JP2019063264A - 仮総義歯及び簡易総義歯の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 恒久的な総義歯が出来るまで日数を要するのでその間に簡易的に使用する簡易総義歯を短時間に簡単に作製できる簡易総義歯の作製方法を提供すること、及びこの作製方法に使用する仮総義歯を提供すること。【解決手段】予め作製してある仮上顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯101を作製する作製方法であって、仮上顎総義歯1の上顎仮義歯床13を軟化させる軟化工程と、この軟化した上顎仮義歯床13を口腔内で安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した上顎仮義歯床13をフラスコ30を用いて印象材32で型取する型取工程と、硬化後に出す取出工程と、上顎人工歯植立部14から外した上顎人工歯15をフラスコ30内で硬化た原型Gに戻す戻し工程と、フラスコ30内に成形用樹脂34を流し込んで印象材32の形状を転写する転写工程と、硬化後にフラスコ30から取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易上顎総義歯101を作製する作製方法。【選択図】 図1
Description
この発明は、仮総義歯及び該仮総義歯を用いて短時間に簡単に作製できる簡易総義歯の作製方法に関する。
周知のように、総義歯を歯科医院等で歯科医師によって作製する場合には、通常約1ヶ月程度の間に5回前後の通院治療を必要としている。そのために総義歯を日頃使用している人が地震や水害などの天災や交通事故や火災などの災害に遭遇して総義歯を紛失したり壊した場合、或いは自宅や療養所等で寝たきりの人が総義歯を必要とする場合などにおいては、総義歯が作成されるまでの期間、日常の食事や会話において不自由な生活を余儀なくされている。更には人と対面する際には審美性欠如により消極的な活動になり易くそのために外出の機会や対話も減少して高齢者の健康阻害の一因にもなっている。或いは又、半恒久的な総義歯を作製して本格的に使用する以前に、総義歯を試験的に嵌めて見てその感覚を体験し慣れておきたい人の需要も生じていた。
このような事情に鑑み、特許文献1においては、簡単に総義歯が作成できる簡易総義歯が提案されている。この簡易総義歯は、事前に組み合わせを整えて配列してある人口歯の上顎義歯部分と、同じく人工歯の下顎義歯部分と、それらを上下に嵌合して保持する保持具と、上顎義歯部分の内面と、下顎義歯部分の内面に装着される保形材からなるものである。この簡易総義歯によると、使用者個人が薬局などから数種類の中から自己に合うものを選択して購入し、自身で総義歯を保持具の持手部分を持って、口腔内入れ、更に上顎義歯部分と下顎義歯部分の内面に保形材を入れて何回か噛み合わせ、次に保持具の持手部分を持って、口腔外に出し、はみ出している保形材をナイフなどで切り取り、これらの操作を繰り返し、噛み合わせてみて、痛みや異常がないかを確認してから、総義歯を例えば光に当てたり、熱を加えたり、自然放置することによって硬化固形化させて制作している。
しかしながら、上記の従来技術によると、使用者は密封して薬局などで売られている数種類の上顎義歯部分と下顎義歯部分の中から自分に合うものを嵌め合いして選ぶという手間の掛かる選択をしなければならず、手間が掛かるという問題点がある。又、選んだ上顎義歯部分と下顎義歯部分の口腔内との適合は、保形材を上顎義歯部分の内面と下顎義歯部分の内面に入れてから、内面保持具を用いて何回かの噛み合わせを行い、はみ出た保形材をその都度ナイフで削り取る作業を繰り返さなければならないので手間が掛かるという問題点がある。更に加えて、違和感なく噛み合わせが終わって保持具から外し上顎義歯部分と下顎義歯部分を形成する保形材の性質により熱湯に浸けたり、光を当てるなどして保形材を硬化させなければならず、手間が掛かるという問題点がある。また、そのような熱硬化性或いは光硬化性等の特殊な保形材を用いなければならいという材料の問題点がある。更に、歯並びは固定された状態で販売されているために、自分の望む審美性に見合った歯並びに変更することが出来ないという問題点がある。
この発明は上記事情に鑑み、使用者に見合うサイズの複数の上顎義歯部分、下顎義歯部分を準備する必要もなく、短時間で簡単に作製できる簡易総義歯の作製方法及びこの簡易総義歯の作製に用いる仮総義歯を提供することを目的としてなされたものである。
この発明の簡易総義歯は、仮上顎総義歯又は仮下顎総義歯、若しくは、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の組み合わせからなる3つから使用目的に応じて一つを選んで作製するものである。即ち、簡易上顎総義歯のみを必要とする場合には、仮上顎総義歯を用いて作製し、簡易下顎総義歯のみを必要とする場合には、仮下顎総義歯を用いて作製し、簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯の組み合わせである簡易総義歯を必要とする場合には、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の双方を用いて作製するものである。
この発明の簡易総義歯は、仮上顎総義歯又は仮下顎総義歯、若しくは、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の組み合わせからなる3つから使用目的に応じて一つを選んで作製するものである。即ち、簡易上顎総義歯のみを必要とする場合には、仮上顎総義歯を用いて作製し、簡易下顎総義歯のみを必要とする場合には、仮下顎総義歯を用いて作製し、簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯の組み合わせである簡易総義歯を必要とする場合には、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の双方を用いて作製するものである。
仮上顎総義歯の特徴は、口腔の口蓋内表面形状に見合った粘膜面形状を有する口蓋部及び該口蓋部の曲縁側の外周囲に一体的に形成され無歯顎の上顎歯槽堤に被る形状を有する上顎辺縁部を具備するワックス成形体からなる上顎仮義歯床と、前記上顎辺縁部に付着された前記上顎仮義歯床より低い温度で変形自在なワックス部材からなる上顎人工歯植立部と、該上顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の上顎人工歯と、を具備することにある。
仮下顎総義歯の特徴は、口腔内の無歯顎の下顎歯槽堤に被る形状を有する下顎辺縁部を具備するワックス成形体からなる下顎仮義歯床と、前記下顎辺縁部に付着された前記下顎仮義歯床より低い温度で変形自在に軟化するワックス部材からなる下顎人工歯植立部と、該下顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の下顎人工歯と、を具備することにある。
前記ワックス成形体が、40〜50℃で軟化するパラフィンワックス成形体 であることにある。前記ワックス部材が、ユーティリティワックスであることにある。
上記した仮上顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯を作製する作製方法は、前記仮上顎総義歯の上顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した上顎仮義歯床を口腔内面及び上顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した前記上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記上顎人工歯植立部から外した上顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する前記印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、前記フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記上顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の前記印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易上顎総義歯を作製することにある。
前記口腔内合せ工程において上顎仮義歯床を口腔内面に圧接して安定させる際に前記口蓋部の粘膜面及び上顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることにある。
前記口腔内合せ工程には、前記上顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の上顎人工歯の排列調整工程を含むことにある。
前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることにある。
上記した仮下顎総義歯を用いて簡易下顎総義歯を作製する作製方法は、前記仮下顎総義歯の下顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記下顎人工歯植立部から外した下顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記下顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易下顎総義歯を作製することにある。
前記口腔内合せ工程において下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる際に前記下顎仮義歯床である下顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることにある。
前記口腔内合せ工程には、前記下顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の下顎人工歯の排列調整工程を含むことにある。
前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることにある。
仮上顎総義歯及び仮下顎総義歯のそれぞれの上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床は、40〜50℃の温度で柔らかくなるワックス成形体からなるので、湯に浸漬するなどするだけで変形自在となり、従って患者の口腔内での口蓋や歯槽堤に添うように合わせ易く、楽に形を整えることが出来る。又、保形材を使用して隙間を埋めるようにする場合であっても、柔軟であるので上手くフィットし易い。又、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床は柔軟であるために患者の口腔内で圧接すると伸びるために、汎用性があり合わせ易く、サイズの異なる仮総義歯を多数準備しておく必要はないので、経済的である。更に、40℃以下では硬化するので、型合わせの後は形状を維持でき、後工程の型取工程に支障を来すことはない。更に又、上、下顎人工歯植立部は、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床よりも低い温度で変形自在なワックス部材を使用しているので、人工歯の根元を自然歯のように排列して予め根元を埋めておけば、そのままの状態でも使用できるし、審美的な上下の人工歯の噛み合わせ、傾き、長さ、間隔等を指や道具を用いて自在に調整できる。又、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床にも引っ付くために、接着剤を必要としない。更に又、人工歯を上、下顎人工歯植立部から外す場合には、一本ずつ指で引き抜いても良いが少し暖かめの温湯をかけるだけでも上、下顎人工歯植立部を構成するワックス部材は溶解するので簡単に一度に外すことが出来、取外し作業は簡単である。
上記仮上顎総義歯や仮下顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯や簡易下顎総義歯を作製する作業において、各作製工程における器具や材料は、歯科医院などにおいて通常揃えてあるか若しくは入手しやすく使い慣れた器具や材料を使用し、特別なものを必要としないので取組み易い。そして最終製品である簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯をセットで作製する時間は、慣れれば2時間程度で可能なために、前記したような緊急に必要な場合には特に有効に使用できる。更に、人工歯を上、下顎人工歯植立部内に根元を埋め込まれた状態で埋め込み度合い、傾き、左右の間隔調整等の排列調整が自在であるために、上下顎人工歯の歯並びや咬み合わせの調整などが簡単に行えるので、使用者の好みの審美性を得ることが容易に出来る。
この発明の実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。この発明の簡易総義歯の作製方法は、図1に示す仮上顎総義歯1及び図4に示す仮下顎総義歯2を用いて行う作製方法である。
まず、前記仮上顎総義歯1は、図1〜図3に示しているように、標準的な人の口腔内の口蓋に沿い前方外形が放物線形状で中央部が盛り上がった薄板状の表裏面を形成している粘膜面11aと研磨面11bを有する口蓋部11と、この口蓋部11の前方周縁から上顎歯槽堤aの前方面に沿って立ち上る上顎辺縁部12とからなる上顎仮義歯床13、前記辺縁部12の前方下方に全体に跨って付着している上顎人工歯植立部14及び該上顎人工歯植立部14に根元を埋め込まれて自然歯と同数個で同じ順序で排列された上顎人工歯15を多数本具備して成るものである。
まず、前記仮上顎総義歯1は、図1〜図3に示しているように、標準的な人の口腔内の口蓋に沿い前方外形が放物線形状で中央部が盛り上がった薄板状の表裏面を形成している粘膜面11aと研磨面11bを有する口蓋部11と、この口蓋部11の前方周縁から上顎歯槽堤aの前方面に沿って立ち上る上顎辺縁部12とからなる上顎仮義歯床13、前記辺縁部12の前方下方に全体に跨って付着している上顎人工歯植立部14及び該上顎人工歯植立部14に根元を埋め込まれて自然歯と同数個で同じ順序で排列された上顎人工歯15を多数本具備して成るものである。
前記上顎仮義歯床13を形成する口蓋部11、上顎辺縁部12は一体成型された同じ材質で、図2に示すように、断面形状が略杓形のワックス成形体で、性質としては40〜50℃での温度で軟らかくなって変形可能で変形した形態を常温で維持し且つ人体に無害なものが使用される。例えば、パラフィンワックス成形体が好適に挙げられる。前記上顎人工歯植立部14は、上顎人工歯15を望みの深さに埋め込んだり抜いたり更には傾きを変えたり或いは上顎人工歯植立部14自体の外形状を指で押圧して変えることなどが繰り返し可能な常温でも柔らかいワックス部材が好適に使用できる。例えば、ユーティリティワックスが挙げられる。上顎人工歯植立部14のワックス部材は前記上顎仮義歯床13を構成するワックス成形体よりも低い温度で柔らかくなる性質を有している。
次に、前記下顎総義歯2は、図4〜図6に示しているように、前記上顎総義歯1と対をなすもので、標準的な人の口腔内の下顎歯槽堤bの上方を跨るようにして被さる放物線形状で断面形状が略逆U字形状を形成する下顎辺縁部22からなる下顎仮義歯床23、前記下顎辺縁部22の突部の上方面には下顎人工歯植立部24、及び該下顎人工歯植立部24に根元を埋め込まれて天然歯と同数個で同じ順序で排列された下顎人工歯25を多数具備して成るものである。下顎仮義歯床23及び下顎人工歯植立部24は、前記上顎仮義歯床1の上顎仮義歯床13及び上顎人工歯植立部14と同じ作用をするので同じ材質のものが使用される。前記下顎人工歯植立部24は、前記上顎人工歯植立部15と同様に、下顎人工歯25を望みの深さに埋め込んだり抜いたり更には傾きを変えたり或いは下顎人工歯植立部24自体の外形状を指で押圧して変えることなどが繰り返し可能な常温でも柔らかいワックス部材、例えばユーティリティワックスが好適に使用される。下顎人工歯植立部24のワックス部材は前記下顎仮義歯床23を構成するワックス成形体よりも低い温度で柔らかくなる性質を有している。
上記構成からなる仮上顎総義歯1を用いて簡易上顎総義歯101の作製方法の実施形態について、図1〜 図3、図7、図9〜図15を参照しつつ説明する。まず、前準備として、図7に示すように、患者の口腔内の上顎の口蓋に粘膜面11aを合わせ、図2に示すように、上顎歯槽堤aに上顎辺縁部12を被せるように嵌めて仮上顎総義歯1の試適を行う。この時、上顎仮義歯床13を構成する口蓋部11、上顎辺縁部12の余分な部分をハサミ等で切り取り調整しておく。この調整の終った仮上顎総義歯1を用いて以下の手順で作製する。
(1)軟化工程
仮上顎総義歯1の上顎仮義歯床13を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風に当てて軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮上顎総義歯1を図7に示すようにして患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて粘膜面11aの周囲や上顎辺縁部12の周辺に保形材を後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておく。粘膜面11aの上方には完成した総義歯の研磨面11bが分厚くならないように保形材の使用は省いておくのが望ましい。そして、上顎仮義歯床13が軟化状態にある間に指などで圧接して上顎仮義歯床13の型を安定させる。
なお、この工程において、必要に応じて上顎人工歯15の排列調整を行う。上顎人工歯15の根元は上顎人工歯植立部14に予め自然歯と同じ順序で同じ個数だけ排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、下顎総義歯2の下顎人工歯25との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは間隔を変更する場合には、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて上顎人工歯15を動かして調整する。下顎総義歯2が作製されていない段階では、上下顎人工歯の咬合調整は出来ない。しかし、上顎総義歯1のみを紛失したり壊した場合のように下顎総義歯2が残っている場合、或いは下顎の天然歯はそのままにして上顎総義歯のみ新調する時には元の下顎総義歯2又は天然歯は存在しているので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
図9に示すように、内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面をならしてから離型剤を予め塗っておく。そして、下部フラスコ30bの印象材32の表面から仮上顎総義歯1の研磨面11bを下にして押え込んで研磨面11b、上顎人工歯植立部14及び上顎人工歯15を印象材32に埋めてから、印象材で満たした上部フラスコ30aを蝶番31で回転させて被せて閉じて、図10に示すように、締付固定具33で固定する。これにより仮上顎総義歯1の粘膜面11aや上顎辺縁部12は上部フラスコ30bの印象材32に埋まり、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bの間隙から仮上顎総義歯1の体積増加分だけはみ出た余剰の印象材32は排除して、内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、アルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できるが、シリコーン印象材等他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、下部フラスコ30bに残っている仮上顎総義歯1を硬化した印象材32から取り出す。この取り出した状態では、図11に示すように、下部フラスコ30bの印象材32の表面部分に仮上顎総義歯1の研磨面11b、上顎人工歯植立部14、人工歯15の原型Gが刻まれ、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に粘膜面11a、上顎辺縁部12、上顎人工歯植立部14の一部の原型Gなどが刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮上顎総義歯1の上顎人工歯植立部14から上顎人工歯15を抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には上顎仮義歯床13から剥離して、それぞれ図12に示すように、下部フラスコ30bの硬化した状態の印象材32の原型Gや上部フラスコ30aの原型Gに戻す。上顎人工歯15はワックス部材からなる上顎人工歯植立部14に埋められているので、指で抜き出してもよく、又、熱湯をかけたり温風当てに当ててワックスを軟化させることによっても容易に外せる。仮上顎総義歯1の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
上記のようにして、上顎人工歯15や使用した時の保形材Hを下部フラスコ30bの内の印象材32の原型Gに戻した後に、図13に示すように、仮上顎総義歯1の粘膜面11a、辺縁部12の原型Gが凹んで形成され硬化している上部フラスコ30aを前記下部フラスコ30bと共に水平を維持した状態で、成形用樹脂34を流し込む。その後、図14に示すように、フラスコ30を閉じて締付部材33で成形用樹脂34が常温で重合硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、図15に示すように、硬化した成形用樹脂体を上部、下部フラスコ30a、30bから取外してバリや尖った個所を調整してから、上顎辺縁部22の裏装を行って、最終目的の簡易上顎総義歯101を得る。
(1)軟化工程
仮上顎総義歯1の上顎仮義歯床13を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風に当てて軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮上顎総義歯1を図7に示すようにして患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて粘膜面11aの周囲や上顎辺縁部12の周辺に保形材を後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておく。粘膜面11aの上方には完成した総義歯の研磨面11bが分厚くならないように保形材の使用は省いておくのが望ましい。そして、上顎仮義歯床13が軟化状態にある間に指などで圧接して上顎仮義歯床13の型を安定させる。
なお、この工程において、必要に応じて上顎人工歯15の排列調整を行う。上顎人工歯15の根元は上顎人工歯植立部14に予め自然歯と同じ順序で同じ個数だけ排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、下顎総義歯2の下顎人工歯25との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは間隔を変更する場合には、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて上顎人工歯15を動かして調整する。下顎総義歯2が作製されていない段階では、上下顎人工歯の咬合調整は出来ない。しかし、上顎総義歯1のみを紛失したり壊した場合のように下顎総義歯2が残っている場合、或いは下顎の天然歯はそのままにして上顎総義歯のみ新調する時には元の下顎総義歯2又は天然歯は存在しているので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
図9に示すように、内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面をならしてから離型剤を予め塗っておく。そして、下部フラスコ30bの印象材32の表面から仮上顎総義歯1の研磨面11bを下にして押え込んで研磨面11b、上顎人工歯植立部14及び上顎人工歯15を印象材32に埋めてから、印象材で満たした上部フラスコ30aを蝶番31で回転させて被せて閉じて、図10に示すように、締付固定具33で固定する。これにより仮上顎総義歯1の粘膜面11aや上顎辺縁部12は上部フラスコ30bの印象材32に埋まり、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bの間隙から仮上顎総義歯1の体積増加分だけはみ出た余剰の印象材32は排除して、内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、アルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できるが、シリコーン印象材等他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、下部フラスコ30bに残っている仮上顎総義歯1を硬化した印象材32から取り出す。この取り出した状態では、図11に示すように、下部フラスコ30bの印象材32の表面部分に仮上顎総義歯1の研磨面11b、上顎人工歯植立部14、人工歯15の原型Gが刻まれ、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に粘膜面11a、上顎辺縁部12、上顎人工歯植立部14の一部の原型Gなどが刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮上顎総義歯1の上顎人工歯植立部14から上顎人工歯15を抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には上顎仮義歯床13から剥離して、それぞれ図12に示すように、下部フラスコ30bの硬化した状態の印象材32の原型Gや上部フラスコ30aの原型Gに戻す。上顎人工歯15はワックス部材からなる上顎人工歯植立部14に埋められているので、指で抜き出してもよく、又、熱湯をかけたり温風当てに当ててワックスを軟化させることによっても容易に外せる。仮上顎総義歯1の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
上記のようにして、上顎人工歯15や使用した時の保形材Hを下部フラスコ30bの内の印象材32の原型Gに戻した後に、図13に示すように、仮上顎総義歯1の粘膜面11a、辺縁部12の原型Gが凹んで形成され硬化している上部フラスコ30aを前記下部フラスコ30bと共に水平を維持した状態で、成形用樹脂34を流し込む。その後、図14に示すように、フラスコ30を閉じて締付部材33で成形用樹脂34が常温で重合硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、図15に示すように、硬化した成形用樹脂体を上部、下部フラスコ30a、30bから取外してバリや尖った個所を調整してから、上顎辺縁部22の裏装を行って、最終目的の簡易上顎総義歯101を得る。
次に、簡易下顎総義歯102についても、仮下顎総義歯2を用いて前記とほぼ同様の工程を経て作製する。以下同様に、図4〜図6、図8、図16〜図22に基づいて説明する。まず、前準備として、図5、図8に示すように、患者の口腔内の下顎歯槽堤bに下顎辺縁部22を被せるように嵌めて仮下顎総義歯2の試適を行う。この時、下顎辺縁部22の余分な部分をハサミ等で切り取り調整しておく。この調整の終った仮下顎総義歯2を用いて以下の手順で作製する。
(1)軟化工程
仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風にさらすなどして軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮下顎総義歯2を患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて下顎辺縁部22の周辺に保形材Hを後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておき、下顎仮義歯床23が軟化状態にある間に指などで圧接して下顎仮義歯床23の型を安定させる。
この工程において、必要に応じて下顎人工歯25の排列調整を行う。下顎人工歯25の根元は下顎人工歯植立部24に予め天然歯と同じ順序で同じ個数排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、簡易上顎総義歯101が先に完成していた場合には、その上顎人工歯15との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは歯間隔を変更する時は、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて下顎人工歯25を動かして調整する。下顎人工歯植立部24の外形上も好みに応じて変化で来る。簡易上顎総義歯101が作製されていない段階では、上顎人工歯15との上下人工歯の咬合調整は出来ないが、下顎総義歯2のみを紛失や壊して下顎総義歯のみを新調するような場合には、上顎総義歯1が存在したり、自然の歯が存在したりするので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面を均して離型材を予め塗ってある下部フラスコ30b内の印象材32の表面から、図16に示すように、仮下顎総義歯2の下顎人工歯25、下顎人工歯植立部24、下顎辺縁部22の一部を押し込み埋め込んでから、図17に示すように、仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23の内部に未硬化の印象材32が入るようにして印象材で満たした上部フラスコ30aを被せて閉じてから締付固定具33で固定する。これにより仮下顎総義歯2の下顎辺縁部22の下顎仮義歯床23は上部フラスコ30bの印象材32に埋まる。はみ出た余剰の印象材32は排除して内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、上顎総義歯1と同様にアルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できる。シリコーン印象材他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、仮下顎総義歯2を下部フラスコ30bから取り出す。取り出した状態では、図18に示すように、下部クラスコ30bの印象材32の表面部分に仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24、下顎人工歯25の凹んだ原型Gが刻まれており、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に下顎辺縁部22及び必要に応じて使用した保形材Hの凹んだ原型Gも刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24から下顎人工歯25を手で抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には下顎仮義歯床23から剥離する。そして、図19に示すように、下部フラスコ30b内で硬化した状態の印象材32の対応する凹んだ原型Gに戻す。下顎人工歯25の根元はワックス部材からなる柔らかい下顎人工歯植立部24に埋められているだけなので、熱湯をかけたり温風に当ててワックスを軟化させることによってでも容易に外せる。仮下顎総義歯2の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
次に、図20に示すように、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bを水平に維持した状態で成形用樹脂34を流し込んで表面を均した後に、図21に示すように閉じて締付部材33で成形用樹脂34が硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂34としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、硬化した成形用樹脂体34を上部、下部フラスコ30a、30bから外してバリや尖った個所を切り取るなどして調整してから、下顎辺縁部23の裏装を行って、最終目的の簡易下顎総義歯102を得る。
(1)軟化工程
仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風にさらすなどして軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮下顎総義歯2を患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて下顎辺縁部22の周辺に保形材Hを後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておき、下顎仮義歯床23が軟化状態にある間に指などで圧接して下顎仮義歯床23の型を安定させる。
この工程において、必要に応じて下顎人工歯25の排列調整を行う。下顎人工歯25の根元は下顎人工歯植立部24に予め天然歯と同じ順序で同じ個数排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、簡易上顎総義歯101が先に完成していた場合には、その上顎人工歯15との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは歯間隔を変更する時は、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて下顎人工歯25を動かして調整する。下顎人工歯植立部24の外形上も好みに応じて変化で来る。簡易上顎総義歯101が作製されていない段階では、上顎人工歯15との上下人工歯の咬合調整は出来ないが、下顎総義歯2のみを紛失や壊して下顎総義歯のみを新調するような場合には、上顎総義歯1が存在したり、自然の歯が存在したりするので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面を均して離型材を予め塗ってある下部フラスコ30b内の印象材32の表面から、図16に示すように、仮下顎総義歯2の下顎人工歯25、下顎人工歯植立部24、下顎辺縁部22の一部を押し込み埋め込んでから、図17に示すように、仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23の内部に未硬化の印象材32が入るようにして印象材で満たした上部フラスコ30aを被せて閉じてから締付固定具33で固定する。これにより仮下顎総義歯2の下顎辺縁部22の下顎仮義歯床23は上部フラスコ30bの印象材32に埋まる。はみ出た余剰の印象材32は排除して内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、上顎総義歯1と同様にアルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できる。シリコーン印象材他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、仮下顎総義歯2を下部フラスコ30bから取り出す。取り出した状態では、図18に示すように、下部クラスコ30bの印象材32の表面部分に仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24、下顎人工歯25の凹んだ原型Gが刻まれており、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に下顎辺縁部22及び必要に応じて使用した保形材Hの凹んだ原型Gも刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24から下顎人工歯25を手で抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には下顎仮義歯床23から剥離する。そして、図19に示すように、下部フラスコ30b内で硬化した状態の印象材32の対応する凹んだ原型Gに戻す。下顎人工歯25の根元はワックス部材からなる柔らかい下顎人工歯植立部24に埋められているだけなので、熱湯をかけたり温風に当ててワックスを軟化させることによってでも容易に外せる。仮下顎総義歯2の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
次に、図20に示すように、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bを水平に維持した状態で成形用樹脂34を流し込んで表面を均した後に、図21に示すように閉じて締付部材33で成形用樹脂34が硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂34としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、硬化した成形用樹脂体34を上部、下部フラスコ30a、30bから外してバリや尖った個所を切り取るなどして調整してから、下顎辺縁部23の裏装を行って、最終目的の簡易下顎総義歯102を得る。
以上のようにして、簡易上顎総義歯101、簡易下顎総義歯102を作製することが出来る。これらの作製時間は、平均的な経験年数を有する歯科医師と補助者で行えば、2時間程度の作業時間で行うことが出来る。従って、急を要する場合であっても、間に合わせすることが出来る。又、この簡易総義歯の作製に要する器具や材料は、歯科医院などの歯科治療を行う医療機関では、通常の医療行為で使用しているものが殆どであるので、予め出来上がった完成品である仮上顎総義歯、仮下総義歯を保有しておけば、即時に対応できる。更に、所定サイズのものを大量に製造しておくことが出来るので、安価に製造が可能であり、耐久性があるので長期保存も可能である。しかも、特段の治療技術を必要としないので、未経験者の歯科医師であっても作製手順書に従って容易に施術できる。そして、出来上がった簡易上顎、下顎総義歯は、通常の恒久的な総義歯の作製に要する期間である約1カ月間は十分に使用に耐え得る。
この発明は、仮上顎総義歯、仮下総義歯を製造する医療器具材料製造業、簡易総義歯を作製する歯科医師等の歯科医療サービス業に好適に貢献することが出来る。
1 仮上顎総義歯
11 口蓋部
11a 粘膜面
11b 研磨面
12 上顎辺縁部
13 上顎仮義歯床
14 上顎人工歯植立部
15 上顎人工歯
2 仮下顎総義歯
22 下顎辺縁部
23 下顎仮義歯床
24 下顎人工歯植立部
25 下顎人工歯
30 フラスコ
30a 上部フラスコ
30b 下部フラスコ
31 蝶番
32 印象材
33 締付部材
34 成形用樹脂
101 簡易上顎総義歯
102 簡易下顎総義歯
a 上顎歯槽堤
b 下顎歯槽堤
11 口蓋部
11a 粘膜面
11b 研磨面
12 上顎辺縁部
13 上顎仮義歯床
14 上顎人工歯植立部
15 上顎人工歯
2 仮下顎総義歯
22 下顎辺縁部
23 下顎仮義歯床
24 下顎人工歯植立部
25 下顎人工歯
30 フラスコ
30a 上部フラスコ
30b 下部フラスコ
31 蝶番
32 印象材
33 締付部材
34 成形用樹脂
101 簡易上顎総義歯
102 簡易下顎総義歯
a 上顎歯槽堤
b 下顎歯槽堤
この発明は、仮総義歯及び該仮総義歯を用いて短時間に簡単に作製できる簡易総義歯の作製方法に関する。
周知のように、総義歯を歯科医院等で歯科医師によって作製する場合には、通常約1ヶ月程度の間に5回前後の通院治療を必要としている。そのために総義歯を日頃使用している人が地震や水害などの天災や交通事故や火災などの災害に遭遇して総義歯を紛失したり壊した場合、或いは自宅や療養所等で寝たきりの人が総義歯を必要とする場合などにおいては、総義歯が作成されるまでの期間、日常の食事や会話において不自由な生活を余儀なくされている。更には人と対面する際には審美性欠如により消極的な活動になり易くそのために外出の機会や対話も減少して高齢者の健康阻害の一因にもなっている。或いは又、半恒久的な総義歯を作製して本格的に使用する以前に、総義歯を試験的に嵌めて見てその感覚を体験し慣れておきたい人の需要も生じていた。
このような事情に鑑み、特許文献1においては、簡単に総義歯が作成できる簡易総義歯が提案されている。この簡易総義歯は、事前に組み合わせを整えて配列してある人口歯の上顎義歯部分と、同じく人工歯の下顎義歯部分と、それらを上下に嵌合して保持する保持具と、上顎義歯部分の内面と、下顎義歯部分の内面に装着される保形材からなるものである。この簡易総義歯によると、使用者個人が薬局などから数種類の中から自己に合うものを選択して購入し、自身で総義歯を保持具の持手部分を持って、口腔内入れ、更に上顎義歯部分と下顎義歯部分の内面に保形材を入れて何回か噛み合わせ、次に保持具の持手部分を持って、口腔外に出し、はみ出している保形材をナイフなどで切り取り、これらの操作を繰り返し、噛み合わせてみて、痛みや異常がないかを確認してから、総義歯を例えば光に当てたり、熱を加えたり、自然放置することによって硬化固形化させて制作している。
しかしながら、上記の従来技術によると、使用者は密封して薬局などで売られている数種類の上顎義歯部分と下顎義歯部分の中から自分に合うものを嵌め合いして選ぶという手間の掛かる選択をしなければならず、手間が掛かるという問題点がある。又、選んだ上顎義歯部分と下顎義歯部分の口腔内との適合は、保形材を上顎義歯部分の内面と下顎義歯部分の内面に入れてから、内面保持具を用いて何回かの噛み合わせを行い、はみ出た保形材をその都度ナイフで削り取る作業を繰り返さなければならないので手間が掛かるという問題点がある。更に加えて、違和感なく噛み合わせが終わって保持具から外し上顎義歯部分と下顎義歯部分を形成する保形材の性質により熱湯に浸けたり、光を当てるなどして保形材を硬化させなければならず、手間が掛かるという問題点がある。また、そのような熱硬化性或いは光硬化性等の特殊な保形材を用いなければならいという材料の問題点がある。更に、歯並びは固定された状態で販売されているために、自分の望む審美性に見合った歯並びに変更することが出来ないという問題点がある。
この発明は上記事情に鑑み、使用者に見合うサイズの複数の上顎義歯部分、下顎義歯部分を準備する必要もなく、短時間で簡単に作製できる簡易総義歯の作製方法を提供することを目的としてなされたものである。
この発明の簡易総義歯は、仮上顎総義歯又は仮下顎総義歯、若しくは、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の組み合わせからなる3つから使用目的に応じて一つを選んで作製するものである。即ち、簡易上顎総義歯のみを必要とする場合には、仮上顎総義歯を用いて作製し、簡易下顎総義歯のみを必要とする場合には、仮下顎総義歯を用いて作製し、簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯の組み合わせである簡易総義歯を必要とする場合には、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の双方を用いて作製するものである。
この発明の簡易総義歯は、仮上顎総義歯又は仮下顎総義歯、若しくは、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の組み合わせからなる3つから使用目的に応じて一つを選んで作製するものである。即ち、簡易上顎総義歯のみを必要とする場合には、仮上顎総義歯を用いて作製し、簡易下顎総義歯のみを必要とする場合には、仮下顎総義歯を用いて作製し、簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯の組み合わせである簡易総義歯を必要とする場合には、仮上顎総義歯と仮下顎総義歯の双方を用いて作製するものである。
簡易上顎総義歯を作製する作製方法は、口腔の口蓋内表面形状に見合った粘膜面形状を有する口蓋部及び該口蓋部の曲縁側の外周囲に一体的に形成され抜歯状態の上顎歯槽堤に被る形状を有する上顎辺縁部を具備する40〜50℃で軟化するパラフィンワックス成形体からなる上顎仮義歯床と、前記上顎辺縁部に付着された前記上顎仮義歯床より低い温度で変形自在なユーティリティワックスからなる上顎人工歯植立部と、該上顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の上顎人工歯を具備する仮上顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯を作製する作製方法であって、前記仮上顎総義歯の上顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した上顎仮義歯床を口腔内面及び上顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した前記上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記上顎人工歯植立部から外した上顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する前記印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、前記フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記上顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の前記印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易上顎総義歯を作製することにある。
前記口腔内合せ工程において上顎仮義歯床を口腔内面に圧接して安定させる際に前記口蓋部の粘膜面及び上顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることにある。
前記口腔内合せ工程には、前記上顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の上顎人工歯の排列調整工程を含むことにある。
前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることにある。
上記した仮下顎総義歯を用いて簡易下顎総義歯を作製する作製方法は、口腔内の抜歯状態の下顎歯槽堤に被る形状を有する下顎辺縁部を具備する40〜50℃で軟化するパラフィンワックス成形体からなる下顎仮義歯床と、前記下顎辺縁部に付着された前記下顎仮義歯床より低い温度で変形自在に軟化するユーティリティワックスからなる下顎人工歯植立部と、該下顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の下顎人工歯と、を具備する仮下顎仮総義歯を用いて簡易下顎総義歯を作製する作製方法であって、前記仮下顎総義歯の下顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記下顎人工歯植立部から外した下顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記下顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易下顎総義歯を作製することにある。
前記口腔内合せ工程において下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる際に前記下顎仮義歯床である下顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることにある。
前記口腔内合せ工程には、前記下顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の下顎人工歯の排列調整工程を含むことにある。
前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることにある。
仮上顎総義歯及び仮下顎総義歯のそれぞれの上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床は、40〜50℃の温度で柔らかくなるワックス成形体からなるので、湯に浸漬するなどするだけで変形自在となり、従って患者の口腔内での口蓋や歯槽堤に添うように合わせ易く、楽に形を整えることが出来る。又、保形材を使用して隙間を埋めるようにする場合であっても、柔軟であるので上手くフィットし易い。又、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床は柔軟であるために患者の口腔内で圧接すると伸びるために、汎用性があり合わせ易く、サイズの異なる仮総義歯を多数準備しておく必要はないので、経済的である。更に、40℃以下では硬化するので、型合わせの後は形状を維持でき、後工程の型取工程に支障を来すことはない。更に又、上、下顎人工歯植立部は、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床よりも低い温度で変形自在なワックス部材を使用しているので、人工歯の根元を自然歯のように排列して予め根元を埋めておけば、そのままの状態でも使用できるし、審美的な上下の人工歯の噛み合わせ、傾き、長さ、間隔等を指や道具を用いて自在に調整できる。又、上顎仮義歯床及び下顎仮義歯床にも引っ付くために、接着剤を必要としない。更に又、人工歯を上、下顎人工歯植立部から外す場合には、一本ずつ指で引き抜いても良いが少し暖かめの温湯をかけるだけでも上、下顎人工歯植立部を構成するワックス部材は溶解するので簡単に一度に外すことが出来、取外し作業は簡単である。
上記仮上顎総義歯や仮下顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯や簡易下顎総義歯を作製する作業において、各作製工程における器具や材料は、歯科医院などにおいて通常揃えてあるか若しくは入手しやすく使い慣れた器具や材料を使用し、特別なものを必要としないので取組み易い。そして最終製品である簡易上顎総義歯と簡易下顎総義歯をセットで作製する時間は、慣れれば2時間程度で可能なために、前記したような緊急に必要な場合には特に有効に使用できる。更に、人工歯を上、下顎人工歯植立部内に根元を埋め込まれた状態で埋め込み度合い、傾き、左右の間隔調整等の排列調整が自在であるために、上下顎人工歯の歯並びや咬み合わせの調整などが簡単に行えるので、使用者の好みの審美性を得ることが容易に出来る。
この発明の実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。この発明の簡易総義歯の作製方法は、図1に示す仮上顎総義歯1及び図4に示す仮下顎総義歯2を用いて行う作製方法である。
まず、前記仮上顎総義歯1は、図1〜図3に示しているように、標準的な人の口腔内の口蓋に沿い前方外形が放物線形状で中央部が盛り上がった薄板状の表裏面を形成している粘膜面11aと研磨面11bを有する口蓋部11と、この口蓋部11の前方周縁から上顎歯槽堤aの前方面に沿って立ち上る上顎辺縁部12とからなる上顎仮義歯床13、前記辺縁部12の前方下方に全体に跨って付着している上顎人工歯植立部14及び該上顎人工歯植立部14に根元を埋め込まれて自然歯と同数個で同じ順序で排列された上顎人工歯15を多数本具備して成るものである。
まず、前記仮上顎総義歯1は、図1〜図3に示しているように、標準的な人の口腔内の口蓋に沿い前方外形が放物線形状で中央部が盛り上がった薄板状の表裏面を形成している粘膜面11aと研磨面11bを有する口蓋部11と、この口蓋部11の前方周縁から上顎歯槽堤aの前方面に沿って立ち上る上顎辺縁部12とからなる上顎仮義歯床13、前記辺縁部12の前方下方に全体に跨って付着している上顎人工歯植立部14及び該上顎人工歯植立部14に根元を埋め込まれて自然歯と同数個で同じ順序で排列された上顎人工歯15を多数本具備して成るものである。
前記上顎仮義歯床13を形成する口蓋部11、上顎辺縁部12は一体成型された同じ材質で、図2に示すように、断面形状が略杓形のワックス成形体で、性質としては40〜50℃での温度で軟らかくなって変形可能で変形した形態を常温で維持し且つ人体に無害なものが使用される。例えば、パラフィンワックス成形体が好適に挙げられる。前記上顎人工歯植立部14は、上顎人工歯15を望みの深さに埋め込んだり抜いたり更には傾きを変えたり或いは上顎人工歯植立部14自体の外形状を指で押圧して変えることなどが繰り返し可能な常温でも柔らかいワックス部材が好適に使用できる。例えば、ユーティリティワックスが挙げられる。上顎人工歯植立部14のワックス部材は前記上顎仮義歯床13を構成するワックス成形体よりも低い温度で柔らかくなる性質を有している。
次に、前記下顎総義歯2は、図4〜図6に示しているように、前記上顎総義歯1と対をなすもので、標準的な人の口腔内の下顎歯槽堤bの上方を跨るようにして被さる放物線形状で断面形状が略逆U字形状を形成する下顎辺縁部22からなる下顎仮義歯床23、前記下顎辺縁部22の突部の上方面には下顎人工歯植立部24、及び該下顎人工歯植立部24に根元を埋め込まれて天然歯と同数個で同じ順序で排列された下顎人工歯25を多数具備して成るものである。下顎仮義歯床23及び下顎人工歯植立部24は、前記上顎仮義歯床1の上顎仮義歯床13及び上顎人工歯植立部14と同じ作用をするので同じ材質のものが使用される。前記下顎人工歯植立部24は、前記上顎人工歯植立部15と同様に、下顎人工歯25を望みの深さに埋め込んだり抜いたり更には傾きを変えたり或いは下顎人工歯植立部24自体の外形状を指で押圧して変えることなどが繰り返し可能な常温でも柔らかいワックス部材、例えばユーティリティワックスが好適に使用される。下顎人工歯植立部24のワックス部材は前記下顎仮義歯床23を構成するワックス成形体よりも低い温度で柔らかくなる性質を有している。
上記構成からなる仮上顎総義歯1を用いて簡易上顎総義歯101の作製方法の実施形態について、図1〜 図3、図7、図9〜図15を参照しつつ説明する。まず、前準備として、図7に示すように、患者の口腔内の上顎の口蓋に粘膜面11aを合わせ、図2に示すように、上顎歯槽堤aに上顎辺縁部12を被せるように嵌めて仮上顎総義歯1の試適を行う。この時、上顎仮義歯床13を構成する口蓋部11、上顎辺縁部12の余分な部分をハサミ等で切り取り調整しておく。この調整の終った仮上顎総義歯1を用いて以下の手順で作製する。
(1)軟化工程
仮上顎総義歯1の上顎仮義歯床13を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風に当てて軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮上顎総義歯1を図7に示すようにして患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて粘膜面11aの周囲や上顎辺縁部12の周辺に保形材を後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておく。粘膜面11aの上方には完成した総義歯の研磨面11bが分厚くならないように保形材の使用は省いておくのが望ましい。そして、上顎仮義歯床13が軟化状態にある間に指などで圧接して上顎仮義歯床13の型を安定させる。
なお、この工程において、必要に応じて上顎人工歯15の排列調整を行う。上顎人工歯15の根元は上顎人工歯植立部14に予め自然歯と同じ順序で同じ個数だけ排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、下顎総義歯2の下顎人工歯25との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは間隔を変更する場合には、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて上顎人工歯15を動かして調整する。下顎総義歯2が作製されていない段階では、上下顎人工歯の咬合調整は出来ない。しかし、上顎総義歯1のみを紛失したり壊した場合のように下顎総義歯2が残っている場合、或いは下顎の天然歯はそのままにして上顎総義歯のみ新調する時には元の下顎総義歯2又は天然歯は存在しているので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
図9に示すように、内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面をならしてから離型剤を予め塗っておく。そして、下部フラスコ30bの印象材32の表面から仮上顎総義歯1の研磨面11bを下にして押え込んで研磨面11b、上顎人工歯植立部14及び上顎人工歯15を印象材32に埋めてから、印象材で満たした上部フラスコ30aを蝶番31で回転させて被せて閉じて、図10に示すように、締付固定具33で固定する。これにより仮上顎総義歯1の粘膜面11aや上顎辺縁部12は上部フラスコ30bの印象材32に埋まり、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bの間隙から仮上顎総義歯1の体積増加分だけはみ出た余剰の印象材32は排除して、内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、アルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できるが、シリコーン印象材等他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、下部フラスコ30bに残っている仮上顎総義歯1を硬化した印象材32から取り出す。この取り出した状態では、図11に示すように、下部フラスコ30bの印象材32の表面部分に仮上顎総義歯1の研磨面11b、上顎人工歯植立部14、人工歯15の原型Gが刻まれ、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に粘膜面11a、上顎辺縁部12、上顎人工歯植立部14の一部の原型Gなどが刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮上顎総義歯1の上顎人工歯植立部14から上顎人工歯15を抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には上顎仮義歯床13から剥離して、それぞれ図12に示すように、下部フラスコ30bの硬化した状態の印象材32の原型Gや上部フラスコ30aの原型Gに戻す。上顎人工歯15はワックス部材からなる上顎人工歯植立部14に埋められているので、指で抜き出してもよく、又、熱湯をかけたり温風当てに当ててワックスを軟化させることによっても容易に外せる。仮上顎総義歯1の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
上記のようにして、上顎人工歯15や使用した時の保形材Hを下部フラスコ30bの内の印象材32の原型Gに戻した後に、図13に示すように、仮上顎総義歯1の粘膜面11a、辺縁部12の原型Gが凹んで形成され硬化している上部フラスコ30aを前記下部フラスコ30bと共に水平を維持した状態で、成形用樹脂34を流し込む。その後、図14に示すように、フラスコ30を閉じて締付部材33で成形用樹脂34が常温で重合硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、図15に示すように、硬化した成形用樹脂体を上部、下部フラスコ30a、30bから取外してバリや尖った個所を調整してから、上顎辺縁部22の裏装を行って、最終目的の簡易上顎総義歯101を得る。
(1)軟化工程
仮上顎総義歯1の上顎仮義歯床13を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風に当てて軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮上顎総義歯1を図7に示すようにして患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて粘膜面11aの周囲や上顎辺縁部12の周辺に保形材を後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておく。粘膜面11aの上方には完成した総義歯の研磨面11bが分厚くならないように保形材の使用は省いておくのが望ましい。そして、上顎仮義歯床13が軟化状態にある間に指などで圧接して上顎仮義歯床13の型を安定させる。
なお、この工程において、必要に応じて上顎人工歯15の排列調整を行う。上顎人工歯15の根元は上顎人工歯植立部14に予め自然歯と同じ順序で同じ個数だけ排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、下顎総義歯2の下顎人工歯25との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは間隔を変更する場合には、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて上顎人工歯15を動かして調整する。下顎総義歯2が作製されていない段階では、上下顎人工歯の咬合調整は出来ない。しかし、上顎総義歯1のみを紛失したり壊した場合のように下顎総義歯2が残っている場合、或いは下顎の天然歯はそのままにして上顎総義歯のみ新調する時には元の下顎総義歯2又は天然歯は存在しているので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
図9に示すように、内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面をならしてから離型剤を予め塗っておく。そして、下部フラスコ30bの印象材32の表面から仮上顎総義歯1の研磨面11bを下にして押え込んで研磨面11b、上顎人工歯植立部14及び上顎人工歯15を印象材32に埋めてから、印象材で満たした上部フラスコ30aを蝶番31で回転させて被せて閉じて、図10に示すように、締付固定具33で固定する。これにより仮上顎総義歯1の粘膜面11aや上顎辺縁部12は上部フラスコ30bの印象材32に埋まり、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bの間隙から仮上顎総義歯1の体積増加分だけはみ出た余剰の印象材32は排除して、内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、アルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できるが、シリコーン印象材等他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、下部フラスコ30bに残っている仮上顎総義歯1を硬化した印象材32から取り出す。この取り出した状態では、図11に示すように、下部フラスコ30bの印象材32の表面部分に仮上顎総義歯1の研磨面11b、上顎人工歯植立部14、人工歯15の原型Gが刻まれ、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に粘膜面11a、上顎辺縁部12、上顎人工歯植立部14の一部の原型Gなどが刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮上顎総義歯1の上顎人工歯植立部14から上顎人工歯15を抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には上顎仮義歯床13から剥離して、それぞれ図12に示すように、下部フラスコ30bの硬化した状態の印象材32の原型Gや上部フラスコ30aの原型Gに戻す。上顎人工歯15はワックス部材からなる上顎人工歯植立部14に埋められているので、指で抜き出してもよく、又、熱湯をかけたり温風当てに当ててワックスを軟化させることによっても容易に外せる。仮上顎総義歯1の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
上記のようにして、上顎人工歯15や使用した時の保形材Hを下部フラスコ30bの内の印象材32の原型Gに戻した後に、図13に示すように、仮上顎総義歯1の粘膜面11a、辺縁部12の原型Gが凹んで形成され硬化している上部フラスコ30aを前記下部フラスコ30bと共に水平を維持した状態で、成形用樹脂34を流し込む。その後、図14に示すように、フラスコ30を閉じて締付部材33で成形用樹脂34が常温で重合硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、図15に示すように、硬化した成形用樹脂体を上部、下部フラスコ30a、30bから取外してバリや尖った個所を調整してから、上顎辺縁部22の裏装を行って、最終目的の簡易上顎総義歯101を得る。
次に、簡易下顎総義歯102についても、仮下顎総義歯2を用いて前記とほぼ同様の工程を経て作製する。以下同様に、図4〜図6、図8、図16〜図22に基づいて説明する。まず、前準備として、図5、図8に示すように、患者の口腔内の下顎歯槽堤bに下顎辺縁部22を被せるように嵌めて仮下顎総義歯2の試適を行う。この時、下顎辺縁部22の余分な部分をハサミ等で切り取り調整しておく。この調整の終った仮下顎総義歯2を用いて以下の手順で作製する。
(1)軟化工程
仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風にさらすなどして軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮下顎総義歯2を患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて下顎辺縁部22の周辺に保形材Hを後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておき、下顎仮義歯床23が軟化状態にある間に指などで圧接して下顎仮義歯床23の型を安定させる。
この工程において、必要に応じて下顎人工歯25の排列調整を行う。下顎人工歯25の根元は下顎人工歯植立部24に予め天然歯と同じ順序で同じ個数排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、簡易上顎総義歯101が先に完成していた場合には、その上顎人工歯15との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは歯間隔を変更する時は、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて下顎人工歯25を動かして調整する。下顎人工歯植立部24の外形上も好みに応じて変化で来る。簡易上顎総義歯101が作製されていない段階では、上顎人工歯15との上下人工歯の咬合調整は出来ないが、下顎総義歯2のみを紛失や壊して下顎総義歯のみを新調するような場合には、上顎総義歯1が存在したり、自然の歯が存在したりするので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面を均して離型材を予め塗ってある下部フラスコ30b内の印象材32の表面から、図16に示すように、仮下顎総義歯2の下顎人工歯25、下顎人工歯植立部24、下顎辺縁部22の一部を押し込み埋め込んでから、図17に示すように、仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23の内部に未硬化の印象材32が入るようにして印象材で満たした上部フラスコ30aを被せて閉じてから締付固定具33で固定する。これにより仮下顎総義歯2の下顎辺縁部22の下顎仮義歯床23は上部フラスコ30bの印象材32に埋まる。はみ出た余剰の印象材32は排除して内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、上顎総義歯1と同様にアルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できる。シリコーン印象材他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、仮下顎総義歯2を下部フラスコ30bから取り出す。取り出した状態では、図18に示すように、下部クラスコ30bの印象材32の表面部分に仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24、下顎人工歯25の凹んだ原型Gが刻まれており、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に下顎辺縁部22及び必要に応じて使用した保形材Hの凹んだ原型Gも刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24から下顎人工歯25を手で抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には下顎仮義歯床23から剥離する。そして、図19に示すように、下部フラスコ30b内で硬化した状態の印象材32の対応する凹んだ原型Gに戻す。下顎人工歯25の根元はワックス部材からなる柔らかい下顎人工歯植立部24に埋められているだけなので、熱湯をかけたり温風に当ててワックスを軟化させることによってでも容易に外せる。仮下顎総義歯2の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
次に、図20に示すように、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bを水平に維持した状態で成形用樹脂34を流し込んで表面を均した後に、図21に示すように閉じて締付部材33で成形用樹脂34が硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂34としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、硬化した成形用樹脂体34を上部、下部フラスコ30a、30bから外してバリや尖った個所を切り取るなどして調整してから、下顎辺縁部23の裏装を行って、最終目的の簡易下顎総義歯102を得る。
(1)軟化工程
仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23を40〜50℃の温湯の中に浸漬したり、温風にさらすなどして軟化させる。
(2)口腔内合せ工程
軟化状態のまま仮下顎総義歯2を患者の口腔内に入れるに際して必要に応じて下顎辺縁部22の周辺に保形材Hを後の工程で剥離自在となるように剥離剤を付けて付着させておき、下顎仮義歯床23が軟化状態にある間に指などで圧接して下顎仮義歯床23の型を安定させる。
この工程において、必要に応じて下顎人工歯25の排列調整を行う。下顎人工歯25の根元は下顎人工歯植立部24に予め天然歯と同じ順序で同じ個数排列されているので、そのままで良い場合には何もしなくて良い。しかし、簡易上顎総義歯101が先に完成していた場合には、その上顎人工歯15との咬み合わせ、歯の傾き、埋め込み長さ或いは歯間隔を変更する時は、この段階で指や必要に応じてインスツルメントを用いて下顎人工歯25を動かして調整する。下顎人工歯植立部24の外形上も好みに応じて変化で来る。簡易上顎総義歯101が作製されていない段階では、上顎人工歯15との上下人工歯の咬合調整は出来ないが、下顎総義歯2のみを紛失や壊して下顎総義歯のみを新調するような場合には、上顎総義歯1が存在したり、自然の歯が存在したりするので、審美的な観点からの上下人工歯の咬合調整を行うことは可能である。
(3)型取工程
内部空間を有する上部フラスコ30aと下部フラスコ30bが蝶番31によって開閉自在なフラスコ30のそれぞれの内部空間に印象材32を詰め込んで表面を均して離型材を予め塗ってある下部フラスコ30b内の印象材32の表面から、図16に示すように、仮下顎総義歯2の下顎人工歯25、下顎人工歯植立部24、下顎辺縁部22の一部を押し込み埋め込んでから、図17に示すように、仮下顎総義歯2の下顎仮義歯床23の内部に未硬化の印象材32が入るようにして印象材で満たした上部フラスコ30aを被せて閉じてから締付固定具33で固定する。これにより仮下顎総義歯2の下顎辺縁部22の下顎仮義歯床23は上部フラスコ30bの印象材32に埋まる。はみ出た余剰の印象材32は排除して内部の印象材32の硬化を待つ。印象材32としては、上顎総義歯1と同様にアルギン酸の粉末を練ったものが好適に使用できる。シリコーン印象材他の材料であっても良い。
(4)取出工程
所定時間が経過して印象材32が硬化した頃を見計らって締付固定具33を解除して上部フラスコ30aと下部フラスコ30bとを蝶番31を中心に開けて、仮下顎総義歯2を下部フラスコ30bから取り出す。取り出した状態では、図18に示すように、下部クラスコ30bの印象材32の表面部分に仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24、下顎人工歯25の凹んだ原型Gが刻まれており、上部フラスコ30aの印象材32の表面部分に下顎辺縁部22及び必要に応じて使用した保形材Hの凹んだ原型Gも刻まれている。
(5)戻し工程
取り出した仮下顎総義歯2の下顎人工歯植立部24から下顎人工歯25を手で抜き出して、又、保形材Hを使用した場合には下顎仮義歯床23から剥離する。そして、図19に示すように、下部フラスコ30b内で硬化した状態の印象材32の対応する凹んだ原型Gに戻す。下顎人工歯25の根元はワックス部材からなる柔らかい下顎人工歯植立部24に埋められているだけなので、熱湯をかけたり温風に当ててワックスを軟化させることによってでも容易に外せる。仮下顎総義歯2の役割はこの工程で終了する。
(6)転写工程
次に、図20に示すように、上部フラスコ30aと下部フラスコ30bを水平に維持した状態で成形用樹脂34を流し込んで表面を均した後に、図21に示すように閉じて締付部材33で成形用樹脂34が硬化するまで待機する。フラスコ30からはみ出た余剰の成形用樹脂34は排除しておく。成形用樹脂34としては、即時重合レジンが好適に使用される。
(7)仕上げ工程
所定時間後にフラスコ30を開けて、硬化した成形用樹脂体34を上部、下部フラスコ30a、30bから外してバリや尖った個所を切り取るなどして調整してから、下顎辺縁部23の裏装を行って、最終目的の簡易下顎総義歯102を得る。
以上のようにして、簡易上顎総義歯101、簡易下顎総義歯102を作製することが出来る。これらの作製時間は、平均的な経験年数を有する歯科医師と補助者で行えば、2時間程度の作業時間で行うことが出来る。従って、急を要する場合であっても、間に合わせすることが出来る。又、この簡易総義歯の作製に要する器具や材料は、歯科医院などの歯科治療を行う医療機関では、通常の医療行為で使用しているものが殆どであるので、予め出来上がった完成品である仮上顎総義歯、仮下総義歯を保有しておけば、即時に対応できる。更に、所定サイズのものを大量に製造しておくことが出来るので、安価に製造が可能であり、耐久性があるので長期保存も可能である。しかも、特段の治療技術を必要としないので、未経験者の歯科医師であっても作製手順書に従って容易に施術できる。そして、出来上がった簡易上顎、下顎総義歯は、通常の恒久的な総義歯の作製に要する期間である約1カ月間は十分に使用に耐え得る。
この発明は、仮上顎総義歯、仮下総義歯を製造する医療器具材料製造業、簡易総義歯を作製する歯科医師等の歯科医療サービス業に好適に貢献することが出来る。
1 仮上顎総義歯
11 口蓋部
11a 粘膜面
11b 研磨面
12 上顎辺縁部
13 上顎仮義歯床
14 上顎人工歯植立部
15 上顎人工歯
2 仮下顎総義歯
22 下顎辺縁部
23 下顎仮義歯床
24 下顎人工歯植立部
25 下顎人工歯
30 フラスコ
30a 上部フラスコ
30b 下部フラスコ
31 蝶番
32 印象材
33 締付部材
34 成形用樹脂
101 簡易上顎総義歯
102 簡易下顎総義歯
a 上顎歯槽堤
b 下顎歯槽堤
11 口蓋部
11a 粘膜面
11b 研磨面
12 上顎辺縁部
13 上顎仮義歯床
14 上顎人工歯植立部
15 上顎人工歯
2 仮下顎総義歯
22 下顎辺縁部
23 下顎仮義歯床
24 下顎人工歯植立部
25 下顎人工歯
30 フラスコ
30a 上部フラスコ
30b 下部フラスコ
31 蝶番
32 印象材
33 締付部材
34 成形用樹脂
101 簡易上顎総義歯
102 簡易下顎総義歯
a 上顎歯槽堤
b 下顎歯槽堤
Claims (14)
- 口腔の口蓋内表面形状に見合った粘膜面形状を有する口蓋部及び該口蓋部の曲縁側の外周囲に一体的に形成され抜歯状態の上顎歯槽堤に被る形状を有する上顎辺縁部を具備するワックス成形体からなる上顎仮義歯床と、前記上顎辺縁部に付着された前記上顎仮義歯床より低い温度で変形自在なワックス部材からなる上顎人工歯植立部と、該上顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の上顎人工歯と、を具備することを特徴とする仮上顎総義歯。
- 前記ワックス成形体が、40〜50℃で軟化するパラフィンワックス成形体 であることを特徴とする請求項1に記載の仮上顎総義歯。
- 前記ワックス部材が、ユーティリティワックスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮上顎総義歯。
- 口腔内の抜歯状態の下顎歯槽堤に被る形状を有する下顎辺縁部を具備するワックス成形体からなる下顎仮義歯床と、前記下顎辺縁部に付着された前記下顎仮義歯床より低い温度で変形自在に軟化するワックス部材からなる下顎人工歯植立部と、該下顎人工歯植立部に着脱及び変位自在に根元を埋め込まれて排列された複数の下顎人工歯と、を具備することを特徴とする仮下顎総義歯。
- 前記ワックス成形体が、40〜50℃で軟化するパラフィンワックス成形体 であることを特徴とする請求項4に記載の仮下顎総義歯。
- 前記ワックス部材が、ユーティリティワックスであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の仮下顎総義歯。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の仮上顎総義歯を用いて簡易上顎総義歯を作製する作製方法であって、前記仮上顎総義歯の上顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した上顎仮義歯床を口腔内面及び上顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した前記上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから上顎仮義歯床及び上顎人工歯を埋め込んだ上顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記上顎人工歯植立部から外した上顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する前記印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、前記フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記上顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の前記印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易上顎総義歯を作製することを特徴とする簡易上顎総義歯の作製方法。
- 前記口腔内合せ工程において上顎仮義歯床を口腔内面に圧接して安定させる際に前記口蓋部の粘膜面及び上顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることを特徴とする請求項7に記載の簡易上顎総義歯の作製方法。
- 前記口腔内合せ工程には、前記上顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の上顎人工歯の排列調整工程を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の簡易上顎総義歯の作製方法。
- 前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の簡易上顎総義歯の作製方法。
- 請求項4乃至6のいずれかに記載の仮下顎仮総義歯を用いて簡易下顎総義歯を作製する作製方法であって、前記仮下顎総義歯の下顎仮義歯床を40〜50℃の温度下において軟化させる軟化工程と、この軟化した下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる口腔内合せ工程と、口腔内から取り出した下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部をフラスコを用いて印象材で型取する型取工程と、前記印象材の硬化後にフラスコから下顎仮義歯床及び下顎人工歯を埋め込んだ下顎人工歯植立部を取り出す取出工程と、前記下顎人工歯植立部から外した下顎人工歯をフラスコ内で硬化して残存する印象材の対応する原型に戻す戻し工程と、フラスコ内に成形用樹脂を流し込んで前記下顎人工歯を付けた状態でフラスコ内の印象材の形状を転写する転写工程と、前記成形用樹脂の硬化後にフラスコから取出して必要なバリ取りと義歯裏装を行う仕上工程と、を順次実行することによって簡易下顎総義歯を作製することを特徴とする簡易上顎総義歯の作製方法。
- 前記口腔内合せ工程において下顎仮義歯床を下顎歯槽堤に圧接して安定させる際に前記下顎仮義歯床である下顎辺縁部に保形材を剥離自在に付着させることを特徴とする請求項11に記載の簡易下顎総義歯の作製方法。
- 前記口腔内合せ工程には、前記下顎人工歯植立部に根元を埋め込まれて排列されている複数の下顎人工歯の排列調整工程を含むことを特徴とする請求項11又は請求項12のいずれかに記載の簡易上顎総義歯の作製方法。
- 前記成形用樹脂が、即時重合レジンであることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の簡易下顎総義歯の作製方法。
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