JP2019090638A - 切削工具切れ刃形状測定装置及び測定方法 - Google Patents

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裕樹 清水
Hiroki Shimizu
裕樹 清水
高 偉
Isamu Ko
偉 高
遠流 陳
Yuanliu Chen
遠流 陳
引テイ 蔡
Yin Tei Cai
引テイ 蔡
伊東 聡
Satoshi Ito
聡 伊東
泰博 國枝
Yasuhiro Kunieda
泰博 國枝
知顕 篠田
Tomoaki Shinoda
知顕 篠田
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Abstract

【課題】先端径が20ナノメートル以下の原子間力顕微鏡プローブを用いて、精密切削工具切れ刃形状を評価する際に、特別に高精度な標準試料等を用いることなく、自律的に工具エッジ形状と原子間力顕微鏡プローブ形状を分離して絶対測定を実現する技術を提供する。【解決手段】測定対象の精密切削工具切れ刃形状と、軟質金属表面にその形状が転写された反転エッジを同じ原子間力顕微鏡プローブで走査して、測定した二つのエッジ形状のデータの差動演算から、自律的に工具エッジ形状と原子間力顕微鏡プローブチップ形状を分離して測定する。工具エッジ形状とその反転形状を同じ環境で計測した結果の差動演算から、原子間力顕微鏡プローブチップと工具エッジ形状を分離して同時に求める絶対測定ができる。また、機械的電磁的環境外乱も差動演算で除去することができ、加工機上でもサブナノメートルの目標精度を実現することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤモンド切削工具の切れ刃形状測定方法及び測定装置に係わる。更に詳しくは単結晶ダイヤモンドを用いた超精密切削加工工具の切れ刃形状を、原子間力顕微鏡を用いて測定する測定装置及び方法に係わるものである。具体的にはダイヤモンド切削工具の良好な形状転写性を利用して、ダイヤモンド切削工具のエッジ形状を原子間力顕微鏡で直接測定した結果と、前記ダイヤモンド切削工具の形状を軟質金属の表面に転写した反転エッジ形状を、前記ダイヤモンド切削工具形状を測定したと同一の原子間力顕微鏡プローブ測定した結果を基に、原子間力顕微鏡プローブの先端形状の影響を取り除いた形でのダイヤモンド切削工具のエッジ形状の測定を実現するダイヤモンド切削工具の切れ刃のエッジ形状の測定装置及び測定方法に関する。
超精密加工に使用される単結晶ダイヤモンド超精密切削加工工具には、工作物(ワーク)表面を平滑な鏡面に仕上げる高精度でかつ瑕疵のない鋭利なエッジを持つことが要求される。次世代の超精密切削加工工具(マイクロ工具)では、ピッチや幅が光波長に近い超微細形状の創生が必要であり、20nm(ナノメートル)以下の丸み半径(鋭利さ)が求められる。この次世代マイクロ工具の高精度高能率製造と、その使用技術を確立させるために、超精密工具研磨機及び超精密旋盤など加工機上で工具エッジ形状をサブnmの精度で高速かつ正確に計測することが必要不可欠となっている。
従来、通常の工具のエッジ形状を測定するためには、光学顕微鏡あるいは光学顕微鏡を用いた投影機等が使用されていた。しかしながら、超精密工具研磨機及び超精密旋盤など加工機上で工具エッジ形状をサブnmの精度で高速かつ正確に計測するためには、前述の光学顕微鏡あるいは光学顕微鏡を用いた投影機法等では不十分であった。従って、このような問題点を解決するために、近年電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡あるいは原子間力顕微鏡などが使用されるようになって来ている(例えば非特許文献1、非特許文献2)。
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下SEMと略記する)は広い視野と深い焦点深度を有しているため、超精密切削加工工具(マイクロ工具)の先端エッジの位置決めが容易である。しかしながら、SEMは基本的には、三次元(3D)のエッジ形状を二次元(2D)の投影を行なうものであって、エッジの鋭さや輪郭の精度を定量的に評価する目的には適していない。更に、電子顕微鏡あるいはSEMを用いた手法は、非接触式の測定方法ではあるが、電子ビームによる工具刃先へのダメージを与える恐れがあり、また真空中で観察、測定することが必要であるため、加工機上での測定には対応できないという制約がある。
一方、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:以下AFMと略記する)を使用する場合は、AFMのプローブ(探針)の先端チップを計測対象(ワーク)の表面に沿って走査して形状を測定するものであるから、超精密切削加工工具(マイクロ工具)の三次元でのnmの精度での測定の能力を持つものであり、しかも非接触測定であって、真空も必要としないので、加工機上での測定に対応が可能である。
ここでいうAFMとは、走査型プローブ顕微鏡の一種であり、カンチレバー先端に取り付けたプローブの先端チップをワーク表面の近く(数nm)まで近づけ、両者の間で働く原子間相互作用による力を検出し、一定の間隔(力)を保ってワーク表面を走査し、カンチレバーの上下方向への変位を計測することでワーク表面の形状を測定するものである。このAFMによれば、プローブとワーク表面は非接触なのでワークを傷つけることもない。そして原子レベルの三次元分解能を持つため、ダイヤモンド切削工具のエッジ形状の三次元測定に応用する手法が多く提案されて来ている(例えば非特許文献2、3または4)。
しかしながら、従来型のAFMを用いるこれらの公知例では、光学顕微鏡で観察しながら、手動でAFMプローブ先端チップ(Tip)を工具エッジ(Edge)にアライメントするのに大変時間がかかり、マイクロ工具エッジの高速測定ができないという問題点が指摘されていた。更に、AFMのプローブ先端チップの半径と、工具のエッジ丸み半径がほぼ同じ大きさであるため、AFMはマイクロ工具エッジ形状を正確に表現する絶対測定ができないという問題点も指摘されていた。
このような問題点を解決するために、特許文献1では、新たにAFMに組み込んだTip−to−Edgeアライメント用光プロ−ブの対物レンズによって絞られた微小光スポットを中心に、それぞれAFMプローブ先端チップと工具エッジを自動的に合わせる方法が提案されており、非特許文献4には実際に当該手法を用いたマイクロ工具エッジ形状の高速測定結果が開示されている。しかしながら、AFMによる測定結果に含まれる半径が20nm以下のAFMチップおよびマイクロ工具のエッジの形状を分離する有効な手段がないため、この方法ではマイクロ工具のエッジ形状の絶対測定ができないことが指摘されている。
特開2005−308605号公報
D.Krulewich Born, W.A.Goodman "An empirical survey on the influence of machining parameters on tool wear in diamond turning of large single−crystal silicon optics" Prec. Engineering, Vol.25(2001), No.4, p.247−257 D.A.Lucca, Y.W.Seo "Effect of tool edge geometry on energy dissipation in ultrapresision machining" Annals of the CIRP, 42−1(1993) pp.83−86 小畠一志 「最近のダイヤモンド切削技術」精密工学会秋季大会シンポジウム資料集(2004) pp.1−5 W.Gao, T.Asai, Y.Arai "Precision and fast measurement of 3D cutting edge profiles of single point diamond micro−tools" Annals of the CIRP, 58−1(2009) pp.451−454
上述の如き問題点に鑑み、本発明者等は鋭意研究を行なった結果、先端径が20nm以下のAFMプローブを用いて精密ダイヤモンド切削工具の切れ刃形状を評価する際に、特別に高精度の標準試料を用いることなく、ダイヤモンド工具のエッジ形状とAFMプローブ形状を分離して測定することで、エッジ形状の絶対測定が実現することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。具体的には、測定対象である精密ダイヤモンド切削工具の切れ刃形状と、軟質金属表面にその形状が転写された反転エッジ形状を、同じAFMプローブで走査して、測定した二つのエッジ形状の差動演算から、自律的に工具エッジ形状とAFMプローブチップ形状を分離して測定を行なう。
AFM等プローブを用いる顕微鏡においては、解像度ならびに出力される構造データは、プローブのサイズと形状に影響を受ける。即ち、AFMプローブの先端の丸み部分が誤差の要因となることは知られていたが、精度がそれほど高くない場合は、この誤差は相対的に小さいため、無視できるレベルであった。しかしながら、精度が上がり、次世代のマイクロ工具に20nm以下の丸み半径が求められるようになると、工具エッジ形状をサブnmの精度で測定することが必要となる。このような精度では上述の誤差は無視できなくなって来ている。この誤差をキャンセルすることを目的に、本発明はなされたものである。
本発明で行なうAFMによる試料の観察は、カンチレバーの先端に取り付けたプローブを、ピエゾ素子により振動させながら、試料表面の近く(数nm)に近づけ、両者の間に働く原子間相互作用による力を検知し、一定の距離を保ってスキャンするのであるから非接触タイプである。即ち、試料表面の凹凸を計るものであり、三次元を計る場合には測定範囲が狭くなる。
本発明においては、AFMプローブと精密切削工具の先端の精密位置決めをするために光学式センサーを使用することができる。
即ち、上述の課題は、AFMのカンチレバープローブと、該カンチレバープローブにかかる荷重が一定になるようフィードバック制御を行なうプローブ制御部と、測定対象である精密切削工具の先端形状を転写するための軟質金属ワークと、該軟質金属ワークを、前記精密切削工具に対面する位置に保持する軟質金属ワーク保持ホルダーと、前記軟質金属ワークに前記精密切削工具を押し込む工具押込み機構と、前記軟質金属ワークを保持した軟質金属ワーク保持ホルダーと前記精密切削工具とを前記プローブ制御部に搭載するためのツールマウントと、該ツールマウントを搭載した工具押込み機構をAFMカンチレバープローブに近接するための移動機構とを有することを特徴とする切削工具切れ刃形状測定装置、により解決できる。前記AFMカンチレバープローブの先端径は20nm以下であることが好ましい。
本発明の切削工具切れ刃形状測定装置は、AFMのカンチレバープローブと、精密切削工具を精密位置決めするための光学式センサーを有することができる。
また、本発明の切削工具切れ刃形状測定装置は、AFMのカンチレバープローブにかかる荷重を得るための光学式センサーを有することができる。
さらに、本発明の切削工具切れ刃形状測定装置は、AFMのカンチレバープローブにかかる荷重を得るためのひずみゲージセンサーを有することができる。
本発明の切削工具切れ刃形状測定装置は、以下に示す方法にて使用することが出来る。即ち、軟質金属ワーク保持ホルダーにより保持された軟質金属ワークに対して、精密切削工具を押込み、前記軟質金属ワーク表面に工具圧痕を形成した後、前記軟質金属ワークを、前記軟質金属ワーク保持ホルダーとともにツールマウントに搭載し、移動機構により前記ツールマウントに搭載した前記精密切削工具及び前記軟質金属ワークをAFMカンチレバープローブに近接し、プローブ制御部により前記AFMカンチレバープローブを前記精密切削工具上で走査して得られた形状m1と、前記プローブ制御部により前記AFMカンチレバープローブを前記軟質金属ワーク上に形成された前記工具圧痕で走査して得られた形状m2から、前記AFMカンチレバープローブの先端形状の影響を取り除いた形で前記精密切削工具の形状を得ることができる。
本発明によれば、測定対象の精密切削工具の切れ刃の形状と、軟質金属ワーク表面にその形状が転写された反転エッジを、同じAFMプローブで走査して測定した二つのエッジ形状のデータ差動演算から、自律的に工具エッジ形状とAFMプローブチップを分離して測定することができる。従来、AFMプローブ先端の形状精度が測定の基準となっており、工具エッジ形状の測定結果の正確さはその基準に基づく相対測定である。それに対し、本発明の手法では、工具エッジ形状とその反転形状を同じ環境で計測した結果の差動演算からAFMプローブチップと工具エッジ形状を分離して同時に求める絶対測定ができる。また、機械的電磁的環境外乱も差動演算で除去することができ、加工機上でもサブナノメートル(nm)の目標精度を実現することができる。
本発明で用いる光学系の概略図である。 AFMプローブ1先端の実形状、測定対象である精密切削工具3の実形状とAFMプローブ走査により得られたAFMプローブ1先端の測定形状と、AFMプローブ走査により得られた工具圧痕の測定形状との関連を示した説明図である。 精密切削工具の先端部分11と工具圧痕13をカンチレバープローブ先端部分10で走査する状態を示す拡大説明図である。 本発明の工具押込み機構6の構成例を示した模式図である。
本発明を、図面をもって説明する。図1は、本発明で用いる光学測定系を説明する概略図である。この測定系は先端径が20nm以下のAFMカンチレバープローブ1と該AFMカンチレバープローブ1にかかる荷重が一定となるようにフィードバック制御を行なうプローブ制御部2と、測定対象である精密切削工具3の先端形状を転写するための軟質金属ワーク4と、該軟質金属ワーク4を前記精密切削工具3に対面する位置に保持する軟質金属ワーク保持ホルダー5と、前記軟質金属ワーク4に前記精密切削工具3を押込むための工具押込み機構6と、前記軟質金属ワーク4を保持した軟質金属ワーク保持ホルダー5と前記切削工具3とをプローブ制御部2に搭載するためのツールマウント7と、該ツールマウント7を搭載した工具押込み機構6を、前記AFMカンチレバープローブ1に近接するための移動機構8とからなる。
本測定系は、ワーク加工後に精密切削工具を取り外す必要がないように、図1に示すように加工機上に取り付けられる形態とすることが好ましい。また、プローブ制御部2については、なるべく位置決め精度が高く、かつ運動自由度の高いステージの適用が好ましく、例えば圧電アクチュエーターを駆動素子として用い、内蔵する位置センサーの出力をもとにXYZ軸方向にフィードバックループ駆動される圧電ステージであることが好ましい。更に、AFMカンチレバープローブ‐測定対象位置決め光学式センサー9を具備していることが好ましい。
本発明の精密切削工具3の先端刃先形状の測定手順を、図2及び図3を用いて説明する。図2はAFMカンチレバープローブ1の先端10の実形状a10、測定対象である精密切削工具3の先端11の実形状t11と、AFMプローブ走査により得られたAFMカンチレバープローブ1の先端10の測定形状m12(破線12でその軌跡を示す)と、AFMプローブ走査により得られた工具圧痕13の測定形状m14(破線14でその軌跡を示す)の関係を示したものである。そして図3はその要部を拡大した説明図である。まず、軟質金属ワーク保持ホルダー5により保持された軟質金属ワーク4に対して精密切削工具3を押込み、前記軟質金属ワーク4の表面に工具圧痕13を形成する。この時、前記軟質金属ワーク4は前記精密切削工具3に対面する位置に保持し、工具押込み手段として工具押込み機構6を使用する。工具押込み機構には、後述するように工具とワークの接触箇所を検出するセンサーを搭載したものを適用することが好ましい。その後、前記軟質金属ワーク4を前記軟質金属ワーク保持ホルダー5とともにツールマウント7に搭載する。その後移動機構8により前記ツールマウント7に搭載した精密切削工具3及び軟質金属ワーク4を前記AFMカンチレバープローブ1に近接させる。プローブ制御部2を用いて精密切削工具3上で走査すると精密切削工具3の先端11の測定形状m12(破線12)が得られる。また、前記プローブ制御部2により前記AFMカンチレバープローブ1を前記軟質金属ワーク4上に形成された工具圧痕13上を走査することにより工具圧痕13の測定形状m14(破線14)が得られる。
破線12で示されるAFMカンチレバープローブ1の先端10の測定形状mは、工具先端の形状関数tに、AFMカンチレバープローブの形状aを加えたものであり、破線14で示される工具圧痕13の測定形状mは、AFMカンチレバープローブの形状aより、工具圧痕13の形状tを減じたものである。かくしてAFMカンチレバープローブ1の先端形状の影響を取り除いた形で、精密切削工具3の正確な形状を得ることができる。
この時、AFMカンチレバープローブ1の先端の実形状a10、測定対象である精密切削工具3の実形状t11と、AFMプローブ走査で得られたAFMカンチレバープローブ1の先端の測定形状m12と(破線12)、AFMプローブ走査で得られた工具圧痕13の測定形状m14(破線14)は、それぞれ位置(x,y)の関数として表すことができ、以下の式が成り立つ。
(x,y)=a(x,y)+t(x,y) (1)
(x,y)=a(x,y)−t(x,y) (2)
ダイヤモンド精密切削工具3は良好な形状転写性を有しているため、軟質金属ワーク表面に転写された工具圧痕13の実形状は、精密切削工具3の実形状tを反転したものとなる。従って上述の2つの式から、以下の式を得ることができる。
t(x,y)={m(x,y)−m(x,y)}/2 (3)
式(3)によれば、AFMカンチレバープローブ1の走査で得られたAFMカンチレバープローブ1の先端の測定形状m12と工具圧痕13の測定形状m14をもとに演算を行なうことで、AFMカンチレバープローブ1の先端の実形状a10に影響されずに、精密切削工具3の実形状t11を得ることができることになる。なお、ここで述べた測定手順はあくまでも一例であり、その順番の一部が前後しても測定には差し支えないものである。
本発明になる切削工具切れ刃形状測定装置で使用する工具押込み機構6の構成例を、図4を用いて説明する。図4において、工具押込み機構6は、精密切削工具3と、ツールマウント7と、力センサー15と、圧電アクチュエーター16とこれらを封止する工具押込み機構筐体18を必要部材として構成されている。精密切削工具3と、ツールマウント7と、力センサー15と、圧電アクチュエーター16と、静電容量型変位センサー17はいずれも直列に配列されており、力センサー15を用いることで精密切削工具3に対して圧電アクチュエーター16の駆動軸方向にかかる応力を測定することができる。これにより、精密切削工具3を軟質金属ワーク4に押込む際、精密切削工具3を軟質金属ワーク4との接触が開始した点を精密に検出することが可能となる。また、精密工具3を押込み中に、内蔵の静電容量型変位センサー17の出力変化を読み取ることで、軟質金属ワーク4への精密切削工具3の押込み量を精密に検出することができる。
なお、本発明における、AFMカンチレバープローブ1にかかる荷重の検出方法としては、ひずみゲージを用いる方法、光てこを用いる方法などが従来利用されており、本発明においてはいずれの方法も使用可能であり、特に限定を受けるものではない。
また、本発明の軟質金属ワーク4の材料としては、アルミニウム(Al)、ニッケルリン(NiP)などダイヤモンド工具を用いた精密加工に用いられる材料が使用可能であり、その他の材質についても、精密加工工具押込みに対して良好な形状転写性が得られる材料であれば適用可能であり、特に限定を受けるものではない。
更に、プローブ制御部に使用する、プローブ走査機構に長ストロークを有する精密ステージを使用することで、本発明の工具形状測定装置は、大型の精密切削工具の形状測定にも適用可能である。
以下実施例に従い、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明が特に限定を受けるものではない。測定実験の手順は以下の通りとする。なお工具としてはダイヤモンド精密切削工具を用いるが、以下単に精密切削工具と略記することもある。また、AFMカンチレバープローブをAFMプローブと略記することもある。
1.評価するAFMプローブを用いて精密切削工具のエッジを走査し、形状の測定を行なう。
2.測定した工具エッジでインデンテーション試験(押込み量を変えての繰り返し押込実験)を行なう。
3.インデンテーション痕の形状を、前記AFMプローブを用いて走査し測定する。
4.得られた結果から、前記切削工具のエッジ形状とAFMプローブの先端径を算出する。
使用する軟質材料としてアルミニウムを選定した。使用する精密切削工具として、半径2mmの先端形状を持つダイヤモンド精密切削工具を用いることとした。装置としては図1で示す光学測定系装置を用いた。
前述のAFMカンチレバープローブの形状aの実測例として、AFMカチレバープローブの半径Rtipを用いた。そして測定対象である精密切削工具3の先端部分10の実形状tの実測例として精密切削工具の先端エッジの半径Rtoolを用いた。次いで工具圧痕(インデンテーション)13の形状半径の測定をAFMプローブにて行ない、測定結果をRindで現わした。そして、AFMプローブ走査で得られたAFMカンチレバープローブの先端の測定形状mおよびAFMプローブ走査で得られた工具圧痕の測定形状mいずれについても半径Rで現わすこととして実験を行なった。
測定を行なうAFMプローブを用いて、使用する工具の先端エッジの半径形状を原子間力顕微鏡で測定した。測定値をRtool_mで示す。Rtool_mは、前述の式(1)−(3)のmに相当する。
上述の工具(ダイヤモンド精密切削工具)を用いて、アルミニウム軟質金属ワーク表面に、該工具の駆動電圧を10Vに設定してインデンテーション試験を行ない、インデンテーション痕の形状の(Rind.)の測定を前述のAFMプローブを用いて行なった。インデンテーションを行なう箇所3箇所をランダムに選び、各々のインデンテーション痕の形状の測定をAFMプローブにて行なった。測定結果をRind.1、Rind.2、Rind.3とし、その平均値をRind.とした。Rind.は、前述の式(1)−(3)のmに相当する。なお、この時の工具の移動距離は1.67μmであった。測定結果を表1に示す。
Figure 2019090638
工具の駆動電圧を8Vに変更して同様なインデンテーション試験を行なった。なお、この時の工具の移動距離は1.32μmであった。測定結果を表2に示す。
Figure 2019090638
工具の駆動電圧を6Vに変更して同様なインデンテーション試験を行なった。なお、この時の工具の移動距離は0.97μmであった。測定結果を表3に示す。
Figure 2019090638
工具の駆動電圧を4Vに変更して同様なインデンテーション試験を行なった。なお、この時の工具の移動距離は0.64μmであった。測定結果を表4に示す。
Figure 2019090638
上述の結果に基づいて、得られたRind_m(AFMプローブを用いて測定したインデンテーション痕の先端の径)とRtool_m(AFMプローブを用いて測定したダイヤモンド工具の形状)とからRtool_r(転写法により計算したダイヤモンド工具の形状)およびRtip_r(転写法により計算したAFMプローブの先端の径)を求めた。Rtip_rは、前述の式(1)−(3)のaに相当する。結果を表5に示す。
Figure 2019090638
本発明の転写法によりダイヤモンド工具の先端形状を計算し求めることができた。そして、同じく計算し求めたAFMプローブの先端の径(Rtip_r)は、インデンテーションの押込み量を変えてもほとんど変わらず、14nm程度であり、これは妥当な値である。これにより、本発明の測定方法の妥当性が証明された。
本発明によれば、標準試料などの外部基準を一切用いない切削工具切れ刃形状測定装置を得ることができる。即ち、外部基準では到達できないナノメートルエッジ形状を自律的に測定できるとともに、世界で初めてマイクロ工具のナノメートルエッジ形状をサブnmの絶対精度で計測することができ、次世代高精度マイクロ工具の製造および使用における精度管理が現状より一桁高いレベルで可能となったものであり、その工業的価値は極めて高いといえる。更に、AFMプローブの先端チップ形状のサブnmの絶対計測も同時に実現でき、AFMが必要なツールとされるナノテクノロジー、半導体製造、生体・バイオ工学など広い分野にとっても重要な意味を持ち、その科学的工学的波及効果が極めて大きい。
1 カンチレバープローブ 2 プローブ制御部 3 精密切削工具
4 軟質金属ワーク 5 軟質金属ワーク保持ホルダー
6 工具押込機構 7 ツールマウント 8 移動機構
9 光学式センサー 10 カンチレバープローブの先端部分
11 精密切削工具の先端部分
12 カンチレバープローブの先端の測定形状 13 工具圧痕
14 工具圧痕の測定形状 15 力センサー
16 圧電アクチュエーター 17 静電容量型変異センサー
18 工具押込機構筐体
a カンチレバープローブの実形状 t 精密切削工具の実形状

Claims (6)

  1. 原子間力顕微鏡のカンチレバープローブと、該カンチレバープローブにかかる荷重が一定になるようフィードバック制御を行なうプローブ制御部と、測定対象である精密切削工具の先端形状を転写するための軟質金属ワークと、該軟質金属ワークを、前記精密切削工具に対面する位置に保持する軟質金属ワーク保持ホルダーと、前記軟質金属ワークに前記精密切削工具を押し込む工具押込み機構と、前記軟質金属ワークを保持した軟質金属ワーク保持ホルダーと前記精密切削工具とを前記プローブ制御部に搭載するためのツールマウントと、該ツールマウントを搭載した工具押込み機構を原子間力顕微鏡プローブに近接するための移動機構とを有することを特徴とする切削工具切れ刃形状測定装置。
  2. 原子間力顕微鏡のカンチレバープローブの先端径が20ナノメートル以下であることを特徴とする請求項第1項に記載の切削工具切れ刃形状測定装置。
  3. 原子間力顕微鏡カンチレバープローブと精密切削工具を精密位置決めするための光学式センサーを有することを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の切削工具切れ刃形状測定装置。
  4. 原子間力顕微鏡カンチレバープローブにかかる荷重を得るための光学式センサーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切削工具切れ刃形状測定装置。
  5. 原子間力顕微鏡カンチレバープローブにかかる荷重を得るためのひずみゲージセンサーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切削工具切れ刃形状測定装置。
  6. 請求項1ないし請求項5に記載の切削工具切れ刃形状測定装置において、軟質金属ワーク保持ホルダーにより保持された軟質金属ワークに対して、精密切削工具を押込み、前記軟質金属ワーク表面に工具圧痕を形成した後、前記軟質金属ワークを前記軟質金属ワーク保持ホルダーとともにツールマウントに搭載し、移動機構により前記ツールマウントに搭載した前記精密切削工具及び前記軟質金属ワークを原子間力顕微鏡カンチレバープローブに近接し、プローブ制御部により前記原子間力顕微鏡カンチレバープローブを前記精密切削工具上で走査して得られた形状mと、前記プローブ制御部により前記原子間力顕微鏡カンチレバープローブを前記軟質金属ワーク上に形成された前記工具圧痕上で走査して得られた形状mから、前記原子間力顕微鏡カンチレバープローブの先端形状の影響を取り除いた形で前記精密切削工具の形状を得ることを特徴とする切削工具切れ刃形状測定方法。
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JP2016521853A (ja) * 2013-06-17 2016-07-25 アントン パール トライテック ソシエテ アノニム ナノインデンテーション器具用測定ヘッド及び測定方法

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