JP2019059854A - ポリプロピレン系射出発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系射出発泡成形体 Download PDF

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雄一 今村
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、高発泡倍率でも良好な発泡状態を有する射出発泡成形体提供。【解決手段】230℃、2.16kg荷重のメルトフローレートが1〜100g/10分未満である共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、及び、メルトフローレートが1〜80g/10分未満であるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂(B)を含有し、(A)成分におけるエチレン成分の含有量は1重量%以上であり、(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し(A)成分の含有量が1〜49重量%、(B)成分の含有量が99〜51重量%である組成物を発泡倍率2.5〜8.0倍の射出成形した射出成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた高発泡倍率の射出発泡成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、良好な物性及び成形性を有しており、また、環境に優しい材料として急速にその使用範囲が拡大している。特に、自動車部品等では、軽量で剛性に優れたポリプロピレン樹脂製品が提供されている。そのような製品の一つに、ポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体がある。この中でも、自動車部品は、特に軽量化が強く求められる分野であることが知られている。軽量化のためには、射出発泡成形体の発泡倍率を、高発泡倍率とすることが有効である。
一般に、射出発泡成形に用いるポリプロピレン系樹脂の特性としては、金型内の隅々まで樹脂が充填されるための流動性と、その後発泡するための発泡性が必要とされる。
しかしながら、通常使用される線状ポリプロピレン系樹脂は、耐衝撃性が低いため、発泡体が破壊されやすく、耐衝撃性を重視するような用途への適用が困難であった。また、目視によりセル状態が劣ると判断される、発泡不良が発生しやすい傾向があった。特に、高発泡倍率の射出発泡成形体を得ようとする場合に、発泡体が破壊されやすい傾向や、セル状態が劣ると判断される傾向が顕著であった。
それらの改善のために、たとえば、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、(A)線状ポリプロピレン系樹脂、(B)歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂、からなる樹脂と、発泡剤とを含む組成物を、金型内に射出発泡成形する方法と、それによって得られた成形体が開示され、高発泡倍率が可能で、表面外観が良好であることが記載されている。しかしながら、(B)成分の改質のためのベース樹脂としてポリプロピレンホモポリマーのみを用いており、耐衝撃性の改善は不十分なものであった。
特許文献2には、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)イソプレン単量体、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる、(A)改質ポリプロピレン系樹脂の製法が開示され、得られた(A)が、歪硬化性を示すこと、発泡成形に用いても良いことが記載されている。しかしながら、射出発泡成形については記載がなく、また、その場合の、耐衝撃性や、発泡した場合のセル状態については記載も示唆もないため、射出発泡成形に適用することは容易想到ではなく、適用した場合の効果もまったく不明であった。あわせて、(A)成分と、非改質のポリプロピレン系樹脂とを組み合わせて用いることも記載されていない。
特許文献3には、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)イソプレン単量体、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる、(A)改質ポリプロピレン系樹脂を発泡させる、発泡体の製法が開示され、耐熱性が良好で、発泡倍率に優れた発泡成形体が得られることが記載されている。しかしながら、射出発泡成形については記載がなく、また、その場合の、耐衝撃性や、発泡した場合のセル状態については記載も示唆もないため、射出発泡成形に適用することは容易想到ではなく、適用した場合の効果もまったく不明であった。あわせて、(A)成分と、非改質のポリプロピレン系樹脂とを組み合わせて用いることも記載されていない。
特許文献4には、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)イソプレンなどの単量体、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる、(A)改質ポリプロピレン系樹脂を発泡させて得られる、発泡シートが開示され、加熱時のドローダウンが小さく、独立気泡率に優れていることが記載されている。しかしながら、射出発泡成形については記載がなく、また、耐衝撃性や、発泡した場合のセル状態については記載も示唆もないため、射出発泡成形に適用することは容易想到ではなく、適用した場合の効果もまったく不明であった。あわせて、(A)成分と、非改質のポリプロピレン系樹脂とを組み合わせて用いることも記載されていない。
特許文献5には、(A)歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂と、(C)発泡剤とを含む組成物を、金型内に射出発泡成形する方法と、それによって得られた成形体が開示され、発泡成形性が良好で、剛性に優れることが記載されている。改質のためのベース樹脂として、プロピレン−エチレンブロックコポリマーを用いているものの、耐衝撃性については記載も示唆もないため、耐衝撃性を重視する用途に適用した場合の効果もまったく不明であった。あわせて、(A)成分と、非改質のポリプロピレン系樹脂とを組み合わせて用いることも記載されていない。
以上のように、射出発泡成形のためのポリプロピレン系樹脂組成物において、耐衝撃性と、発泡した場合のセル状態を両立するポリプロピレン系樹脂組成物を得ることは困難であった。特に、高発泡倍率の射出発泡成形体を得ようとする場合に、それが顕著であった。
特開2005−224963号公報 特開平09−188729号公報 特開平09−188774号公報 特開2001−139716号公報 特開2007−130992号公報
本発明の目的は、耐衝撃性に優れ、かつ良好な発泡状態を有する高発泡倍率のポリプロピレン系射出発泡成形体を提供することである。
本発明は以下のとおりである。
230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上100g/10分未満である共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、及び、
230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上80g/10分未満であるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂(B)を含有し、
(A)成分におけるエチレン成分の含有量は1重量%以上であり、
(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し(A)成分の含有量が1〜49重量%、(B)成分の含有量が51〜99重量%である、ポリプロピレン系樹脂組成物について、
それを射出発泡成形することで得られた、発泡倍率が2.5倍〜8.0倍の、射出発泡成形体である。
本発明のポリプロピレン系射出発泡成形体は、耐衝撃性に優れ、かつ、良好な発泡状態を有する高発泡倍率の射出発泡成形体である。そのため、本発明のポリプロピレン系射出発泡成形体は、自動車内装材料などの用途に好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、ポリプロピレン系射出発泡成形体に関する。本発明のポリプロピレン系射出発泡成形体に使用されるポリプロピレン系樹脂組成物は、230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上100g/10分未満である共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、及び、230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上80g/10分未満であるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂(B)を含有し、(A)成分におけるエチレン成分の含有量は1重量%以上であり、(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し(A)成分の含有量が1〜49重量%、(B)成分の含有量が51〜99重量%である。
<共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)>
本発明の共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)は、230℃、2.16kg荷重の条件にて測定されるメルトフローレートが1g/10分以上100g/10分未満を示す共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である。
(A)成分のメルトフローレートが1g/10分未満の場合、樹脂組成物の流動性が不足して大型金型での射出発泡成形においてショートショットなどの成形不良ならびに金型転写性の悪化による表面性の不良などを起こす場合がある。(A)成分のメルトフローレートが100g/10分以上であると、(B)成分との混合が不十分となったり、射出発泡成形体の耐衝撃性が不十分となる場合がある。(A)成分のメルトフローレートは、金型転写性や成形体の表面性を重視する場合は、20g/10分以上、100g/10分未満が好ましく、成形体の耐衝撃性を重視する場合は、1g/10分以上、20g/10分未満が好ましい。
ここで、メルトフローレート(以降、「MFR」と略す場合がある)とは、JIS K7210:1999に準拠し、メルトインデクサーF−F01((株)東洋精機製作所製)を用い、230℃、2.16kg荷重の条件にて、ダイから一定時間に押し出される樹脂量を、10分間に押し出される樹脂量に換算した値をいう。この換算値は、MFR自動演算処理(B法)によって算出した。計算式は以下の通りである。メルトフローレートが50g/10分を超える場合であっても、当方法を適用した。
MFR(g/10分)=(427xLxρ)/t
L(試験条件のインターバル):3(cm)
ρ(試験温度での溶融密度):切り取り法により以下の式で算出される値(g/cm3)、ただし切り取り法が不可能な場合には0.75(g/cm3)とした
ρ=m/(0.711xL)
m:切り取り法により測定される、ピストンが上記インターバルLを移動して流出した試料の質量(g)
L:上記インターバルと同じ
t(インターバル移動時間):実際の測定値(秒)
つまり、切り取り法が適用できる場合には、以下の計算式で算出しても良い。
MFR(g/10分)=(600xm)/t
本発明の共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)は、共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である。該共重合体は、プロピレン−エチレンブロック共重合体に共役ジエン化合物を反応させることで、プロピレン−エチレンブロック共重合体に分岐構造を導入し、これを高分子量化してなる樹脂である。該共重合体は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)、ラジカル重合開始剤(b)および共役ジエン化合物(c)を溶融混合して得られたものが好ましい。この溶融混合物は、高価な設備を必要とせず、安価に製造できる点で優れている。
<プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)>
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(a)は、プロピレンを主成分とする直鎖ポリマーの中に、エチレンを主成分とするポリマー、およびエチレン−プロピレン・ゴム状共重合体が分散し、海島構造を形成しているような、プロピレン系ポリマーである。このようなプロピレン系ポリマーは、耐衝撃性ポリプロピレン、日本国内では慣例的にブロックポリプロピレンなどと呼称されているが、化学的な意味でのブロック共重合体ではない。本発明において、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)は、プロピレンの単独重合体またはプロピレンを主体とする共重合体(a1)と、エチレンの単独重合体(a2)および/またはエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体(a3)と、を含有する混合物であることが好ましい。この時、(a1)がマトリクスであるプロピレンを主成分とする直鎖ポリマーに相当し、(a2)がエチレンを主成分とするポリマーに相当し、(a3)がエチレン−プロピレン・ゴム状共重合体に相当する。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)は、プロピレン成分を51重量%以上含有している共重合体が好ましく、結晶性、剛性、耐薬品性などの観点からは、プロピレン成分を60重量%以上含有している共重合体がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が特に好ましい。
また、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)は、耐衝撃性などの観点からは、エチレン成分を1重量%以上含有するが、3重量%以上含有しているものが好ましく、5重量%以上がより好ましく、8重量%以上がさらに好ましく、10重量%以上が特に好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)は、プロピレンとエチレンに加えて、プロピレンと共重合可能なモノマーを共重合したものであってもよい。そのようなプロピレンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体;などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、耐寒性向上、安価等という点で、α−オレフィンが好ましく、1−ブテンがより好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)の市販品としては、例えば、(株)プライムポリマー製のJ709QG(MFR=55)、J708UG(MFR=45)、J830HV(MFR=30)、J717ZG(MFR=32)、J707EG(MFR=30)、J707G(MFR=30)、J715M(MFR=9)、J705UG(MFR=9)、J704UG(MFR=5)、J702LB(MFR=1.8)などが挙げられる。例えば、J708UGは、国際公開第2015/060201号によると、エチレン系重合体含有量が14質量%であるとされており、本発明で好適に用いることができる。
<ラジカル重合開始剤(b)>
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために用いられるラジカル重合開始剤(b)としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられるが、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)や共役ジエン化合物(c)からの水素引き抜き能を有するものが好ましい。特に限定されないが、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。
これらのうち、特に水素引き抜き能が高いものが好ましく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために用いられるラジカル重合開始剤(b)の添加量としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部以下が好ましく、0.2重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量が0.05重量部未満では、改質が不十分となる場合があり、10重量部を超えると、改質よりも分子鎖切断が優先してしまい、所望の改質効果が得られない場合がある。
<共役ジエン化合物(c)>
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために用いられる共役ジエン化合物(c)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点から、ブタジエン、イソプレンが好ましい。
共役ジエン化合物(c)の添加量としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、0.05重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。共役ジエン化合物の添加量が0.01重量部未満では、改質が不十分となる場合があり、5重量部を超えると、流動性が不充分となる場合がある。
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を製造するにあたっては、前記共役ジエン化合物と共重合可能な単量体を、共役ジエン化合物と併用してもよい。そのような共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
<共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)の製造に関する条件>
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を製造する際には、ラジカル重合開始剤(b)の添加量を、共役ジエン化合物(c)の添加量の0.1倍以上、10倍以下(重量基準)とすると、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレートを1以上、80未満の範囲に比較的容易に調整することができる。ラジカル重合開始剤(b)の添加量は、好ましくは共役ジエン化合物(c)の添加量の0.5倍以上、7.5倍以下であり、より好ましくは0.75倍以上、5倍以下である。
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)、ラジカル重合開始剤(b)、および共役ジエン化合物(c)を反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、特に押出機が生産性の点から好ましい。
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を得るために、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)、ラジカル重合開始剤(b)、および共役ジエン化合物(c)を混合および混練(撹拌)する順序または方法には、特に制限はない。プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)、ラジカル重合開始剤(b)、および共役ジエン化合物(c)を混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)を溶融混練(撹拌)した後、ラジカル重合開始剤(b)および共役ジエン化合物(c)を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃であることが、プロピレン−エチレンブロック共重合体(a)が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。また、混練(撹拌)時間は、一般に1〜60分が好ましい。
以上のようにして、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)を製造することができる。製造される共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
本発明のポリプロピレン系樹脂(B)は、230℃、2.16kg荷重の条件にて測定されるメルトフローレートが1g/10分以上80g/10分未満を示すプロピレン−エチレンブロック共重合体である。ただし、共役ジエンにより改質されたプロピレン−エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン系樹脂(B)の範疇に含まれるものではない。
(B)成分のメルトフローレートが1g/10分未満の場合、射出成形体を製造する際に、金型キャビティのクリアランスが例えば1〜2mm程度の薄肉部分を有する場合、比較的低圧力で溶融樹脂を金型内に充填することが難しくなり、連続して安定した射出成形を実施できなくなる場合がある。(B)成分のメルトフローレートが80g/10分以上であると、流動性が過剰なため、射出成形が不安定になりやすい傾向がある。(B)成分のメルトフローレートは、3g/10分以上、70g/10分以下がより好ましく、5g/10分以上、70g/10分未満がさらに好ましい。なお、メルトフローレートの測定条件は上述のものと同様である。
本発明のポリプロピレン系樹脂(B)はプロピレン−エチレンブロック共重合体である。プロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンを主成分とする直鎖ポリマーの中に、エチレンを主成分とするポリマー、およびエチレン−プロピレン・ゴム状共重合体が分散し、海島構造を形成しているような、プロピレン系ポリマーであり、具体的には、前述したプロピレン−エチレンブロック共重合体(a)と同様のものを用いることができる。
<射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物>
本発明の射出発泡成形体に使用されるポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂(B)を組み合わせて用いることで、耐衝撃性に優れ、かつ良好な発泡状態を有する射出発泡成形体を与えることができる。そのような射出発泡成形体を得るには、両成分は、(A)成分の含有量より(B)成分の含有量が多くなるように配合される。具体的には、(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し(A)成分の含有量は1〜49重量%、(B)成分の含有量は51〜99重量%である。この範囲において、耐衝撃性に優れ、かつ良好な発泡状態を有する射出発泡成形体を得ることができる。耐衝撃性の観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは、5〜20重量%である。
また、(B)成分のMFRに応じて(A)成分のMFRならびに含有量の好適な範囲は変動し得る。たとえば、(B)成分のMFRが8g/10分未満の場合、流動性の観点から(A)成分のMFRは好ましくは20g/10分以上、より好ましくは40g/10分以上であり、その中でも、(A)成分のMFRが20g/10分未満の場合、流動性の不足により金型転写性の悪化などの不具合が発生することがある。また、(B)成分のMFRが前記のように8g/10分未満の場合、(A)成分の添加量は、5〜49重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましい。
本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が示すメルトフローレートは限定されないが、8g/10分以上80g/10分未満であることが好ましい。このメルトフローレートは前述した条件で測定される。ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートがこの範囲内にあると、前記射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が射出発泡成形に適した流動性を持ち、かつ射出発泡成形後に高い耐衝撃性能を有する成形体を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートは、各成分を十分に溶融混練した後に測定される数値であり、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)それぞれが示すメルトフローレートと、各成分の配合量などに依拠して、容易に調整することができる。
<発泡剤(C)>
本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は発泡剤を含有する。本発明で使用できる発泡剤としては、射出発泡成形に通常使用できるものであれば特に制限なく使用することができ、化学発泡剤、物理発泡剤のいずれであってもよい。
化学発泡剤は、樹脂成分と予め混合してから押出機や射出成形機に供給され、シリンダ内で分解して炭酸ガス等の気体を発生するものである。化学発泡剤としては特に限定されないが、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機系化学発泡剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
物理発泡剤は、押出機や射出成形機のシリンダ内の溶融樹脂に対し、ガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能するものである。物理発泡剤としては特に限定されないが、例えば、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
これらの発泡剤の中では、通常の押出機や射出成形機で安全に使用でき、均一微細な気泡が得られやすいものとして、化学発泡剤としては無機系化学発泡剤、物理発泡剤としては窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスが好ましい。これらの発泡剤には、射出発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために、必要に応じて、例えば、クエン酸のような有機酸等の発泡助剤や、タルク、炭酸リチウムのような無機微粒子等の造核剤を添加してもよい。通常、上記無機系化学発泡剤は、取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性の点から、該発泡剤の濃度が10〜75重量%のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチを作製したうえで使用されるのが好ましい。
本発明における発泡剤の使用量は、最終製品の発泡倍率と発泡剤の種類や成形時の樹脂温度によって適宜設定することができる。例えば、無機系化学発泡剤は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上20重量部以下の範囲で使用される。無機系化学発泡剤をこの範囲で使用することにより、発泡倍率が2倍以上、かつ、均一微細気泡の射出発泡成形体を経済的かつ容易に得ることができる。一方、物理発泡剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上5重量部以下の範囲で、射出成形機に供給して使用される。
<その他の添加剤>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分と(B)成分のいずれにも該当しないポリプロピレン系樹脂の他、高密度ポリエチレン系樹脂、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂、線状低密度ポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、その他の熱可塑性樹脂をさらに含有するものであってもよい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、可塑剤、滑材、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに含有するものであってもよい。
<射出発泡成形体>
また、本発明は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の射出発泡成形体にも関する。
本発明の射出発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは2.5倍以上8倍以下、さらに好ましくは3倍以上8倍以下、最も好ましくは4倍以上6倍以下である。発泡倍率が2.5倍未満では、軽量性が得られ難い傾向があり、10倍を超える場合には、剛性の低下が著しくなる傾向がある。
<射出発泡成形方法>
本発明の射出発泡成形体を製造するために使用できる射出発泡成形方法としては特に限定されず、公知の方法を適用することができる。その際の具体的な成形条件は、ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート、メルトテンション、成形機の種類、金型の形状などを考慮して適宜決定することができる。一例として、樹脂温度としては好ましくは170〜300℃、さらに好ましくは190〜270℃、金型温度としては好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃が例示される。また、成形サイクル1〜120分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行うことが好ましい。
以下に、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明は、これらによって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は、次の通りである。

(1)メルトフローレート(MFR)
ASTM D−1238に準拠し、メルトインデクサーS−01((株)東洋精機製作所製)を用い、230℃、2.16kg荷重下でダイから一定時間に押し出される樹脂量から、10分間に押し出される量に換算した。なお、前記一定時間は、メルトフローレートが3.5g/10分以上10g/10分未満の場合は60秒間、10g/10分以上25g/10分未満の場合は30秒間、25g/10分以上50g/10分未満の場合は15秒間、50g/10分以上100g/10分未満の場合は5秒間、100g/10分以上の場合は3秒間とした。
(2)デュポン衝撃試験
デュポン衝撃試験機(安田精機製作所製)を使用し、定落下重量によるステアケース法により50%破壊高さを求め、そのときの荷重からエネルギー値を計算した。落下荷重は300g、700g、もしくは1000gとし、エネルギー値の計算はJIS K 7211に準じて行った。
(3)発泡体のセル状態の目視評価
射出成形機(ニイガタマシンテクノ製MD350S−IV)をもちいて、以下の成形条件で、以下の評価用金型内に、完全に樹脂組成物が充填する最小の充填圧力で射出成形した。
・樹脂温度:200℃
・金型温度:40℃
・射出速度:100mm/sec
・使用金型:底面センター1点ピンゲートの箱型金型、底面形状:190mmx190mm、側面形状(台形形状):190mm(底面側)〜220mm(反底面側)x100mm、ただし底面のみがコアバックし、側面はコアバックしない
・キャビティクリアランスt0:1.5mm
・キャビティクリアランスt1:2.1mm
・キャビティクリアランスt2:設定発泡倍率が3倍もしくは2倍となるように設定した
発泡倍率を3倍とした場合の射出発泡成形については、以下の手順で実施した。
発泡剤を含む組成物を、所定のシリンダ温度に設定された射出成形機に供給し、適切な背圧で溶融混練した後、所定の温度に温調した底面部のキャビティクリアランスがt0の金型中に、所定の射出速度で射出充填した。射出充填完了直後(設定保持時間が0秒)に、可動型を底面部のキャビティクリアランスt1まで後退させ、キャビティ内の樹脂を発泡させた(第一発泡工程)。次に、前記金型底面のクリアランスt1の状態で所定の設定時間(6秒)保持した後、さらに成形体が所望の厚み(発泡倍率)となるように再度可動型を底面部のキャビティクリアランスt2まで後退させて再度発泡を行った(第二発泡工程)。発泡完了後、発泡樹脂を冷却、固化させ射出発泡成形体を取り出した。
発泡倍率を2倍とした場合の射出発泡成形については、キャビティクリアランスt2を変更したほかは、上記と同様に実施した。
成形品採取に当たっては、射出状態の安定性を保証するためにパージ(材料切り替え)後の4ショットを捨てて続く7ショットを採取した。成形体外観を目視で観察した。発泡状態は、以下の基準で評価した。
○:試験サンプルの中で、発泡性が良好なもの
△:○と×との中間
×:試験サンプルの中で、最も発泡性が劣るもの
<共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂の作製>
(製造例1)
表1に従い、(a)線状ポリプロピレン系樹脂としてメルトフローレート5g/10分のエチレン・プロピレンブロック重合体(a−1)100重量部を、ホッパーから70kg/時、(b)ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを定量ポンプを用いて1.1重量部(0.77kg/時の速度)で46mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給して、シリンダ温度200℃で溶融混練し、途中に設けた圧入部より、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンモノマーを、定量ポンプを用いて0.47重量部(0.329kg/時の速度)で供給し、前記二軸押出機中で溶融混練することにより、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−1)のペレットを得た。MFR=5g/10分であった。
(製造例2)
表1に従い、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンの供給量を0.40重量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−2)を得た。MFR=10g/10分であった。
(製造例3)
表1に従い、(a)線状ポリプロピレン系樹脂としてメルトフローレート45g/10分のポリプロピレン単独重合体(a−2)、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンの供給量を0.43重量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−3)を得た。MFR=40g/10分であった。
(製造例4)
表1に従い、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンの供給量を0.40重量部に変更した以外は、製造例3と同様にして、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−4)を得た。MFR=60g/10分であった。
(製造例5)
表1に従い、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンの供給量を0.31重量部に変更した以外は、製造例3と同様にして、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−5)を得た。MFR=90g/10分であった。
(製造参考例1)
(a)線状ポリプロピレン系樹脂としてメルトフローレート45g/10分のプロピレン単独重合体(a−3)100重量部を、ホッパーから70kg/時、(b)ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを定量ポンプを用いて1.1重量部(0.77kg/時の速度)で46mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給して、シリンダ温度200℃で溶融混練し、途中に設けた圧入部より、(c)共役ジエン化合物としてイソプレンモノマーを、定量ポンプを用いて0.4重量部で供給し、前記二軸押出機中で溶融混練することにより、共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A−6)のペレットを得た。MFR=60g/10分であった。
Figure 2019059854
<ポリプロピレン系樹脂>
ポリプロピレン系樹脂(B)として使用した、プロピレン−エチレンブロック共重合体を、表2に示した。
Figure 2019059854
(実施例1〜14)
<ポリプロピレン系樹脂組成物および射出発泡成形体の作製>
共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)、発泡剤(C)、着色剤(D)としてのカラーマスターバッチとをドライブレンドして樹脂組成物を製造し、射出発泡成形に供した。
(A)と(B)の種類と使用量(重量部)を表3に示す。ここでの樹脂組成物は、(A)と(B)(合計100重量部)以外に、(C)としてEE25C(永和化成製)を6重量部、(D)としてダイカラーPP−M77255(ブラック)(大日精化製)を3重量部含有するものである。得られた結果を表3に示す。
<射出発泡成形体の発泡性評価>
上の射出発泡成形について、前記した発泡性評価の項目に従い評価した。
(比較例1〜7、参考例1〜3、11〜14)
表3に示す種類・組成比にて、実施例1と同様にして、ドライブレンド、射出発泡成形、評価を実施した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2019059854
比較例1〜5は、発泡倍率として3倍発泡を設定し、(A)を用いない場合であるが、発泡性が不足し、満足な発泡が出来ないことが分かる。耐衝撃性については、評価に値する発泡体が得られなかったため、評価できなかった。
参考例1〜3からは、発泡倍率として2倍発泡を設定した場合であるが、参考例1に見るように、(A)を用いなくても2倍発泡そのものは可能ではあるが、参考例2〜3である(A)を用いた場合のほうが、2倍発泡が可能であることはもちろん、その発泡性が優れ、耐衝撃性も優れる傾向があることが分かる。
参考例11〜14からは、発泡倍率として3倍発泡を設定した場合は、(A)としてプロピレン単独重合体を改質したものを用いることでも、発泡は可能ではあるが、全体的に耐衝撃性に劣る傾向があることが分かる。
本発明の、実施例1〜4に見るように、(A)として、ブロックポリプロピレン系樹脂を改質したものを用いた場合は、参考例11〜14に比べて、耐衝撃性が改善される傾向があることが分かる。
特に、参考例11と実施例1、参考例12と実施例2、参考例13と実施例3、などを比較すると、(A)の使用量が5重量部という低配合部数から耐衝撃性が改善され、配合部数を増やしてもその傾向は維持されることが分かる。
また、実施例5〜14に見るように、(A)として、それぞれ流動性の異なる(A−1)、(A−2)(A−4)、(A−5)のいずれかと、(B)として、それぞれ流動性の異なる(B−1)、(B−2)、(B−4)のいずれかとを組み合わせた場合においては、いずれも3倍発泡が可能であり、参考例11の、(A)としてプロピレン単独重合体を改質したものを用いた場合に比べると、耐衝撃性にも優れていることが分かる。
表3からは、(A)のMFRが好ましくは1(g/10分、以下同じ)以上150以下、さらに好ましくは3以上100以下、最も好ましくは5以上90以下の(A)と、MFRが好ましくは1以上90以下、さらに好ましくは3以上80以下、最も好ましくは9以上55以下の(B)とを、(A):(B)が好ましくは1:99(それぞれ重量部、(A)と(B)の合計を100重量部とする、以下同じ)〜40:60、さらに好ましくは3:97〜30:70の範囲で配合することが例示されていると理解できる。

Claims (4)

  1. 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上100g/10分未満である共役ジエン改質プロピレン−エチレンブロック共重合体である共役ジエン改質ポリプロピレン系樹脂(A)、及び、
    230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが1g/10分以上80g/10分未満であるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂(B)を含有し、
    (A)成分におけるエチレン成分の含有量は1重量%以上であり、
    (A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し(A)成分の含有量が1〜49重量%、(B)成分の含有量が51〜99重量%である、ポリプロピレン系樹脂組成物について、
    それを射出発泡成形することで得られた、発泡倍率が2.5倍〜8.0倍の、射出発泡成形体。
  2. (A)成分と(B)成分の合計100重量%に対し、(A)成分の含有量が5〜20重量%、(B)成分の含有量が95〜80重量%であり、
    (A)成分の230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが5g/10分以上90g/10分未満であり、かつ
    (B)成分の230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレートが5g/10分以上80g/10分未満である、前記ポリプロピレン系樹脂組成物について、
    発泡倍率が3.0倍〜6.0倍の、
    請求項1に記載の射出発泡成形体。
  3. 請求項1または2に記載の射出発泡成形体を使用した、自動車内装用材料。
  4. 固定型と前進および後退可能な可動型とから構成され、最終製品形状位置に相当する金型キャビティクリアランスt2よりも小さい金型キャビティクリアランスt0を有する金型キャビティ中に、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物と発泡剤の溶融混合物を射出充填した後に、
    t2よりも小さく、t0よりも大きい金型キャビティクリアランスt1まで可動型を後退させる第一発泡工程、
    次いでt1のクリアランスを所定の設定時間保持した後に、さらに最終製品の形状に相当する金型キャビティクリアランスt2まで可動型を後退させる第二発泡工程を含む、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の、射出発泡成形体の製造方法。
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