サブルーチンを抜ける。
図3に示すメインルーチンにおいて、ステップS108からステップS109に進むと、モード切換部30は、上述の遷移条件判定における遷移条件の成否を調べる。
そして、モード切換部30は、遷移条件が成立している場合にはステップS113に進み、遷移条件が成立していない場合にはステップS110に進む。
ステップS106、ステップS107、或いは、ステップS109からステップS113に進むと、モード切換部30は、運転モードを第1の運転支援モードから手動運転モードに遷移させた後、ルーチンを抜ける。
また、ステップS109からステップS110に進むと、モード切換部30は、第1の運転支援モードから第2の運転支援モードへの遷移条件が成立しているか否かの判定を行う。
この判定は、例えば、図7に示す遷移条件判定サブルーチンのフローチャートに従って実行されるもので、サブルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ず、ステップS401において、ハンドルタッチセンサ32からの信号に基づき、ドライバがステアリングを保舵していない手放し状態であるか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、ハンドルタッチセンサ32がオフされており、ドライバが手放し状態であると判定した場合にはステップS402に進み、ハンドルタッチセンサ32がオンされており、ドライバがステアリングを保舵した状態にあると判定した場合にはステップS404に進む。
ステップS401からステップS402に進むと、モード切換部30は、ブレーキセンサ34からの信号に基づき、ブレーキ踏込量が「0」となっているか否か、すなわち、ドライバによるブレーキ操作が行われていないか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、ブレーキ操作量が「0」となっており、ドライバによるブレーキ操作が行われていないと判定した場合にはステップS403に進み、ブレーキ操作量が「0」よりも大きく、ドライバによるブレーキ操作が行われていると判定した場合にはステップS404に進む。
ステップS402からステップS403に進むと、モード切換部30は、ステアリングが手放し状態にあり、且つ、ブレーキ操作が行われていない状態となってからの経過時間をカウントするカウンタT1を更新した後、ステップS405に進む。
一方、ステップS401、或いは、ステップS402からステップS404に進むと、モード切換部30は、カウンタT1を「0」にリセットした後、ステップS405に進む。
ステップS403、或いは、ステップS404からステップS405に進むと、モード切換部30は、カウンタT1が予め設定された閾値T1th(例えば、5秒程度に相当するカウント値)以上であるか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、カウンタT1が閾値T1th以上であると判定した場合にはステップS406に進み、カウンタT1が閾値T1th未満であると判定した場合にはステップS407に進む。
ステップS405からステップS406に進むと、モード切換部30は、第1の運転支援モードから第2の運転支援モードへの遷移条件が成立したと判定した後、サブルーチンを抜ける。
一方、ステップS405からステップS407に進むと、モード切換部30は、第2の運転支援モードから第2の運転支援モードへの遷移条件が成立していないと判定した後、サブルーチンを抜ける。
図3に示すメインルーチンにおいて、ステップS110からステップS111に進むと、モード切換部30は、上述の遷移判定における遷移条件の成否を調べる。
そして、第2の運転支援モードへの遷移条件が成立していない場合、モード切換部30は、そのまま(すなわち、第1の運転支援モードを維持したまま)ルーチンを抜ける。
一方、第2の運転支援モードへの遷移条件が成立している場合、モード切換部30は、ステップS112に進み、運転モードを第1の運転支援モードから第2の運転支援モードに遷移させた後、ルーチンを抜ける。
また、ステップS105からステップS114に進むと(図4参照)、モード切換部30は、自動運転を行うためのシステム条件が成立しているか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、システム条件が成立していると判定した場合にはステップS115に進み、システム条件が成立していないと判定した場合にはステップS119に進む。
ステップS114からステップS115に進むと、モード切換部30は、ドライバによって自動運転スイッチ31がオフ操作されたか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、自動運転スイッチ31がオフ操作されたと判定した場合にはステップS119に進み、自動運転スイッチ31がオフ操作されていないと判定した
場合にはステップS116に進む。
ステップS114或いはステップS115からステップS119に進むと、モード切換部30は、運転モードを第2の運転支援モードから手動運転モードに遷移させた後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS115からステップS116に進むと、モード切換部30は、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立しているか否かの判定を行う。
この判定は、例えば、図8に示す遷移条件判定サブルーチンのフローチャートに従って実行されるもので、サブルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ず、ステップS501において、ブレーキ踏込量が予め設定された第2の閾値としての閾値Pbth2よりも大きいか否かを調べる。ここで、閾値Pbth2は、上述した閾値Pbth1よりも低い値に設定されている。
そして、モード切換部30は、ブレーキセンサ34からの信号に基づき、ブレーキ踏込量が閾値Pbth2よりも大きいと判定した場合にはステップS502に進み、ブレーキ踏込量が閾値Pbth2以下であると判定した場合にはステップS503に進む。
ステップS501からステップS502に進むと、モード切換部30は、ブレーキ踏込量が閾値Pbth2よりも大きいと判定してからの経過時間をカウントするカウンタTb2を更新した後、ステップS504に進む。
一方、ステップS501からステップS503に進むと、モード切換部30は、カウンタTb2を「0」にリセットした後、ステップS504に進む。
ステップS502、或いは、ステップS503からステップS504に進むと、モード切換部30は、カウンタTb2の値が予め設定された閾値Tb2th以上であるか否かを調べる。ここで、第2の運転支援モードでは、ドライバは、基本的には、ブレーキペダルから足を離している。従って、第2の運転支援モードでは、ドライバが足を動かした際などに誤ってブレーキペダルに接触し、この接触をドライバの意識的なブレーキ操作として誤判定する可能性がある。その一方で、このような誤操作によるブレーキペダルの踏込は、通常、ドライバが意識的に行うブレーキペダルの踏込に比べて操作時間が極めて短い。そこで、これらブレーキペダルに対する誤操作と意識的な操作とを切り分けるべく、閾値Tb2thは、実験やシミュレーション等に基づいて設定されている。
そして、モード切換部30は、カウンタTb2の値が閾値Tb2th以上である場合にはステップS510に進み、カウンタTb2の値が閾値Tb2th未満である場合にはステップS505に進む。
ステップS504からステップS505に進むと、モード切換部30は、操舵トルクセンサ33からの信号に基づき、操舵トルクが予め設定された第2の閾値としての閾値Psth2よりも大きいか否かを調べる。ここで、閾値Psth2は、上述した閾値Psth1よりも低い値に設定されている。
そして、モード切換部30は、操舵トルクセンサ33からの信号に基づき、操舵トルクが閾値Psth2よりも大きいと判定した場合にはステップS506に進み、操舵トルクが閾値Psth2以下であると判定した場合にはステップS507に進む。
ステップS505からステップS506に進むと、モード切換部30は、操舵トルクが閾値Psth2よりも大きいと判定してからの経過時間をカウントするカウンタTs2を更新した後、ステップS508に進む。
一方、ステップS505からステップS507に進むと、モード切換部30は、カウンタTs2を「0」にリセットした後、ステップS508に進む。
ステップS506、或いは、ステップS507からステップS508に進むと、モード切換部30は、カウンタTs2の値が予め設定された閾値Ts2th以上であるか否かを調べる。ここで、第2の運転支援モードでは、ドライバは、基本的には、ステアリングから手を離している。従って、第2の運転支援モードでは、ドライバが手を動かした際などに誤ってステアリングに接触し、この接触をドライバの意識的なステアリング操作として誤判定する可能性がある。その一方で、このようなステアリングに対する誤操作は、通常、ドライバが意識的に行うステアリング操作に比べて操作時間が極めて短い。そこで、これらステアリングに対する誤操作と意識的な操舵とを切り分けるべく、閾値Ts2thは、実験やシミュレーション等に基づいて設定されている。
そして、モード切換部30は、カウンタTs2の値が閾値Ts2th以上である場合にはステップS510に進み、カウンタTs2の値が閾値Ts2th未満である場合にはステップS509に進む。
ステップS508からステップS509に進むと、モード切換部30は、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立していないと判定した後、サブルーチンを抜ける。
一方、ステップS504、或いは、ステップS508からステップS510に進むと、モード切換部30は、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移条件が成立していると判定した後、サブルーチンを抜ける。
図4に示すメインルーチンにおいて、ステップS116からステップS117に進むと、モード切換部30は、上述の遷移判定における遷移条件の成否を調べる。
そして、第1の運転支援モードへの遷移条件が成立している場合、モード切換部30は、ステップS118に進み、運転モードを第2の運転支援モードから第1の運転支援モードに遷移させた後、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS117において、第1の運転支援モードへの遷移条件が成立していない場合、モード切換部30は、そのまま(すなわち、第2の運転支援モードを維持したまま)ルーチンを抜ける。
以上の処理により、例えば、図11に示すように、走行_ECU22における運転モードが、基本的には、手動運転モード、第1の運転支援モード、或いは、第2の運転支援モードの何れかに適宜切り換えられる。
例えば、第2の運転支援モードが選択されている場合において、ブレーキ踏込量が閾値Pbth2よりも大きくなったとき第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへと遷移し、さらに、ブレーキ踏込量が閾値Pbth1よりも大きくなったとき第1の運転支援モードから手動運転モードへと遷移する。
この場合において、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移は、誤操作による遷移を防止するため、ブレーキ踏込量が閾値Pbth2よりも大きくなってから設定時間(閾値Tb2th)が経過した後に行われ、設定時間内にブレーキ踏込量が再び閾値Pbth2以下となった場合には行われないことが望ましい。
また第2の運転支援モードが選択されている場合において、操舵トルクが閾値Psth2よりも大きくなったとき第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへと遷移し、さらに、操舵トルクが閾値Psth1よりも大きくなったとき第1の運転支援モードから手動運転モードへと遷移する。
この場合において、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの遷移は、誤操作による遷移を防止するため、操舵トルクが閾値Psth2よりも大きくなってから設定時間(閾値Ts2th)が経過した後に行われ、設定時間内に操舵トルクが再び閾値Psth2以下となった場合には行われないことが望ましい。
このような運転支援制御において、本実施形態のモード切換部30は、第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの移行を判定する際の、操舵トルクに対する閾値Psth2(上述のステップS505参照)の値を、走行環境に応じて可変に設定する。
ここで、ドライバによる保舵を必要としない自動運転モードである第2の運転支援モードでは、基本的にはドライバがステアリングから手を離していることを前提とするため、ステアリングへの操舵入力は、ドライバが運転モードを意図的に第1の運転支援モードに切り換えようとする場合、或いは、誤操作等によってドライバがステアリングに対して瞬間的に接触した場合以外には考えにくい。その一方で、例えば、ドライバが不安を感じる所定の走行環境においては、ドライバが意識的に或いは無意識のうちにステアリングを把持する場合がある。その結果、ドライバが無意識のうちに操舵トルクを所定の操作時間(すなわち、閾値Ts2th)以上継続して行い、或いは、保舵によって自動操舵を妨げる操舵トルクを所定の操作時間(すなわち、閾値Ts2th)以上継続して発生させてしまい、ドライバの意思に反し、運転モードが第2の運転支援モードから第1の運転支援モードに移行する場合がある。
このような意図しない第1の運転支援モードへの移行を防止するため、モード切換部30は、自車両の走行環境がドライバに不安を与えうる状況となったとき、操舵トルクに対する閾値Psth2を、予め設定した基準値に対して増加させる補正を行う。一方、前方障害物に対する緊急回避が必要な状況、或いは、ロケータユニット11またはカメラユニット21等の動作が不安定な状況においては、第1の運転支援モードへの移行を速やかに行うため、操舵トルクに対する閾値Ps2を、予め設定した基準値に対して減少させる補正を行う。このように、本実施形態において、モード切換部30は、閾値変更手段としての機能を実現する。
この閾値Psth2の変更は、例えば、図9に示す閾値変更サブルーチンのフローチャートに従って実行される。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、モード切換部30は、先ず、ステップS601において、ロケータユニット11及びカメラユニット21からの各種走行環境情報を読み込む。
続くステップS602において、モード切換部30は、自車前方の障害物に対する緊急回避が必要な状況であるか否かを調べる。すなわち、モード切換部30は、走行環境情報等に基づいて自車前方の障害物検出を行い、自車前方に障害物が検出された場合には当該障害物に対して緊急回避が必要な状況であるか否かを調べる。
そして、モード切換部30は、ステップS602において、緊急回避が必要であると判定した場合にはステップS606に進み、自車前方に障害物が検出されなかった場合、或いは、自車前方の障害物に対して緊急回避が必要ないと判定した場合にはステップS603に進む。
ステップS602からステップS603に進むと、モード切換部30は、システムの動作が不安定な状況にあるか否を調べる。なお、システムの動作が不安定な状態としては、例えば、ロケータユニット11のGNSS受信機16による受信状態が不安定な場合や、カメラユニット21による画像認識状態が不安定な場合等が想定され、これらの場合、ドライバの操舵を要求することが好ましい状態となる。
そして、ステップS603において、モード切換部30は、システムの動作が不安定にあると判定した場合にはステップS606に進み、システムの動作が不安定な状態にないと判定した場合にはステップS604に進む。
そして、ステップS602或いはステップS603からステップS606に進むと、モード切換部30は、ドライバの操舵入力に対して速やかに第1の運転支援モードへの移行(オーバーライドの判定)を可能とすべく、閾値Psth2を基準値に対して減少させる補正を行った後、サブルーチンを抜ける。この場合、モード切換部30は、例えば、閾値Psth2の基準値から、予め設定された固定値を用いて、閾値PSth2を基準値から減少させることが可能である。または、モード切換部30は、例えば、前方障害物に対する緊急度に応じた可変値、或いは、システムの動作が不安定な状態に応じた可変値を用いて、閾値Psth2を基準値から減少させることが可能である。
一方、ステップS603からステップS604に進むと、モード切換部30は、自車両の周囲の設定範囲内に、ドライバが不安に感じうる所定の走行環境であるか否かを調べる。
ここで、ドライバが不安に感じうる所定の走行環境としては、例えば、図10に示すように、自車走行路の前方に曲率半径の大きいカーブがある場合、自車走行路の前方に見通りの悪い所謂ブラインドカーブがある場合、自車走行路が歩行者の飛び出し等が懸念される混雑した市街地にある場合、自車走行路がインターチェンジでの分岐/合流路である場合、及び、自車走行路が登坂路/降坂路である場合等のような道路状況に関する各項目と、自車両の周辺に先行車/並走車/後続車が存在する場合等のような自車両の近傍を走行する車両に関する各項目と、自車走行路が雪路/凍結路である場合、自車走行路が豪雨である場合、自車走行路が霧などの視界不良である場合、及び、自車走行路が強風下にある場合等のような天候に関する各項目と、が含まれている。そして、各項目には、実験やアンケート等に基づいて、ドライバが不安に感じる度合いに応じて所定のポイントPがそれぞれ付与されている。
ステップS604において、現在の走行環境が上述の各項目の何れにも該当しないと判定した場合、モード切換部30は、閾値Psth2を基準値から補正することなく、サブルーチンを抜ける。
一方、ステップS604において、現在の走行環境が上述の各項目のうちの少なくとも何れか1つに該当すると判定した場合、モード切換部30は、ステップS605に進み、第1の運転支援モードへの意図しない移行(オーバーライドの判定)を抑制すべく閾値Ps2を基準値に対して増加させる補正を行った後、サブルーチンを抜ける。
この場合、モード切換部30は、例えば、予め設定された固定値を用いて、閾値Ps2を基準値から増加させることが可能である。または、モード切換部30は、該当する各項目に対応するポイントの合算値、或いは、該当する各盲目に対応するポイントの最大置を用いて、閾値Ps2を基準値から増加させることが可能である。
このような実施形態によれば、ドライバの保舵を必要としない自動運転モードとしての第2の運転支援モードから、ドライバの保舵を必要とする要保舵モードとしての第1の運転支援モードへの移行を、ドライバの運転操作量の一つである操舵トルクの入力(オーバーライド)に基づいて判定するに際し、操舵トルクに対する閾値Psth2を、自車両の走行環境に応じて変更することにより、第2の運転支援モードによる走行中にドライバがステアリングを把持した場合にも、オーバーライドを精度よく判定することができる。
すなわち、モード切換部30は、例えば、自車両の走行環境がドライバに不安を与えうる状況として予め設定した項目を満たすとき、閾値Psth2を予め設定した基準値よりも増加させることにより、ドライバが走行環境に不安を感じてステアリングを把持した際に意図しない操舵トルクが入力された場合にはオーバーライドを判定しにくくすることができ、ドライバの意思に合致したオーバーライド判定を精度よく実現することができる。
その一方で、前方の障害物に対して緊急回避が必要な状況にあるとき、或いは、ロケータユニット11やカメラユニット21の動作が不安定であるときなどは、閾値Psth2を予め設定した基準値よりも減少させることにより、ドライバによる運転操作が介入されることが望ましいシーンでは、操舵トルクに対してオーバーライドを応答性よく判定することができる。
さらに、自車両の走行環境がドライバに不安を与えうる状況として予め設定した項目を満たすときであっても、前方の障害物に対して緊急回避が必要な状況にあるとき、或いは、ロケータユニット11やカメラユニット21の動作が不安定であるときなどは、閾値Psth2を予め設定した基準値よりも減少させることにより(閾値Psth2を減少させる補正を優先させることにより)、より安全性を考慮した運転モードの切り換えを行うことができる。
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、上述の実施形態においては、第2の運転支援モードによる自動走行中に所定のドライバの運転操作(オーバーライド)を検出した際には、当該第2の運転支援モードから第1の運転支援モードへの移行のみを行う一例について説明しているが、本発明はこれに限定されるものでなく、第2の運転支援モードによる自動走行中に所定のドライバの運転操作(オーバーライド)を検出した際には、当該第2の運転支援モードから手動運転モードに直接的に移行させることも可能である。そして、この場合においても、オーバーライド判定のための閾値を、走行環境等に応じて変更することが可能である。
さらに、上述の実施形態においては、操舵トルクに対する閾値Ps2についてのみ、走行環境に応じて変更する構成の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、ブレーキ踏込量の閾値Pb2についても、走行環境に応じて変更することも可能である。