JP2019111710A - 炭素繊維テープ材及びその積層シート基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】引き揃えて強化繊維基材とした際に樹脂の含浸性が良好であり、かつ高い力学的強度が得られる炭素繊維テープ材や積層テープ基材を提供する。
【解決手段】少なくとも1本の連続した炭素繊維束に、第2の繊維が螺旋状に巻かれた炭素繊維テープ材であり、前記第2の繊維は複数のフィラメントから構成され、撚り間隔Lで撚られてなることを特徴とする炭素繊維テープ材。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも1本の連続した炭素繊維束に、第2の繊維が螺旋状に巻かれた炭素繊維テープ材であり、前記第2の繊維は複数のフィラメントから構成され、撚り間隔Lで撚られてなることを特徴とする炭素繊維テープ材。
【選択図】図1
Description
本発明は、炭素繊維テープ材、およびそれを並行に配置し積層してなる積層シート基材に関する。
強化繊維と樹脂からなる繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic:FRP)は、軽量かつ高強度という特性から、航空、宇宙、自動車用途などに用いられている。FRPの生産性と高強度を両立する成形法として、例えばレジン・トランスファー・モールディング(Resin Transfer Molding:RTM)成形法等の注入成形が挙げられる。RTM成形法は、マトリックス樹脂を予備含浸していないドライな強化繊維束群で構成される強化繊維基材からなる強化繊維積層体を、成形型に配置して、液状で低粘度のマトリックス樹脂を注入することにより、後からマトリックス樹脂を含浸・固化させてFRPを成形する成形法である。特に高い生産性が必要な場合は、樹脂注入時は成形型内キャビティを最終成形品厚みより厚くしておき、型閉じにより高速含浸させることで繊維強化プラスチックの成形時間を短縮する技術などが用いられる。
注入成形で成形型に配置される強化繊維積層体は、従来は織物やノンクリンプファブリック(Non Crimp Fabric:NCF)のような、ドライな強化繊維束群から構成される一定幅の(すなわち、略矩形の)布帛形態をした強化繊維基材から所望の形状を切り出したものを三次元形状に賦形、固着することで形成される。ところがこのように一定幅の布帛から所望形状を切り出すと、その後に残る端材が多く生成される。すなわち、強化繊維の廃棄量が多くなり、あらかじめ一定幅の布帛形態をした強化繊維基材を製造しておく従来の手法では製造コストが高くなるという課題があった。
このような課題に対し、強化繊維束を製品形状に合わせた所望の形状となるよう、必要な箇所のみに配置するファイバープレイスメント法が注目されている。ファイバープレイスメント法によれば、必要な箇所に必要な量の強化繊維を配置するため、廃棄される強化繊維の量を大幅に低減させることができる。さらにファイバープレイスメント法で製造される強化繊維基材は従来の織物やNCFに比べて強化繊維束のクリンプが少なく真直性に優れるため、樹脂を注入・硬化させて得られるFRPは高い力学的強度を有する。
ところが、ファイバープレイスメント法で製造された強化繊維基材は、強化繊維束の進捗性ゆえ樹脂注入時の樹脂流路が少なく、従来の織物やNCFに比べて極端に含浸性が悪くなる。含浸性が悪くなると、注入成形における樹脂注入に要する時間が長くなることで生産サイクルが長くなり、注入成形の高生産性というメリットが失われてしまう。また、注入成形では注入する樹脂が高粘度化する前に(すなわち、ポットライフ内に)樹脂注入を完了する必要があるが、強化繊維基材の含浸性が悪いと使用可能な樹脂やプロセスに制限が生じる。
一方向強化繊維束を引き揃えて布帛状にした強化繊維基材に関する技術として、例えば特許文献1では強化繊維束に低融点のカバリング糸を巻きつけて固く収束させ、引き揃えた後にカバリング糸を溶融して強化繊維束を固着させた強化繊維基材が開示されている。
また特許文献2では、強化繊維製のカバリング糸を強化繊維束に巻きつけ、直交積層した後に補助糸で織ることで一体化したNCF基材が開示されている。
しかしながら、特許文献1に係る発明は、強化繊維束が固く収束されるため束の周辺に流路が形成され、強化繊維束が引き揃えられた方向と並行な方向への流路が確保されるが、カバリング糸が溶融し形状を保っていないため強化繊維束直交方向へは樹脂流路が形成されず、特に高速で樹脂を流した際に強化繊維束内に未含浸が生じやすくなる。また得られたFRPには、強化繊維束周辺に樹脂リッチ領域が形成されるため、この樹脂リッチ領域を起点に破壊が生じやすく、力学的強度が低下する懸念がある。
また、特許文献2に係る発明は、強化繊維束の主軸方向と異なる角度で巻きつけられた強化繊維製カバリング糸により、1層で擬似等方性が得られるものであるが、補助糸で織ることでシート化することを前提としており、ファイバープレイスメントに適しない。また、カバリング糸の役割は強化繊維基材への力学物性付与のみであり、樹脂の含浸性については言及されていない。
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するものであり、具体的には、引き揃えて強化繊維基材とした際に樹脂の含浸性が良好であり、かつ高い力学的強度が得られる炭素繊維テープ材を提供することを目的とする。また、かかる炭素繊維テープ材から得られる積層シート基材を提供することを目的とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)少なくとも1本の連続した炭素繊維束に、第2の繊維が螺旋状に巻かれている炭素繊維テープ材であり、前記第2の繊維は複数のフィラメントから構成され、撚り間隔Lで撚られていることを特徴とする炭素繊維テープ材。
(2)前記撚り間隔Lと、前記炭素繊維束の幅Wとの間にL≦Wの関係を有することを特徴とする(1)に記載の炭素繊維テープ材。
(3)前記第2の繊維は熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料で構成され、前記炭素繊維束と一体化されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の炭素繊維テープ材。
(4)前記炭素繊維束の表面に熱可塑性樹脂を主成分とする粒子を付着させ、前記第2の繊維は前記炭素繊維束と前記粒子により溶着一体化されてなることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(5)前記第2の繊維の軟化点温度T1(℃)が、前記粒子の軟化点温度T2(℃)より高い温度である(1)から(4)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(6)前記第2の繊維の繊度が20dtex以上である(1)から(5)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(7) 前記炭素繊維束と並行に第3の繊維からなる補助糸が配置され、前記炭素繊維束と前記補助糸の周りに前記第2の繊維が螺旋状に巻かれていることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材を並行に並べてシート状物を形成し、複数の前記シート状物を重ね合わせ、隣接する前記シート状物の間が接着されていることを特徴とする積層シート基材。
(1)少なくとも1本の連続した炭素繊維束に、第2の繊維が螺旋状に巻かれている炭素繊維テープ材であり、前記第2の繊維は複数のフィラメントから構成され、撚り間隔Lで撚られていることを特徴とする炭素繊維テープ材。
(2)前記撚り間隔Lと、前記炭素繊維束の幅Wとの間にL≦Wの関係を有することを特徴とする(1)に記載の炭素繊維テープ材。
(3)前記第2の繊維は熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料で構成され、前記炭素繊維束と一体化されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の炭素繊維テープ材。
(4)前記炭素繊維束の表面に熱可塑性樹脂を主成分とする粒子を付着させ、前記第2の繊維は前記炭素繊維束と前記粒子により溶着一体化されてなることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(5)前記第2の繊維の軟化点温度T1(℃)が、前記粒子の軟化点温度T2(℃)より高い温度である(1)から(4)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(6)前記第2の繊維の繊度が20dtex以上である(1)から(5)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(7) 前記炭素繊維束と並行に第3の繊維からなる補助糸が配置され、前記炭素繊維束と前記補助糸の周りに前記第2の繊維が螺旋状に巻かれていることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の炭素繊維テープ材を並行に並べてシート状物を形成し、複数の前記シート状物を重ね合わせ、隣接する前記シート状物の間が接着されていることを特徴とする積層シート基材。
本発明の炭素繊維テープ材および積層シート基材によれば、注入成形時の樹脂含浸性に優れ、かつ高い力学的強度が得られる炭素繊維テープ材を提供することができる。また、かかる炭素繊維テープ材から得られる積層シート基材を提供することができる。
以下に、本発明の望ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本発明の第1の実施態様の概略図を示す。第1の実施態様における炭素繊維テープ材10は、少なくとも1本の炭素繊維束101周囲に、複数のフィラメントで構成され、撚り間隔Lで撚りが入った第2の繊維102が巻きつけられることで構成される。
炭素繊維束101を構成する炭素繊維の単繊維数は、3,000本〜60,000本であることが好ましく、10,000本〜60,000本であることがより好ましい態様である。炭素繊維の単繊維数が10,000本未満である場合、炭素繊維テープ材10の炭素繊維目付けが低くなり、炭素繊維テープ材10をファイバープレイスメント法で引き揃えて積層シート基材にした際に1層の目付が低くなるため、所望の炭素繊維量を満たす量の基材を製作するのに時間を要し、生産性を低下させてしまうことがある。炭素繊維の単繊維数が3,000本未満である場合、いっそう生産性が低下する。炭素繊維の単繊維数が60,000本より多い場合、炭素繊維テープ材10の炭素繊維目付けが高くなり、ファイバープレイスメント法で炭素繊維テープ材10を引き揃えて積層シート基材にした際に1層あたりの炭素繊維目付けが高くなりすぎるため、配向設計の範囲を狭めてしまうことがある。
炭素繊維テープ材を構成する第2の繊維102は、複数のフィラメントから構成されており、撚り間隔Lで撚られている。撚り間隔Lとは、図2に示すように、第2の繊維102を構成するフィラメント102aが撚られることで1回転し元に戻るまでの、始点Sから終点Gまでの距離である。このように第2の繊維102に撚りが存在することによって、炭素繊維テープ材10から製作したシート状物を重ねた強化繊維積層体を注入成形時に圧縮した場合でも、撚りの周辺に空隙を残すことができるため、炭素繊維束101の幅方向に樹脂の流路を形成できる。また、第2の繊維102は炭素繊維束101に巻きつけられているため、炭素繊維テープ材10の厚み方向Zにも樹脂流路を形成することができる。つまり、本発明の炭素繊維テープ材10では、注入成形時に炭素繊維テープ材10の厚み方向Zと幅方向XYの両方に樹脂流路を形成することができるため、高い樹脂含浸性を得ることができる。ここで厚み方向Zとは、炭素繊維テープ材10を引き揃えてシート状物とした際の面外方向、幅方向XYは炭素繊維テープ材10を引き揃えてシート状物とした際の面内方向を意味する。
第2の繊維102に撚りが存在しない場合、注入成形時に強化繊維積層体に負荷される圧力により第2の繊維102を構成する複数のフィラメント間の空隙が潰されてしまい、流路がなくなるため含浸性が低下する。
本発明の一形態によれば、第2の繊維102に構成される撚りが、撚り間隔Lと炭素繊維束101の幅Wの間にL≦Wの関係を有することができる。
つまり、炭素繊維束101の幅Wよりも第2の繊維102の撚り間隔Lを小さくすることで、炭素繊維束101の幅Wの中に少なくとも1回以上は第2の繊維102の撚りが存在するため、より炭素繊維束101の幅方向への樹脂流路を確保しやすくなる。L>Wとなる場合、第2の繊維102の撚り間隔Lが広すぎると、実質的に炭素繊維束101の表面上の第2の繊維102に撚りが存在しなくなり、注入成形時に第2の繊維102の複数のフィラメント間の空隙が潰されてしまい、樹脂流路がなくなることで含浸性が低下する。
本発明で用いられる第2の繊維102は、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルホルマール、ポリエーテルスルホン、フェノキシ、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料で構成される。適切な熱可塑性樹脂原料を選択することにより、注入成形で得られるFRPの、マトリックス樹脂と炭素繊維束101の接着性や力学特性(特に層間強度)を向上させられるほか、耐薬品性や耐熱性、吸水性の制御等、所望の特性を制御することができる。
また、第2の繊維102に熱可塑性樹脂を用いることで、炭素繊維束101に第2の繊維102を巻きつけた後に第2の繊維102を構成する熱可塑性樹脂の軟化点温度以上の温度で加圧することで炭素繊維束101と第2の繊維102とを一体化させることができる。ここで一体化とは、炭素繊維束101の表面に第2の繊維102が略固定されており、炭素繊維テープ材10の取り扱い時に第2の繊維102の炭素繊維束101の表面上で位置がずれない状態を指す。炭素繊維束101と第2の繊維102を一体化しておくことで、炭素繊維テープ材10の輸送時等の取り扱い時や、ファイバープレイスメントでの引き揃え時などにも確実に第2の繊維を炭素繊維束10の表面に存在させることができ、注入成形時の優れた含浸性を得ることができる。ただし、第2の繊維102を炭素繊維束101に一体化させる際は、第2の繊維102の撚り形状が概ね維持される温度で、すなわち一体化時に第2の繊維102の粘度が下がりすぎないようにすることが好ましい。一体化時に第2の繊維102の軟化点温度よりも温度を高くしすぎると、第2の繊維102の粘度が下がり、撚り形状が消失してしまい、炭素繊維束101の幅方向XYの空隙(すなわち樹脂流路)がなくなり、含浸性が低下してしまう。
本発明における第2の繊維102の配置ピッチPは特に限定されないが、P<20mm以下とすると特に注入成形時の含浸性を高める効果が顕著になるため好ましい。
図3に示す本発明の第2の実施態様では、炭素繊維束101の表面に加熱によって粘度が低下する加熱溶融性樹脂を主成分とする粒子203が塗布され、この粒子によって第2の繊維102が炭素繊維束101と一体化させることもできる。粒子203の主成分の加熱溶融性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルホルマール、ポリエーテルスルホン、フェノキシ、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、さらに、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、およびこれら樹脂を2種類以上ブレンドした樹脂等を用いることができる。
粒子203が表面に塗布・固着された粒子付与炭素繊維束21に第2の繊維102を巻きつけた後、粒子203の軟化点温度より高い温度で加熱・加圧することで第2の繊維102が粒子付与炭素繊維束21に一体化される。このときの一体化温度を適切に選択することで、粒子203のみを軟化させ、第2の繊維102は軟化させずに撚り形状を維持させることができる。具体的には、第2の繊維102の軟化点温度T1(℃)が、粒子203の軟化点温度T2(℃)よりも高くすることで実現できる。粒子203で第2の繊維102を炭素繊維束101に一体化させ、かつ第2の繊維102の撚り形状を維持させることで、注入成形時により確実に炭素繊維テープ材20の幅方向の樹脂流路を確保することができ、高い含浸性を発現することができる。
また炭素繊維束101に粒子203を付与することで、炭素繊維テープ材20の幅精度や形態安定性を向上させることができ、ファイバープレイスメントでの引きそろえ時の精度向上、擦過耐性の向上(すなわち、毛羽の抑制)といった効果が得られる。また、粒子203の付与量は、炭素繊維束101が100質量部であるのに対して、0.1〜20質量部の範囲であることが好ましい。粒子203の付与量が0.1質量部より小さい場合は、炭素繊維束の幅精度や嵩密度の向上効果が得られなくなる。一方、固着材としての樹脂バインダの付与量が20質量部よりも大きい場合、樹脂バインダの拘束が強く、ファイバープレイスメント時に炭素繊維テープ材20の引き揃えが困難になる。また、適切な粒子原料を選択することにより、ファイバープレイスメントで得られる積層シート基材の賦形性や形態安定性を向上できるほか、その後の注入成形で得られるFRPの、マトリックス樹脂と炭素繊維束101の接着性や力学特性(特に層間強度)を向上させられるほか、耐薬品性や耐熱性、吸水性の制御等、所望の特性を制御することができる。
本発明では第2の繊維102として、20dtex以上の繊度を有する繊維が用いられる。第2の繊維102の繊度が20dtex未満になると、注入成形時の樹脂含浸性を向上させる効果が得られなくなる。また、第2の繊維102の繊度を20dtexから50dtexとすると、第2の繊維102と炭素繊維束101の接触部における炭素繊維束101のクリンプが抑制され、より高い真直性が得られ高い力学物性が得られるため好ましい。
本発明の第3の実施態様においては、図3のように炭素繊維束101と並行して、第3の繊維からなる補助糸304が配置され、炭素繊維束101と補助糸304を第2の繊維102で螺旋状に巻き付けることもできる。補助糸304の炭素繊維束101に対する配置位置は特に限定されず、例えば図4(a)のように炭素繊維束101と幅方向XYで接してもよいし、図4(b)のように厚み方向Zで接していてもよい。図4(a)のように炭素繊維束101と補助糸304が幅方向XYで接するように配置した場合、注入成形時にこの補助糸304も含浸性向上に寄与するだけでなく、厚み方向Zに隣接する積層シート基材内の炭素繊維束のクリンプを抑制する効果が得られるため力学的強度を向上させることができる。また、図4(b)のように炭素繊維束101と補助糸304が厚み方向Zで接するように配置した場合も、補助糸304と第2の繊維102が接するため、樹脂の流路があみだくじ状に形成され、第2の繊維のみを用いた場合よりさらに樹脂含浸性を高めることができる。
補助糸304の材質としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、およびポリエーテルサルホン等からなる繊維、無機繊維(例えば炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維)からなる繊維糸条、あるいはこれらの繊維の混紡糸条等が挙げられる。
本発明では、ファイバープレイスメント法を用いて上記に説明した炭素繊維テープ材を並行に並べて配置して層を形成し、複数の層を織り交じることなく重ね合わせて、層間を接着することにより、炭素繊維積層シートを作成することができる。
本開示の炭素繊維テープ材について、実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
<炭素繊維>
炭素繊維束として、予めサイジング処理を施した、東レ株式会社製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T800SC、炭素繊維フィラメント数が24,000本のものを用いた。
<炭素繊維>
炭素繊維束として、予めサイジング処理を施した、東レ株式会社製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T800SC、炭素繊維フィラメント数が24,000本のものを用いた。
<炭素繊維テープ材>
図示しない粒子散布装置を用いて、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:200μm)を炭素繊維束に散布した後、図示しないカバリング装置で第2の繊維としてポリアミド樹脂を主成分とする23dtexの繊維(軟化点温度140℃)を巻きつけ、表面温度を90℃に加熱した熱板で加圧することによって粒子のみを溶融させ、第2の繊維を炭素繊維束に一体化させることで炭素繊維テープ材を製作した。このとき炭素繊維束の幅Wは6mmであり、第2の繊維の撚り間隔Lは3mmのものを用いた。また、第2の繊維の配置ピッチPは10mmとした。
図示しない粒子散布装置を用いて、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:200μm)を炭素繊維束に散布した後、図示しないカバリング装置で第2の繊維としてポリアミド樹脂を主成分とする23dtexの繊維(軟化点温度140℃)を巻きつけ、表面温度を90℃に加熱した熱板で加圧することによって粒子のみを溶融させ、第2の繊維を炭素繊維束に一体化させることで炭素繊維テープ材を製作した。このとき炭素繊維束の幅Wは6mmであり、第2の繊維の撚り間隔Lは3mmのものを用いた。また、第2の繊維の配置ピッチPは10mmとした。
<積層シート基材>
図示しないファイバープレイスメント装置を用いて、架台上に前記炭素繊維テープ材を一方向に隙間なく引き揃え、100mm×100mmの正方形形状となるようにしたシート状物を2枚作成し、それぞれのシート状物を構成する炭素繊維束の主軸方向が直交するように積層し、90℃に加熱した上で5kPaで加圧し、加熱溶融樹脂粒子で互いを接着することで積層シート基材を製作した。
図示しないファイバープレイスメント装置を用いて、架台上に前記炭素繊維テープ材を一方向に隙間なく引き揃え、100mm×100mmの正方形形状となるようにしたシート状物を2枚作成し、それぞれのシート状物を構成する炭素繊維束の主軸方向が直交するように積層し、90℃に加熱した上で5kPaで加圧し、加熱溶融樹脂粒子で互いを接着することで積層シート基材を製作した。
<強化繊維積層体>
前記の積層シート基材を4枚重ね、[0/90/0/90/90/0/90/0]の積層構成とした後、平面状の強化繊維積層体型上に積層した後、バッグフィルムとシーラントにて密閉して真空に減圧した状態で、80℃のオーブンで1時間加熱した。その後、オーブンから取り出し、強化繊維積層体型を室温まで冷却した後に放圧して強化繊維積層体を得た。
前記の積層シート基材を4枚重ね、[0/90/0/90/90/0/90/0]の積層構成とした後、平面状の強化繊維積層体型上に積層した後、バッグフィルムとシーラントにて密閉して真空に減圧した状態で、80℃のオーブンで1時間加熱した。その後、オーブンから取り出し、強化繊維積層体型を室温まで冷却した後に放圧して強化繊維積層体を得た。
(比較例1)
炭素繊維テープ材に第2の繊維を用いない以外は実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
炭素繊維テープ材に第2の繊維を用いない以外は実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
(比較例2)炭素繊維テープ材に用いる第2の繊維として、撚り間隔Lが25mmのものを用いた以外は実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
図5に実施例1、比較例1、比較例2それぞれの手順で得た強化繊維積層体の面外方向の含浸係数Kzを、比較例1の値を1とした場合の比で示す。含浸係数Kzとは、次式で表すDarcy則に用いられる、繊維基材の含浸性の指標である。
V=Kz ∇P/μ・・・(1)
V:流体の含浸速度 Kz:含浸係数 ∇P:圧力勾配 μ:流体粘度
実施例1においては、第2の繊維を用いない比較例1に対して6倍にKzが向上した。一方第2の繊維として撚り間隔Lが炭素繊維束より広いものを用いた比較例2では、比較例1に対してKzは大きく変化せず、含浸性の向上がみられなかった。
V=Kz ∇P/μ・・・(1)
V:流体の含浸速度 Kz:含浸係数 ∇P:圧力勾配 μ:流体粘度
実施例1においては、第2の繊維を用いない比較例1に対して6倍にKzが向上した。一方第2の繊維として撚り間隔Lが炭素繊維束より広いものを用いた比較例2では、比較例1に対してKzは大きく変化せず、含浸性の向上がみられなかった。
本発明における炭素繊維テープ材および積層シート基材は樹脂の含浸性に優れるため、注入成形用の強化繊維積層体の製造に適用可能であり、特に、航空機や自動車、船舶等向けの大型部材や、風車ブレードのような一般産業用途の部材にも好適である。
10、20、30 炭素繊維テープ材
101 炭素繊維束
102 第2の繊維
203 加熱溶融性樹脂を主成分とする粒子
304 第3の繊維からなる補助糸
101 炭素繊維束
102 第2の繊維
203 加熱溶融性樹脂を主成分とする粒子
304 第3の繊維からなる補助糸
Claims (8)
- 少なくとも1本の連続した炭素繊維束に、第2の繊維が螺旋状に巻かれた炭素繊維テープ材であり、前記第2の繊維は複数のフィラメントから構成され、撚り間隔Lで撚られてなることを特徴とする炭素繊維テープ材。
- 前記撚り間隔Lと、前記炭素繊維束の幅Wとの間にL≦Wの関係を有することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維テープ材。
- 前記第2の繊維は熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料で構成され、前記炭素繊維束と一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維テープ材。
- 前記炭素繊維束の表面に熱可塑性樹脂を主成分とする粒子を付着させ、前記第2の繊維は前記炭素繊維束と前記粒子により溶着一体化されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
- 前記第2の繊維の軟化点温度T1(℃)が、前記粒子の軟化点温度T2(℃)より高い温度である請求項4に記載の炭素繊維テープ材。
- 前記第2の繊維の繊度が20dtex以上である請求項1から5のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
- 前記炭素繊維束と並行に第3の繊維からなる補助糸が配置され、前記炭素繊維束と前記補助糸の周りに前記第2の繊維が螺旋状に巻かれていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の炭素繊維テープ材。
- 請求項1から7のいずれかに記載の炭素繊維テープ材を並行に並べてシート状物を形成し、複数の前記シート状物を重ね合わせ、隣接する前記シート状物の間が接着されてなることを特徴とする積層シート基材。
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| CN117845387A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-04-09 | 张家港扬子纺纱有限公司 | 一种运动外套高强耐磨圆机纱线的纺纱工艺 |
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2017
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| JP7683217B2 (ja) | 2019-11-11 | 2025-05-27 | 東レ株式会社 | 炭素繊維テープ材料、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および成形体 |
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