以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す内燃機関1は、軽油を燃焼させる圧縮自着火式の機関であるディーゼルエンジンであり、車両に搭載されて走行駆動源として機能する。内燃機関1の排気管2には、酸化装置3、酸化装置3の排気流れ下流側に配置された還元装置4、および還元装置4の下流側に配置された酸化装置5が取り付けられている。
酸化装置3は、排気に含まれるHC(炭化水素)やCO(一酸化炭素)の酸化反応を促進させる酸化触媒を有する。還元装置4は、排気中のNOx(窒素酸化物)の還元反応を促進させる還元触媒を有する。この還元反応の還元剤はアンモニアであり、そのアンモニアは、後述する添加弁20から排気通路2aへ噴射された尿素水が加水分解して生成される。さらに還元装置4は、排気中の微粒子成分を捕捉するフィルタを有する。酸化装置5は、還元反応に用いられることなく還元装置4を通過したアンモニアの酸化反応を促進させる酸化触媒を有する。
上記車両には、尿素水タンク6に貯留されている尿素水を排気通路2aへ添加する添加装置が搭載されている。添加装置は、ポンプ10、供給配管11、排出配管12、リリーフ配管13、リリーフ弁14、ヒータ15、クーラ16、添加弁20、取付部材30、流量規制機構40および制御装置80を備える。
添加弁20は、排気管2のうち還元装置4の上流側に取り付けられ、アンモニア(還元剤)の前駆体である尿素水を排気通路2aへ噴射する。添加弁20から噴射される尿素水は、尿素を水に溶解させた水溶液であり、液体の状態で噴射される。尿素水は、排気に含まれる有害物質(例えばNOx)を浄化(例えば還元)するための浄化液を提供する。例えば、排気管2に取り付けられたNOxセンサS1、S2により検出されたNOx量に応じた量の尿素水を噴射するよう、添加弁20の作動は制御装置80により制御される。
ポンプ10は、尿素水タンク6に取り付けられており、図示しないハウジング、インペラおよび電動モータ等を有する。インペラは、ハウジング内に収容されて電動モータにより回転駆動する。ポンプ10は、インペラの回転駆動に伴い、ハウジングに形成された吸入口から尿素水タンク6内の尿素水を吸入し、ハウジングに形成された吐出口から供給配管11を通じて添加弁20へ供給する。例えば、供給配管11に取り付けられた圧力センサS3の検出値が目標圧力となるように、ポンプ10は制御装置80によりフィードバック制御される。
供給配管11は、ポンプ10から吐出された尿素水を添加弁20へ供給する供給通路11aを形成する。供給配管11の一端はポンプ10の吐出口に接続され、供給配管11の他端は、後に詳述する取付部材30の供給ポート32に接続される。排出配管12は、供給配管11を通じて添加弁20へ供給された尿素水の余剰分、つまり排気通路2aへ添加されない分の尿素水を、添加弁20から尿素水タンク6へ排出する排出通路12aを形成する。排出配管12の一端は、後に詳述する流量規制機構40に接続され、排出配管12の他端は尿素水タンク6に接続される。
リリーフ配管13は、供給配管11から分岐するように供給配管11に接続され、リリーフ弁14は、リリーフ配管13に取り付けられている。ポンプ10の駆動中に供給配管11内の尿素水圧力が上限圧力を超えて上昇すると、リリーフ弁14が開弁して、ポンプ10から吐出された尿素水の一部または全部が、リリーフ配管13から尿素水タンク6へ戻される。これにより、供給配管11や添加弁20等に上限圧力を超えた圧力が付与されることを回避できるとともに、ポンプ10が過負荷状態になることを回避できる。
本実施形態に係るリリーフ弁14は、弾性部材により弁体を閉弁させる機械駆動式の弁であるが、電磁ソレノイドを有する電気駆動式の弁であってもよい。電気駆動式の弁を用いた場合には、圧力センサS3の検出値が上限圧力以上である場合にリリーフ弁14は制御装置80により開弁作動される。
ヒータ15は、供給配管11に取り付けられ、供給配管11内の尿素水を加熱することで、尿素水の凍結を防止したり、凍結した尿素水を解凍したりする。ヒータ15は、通電により発熱する電気式のヒータであり、その通電状態は制御装置80により制御される。例えば、尿素水タンク6に取り付けられた温度センサS4の検出値に基づいて、ヒータ15は制御装置80により制御される。
クーラ16は、排出配管12に取り付けられ、排出配管12内の尿素水を冷却することで、供給配管11、添加弁20、排出配管12および尿素水タンク6を循環する尿素水の温度が過剰に高温になることを抑制する。クーラ16は、排出配管12の雰囲気と排出配管12との間で熱交換する空冷式の放熱フィンを有する。
次に、図2および図3を用いて、添加弁20、取付部材30および流量規制機構40の構造について詳細に説明する。
添加弁20は、本体ボデー21、噴孔プレート22、ニードル23、弾性部材24、ソレノイドコイル25および電気コネクタ26を有する。噴孔プレート22は、本体ボデー21に取り付けられ、排出通路12aに露出する位置に配置されている。噴孔プレート22には、尿素水タンク6から供給された尿素水を噴射する噴孔22aが形成されている。
本体ボデー21には、噴孔流通路21a、供給口21bおよび排出口21cが形成されている。供給口21bには、供給配管11を通じて尿素水タンク6から供給された尿素水が流入する。排出口21cからは、供給口21bから流入した尿素水のうち噴孔22aから噴射されない余剰分の尿素水が排出通路12aへ排出される。噴孔流通路21aは、供給口21b、排出口21cおよび噴孔22aの各々と連通する。供給口21bから流入した尿素水は、噴孔流通路21aを通じて噴孔22aへ流れる。
ニードル23は、ニードル23の中心線C1(図1参照)方向に移動可能な状態で噴孔流通路21aに配置されている。ニードル23の先端にはシート面が形成されており、本体ボデー21の弁座にシート面が離着座することで、噴孔流通路21aが開閉され、ひいては噴孔22aが開閉される。
弾性部材24は、弾性変形により生じる弾性力を、ニードル23に対して閉弁させる向きに付与する。ソレノイドコイル25は、電気コネクタ26から供給される電力により磁界を生じさせる。その磁界により生じる磁気吸引力により、ニードル23は、弾性力に抗して開弁する向きに作動する。
取付部材30は、ジャケット31、供給ポート32および蓋部材33を有する。ジャケット31は、本体ボデー21の外周面を覆う円筒形状であり、その円筒の中心線は、ニードル23の中心線C1と一致する。ジャケット31の円筒の一端には小径開口部31aが形成され、円筒の他端には大径開口部31bが形成されている。添加弁20は、大径開口部31bからジャケット31の円筒内部に挿入される。大径開口部31bは、蓋部材33により閉塞されている。
また、本体ボデー21のうち噴孔プレート22が取り付けられている部分は、小径開口部31aからジャケット31の円筒外部に露出する。これにより、噴孔プレート22がジャケット31から露出した状態で、本体ボデー21がジャケット31に保持されている。そして、取付部材30が排気管2に取り付けられることで、噴孔22aが排気通路2aに露出した状態となるように添加弁20は取付部材30に保持される。
取付部材30に添加弁20が取り付けられた状態では、ジャケット31の内周面と本体ボデー21の外周面とで囲まれた領域である冷却通路31cが形成される。冷却通路31cは、本体ボデー21の外周面に沿ってニードル23の中心線C1の周りに環状に延びる形状である(図3参照)。冷却通路31cは、供給口21bおよび排出口21cを含む領域に形成される。
ジャケット31のうち冷却通路31cを形成する部分には、供給ポート32が取り付けられている。供給ポート32には供給配管11が接続されている。これにより、供給通路11aは冷却通路31cと連通する。つまり、供給ポート32から流入した尿素水は、冷却通路31cを流通した後に、供給口21bから噴孔流通路21aまたは排出口21cへと流通する。
さらに、ジャケット31のうち冷却通路31cを形成する他の部分には、流量規制機構40が取り付けられている。流量規制機構40には排出配管12が接続されている。これにより、排出通路12aは冷却通路31cと連通する。つまり、排出口21cから排出された尿素水は、冷却通路31cを流通した後に、流量規制機構40を通じて排出通路12aおよび尿素水タンク6へと流通する。
図2に示すように、供給ポート32の中心線C2と供給口21bの中心線C2とは一致し、流量規制機構40の排出ポート41の中心線C3と排出口21cの中心線C3とは一致する。そして、供給ポート32および供給口21bの中心線C2と、排出ポート41および排出口21cの中心線C3とが一致するように、供給ポート32および排出ポート41のジャケット31への取り付け位置が設定されている。換言すれば、ジャケット31の中心線方向において、供給ポート32および排出ポート41は同じ位置に設けられている(図2参照)。また、ジャケット31の周方向において、供給ポート32および排出ポート41は、中心線に対して対象となる位置に設けられている(図3参照)。
なお、ジャケット31と本体ボデー21との間には、シール部材27が介在している。シール部材27は、冷却通路31c内の尿素水が、ジャケット31の内周面と本体ボデー21の外周面との隙間を通じて外部に漏れ出ることを防止する。
流量規制機構40は、排出通路12aに設けられ、排出通路12aを流通する尿素水の流量を規制する。具体的には、流量規制機構40は、尿素水の通路断面積を縮小させて流量を絞る絞り部を有する。「通路断面積」とは、尿素水の主流方向に対して垂直な方向の面積のことである。
さらに流量規制機構40は、尿素水が順方向に流れる場合と逆方向に流れる場合とで、絞り部による絞り度合を変化させる機能を有する。図2および図3に記載の矢印は、上記順方向の流れを示し、供給通路11a、添加弁20および排出通路12aの順に流通する流れである。図4および図5に記載の矢印は、上記逆方向の流れを示し、排出通路12a、添加弁20および供給通路11aの順に流通する流れである。
以下、上述した絞り可変の機能を実現させるための流量規制機構40の構造について、図2〜図7を用いて詳細に説明する。
流量規制機構40は、排出ポート41、弁体42および弾性部材43を有する。排出ポート41は円筒形状の配管であり、排出ポート41の円筒内部は、尿素水を流通させる排出ポート内通路41aとして機能する。排出ポート41の一端はジャケット31に取り付けられ、排出ポート内通路41aの一端は冷却通路31cに連通する。排出ポート41の他端には排出配管12が接続され、排出ポート内通路41aの他端は排出通路12aに連通する。
弁体42は、排出ポート41の中心線C3方向に移動可能な状態で、排出ポート内通路41aに配置されている。弁体42は、貫通孔を有する円柱形状であり、その貫通孔は、排出ポート内通路41aに連通して尿素水を流通させる第1通路42aとして機能する。第1通路42aは、弁体42の中心に形成されている。弁体42の外周面と排出ポート41の内壁面との間は、排出ポート内通路41aに連通して尿素水を流通させる第2通路41bとして機能する。
第2通路41bは、第1通路42aの周りに環状に延びる形状である。弁体42に形成されたシート面42bが、排出ポート41の内壁面に形成された弁座41cに離着座することで、第2通路41bは弁体42により開閉される。弾性部材43は、排出ポート内通路41aに配置され、弾性変形による弾性力を弁体42に付与して閉弁させる。弁体42には、排出ポート内通路41a内の尿素水の圧力が付与される。
開弁側へ付与される圧力から閉弁側へ付与される圧力を減算した値(差圧)に応じて、弁体42は開閉作動する。つまり、弁体42は、上記差圧による開弁力が弾性部材43の弾性力より大きい場合に開弁作動し、上記差圧による開弁力が弾性部材43の弾性力より小さい場合に閉弁作動する。具体的には、インペラを正回転させる向きポンプ10を駆動(正転駆動)させて、所定以上の吐出圧で尿素水を吐出させると、順方向に尿素水が流通し、上記差圧により弁体42は開弁する。一方、インペラを逆回転させる向きポンプ10を駆動(逆転駆動)させて、吐出口から尿素水を吸い込ませると、逆方向に尿素水が流通し、上記弾性力により弁体42は閉弁する。
図2および図3に示すように弁体42が開弁した状態では、排出ポート内通路41aは、第1通路42aおよび第2通路41bに分岐し、これら2つの通路を並列に尿素水が流通する。この開弁状態では、第1通路42aの通路断面積と第2通路41bの通路断面積とを加算した面積が、排出ポート41内部において最小の通路断面積となる。つまり、第1通路42aおよび第2通路41bの2つの通路で尿素水の流量が絞られる。
図4および図5に示すように弁体42が閉弁した状態では、第2通路41bの流通が遮断され、第1通路42aの通路断面積が、排出ポート41内部において最小の通路断面積となっている。つまり、第1通路42a(1つの通路)で、尿素水の流量が絞られる。
したがって、順方向に尿素水を流通させて弁体42が開弁した状態では、逆方向に尿素水を流通させて弁体42が閉弁した状態に比べて、絞りの度合が小さくなり、流量規制機構40を流通する尿素水の圧力損失が小さくなる。換言すれば、逆方向に尿素水を流通させて弁体42が閉弁した状態では、順方向に尿素水を流通させて弁体42が開弁した状態に比べて、絞りの度合が大きくなり、上記差圧の絶対値が大きくなる。
制御装置80は、少なくとも1つの演算処理装置(プロセッサ80a)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(メモリ80b)とを有する。制御装置80は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置80は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置80によって実行されることによって、制御装置80をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置80を機能させる。
制御装置80は、添加制御部81、吸戻制御部82およびエア排出制御部83を有する。これらの制御部は、メモリ80bに記憶されたプログラムをプロセッサ80aが実行することで機能を発揮するものであり、メモリ80bおよびプロセッサ80aにより提供される。以下、プロセッサ80aにより実行される処理手順(図8〜図11参照)を、添加制御部81、吸戻制御部82およびエア排出制御部83の機能と合わせて説明する。これらの処理は、制御装置80に電力供給されている期間中、繰り返し実行される。
図8に示すように、プロセッサ80aは、先ずステップB1においてエンジン始動時と判定された場合、続くステップB2において、エア排出制御部83によるエア排出制御を図9の処理手順で実行する。また、ステップB3においてエンジン停止時と判定された場合、続くステップB4において、吸戻制御部82による吸戻制御を図10の処理手順で実行する。また、ステップB3においてエンジン停止時でないと判定された場合にはエンジン運転中とみなし、続くステップB5において、エア排出制御部83によるエア排出制御を図11の処理手順で実行する。
ステップB5に係る添加制御部81は、内燃機関1の運転中における排気通路2aへの尿素水の添加量を制御するよう、ポンプ10および添加弁20の作動を制御する。これにより、尿素水の添加不足によりNOxが還元装置4で還元されずに排出されることを軽減し、かつ、尿素水の添加過多によりアンモニアが酸化装置5で酸化されずに排出されることを軽減する。
具体的には、添加制御部81は、NOxセンサS1の検出値に基づき浄化対象となるNOx量を算出し、そのNOx量に応じた尿素水の目標添加量を算出し、その目標添加量に応じた開弁時間となるように、ソレノイドコイル25への通電時間を制御する。なお、算出されたNOx量、目標添加量および通電時間は、所定時間あたりの量および時間のことである。さらに添加制御部81は、NOxセンサS2により所定量以上のアンモニアが検出された場合には、目標添加量を減少させる。また、添加制御部81は、圧力センサS3の検出値が予め設定された目標圧力となるように、ポンプ10が有する電動モータをフィードバック制御して、ポンプ10を正転駆動させる。
図11を用いて添加制御部81の主な処理手順を説明すると、先ず、ステップB51において、圧力センサS3で尿素水の供給圧力を検出する。続くステップB52では、目標添加量に応じて目標圧力を算出する。例えば、目標添加量が多いほど目標圧力を大きくする。続くステップB53では、目標圧力に基づきポンプ10をフィードバック制御する。続くステップB54では、目標添加量に基づき添加弁20の開閉状態を制御する。例えば、目標添加量が多いほど、添加弁20の開弁時間を長くする。但し、目標添加量に応じた開弁時間は、目標圧力が大きいほど短く設定される。
ステップB4に係る吸戻制御部82は、内燃機関1の運転停止直後に、添加弁20および供給配管11の内部に残存する尿素水を尿素水タンク6へ吸い戻すよう、ポンプ10および添加弁20の作動を制御する。これにより、内燃機関1の停止期間中に、上述の如く残存する尿素水が凍結して添加弁20および供給配管11が損傷することを軽減する。また、凍結した尿素水が通路を閉塞して解凍するまで添加できなくなることを軽減する。
具体的には、吸戻制御部82は、添加弁20を閉弁作動させた状態で、ポンプ10を所定時間だけ逆転駆動させる。添加制御部81による正転駆動では、圧力センサS3の検出値に基づきポンプ10はフィードバック制御されているが、吸戻制御部82による逆転駆動では、ポンプ10の電動モータに流れる電流値が所定値となるようにポンプ10は制御される。上記所定時間は、上述の如く残存する尿素水が吸い戻されるのに十分な時間に設定されるものであり、添加弁20および供給配管11の内部通路体積が大きいほど長い時間に設定される。
図10を用いて吸戻制御部82の主な処理手順を説明すると、先ず、ステップB41において添加弁20を閉弁させる。続くステップB42では、ポンプ10を逆転駆動させる。続くステップB43では、逆転駆動を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過したと判定されるまで逆転駆動を継続させ、所定時間経過したと判定された場合に、続くステップB44にてポンプ10の駆動を停止させる。
ステップB2に係るエア排出制御部83は、内燃機関1の始動時に、添加弁20および供給配管11の内部に存在する空気を尿素水タンク6へ排出して、添加弁20および供給配管11の内部を尿素水で満たすよう、ポンプ10および添加弁20の作動を制御する。これにより、尿素水の添加が要求された時に、尿素水の添加を迅速に開始できる。例えば、内燃機関1の始動直後では、還元触媒や酸化触媒の温度が十分に上昇しておらず、活性化温度に達していない場合がある。このような温度が十分に上昇するまでの暖機期間に、エア排出制御を実施しておくことで、触媒暖機完了時点で添加要求された場合に、迅速に尿素水の添加を開始できる。
具体的には、エア排出制御部83は、添加弁20を閉弁作動させた状態で、ポンプ10を所定時間だけ正転駆動させる。添加制御部81による正転駆動では、圧力センサS3の検出値に基づきポンプ10はフィードバック制御されているが、エア排出制御部83による正転駆動では、ポンプ10の電動モータに流れる電流値が所定値となるようにポンプ10は制御される。上記所定時間は、上述の如く存在する空気が排出されるのに十分な時間に設定されるものであり、添加弁20および供給配管11の内部通路体積が大きいほど長い時間に設定される。
図9を用いてエア排出制御部83の主な処理手順を説明すると、先ず、ステップB21において添加弁20を閉弁させる。続くステップB22では、ポンプ10を正転駆動させてエアを排出配管12から尿素水タンク6へ排出させ、その後さらに、尿素水を排出配管12から尿素水タンク6へ排出させる。続くステップB23では、正転駆動を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過したと判定されるまで正転駆動を継続させ、所定時間経過したと判定された場合に、続くステップB24にてポンプ10の駆動を停止させる。
次に、添加制御時、吸戻制御時およびエア排出制御時の各々について、尿素水またはエアの流れについて、図2〜図7を用いて説明する。
添加制御時には、図2および図3中の矢印に示すように、順方向に流れる尿素水は、供給通路11aから供給ポート32へ流入する。その後、供給ポート32から冷却通路31cへ流入した尿素水は、図3に示すように3方向に分岐して流れる。つまり、冷却通路31cへ流入した尿素水の一部は供給口21bから本体ボデー21の内部へ流入し、さらにそのうちの一部は噴孔流通路21aを通じて噴孔22aから噴射され、他の一部は排出口21cから排出されて冷却通路31cへ合流する。また、図3に示すように、冷却通路31cへ流入した尿素水のうち供給口21bから本体ボデー21の内部へ流入しなかった尿素水は、環状の冷却通路31cの一方側と他方側に分岐して流通した後に、合流して排出ポート41へ流入する。
要するに、供給ポート32へ流入した尿素水の一部は噴孔22aから排気通路2aへ添加される。その一方で、他の尿素水は、本体ボデー21の内部を流通することで本体ボデー21と熱交換し、或いは、本体ボデー21の外周面に沿って流通することで本体ボデー21と熱交換する。本体ボデー21のうち噴孔プレート22を保持する部分は、排気通路2aに露出しているため、排気により温度上昇して熱変形等により損傷することが懸念される。この懸念に対し、上述の如く熱交換することで本体ボデー21は冷却され、上記温度上昇による損傷のおそれが低減される。
また、添加制御により順方向に流れる尿素水が冷却通路31cから排出ポート41へ流入することに伴い、弁体42は開弁する。これにより、排出ポート内通路41aへ流入した尿素水は、第1通路42aおよび第2通路41bの両方を並列に流通する。つまり、第1通路42aおよび第2通路41bの2つの通路で尿素水の流量が絞られて、尿素水は流量規制機構40から排出通路12aへ排出されることとなる。この絞りの作用により、弁体42の上流側の圧力、つまり噴孔流通路21aの圧力は、下流側の圧力よりも高くなる。噴孔流通路21aの圧力は、噴孔22aからの尿素水の噴射圧力に相当する。
吸戻制御時には、図4および図5中の矢印に示すように、排出通路12aに残存する尿素水は逆方向に流れて排出ポート41へ流入し、弁体42は閉弁する。これにより、排出ポート内通路41aへ流入した尿素水は、第2通路41bを流れることなく第1通路42aを流通する。つまり、1つの通路(第1通路42a)で尿素水の流量が絞られて、尿素水は、流量規制機構40から冷却通路31cへ流入する。この絞りの作用により、弁体42の下流側の圧力は、上流側の圧力よりも低くなる。上記下流側の圧力とは、噴孔流通路21aの圧力、冷却通路31cおよび供給通路11aの圧力に相当する。
その後、排出ポート41から冷却通路31cへ流入した尿素水は、図5に示すように3方向に分岐して流れる。つまり、冷却通路31cへ流入した尿素水の一部は排出口21cから本体ボデー21の内部へ流入し、供給口21bから排出されて冷却通路31cへ合流する。また、図5に示すように、冷却通路31cへ流入した尿素水のうち排出口21cから本体ボデー21の内部へ流入しなかった尿素水は、環状の冷却通路31cの一方側と他方側に分岐して流通した後に、合流して供給ポート32へ流入する。
要するに、供給配管11、添加弁20、排出配管12および取付部材30の内部に残存する尿素水は、ポンプ10の吸入口またはリリーフ配管13から尿素水タンク6へ排出される。尿素水の残存位置は、排出通路12a、排出ポート内通路41a、冷却通路31c、噴孔流通路21a等の添加弁20内部、供給ポート32内部および供給通路11aである。そして、残存する尿素水の大半が吸い戻され、尿素水が僅かに残存する状態では、空気と尿素水が同時に吸い戻される状態となる。この時、流量規制機構40による絞り度合が大きいほど、弁体42の上流側と下流側との差圧が大きくなり、弁体42の下流側における空気の流速(エア流速)が速くなる。そして、速い流速のエアに引き連れられて、僅かに残存していた尿素水がエアとともに吸い戻される。
エア排出制御時には、図6および図7中の矢印に示すように、供給通路11aに存在する空気は順方向に流れて供給ポート32へ流入する。その後、供給ポート32から冷却通路31cへ流入した空気は、図7に示すように、添加制御時の尿素水と同様にして3方向に分岐して流れる。その後、分岐した空気が合流して排出ポート内通路41aへ流入する。排出ポート内通路41aへ流入した空気の圧力は、開弁させる向きに弁体42へ付与されるものの、添加制御時のように弁体42が開弁することはなく、弾性部材43の弾性力により弁体42は閉弁した状態のままである。
但し、エア排出制御の開始から時間経過して残存する空気の大半が排出されると、尿素水と空気が混合した状態で順方向に流れ、空気が無くなった状態では、添加制御と同様にして弁体42が開弁する。なお、エア排出制御期間中に弁体42が開弁しても、添加弁20は閉弁させたままである。
以上により、本実施形態に係る添加装置は、尿素水を排気に添加する添加弁20と、添加弁20へ尿素水を供給する供給通路11aと、添加弁20へ供給された尿素水の余剰分を添加弁20から排出する排出通路12aと、流量規制機構40と、を備える。流量規制機構40は、排出通路12aを流通する尿素水の流量を規制するものであり、逆方向に尿素水を流す場合の流量規制の度合が、順方向に尿素水を流す場合の流量規制の度合よりも大きくなるよう、流れ方向に応じて規制度合を変化させる。
これによれば、添加弁20に尿素水が残存することを低減させるべく逆方向に流す吸戻制御時には、順方向に流す添加制御時に比べて、流量規制機構40による規制度合(つまり絞り度合)が大きくなる。よって、吸戻制御時の流量規制機構40の下流側のエア流速を十分に高めることができるので、添加弁20の内部圧力(吸戻圧力)を十分に低下させることができ、添加弁20に尿素水が残存することを十分に低減できる。それでいて、添加制御時には、吸戻制御時に比べて流量規制機構40による規制度合(つまり絞り度合)が小さくなる。よって、流量規制機構40での流量規制により生じる添加時の圧力損失が過大になることを抑制でき、尿素水の供給に要するエネルギのロス増大を抑制できる。
さらに本実施形態では、流量規制機構40は、尿素水を流通させる第1通路42aおよび第2通路41bと、第2通路41bを開閉する弁体42と、弁体42を閉弁させる向きに弾性力を発揮する弾性部材43と、を有する。第1通路42aは、順方向および逆方向の双方向に尿素水を流通させ、弁体42は、順方向に尿素水が流通する場合には尿素水の圧力を受けて開弁し、逆方向に尿素水が流通する場合には弾性部材43の弾性力により閉弁する。
これによれば、弁体42に付与される圧力による開弁力と、弾性部材43の弾性力による閉弁力との大小関係で弁体42が開閉するので、弁体42を開閉させるための電動アクチュエータを不要にして、流量規制機構40を機械駆動式にできる。よって、逆方向流通時の流量規制の度合が、順方向流通時の流量規制の度合より大きくなるように流量規制機構40が作動することを、駆動電力を不要にした簡素な構成で実現できる。
さらに本実施形態では、第1通路42aは、供給通路11aまたは添加弁20に残存する空気を順方向に流通させる。これによれば、エア排出制御により空気を排出させるにあたり、第1通路42aを利用して排出させることができるので、流量規制機構40とは別のエア排出専用の通路を設けることを不要にできる。
さらに本実施形態では、添加弁20の本体ボデー21の外面に沿って尿素水を流通させることで添加弁20を冷却する冷却通路31cを備え、冷却通路31cは、供給通路11aおよび排出通路12aに接続されている。
これによれば、尿素水タンク6と添加弁20との間で冷却媒体として尿素水を循環させるにあたり、冷却通路31cへ尿素水を供給する通路として供給通路11aを利用することができる。また、冷却通路31cから尿素水を排出する通路として排出通路12aを利用することができる。このように、冷却媒体の循環経路の一部として、噴孔22aへの供給通路11aおよび排出通路12aを利用できるので、循環経路専用の通路を設けることを不要にできる。
さらに本実施形態では、添加弁20に取り付けられ、添加弁20の本体ボデー21の外面との間で冷却通路31cを形成する取付部材30を備える。そして流量規制機構40は、取付部材30に取り付けられている。
ここで、添加弁20は取付部材30に比べて体格が小さいので、本実施形態に反して流量規制機構40を添加弁20に直接取り付ける構造を採用した場合には、流量規制機構40の取付作業性が悪い。これに対し本実施形態では、取付部材30および流量規制機構40を添加弁20に取り付ける取付作業を行うにあたり、予め流量規制機構40が取り付けられた状態の取付部材30を添加弁20に取り付けることで、上記取付作業を済ませることができる。よって、冷却通路31cを形成するための取付部材30と、流量規制するための流量規制機構40とを添加弁20に取り付ける作業性を向上できる。
さらに本実施形態では、添加弁20は、供給通路11aと連通する供給口21bと、排出通路12aと連通する排出口21cと、を有し、供給口21bおよび排出口21cは、互いの中心線C2、C3が一致するように配置されている。
ここで、本実施形態に反して互いの中心線C2、C3が異なるように供給口21bおよび排出口21cが配置されている場合、添加制御時に排出される尿素水の圧力損失が大きくなる。つまり、供給ポート32から流入した尿素水のうち、添加弁20の内部を流通して排出ポート41から排出される尿素水は、互いの中心線C2、C3が一致している方がスムーズに排出されることになる。この点を鑑みた本実施形態では、互いの中心線C2、C3を一致させることで、添加制御時に排出される尿素水の圧力損失を低減できる。よって、添加制御時において流量規制機構40での流量規制により生じる圧力損失が過大になることを抑制できるといった、流量規制度合を変化させることによる先述した効果を促進できる。
さらに本実施形態では、添加装置は、添加制御部81および吸戻制御部82を備える。添加制御部81は、尿素水を順方向に流通させるとともに、要求される添加量に応じて添加弁20の開閉状態を制御する。吸戻制御部82は、尿素水を逆方向に流通させるとともに添加弁20を閉状態に制御することで、添加弁20に残存する尿素水を供給通路11aの側へ吸い戻させる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、流量規制機構40に設けられた常時開弁する第1通路42aが、弁体42に形成された貫通孔により提供されている。これに対し本実施形態では、図12〜図14に示すように、常時開弁する第1通路41dが、排出ポート41に形成された貫通孔により提供されている。また、上記第1実施形態に係る第1通路42aは1つであるのに対し、本実施形態に係る第1通路41dは複数形成されている。第1通路41dは、弁座41cに対して径方向外側の位置に、中心線C3周りに等間隔で配置されている。
図12に示す添加制御時には、弁体42が開弁作動し、排出ポート内通路41aへ順方向に流入した尿素水は、第1通路41dおよび第2通路41bの両方を並列に流通する。つまり、第1通路41dおよび第2通路41bの2つの通路で尿素水の流量が絞られて、尿素水は流量規制機構40Aから排出通路12aへ排出されることとなる。
図13に示す吸戻制御時には、弁体42が閉弁作動し、排出ポート内通路41aへ逆方向に流入した尿素水は、第2通路41bを流れることなく第1通路41dを流通する。つまり、1つの通路(第1通路41d)で尿素水の流量が絞られて、尿素水は、流量規制機構40から冷却通路31cへ流入する。
図14に示すエア排出制御時には、弁体42が閉弁した状態のまま空気が順方向に流れる。上記第1実施形態と同様にして、排出ポート内通路41aへ流入した空気の圧力は、開弁させる向きに弁体42へ付与されるものの、添加制御時のように弁体42が開弁することはなく、弾性部材43の弾性力により弁体42は閉弁した状態のままである。そして、エア排出制御の開始から時間経過して残存する空気の大半が排出されると、尿素水と空気が混合した状態で順方向に流れ、空気が無くなった状態では、添加制御と同様にして弁体42が開弁する。
以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が発揮される。すなわち、逆方向に流す吸戻制御時には、順方向に流す添加制御時に比べて、流量規制機構40Aによる規制度合(つまり絞り度合)が大きくなる。よって、吸戻制御時の流量規制機構40Aの下流側のエア流速を十分に高めることができるので、添加弁20の内部圧力(吸戻圧力)を十分に低下させることができ、添加弁20に尿素水が残存することを十分に低減できる。それでいて、添加制御時には、吸戻制御時に比べて流量規制機構40Aによる規制度合(つまり絞り度合)が小さくなる。よって、流量規制機構40Aでの流量規制により生じる添加時の圧力損失が過大になることを抑制でき、尿素水の供給に要するエネルギのロス増大を抑制できる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、供給ポート32の中心線C2と、排出ポート41の中心線C3とが一致するように、供給ポート32および排出ポート41のジャケット31への取り付け位置が設定されている。これに対し本実施形態では、図15に示すように、供給ポート32の中心線C2と、排出ポート41の中心線C3とが異なる位置となるように、供給ポート32および排出ポート41のジャケット31への取り付け位置が設定されている。
具体的には、ニードル23の中心線C1方向において、排出ポート41の中心線C3が供給ポート32の中心線C2よりも噴孔22aから遠い位置となるように、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。より詳細には、ニードル23の中心線C1方向において、排出ポート41は冷却通路31cのうち最も噴孔22aから遠い位置に配置され、供給ポート32は最も噴孔22aに近い位置に配置されている。
なお、これらの中心線C2、C3がともにC1を通過する向きに、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。これらの中心線C2、C3が平行となる向きに、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。
本実施形態によれば、ニードル23の中心線C1方向において、供給ポート32と排出ポート41とが互いに異なる位置に配置されている。そのため、添加制御時において、供給ポート32から流入した尿素水が排出ポート41から流出しにくくなるが、その背反として、冷却通路31cのうち尿素水の循環性の悪い部分が生じにくくなる。よって、本体ボデー21を冷却する能力の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、ニードル23の中心線C1方向において、排出ポート41が供給ポート32よりも噴孔22aから遠い位置に設定されている。これに対する変形例として、供給ポート32が排出ポート41よりも噴孔22aから遠い位置に設定されていてもよい。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、ニードル23の中心線C1方向において、供給ポート32と排出ポート41が互いに異なる位置となるように設定されている。これに対し本実施形態では、図16に示すように、ニードル23の中心線C1周りの周方向位置において、供給ポート32と排出ポート41が互いに異なる位置となるように設定されている。
具体的には、本体ボデー21に形成される供給口21b、排出口21cおよび供給ポート32の各々の中心線C2、C3が一致するよう、供給ポート32は配置されている。これに対し排出ポート41は、排出ポート41の中心線C3が排出口21cの中心線と交差する向きとなるように配置されている。
なお、これらの中心線C2、C3がともにC1を通過する向きに、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。これらの中心線C2、C3が垂直となる向きに、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。
本実施形態によれば、ニードル23の中心線C1周りの周方向において、供給ポート32および排出ポート41の中心線C2、C3が互いに異なる向きとなるように、供給ポート32および排出ポート41は配置されている。そのため、添加制御時において、供給ポート32から流入した尿素水が排出ポート41から流出しにくくなるが、その背反として、冷却通路31cのうち尿素水の循環性の悪い部分が生じにくくなる。よって、本体ボデー21を冷却する能力の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、本体ボデー21に形成される供給口21b、排出口21cおよび供給ポート32の各々の中心線C2、C3が一致するよう、供給ポート32は配置されている。これに対する変形例として、本体ボデー21に形成される供給口21b、排出口21cおよび排出ポート41の各々の中心線C2、C3が一致するよう、排出ポート41が配置されていてもよい。
(第5実施形態)
本実施形態では、図17および図18に示すように、本体ボデー21とジャケット31との間に隔壁部材50が設けられている。隔壁部材50は、本体ボデー21の外周面に沿う円筒形状である。隔壁部材50の内周面の一部は、シール部材27と密着してシールされている。冷却通路31cは、隔壁部材50の外周面とジャケット31との間で形成されている。隔壁部材50の円筒端部は蓋部材33に接触し、蓋部材33は、ジャケット31の大径開口部31bを閉塞するとともに冷却通路31cの一端を閉塞する。図17に示すように、ニードル23の中心線C1方向における冷却通路31cの長さは、図2に示す第1実施形態に比べて拡大されている。
図19に示すように、隔壁部材50は、隔壁供給口50aおよび隔壁排出口50bを有する。隔壁供給口50aは、本体ボデー21に形成された供給口21bおよび冷却通路31cに連通し、隔壁排出口50bは、本体ボデー21に形成された排出口21cおよび冷却通路31cに連通する。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。例えば、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
上記各実施形態では、流量規制機構40は、弾性部材43で弁体42を閉弁させる機械駆動式であるが、電磁コイル等の電動アクチュエータで弁体42を開閉作動させる電気駆動式であってもよい。電気駆動式の場合には、添加制御時には弁体42を開弁駆動させ、吸戻制御時には弁体42を閉弁駆動させるように、制御装置80が電磁コイルへの通電を制御すればよい。また、電気駆動式の場合には、順方向および逆方向の双方向に尿素水を流通させる第1通路42a、41dを廃止して、弁体42の開弁ストロークを制御することで第2通路41bの開度を調節してもよい。つまり、添加制御時には第2通路41bの開度を大きくし、吸戻制御時には第2通路41bの開度を小さくするように通電制御すればよい。
上記各実施形態では、流量規制機構40は、エア排出制御時に弁体42が閉弁することで、吸戻制御時に比べて流量規制の度合(絞り度合)を大きくするように設定されているが、エア排出制御時に弁体42が開弁するように設定されていてもよい。
上記第1実施形態では、ポンプ10を逆転駆動させてインペラ回転方向を逆転させることで、逆方向に尿素水を流通させている。これに対し、供給配管11と排出配管12とを連結させる連結配管と、供給配管11、排出配管12および連結配管からなる循環経路の流れ方向を切り替える切換弁と、を備える構成であってもよい。これによれば、ポンプ10を逆転駆動させることなく正転駆動させたまま、切換弁を制御することで順方向と逆方向とを切り替えることが可能になる。
上記第1実施形態では、制御装置80は、圧力センサS3の検出結果に基づきポンプ10の駆動をフィードバック制御している。これに対し、圧力によるフィードバック制御を廃止して、予め決められた状態にポンプ10を駆動させてもよい。例えば、ポンプ10のモータに流れる電流が予め決められた目標電流となるように、ポンプ10の駆動をPWM制御してもよい。
上記各実施形態では、排気に含まれる有害物質を浄化するための浄化液として尿素水を用いているが、炭化水素化合物等の他の浄化液を用いてもよい。