JP2019060169A - コンクリート構造物の止水工法 - Google Patents

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【課題】コンクリート構造物の膨張や収縮等に起因して目地の幅が変動しても、目地を安定して止水できる止水工法を提供する。【解決手段】開削トンネル1の目地11の内側に設けられた目地板15を所定深さまで切断して撤去し、余分な水や目地板15の破片等を真空掃除機で吸引して除去する。所定深さの目地板15と目地11の側面11a,11aとの間を埋めるように仮止水材14を配置し、バックアップ材12を配置する。目地11の内側のバックアップ材12の表面側に、目地11の両側のブロック8,9の表面に達するまで分散液を注入し、分散液の表面に養生シートを設置する。分散液の水溶性有機モノマーを目地11の内側で重合させ、水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体13を形成する。止水体13を形成した後、養生シートを撤去する。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば開削トンネル等のコンクリート構造物に設けられた目地を止水する止水工法に関する。
開削トンネル等のコンクリート構造物には、コンクリートの温度変化に伴う膨張及び収縮や乾燥収縮に起因するひび割れや、膨張による座屈破壊を防止するため、コンクリート構造物の延在方向に対して横断方向に延びる目地が設けられている。目地には、コンクリート構造物が接する地盤や地山の地下水等に起因する漏水を防止するため、多くの場合、止水機能が付与される。
コンクリート構造物の目地を止水する止水工法として、目地の内側に表面から所定深さにわたってシーリング材を充填し、このシーリング材の表面と、目地の両側のコンクリート構造物の表面とを被覆材で被覆したものがある(例えば、特許文献1参照)。このコンクリート構造物の止水工法は、シーリング材がエポキシ樹脂で形成され、被覆材がウレアウレタン樹脂で形成されている。
特開2009−256971号公報
コンクリート構造物に膨張や収縮が生じると、目地の幅が増大又は減少し、目地に設けられた止水機能が影響を受ける問題がある。
特許文献1の止水工法が施されたコンクリート構造物では、目地の幅が増大すると、エポキシ樹脂で形成されたシーリング材に引張力が作用し、目地の側面からシーリング材が剥がれて隙間が生じるおそれがある。また、被覆材とコンクリート構造物との間にせん断力が作用して被覆材がコンクリート構造物から剥がれるおそれや、被覆材に引張力が作用して被覆材が破損するおそれがある。
一方、目地の幅が減少すると、上記止水工法が施されたコンクリート構造物は、シーリング材に目地の側面から圧縮力が作用してシーリング材が破損するおそれがある。
これらの目地とシーリング材の間の隙間や、被覆材の剥がれ及び破損や、シーリング材の破損は、目地の止水機能の低下を招くことになる。
そこで、本発明の課題は、コンクリート構造物の膨張や収縮等に起因して目地の幅が変動しても、目地を安定して止水できる止水工法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明のコンクリート構造物の止水工法は、コンクリート製の部材に設けられた目地の内側に、バックアップ材を所定深さに配置する工程と、
上記目地の内側かつバックアップ材の表面側に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入する工程と、
上記分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、コンクリート製の部材に設けられた目地の内側に、バックアップ材を所定深さに配置する。このバックアップ材の配置深さを調節することにより、止水体が形成される深さを調節できる。次いで、上記目地の内側かつバックアップ材の表面側に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入する。上記目地の内側に注入された分散液は、水溶性有機モノマーが目地の内側で重合し、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを形成し、この高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する。
上記止水体は、その材料である分散液が、多孔質であるコンクリートの微細な孔に、毛細管現象によって浸透するので、分散液から形成された高分子ヒドロゲルは、コンクリートに対して高い付着性を発揮する。また、高分子ヒドロゲルを含有する止水体は、伸展追従性が高い。したがって、コンクリート製の部材が温度変化や乾燥収縮等に起因して膨張又は収縮し、目地の幅が増大しても、止水体が目地の側面に十分に付着して伸展する。したがって、止水体と目地の側面との間に隙間が生じる不都合や、止水体が破損する不都合を防止でき、安定した目地の止水機能が得られる。また、高分子ヒドロゲルを含有する止水体は、収縮追従性が高いので、目地の幅が減少しても、目地の幅に応じた厚みに変形できるから、圧縮力によって破損する不都合を防止できる。さらに、止水体の材料である分散液は流動性が高いので、施工の作業性に優れるから、止水工法を容易に実施できる。また、止水体は難燃性であるため、コンクリート構造物の中や近接位置で火災が生じても、止水機能が失われる不都合を効果的に防止できる。さらに、上記分散液から形成されてコンクリートに付着する高分子ヒドロゲルは高い耐水圧性を有するので、コンクリート構造物が接する地盤や地山からの地下水や、コンクリート構造物に接する流水や貯水の水圧に十分に耐え、目地の漏水を効果的に防止できる。
上記バックアップ材は、目地の内側に配置されて表面側に分散液を保持でき、止水体を形成する深さを調節できるものであれば、特に限定されない。例えば、バックアップ材として、可撓性を有し、目地の幅以上の断面寸法を有する線状の部材を用いることができる。上記可撓性を有する線状のバックアップ材は、目地の内側に容易に密着させて配置できることから、円形断面を有するのが好ましい。上記バックアップ材は、種々の材料で形成できるが、加工の容易さから、例えば発泡ポリエチレンで形成することができる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記バックアップ材と目地の側面との間に、仮止水材を配置する工程を備える。
上記実施形態によれば、仮止水材により、バックアップ材と目地の側面との間の隙間を一時的に塞ぐので、コンクリート構造物が接する地盤や地山から隙間を通じて浸入した水により、分散液が薄まる不都合や、分散液が流失する不都合を防止できる。また、バックアップ材と目地の側面との間の隙間から分散液が漏出する不都合を防止できる。ここで、仮止水材は、分散液の重合が開始されて高分子ヒドロゲルが形成される間、バックアップ材と目地の側面との隙間を塞ぐことができればよく、材料は特に限定されない。すなわち、1〜24時間、好ましくは5〜24時間の間、バックアップ材と目地の側面との隙間を塞ぐものであればよい。このような仮止水材としては、吸水性樹脂が挙げられる。上記吸水性樹脂は、ヒドロゲルを形成する水膨潤性の架橋重合体のことをいい、水膨潤性とは、イオン交換水中において自重の5倍以上、好ましくは、50倍から1000倍の水を吸収することをいう。また、仮止水材として、上記止水体を形成するための分散液を構成する水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤とを含有するものを用いてもよい。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記分散液を注入する工程の前に、上記コンクリート製の部材に、上記目地の表面を閉塞する型枠を設置する工程を備える。
上記実施形態によれば、目地の表面を閉塞する型枠を設置し、この型枠の内側かつ目地の内側に分散液を注入することにより、目地の表面に、型枠の形状に応じた形状の止水体を形成することができる。また、目地の表面を型枠で閉塞することにより、水平方向に対して傾斜方向又は直角方向に延びる目地に、分散液を保持した状態で水溶性有機モノマーの重合を安定に行わせて、止水体を形成することができる。
本発明の他の側面によるコンクリート構造物の止水工法は、コンクリート製の部材の下方を向いた面に設けられた目地に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入し、この分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成するコンクリート構造物の止水工法であって、
上記目地の表面を閉塞すると共に、軸方向にスライドして型枠の内側に出没可能に形成された管状体を有する液位検出装置と、この型枠の内側に上記分散液を注入するための注入孔とが設けられた型枠を設置する工程と、
上記液位検出装置の管状体の先端が上記分散液の注入高さとなるように、上記管状体を型枠の内側に突出させる工程と、
上記目地の内側かつ型枠の内側に、上記分散液を、上記注入孔を通じて注入する工程と、
上記液位検出装置の管状体の下端から上記分散液が排出されるのに応じて、上記分散液の注入を停止すると共に、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置するように、上記管状体を型枠の内側から退去させる工程と、
上記管状体が型枠の内側から退去した状態で、上記分散液の水溶性有機モノマーを重合させて上記止水体を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、コンクリート製の部材の下方を向いた面に、この面に設けられた目地の表面を閉塞する型枠を設置する。この型枠は、軸方向にスライドして型枠の内側、すなわち、目地の内側に出没可能に形成された管状体を有する液位検出装置を備える。また、上記型枠は、内側に分散液を注入するための注入孔を備える。上記型枠を設置した後に、上記液位検出装置の管状体の先端が、上記目地における分散液の注入高さとなるように、上記管状体を型枠の内側に突出させる。この後、上記注入孔を通じて分散液を注入し、目地の内側に分散液を注入する。分散液の注入を継続すると、目地内の分散液の液位が上昇し、上記管状体の先端に達する。この後、分散液の注入を更に継続すると、上記管状体の先端から分散液が管状体内に流入し、この管状体の下端から分散液が排出される。この管状体の下端からの分散液の排出により、型枠の下方に位置する作業者が、目地内の液位が所定の注入高さに達したことを検知でき、これに応じて注入孔からの分散液の注入を停止する。これと共に、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置するように、上記管状体を型枠の内側から退去させる。この管状体が型枠の内側から退去した状態で、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む上記分散液の水溶性有機モノマーの重合を行う。これにより、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを形成し、この高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する。この止水体は、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置しているので、型枠の表面に沿った形状に形成される。こうして、例えば頂版や梁等のような、表面が下方を向く部材に設けられた目地に、分散液を容易かつ正確に所定の注入高さに注入できて、所定の厚みを有する止水体を容易かつ精度良く形成することができる。なお、上記表面が下方を向く部材とは、表面の法線が鉛直下方を向く部材に限られず、表面の法線が水平方向に対して下方に傾斜した部材を含む。
上記止水体は、その材料である分散液が、多孔質であるコンクリートの微細な孔に、毛細管現象によって浸透するので、分散液から形成された高分子ヒドロゲルは、コンクリートに対して高い付着性を発揮する。また、高分子ヒドロゲルを含有する止水体は、伸展追従性が高い。したがって、コンクリート製の部材が温度変化や乾燥収縮等に起因して膨張又は収縮し、目地の幅が増大しても、止水体が目地の側面に十分に付着して伸展する。したがって、止水体と目地の側面との間に隙間が生じる不都合や、止水体が破損する不都合を防止でき、安定した目地の止水機能が得られる。また、高分子ヒドロゲルを含有する止水体は、収縮追従性が高いので、目地の幅が減少しても、目地の幅に応じた厚みに変形できるから、圧縮力によって破損する不都合を防止できる。さらに、止水体の材料である分散液は流動性が高いので、施工の作業性に優れるから、止水工法を容易に実施できる。また、止水体は難燃性であるため、コンクリート構造物の中や近接位置で火災が生じても、止水機能が失われる不都合を効果的に防止できる。さらに、上記分散液から形成されてコンクリートに付着する高分子ヒドロゲルは高い耐水圧性を有するので、コンクリート構造物が接する地盤や地山からの地下水や、コンクリート構造物に接する流水や貯水の水圧に十分に耐え、目地の漏水を効果的に防止できる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記分散液が注入される目地の側面が、湿潤状態である。
上記実施形態によれば、湿潤状態の目地の側面は、コンクリートの内部に延びる微細な孔に水が浸透しているところ、このコンクリートの内部の水の濃度勾配を平準化するように、分散液が浸透する。したがって、上記コンクリートの微細な孔に根を張るように高分子ヒドロゲルが形成されるので、上記分散液により形成される高分子ヒドロゲルを含有する止水体と、目地の側面との間に、さらに高い付着性が得られる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記目地に注入された分散液の表面に、養生材を配置する工程を備える。
上記実施形態によれば、目地の内側に分散液を注入した後、この分散液の表面に養生材を配置する。分散液の表面に配置した養生材により、分散液の流出や散逸を防止できるので、不足無く分散液の水溶性有機モノマーを重合させて、欠損の無い止水体が得られる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記止水体を形成する工程の後に、上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程を備える。
上記実施形態によれば、高分子ヒドロゲルを含有する止水体が形成された後、この止水体の表面に乾燥防止材を設置することにより、乾燥による止水体の伸縮追従性の低下等の不都合を防止できる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記型枠を設置する工程で、上記型枠をコンクリート製の部材にアンカーで固定し、
上記止水体を形成する工程の後に、上記アンカーをコンクリート製の部材に残留させて型枠を除去する工程と、
上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程と、
上記コンクリート製の部材に残留したアンカーに、上記乾燥防止材を固定する工程と
を備える。
上記実施形態によれば、目地の表面を閉塞する型枠を設置し、この型枠をコンクリート製の部材にアンカーで固定する。上記目地の内側かつ型枠の内側に分散液を注入し、この分散液の水溶性有機モノマーを重合させ、高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する。この後、上記アンカーをコンクリート製の部材に残留させて型枠を除去し、止水体の表面を露出させる。この止水体の表面に乾燥防止材を設置し、この乾燥防止材を上記コンクリート製の部材に残留したアンカーに固定する。このように、型枠を固定するアンカーを、乾燥防止材の固定に再利用することにより、少ない工数で、乾燥防止材を強固に固定して止水体の乾燥を安定して防止できる。
一実施形態のコンクリート構造物の止水工法は、上記養生材が乾燥防止材を兼ねる。
上記実施形態によれば、目地の内側に分散液を注入した後、この分散液の表面に、乾燥防止材を兼ねる養生材を配置し、分散液の水溶性有機モノマーを重合させて、高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する。止水体が形成された後も、乾燥防止材を兼ねる養生材を引き続いて配置する。乾燥防止材を兼ねる養生材を分散液の表面に配置することにより、分散液の流出や散逸を防止して欠損の無い止水体が得られると共に、止水体の乾燥を防止して伸縮追従性等の特性を安定して維持できる。また、上記目地の内側に分散液を注入した後、乾燥防止材を兼ねる養生材を配置すれば、止水材が形成されて供用できるので、止水工法の工数を少なくできる。
本発明によれば、水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体は、目地のコンクリートに対する高い付着性を有すると共に、目地の幅の変化に応じた高い伸縮追従性を有し、高い耐水圧性を有するので、目地の幅が増大又は減少しても剥がれや破損を防止できて、目地に安定した高い止水機能を付与できる。
第1実施形態の止水工法が施された開削トンネルの目地の位置における断面図である。 第1実施形態の止水工法により開削トンネルの目地に設置された止水構造を示す断面図である。 開削トンネルの一方の内空の下部を示す断面図である。 開削トンネルの目地における第1実施形態の止水工法の工程を示す断面図である。 図4Aに続く止水工法の工程を示す断面図である。 図4Bに続く止水工法の工程を示す断面図である。 図4Cに続く止水工法の工程を示す断面図である。 目地の表面に型枠を配置した様子を示す断面図である。 目地の表面に他の型枠を配置した様子を示す断面図である。 第2実施形態の止水工法により開削トンネルの目地に設置された止水構造を示す断面図である。 第2実施形態の止水工法で用いられる型枠の一部を示す断面図である。 開削トンネルの目地における第2実施形態の止水工法の工程を示す断面図である。 図9Aに続く止水工法の工程を示す断面図である。 図9Bに続く止水工法の工程を示す断面図である。
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
本発明のコンクリート構造物の止水工法で形成される止水体は、水溶性有機モノマーの重合体及び水膨潤性粘土鉱物により形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有するものである。
上記高分子ヒドロゲルの製造方法としては、簡便に三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルが得られることから、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液中で、水溶性有機モノマーを重合させる方法が好ましい。得られた水溶性有機モノマーの重合体は、水膨潤性粘土鉱物ととともに三次元網目構造を形成し、上記高分子ヒドロゲルの構成要素となる。
上記水溶性有機モノマーとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するアクリルモノマー等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとしては、例えば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、溶解性及び得られる高分子ヒドロゲルの物性の観点から、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーを用いることが好ましく、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンを用いることがより好ましく、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンを用いることがさらに好ましく、重合が進行しやすい観点から、N,N−ジメチルアクリルアミドが特に好ましい。
なお、上述の水溶性有機モノマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分散液中の水溶性有機モノマーの含有量は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。水溶性有機モノマーの含有量が1質量%以上であると、力学物性に優れるヒドロゲルを得ることができることから好ましい。一方、水溶性有機モノマーの含有量が50質量%以下であると、分散液の調製が容易にできることから好ましい。
上記水膨潤性粘土鉱物は、上記水溶性有機モノマーの重合体とともに三次元網目構造を
形成し、高分子ヒドロゲルの構成要素となる。
水膨潤性粘土鉱物としては、特に制限されないが、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母等が挙げられる。
上記水膨潤性スメクタイトとしては、例えば、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト等が挙げられる。
上記水膨潤性雲母としては、例えば、水膨潤性合成雲母等が挙げられる。
これらの中でも、分散液の安定性の観点から、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイトを用いることが好ましく、水膨潤性ヘクトライトを用いることがより好ましい。
上記水膨潤性粘土鉱物は、天然由来のもの、合成されたもの、及び表面を修飾されたものを用いることもできる。表面を修飾された水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、ホスホン酸変性合成ヘクトライト、ピロリン酸添加合成ヘクトライト、フッ素変性合成ヘクトライト等が挙げられるが、得られる高分子ヒドロゲルのコンクリート付着性及び耐水圧性の観点から、ホスホン酸変性合成ヘクトライトを用いることが好ましい。
なお、上述の水膨潤性粘土鉱物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分散液中の水膨潤性粘土鉱物の含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。水膨潤性粘土鉱物の含有量が1質量%以上であると、力学物性に優れるヒドロゲルを合成できることから好ましい。一方、水膨潤性粘土鉱物の含有量が20質量%以下であると、分散液の調製が容易にできることから好ましい。
上記重合開始剤としては、特に制限されないが、水溶性の過酸化物、水溶性のアゾ化合物等が挙げられる。
上記水溶性の過酸化物としては、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
上記水溶性のアゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)等が挙げられる。
これらの中でも、水膨潤性粘土鉱物との相互作用の観点から、水溶性の過酸化物を用いることが好ましく、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いることがより好ましく、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いることがさらに好ましい。
なお、上述の重合開始剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分散液中の上記水溶性有機モノマーに対する上記重合開始剤のモル比(重合開始剤/水溶性有機モノマー)は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02〜0.1であり、さらに好ましくは0.04〜0.1である。
上記分散液中の重合開始剤の含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。重合開始剤の含有量が0.1質量%以上であると、空気雰囲気下でも有機モノマーの重合が可能となることから好ましい。一方、重合開始剤の含有量が10質量%以下であると、分散液が重合前に凝集せずに使用することができて、取扱性が向上することから好ましい。
上記分散液は、水溶性有機モノマー、水膨潤性粘土鉱物、重合開始剤及び水を含有するが、必要に応じて、有機溶媒、触媒、有機架橋剤、防腐剤、増粘剤等をさらに含んでいてもよい。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等のアルコール化合物;エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、水膨潤性粘土鉱物の分散性の観点から、アルコール化合物を用いることが好ましく、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールを用いることがより好ましく、メタノール、エタノールを用いることがさらに好ましい。
なお、これらの有機溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記触媒は、水溶性有機モノマーを重合する際に、重合速度を増大させる機能を有する。
上記触媒としては、特に制限されないが、3級アミン化合物、チオ硫酸塩、アスコルビン酸類等が挙げられる。
上記3級アミン化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、3−ジメチルアミノプロピオニトリル等が挙げられる。
上記チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記アスコルビン酸類としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、分散液の安定性の観点から、触媒として3級アミン化合物を用いることが好ましく、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを用いることがより好ましい。
なお、上述の触媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒を用いる場合における上記分散液中の触媒の含有量は、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。触媒の含有量が0.01質量%以上であると、得られるヒドロゲルの有機モノマーの合成を効率よく促進できることから好ましい。一方、触媒の含有量が1質量%以下であると、分散液が重合前に凝集せずに使用することができて、取扱性が向上することから好ましい。
上記分散液の調製方法としては、例えば、水溶性有機モノマー、水膨潤性粘土鉱物、重合開始剤、水等を一括で混合する方法;水溶性有機モノマーを含有する分散液前駆溶液と重合開始剤を含有する溶液とを別の分散液前駆溶液又は溶液として調製し、使用直前に混合する多液混合方法等が挙げられるが、分散性、保存安定性、粘度制御等の観点から、多液混合方法が好ましい。
上記水溶性有機モノマーを含有する分散液前駆溶液としては、例えば、水溶性有機モノマー及び水膨潤性粘土鉱物を混合した分散液等が挙げられる。
上記重合開始剤を含有する溶液としては、例えば、重合開始剤と水とを混合した水溶液等が挙げられる。
上記高分子ヒドロゲルは、上記分散液中で、水溶性有機モノマーを重合させることにより得られるが、重合方法については、特に制限されず、公知の方法によって行うことができる。具体的には、加熱や紫外線照射によるラジカル重合、レドックス反応を利用したラジカル重合等が挙げられる。
重合温度としては、10〜80℃であることが好ましく、20〜80℃であることがより好ましい。重合温度が10℃以上であると、ラジカル反応が連鎖的に進行できることから好ましい。一方、重合温度が80℃以下であると、分散液中に含まれる水が沸騰せずに重合できることから好ましい。
重合時間としては、重合開始剤や触媒の種類によって異なるが、数十秒〜24時間の間で実施される。特に、加熱やレドックスを利用するラジカル重合の場合は、1〜24時間であることが好ましく、5〜24時間であることがより好ましい。重合時間が1時間以上であると、水膨潤性粘土鉱物と水溶性有機モノマーの重合物が三次元網目を形成できることから好ましい。一方、重合反応は24時間以内にほぼ完了するので、重合時間は24時間以下が好ましい。
本発明のコンクリート構造物の止水工法で形成される止水体は、地下水等の漏水による背水圧、及び水路からの漏水の圧力に耐える必要性から、耐水圧が0.2MPa以上であることが重要であり、0.3MPa以上であることが好ましく、0.4MPa以上であることがより好ましい。耐水圧の上限は特に制限されるものではないが、コンクリート構造物の季節変動による伸縮に対して、コンクリートと密着して柔軟に追従できることから10MPa以下であることが好ましい。
ここで、本発明の耐水圧は、JIS A 1404:2015建築用セメント透水試験に準じた方法で測定されたものである。
本発明のコンクリート構造物の止水工法で形成される止水体は、地下水等の漏水による背水圧、及び水路からの漏水の圧力に耐える必要性から、破断強度が0.2MPa以上であることが好ましく、0.3MPa以上であることが好ましく、0.4MPa以上であることがさらに好ましい。破断強度の上限は特に制限されるものではないが、コンクリート構造物の季節変動による伸縮に対して、コンクリートと密着して柔軟に追従できることから10MPa以下であることが好ましい。
ここで、本発明の破断強度は、JIS A 1439:2010建築用シーリング材の試験方法 5.20引張接着性試験に準じた方法で測定されたものである。
次に、本発明の実施形態の止水工法を、コンクリート構造物としての開削トンネルに適用する場合について説明する。図1は、第1実施形態の止水工法が施された開削トンネルの目地の位置における断面図であり、本実施形態の止水工法により止水体13が設置された様子を模式的に示している。この開削トンネル1は、高速道路として供用されるものである。
この開削トンネル1は、次のようにして施工される。まず、開削トンネル1の設置範囲の両外側に沿うように、地上から地下に向かって土留め壁を構築した後、この土留め壁の間の部分を掘削して溝状の施工ヤードを作成する。続いて、この施工ヤード上に型枠と鉄筋を配置し、コンクリートを打設して、鉄筋コンクリート製の開削トンネル1の躯体を構築する。この後、開削トンネル1の上を土砂で地表面まで埋め戻して、開削トンネル1の設置工事が完成する。
この開削トンネル1は、コンクリート製の部材として、施工ヤードの底面に接して実質的に水平方向に延在する底版2と、この底版2の両側から実質的に鉛直方向に延在する側壁3,3と、底版2の中央から実質的に鉛直方向に延在して、トンネル内空を左右両側に区画する中央壁4と、上記側壁3,3及び中央壁4の上端に連なり実質的に水平方向に延在する頂版5を有する。上記底版2と側壁3及び中央壁4との間と、上記頂版5と側壁3及び中央壁4との間には、ハンチが設けられている。底版2上には、両方の側壁3,3の近傍に、排水溝を有する排水ブロック6,6が配置されている。
この開削トンネル1は、延長方向において数十メートル毎に、横断方向に延びる目地が形成されている。開削トンネル1は、この目地を境に互いに分離した複数のブロックで構成されており、温度変化に起因して膨張又は収縮し、或いは、コンクリートの乾燥収縮により収縮した場合に、目地幅が変化することで、コンクリート製の部材にひび割れや座屈破壊が生じることを防止している。開削トンネル1の目地には、繊維に瀝青材料を浸透させて形成された目地板が設置されている。
図2は、本実施形態の止水工法により、開削トンネル1の目地に設置された止水構造10を、目地の延在方向に対して直角の断面で示した断面図である。この止水構造10は、開削トンネル1を構成する一方のブロック8と、他方のブロック9との間に形成された目地11に設置されている。この目地11は、底版2の表面に対して直角方向に延在し、表面部分が面取りされている。この止水構造10は、目地11の所定深さに設置されたバックアップ材12と、目地11の側面11a,11aとバックアップ材12との間に設けられた仮止水材14と、目地11の内側のバックアップ材12の表面側、すなわち、トンネルの内空側に形成された止水体13とを含んで形成されている。バックアップ材12は、底版2の厚み方向の奥側、すなわち、底版2の底側に配置された目地板15に接するように配置されている。
上記バックアップ材12は、円形断面を有する発泡ポリエチレン製の線状の部材で形成されている。このバックアップ材12は、目地11の幅よりも多少大きい直径を有する。なお、バックアップ材12は、可撓性を有する材料であれば、発泡ポリエチレン以外の材料で形成されてもよい。また、バックアップ材12は、円形断面以外に、矩形や三角形断面を有してもよい。
上記仮止水材14は、上述の分散液が注入されて止水体13が形成されるまでの間、隙間を埋める機能を有するものであれば、どのような材料で形成されてもよい。例えば、仮止水材14は、吸水性の樹脂や、接着剤等で形成することができる。吸水性の樹脂としては、アクリル酸重合体ナトリウム塩架橋物を用いることができる。また、接着剤としては、エポキシ系接着剤や、ウレタン系接着剤等を用いることができる。
上記止水体13は、上述の高分子ヒドロゲルにより形成されている。高分子ヒドロゲルで形成された止水体13は、コンクリートで形成された目地11の側面11a,11aに、高い付着性を有すると共に、高い伸縮追従性を有するので、開削トンネル1の温度変化やコンクリートの乾燥収縮により目地11の幅が増大又は減少しても、止水体13と目地11の側面11a,11aとの間の剥がれや、止水体13の破損を効果的に防止できる。したがって、目地11に安定した高い止水機能を付与できる。
本実施形態の止水工法で形成された止水体13は、底版2及び中央壁4からの地下水の漏れを防止すると共に、地下水を側壁3に設けた集水位置から導いて、開削トンネル1の内空に漏出させることなく効果的に排出するように構成されている。図3は、開削トンネル1の一方の内空の下部を示す断面図である。この開削トンネル1に設置された止水体13は、内空の幅方向の一方側である側壁3側の部分を、内空の幅方向の他方側である中央壁4側の部分よりも低く形成されている。側壁3と排水ブロック6の間には、コンクリート製の導水路7が設置されて、止水体13の上端と排水ブロック6内の排水路とを接続する水路が形成されている。この止水体13は、側壁3側の部分を地下水位よりも低く、中央壁4側の部分を地下水位よりも高く形成することにより、側壁3側の部分の上端を集水位置として地下水16を内空側に引き出し、排水ブロック6の排水路に導くように構成されている。この止水体13により、底版2からの地下水16の漏れを効果的に防止すると共に、地下水16を排水路に導いて開削トンネル1から排出することができる。
次に、本実施形態の止水工法により止水体13を形成する工程を説明する。
まず、図4Aに示すように、破線で示すように目地11の内側に設置されていた目地板15を、所定深さまで切断して除去する。続いて、目地11の内側に存在する余分な水や、目地板15の破片等を、真空掃除機で吸引して除去する。ここで、目地11の内側面11a,11aは、水分が残留した湿潤状態であると、止水体13を形成する分散液が浸透して止水体13の付着性が高まるので好ましい。なお、真空掃除機で目地11内を吸引する前に、高圧洗浄機を用いて目地11内に高圧水を噴射し、目地11の内側に付着した汚れ等を分離させるのが好ましい。
この後、図4Bに示すように、目地11内の目地板15の上に、目地板15と目地の側面11a,11aとの間を埋めるように仮止水材14を配置する。仮止水材14は、吸水性の樹脂で形成された場合は目地11の内側に残留している水を吸収し、目地板15と目地の側面11a,11aとの間の隙間を埋める。あるいは、仮止水材14は、接着剤で形成された場合は目地板15と目地の側面11a,11aに接着し、目地板15と目地の側面11a,11aとの間の隙間を埋める。これにより、開削トンネル1の外側からの地下水の浸入を、少なくとも止水体13を形成するまでの間防止する。
続いて、図4Cに示すように、目地11内の目地板15及び仮止水材14の表面側に、バックアップ材12を挿入する。バックアップ材12は、目地11の幅よりも多少大きい直径を有するので、目地11の内側に配置されたときに目地11の側面11a,11aと密着する。また、目地11の内側にバックアップ材12を挿入すると、奥側に配置された仮止水材14がバックアップ材12と目地11の側面11a,11aとの間に回り込み、隙間を塞ぐようになっている。
この後、底版2の部分については、図4Dに示すように、目地11の内側に、目地11の両側のブロック8,9の表面に達するまで上述の分散液18を注入する。続いて、分散液18の表面を覆うように、目地11の両側のブロック8,9の表面にまたがるように養生材としての養生シートを設置し、分散液18の水溶性有機モノマーの重合が進行する間、養生を行う。所定の時間が経過して水溶性有機モノマーの重合が完了し、止水材13が完成すると、養生シートを撤去する。なお、開削トンネル1の内空で他の作業を行う場合、止水材13を保護するために養生シートを継続して配置してもよい。また、止水材13の乾燥を防止するために、養生シートを乾燥防止材として継続して配置してもよい。目地11に止水材13が形成された後、底版2上には、基層と表層からなる舗装が設置されるが、舗装によって止水材13の乾燥が防止されるため、止水材13上に基層を直接配置することができる。
一方、底版2と側壁3及び中央壁4との間のハンチと、側壁3及び中央壁4に形成された目地11の部分については、バックアップ材12を配置した後、図5に示すように、目地11の表面を閉塞するように型枠19を配置する。型枠は、一方の面に接着剤が塗布された粘着テープを、目地11の表面をまたがるようにブロック8,9の表面に接着し、形成することができる。型枠19の下端は、分散液18が漏れないように、先に形成した底版2の止水材13に密着させる。型枠19を配置した後、型枠19の内側に分散液18を注入する。所定時間が経過して止水材13が形成された後、型枠19を撤去する。この後、止水材13の表面であって、トンネルの内空に露出する部分に、乾燥を防止するための乾燥防止材を配置する。乾燥防止材としては、板状体や可撓性のシートや塗装膜を用いることができる。板状体の材料は塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、シートの材料はポリ塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられ、塗装膜の材料はウレタン系樹脂等が挙げられる。
上記実施形態において、型枠19は、板状体を固定具で側壁3及び中央壁4に固定して形成してもよい。図6は、板状体を用いて形成された型枠20を示す図である。図6に示すように、この型枠20は、目地11の表面を閉塞するように配置され、光透過性の高い樹脂で形成された板状体の型枠板21と、目地11の両側に目地11と平行に配置されたアングル材22と、このアングル材22に頭部が係合し、このアングル材22と型枠板21を貫通して先端部が開削トンネル1のブロック8,9に埋め込まれたアンカー23を含んで形成されている。上記型枠板21は、光透過性の高いアクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂等で形成できる。上記型枠板21を光透過性の高い樹脂で形成することにより、目地11内の分散液18の注入状況を容易に把握することができる。なお、型枠板21は、木材のような光透過性の低い材料で形成されてもよい。上記アンカー23は、接着剤の付着力でコンクリートに固定されるケミカルアンカーや、径の一部又は全部が拡大することによる楔効果でコンクリートに固定されるメカニカルアンカーを用いることができる。アンカー23で固定される型枠19を用いた場合、止水体13が形成された後、アンカー23の頭部のボルトを取り外してアングル材22及び型枠板21を除去する。この後、止水体13の表面に乾燥防止材を配置し、この乾燥防止材を、コンクリートに残留したアンカー23を利用して固定することができる。
図7は、第2実施形態の止水工法が施された開削トンネルの目地の位置における断面図であり、本実施形態の止水工法により止水体13が設置された様子を模式的に示している。この開削トンネル31は、内空の全周にわたって目地の内側に止水体13が設置されている。この開削トンネル31は、底版2と側壁3と中央壁4の止水体13は、第1実施形態と同様の止水工法によって形成され、頂版5の止水体13が、第2実施形態の止水工法により形成されている。第2実施形態において、第1実施形態と同様の部分には同じ符号を引用し、詳細な説明を省略する。
図8は、第2実施形態の止水工法で用いられる型枠の一部を示す断面図である。頂版5において下方を向く目地11を閉塞するように設置された型枠34は、この型枠34の内側に分散液18を注入する際、型枠34上の分散液18の注入高さをトンネルの内空から目視することができない。そこで、本実施形態の止水工法で用いられる型枠34は、分散液18の液位を検出するための液位検出装置33を備えている。
この液位検出装置33は、図8に示すように、型枠板21に形成された貫通孔に連通するように型枠34の外側、すなわち、図8の下側に固定されたガイド管36と、このガイド管36の内側に、矢印Aで示すように軸方向にスライド可能に嵌合された管状体としてのスライド管37を有する。スライド管37は、上端に鍔部が設けられており、型枠34の外側に引き出されたときに型枠板21の貫通孔の周辺に鍔部が係止して、抜け落ちが防止されるようになっている。また、スライド管37の表面には、ガイド管36から型枠34の外側に突出した長さを算出するための目盛が設けられている。
また、この型枠34には、下方から分散液18を容易に注入可能とするため、型枠板21に形成された注入孔としての貫通孔に連通し、分散液18が圧送されるホース39に接続される注入口38が型枠板21に設けられている。
本実施形態の止水工法では、第1実施形態と同様に、目地11の内側の目地板15を内空から遠い側の所定深さまで切断して除去し、必要に応じて高圧洗浄機を用いて目地11内に高圧水を噴射し、真空掃除機を用いて目地11内から余分な水や目地板15の破片等を除去する。続いて、目地11内に仮止水材14を配置し、目地板15と目地の側面11a,11aとの間の隙間を埋め、この後、バックアップ材12を目地11内に挿入する。なお、目地11からの漏水が無い場合は、目地板15を切り取った後、高圧洗浄機による水の噴射のみを行い、目地11の側面11a,11aを湿潤状態にするのみとし、仮止水材14及びバックアップ材12を設けなくてもよい。この後、頂版5の目地11に、上記液位検出装置33を備える型枠34を配置する。この型枠34は、頂版5の目地11の両側のブロック8,9に、型枠板21をアングル材22とアンカー23で固定して取り付けるのが好ましい。
頂版5に型枠34を固定すると、図9Aに示すように、液位検出装置33のスライド管37を、型枠34の内側にスライドさせ、スライド管37の上端の位置が、型枠板21上の分散液18を注入すべき注入高さHとなるように調節する。このスライド管37のスライド量の調節は、スライド管の表面に設けられた目盛に基づいて行う。スライド管37の上端の位置を分散液18の注入高さHに調節すると、図示しないボルト等でスライド管37をガイド管36に固定する。この後、ホース39に接続された図示しない圧送ポンプを作動させ、矢印F0で示すように、分散液18をホース39で供給し、注入口38を通して型枠板21の上であって、頂版5の目地11の内側に注入する。
頂版5の目地11の内側への分散液18の注入を開始すると、型枠板21上の分散液18の液位が上昇する。この液位が所定の注入高さに達すると、図9Bの矢印F1で示すように、分散液18の表面がスライド管37の上端から内側に流入し、矢印F2で示すように下端から型枠34の外側へ排出される。この分散液18がスライド管37から排出されたことにより、型枠34の外側に存在する作業者は、目地11の内側で分散液18が所定の注入高さに達したことを検知できる。スライド管37から分散液18が排出されると、圧送ポンプを停止し、分散液18の目地11内への注入を停止する。これと共に、スライド管37のガイド管36に対する固定を解除し、図9Cに示すように、スライド管37を型枠34の外側へスライドさせ、スライド管37の上端が型枠板21の表面と一致するようにスライド管37を型枠34の内側から退去させる。型枠34の内側から退去して外側へ突出したスライド管37の下端を、キャップ40で閉鎖し、分散液18の排出を停止させる。この状態で分散液18の重合を行うことにより、型枠板21の表面に沿った形状の止水体13が得られる。
上記頂版5の目地11に止水体13が形成されると、型枠34を撤去し、止水体13の表面に、第1実施形態と同様の乾燥防止材を配置する。なお、スライド管37の内側で形成された高分子ヒドロゲルは、スライド管37と共に止水体13から分離する。上記乾燥防止材は、上記型枠34の型枠板21を固定していたアンカー23を利用して固定するのが好ましい。
本実施形態によれば、分散液18の液位を検出する液位検出装置33を備えた型枠34を用いることにより、頂版5のような表面が下方を向く部材の目地11に、分散液18を容易かつ正確に所定の注入高さに注入できる。したがって、所定の厚みを有する止水体13を容易かつ精度良く形成することができる。
以下に、本発明のコンクリート構造物の止水工法で形成される止水体13の実施例について説明する。
(実施例1−1:止水体(1)の作製及び評価)
純水100g中に、N,N−ジメチルアクリルアミド(以下「DMAA」と略記する。)(KJケミカルズ株式会社製)10g、水膨潤性合成ヘクトライト(ビックケミ一・ジャパン株式会社製、「ラポナイトXLG」)1.6g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TEMED」と略記する。)80μLを混合撹拌して分散液前駆溶液(1)を調製した。また純水100g中にペルオキソ二硫酸ナトリウム(以下、「NPS」と略記する。)5gを混合撹拌してNPS水溶液を調製した。次いで、分散液前駆溶液(1)とNPS水溶液との質量比が10となるように混合し、分散液(1)を得た。
[湿潤面付着性の評価]
コンクリート普通平板(JIS A 5371)60×300×300mmを水に24時間浸漬し、表面の水滴のみを拭き取った後、上記で得られた分散液(1)を3kg/m塗布し、23℃、湿度50%の環境下で1週間養生し、止水体(1)を得た後に、25mm幅に止水体をカットして試験体を作成し、180°の方向に試験体を引っ張った際の試験体の状態により、湿潤面付着性を下記の基準に従って評価した。
○:凝集破壊もしくは下地破壊
×:層間剥離
[伸縮追従性の評価]
上記止水体(1)を用いて、JIS A 1439の5.17の「耐久性試験」における目地幅の拡大・縮小を実施した。変形率±20%、繰返し回数3650回を行い、剥離・破断を確認し、止水体(1)について、下記の基準により伸縮追従性を評価した。
○:剥離・破断なし
×:剥離あり、もしくは破断あり
[難燃性の評価]
上記分散液(1)を厚み1mmの容器に注入して、20℃で重合を行い厚み1mmのシート状の止水材(1)を得た。この止水材(1)について、UL規格のUL94HBクラスの試験方法に準じ、30秒間接炎し、下記の基準に従い評価した。
○:燃焼しなかった
×:燃焼した
(実施例1−2:止水体(2)の製造及び評価)
純水100g中に、DMAA100g、ラポナイトXLG4g、TEMED80μLを混合撹拌して分散液前駆溶液(2)を調製した。また純水100g中に、ぺルオキソ二硫酸カリウム(以下、「KPS」と略記する。)5gを混合撹拌してKPS水溶液を調製した。次いで、分散液前駆溶液(2)とKPS水溶液との質量比が10となるように混合し、分散液(2)を得た。
実施例1−1で用いた分散液を変更した以外は、実施例1−1と同様に止水体(2)を製造し、各評価を行った。
(比較例1−1)
実施例1−1で用いた分散液(1)を、JIS A 5758を満足する2成分系シリコーン系シーリング材(セメダイン株式会社製「PM700LMG」)に変更した以外は、実施例1−1と同様に各評価を行った。
(比較例1−2)
実施例1−1で用いた分散液(1)を、加水反応型の一液発泡ウレタン(日本TACCS協会「TACCS工法構造物止水用グレードCR−020NF」)に変更した以外は実施例1−1と同様に各評価を行った。
(比較例1−3)
実施例1−1で用いた分散液(1)を、JIS A6024を満足するエポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE206」)に変更した以外は、実施例1−1と同様に各評価を行った。
上記実施例1−1及び1−2と、比較例1−1乃至1−3で得られた各評価結果は、下記の表1に示すとおりである。
Figure 2019060169
実施例1−1及び1−2の止水体は、湿潤面付着性、伸縮追従性及び難燃性に優れることが確認された。
一方、比較例1−1は、2成分系シリコーン系シーリング材を使用した例であるが、湿潤面付着性が不十分であり、難燃性に劣ることが確認された。
比較例1−2は、加水反応型の一液発泡ウレタンを使用した例であるが、伸縮追従性が不十分であり、難燃性に劣ることが確認された。
比較例1−3は、エポキシ樹脂を使用した例であるが、伸縮追従性が不十分であり、難燃性に劣ることが確認された。
(実施例2−1:止水体(3)の作製及び評価)
純水100g中に、ラポナイトXLG2.4g、DMAA10g、TEMED80μLを入れて、攪拌により均一透明な分散液前駆溶液(3)を調製した。
次いで、純水10g中に、KPS0.2gを入れて混合撹拌して、KPS水溶液を調製した。
分散液前駆溶液(3)を攪拌しながら、KPS水溶液を加えていき、均一に混合するまで攪拌してから、縦10cm×横5cm×高さ1cmのガラス容器に移し替え、蓋をせず、室温でそのまま24時間静置して、高分子ヒドロゲルを製造した。24時間後に、移し替えた溶液を確認したところ、無色透明な高分子ヒドロゲル(1)が得られた。
(実施例2−2:止水体(4)の作製及び評価)
分散液前駆溶液(3)を調製後に加えるKPS水溶液の代わりに、純水10g中に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(以下「APS」と略記する。)0.5gを入れ、透明になるまで混合攪拌して得られたAPS水溶液を加えることに変更したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で高分子ヒドロゲルを製造した。製造後にガラス容器の溶液を確認したところ、無色透明なヒドロゲル(2)が得られた。
(実施例2−3:止水体(5)の作製及び評価)
分散液前駆溶液(3)の調製時に加えるラポナイトXLGの代わりに、ラポナイトRDS(水膨潤性合成ヘクトライトのホスホン酸変性品、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を4.0g加えることによって分散液前駆溶液(4)を調整すること、分散液前駆溶液(4)を調製後に加えるKPSの代わりに、純水10g中に、APS1.0gを入れ、透明になるまで混合撹拌して得られたAPS水溶液を加えることに変更したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で高分子ヒドロゲルを製造した。製造後に、ガラス容器の溶液を確認したところ、無色透明なヒドロゲル(3)が得られた。
[評価]
(伸展追従性)
得られた高分子ヒドロゲル(1)〜(3)の伸展追従性を確認するため、引張り試験装置(卓上型万能試験機AGS−H,株式会社島津製作所製)を用いて、引張り試験を行った。引張り試験は、2つの引張冶具で高分子ヒドロゲルの両端を挟み、高分子ヒドロゲルが破断するまで引っ張った。高分子ヒドロゲルの破断時の引張冶具間の距離を、引っ張る前の引張冶具間の距離に対する百分率で表した伸び(%)に基づいて、以下の基準に準拠して行った。
◎◎:伸び1000%以上
◎:伸び800%以上1000%未満
○:伸び500%以上800%未満
×:伸び500%未満
上記実施例2−1乃至2−3で得られた各評価結果は、下記の表2に示すとおりである。
Figure 2019060169
実施例2−1乃至2−3の高分子ヒドロゲルで形成される止水体は、重合度及び伸展追従性に優れることが確認された。
(実施例3−1)
純水100g中に、DMAA20g、水膨潤性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、「ラポナイトRD」)4.8gを混合攪拌して分散液前駆溶液(5)を調製した。また純水10g中に、NPS0.5gを混合攪拌してNPS水溶液を調製した。さらに純水10g中に、TEMED80μLを混合撹拌し、均一なTEMED水溶液を調製した。次いで、上記分散液前駆溶液(5)とNPS水溶液を、このNPS水溶液に対する分散液前駆溶液(5)の質量比が10となるように混合し、分散液前駆溶液(6)を得た。
[湿潤面付着強度の評価]
湿潤状態のコンクリートに対する本発明の止水体の湿潤面付着性に関連し、その強度を定量的に評価した。まず、モルタル平板(50mm×50mm×10mm)2枚を室温にて、あらかじめ24時間水に浸漬しておき、取り出した後に表面に付着した水滴を軽く拭き取った。この2枚のモルタル板を50mm×50mmの面同士が平行になるように並べて、その間に12mm幅のポリプロピレン製スペーサーを2個挿入した。2個のスペーサーの間の距離を12mm開け、ヒドロゲルを充填する空間を作製して、モルタル板とスペーサー全体をアルミテープで固定した。次いで、上記で調製した分散液前駆溶液(6)110gに上記で調製したTEMED水溶液を全量混合し、十分に撹拌して分散液を形成した後、この分散液を2枚のモルタル間に充填し、24時間静置してヒドロゲルを形成して止水体(5)を形成し、モルタル−ゲル−モルタル構造からなる第1試験体(1)を得た。この第1試験体を用いてJIS A 1439:2010建築用シーリング剤の試験方法に準じて、引張試験を実施し、下記の基準により湿潤面付着強度を評価した。
◎:0.4MPa以上
○:0.2MPa以上0.4MPa未満
×:0.2MPa未満又はゲルが脆いため測定不能
[耐水圧性の評価]
本発明の止水体がコンクリート構造物の目地に配置され、地下水や流水等による水圧を受けた場合を想定し、止水体の耐水圧性を評価した。上記分散液前駆溶液(6)110gにTEMED水溶液を全量混合し、十分に撹拌した後、直径100mm、厚さ100mmの円柱の中心部直径26mm部分が中空になっているコンクリート円柱の中空部分に充填して24時間静置することにより止水体を形成し、ゲル−コンクリート構造からなる第2試験体を得た。この第2試験体を用いて、JIS A 1404:2015建築用セメント透水試験に準じた方法で、円柱の天面全体に水で加圧し、ゲルが破損することなく、円柱の底面に水の浸入が起こらない水圧を測定し、下記の基準により評価した。
◎:0.4MPa以上
○:0.2MPa以上0.4MPa未満
×:0.2MPa未満又はゲルが脆いため測定不能
(実施例3−2)
水溶性有機モノマーを、DMAAの代わりにアクリロイルモルフォリン(以下、「ACMO」と略記する。)と用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(7)を調製した後、止水体(6)と、第1試験体(2)及び第2試験体(2)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
(実施例3−3)
水膨潤性粘土鉱物を、ラポナイトRDの代わりに、ラポナイトRDSを用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(8)を調製した後、止水体(7)、第1試験体(3)及び第2試験体(3)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
(実施例3−4)
水溶性有機モノマーを、DMAAの代わりにACMOとし、水膨潤性粘土鉱物を、ラポナイトRDの代わりに、ラポナイトRDSを用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(9)を調製した後、止水体(8)、第1試験体(4)及び第2試験体(4)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
(比較例3−1)
純水100g中に、DMAA20g、NPS0.5gを混合攪拌し、均一溶液を調製した。さらに均一溶液にTEMED80μLを追加して混合撹拌し、室温で静置したところ、ポリN,N−ジメチルアクリルアミド水溶液が得られた。この水溶液に、ラポナイトRD4.8gを混合撹拌したところ、白色に懸濁した粘稠な液体が得られた。この粘稠な液体を実施例3−1と同様に、2枚のモルタル間に充填し、24時間後に観察したところ、ゼリー状の非常に弱いゲルが形成されていたが、2枚のモルタルを手で持ち、わずかに延伸したところ、直ちにゲルは破壊してしまい、ゲルとコンクリートの付着強度を測定することは不可能であった。また、粘稠な液体を実施例3−1と同様に、中空のコンクリート円柱に充填して24時間静置したところ、中空部分にゼリー状の非常に弱いゲルが形成されていた。このゲルをガラス棒で軽く押すと容易にゲルが破壊し、得られたゲルの耐水圧性を測定することは不可能であった。
上記実施例3−1乃至3−4及び比較例3−1で得られた各評価結果は、下記の表3に示すとおりである。
Figure 2019060169
実施例3−1乃至3−4の止水体は、湿潤面付着強度と耐水圧性に優れることが確認された。
一方、比較例3−1は水溶性有機モノマーの重合体及び水膨潤性粘土鉱物の混合物を用いた例であるが、ゲルの強靭性が著しく劣り、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価することができなかった。
以上の実施例1−1乃至3−1より、本発明のコンクリート構造物の止水工法により形成される止水体13は、コンクリート構造物の目地の表面に対する高い付着性及び付着強度を有すると共に、目地の幅の変化に応じた高い伸縮追従性を有し、特に、目地の幅の拡大に応じた高い伸展追従性を有することが確認できた。また、本発明により形成される止水体13は、難燃性に優れることが確認できた。また、本発明により形成される止水体13は、十分な耐水圧性を有することが確認できた。
上記第1及び第2実施形態において、目地11に目地板15が設けられた開削トンネル1,31に止水体13を形成したが、目地板15の無い目地に止水体13を形成してもよい。この場合、止水体13を形成する深さにバックアップ材12を配置すればよい。また、目地11の側面11a,11aとバックアップ材12との間に仮止水材14を設けたが、仮止水材14は設けなくてもよい。
また、上記第1及び第2実施形態において、本発明を道路用の開削トンネル1,31に適用した例について説明したが、他の用途や構造のトンネルにも適用できる。また、トンネルに限らず、カルバート、擁壁、水路、貯水池、橋梁、ビル、ダム、河川構造物、道路構造物、護岸構造物、海洋構造物、上下水道構造物等の種々のコンクリート構造物にも本発明を適用することができる。いずれのコンクリート構造物についても、本発明のコンクリート構造物の止水工法により形成した止水体により、目地の幅が変動しても、地下水や浸透水の漏れや、流水や貯水の漏れを防止することができる。また、既存の上記各種のコンクリート構造物の補修を行うために、本発明を適用することができる。
1 開削トンネル
2 開削トンネルの底版
3 開削トンネルの側壁
4 開削トンネルの中央壁
5 開削トンネルの頂版
6 排水ブロック
7 導水路
8 開削トンネルのブロック
9 開削トンネルのブロック
10 止水構造
11 目地
11a,11a 目地の側面
12 バックアップ材
13 止水体
14 仮止水材
15 目地板
16 地下水
18 分散液
19,20,34 型枠
21 型枠板
22 アングル材
23 アンカー
33 液位検出装置
36 ガイド管
37 スライド管
38 注入口
39 ホース

Claims (9)

  1. コンクリート製の部材に設けられた目地の内側に、バックアップ材を所定深さに配置する工程と、
    上記目地の内側かつバックアップ材の表面側に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入する工程と、
    上記分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する工程と
    を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記バックアップ材と目地の側面との間に、仮止水材を配置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  3. 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記分散液を注入する工程の前に、上記コンクリート製の部材に、上記目地の表面を閉塞する型枠を設置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  4. コンクリート製の部材の下方を向いた面に設けられた目地に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入し、この分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成するコンクリート構造物の止水工法であって、
    上記目地の表面を閉塞すると共に、軸方向にスライドして型枠の内側に出没可能に形成された管状体を有する液位検出装置と、この型枠の内側に上記分散液を注入するための注入孔とが設けられた型枠を設置する工程と、
    上記液位検出装置の管状体の先端が上記分散液の注入高さとなるように、上記管状体を型枠の内側に突出させる工程と、
    上記目地の内側かつ型枠の内側に、上記分散液を、上記注入孔を通じて注入する工程と、
    上記液位検出装置の管状体の下端から上記分散液が排出されるのに応じて、上記分散液の注入を停止すると共に、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置するように、上記管状体を型枠の内側から退去させる工程と、
    上記管状体が型枠の内側から退去した状態で、上記分散液の水溶性有機モノマーを重合させて上記止水体を形成する工程と
    を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  5. 請求項1又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記分散液が注入される目地の側面が、湿潤状態であることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  6. 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記目地に注入された分散液の表面に、養生材を配置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  7. 請求項1又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記止水体を形成する工程の後に、上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  8. 請求項3又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記型枠を設置する工程で、上記型枠をコンクリート製の部材にアンカーで固定し、
    上記止水体を形成する工程の後に、上記アンカーをコンクリート製の部材に残留させて型枠を除去する工程と、
    上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程と、
    上記コンクリート製の部材に残留したアンカーに、上記乾燥防止材を固定する工程と
    を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
  9. 請求項6に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
    上記養生材が乾燥防止材を兼ねることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
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