JP2019137723A - 熱可塑性樹脂組成物、樹脂ペレット、樹脂ペレットの製造方法、成形品及び成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、樹脂ペレット、樹脂ペレットの製造方法、成形品及び成形品の製造方法 Download PDF

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和敏 服部
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Abstract

【課題】 成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、樹脂ペレット、樹脂ペレットの製造方法、成形品及び成形品の製造方法に関する。
従来、蓄熱材としてはパラフィン等の蓄熱物質が用いられ、その蓄熱物質の相変化による潜熱あるいは放熱が利用されてきた。この蓄熱物質が固体から液体への相変化時に蓄熱し、液体から固体への相変化時に放熱する。この相変化による潜熱あるいは放熱の作用を繰り返し使用するためには、蓄熱物質をメラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂からなるカプセル壁内に封入させたカプセルにすることが必要である。蓄熱物質がカプセル壁内に封入されていることで、蓄熱物質が液状化しても、液漏れがしないようになる。
また、蓄熱物質が封入されたカプセルからなる蓄熱材を含めた樹脂製品を得るためには、主となる樹脂と蓄熱材が含まれる樹脂ペレットを製作することが必要である。その樹脂ペレットを用いて、射出成形等により成形し、製品化がされている。これらの製品が食品、医療、住宅等の用途で使用されている。
特許文献1には、相変化にともなって潜熱または放熱する相変化物質(蓄熱物質)を芯物質とし、芯物質が熱可塑性樹脂を主成分とするカプセル壁で覆われた潜熱マイクロカプセルが開示されている。
また、特許文献2には、−20℃〜120℃の温度範囲で固体/液体相転移する潜熱蓄熱材料(蓄熱物質)をポリマーを有するカプセル壁でカプセル化したマイクロカプセルと、熱可塑性ポリマーとを多軸スクリュー押出機を用いて混合して熱可塑性成形組成物を得ることが開示されている。
特許文献3には、アクリル酸系ポリマーを含む顔料組成物が分散性に優れ、インクジェット用インクとして好適に用いることができると記載されている。特許文献3の実施例では、液媒体であるグリセリン20重量部に対してアクリル酸系ポリマーが1.5〜6重量部使用されている。
特開2004−203978号公報 特表2014−500359号公報 国際公開第2011/114691号
本発明者らは、特許文献1又は2に記載されたような、カプセル壁が樹脂からなるマイクロカプセルを熱可塑性樹脂と混合して熱可塑性樹脂組成物を得て、これを押出成形機から棒状に排出して樹脂ペレットを製造することを試みた。
しかしながら、押出成形機から棒状に排出する際に樹脂ペレットが切れやすいため、連続した形状とならず、押出成形による成形性が低いことが判明した。
また、このようにして得られた樹脂ペレットから射出成形を行うことで得られる成形品の強度が低いことも判明した。さらに、成形品の表面に蓄熱物質が染み出してしまうことがあり、外観が良くない成形品となっていた。
さらに、本発明者らは、特許文献3の記載事項を参考にして、カプセル壁が樹脂からなるマイクロカプセルを熱可塑性樹脂と混合して得た熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂20重量部に対してさらにアクリル酸ポリマー1.5〜6重量部加えて熱可塑性樹脂組成物を調製し、押出成形を行うことによって成形性を向上させることを試みた。しかしながら、この方法では充分に成形性を改善することはできなかった。
このような事情を踏まえ、本発明は、成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ること、強度に優れた樹脂ペレットを得ること、及び、強度に優れており外観が良好である成形品を得ることを目的とする。
また、上記樹脂ペレット及び成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、
有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び蓄熱材に加えて分散剤を含む。
分散剤は、その含有量が熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して40重量%以上となっており、特許文献3のような組成物中に顔料を分散させる用途に使用されるような分散剤の使用量より遥かに多く使用される。
このように大量の分散剤を使用することにより、熱可塑性樹脂組成物中において蓄熱材が偏在することが防止されて、熱可塑性樹脂組成物を押出成形機から棒状に排出する際の成形性を向上させることができる。そして、熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂ペレットの強度を向上させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物では、上記カプセル壁を構成する上記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、上記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であるということは、熱可塑性樹脂が耐熱性の高い樹脂であることを意味し、この熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は高温環境下での使用に適したものとすることができる。
一方、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であるような樹脂は、押出成形機による樹脂ペレットの作製時に、樹脂ペレットが切れやすくなる傾向がある。
押出成形機による樹脂ペレットの作製は、蓄熱材のカプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度より高い温度で行うことができない。
そのため、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下と低い場合において、軟化点の高い熱可塑性樹脂を使用する場合には当該熱可塑性樹脂の押出成形における最適温度より低い温度での押出成形を行わざるを得ない。この場合、熱可塑性樹脂の流動性が充分に低くならないことが、軟化点が高い熱可塑性樹脂を使用した場合に樹脂ペレットが切れやすくなる原因と考えられる。
そこで、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である場合において、本発明の熱可塑性樹脂組成物のように大量の分散剤を配合させることにより、押出成形機から棒状に排出する際の成形性を向上させるという本発明の効果がより好適に発揮される。
つまり、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用することによる効果は、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である場合により好適に発揮される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物では、上記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
上記分散剤であると、熱可塑性樹脂の流動性をより向上させることができ、熱可塑性樹脂組成物の成形性をより高めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
分散剤の含有量が上記割合であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性をより高めることができる。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂と、
有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ペレットであって、
上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂組成物中に大量の分散剤が配合されてなるので、熱可塑性樹脂中において蓄熱材が偏在することが防止されており、強度の高い樹脂ペレットとなる。
このような樹脂ペレットを使用すると、樹脂ペレットから得られる成形品の強度も高くすることができる。
本発明の樹脂ペレットにおいては、上記カプセル壁を構成する上記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、上記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
また、本発明の樹脂ペレットにおいては、上記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明の樹脂ペレットにおいて、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
また、本発明の樹脂ペレットの形状は、円柱状であることが好ましい。
本発明の樹脂ペレットの製造方法は、熱可塑性樹脂と、
有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押出成形機を用いて押出成形する工程からなる樹脂ペレットの製造方法であって、
上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、分散剤を大量に含む熱可塑性樹脂組成物を使用して押出成形を行うため、押出成形機から熱可塑性樹脂組成物を棒状に排出する際に樹脂ペレットが切れることを防止することができる。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、上記カプセル壁を構成する上記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、上記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
また、本発明の樹脂ペレットの製造方法では、上記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明の樹脂ペレットの製造方法において、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、
上記蓄熱材を蓄熱物質の相転移温度以上に加温して相転移済蓄熱材を準備する加温工程と、
上記熱可塑性樹脂を軟化させて押出成形機に投入する工程と、
上記相転移済蓄熱材を押出成形機にサイドフィードして、軟化した上記熱可塑性樹脂と混合する工程と、を行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂を軟化させた状態で蓄熱材と混合すると、混合時に熱可塑性樹脂が硬くないため、熱可塑性樹脂と蓄熱材の混合時に蓄熱材を構成するカプセル壁に割れが生じることが防止される。
また、蓄熱材が加熱された相転移済蓄熱材であると、熱可塑性樹脂と蓄熱材の混合の際に蓄熱材が熱可塑性樹脂から熱を吸熱する量が少ないため、熱可塑性樹脂が再度固化することが防止される。その結果、硬い熱可塑性樹脂と蓄熱材が混合されることが防止されるので、蓄熱材を構成するカプセル壁に割れが生じることが防止される。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、上記加温工程の前に、上記蓄熱材に含まれる水分量を減少させる乾燥工程を行うことが好ましい。
蓄熱材が吸湿している場合、特に夏場の高温多湿条件下において、押出成形機のベントポートから樹脂が盛り上がるベントアップという不具合が発生することがある。
そこで、加温工程の前に蓄熱材に含まれる水分量を減少させる乾燥工程を行うことで、ベントアップを防止して樹脂ペレットをより確実に製造することができる。
本発明の成形品は、熱可塑性樹脂と、
有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品であって、
上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の成形品は、分散剤を大量に含有させた熱可塑性樹脂組成物を成形してなるため、成形品の強度も優れたものとなる。
また、蓄熱材からの蓄熱物質の染み出しも防止されるために外観が良好である成形品となる。
本発明の成形品においては、上記カプセル壁を構成する上記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、上記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
また、本発明の成形品においては、上記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明の成形品において、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
本発明の成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂と、
有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得る工程からなる成形品の製造方法であって、
上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の成形品の製造方法では、分散剤を大量に含む熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得る。当該熱可塑性組成物は成形性に優れており、また、強度が高い成形品を得ることができる。
本発明の成形品の製造方法では、上記カプセル壁を構成する上記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、上記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
また、本発明の成形品の製造方法では、上記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明の成形品の製造方法において、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
本発明の成形品の製造方法では、射出成形により成形品を得ることが好ましい。
また、本発明の成形品の製造方法では、上記熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ペレットを成形して成形品を得ることが好ましい。
図1は、本発明の樹脂ペレットを製造する方法における押出成形の様子の一例を模式的に示す断面図である。 図2(a)は、本発明の成形品の一例としての、熱交換用の蓄熱構造物を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。 図3は、本発明の成形品を使用した建築用の間仕切り板が住宅等の建築物に配設された場合を模式的に示す概略断面図である。 図4(a)は、本発明の成形品を使用した、車両の吸気系配管の長さ方向の断面の一例を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す吸気系配管のB−B線断面図である。 図5(a)は、本発明の成形品を使用した、別の一例に係る車両の吸気系配管の長さ方向の断面を模式的に示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す吸気系配管のC−C線断面図である。 図6(a)は、本発明の成形品を使用したエンジンカバーの一例をエンジンに取り付けた様子を模式的に示す断面図であり、図6(b)は本発明の成形品を使用したエンジンカバーの他の一例をエンジンに取り付けた様子を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の成形品を使用したバッテリーケースの一例を模式的に示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物、樹脂ペレット、樹脂ペレットの製造方法、成形品及び成形品の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分について以下に説明する。
熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエーテルエステルエラストマー等)、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中では、耐熱性を加味し、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂には、熱可塑性樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するフィラーを混合してもよい。
熱可塑性樹脂がこのような熱伝導率を有するフィラーを含むと、熱可塑性樹脂と蓄熱材との間の熱移動速度を向上させることができる。また、蓄熱材には蓄熱物質が含まれているので、結果的に、蓄熱物質への熱移動の速度、又は、蓄熱物質からの熱移動の速度を向上させることもできる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
上記熱可塑性樹脂には、安定剤、酸化還元剤、成形補助剤、分解抑制剤、潤滑剤、離型剤、顔料等の着色剤、可塑剤などが含まれていてもよい。
蓄熱材は、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された材料である。
蓄熱物質は、パラフィン、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、エリスリトール及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの物質は、容易に融点を制御することができるので蓄熱物質として好適に用いることができる。さらに、用途や使用に対しての設計の自由度において、蓄熱物質にパラフィンを用いることが好ましい。
蓄熱物質の相転移温度は、−5〜80℃であることが好ましい。また、相転移温度が5〜75℃であることがより好ましく、30〜70℃であることがさらに好ましい。
また、蓄熱物質の種類は限定されるものではないが、上記温度範囲での蓄熱物質の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすく、そのような特性を有する蓄熱物質が好ましく用いられる。
蓄熱物質は、相転移温度が同一の物だけを用いてもよいし、異なる相転移温度を有する複数種類の蓄熱物質を混在させて用いてもよい。相転移温度の異なる2種類以上の蓄熱物質を用いる場合、これらの蓄熱物質は、同一のカプセル壁内に封入されていてもよく、蓄熱物質ごとに別のカプセル壁内に封入されていてもよい。
カプセル壁の材料は、有機材料である。また、カプセル壁の材料には蓄熱物質の相転移温度に対して耐久性のある材料を用いることが好ましい。
有機材料として、ジエン系樹脂、オレフィン熱可塑エラストマー等の熱可塑性エラストマーも用いることができるが、下記する種類の熱硬化性樹脂が好ましい。有機材料が熱硬化性樹脂であると、熱交換の際に、熱によりカプセル壁が破壊されることを防止することができる。
熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド及びポリアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが好ましい。
蓄熱材の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%である。
蓄熱材の含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得た際に、成形品における蓄熱材による蓄熱あるいは放熱の効果が好適に得られる。また、成形品が硬くなり過ぎたり脆くなったりすることが防止される。
熱可塑性樹脂組成物における蓄熱材の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して、35〜70重量%であることが望ましい。
なお、熱可塑性樹脂組成物の全重量とは、熱可塑性樹脂と蓄熱材と分散剤及びその他の添加剤の合計量である。
蓄熱材を構成するカプセル壁には、カプセル壁の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するフィラーを封入しておいてもよい。
カプセル壁にこのような高い熱伝導率を有するフィラーを封入しておくと、蓄熱物質へ熱を伝えやすくなる。すなわち、蓄熱物質への伝熱速度、又は、蓄熱物質からの伝熱速度を向上させることができる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
フィラーの含有量は、カプセル壁全体の重量に対して10〜30重量%であることが望ましい。フィラーの含有量が上記範囲内であると、カプセル壁の強度を損なうことなく、熱伝導率を向上させることができる。なお、フィラーの含有量のベースとなるカプセル壁全体の重量には、内包する蓄熱物質の重量を含まない。
フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス、シリカ、ワラストナイト、水酸化アルミニウム、カオリン、酸化チタン、アルミナ、マイカ、タルク、炭素、チタン酸カリウム等から構成される無機フィラー、及び、銅等から構成される金属フィラー等を用いることができる。上記フィラーは、粒子状、繊維状、ウィスカ状であってもよい。
また、金属フィラーは、無機フィラーや樹脂粒子の表面に金属メッキを施したものであってもよい。カプセル壁の熱伝導率を向上させる観点から、ガラス繊維及び炭素繊維が望ましい。
また、フィラーとしては、熱可塑性樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物を用いてもよい。
蓄熱材としては、三菱製紙株式会社製の商品名:サーモメモリー、三木理研株式会社製の蓄熱用マイクロカプセル 商品名:リケンレヂン、及び、JSR株式会社製の商品名:CALGRIP等の市販されているものを用いることができる。
蓄熱材の平均粒子径は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。
蓄熱材の平均粒子径が10μm以上であると、蓄熱材に封入される蓄熱物質の量が充分な量となり、蓄熱材の量に対する熱交換効率が充分に高くなる。
蓄熱材の平均粒子径が500μm以下であると、蓄熱材の表面積が充分に大きくなり、蓄熱物質への伝熱速度又は蓄熱物質からの伝熱速度が充分に速くなる。その結果、熱交換効率が向上する。
分散剤は、アクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーであることが好ましい。
具体的には、エチレン−アクリレート共重合体樹脂、無水マレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
また、分散剤は、熱可塑性樹脂に対して非反応性の材料であることが好ましい。
分散剤は、熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して40重量%以上配合される。従来、樹脂中に他の物質を分散させる用途で分散剤を配合する場合には、40重量%以上という大量の分散剤を使用することは考えられていなかったが、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、大量の分散剤を配合することにより、熱可塑性樹脂組成物中において蓄熱材が偏在することが防止されて、熱可塑性樹脂組成物を押出成形機から棒状に排出する際の成形性を向上させることができる。
また、分散剤の含有量は、熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して50重量%以上であることが好ましい。
また、分散剤の含有量は、熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して60重量%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が60重量%以下であると、熱可塑性樹脂の含有割合が低くなりすぎないので、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品が柔らかくなりすぎることが防止される。また、分散剤の含有量は、熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して55重量%以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物では、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましい。
カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度は、DSC(示差走査熱量測定)により得られる熱分解開始温度である。
また、熱可塑性樹脂の軟化点としては、環球法により測定される値を使用することができる。
熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であるということは、熱可塑性樹脂が耐熱性の高い樹脂であることを意味し、この熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は高温環境下での使用に適したものとすることができる。
一方、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であるような樹脂は、押出成形機による樹脂ペレットの作製時に、樹脂ペレットが切れやすくなる傾向がある。
押出成形機による樹脂ペレットの作製は、蓄熱材のカプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度より高い温度で行うことができない。
そのため、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下と低い場合において、軟化点の高い熱可塑性樹脂を使用する場合には当該熱可塑性樹脂の押出成形における最適温度より低い温度での押出成形を行わざるを得ない。この場合、熱可塑性樹脂の流動性が充分に低くならないことが、軟化点が高い熱可塑性樹脂を使用した場合に樹脂ペレットが切れやすくなる原因と考えられる。
そこで、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である場合において、本発明の熱可塑性樹脂組成物のように大量の分散剤を配合させることにより、押出成形機から棒状に排出する際の成形性を向上させるという本発明の効果がより好適に発揮される。
つまり、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用することによる効果は、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である場合により好適に発揮される。
カプセル壁を構成する有機材料が上記に例示した材料である場合、好適に用いられるものとしては、メラミン樹脂であってその熱分解温度が200〜210℃であるもの、ジエン系樹脂であってその熱分解温度が200〜210℃であるものが挙げられる。
また、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が200℃以上であることが好ましい。
カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が200℃以上であると、熱可塑性樹脂の軟化点が高い場合に成形温度を高くしてもカプセル壁を構成する有機材料の分解が起こらないため好ましい。
上記に例示した熱可塑性樹脂のうち、好適に用いられるものとしては、熱可塑性樹脂がポリプロピレンであってその軟化点が135〜150℃であるもの、ポリエーテルエステルエラストマーであってその軟化点が150〜170℃であるものが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の軟化点は110℃以上であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂の軟化点は180℃以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化点が高いと成形品の耐熱性が高くなる点で好ましいが、軟化点が高すぎるとカプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度がよほど高くない限り成形が難しくなるため、成形が困難になることがある。
また、熱可塑性樹脂組成物には、安定剤、酸化還元剤、成形補助剤、分解抑制剤、潤滑剤、離型剤、顔料等の着色剤、可塑剤などが含まれていてもよい。
これらの成分は熱可塑性樹脂と混合しておき、蓄熱材及び分散剤と混合することによって熱可塑性樹脂組成物内に配合させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂、蓄熱材及び分散剤並びにその他の成分を所定の割合で混合することで製造することができる。
混合の際に、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して蓄熱材の含有量が、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%となるようにし、分散剤の含有量が熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して40重量%以上となるようにする。
各成分の混合の順序は特に限定されるものではない。
また、下記に説明する樹脂ペレットの製造方法において、熱可塑性樹脂、蓄熱材及び分散剤並びにその他の成分が混合される過程で本発明の熱可塑性樹脂組成物が製造されるともいえる。
続いて、本発明の樹脂ペレットについて説明する。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ペレットであって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の樹脂ペレットにおける、熱可塑性樹脂、蓄熱材、分散剤の好ましい態様、及び、各成分の好ましい配合量は本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるものと同様である。
本発明の樹脂ペレットは、本発明の熱可塑性樹脂組成物と同等の組成を有する組成物をペレット状に成形したものである。
樹脂ペレットの形状は特に限定されるものではなく、その大きさも特に限定されるものではない。
通常の樹脂の射出成形に用いられる樹脂ペレットの形状、大きさとすることで通常の樹脂の射出成形に使用する射出成形装置を使用して成形品を製造することができる。
樹脂ペレットの形状は円柱状又は角柱状であることが好ましく、円柱状であることがより好ましい。例えば、高さ0.01〜100mm、直径0.01〜50mmの円柱状のペレットとすることがより好ましい。
続いて、本発明の樹脂ペレットの製造方法について説明する。
本発明の樹脂ペレットの製造方法は、熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押出成形機を用いて押出成形する工程からなる樹脂ペレットの製造方法であって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
なお、熱可塑性樹脂、蓄熱材、分散剤の好ましい態様、及び、各成分の好ましい配合量は本発明の熱可塑性樹脂組成物及び本発明の樹脂ペレットにおけるものと同様である。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、熱可塑性樹脂、蓄熱材及び分散剤を所定の割合で含む熱可塑性樹脂組成物を押出成形機を用いて押出成形して、所定の形状の樹脂ペレットを製造する。
押出成形に使用する熱可塑性樹脂組成物において、蓄熱材の含有量が熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であるようにし、かつ、分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であるようにする。
押出成形の前に熱可塑性樹脂組成物を得る過程において、各成分の混合の順序は特に限定されるものではない。
押出成形機に投入する前にすべての成分を混合して熱可塑性樹脂組成物を得てから、熱可塑性樹脂組成物を押出成形機に投入してもよく、また、押出成形機内に各成分を順次投入して押出成形機内において熱可塑性樹脂組成物を得るようにしてもよい。
本発明の樹脂ペレットの製造方法では、押出成形の際に熱可塑性樹脂を軟化させるが、熱可塑性樹脂を軟化させる温度は、蓄熱材のカプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度より高くならないように設定する。
熱可塑性樹脂の軟化点、蓄熱材のカプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度及び押出成形機における設定温度(すなわち、熱可塑性樹脂を軟化させる温度)の3つの温度が好ましい関係にあると、押出成形機により成形を好適に行うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物、樹脂ペレット及び樹脂ペレットの製造方法では、カプセル壁を構成する有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上であることが好ましいが、このような場合に、押出成形機における設定温度が170〜200℃であることが好ましい。
3つの温度の関係が上記のようであると、押出成形機による成形を好適に行うことができる。
以下には、本発明の樹脂ペレットの製造方法の好ましい一例として、蓄熱材を蓄熱物質の相転移温度以上に加温して相転移済蓄熱材を準備する加温工程と、熱可塑性樹脂を軟化させて押出成形機に投入する工程と、相転移済蓄熱材を押出成形機にサイドフィードして、軟化した熱可塑性樹脂と混合する工程とを含む、樹脂ペレットの製造方法について説明する。
(乾燥工程)
上記樹脂ペレットの製造方法では、後述する加温工程の前に、蓄熱材に含まれる水分量を減少させる乾燥工程を行うことが好ましい。
蓄熱材に含まれる水分量を減少させておくと、押出成形機のベントポートからのベントアップを防止することができる。
乾燥工程では、50〜80℃で1〜5時間の乾燥を行うことが好ましい。
また、蓄熱材の吸湿率が5%以下となるように乾燥を行うことが好ましい。
(加温工程)
加温工程では、蓄熱材を予め蓄熱物質の相転移温度以上に加温する。相転移温度以上に加温して、蓄熱物質が高温の相に相転移(通常は固体から液体への相転移)した蓄熱材を相転移済蓄熱材と呼ぶ。
加温工程における加温温度は、蓄熱物質の相転移温度以上であればよいが、相転移を確実にさせるためには相転移温度よりも5〜40℃高い温度での加温を行うことが好ましい。事前に蓄熱材に対して乾燥工程を行う場合には、加温工程における加温温度は乾燥温度よりも高い温度で行うことが好ましい。
例えば、相転移温度40℃の蓄熱物質を含む蓄熱材の場合、40℃以上で加温することが好ましく、さらに、45〜80℃で加温することがさらに好ましい。
また、加温時間はその加温温度で相転移が確実に生じる時間であれば特に限定されるものではないが、1〜12時間とすることが好ましい。
(押出成形機投入工程)
押出成形機投入工程では、軟化状態の熱可塑性樹脂を押出成形機に投入する。熱可塑性樹脂はその軟化点よりも10℃以上高い温度に加熱することによって軟化させることが好ましい。
なお、熱可塑性樹脂と分散剤を混合してから押出成形機に投入することが好ましく、熱可塑性樹脂と分散剤を混合した状態で軟化させておくことが好ましい。
この工程では、熱可塑性樹脂を軟化させてから押出成形機に投入してもよく、押出成形機のシリンダー温度を押出成形機の上流部分で熱可塑性樹脂の軟化点以上にしておき、押出成形機内で熱可塑性樹脂を軟化させてもよい。どちらの場合も「軟化状態の熱可塑性樹脂を押出成形機に投入する」ことに含まれる。ただし、相転移済蓄熱材を押出成形機にサイドフィードする部分において、押出成形機内では熱可塑性樹脂が軟化しているようにする。
相転移済蓄熱材がサイドフィードされる時点で熱可塑性樹脂が軟化していると、混合により蓄熱材が破損されることが防止される。
(相転移済蓄熱材混合工程)
続いて、相転移済蓄熱材を押出成形機にサイドフィードして、軟化状態の熱可塑性樹脂と混合する。
サイドフィードとは、相転移済蓄熱材を供給するフィーダーを、熱可塑性樹脂を供給するフィーダーとは別に設置して、押出成形機内で予め混練させておいた熱可塑性樹脂に対して投入する方法である。
相転移済蓄熱材のサイドフィードには、公知のサイドフィーダーを使用することができる。
この際、相転移済蓄熱材の温度が低下しないようにサイドフィーダーに対して断熱材等を使用して断熱性を確保しておくことが好ましい。
上記方法により軟化状態の熱可塑性樹脂と相転移済蓄熱材を混合し、押出成形機のダイからストランドを押出し、切断することによってペレット化して、樹脂ペレットを製造することができる。押出成形の条件、ストランドの切断の条件等は特に限定されるものではない。
本発明の樹脂ペレットを製造する方法の一例について、図面を使用してさらに詳述する。
図1は、本発明の樹脂ペレットを製造する方法における押出成形の様子の一例を模式的に示す断面図である。
押出成形機500は、シリンダー510、スクリュー520、サイドフィーダー530、ベントポート540及びダイ550を備えている。熱可塑性樹脂600は図示しないメインフィーダーから押出成形機500に投入される。熱可塑性樹脂600は軟化させてから押出成形機500に投入されてもよく、押出成形機500にヒーター(図示せず)を設置しておきシリンダー510の温度をサイドフィーダー530よりも上流側において熱可塑性樹脂の軟化温度以上にしておくことにより熱可塑性樹脂600を軟化させるようにしてもよい。
熱可塑性樹脂の軟化前又は軟化後に分散剤を熱可塑性樹脂に混合しておくことが好ましい。
蓄熱材610はサイドフィーダー530から押出成形機500に投入され、軟化した熱可塑性樹脂600(及び分散剤)と混合されて、熱可塑性樹脂組成物620となる。
熱可塑性樹脂組成物620は、スクリュー520のせん断力により混合され、ダイ550からストランド630として押し出される。その際、熱可塑性樹脂組成物620から発生したガスを抜くためのベントポート540がダイ550よりも少し上流側に設けられている。
ここで、蓄熱材を予め乾燥しておくと、ベントポート540においてベントアップが生じることが防止される。
続いて、本発明の成形品及び本発明の成形品の製造方法について説明する。
本発明の成形品は、熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品であって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
また、本発明の成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂と、有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得る工程からなる成形品の製造方法であって、上記蓄熱材の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、上記分散剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂と上記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得ることのできる成形品であり、その組成は本発明の熱可塑性樹脂組成物の組成と同様である。
また、本発明の成形品は、本発明の樹脂ペレットを成形することにより得ることができ、その組成は本発明の樹脂ペレットの組成と同様である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得る方法が、本発明の成形品の製造方法である。また、本発明の樹脂ペレットを使用して成形品を得る方法も、本発明の成形品の製造方法に含まれる。
本発明の成形品の形状は特に限定されるものではなく、射出成形により成形することができる形状であることが好ましい。
例えば、板状である蓄熱構造物(板状体)とすることができる。板状体の形状としては、特に限定されず、例えば、四角形、円形、五角形以上の多角形であってもよいし、平板でも、組成の異なる板状板を複数備えた多層板でも、凹凸のある板状体でも、中空を有する形状でも、貫通する開口を有する形状でもよい。
また、流体が流通する流路を有する蓄熱構造物とすることができる。この流路に流体を流通させることによって、流体と蓄熱構造物の間で熱交換を行うことができる。
流体としては、特に限定されず、液体であっても気体であっても良いが、気体であることが好ましい。また、流体としては、空気であることがより好ましい。
蓄熱構造物は、複数の流路を有していることが好ましい。
蓄熱構造物が複数の流路を有すると、流体と、蓄熱構造物との接触度合いを増加させることができる。流体と構造物との熱交換効率はこれらの接触度合いの大きさに依存するので、蓄熱構造物が複数の流路を有すると、効率よく熱交換をすることができる。
蓄熱構造物の形状は、複数の流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状であることが好ましい。
蓄熱構造物の形状がハニカム形状であると、流路の形状の組み合わせにより用途及び使用の自由度が上がる。また、ハニカム形状であると、蓄熱構造物の強度を充分に強くすることができる。さらに、流体と蓄熱構造物との接触度合いを増加させることができる。
ハニカム形状の蓄熱構造物では、隔壁の厚さは、特に限定されないが、50〜5000μmであることが好ましく、500〜3000μmであることがより好ましい。
隔壁の厚さが50μm以上であると、隔壁が充分に厚いので、蓄熱構造物の強度が充分に強くなる。また、隔壁に含まれる蓄熱材を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁の厚さが5000μm以下であると、流体と蓄熱構造物との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
ハニカム形状の蓄熱構造物では、流路の密度は、特に限定されないが、蓄熱構造物の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチであることが好ましく、30〜800個/平方インチであることがより好ましい。
流路の密度が10個/平方インチ以上であると、流体と蓄熱構造物との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路の密度が1000個/平方インチ以下であると、隔壁が充分な厚さとなり、蓄熱構造物が充分な強度となる。
また、ハニカム形状の蓄熱構造物では、その長手方向に垂直な断面において、流路の形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形であってもよいし、1種類の流路の形状でハニカム形状を構成してもよいし、2種類以上の流路の形状によりハニカム形状を構成してもよい。
また、本発明の成形品は、熱交換用の蓄熱構造物、エンジンカバー、吸音材、バッテリーケース、車両の吸気系配管又は建築用の間仕切り板であることが好ましい。
また、本発明の成形品が、これらの製品を構成する一部の樹脂部分であってもよい。
以下、本発明の成形品の例について図面を用いて説明する。
図2(a)は、本発明の成形品の一例としての、熱交換用の蓄熱構造物を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示す蓄熱構造物1は、ハニカム形状の蓄熱構造物であり、流体Fとの熱交換に用いる構造物である。
蓄熱構造物1を形成する部材10は、本発明の成形品であり、熱可塑性樹脂、蓄熱材及び分散剤を含む。
蓄熱構造物1は、流体Fが流入する複数の流入口21と、流入口21から流入した流体Fが通過する複数の流路22と、流路22を通過した流体Fが流出する複数の流出口23とを有している。蓄熱構造物1の形状は、複数の流路22が隔壁24を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である。なお、流体Fの流れは、図2(b)中に矢印で示す。
図3は、本発明の成形品を使用した建築用の間仕切り板が住宅等の建築物に配設された場合を模式的に示す概略断面図である。本発明の成形品は、図3に示す建築用の間仕切り板を構成する一部の樹脂部分として使用されている。
図3に示す住宅130では、屋根131の上にソーラーパネル132が配設されており、屋根131とソーラーパネル132との間には、空間が形成されるとともに、該空間は空気の入口と出口を除いて空気が漏れない構造となっており、屋根131に設けられた通風孔131aとソーラーパネル132下の空間とは繋がっている。
住宅130の屋内には、建築用の間仕切り板140が配設されている。
間仕切り板140は、壁面を構成する二枚の面材141a、141bと二枚の面材141a、141bが貼り付けられた蓄熱構造物110とからなる。蓄熱構造物110は、図2(a)及び図2(b)を用いて説明した蓄熱構造物1と同様に構成されている。
蓄熱構造物110は本発明の成形品である。
図3に示す間仕切り板140は、1階と2階とを貫通した形態で配設されており、蓄熱構造物110の上端面110aには、ファン134を備えた通風管135が配設されている。そして、通風管135の上端は、屋根131に設けられた通風孔131aに接続され、ファン134を稼働させることにより、ソーラーパネル132下の空気が蓄熱構造物110の流路に流れ込むようになっている。なお、ソーラーパネル132下の空気の温度は夏季に50℃以上の高温となることがある。
ソーラーパネル132は、主要部が半導体であるため、温度が高いと発電効率が低下するが、ソーラーパネル132下に空気を流通させることにより、ソーラーパネル132を冷却することができ、ソーラーパネル132の発電効率を高く保つことができる。
一方、暖められた空気は、蓄熱構造物110の内部を通過することにより、蓄熱材と熱交換し、空気からの熱が蓄熱材に蓄熱される。
蓄熱構造物110の流路は、一部2階の下部で開口122aを有し、面材141a、141bに設けられた開口101a、101bを介して、蓄熱構造物110に流入した空気の一部が2階の間仕切り板140の下部から室内に吹き出すようになっている。
蓄熱構造物110は、1階の下部に流出口を有しており、流路を通過した空気は、1階の下部に設けられた面材141a、141bの開口102a、102bを介して1階の間仕切り板140の下部から室内に吹き出すようになっている。
冬季の昼間には、流路を通過した空気は、蓄熱材により熱交換されるものの、外気より温度が高いので、室内に吹き出すことにより暖房の手助けとなる。図3には詳しく示していないが、冬季の夜間になると、ソーラーパネル132下からの空気は温度が低下するので、通風孔131aは閉鎖し、ファン134を稼働させることにより、住宅130の内部を空気が循環するようにすることができる。
冬季の夜間では、空気の温度は、蓄熱物質の相転移温度より低くなるので、蓄熱材は液体から固体に相転移する際、放熱を行うこととなり、この放熱により循環する空気は暖められるので、室内が暖房されることとなる。この際、蓄熱物質の相転移温度は、暖房が実現可能な温度に設定されている。
夏季においても、夜間には、屋根の温度は低下するが、そのままでは、冷房が可能な温度までには低下しないが、例えば、屋根に水等を散布等することにより、冷房が可能な温度まで屋根の温度を低下させることが可能となる。そして、夜間に、蓄熱物質の相転移温度より低い温度の空気を、蓄熱構造物110の流路に流入させ、例えば、蓄熱物質を凝固させ、昼間に住宅130の内部を空気が循環するようにファン134を稼働させ、蓄熱物質が液化する際、循環する空気から熱を奪うようにすれば、冷房を実現することができる。この際、蓄熱物質の相転移温度は、冷房が実現可能な温度に設定されている。
図4(a)は、本発明の成形品を使用した、車両の吸気系配管の長さ方向の断面の一例を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す吸気系配管のB−B線断面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、この吸気系配管210は、補強部材211と蓄熱部材214とから構成され、補強部材211の内周に蓄熱部材214が設けられており、蓄熱部材214は、本発明の成形品である樹脂部分である。
図5(a)は、本発明の成形品を使用した、別の一例に係る車両の吸気系配管の長さ方向の断面を模式的に示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す吸気系配管のC−C線断面図である。
図5(a)及び図5(b)に示す吸気系配管220は、補強部材221と蓄熱部材224とから構成され、図4(a)及び図4(b)に示した吸気系配管210とは逆に、補強部材221の外周に蓄熱部材224が設けられており、蓄熱部材224は、本発明の成形品である樹脂部分である。
いずれの吸気系配管においても、吸気系配管内部の吸気ガスの温度が相転移温度より高くなると、蓄熱物質は、例えば、固体から液体に相転移し、吸熱を行うことにより吸気系配管内部の吸気ガスが冷却されることとなる。一方、吸気系配管内部の温度が相転移温度より低くなると、蓄熱物質は、例えば、液体から固体に相転移し、吸気系配管内部の吸気ガスに対して放熱し、吸気系配管内部の吸気ガスが加熱されることとなる。このような作用により、吸気系配管内部の吸気ガスの温度を適正範囲内に調節することができる。
図6(a)は、本発明の成形品を使用したエンジンカバーの一例をエンジンに取り付けた様子を模式的に示す断面図である。
エンジンカバー301は、蓄熱板310、断熱板320、断熱板320の外周縁に設けられた側板325を備えている。蓄熱板310は本発明の成形品である。
断熱板320と蓄熱板310の間には空気層330が設けられている。空気層330は、断熱板320、蓄熱板310及び側板325で囲まれた空間であるともいえる。
エンジンカバー301は、蓄熱板310がエンジン300の表面に向かうようにして、取付ピン340によりエンジン300に取り付けられる。
図6(b)は本発明の成形品を使用したエンジンカバーの他の一例をエンジンに取り付けた様子を模式的に示す断面図である。
このエンジンカバー302は、蓄熱板350が複数の開口313を有している点で図6(a)に示したエンジンカバー301と異なるが、そのほかの構成は同様である。
蓄熱板350は本発明の成形品である。
いずれのエンジンカバーによっても、エンジン停止後のエンジン及びその周辺部の温度低下を抑制させることができ、かつ、防音性能を付与させることができる。
また、蓄熱板が複数の開口を有していると、防音性能がより向上する。
図7は、本発明の成形品を使用したバッテリーケースの一例を模式的に示す斜視図である。
バッテリーケース400は、大型のバッテリーケースであり、蓄電池410が複数組み合されてなる蓄電池モジュール430が複数個(この図では2個)内部に収納されるように構成されている。
また、このバッテリーケース400には、空気等のガスである熱交換媒体が導入及び排出される熱交換媒体の導入口421及び熱交換媒体の排出口422が設けられており、状況に応じて、温度の低い熱交換媒体や温度の高い熱交換媒体をバッテリーケース400の内部に導入することができる。
また、バッテリーケース400は、第1のケース420aと第2のケース420bとに分割することができる。第1のケース420a及び第2のケース420bは、一側面が完全に開口した略直方体形状であり、第1のケース420aの方が少し大きく、第2のケース420bを第1のケース420a内に嵌合することにより、バッテリーケース400を組み立てることができるように構成されている。
従って、蓄電池モジュール430を収納する際には、バッテリーケース400を分割した後、蓄電池モジュール430を収納し、第2のケース420bを第1のケース420aに嵌合させ、第2のケース420b及び第1のケース420aにそれぞれ形成された貫通孔423にネジ等を挿通し、第1のケース420aに第2のケース420bを固定すればよい。
第1のケース420a、第2のケース420bがそれぞれ本発明の成形品である。
バッテリーケース内の温度が蓄熱物質の相転移温度より低くなると、蓄熱物質は、例えば、液体から固体に相転移し、相転移の際に放熱を行うことによりバッテリーケース内の蓄電池が保温されることとなる。
一方、バッテリー内部の温度が蓄熱物質の相転移温度より高くなると、蓄熱物質は、例えば、固体から液体に相転移し、相転移の際にバッテリーケース内の気体や蓄電池から熱を奪うことによりバッテリーケース内の蓄電池が冷却されることとなる。
このような作用により、バッテリーケース内の蓄電池の温度を適正範囲内に調節することができる。
(実施例)
以下、本発明を具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した材料は以下の通りである。
熱可塑性樹脂
樹脂A ポリエーテルエステル樹脂 (軟化点160℃、ハイトレル 3046 デュポン社製)
樹脂B ポリプロピレン樹脂 (軟化点150℃ ノバテックPP MG05ES ノバテック社製)
蓄熱材
蓄熱材A カプセル壁:メラミン樹脂(熱分解温度200−210℃) 蓄熱物質:パラフィン(相転移温度27℃)平均粒子径:100μm
蓄熱材B カプセル壁:メラミン樹脂(熱分解温度200−210℃) 蓄熱物質:パラフィン(相転移温度9℃)平均粒子径:100μm
蓄熱材C カプセル壁:メラミン樹脂(熱分解温度200−210℃) 蓄熱物質:パラフィン(相転移温度48℃)平均粒子径:100μm
蓄熱材D カプセル壁:ジエン系樹脂(熱分解温度200−210℃) 蓄熱物質:パラフィン(相転移温度20℃)平均粒子径:100μm
分散剤
分散剤A ブチルアクリル酸系ポリマー (商品名:ELVALOY AC 3427 デュポン社製)
分散剤B 無水カルボン酸系ポリマー (商品名:Fusabond A560 デュポン社製)
その他
着色剤 黒色着色剤
(実施例1)
(材料の計量)
下記材料を計量し、準備した。
熱可塑性樹脂:樹脂A 重量:3.0kg
蓄熱材:蓄熱材A 重量:9.0kg
分散剤:分散剤A 重量:3.0kg
熱可塑性樹脂組成物の総量は15.0kgである。
蓄熱材の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して60重量%である。
分散剤の含有量は、熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して50重量%である。
(乾燥工程及び加温工程)
蓄熱材Aを蓄熱物質の相転移温度である27℃よりも高い温度である60℃で一晩(12時間)、熱風乾燥機中で加温して、相転移済蓄熱材とした。
(押出成形機投入工程)
準備工程で秤量した熱可塑性樹脂と分散剤を押出成形機内のシリンダー内に投入した。このとき、シリンダーの設定温度を熱可塑性樹脂の軟化点(160℃)より20℃高い温度(180℃)にし、熱可塑性樹脂と分散剤を軟化させた。
(相転移済蓄熱材混合工程)
軟化状態の熱可塑性樹脂及び分散剤の混合物を押出成形機内に流しつつ、サイドフィーダーから相転移済蓄熱材を投入した。投入時の相転移済蓄熱材の温度は40℃であり、相転移済の状態を維持していることを確認した。
このようにして混合して得られた熱可塑性樹脂組成物をダイから押し出してストランド化し、ストランドを切断することによってペレット化して、円柱状の樹脂ペレット(直径3mm×高さ3mm)を製造した。
(射出成形工程)
樹脂ペレットを用いて、射出成形により、縦:150mm×横50mm×厚さ5mmである成形品である板材を5枚作製した。
(実施例2〜23及び比較例1〜7)
表1に示すように熱可塑性樹脂、蓄熱材及び分散剤の種類及び配合量を変更して樹脂ペレットの製造及び樹脂ペレットを用いた射出成形による成形品の製造を行った。
なお、実施例21〜23では着色剤を使用した。また、比較例1では分散剤を使用しなかった。
蓄熱材の相転移温度が異なるのに合わせて加温工程における乾燥条件を調整し、いずれの場合でも蓄熱材を混合する際には相転移済蓄熱材として押出成形機に投入するようにした。
また、熱可塑性樹脂の軟化点が異なるのに合わせて樹脂Bを使用した場合には押出成形機内のシリンダーの設定温度を175℃とした。
各実施例及び比較例の評価を以下のように行った。各評価結果を表2に示した。
(評価1) 押出成形機からの排出状態
実施例及び比較例において熱可塑性樹脂組成物を押出成形機によりペレット化している際、押出成形機からの連続排出の状態を目視により確認した。
熱可塑性樹脂組成物が切れることなく連続的に排出できていれば連続排出「あり」とし、熱可塑性樹脂組成物が切れてしまうことがあれば連続排出「なし」とした。
(評価2) 成形品の強度測定
実施例及び比較例で作製した成形品の引張強度試験を行い、その結果を示した。
実施例及び比較例で作製した成形品を、ダンベル形状の持ち手に当たる部分は長さ40mm、幅10mm、重りに当たる部分は端から長さ15mmで幅25mm、重り部と持ち手部を繋ぐ長さ25mmの部分は、端側とR25、持ち手側とR21で繋がるよう切断し、測定サンプルを得た。この測定サンプルをインストロン社製万能材料試験機5567型を用いて測定サンプルの両端を挟み込み、引張り速度1mm/minで引張り試験を行い、測定サンプルが切断した時点の引張破断強度(MPa)を測定した。
(評価3) 成形品の外観評価
実施例及び比較例で作製した成形品に蓄熱物質のブリード(漏れ出し)が見られるかを目視により確認した。
Figure 2019137723
Figure 2019137723
上記結果から、分散剤の含有量が熱可塑性樹脂と分散剤の合計重量に対して40重量%以上であると押出成形機における連続排出により樹脂ペレットを得ることができた。
また、強度に優れており外観が良好である成形品を得ることができた。
1、110 蓄熱構造物
10 蓄熱構造物を形成する部材
21 流入口
22 流路
23 流出口
24 隔壁
101a、101b、102a、102b 面材に設けられた開口
110a 蓄熱構造物の上端面
122a (流路の)開口
130 住宅
131 屋根
131a 通風孔
132 ソーラーパネル
134 ファン
135 通風管
140 間仕切り板
141a、141b 二枚の面材
210、220 吸気系配管
211、221 補強部材
214、224 蓄熱部材
300 エンジン
301、302 エンジンカバー
310、350 蓄熱板
313 (蓄熱板の)開口
320 断熱板
325 側板
330 空気層
340 取付ピン
400 バッテリーケース
410 蓄電池
420a 第1のケース
420b 第2のケース
421 熱交換媒体の導入口
422 熱交換媒体の排出口
423 貫通孔
430 蓄電池モジュール
500 押出成形機
510 シリンダー
520 スクリュー
530 サイドフィーダー
540 ベントポート
550 ダイ
600 熱可塑性樹脂
610 蓄熱材
620 熱可塑性樹脂組成物
630 ストランド

Claims (25)

  1. 熱可塑性樹脂と、
    有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
    分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記蓄熱材の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
    前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記カプセル壁を構成する前記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、前記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して50重量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂と、
    有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
    分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ペレットであって、
    前記蓄熱材の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
    前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする樹脂ペレット。
  6. 前記カプセル壁を構成する前記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、前記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である請求項5に記載の樹脂ペレット。
  7. 前記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーである請求項5又は6に記載の樹脂ペレット。
  8. 前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して50重量%以上である請求項5〜7のいずれか1項に記載の樹脂ペレット。
  9. 前記樹脂ペレットの形状が円柱状である請求項5〜8のいずれか1項に記載の樹脂ペレット。
  10. 熱可塑性樹脂と、
    有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
    分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押出成形機を用いて押出成形する工程からなる樹脂ペレットの製造方法であって、
    前記蓄熱材の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
    前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする樹脂ペレットの製造方法。
  11. 前記カプセル壁を構成する前記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、前記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である請求項10に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  12. 前記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーである請求項10又は11に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  13. 前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して50重量%以上である請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  14. 前記蓄熱材を蓄熱物質の相転移温度以上に加温して相転移済蓄熱材を準備する加温工程と、
    前記熱可塑性樹脂を軟化させて押出成形機に投入する工程と、
    前記相転移済蓄熱材を押出成形機にサイドフィードして、軟化した前記熱可塑性樹脂と混合する工程と、を行う請求項10〜13のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  15. 前記加温工程の前に、前記蓄熱材に含まれる水分量を減少させる乾燥工程を行う請求項14に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  16. 熱可塑性樹脂と、
    有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
    分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品であって、
    前記蓄熱材の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
    前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする成形品。
  17. 前記カプセル壁を構成する前記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、前記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である請求項16に記載の成形品。
  18. 前記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーである請求項16又は17に記載の成形品。
  19. 前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して50重量%以上である請求項16〜18のいずれか1項に記載の成形品。
  20. 熱可塑性樹脂と、
    有機材料からなるカプセル壁内に蓄熱物質が封入された蓄熱材と、
    分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形して成形品を得る工程からなる成形品の製造方法であって、
    前記蓄熱材の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全重量に対して30〜80重量%であり、
    前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して40重量%以上であることを特徴とする成形品の製造方法。
  21. 前記カプセル壁を構成する前記有機材料の熱分解温度が210℃以下であって、前記熱可塑性樹脂の軟化点が110℃以上である請求項20に記載の成形品の製造方法。
  22. 前記分散剤がアクリル酸系ポリマー又は無水カルボン酸系ポリマーである請求項20又は21に記載の成形品の製造方法。
  23. 前記分散剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂と前記分散剤の合計重量に対して50重量%以上である請求項20〜22のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
  24. 射出成形により成形品を得る請求項20〜23のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
  25. 前記熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ペレットを成形して成形品を得る請求項20〜24のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
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