以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、実施形態以外の他の実施形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
図1は、実施形態の偏光装置を含む製造設備の全体の概略図である。図1に示されるように、製造設備1は、ワークWを送り出す送り出しローラ10と、送り出しローラ10から送り出されたワークWを巻き取る巻取りローラ12と、を備える。ワークWは、表面に光配向膜が形成された対象物である。製造設備1は、送り出しローラ10と巻取りローラ12との間に設置された偏光光照射装置20を備える。
図1に示されるワークWは、2つの表面(主面)を持ち、可撓性の連続した帯状の膜厚の薄い部材であり、ウェブとも称される。ワークWの材質として樹脂フィルムを挙げることができる。ワークWはウェブに限定されず、例えば、剛性を有する平板状のガラス基板等であってもよい。
ワークWは、送り出しローラ10から巻取りローラ12に、搬送方向MD(Machine Direction)に沿って、連続的に水平方向に搬送される。
偏光光照射装置20は、光を放射する棒状の光源22と、光源22を覆う反射鏡24と、を備える。光源22、及び反射鏡24は、搬送方向MDに直交する幅方向TD(Transverse Direction)に延び、ワークWの幅よりも大きい長さを有している。
光源22として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができる。240nm以上450nm以下の波長を有する紫外線と称される光が、光源22から放射される。
反射鏡24は、楕円の一部、又は放物線の断面形状を有する。反射鏡24は、光源22から放射される光を反射し、光源22からの光を効率的にワークWに導く。
偏光光照射装置20は、光源22とワークWとの間に配置されたルーバ26を備える。ルーバ26は光源22に沿って配置され、ワークWの幅と略同じ長さを有する。ルーバ26は、光源22から照射される光、及び反射鏡24から反射される光の中から、ワークWに対して所定の角度の光のみを通過させる。例えば、ルーバ26は、ワークWの主面に対して直交する光を通過させる。
偏光光照射装置20は、ルーバ26とワークWとの間に偏光装置30を備える。偏光装置30は、偏光子として複数のワイヤーグリッド偏光子32と、複数のワイヤーグリッド偏光子32を保持するためのフレーム34と、を備える。複数のワイヤーグリッド偏光子32は、光源22に対向するように、幅方向TDに沿って配列される。フレーム34は、複数のワイヤーグリッド偏光子32を保持するため幅方向TDに沿って延びる。フレーム34には、幅方向TDに沿って延びる矩形の開口が形成されている。複数のワイヤーグリッド偏光子32は、開口に位置合わせされ、フレーム34により保持される。複数のワイヤーグリッド偏光子32は、フレーム34の開口を介してワークWに対向する。
ワイヤーグリッド偏光子32は、対向する面を有する平板状のガラス基板と、ガラス基板の表面に形成され、一定の間隔で平行に配列された複数の直線状の金属細線と、により構成される。ワイヤーグリッド偏光子32は、入射光の中で、金属細線の長手方向に平行な偏光成分を反射、又は吸収し、金属細線の長手方向に直交する偏光成分を透過するので、ワイヤーグリッド偏光子32により直線偏光光を得ることができる。すわなち、ワイヤーグリッド偏光子32は光源22からの光を偏光することができる。光を偏光することができる限り偏光子はワイヤーグリッド偏光子32に限定されない。
図1に示されるように、ワイヤーグリッド偏光子32は、平面視で矩形である。一つのワイヤーグリッド偏光子32は、その面内で複数の金属細線は平行である、ワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向は一定である。別のワイヤーグリッド偏光子32においても、面内で複数の金属細線は平行である。一方で、ワイヤーグリッド偏光子32同士を比較すると、ワイヤーグリッド偏光子32の製作工程における加工精度等により、それぞれの金属細線の平行方向はバラツキを有する場合がある。そのため、ワイヤーグリッド偏光子32同士は、偏光方向にバラツキを有する懸念がある。そこで、後述する調整機構(不図示)により、各ワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向が調整される。
図1の実施態様ではワイヤーグリッド偏光子32を、平面視で矩形としたが、配置や設計上の要請からその形状を変更することができる。例えば、ワイヤーグリッド偏光子32は、平面視で平行四辺形又はひし形等の四角形のものでもよく、さらには四角形の角部を面取りした形状も用いることができる。
必要に応じて、長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターが、光源22と偏光装置30との間に配置される。分光フィルターは、光源22、及び反射鏡24から偏光装置30に入射される光の波長を調整できる。
図1を参照して、光配向膜の製造方法について説明する。光配向膜の製造方法は、表面に光配向膜用材料が形成された対象物を搬送するステップと、偏光装置を介して光源からの光を偏光し、偏光した光を光配向膜用材料に照射するステップと、を含む。第1に、表面に光配向膜用材料が形成されたワークWを、送り出しローラ10から巻取りローラ12に搬送する。送り出しローラ10にセットされるワークWの表面には、予め光配向膜用材料が形成される。
光配向膜は、光配向処理により製造された配向膜を意味する。光配向膜用材料は、光配向膜を製造するための材料を意味する。
光配向膜用材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド、及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステル、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号、特開2013−177561号公報、特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物が挙げられる。特に好ましい例としては、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物が挙げられる。
光配向膜用材料を対象物の表面に形成する方法としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。ワークWを搬送する過程で、光配向膜用材料を対象物の表面に形成してもよい。
ワークWの搬送途中に偏光光照射装置20が配置されている。光源22からの光が偏光装置30を介して偏光され、偏光された光が光配向膜に照射される。送り出しローラ10から巻取りローラ12に搬送する。
光源22からの光が偏光装置30を介して偏光され、偏光された光が光配向膜に照射される。偏光装置30に備えられる複数のワイヤーグリッド偏光子32は、後述する調整機構により調整され、各ワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向は一定の範囲内に揃えられる。
偏光方向を一定の範囲に揃えた複数のワイヤーグリッド偏光子32から偏光された光が、光配向膜用材料に照射されるので、特性の安定した光配向膜を製造することができる。
次に、実施形態に係る偏光装置30について図を参照して説明する。図2は、ワイヤーグリッド偏光子32を取り付ける前の偏光装置30の平面図である。偏光装置30は、フレーム34を備える。フレーム34には、フレーム34に沿って矩形の開口36が形成される。フレーム34は金属製であり、ステンレス鋼、アルミニウム等を使用することができ、アルミニウム製が特に好ましい。
開口36を挟んで、対向する位置に調整機構40と、支持部60とが配置される。複数の調整機構40が、開口36の長手方向に沿って、所定間隔で配置される。複数の調整機構40は、開口36に対して同じ側に配置される。実施形態では、1個の調整機構40に対して2個の支持部60が配置される。また、複数の支持部60は、調整機構40と反対側であって、開口36に対して同じ側に配置される。
調整機構40は、ワイヤーグリッド偏光子32(不図示)の対向する面を把持する把持部41を備える。把持部41には、把持部41の両端部から等距離にある支点42が設けられる。支点42は、把持部41を回転自在に支持する。支点42は、把持部41の回転中心となる。支点42は、フレーム34の平面に対して垂直に固定される。支点42と把持部41とは垂直であり、把持部41とフレーム34の平面とは平行となる。
実施形態においては調整機構40を左右対称として、把持部41の支点42は把持部41の両端部から等距離としたが、これに限られない。調整機構40を左右非対称に設計することもでき、この場合、把持部41の両端部から等距離に支点42を設ける必要はない。
平面視で、把持部41に対して垂直で、支点42を挟んで開口36と反対側に延びる延長部43を、把持部41は備える。したがって、把持部41は、全体として略T字型の形状を有する。
延長部43を挟んで、作動部を構成する付勢機構44と、付勢機構44に対し動作する送りネジ45とが、対向配置される。
付勢機構44は、支点42を回転中心とする一定方向の回転力を、把持部41に付与する部材である。実施形態では、付勢機構44が延長部43を付勢することにより、把持部41に回転力が付与される。
付勢機構44は、例えば、コイルバネ44Aと、コイルバネ44Aを収容する収容部44Bとを備える。付勢機構44は、把持部41の一部である延長部43を付勢することができれば、その構造は限定されない。例えば、コイルバネと、コイルバネにより付勢されるピンと、を含むプランジャーであってもよい。
送りネジ45は、付勢機構44により付与される一定方向の回転力とは反対方向の回転力を、把持部41に付与する部材である。送りネジ45を動作させることにより、把持部41に付与される回転方向、及び回転力の大きさが調整される。
送りネジ45は、例えば、微細な送りができるマイクロメータヘッドを適用できる。マイクロメータヘッドである場合、シンブル45Aを回転させることによりスピンドル45Bを前進、又は後退させることができる。スピンドル45Bを前進、又は後退する長さにより、作動部は、把持部41に付与される回転方向、及び回転力の大きさを調整できる。延長部43が付勢機構44により付勢されているので、延長部43は送りネジ45の動きに正確に追従する。したがって、把持部41の角度を安定して維持、変更できる。
図2に示されるように、延長部43を挟んで、コイルバネ44Aとスピンドル45Bとは直線状に配置される。但し、把持部41の回転方向、及び回転力の大きさが調整できれば、両者の位置関係は直線状に限定されない。
図2に示されるように、支持部60は、フレーム34に設けられた固定部37に取り付けられる。支持部60は、一端にヘッドを有するピン61を備える。ピン61は、固定部37の貫通孔(不図示)を通り抜けて、調整機構40の側に延びる。ピン61のヘッドは、貫通孔を通り抜けない。
ピン61は、ヘッドと反対の端の側に、支持部材62に支持された溝付きローラ63を備える。支持部材62は溝付きローラ63を回転自在に支持する。ピン61には、弾性部材としてコイルバネ64が備えられる。コイルバネ64は、固定部37と支持部材62と間の位置に設けられる。コイルバネ64は、溝付きローラ63を、調整機構40の側に付勢する。
図3は、A−A線に沿う断面図である。図2、及び図3に示されるように、調整機構40の把持部41は、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面を把持するため、平面視で矩形の金属製のプレート46と、プレート46を固定するための2個のネジ47と、ブロック48とにより構成される。プレート46は平板状である。
図3に示されるように、ブロック48は、プレート46を位置決めするための第1段差49を有する。プレート46は、第1段差49にプレート46の一辺を接触させた状態で、ネジ47により、ブロック48に固定される。ブロック48は、開口36(図2参照)に近い側に第2段差50を有する。プレート46が固定される固定面51と反対面を設置した状態では、第2段差50は第1段差49より低い位置にある。後述するように、第2段差50を有するブロック48とプレート46とにより空間Sが形成され、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面が把持される。
支持部60にピン61は、固定部37の貫通孔37Aを超えて延び、支持部材62に固定される。支持部材62は、断面視で、互いに直交する部材からなり、L字型の形状を有している。溝付きローラ63は、支持部材62の一方の部材で、ピン61と略同じ高さの平行な平面を設けられる。実施形態では、溝付きローラ63は、ローラの全周に溝65が形成される。
図4は、1個のワイヤーグリッド偏光子32を取り付けた状態の偏光装置30の平面図である。図4に示されるように、把持部41は、ブロック48からプレート46を取り外した状態である。ブロック48には、ネジ47を螺合するため2個のネジ穴52を有する。
ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aが、ブロック48の第2段差50に接触される。これにより、把持部41を構成するブロック48とワイヤーグリッド偏光子32との位置決めがなされる。実施形態のワイヤーグリッド偏光子32は、その周縁を保持するための枠部を備えていない。
支持部60に備えられるコイルバネ64が縮められ、溝付きローラ63を支持する支持部材62は固定部37の側に移動する。ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aに対向する他辺32Bの側が溝付きローラ63の溝65の間に位置される。ワイヤーグリッド偏光子32が溝付きローラ63により支持される。支持部60に備えられるコイルバネ64の付勢力は大きくないので、ローラ63からワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bには、ほとんど力が加わらない。
図5は、図4のB−B線に沿う断面図である。図5に示されるように、ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aの側において、対向する面の一方面32Cがブロック48により支持される。
ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aと第2段差50とが接触した状態において、ワイヤーグリッド偏光子32の厚さTは、第2段差50の高さHより大きい。ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面の他方面32Dは、固定面51から突出する。
また、ワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bの側において、一方面32Cが溝付きローラ63により支持される。
図6は、1個のワイヤーグリッド偏光子32を取り付けた状態の偏光装置30の平面図である。図6に示されるように、プレート46が、ブロック48の第1段差49に接触される。これにより、ブロック48とプレート46との位置決めがなされる。2個のネジ47によりプレート46がブロック48に固定される。
図7は、図6のC−C線に沿う断面図である。図7に示されるように、ネジ47よりプレート46がブロック48に固定されると、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面(一方面32C及び他方面32D)が、プレート46とブロック48とにより把持される。上述したように、ワイヤーグリッド偏光子32の厚さTが、第2段差50の高さHより大きいので、ワイヤーグリッド偏光子32の他方面32Dとプレート46との接触が、より確実となる。したがって、把持部41がワイヤーグリッド偏光子32の対向する面を確実に保持することが可能となる。ネジ47の締め込み量を調整することにより、ワイヤーグリッド偏光子32を把持する力を調整することができる。
なお、プレート46とワイヤーグリッド偏光子32の他方面32Dとの間に、難燃性の弾性部材(不図示)を配置することが好ましい。弾性部材はワイヤーグリッド偏光子32の端部が損傷等を受けることを防止できる。
図6及び図7に示されるように、ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aの側に配置された調整機構40の把持部41により、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面(一方面32C及び他方面32D)を把持される。
実施形態では、1個のプレート46とブロック48とがワイヤーグリッド偏光子32の対向する面を把持する態様を示した。この態様では、プレート46とブロック48とは、ほぼ同じ長さを有している。したがって、プレート46の面とブロック48の面とにより、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面が把持される。プレート46はブロック48にネジ47により固定されるので、ワイヤーグリッド偏光子32を把持部41から容易に着脱することができる。
ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面を把持することができる限り、把持する態様は、特に限定されない。図8は調整機構40の平面図である。図8に示されるように、1個のプレート46に代えて、等間隔に配置された複数のプレート53と、複数のプレート53をそれぞれブロック48に固定するためのネジ54と、を用いることができる。
また、プレートとネジとを利用した把持の態様に代えて、クリップ構造を適用できる。図9は調整機構の側面図である。図9に示されるように、例えば、クリップ構造は、プレート55と、プレート55を回転自在に支持する支点56と、プレート55とブロック48との間に配置されたトーションバネ57とにより構成される。トーションバネ57の付勢力により、プレート55の先端55Aとブロック48とにより、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面(一方面32C及び他方面32D)を把持することができる。プレート55の後端55Bをブロック48の側に押圧することより、プレート55の先端55Aとブロック48との距離が大きくなる。したがって、ワイヤーグリッド偏光子32を把持部41に容易に脱着することができる。
上述の手順により、複数のワイヤーグリッド偏光子32が、開口36に沿って、フレーム34に取り付けられる。
図10は、複数のワイヤーグリッド偏光子32を取り付けた状態の偏光装置30の平面図である。図11は、図10のD−D線に沿う断面図である。図10及び図11においては、理解を容易にするため、隣接するワイヤーグリッド偏光子32の一方にパターンを付して表示している。しかしながら、複数のワイヤーグリッド偏光子32は同じ特性を有する。
図10に示されるように、偏光装置30において、複数のワイヤーグリッド偏光子32がフレーム34に取り付けられる。図11に示されるように、実施形態の偏光装置30では、隣接するワイヤーグリッド偏光子32が、ワイヤーグリッド偏光子32の厚み方向において距離Lを置いて配置される。隣接するワイヤーグリッド偏光子32を比較した場合、フレーム34を基準として、ワイヤーグリッド偏光子32の一方面32Cまでの距離L1と距離L2とが異なる。図11に示されるように、実施形態のワイヤーグリッド偏光子32は枠部を備えていないので、距離Lは短くできる。したがって、偏光装置30の全体の厚みを薄くできる。
複数のワイヤーグリッド偏光子32をフレーム34に取り付ける際、フレーム34と距離L1だけ離れているワイヤーグリッド偏光子32が取り付けられる。次いで、フレーム34と距離L2だけ離れているワイヤーグリッド偏光子32が取り付けられる。
図10に示されるように、平面視において、隣接するワイヤーグリッド偏光子32は、一部重なり合う。この構成は、ワイヤーグリッド偏光子32を通過しない光が、光配向膜に照射されることを抑制する。
実施形態では、送りネジ45の長さ方向が、複数のワイヤーグリッド偏光子32が配列された一方向と平行である。このような配置にすることにより、偏光装置30の幅WDを短くすることができる。製造設備1に偏光装置30を含む偏光光照射装置20を配置する際の自由度が高くなる。平行とは、平行及び略平行を含む。
複数のワイヤーグリッド偏光子32がフレーム34に取り付けられると、ワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向を調整するため、ワイヤーグリッド偏光子32が、調整機構40により、回転される。
図12は、調整機構40によりワイヤーグリッド偏光子32を回転させた状態を示す平面図である。図12に示されるように、把持部41の延長部43は、付勢機構44のコイルバネ44Aにより送りネジ45の側に付勢される。送りネジ45のスピンドル45Bは、付勢機構44の付勢力と反対方向に、把持部41の延長部43を押圧する。付勢機構44と送りネジ45とが把持部41に回転力を付与する。把持部41が、フレーム34の長手方向と平行となるように、付勢機構44と送りネジ45とが調整される。これを便宜上、把持部41の基準状態と称する。
図12の右側のワイヤーグリッド偏光子32は、一辺32Aと他辺32Bとがフレーム34の長手方向と平行となるように、把持部41により把持される。把持部41は基準状態にある。
図12のパターンを付した左側のワイヤーグリッド偏光子32に関して、送りネジ45のスピンドル45Bが、基準状態に対して後退されている。延長部43は、付勢機構44のコイルバネ44Aにより、反時計回りの回転力を受ける。これにより、把持部41は、基準状態に対して、反時計回りに回転される。左側のワイヤーグリッド偏光子32を、調整機構40により、反時計回りに回転することができる。左側のワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向が調整される。
図示しないが、送りネジ45のスピンドル45Bが、基準状態に対して前進されると、延長部43は、送りネジ45のスピンドル45Bにより、時計回りの回転力を受ける。これにより、把持部41は、基準状態に対して、時計回りに回転される。結果として、ワイヤーグリッド偏光子32を、調整機構40により、時計回りに回転することができる。
実施形態の調整機構40は、1個の送りネジ45を動作させることで、ワイヤーグリッド偏光子32を回転することができるので、ワイヤーグリッド偏光子32の偏光方向の調整が簡便であり、偏光方向の調整時間を短縮できる。
また、調整機構40がワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aの側に配置され、一辺32Aを把持した状態でワイヤーグリッド偏光子32が回転される。その結果、ワイヤーグリッド偏光子32に局所的な力が加えられるのを抑止でき、ワイヤーグリッド偏光子32に破損等が生じることを防止できる。
図12に示されるように、左側のワイヤーグリッド偏光子32が調整機構40により回転されると、ワイヤーグリッド偏光子32が回転し、他辺32Bが移動する。ワイヤーグリッド偏光子32の回転に追従して、右側の支持部60のコイルバネ64は圧縮される。溝付きローラ63は回転するので、他辺32Bは、溝付きローラ63の溝に接しながらスライド移動する。支持部60は、ワイヤーグリッド偏光子32の回転を阻害しないで、かつワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bの側を支持することができる。
また、ワイヤーグリッド偏光子32の回転に追従して、左側の支持部60のコイルバネ64は伸長される。溝付きローラ63は回転するので、他辺32Bは、溝付きローラ63の溝に接しながらスライド移動する。支持部60は、ワイヤーグリッド偏光子32の回転を阻害しないで、かつワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bの側を支持することができる。
実施形態では、1個の調整機構40に対して2個の支持部60が配置される場合を例示したが、1個の調整機構40に対して1個の支持部60が配置されてもよい。
光配向膜とワイヤーグリッド偏光子32との距離を一定に維持できる限り、支持部60の構造は限定されない。実施形態では、ローラの全周に溝が形成された溝付きローラ63を示したが、溝はローラの全周でなくてもよい。例えば、ワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bと接触する領域のみ、すなわち、ローラの一部だけに溝を形成してもよい。ワイヤーグリッド偏光子32の他辺32Bと支持部60とが固定されていないので、ワイヤーグリッド偏光子32はスムーズに回転できる。さらに、支持部60を配置しない場合でもよい。
把持部41が、ワイヤーグリッド偏光子32の一辺32Aの長さに対して50%以上80%以下の長さを有することが好ましい。把持部41の長さとは、ワイヤーグリッド偏光子32を把持する領域の長さを意味する。把持部41の長さを、一辺32Aの長さの50%以上にすることにより、把持部41はワイヤーグリッド偏光子32を安定して把持できる。
把持部41の長さを、一辺32Aの長さの80%以下とすることにより、隣接する把持部41同士が干渉することを回避できる。また、把持部41を回転させた際、把持部41の一部が、開口36から露出することを回避できる。
次に、別の調整機構40について、図13を参照して説明する。図13は、別の調整機構40の平面図である。図13に示されるように、調整機構40は、把持部41、付勢機構44、及び送りネジ45を備える。図13の実施形態では、送りネジ45の長さ方向が、複数のワイヤーグリッド偏光子32の配列された一方向と垂直に配置される。延長部を設けることなくブロック48に直接、付勢機構44、及び送りネジ45を作動させることができる。垂直とは、垂直、及び略垂直を含む。
製造設備1に関して、図1では、偏光装置30を含む1個の偏光光照射装置20を配置する場合を示した。しかしながら、これに限定されず、複数個の偏光光照射装置20を搬送方向MDに沿って、並べて配置することができる。
また、ワイヤーグリッド偏光子32の対向する面が把持部41により把持されているので、図1に示されるように、偏光装置30を水平方向に配置でき、また偏光装置30を鉛直方向に配置することができる。
枠部を有しないワイヤーグリッド偏光子32について説明したが、枠部を有するワイヤーグリッド偏光子についても、実施形態の偏光装置を適用できる。