JP2019161833A - 架空送電線の表面改質システム及び架空送電線の表面改質方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、例えば特許文献1に記載された電線洗浄機等の装置を用い、送電線に沿って自走させながら脱脂施工を行わせる等して、送電線の表面に付着した油が除去される場合がある。
そのため、通常、送電線を張った後も、上記の脱脂施工の場合と同様に送電線に沿って自走する装置を用いる等して送電線に対する撥水施工や親水施工が行われる。
また、作業を行う際、作業者が感電しないようにするために、送電線の送電を停止させなければならないという問題もあった。
架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質システムであって、
飛行体と、表面改質装置とを備え、
前記飛行体は、前記表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させ、
前記表面改質装置は、前記架空送電線に沿って自走しながら前記架空送電線に対する表面改質施工を行い、
前記飛行体は、前記表面改質装置を上空に持ち上げて前記架空送電線から取り外すことを特徴とする。
前記飛行体が前記表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させると、前記飛行体と前記表面改質装置との連結を解除し、
前記表面改質装置が前記架空送電線に対する表面改質施工を終了すると、前記飛行体と前記表面改質装置とを連結することを特徴とする。
架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質方法であって、
飛行体が、表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させる装置装着工程と、
前記表面改質装置が、前記架空送電線に沿って自走しながら前記架空送電線に対する表面改質施工を行う自走施工工程と、
前記飛行体が、前記表面改質装置を上空に持ち上げて前記架空送電線から取り外す装置取り外し工程と、
を含むことを特徴とする。
前記装置装着工程と前記自走施工工程との間に、前記飛行体と前記表面改質装置との連結を解除する連結解除工程を有し、
前記自走施工工程と前記装置取り外し工程との間に、前記飛行体と前記表面改質装置とを連結する連結工程を有することを特徴とする。
また、飛行体や表面改質装置は自らの処理や施工を適切に行うため、送電線に対する表面改質施工を的確に行うことが可能となる。さらに、送電線に対する表面改質施工を表面改質装置が行い、作業者が鉄塔に登る等の必要がないため、送電線が活線状態のまま表面改質施工を行うことが可能となる。
本実施形態に係る、架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質システム(以下、単に表面改質システムという場合がある。)の基本構成について説明する。図1は、表面改質システムにおける飛行体や表面改質装置の動作を表すイメージ図である。
本実施形態では、このようにして架空送電線50に対する表面改質施工が行われるようになっている。
なお、図1において、51は鉄塔を、52は腕金を、53は碍子をそれぞれ表し、架空地線等の図示が省略されている。また、図1では図示を省略したが、送電線50は、例えば、鉄塔51の両側にそれぞれ上下3本ずつ計6本架設されている。
以下、表面改質システム1の具体的な構成について詳しく説明する。
飛行体2は、図1ではドローンである場合が示されているが、例えばヘリコプター型等であってもよい。図2は、飛行体2の構成を表すブロック図である。
飛行体2は、図2に示すように、制御部21と、メモリ22と、駆動制御部23、衛星信号受信部24、無線通信部25、センサ類26のほか、撮影装置27や、表面改質装置3と連結ための連結材28Aや連結部28B等を備えて構成されている。
メモリ22は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成されており、各種の制御プログラム22A等が記憶されている。また、メモリ22には、鉄塔51や送電線50等の位置(緯度、経度、標高等)の情報が割り当てられた地図情報22Bや、鉄塔51の番号や鉄塔間に張られている送電線50の種類(弛度等の情報も含む。)等の情報である番号種類情報22C等も記憶されている。
衛星信号受信部24は、人工衛星40からの衛星信号を受信して制御部21に送信する。なお、制御部21は、常時あるいは適宜のタイミングで衛星信号を受信して自らの現在位置を把握するように構成される。
また、飛行体2は、表面改質装置3との間で無線通信を行うようになっており、そのための無線通信モジュール等の無線通信部25を備えている。
さらに、後述するように、飛行体2は、その周囲(特に下方)を撮影して送電線50や表面改質装置3の位置を認識するように構成されており、飛行体2には、送電線50や表面改質装置3の位置を認識するための装置としてカメラ等の撮影装置27が取り付けられている。
連結部28Bは、例えば表面改質装置3と磁力で連結するための電磁石や、表面改質装置3と物理的に係合して連結するためのフックなど、表面改質装置3と確実に連結し、連結を解除することができるものであれば、どのような形態のものでも用いることができる。また、例えば電磁石のオン/オフ制御のように制御が必要な場合には、飛行体2の制御部21がその制御を行うように構成することができる。
また、上記のように、飛行体2と表面改質装置3とを連結したり連結を解除したりすることができるように構成することも可能であるが、連結を解除せずに飛行体2と表面改質装置3とが常に連結されている状態とすることも可能である。
この場合、前述したように表面改質装置3が送電線50に沿って自走しながら表面改質施工を行う間は、飛行体2はそれと並走するように飛行するように構成される。また、例えば、飛行体2が、バッテリーの充電や、エンジン搭載型である場合には給油等のために基地に戻る際には、その度に表面改質装置3を送電線50から取り外して表面改質装置3とともに基地に戻ることになる。
次に、表面改質装置3について説明する。
以下では、表面改質装置3が送電線50の表面に付着した油を除去する脱脂装置である場合について説明する。表面改質装置3が、送電線50の表面に対して撥水施工や親水施工(撥水施工と親水施工をまとめて表面形成施工という。)を行う表面形成装置である場合などについては後で説明する。
また、表面改質装置3が有する機能としては、上記の脱脂や表面形成以外にも種々の形態があり、表面改質装置3が有する機能に応じて飛行体2が行うべき制御のしかた(特に後述する自走施工工程(後述する図5のステップS3)における制御のしかた)も変わってくるため、以下、いくつかの構成例に分けて説明する。
図3は、本実施形態の構成例1に係る表面改質装置3の構成を表すブロック図である。
構成例1では、表面改質装置3は、送電線50の表面改質施工を行う機能や送電線50に沿って自走する機能を有しているが、それ以外については飛行体2と無線通信しながら飛行体2の制御に従って動作するように構成されていることが想定されている。
メモリ32には、各種の制御プログラム32Aが記憶されている。
なお、構成例1では、メモリ32には、飛行体2で説明したような地図情報や番号種類情報等は記憶されていない。また、構成例1では、表面改質装置3は、衛星信号受信部は有していない。
また、表面改質装置3には、前述した飛行体2の連結部28Bと連結する連結部35が設けられている。例えば、軽量化のために表面改質装置3がアルミニウムで形成されている場合、鉄等の強磁性体で連結部35を形成し、飛行体2の電磁石で形成された連結部28Bと磁力で連結するように構成することが可能である。
すなわち、飛行体2と表面改質装置3とを適切に連結したり、連結を適切に解除できるものであればよく、飛行体2の連結部28Bや表面改質装置3の連結部35の構成は、特定の構成に限定されない。
図4(A)は表面改質装置3の一例を表す正面図であり、図4(B)は左側面図である。
前方下側の車輪34Bは、アーム3aの自由端に取り付けられており、アーム3aは軸3bに揺動自在に取り付けられている。表面改質装置3を送電線50に装着する際には、アーム3aが下向きに揺動された状態とされている。
そして、表面改質装置3の前方上側の車輪34Aと後方の車輪34Cが送電線50と係合すると、制御部31は、アーム3aを上方に揺動させて車輪34Bを送電線50に下側から係合させて表面改質装置3を送電線50に装着させる。そして、このように、送電線50を駆動輪34Aと車輪34Bで上下から挟むことで、駆動輪34Aの回転駆動が送電線50に的確に伝わるようになり、表面改質装置3が送電線50に沿って滑ることなく確実に自走するようになる。
なお、このように洗浄液3eを送電線50に噴射するように構成する代わりに、洗浄液3eを送電線50に塗布したり、送電線50を洗浄液3eの中を潜らせるようにする等して、洗浄液3eを送電線50に付与するように構成することも可能である。
表面改質装置3を送電線50に装着する際には、各洗浄ブラシ3hは、装着される送電線50から離れるように配置されている。そして、表面改質装置3が送電線50に装着されると、制御部31は、各アーム3iを軸3j周りにそれぞれ揺動させて各洗浄ブラシ3hを送電線50に当接させるとともに、図示しない電動モータを駆動させて各洗浄ブラシ3hを回転させる。
そのため、洗浄液3eを噴き付けられた送電線50が、上下左右から密接する各洗浄ブラシ3hで擦られる状態になる。このようにして、表面改質装置3は送電線50に沿って自走しながら送電線50を的確に洗浄して脱脂することが可能となる。
また、図4(A)では図示を省略するが、表面改質装置3の本体部3c内には、各洗浄ブラシ3hの後方に送電線50を加熱して、洗浄後の送電線50を乾燥させるための装置が配置されている。
なお、図4(B)では、前方下側の車輪34B等の図示が省略されている。また、開口部3kには、制御部31の制御により開閉するカバー3lが設けられており、表面改質装置3の不使用時等には開口部3kは、カバー3lで被覆されるようになっている。
次に、構成例1に係る送電線表面改質システム1における飛行体2と表面改質装置3の動作について説明する。また、架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質方法についてもあわせて説明する。
架空送電線の表面改質方法には、図5に示す各工程が含まれており、その流れに従って説明する。
また、前述したように、飛行体2と表面改質装置3とが連結を解除せず、常に連結された状態で施工を行う場合には、図5の連結解除工程(ステップS2)と連結工程(ステップS4)は行われない。
装置装着工程(ステップS1)は、送電線50に対する表面改質施工を行うために、飛行体2が、搬送してきた表面改質装置3を上空から送電線50に装着させる工程である。
この工程では、まず、作業現場付近の基地(例えば飛行体2と表面改質装置3を運んできた車両等)で作業者らにより飛行体2の連結部28Bと表面改質装置3の連結部35とが連結される。また、作業者らにより、飛行体2に、施工を行う対象の送電線50の情報(例えば送電線50の両端を支持する各鉄塔51の番号等。さらに詳しくは1号線、2号線、上相、中相、下相等)を入力する。なお、これらの処理を事前に行っておいてもよい。
そして、制御部21は、駆動制御部23を制御して回転翼23Aを回転させて、飛行体2を、表面改質装置3を吊り下げた状態で、施工対象の送電線50の端部を支持する鉄塔51の近傍(鉄塔51には触れない位置)まで飛行させる。このようにして飛行体2は施工対象の送電線50の上空に表面改質装置3を搬送する(図1参照)。
また、例えば、中相や下相の送電線50の上空に飛行体2を飛行させる際、その上方には上相や中相の送電線50が存在するが、各相の送電線50の間隔は十分にあるため、飛行体2や表面改質装置3を小型に形成したり、飛行体2の連結材28Aが長くなり過ぎないように構成すること、及び送電線50に水平方向から接近することにより、送電線50の上空を飛行する飛行体2がその上側の送電線50に触れたり衝突したり、絶縁離隔を保てなくなることはない。
さらに、中相や下相の送電線50に施工する場合、あらかじめ設定された上相の送電線50までの距離情報に基づいて、飛行体2が当該上相の送電線50への接触を回避するような制御を行ってもよい。
なお、送電線50が低風圧電線(低風音低風圧電線の場合を含む。)である場合、同じ風速であっても受ける風圧が少なくなって、他の送電線50に比べて送電線50の変位(揺れ)が少なくなる。このような場合を想定して、風速に基づいて送電線50の位置を算出する場合は、風速に対する送電線50の変位を表す係数(抗力係数)が送電線50の種類により異なる値を用いて算出を行うようにしてもよい。これにより、送電線50が低風圧電線である場合は、より小さな抗力係数が設定され風速に対する送電線50の変位が少ないものとして制御を行い、風速変動に対する飛行体2の制御を一般的な送電線の場合に比べて安定させて、表面改質装置3の装着をより一層確実にできるという特徴を有する。
なお、撮影装置27で撮影した画像に基づく送電線50の位置認識は、上記のようにして算出した位置の確認のためであるため、必ずしも撮影による位置認識を行う必要はなく、上記のように算出した位置に基づいて以下の表面改質装置3の送電線50への装着動作を行うように構成することも可能である。
そして、飛行体2を下降させる等して移動させて、上記のようにして位置を算出したり位置認識したりした送電線50が表面改質装置3の開口部3kから進入して表面改質装置3の前方上側の車輪34Aと後方の車輪34Cと係合するように表面改質装置3を移動させる。
そして、制御部31は、アーム3aを上方に揺動させて車輪34Bを送電線50に下側から係合させたり、各洗浄ブラシ3hを送電線50に密接させる等して、表面改質施工に向けて態勢を整える。また、それとともにカバー3lを閉じて開口部3kを被覆させて、万が一車輪34と送電線50との係合が外れた場合でも、送電線50が開口部3kを通り抜けて表面改質装置3が送電線50から落下する等の事故が生じることを防止する。
装置装着工程(ステップS1)では、このようにして表面改質装置3を送電線50に装着させるようになっている。
以上のようにして装置装着工程(ステップS1)が行われ、飛行体2が表面改質装置3を上空から送電線50に装着させると、続いて、飛行体2と表面改質装置3との連結を解除する連結解除工程(ステップS2)が行われる。
この工程は、飛行体2の連結部28Bと表面改質装置3の連結部35との連結を解除して表面改質装置3を飛行体2から切り離す工程である。
飛行体2が単独で連結部28B、35の連結を解除するか、あるいは表面改質装置3が単独で解除するか、あるいは飛行体2と表面改質装置3が協働して解除するかは、飛行体2の連結部28Bや表面改質装置3の連結部35の構成によって決まる。
そして、飛行体2は、その信号を受信すると、電磁石を停止させて連結部28B、35の磁着を解除する。そして、表面改質装置3に連結の解除が完了したことを示す信号を送信する。
この場合は、このようにして飛行体2と表面改質装置3とが協働して連結部28B、35の連結を解除することで、表面改質装置3が飛行体2から切り離される。
連結解除工程(ステップS2)では、このようにして飛行体2と表面改質装置3との連結が解除されるようになっている。
以上のようにして連結解除工程(ステップS2)が行われると、続いて、表面改質装置3が、送電線50に沿って自走しながら送電線50に対する表面改質施工(この場合は脱脂施工)を行う自走施工工程(ステップS3)が行われる。
なお、表面改質装置3による送電線50に沿った自走や、洗浄液3eの付与、洗浄、乾燥等については上記で説明したため、ここでは説明を省略する。また、表面改質装置3は、飛行体2から自走や施工の開始を指示する信号(以下、作業開始信号という。)を受信すると、自走や表面改質施工を開始する。
そのため、構成例1では、表面改質装置3は送電線50に沿って自走しながら送電線50の表面改質施工を行うが、自走や表面改質施工をどのタイミングで終了すればよいか分からない。そこで、構成例1では、飛行体2が、表面改質装置3が自走や表面改質施工を終了するタイミング等を判断し、表面改質装置3に自走及び表面改質施工(以下、自走及び表面改質施工を作業という。)の終了を指示してそれらを終了させるように構成される。そして、これを実現するための方法には、いくつかの方法があり得る。
例えば、飛行体2の制御部21が、番号種類情報22C、特に送電線50の長さ(すなわち当該送電線50の両端を支持する各鉄塔51の距離)に基づいて表面改質装置3が自走すべき距離を算出し、表面改質装置3の速度から表面改質装置3が作業終了地点に到達するまでの時間を算出する。
そして、飛行体2は、表面改質装置3に作業開始信号を送信すると、送信後の経過時間を計測し、上記の算出した時間が経過した時点(すなわち表面改質装置3が作業終了地点に到達した時点)で表面改質装置3に作業を終了することを指示する信号(以下、作業終了信号という。)を送信して作業を終了させるように構成することが可能である。
なお、この場合、飛行体2は、表面改質装置3と無線通信可能な位置にいればよく、必ずしも表面改質装置3と並走するように飛行する必要はない。
一方、飛行体2の制御部21は、地図情報22Bに基づいて表面改質装置3の作業終了地点を割り出し、表面改質装置3に作業開始信号を送信した後、撮影装置27で表面改質装置3を撮影して、表面改質装置3を追跡するように構成することも可能である。
この場合も、飛行体2は、撮影装置27が撮影した画像を画像解析して、その画像中から表面改質装置3を抽出して表面改質装置3の位置を認識しながら追跡していく。そのため、この場合は、飛行体2は、表面改質装置3と所定の距離をとりながら表面改質装置3と並走するように飛行することになる。
そして、飛行体2は、表面改質装置3が作業終了地点に到達した時点で表面改質装置3に作業終了信号を送信して作業を終了させるように構成することが可能である。
また、この構成例1では、例えば、飛行体2のバッテリーの充電や給油等のために基地に戻る等して、表面改質装置3や送電線50の近傍から離れる場合は、表面改質装置3の作業を中断して送電線50上で自走を停止させ、飛行体2が表面改質装置3や送電線50の近傍に戻った時点で表面改質装置3に作業を再開させるように構成される。
さらに、表面改質装置3における自走の停止と表面改質施工の停止は必ずしも同時である必要はなく、それらのタイミングは適宜決められる。
以上のようにして自走施工工程(ステップS3)が行われ、表面改質装置3による作業すなわち自走及び送電線50に対する表面改質施工が終了すると、続いて、飛行体2と表面改質装置3とを連結する連結工程(ステップS4)が行われる。
この場合、飛行体2は、作業終了地点に向けて飛行してその上空でホバリングし、撮影装置27で下方を撮影して上記と同様にして表面改質装置3の位置を認識する。なお、その際、表面改質装置3の位置が認識できない場合(例えば上記の[方法1]の場合に表面改質装置3が作業終了地点に到達していないような場合)は、飛行体2は表面改質装置3と無線通信を行いながら表面改質装置3を探す等の処理を行うことになる。
そして、表面改質装置3は、連結信号を受信すると、フックを飛行体2の連結部28Bに物理的に係合させて、飛行体2に連結が完了したことを示す信号を送信する。
この場合は、このようにして飛行体2と表面改質装置3とが協働して連結部28B、35を連結することで、表面改質装置3が飛行体2に連結される。
連結工程(ステップS4)では、このようにして飛行体2と表面改質装置3とが連結されるようになっている。
以上のようにして連結工程(ステップS4)が行われると、続いて、飛行体2が表面改質装置3を上空に持ち上げて送電線50から取り外す装置取り外し工程(ステップS5)が行われる。
そして、表面改質装置3を吊り上げながら、表面改質装置3の車輪34A、34Cを送電線50から外すとともに、送電線50が表面改質装置3の開口部3kを通って外に出て行くように表面改質装置3を移動させる。
そして、飛行体2は、送電線50が表面改質装置3の開口部3kから外に出ると、表面改質装置3にカバー3lを閉じさせる。
この後、飛行体2は、次に表面改質施工を行うべき送電線50があれば、再び装置装着工程(ステップS1)からの各工程を行う。また、飛行体2は、全ての作業を終えると、自動的に(又は作業者の操作によって)基地に戻るように構成される。
さらに、上記のように、送電線50に対する表面改質施工を表面改質装置3が行い、作業者が鉄塔51に登る等の必要がないため、施工対象の送電線50に対する送電を継続したまま、すなわち送電線50が活線状態のまま、当該送電線50に対する表面改質施工を行うことが可能となる。
上記の構成例1では、表面改質装置3が、送電線50の表面改質施工を行う機能や送電線50に沿って自走する機能のみを有している場合について説明したが、構成例2では、さらに、自走した距離を計測する機能を有している場合について説明する。
この場合、表面改質装置3の制御部31は、例えば車輪34の回転数を計測する等して送電線50に沿って自走した距離を計測するように構成される。
以下、具体的に説明する。
そして、飛行体2は表面改質装置3に作業開始信号を送信するとともに、算出した距離の情報も送信する。
そして、指定された距離だけ自走すると、表面改質装置3は自走と表面改質施工を停止して作業を終了する。そして、飛行体2に連結を要求する信号(以下、連結要求信号という。)を送信してその場で待機するように構成することができる。
この後は、前述した連結工程(ステップS4)に移行する。
また、構成例2では、表面改質装置3は、指定された距離だけ自走すると停止して待機する。そのため、飛行体2は、表面改質装置3と無線通信可能な位置にいればよく、必ずしも表面改質装置3と並走するように飛行する必要はない。また、表面改質装置3が作業を行っている間に、飛行体2は、バッテリーの充電や給油等のために基地に戻る等の別の作業を行うことが可能となり、システム全体としての作業効率を向上させることが可能となる。
上記の構成例2では、表面改質装置3が、送電線50の表面改質施工を行う機能や送電線50に沿って自走する機能のほか、自走した距離を計測する機能を有している場合について説明したが、構成例3では、さらに、図6に示すように、表面改質装置3が番号種類情報32B(飛行体2が有する番号種類情報22Cと同じ。)を有している場合について場合について説明する。
そして、連結解除工程(ステップS2)で飛行体2と表面改質装置3との連結が解除された時点で、飛行体2から表面改質装置3の現在位置の情報が送られてくると、表面改質装置3が自ら現在位置から作業終了地点までの距離を算出する。
そのため、構成例3に係る架空送電線の表面改質システム1や架空送電線の表面改質方法によれば、構成例1や構成例2の場合と全く同様の有益な作用効果を得ることが可能となるとともに、飛行体2における処理の負担を軽減して作業効率を向上させることが可能となる。
また、図7に示すように、表面改質装置3が、さらに、飛行体2と同様に衛星信号受信部38や地図情報32Cを有するように構成することも可能である。
このように構成すれば、飛行体2だけでなく表面改質装置3も人工衛星40からの衛星信号と地図情報32Cに基づいて自らの現在位置を把握しながら作業を行うことが可能となるため、飛行体2と表面改質装置3とが連携をとりながら(無線通信を行いながら)、互いに自律的に動作して自らの処理を行うように構成することが可能となる。
また、それとともに、飛行体2と表面改質装置3とが効率的に連携し合いながらそれぞれ自律的に作業を行うことが可能となるため、システム全体の作業効率をさらに向上させることが可能となる。
なお、上記の構成例1〜4では、表面改質装置3が送電線50の表面に付着した油を除去する脱脂装置である場合について説明したが、表面改質装置3が、送電線50の表面に対して撥水施工や親水施工を行う表面形成装置である場合にも適用することができる。
この場合、表面改質装置3が、撥水施工と親水施工のいずれか一方のみを行うように構成されていてもよく、また、撥水施工と親水施工のいずれも行うことができるように構成されていてもよい。
また、撥水施工と親水施工のいずれも行うことができるように構成する場合は、例えば液槽3dを少なくとも2つ設けて撥水処理液と親水処理液とを別々に収容することができるようにするとともに、撥水処理液と親水処理液とが混ざらないようにするための構成が適宜用意される。
そのため、例えば、作業現場に、飛行体2と、脱脂装置としての表面改質装置3(以下、脱脂装置3という。)と、表面形成装置としての表面改質装置3(以下、表面形成装置3という。)とをそれぞれ持ち込み、施工対象の送電線50に対して、まず、飛行体2で脱脂装置3を搬送して装着して当該送電線50の脱脂施工を行わせて脱脂装置3を取り外し、続いて、飛行体2で表面形成装置3を搬送して装着して当該送電線50の表面形成施工を行わせるように構成することが可能である。
また、上記のように脱脂装置3と表面形成装置3とを1台ずつ別々に搬送して作業を行わせる代わりに、脱脂装置3と表面改質装置3とを予め連結して1台の表面改質装置3としておき、それを搬送して送電線50に装着するように構成することも可能である。
すなわち、表面改質装置3を、送電線50の表面に付着した油を除去する脱脂装置と、送電線50の表面に対して撥水施工と親水施工のいずれかを行い又は撥水施工と親水施工のいずれも行うことが可能な表面形成装置3とが連結された装置として構成することが可能である。
また、1台の表面改質装置3で、送電線50の表面に対する脱脂施工と表面形成施工(撥水施工又は親水施工)とを行うことができるように構成することも可能である。
また、飛行体2による装置の搬送や送電線50への装着が1回で済むため、送電線50の表面改質施工を効率よく行うことが可能となる。
上記の実施形態と関連させて説明すれば、この構成は、上記の実施形態での飛行体2の説明の中で例示した、飛行体2と表面改質装置3とが常に連結されている場合に対応するものであり、飛行体2と表面改質装置3とを連結材28Aや連結部28B、35で連結する代わりにそれらを一体化させた場合に相当する。
すなわち、一体化された装置20が、作業者の操作によらず自律的に送電線50の表面改質施工を行う。そのため、従来のように作業者が鉄塔51に登ったり表面改質装置3を引き上げたりする必要がないため、送電線50に対する表面改質施工を楽に行うことが可能となる。また、装置20が自らの処理や施工を適切に行うため、送電線50に対する表面改質施工を的確に行うことが可能となる。
さらに、送電線50に対する表面改質施工をこの装置20が行い、作業者が鉄塔51に登る等の必要がないため、施工対象の送電線50に送電を継続したまま、すなわち送電線50が活線状態のまま、当該送電線50に対する表面改質施工を行うことが可能となる。
すなわち、飛行体2と表面改質装置3が別体の場合には、それぞれに制御部21、31が必要であったが、装置20に一体化することで、制御部を1つにまとめることが可能となる。
また、装置20のうち飛行を受け持つ制御部(飛行体2の制御部21に相当)と表面改質を受け持つ制御部(表面改質装置3の制御部31に相当)を個々に有するように構成する場合でも、それらを有線(ケーブルやハーネス等)で接続することができるため、無線通信部25、33が不要になるといったメリットがある。
そのため、装置20で飛行や送電線50の表面改質を行う際の制御構成を、より簡素にすることが可能となる。
なお、飛行体2と表面改質装置3とを装置20に一体化する場合でも、装置20を例えば手動で飛行体2と表面改質装置3とに分離できるように構成することも可能である。
このように構成すれば、装置20の電力消費や燃料消費の軽減を図ることが可能となる。
2 飛行体
3 表面改質装置
20 一体化された装置
27 撮影装置(認識するための装置)
50 送電線(架空送電線)
Claims (10)
- 架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質システムであって、
飛行体と、表面改質装置とを備え、
前記飛行体は、前記表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させ、
前記表面改質装置は、前記架空送電線に沿って自走しながら前記架空送電線に対する表面改質施工を行い、
前記飛行体は、前記表面改質装置を上空に持ち上げて前記架空送電線から取り外すことを特徴とする架空送電線の表面改質システム。 - 前記飛行体が前記表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させると、前記飛行体と前記表面改質装置との連結を解除し、
前記表面改質装置が前記架空送電線に対する表面改質施工を終了すると、前記飛行体と前記表面改質装置とを連結することを特徴とする請求項1に記載の架空送電線の表面改質システム。 - 前記飛行体と前記表面改質装置とが、一体化された装置として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 前記飛行体は、前記架空送電線の位置を認識するための装置を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 前記表面改質装置は、前記架空送電線の表面に付着した油を除去する脱脂装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 前記表面改質装置は、前記架空送電線の表面に対して撥水施工と親水施工のいずれかを行い、又は撥水施工と親水施工のいずれも行うことが可能な表面形成装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 前記表面改質装置は、前記架空送電線の表面に付着した油を除去する脱脂装置と、前記架空送電線の表面に対して撥水施工と親水施工のいずれかを行い、又は撥水施工と親水施工のいずれも行うことが可能な表面形成装置とが連結された装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 前記表面改質装置は、前記架空送電線の表面に付着した油を除去する脱脂施工と、前記架空送電線の表面に対して撥水施工又は親水施工と、を行うことが可能な装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の架空送電線の表面改質システム。
- 架空送電線に対する表面改質施工を行うための架空送電線の表面改質方法であって、
飛行体が、表面改質装置を上空から前記架空送電線に装着させる装置装着工程と、
前記表面改質装置が、前記架空送電線に沿って自走しながら前記架空送電線に対する表面改質施工を行う自走施工工程と、
前記飛行体が、前記表面改質装置を上空に持ち上げて前記架空送電線から取り外す装置取り外し工程と、
を含むことを特徴とする架空送電線の表面改質方法。 - 前記装置装着工程と前記自走施工工程との間に、前記飛行体と前記表面改質装置との連結を解除する連結解除工程を有し、
前記自走施工工程と前記装置取り外し工程との間に、前記飛行体と前記表面改質装置とを連結する連結工程を有することを特徴とする請求項9に記載の架空送電線の表面改質方法。
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