JP2019060169A - コンクリート構造物の止水工法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記目地の内側かつバックアップ材の表面側に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入する工程と、
上記分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
上記目地の表面を閉塞すると共に、軸方向にスライドして型枠の内側に出没可能に形成された管状体を有する液位検出装置と、この型枠の内側に上記分散液を注入するための注入孔とが設けられた型枠を設置する工程と、
上記液位検出装置の管状体の先端が上記分散液の注入高さとなるように、上記管状体を型枠の内側に突出させる工程と、
上記目地の内側かつ型枠の内側に、上記分散液を、上記注入孔を通じて注入する工程と、
上記液位検出装置の管状体の下端から上記分散液が排出されるのに応じて、上記分散液の注入を停止すると共に、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置するように、上記管状体を型枠の内側から退去させる工程と、
上記管状体が型枠の内側から退去した状態で、上記分散液の水溶性有機モノマーを重合させて上記止水体を形成する工程と
を備えることを特徴としている。
上記止水体を形成する工程の後に、上記アンカーをコンクリート製の部材に残留させて型枠を除去する工程と、
上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程と、
上記コンクリート製の部材に残留したアンカーに、上記乾燥防止材を固定する工程と
を備える。
形成し、高分子ヒドロゲルの構成要素となる。
純水100g中に、N,N−ジメチルアクリルアミド(以下「DMAA」と略記する。)(KJケミカルズ株式会社製)10g、水膨潤性合成ヘクトライト(ビックケミ一・ジャパン株式会社製、「ラポナイトXLG」)1.6g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TEMED」と略記する。)80μLを混合撹拌して分散液前駆溶液(1)を調製した。また純水100g中にペルオキソ二硫酸ナトリウム(以下、「NPS」と略記する。)5gを混合撹拌してNPS水溶液を調製した。次いで、分散液前駆溶液(1)とNPS水溶液との質量比が10となるように混合し、分散液(1)を得た。
コンクリート普通平板(JIS A 5371)60×300×300mmを水に24時間浸漬し、表面の水滴のみを拭き取った後、上記で得られた分散液(1)を3kg/m2塗布し、23℃、湿度50%の環境下で1週間養生し、止水体(1)を得た後に、25mm幅に止水体をカットして試験体を作成し、180°の方向に試験体を引っ張った際の試験体の状態により、湿潤面付着性を下記の基準に従って評価した。
○:凝集破壊もしくは下地破壊
×:層間剥離
上記止水体(1)を用いて、JIS A 1439の5.17の「耐久性試験」における目地幅の拡大・縮小を実施した。変形率±20%、繰返し回数3650回を行い、剥離・破断を確認し、止水体(1)について、下記の基準により伸縮追従性を評価した。
○:剥離・破断なし
×:剥離あり、もしくは破断あり
上記分散液(1)を厚み1mmの容器に注入して、20℃で重合を行い厚み1mmのシート状の止水材(1)を得た。この止水材(1)について、UL規格のUL94HBクラスの試験方法に準じ、30秒間接炎し、下記の基準に従い評価した。
○:燃焼しなかった
×:燃焼した
純水100g中に、DMAA100g、ラポナイトXLG4g、TEMED80μLを混合撹拌して分散液前駆溶液(2)を調製した。また純水100g中に、ぺルオキソ二硫酸カリウム(以下、「KPS」と略記する。)5gを混合撹拌してKPS水溶液を調製した。次いで、分散液前駆溶液(2)とKPS水溶液との質量比が10となるように混合し、分散液(2)を得た。
実施例1−1で用いた分散液(1)を、JIS A 5758を満足する2成分系シリコーン系シーリング材(セメダイン株式会社製「PM700LMG」)に変更した以外は、実施例1−1と同様に各評価を行った。
実施例1−1で用いた分散液(1)を、加水反応型の一液発泡ウレタン(日本TACCS協会「TACCS工法構造物止水用グレードCR−020NF」)に変更した以外は実施例1−1と同様に各評価を行った。
実施例1−1で用いた分散液(1)を、JIS A6024を満足するエポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE206」)に変更した以外は、実施例1−1と同様に各評価を行った。
純水100g中に、ラポナイトXLG2.4g、DMAA10g、TEMED80μLを入れて、攪拌により均一透明な分散液前駆溶液(3)を調製した。
分散液前駆溶液(3)を調製後に加えるKPS水溶液の代わりに、純水10g中に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(以下「APS」と略記する。)0.5gを入れ、透明になるまで混合攪拌して得られたAPS水溶液を加えることに変更したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で高分子ヒドロゲルを製造した。製造後にガラス容器の溶液を確認したところ、無色透明なヒドロゲル(2)が得られた。
分散液前駆溶液(3)の調製時に加えるラポナイトXLGの代わりに、ラポナイトRDS(水膨潤性合成ヘクトライトのホスホン酸変性品、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を4.0g加えることによって分散液前駆溶液(4)を調整すること、分散液前駆溶液(4)を調製後に加えるKPSの代わりに、純水10g中に、APS1.0gを入れ、透明になるまで混合撹拌して得られたAPS水溶液を加えることに変更したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で高分子ヒドロゲルを製造した。製造後に、ガラス容器の溶液を確認したところ、無色透明なヒドロゲル(3)が得られた。
(伸展追従性)
得られた高分子ヒドロゲル(1)〜(3)の伸展追従性を確認するため、引張り試験装置(卓上型万能試験機AGS−H,株式会社島津製作所製)を用いて、引張り試験を行った。引張り試験は、2つの引張冶具で高分子ヒドロゲルの両端を挟み、高分子ヒドロゲルが破断するまで引っ張った。高分子ヒドロゲルの破断時の引張冶具間の距離を、引っ張る前の引張冶具間の距離に対する百分率で表した伸び(%)に基づいて、以下の基準に準拠して行った。
◎:伸び800%以上1000%未満
○:伸び500%以上800%未満
×:伸び500%未満
純水100g中に、DMAA20g、水膨潤性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、「ラポナイトRD」)4.8gを混合攪拌して分散液前駆溶液(5)を調製した。また純水10g中に、NPS0.5gを混合攪拌してNPS水溶液を調製した。さらに純水10g中に、TEMED80μLを混合撹拌し、均一なTEMED水溶液を調製した。次いで、上記分散液前駆溶液(5)とNPS水溶液を、このNPS水溶液に対する分散液前駆溶液(5)の質量比が10となるように混合し、分散液前駆溶液(6)を得た。
湿潤状態のコンクリートに対する本発明の止水体の湿潤面付着性に関連し、その強度を定量的に評価した。まず、モルタル平板(50mm×50mm×10mm)2枚を室温にて、あらかじめ24時間水に浸漬しておき、取り出した後に表面に付着した水滴を軽く拭き取った。この2枚のモルタル板を50mm×50mmの面同士が平行になるように並べて、その間に12mm幅のポリプロピレン製スペーサーを2個挿入した。2個のスペーサーの間の距離を12mm開け、ヒドロゲルを充填する空間を作製して、モルタル板とスペーサー全体をアルミテープで固定した。次いで、上記で調製した分散液前駆溶液(6)110gに上記で調製したTEMED水溶液を全量混合し、十分に撹拌して分散液を形成した後、この分散液を2枚のモルタル間に充填し、24時間静置してヒドロゲルを形成して止水体(5)を形成し、モルタル−ゲル−モルタル構造からなる第1試験体(1)を得た。この第1試験体を用いてJIS A 1439:2010建築用シーリング剤の試験方法に準じて、引張試験を実施し、下記の基準により湿潤面付着強度を評価した。
◎:0.4MPa以上
○:0.2MPa以上0.4MPa未満
×:0.2MPa未満又はゲルが脆いため測定不能
本発明の止水体がコンクリート構造物の目地に配置され、地下水や流水等による水圧を受けた場合を想定し、止水体の耐水圧性を評価した。上記分散液前駆溶液(6)110gにTEMED水溶液を全量混合し、十分に撹拌した後、直径100mm、厚さ100mmの円柱の中心部直径26mm部分が中空になっているコンクリート円柱の中空部分に充填して24時間静置することにより止水体を形成し、ゲル−コンクリート構造からなる第2試験体を得た。この第2試験体を用いて、JIS A 1404:2015建築用セメント透水試験に準じた方法で、円柱の天面全体に水で加圧し、ゲルが破損することなく、円柱の底面に水の浸入が起こらない水圧を測定し、下記の基準により評価した。
◎:0.4MPa以上
○:0.2MPa以上0.4MPa未満
×:0.2MPa未満又はゲルが脆いため測定不能
水溶性有機モノマーを、DMAAの代わりにアクリロイルモルフォリン(以下、「ACMO」と略記する。)と用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(7)を調製した後、止水体(6)と、第1試験体(2)及び第2試験体(2)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
水膨潤性粘土鉱物を、ラポナイトRDの代わりに、ラポナイトRDSを用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(8)を調製した後、止水体(7)、第1試験体(3)及び第2試験体(3)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
水溶性有機モノマーを、DMAAの代わりにACMOとし、水膨潤性粘土鉱物を、ラポナイトRDの代わりに、ラポナイトRDSを用いたこと以外は実施例3−1と同様にして、分散液前駆溶液(9)を調製した後、止水体(8)、第1試験体(4)及び第2試験体(4)を作製し、湿潤面付着強度及び耐水圧性を評価した。
純水100g中に、DMAA20g、NPS0.5gを混合攪拌し、均一溶液を調製した。さらに均一溶液にTEMED80μLを追加して混合撹拌し、室温で静置したところ、ポリN,N−ジメチルアクリルアミド水溶液が得られた。この水溶液に、ラポナイトRD4.8gを混合撹拌したところ、白色に懸濁した粘稠な液体が得られた。この粘稠な液体を実施例3−1と同様に、2枚のモルタル間に充填し、24時間後に観察したところ、ゼリー状の非常に弱いゲルが形成されていたが、2枚のモルタルを手で持ち、わずかに延伸したところ、直ちにゲルは破壊してしまい、ゲルとコンクリートの付着強度を測定することは不可能であった。また、粘稠な液体を実施例3−1と同様に、中空のコンクリート円柱に充填して24時間静置したところ、中空部分にゼリー状の非常に弱いゲルが形成されていた。このゲルをガラス棒で軽く押すと容易にゲルが破壊し、得られたゲルの耐水圧性を測定することは不可能であった。
2 開削トンネルの底版
3 開削トンネルの側壁
4 開削トンネルの中央壁
5 開削トンネルの頂版
6 排水ブロック
7 導水路
8 開削トンネルのブロック
9 開削トンネルのブロック
10 止水構造
11 目地
11a,11a 目地の側面
12 バックアップ材
13 止水体
14 仮止水材
15 目地板
16 地下水
18 分散液
19,20,34 型枠
21 型枠板
22 アングル材
23 アンカー
33 液位検出装置
36 ガイド管
37 スライド管
38 注入口
39 ホース
Claims (9)
- コンクリート製の部材に設けられた目地の内側に、バックアップ材を所定深さに配置する工程と、
上記目地の内側かつバックアップ材の表面側に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入する工程と、
上記分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成する工程と
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記バックアップ材と目地の側面との間に、仮止水材を配置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記分散液を注入する工程の前に、上記コンクリート製の部材に、上記目地の表面を閉塞する型枠を設置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - コンクリート製の部材の下方を向いた面に設けられた目地に、水溶性有機モノマーと、水膨潤性粘土鉱物と、重合開始剤と、水とを含む分散液を注入し、この分散液の水溶性有機モノマーを上記目地の内側で重合させ、上記水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とで形成された三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを含有する止水体を形成するコンクリート構造物の止水工法であって、
上記目地の表面を閉塞すると共に、軸方向にスライドして型枠の内側に出没可能に形成された管状体を有する液位検出装置と、この型枠の内側に上記分散液を注入するための注入孔とが設けられた型枠を設置する工程と、
上記液位検出装置の管状体の先端が上記分散液の注入高さとなるように、上記管状体を型枠の内側に突出させる工程と、
上記目地の内側かつ型枠の内側に、上記分散液を、上記注入孔を通じて注入する工程と、
上記液位検出装置の管状体の下端から上記分散液が排出されるのに応じて、上記分散液の注入を停止すると共に、上記液位検出装置の管状体の先端が型枠の表面に位置するように、上記管状体を型枠の内側から退去させる工程と、
上記管状体が型枠の内側から退去した状態で、上記分散液の水溶性有機モノマーを重合させて上記止水体を形成する工程と
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項1又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記分散液が注入される目地の側面が、湿潤状態であることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項1に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記目地に注入された分散液の表面に、養生材を配置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項1又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記止水体を形成する工程の後に、上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項3又は4に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記型枠を設置する工程で、上記型枠をコンクリート製の部材にアンカーで固定し、
上記止水体を形成する工程の後に、上記アンカーをコンクリート製の部材に残留させて型枠を除去する工程と、
上記止水体の表面に乾燥防止材を設置する工程と、
上記コンクリート製の部材に残留したアンカーに、上記乾燥防止材を固定する工程と
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。 - 請求項6に記載のコンクリート構造物の止水工法において、
上記養生材が乾燥防止材を兼ねることを特徴とするコンクリート構造物の止水工法。
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