JP2019107850A - ハニカムパネルの圧縮強度発現構造 - Google Patents
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Abstract
Description
図2に示したように、ハニカムコア1の両開口端面に、1枚板製の表面板のスキン材2,3を接合したハニカムパネル4が、ハニカムコア1の特性を生かし、従来より各種用途に使用されている。
すなわち、ハニカムコア1の重量比強度,その他に優れるという特性を生かし、例えば、爆轟負荷用,爆発負荷用,衝撃負荷用,防弾用等々の壁板材として使用されている。
図2に示したように、使用に際し外力Aが負荷されると、ハニカムコア1そしてハニカムパネル4が、その特性にも拘わらず破壊されてしまうことが、多々あった。ハニカムパネル4の背面側等に、その曲げ変形を抑制するクランプ等の固定が存しない使用状態の場合、破壊が発生し易かった。
すなわち、外力Aが負荷されると、→ハニカムパネル4について、フロント側のスキン材2側に圧縮力Bが作用し、リア側のスキン材3側に引張力Cが作用して、ハニカムコア1にせん断力Dが作用する。
→もって従来のハニカムパネル4は、ハニカムコア1が曲げ変形し、遂にはせん断破壊Eされるに至ることが、多々あった。
このように、負荷方向(鉛直方向)Gから負荷された外力Aは、最初に到着するフロント側のスキン材2が1枚板構造よりなることに起因して、その多くが直交方向(水平方向)Hへと、伝播される。
→もってハニカムパネル4は、図2の(2)図に示したように、フロント側のスキン材2側に圧縮力Bが作用し、リア側のスキン材3側に引張力Cが作用して、ハニカムコア1にせん断力Dが作用し、曲げモーメントも作用する。
→これに対しハニカムコア1では、圧縮応力,引張応力,せん断応力が、それぞれが発生するが、→遂には、図2の(3)図に示したように、ハニカムコア1そしてハニカムパネル4が曲げ変形し、せん断破壊Eするに至ることが多々あった。
ハニカムコア1は、せん断破壊Eと圧縮破壊Fとが混在した破壊挙動を示すが、せん断破壊Eが特に顕著化する。
すなわち、従来のハニカムパネル4では、負荷方向(例えば縦の鉛直方向)Gから負荷される外力Aが、直交方向(横の水平方向)Hへと伝播されてしまうので、ハニカムコア1の重量比強度,圧縮強度に優れるという特性が、発揮できていなかった。
本発明のハニカムパネルの圧縮強度発現構造は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、せん断破壊等が抑制され、第2に、しかもこれが簡単容易に実現される、ハニカムパネルの圧縮強度発現構造を提案することを目的とする。
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1のハニカムパネルの圧縮強度発現構造は、セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体よりなるハニカムコアについて、その両開口端面にスキン材が接合された、ハニカムパネルに関する。
そして、少なくともフロント側の該スキン材は、各パート板の集合体よりなること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2のハニカムパネルの圧縮強度発現構造では、請求項1において、フロント側の該スキン材は、その各該パート板が、それぞれ多角形状をなし、非連続で平面的に配置されると共に、該ハニカムコアの開口端面にそれぞれ個別に接合されていること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3のハニカムパネルの圧縮強度発現構造では、請求項2において、フロント側の該スキン材は、その各該パート板が、負荷された外力を、該ハニカムコアに対しそのまま負荷方向に伝播して、他方向への伝播を抑制する。もって該ハニカムコアは、圧縮強度を発現して変形や破壊が抑制されること、を特徴とする。
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)本発明のハニカムパネルは、フロント側のスキン材を各パート板の集合体とした構造を、採用してなる。
(2)そして代表的には、爆轟負荷用,爆発負荷用,衝撃負荷用,防弾用等として、使用される。
(3)もって、これらにより負荷される外力は、フロント側のスキン材の各パート板により、負荷方向のままハニカムコアへと伝播される。
(4)ハニカムコアは、このように伝播された外力に対し、その最大特性である優れた重量比強度を発現する。負荷方向と一致するセル軸方向について、強力な圧縮強度を発現する。
(5)このように、本発明のハニカムパネルによると、スキン材を各パート板の集合体としたことにより、ハニカムコアの圧縮強度が強制的に発現され、もって曲げ変形そしてせん断破壊発生が抑制される。
(6)そして、このような圧縮強度発現構造は、ハニカムパネルのフロント側のスキン材を、各パート板の集合体としたことにより、簡単容易に実現される。
(7)そこで、本発明は次の効果を発揮する。
第1に、せん断破壊の発生等が抑制される。
本発明のハニカムパネルの圧縮強度発現構造では、フロント側のスキン材を各パート板の集合体としたことにより、外力をハニカムコアに対し負荷方向のまま伝播する。
もって、本発明のハニカムパネルでは、ハニカムコアの特性である圧縮強度が強制的に発現されるようになり、前述したこの種従来例に比し、曲げ変形やせん断破壊発生が抑制される。
第2に、しかもこれが簡単容易に実現される。
本発明のハニカムパネルの圧縮強度発現構造は、上述した第1の効果を、スキン材についてパート板を採用したことにより、簡単な構造により容易に実現される。
もって製造に手間取ることもなく、コスト面に優れて製造可能であると共に、広く各種用途に容易に使用可能である。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
《本発明の概要》
まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明の圧縮強度発現構造は、ハニカムパネル9に関する。すなわち、セル壁5にて区画形成された中空柱状の多数のセル6の平面的集合体よりなるハニカムコア1について、その両開口端面にスキン材7,8が接合された、ハニカムパネル9に関する。
そして、少なくともフロント側スキン材7は、各パート板10の集合体よりなる。そして各パート板10は、それぞれ多角形状をなし、非連続で平面的に配置されると共に、ハニカムコア1の開口端面にそれぞれ個別に接合されていること、を特徴とする。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について、更に詳述する。
まず、ハニカムパネル9について、一般的に説明する。
ハニカムパネル9の芯材であるハニカムコア1は、図3にも示したように、セル壁5にて区画形成された、中空柱状の多数の空間であるセル6の平面的集合体よりなる。
もって重量比強度に優れており、特に軽量性やセル軸方向Jの圧縮強度,剛性等に優れており、更に平面精度にも優れる、その他の特性を備えている。
ハニカムコア1の母材としては、アルミニウム,その他金属,プラスチック,繊維強化プラスチック,セラミック等が用いられる。セル壁5やセル6の断面形状は、図示の正六角形が代表的であるが、略三角形,略四角形,その他各種形状のものも可能である。
そしてハニカムコア1は、図1の(3)図に示したように、セル軸方向Jを、フロント側(図示例ではアッパーUPR側)とリア側(図示例ではロアLWR側)とに向けると共に、セル壁5やセル6の開口端面に、スキン材7,8が、表面板として接着等により接合され、もって、ハニカム(サンドイッチ)パネル9が形成されている。
スキン材7,8の母材については、ハニカムコア1の母材に準じる。
次に、本発明のスキン材7,8について、説明する。
このハニカムパネル9のフロント側のスキン材7は、図1の(1)図に示したパート板10を、図1の(2)図,(3)図に示したように多数、平面的に集合せしめた構造よりなる。
なおリア側のスキン材8は、このようなフロント側のスキン材7と同様の構造としてもよいが、これによらず、図示のように一般的な1枚板製としてもよい。つまり、前述した従来例のスキン材2,3(図2を参照)と同様、1枚板構造であってもよい。
さて、フロント側のスキン材7を構成する各パート板10は、それぞれ多角形状をなす。図示例では六角形状をなす。そして、フロント側のスキン材7は、通常このような同一形状の各パート板10の集合体よりなるが、形状が異なるパート板10の集合体とすることも可能である。
そして各パート板10は、個体間が非連続,非連結で、略グリッド状,群体状に、隙間なく密接して、平面的に配置されると共に、ハニカムコア1のセル壁5の開口端面に対し、それぞれ個別に接合されている。
次に、このようなフロント側のスキン材7の機能について、説明する。
フロント側のスキン材7は、その各パート板10が、それぞれ負荷された外力を、ハニカムコア1に対し、そのまま負荷方向Gにそれぞれ伝播すると共に、他方向への伝播を抑制する。
すなわち、図1の(4)図に示したように、外力Aがハニカムパネル9に、負荷方向(図示例では縦の鉛直方向)Gから負荷されると、→外力Aは、フロント側のスキン材7に、まず到達する。そしてスキン材7を経由し、→そのままハニカムコア1へと、負荷方向(鉛直方向)Gから伝播される。
→このように外力Aは、負荷方向(鉛直方向)Gのまま、直線的にハニカムコア1へと伝播される。
→スキン材7が、非連続,非連結のパート板10の集合体よりなるので、外力Aが、負荷方向Gに対し直交方向(横の水平方向)(図2の(1)図の従来例を参照)Hへと伝播されることは、遮断され回避される。
このように、負荷された外力Aは、スキン材7のパート板10により、そのまま負荷方向Gからハニカムコア1へと伝播される。
本発明のハニカムパネル9の圧縮強度発現構造は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)本発明は、ハニカムパネル9について、圧縮強度を強制的に発現させる構造を採用してなる。すなわち、フロント側のスキン材7を、各パート板10の集合体とした構造を採用してなる(図1の(1)図,(2)図,(3)図等を参照)。
そして本発明のハニカムパネル9は、その圧縮強度発現構造に基づき、爆轟負荷用,爆発負荷用,衝撃負荷用,防弾用等の壁板材として、代表的に使用される(特に、背面等に曲げ変形を抑制するクランプ等の固定が存しない使用状態において、使用される)。
例えば、気体の燃焼時の熱膨張が音速を超えて衝撃波を伴う爆轟や、一般的な爆発に対応する、衝撃波用,防爆用として使用される。又、弾丸に対する防弾用、その他の衝撃荷重用として使用される。
すなわち、フロント側から負荷された外力Aは、フロント側のスキン材7の各パート板10により、負荷方向(鉛直方向)Gのまま分力化されて、ハニカムコア1へと伝播される(図1の(4)図を参照)。
前述したこの種従来例のハニカムパネル4のように(図2の(1)図を参照)、フロント側の1枚板構造のスキン材2により、負荷方向(鉛直方向)Gに対し直角方向(水平方向)Hに、方向を変えて伝播されることは、本発明では回避される。
そして、その圧縮強度,剛性の発現により、負荷方向(鉛直方向)Gからの外力A、つまりセル軸方向Jの荷重に対し、十分な応力で強力に対応し、その運動エネルギーに基づく荷重を吸収する。
もって、負荷された外力Aによる曲げ変形発生やせん断破壊E発生は、抑制される。すなわち、この種従来例のハニカムパネル4のように、圧縮力B,引張力C,せん断力D,曲げモーメント等が作用することは、回避される。
ハニカムパネル9やハニカムコア1が、曲げ変形し(図2の(2)図を参照)、せん断破壊Eすること(図2の(3)図を参照)は防止される。勿論、圧縮破壊Fも大幅削減される。
本発明の作用等については、以上のとおり。
B 圧縮力
C 引張力
D せん断力
E せん断破壊
F 圧縮破壊
G 負荷方向(鉛直方向)
H 直交方向(水平方向)
J セル軸方向
1 ハニカムコア
2 フロント側のスキン材(従来例)
3 リア側のスキン材(従来例)
4 ハニカムパネル(従来例)
5 セル壁
6 セル
7 フロント側のスキン材(本発明)
8 リア側のスキン材(本発明)
9 ハニカムパネル(本発明)
10 パート板
Claims (3)
- セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体よりなるハニカムコアについて、その両開口端面にスキン材が接合された、ハニカムパネルにおいて、
少なくともフロント側の該スキン材は、各パート板の集合体よりなること、を特徴とするハニカムパネルの圧縮強度発現構造。 - 請求項1において、フロント側の該スキン材は、その各該パート板が、それぞれ多角形状をなし、非連続で平面的に配置されると共に、該ハニカムコアの開口端面にそれぞれ個別に接合されていること、を特徴とするハニカムパネルの圧縮強度発現構造。
- 請求項2において、フロント側の該スキン材は、その各該パート板が、負荷された外力を、該ハニカムコアに対しそのまま負荷方向に伝播して、他方向への伝播を抑制し、
もって該ハニカムコアは、圧縮強度を発現して変形や破壊が抑制されること、を特徴とするハニカムパネルの圧縮強度発現構造。
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