以下、本発明の一形態に係るゲームシステムの一例を説明する。まず、図1を参照して、本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、サーバ装置としてのセンターサーバ2と、センターサーバ2に所定のネットワーク5を介して接続可能なクライアント装置としての複数のゲーム機3及び複数のユーザ端末装置4とを含む。センターサーバ2は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット2A、2B…が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによりセンターサーバ2が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にセンターサーバ2が構成されてもよい。
ゲーム機3は、ゲーム装置の一例であって、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。この種のゲーム機3は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗6等の所定の施設に設置される。ゲーム機3は、選手への指示や育成等を通じて監督としての役割をプレイするシミュレーション形式の野球ゲームを提供するための野球ゲーム機として構成されている。なお、ゲーム機3は、野球ゲームに限定されず、適宜に各種のゲームを提供してよいが、以下では野球ゲームを提供する場合を例に挙げて説明を続ける。
ユーザ端末装置4は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する。)4a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置4bがユーザ端末装置4として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、センターサーバ2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。
ネットワーク5は、センターサーバ2に対してゲーム機3及びユーザ端末装置4をそれぞれ接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネット5Aと、センターサーバ2及びゲーム機3のそれぞれとインターネット5Aとを接続するLAN5B、5Cとがルータ5Dを介して接続されることにより構築される。ユーザ端末装置4も適宜の構成によりインターネット5Aに接続される。なお、ゲーム機3と店舗6のルータ5Dとの間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機3がセンターサーバ2と通信可能に接続されてもよい。センターサーバ2のサーバユニット2A、2B…はLAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより、相互に接続される場合もある。
センターサーバ2は、ゲーム機3又はそのユーザに対して各種のゲーム機用サービスを提供する。ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介してゲーム機3のプログラムあるいはデータを配信し、更新する配信サービスを含んでいる。センターサーバ2は、このような配信サービスを通じて各ゲーム機3に野球ゲームの提供に必要な各種のプログラムあるいはデータを適宜に配信等する。
なお、ゲーム機用サービスは、その他にもゲーム機3からユーザの識別情報を受け取って、そのユーザを認証するサービスを含んでいてよい。また、認証したユーザのプレイデータをゲーム機3から受け取って保存し、あるいは保存するプレイデータをゲーム機3に提供するサービスを含んでいてもよい。さらに、ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングするマッチングサービス、あるいはユーザから料金を徴収する課金サービス等を含んでいてもよい。同様に、センターサーバ2は、ネットワーク5を介してユーザ端末装置4のユーザに各種のWebサービスを提供してよい。Webサービスは、ゲーム機3が提供するゲームに関する各種の情報を提供するゲーム用情報サービス、各ユーザ端末装置4に各種データあるいはソフトウエアを配信(データ等のアップデートを含む)する配信サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービス、及び各ユーザを識別するためのユーザIDを付与するサービス等のサービスを含んでよい。
次に、図2を参照してゲーム機3の構成を説明する。図2は一台のゲーム機3の一例を示している。図示例のゲーム機3は筐体10を有している。筐体10には、第1モニタ11と、コントロールパネル12と、プリンタユニット13とが設けられている。第1モニタ11は、野球ゲームを提供するためのゲーム画面を表示する周知の表示装置である。第1モニタ11は、野球ゲームをプレイ中のユーザの正面に位置するように配置される。コントロールパネル12は、第1モニタ11の下方に配置される。コントロールパネル12には、ゲームに関するユーザの操作あるいは指示を受け付け、あるいはゲームに必要な情報をユーザから取得する各種の入力装置が設けられるが、図示のゲーム機3では、カード読取装置14が設けられている。カード読取装置14の詳細は後述する。
プリンタユニット13は、コントロールパネル12の側方、一例として第1モニタ11と向かい合うユーザからみて左側方に配置される。プリンタユニット13は、所定の情報が記録された媒体の一例としての選手カードを作成し、払出口13aからユーザに対して払い出す。選手カードは、野球ゲームをプレイするためにユーザが使用する操作部材の一例としても使用される。なお、ゲーム機3には、その他にも公知のゲーム機と同様に各種の出力装置あるいは入力装置が接続されてよい。例えば、ユーザを認証するための認証用媒体に保持されたユーザごとにユニークなユーザ認証情報を読み取るリーダ、押釦スイッチその他の物理的な操作装置又は入力装置、あるいは現金、代替硬貨、メダル、電子通貨等を利用してユーザからゲームに必要な対価を徴収するための対価徴収装置の少なくとも一部の入力部といった各種の装置がコントロールパネル12に設けられてもよい。
次に、カード読取装置14の詳細を説明する。カード読取装置14は、野球ゲームにてユーザが使用する複数枚の選手カードのそれぞれから、野球ゲームを進行させるために必要な各種の情報を読み取るとともに、選手カードの位置を検出する装置として構成されている。以下では、カード読取装置14の理解のため、野球ゲームにて選手カードを用いたユーザの操作、あるいは指示を受け付けるためにカード読取装置14によって実現されるインターフェース(入出力部分)を図3及び図4に基づいて説明し、その後にカード読取装置14の構成を説明する。図3は、カード読取装置14の上面側に提示されるインターフェースの要部を示している。また、図4は選手カードを利用して選手の制御パラメータを変更する様子を示している。
図3に示すように、カード読取装置14の上面側にはカード操作部20が設定され、そのカード操作部20には、選手カードCP(図4参照)が配置されるべき複数のカード領域21が左右方向に一定のピッチで並べて設定されている。カード領域21の数は、現実の野球におけるポジション数に合わせて10個(指名打者も含む。)に設定されている。カード領域21のそれぞれは概ね上下方向に長い長方形状であり、それぞれの形状は互いに等しい。各カード領域21の左右方向の幅は選手カードCPを縦長に配置したときの左右方向の幅と概ね同一か、又は僅かに大きい程度である。カード領域21はユーザが選手カードCPを利用して野球の試合に出場させる選手を指定し、あるいは試合中において選手に指示を与えるための領域として設けられている。カード領域21の下部には登録領域22が設けられ、登録領域22の上方には指示領域23が設けられている。
登録領域22は、ユーザが試合に出場させる選手に対応する選手カードCPを配置し、その選手カードCPに記録された情報をゲーム機3に読み取らせることによって、試合に出場する選手を指定するための領域として設定されている。登録領域22は選手カードCPとほぼ同形同大に設定される。登録領域22の並び順は試合の打順に対応し、左端の登録領域22の打順は1番打者、左から2番目の登録領域22は2番打者といったごとくである。右端の登録領域22は投手として出場させる選手に対応する選手カードCPの情報を読み取るべき領域である。各登録領域22の上下方向中央に表示される「1」、「2」……の数値は打順を示し、「P」の文字は投手であることを示しているが、これらの数値及び文字は実際のカード領域21において常時表示されてもよいし、適宜に表示が省略されてもよい。以下では、登録領域22に選手カードCPを配置してその情報を読み取らせる行為を選手登録と呼び、その選手登録を介して試合に出場する選手を登録選手と呼ぶことがある。登録選手はカード領域21と1対1の対応関係を有しており、いずれか一の登録領域22にて選手登録された選手をその登録領域22を含んだカード領域21の登録選手と呼ぶことがある。なお、試合の途中において、例えば代打、代走、投手交代といった態様でカード領域21の登録選手を入れ替えることも可能である。その場合は、新たに出場させるべき選手の選手カードCPを登録領域22に配置して選手登録すればよい。登録領域22は、上記以外の用途に用いられることもあるが、この点は後述する。
指示領域23は、その下方に対応付けられた登録領域22にて選手登録された選手に関して設定される制御パラメータの値を、ユーザによる選手カードCPの位置を変更する操作に応じて変更する領域として設けられている。すなわち、野球ゲームに登場することが可能な選手のそれぞれには、制御パラメータの一例として、選手の状態を示す複数種類の状態パラメータが設定されている。指示領域23は、それらの状態パラメータから選択された第1及び第2の状態パラメータのそれぞれの値を選手カードCPの位置に応じて変更する領域として設定されている。指示領域23は、ユーザが視認できる態様にて表示面15sに示される。例えば、表示面15s上に表示される画像中の表示要素として指示領域23が示されてもよいし、表示面15s上に印刷その他の表示手段を施して指示領域23が示されてもよい。
状態パラメータは、選手のパワー、ミート能力(球を捉える力)、走力、体力、持久力、投力又は送球力、球速、制球力といった能力の程度、バント等の特定の打撃行為、走塁行為、あるいはカーブ、スライダといった特定の球種の投球行為に関する巧拙の程度、好調又は不調の程度、体調の程度、気力の充実度といったように、試合における選手の行動に影響し得る選手の属性として予め定義され、かつ試合の進行を演算する上で考慮されるべき各種の状態変数である。これらの状態パラメータのうち、第1及び第2の状態パラメータとして選択された状態パラメータに関しては、指示領域23における選手カードCPの位置に応じてそれぞれの値が適宜に変更される。そのような変更を可能とするため、指示領域23の上下方向における長さは、選手カードCPの長辺方向(上下方向)の長さよりも十分に大きく設定されている。つまり、指示領域23は、登録選手の状態パラメータの値を変更するために選手カードCPの位置を変更し得る範囲を示す領域として設定されており、操作領域の一例に相当する。なお、指示領域23に配置すべき選手カードCPは、登録領域22にて選手登録に使用した選手カードCPと同一カードであることを必ずしも必要としない。この点は後述する。
指示領域23にて変更可能な第1及び第2の状態パラメータは適宜に選択されてよい。一例として、打者の場合にはパワーが第1の状態パラメータとして、ミートが第2の状態パラメータとしてそれぞれ選択される。また、投手の場合には、一例として、球速が第1の状態パラメータとして、制球力が第2の状態パラメータとしてそれぞれ選択される。打者の場合、パワーを優先した打撃を指向すればミートが犠牲になり、投手の場合、球速を優先した投球を指向すれば制球力が犠牲になる、といったように第1の状態パラメータと第2の状態パラメータとは両者をいずれも優先することが不適当又は困難な背反的関係を有する。つまり、一方の値を向上させれば、他方の値は低下させることが適当となるような関係を有する状態パラメータの組が第1及び第2の状態パラメータの組として選択される。また、打者(あるいは野手)と投手とは野球ゲームにおいて役割が異なる複数種類のキャラクタの一例であり、第1及び第2の状態パラメータは、そのようなキャラクタの役割に応じて適宜に変更されてよい。ここでいう「役割」は、ゲームにおいて果たす機能、ゲームにおいて利用される場面、ゲームの進行に与える影響その他の各種の観点から区別が可能であって、その区別に応じて状態パラメータの種類、値の配分その他が差別化されるべき概念であれば「役割」として捉えてよい。
指示領域23の上下方向の中央には、選手カードCPとほぼ同形同大の基準標識23aが設けられている。図4に示したように、基準標識23aに合わせて選手カードCPを置いた状態を基本位置としたとき、その基本位置に選手カードCPがある場合には、その基準標識23aを含むカード領域21の登録選手の第1及び第2の状態パラメータがその登録選手に対応する基本値に設定される。基本値は後述する。
ユーザが選手カードCPを基本位置から上方に移動させた場合、その移動量に応じて第1の状態パラメータの値が基本値から増加し、かつ第2の状態パラメータが基本値から減少する。図4の例では、パワーの値が1増加し、ミートの値が1減少する。一方、ユーザが選手カードCPを基本位置から下方に移動させた場合、その移動量に応じて第2の状態パラメータの値が基本値から増加し、かつ第1の状態パラメータが基本値から減少する。図4の例では、ミートの値が1増加し、パワーの値が1減少する。また、図3及び図4から明らかなように、指示領域23に選手カードCPを配置しているとき、登録領域22には、その登録領域22を含んだカード領域21の登録選手に関して設定されている複数種類の状態パラメータのうち、少なくとも一部の状態パラメータの値が表示される。表示対象として設定される状態パラメータには、選手カードCPの位置に応じて変更されるべき第1及び第2の状態パラメータが含まれる。これにより、登録領域22はパラメータ表示領域の一例として機能する。
図4の右端に示したように、選手登録後において、選手カードCPを登録領域22に移動させることも可能である。この場合には、登録選手に関してブーストスキルを適用する処理が行われる。ブーストスキルは、登録選手に関する状態パラメータの一部の値を一時的に高める効果を有する処理を意味し、その適用には一定の制限が設定される。例えば、一試合で一回といった回数的な制限が設定され、あるいは試合にて所定の成績を挙げるといったように一定の条件を満たした場合に限ってブーストスキルの適用が許可される。
図3に戻って、指示領域23の上下にはゲージレベルが表示される。ゲージレベルは、選手カードCPの位置の変化量に対する状態パラメータの変化量の比率と関連付けられた概念である。言い換えれば、指示領域23にて選手カードCPの位置を変化させた場合の状態パラメータの値の変化量がゲージレベルに応じて異なる。ゲージレベルは、野球ゲームの状態に応じて増減される。例えば、登録選手が試合で打者としてヒットを打つといったように良好な結果を示した場合にゲージレベルが増加し、登録選手が打者として三振する等の好ましくない結果を示した場合にゲージレベルが減少するといったように、ゲームの状態に応じてゲージレベルが指示領域23ごとに制御される。ゲージレベルが上昇した場合、選手カードCPを一方向に操作したときに増加する状態パラメータに関して上述した比率を増加させる処理、及び減少する状態パラメータに関して上述した比率を減少させる処理の少なくともいずれか一方が適用される。例えば、選手カードCPを上方に一定量移動させた場合、ゲージレベルが上昇する前はパワーが+3、ミートが−3といった変化が生じるところ、ゲージレベルが上昇した場合には、選手カードCPを上方に同一量操作するとパワーが+5、ミートが−3といったごとくである。
指示領域23の上方には、さらに変更量表示領域(図中に想像線で囲まれた領域)24が設けられている。変更量表示領域24は、選手カードCPの位置の変化に応じて状態パラメータの値が変更された場合、その変更量を適時に表示する領域として設けられている。それにより、変更量表示領域もパラメータ表示領域の一例として機能する。なお、指示領域23を利用した状態パラメータの変更は、いずれか一のカード領域21が対象領域として選択されて行われる。その選択は、例えば攻撃時には打順に対応するカード領域21が選択され、守備時には投手が登録されるべきカード領域21(図3の右端)が選択される。図3に示したように、カード操作部20には、選手カードCPを操作して状態パラメータの値を変更する対象として選択されたカード領域21を示す選択指標25も表示される。図3において選択指標25はカード領域21を囲む枠状の指標として示されているが、選択指標25は色、模様その他の各種の視覚的要素を対象外のカード領域21に対して差別化するものであればよい。
以上のように、カード読取装置14は、登録領域22に配置された選手カードCPの情報を読み取り、あるいは指示領域23における選手カードCPの位置を検出し、あるいはカード領域21ごとの登録選手の状態パラメータの設定値、変更量、ゲージレベルといった情報を動的に変化させつつ表示する機能を備えている。このような機能を実現するため、選手カードCP及びカード読取装置14は例えば図5〜図7に示したような構成を備えている。以下、これらを順に説明する。
図5は選手カードCPの裏面の構成を示している。選手カードCPの裏面には、赤外光の波長域でのみ観察可能な読取標識Mが印刷されている。読取標識Mは、選手カードCPの異同に関わりなく同一パターンで形成される外周側の共通部M1と、その共通部M1の内周に配置され、選手カードCPごとにパターンが異なる固有部M2とを含んでいる。共通部M1は、例えば、選手カードCPが野球ゲームにて使用可能な適正なカードであるか否かの判別、及び選手カードCPの位置の判別に利用される。固有部M2には選手カードCPごとにユニークに設定されるカード識別情報の一例としてのカードIDと対応付けられた固有のパターンが含まれている。そのパターンを読み取ることにより、選手カードCPのカードIDを特定し、そのカードIDに対応付けられた選手の状態パラメータの基本値を判別することができる。なお、図示を省略したが、選手カードCPの表面には、選手カードCPのカードIDに対応付けられるべき選手の画像、名前、能力その他の選手情報がユーザにて視認可能な態様で印刷されている。
図6に示したように、カード読取装置14は、第2モニタ15と、その第2モニタ15の下面側の側縁部に沿って配置される一対の照明装置16と、第2モニタ15の下方に配置される撮影装置17とを備えている。第2モニタ15は、例えば図7に示したように、表面層を構成するガラス板15aと、液晶パネル15bと、光拡散パネル15cと、光拡散パネル15cの外周を取り囲む枠を形成するように配置された四基のバックライト15dとを上下方向に重ね合わせた構成を備えている。ガラス板15aの上面が第2モニタ15の表示面15sとして機能する。液晶パネル15bの各液晶素子の方向を適宜に制御することにより、第2モニタ15の各位置の透過率を制御することが可能である。光拡散パネル15cは、バックライト15dから照射される可視光(一例として白色光)を拡散しつつ透過する半透過型のパネルである。ガラス板15a及び光拡散パネル15cは赤外光の波長域に対して透過性を有している。したがって、液晶パネル15bの液晶素子の向きを透過側に制御すれば、第2モニタ15の表示面15sから光拡散パネル15cの裏面に至るまで赤外光を透過させることが可能である。
図6に戻って、照明装置16は、第2モニタ15の表示面15sのうち、少なくともカード操作部20の全域を含む範囲に赤外光を照射するように設けられている。この種の照明装置16としては、赤外光照射型のLED照明装置を用いることができる。撮影装置17は、CCD、COMSといった撮像素子を利用して各カード領域21に配置された選手カードCPの裏面の赤外域の画像を撮像し、その画像を光電変換して選手カードCPの裏面の電子的な画像を出力する。撮影装置17の撮影範囲は、全てのカード領域21を撮影できるように設定される。ただし、複数の撮影装置17を設けることにより、カード領域21を分担して撮像できるようにしてもよい。
以上のように、カード読取装置14は、表示内容を適宜に変更可能な第2モニタ15と、選手カードCPの裏面に記録された情報を読み取るための撮影装置17とを組み合わせた構成を備えている。そのため、カード操作部20に表示されるべき各種の表示要素のうち、野球ゲームの進行に応じて表示内容や表示位置が適宜に変更されるべき表示要素、例えば、登録領域22に表示されるべき状態パラメータの設定値、変更量表示領域24に表示されるべき状態パラメータの変更量、指示領域23に表示されるべきゲージレベルの値及び選択指標25に関しては、第2モニタ15の表示を制御することにより、その表示を適宜に変化させることが可能である。それにより、カード操作部20にて行われるべき各種の操作に応じて適切な情報をカード操作部20内でユーザに提示し、ユーザの円滑な操作を支援し、あるいは操作方法や操作結果に対するユーザの理解を高めることができる。特に、指示領域23における操作に関しては、選手カードCPの位置と、第1及び第2の状態パラメータの値との対応関係を登録領域22及び変更量表示領域24の表示によってユーザに容易に把握させることができる。しかも、登録領域22及び変更量表示領域24は、指示領域23の周囲であって、かつ選手カードCPの位置が変更されるべき方向である上下方向に関して指示領域23と隣接する位置に配置されているため、選手カードCPの上下方向の位置を変化させたときにパワー、ミート等の状態パラメータの値がどのように変化するかをユーザに容易かつ確実に把握させ、ユーザの操作の円滑化、及び操作の理解の向上を図ることができる。
なお、カード読取装置14の第2モニタ15に表示される画像は、図3に示したカード操作部20の構成要素のうち、野球ゲームの進行に応じて表示内容や表示位置が適宜に変更されるべき表示要素を含んでいればよい。例えば、カード操作部20の範囲、各カード領域21の範囲、登録領域22及び指示領域23の範囲がゲーム中において不変である場合には、第2モニタ15の表示面15sにそれらの範囲を示す枠線その他の表示物を印刷その他の表示手段を利用して画像によらずに表示するものとしてもよい。変更量表示領域24に関しても、その領域に表示される変更量は動的に変化することから第2モニタ15における表示要素として設定画像に含める必要があるが、変更量表示領域24の範囲を示す枠線その他の表示要素は第2モニタ15の画像によることなく、表示面15sに固定的な表示物として表示されてもよいし、表示それ自体が省略されてもよい。つまり、指示領域23に対して上方に隣接する領域に状態パラメータの変更量が表示される限りにおいて、その表示位置を含む一定範囲が第2モニタ15にて表示される設定画像中における変更量表示領域24として設定されているものと理解することが可能である。
次に、図8及び図9を参照して、ゲーム機3の制御系の構成を説明する。図8に示すように、ゲーム機3には、制御装置30と、記憶装置31とが設けられている。制御装置30は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。記憶装置31は、制御装置30に対する外部記憶装置であり、磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリその他の記憶保持が可能な不揮発性の記憶媒体を含んだ記憶装置である。
記憶装置31には、ユーザに野球ゲームを提供するために必要な各種の処理を制御装置30に実行させるコンピュータプログラムの一例としてのゲームプログラムPGと、ゲームデータDGとが記録されている。ゲームデータDGは、野球ゲームに登場する各種のオブジェクトの一例としての選手その他のキャラクタ、試合が行われる球場等を表示するための画像データ、野球ゲームの演出に用いられるべき画像及び音のデータといった各種のデータを含む。ゲームデータDGには選手データDCがさらに含まれている。選手データDCには、各選手カードに対応した選手に設定されるべき上述した各種の状態パラメータの値を記録したデータが、選手カードCPのカードIDと対応関係が判別できる態様にて記録されている。
記憶装置31には、プレイデータDPも記録される。プレイデータDPはユーザの識別情報であるユーザIDと対応付けてセンターサーバ2に保存され、ユーザがゲーム機3にてゲームをプレイする際にユーザの認証を条件としてゲーム機3に提供され、記憶装置31に記録される。記憶装置31に記録されたプレイデータDPは、ゲーム機3におけるゲームの進行に応じて適宜のタイミングで更新され、ゲームが終了する際にはゲーム機3からセンターサーバ2に提供されて保存される。ユーザIDはユーザごとにユニークに設定される識別情報である。ゲーム機3にてユーザがゲームをプレイする場合、そのユーザID又はユーザIDと対応付けられた他のIDがゲーム機3にて取得され、そのIDを利用してユーザのプレイデータDPが取得される。プレイデータDPには、ゲーム機3におけるユーザのプレイ内容が適宜に記録される。
制御装置30には、制御装置30のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのゲームプログラムPGとの組み合わせによって実現される論理的装置として、ゲーム制御部32が設けられる。ゲーム制御部32は、ゲームプログラムPGに従ってゲーム機3におけるゲームのプレイに必要な各種の処理を実行する。ゲーム制御部32の詳細は後述する。制御装置30には、図1に示した第1モニタ11、カード読取装置14の第2モニタ15及び撮影装置17、並びにプリンタユニット13が接続されるとともに、通信制御装置18が接続される。通信制御装置18は、制御装置30とセンターサーバ2との間の通信を制御するための装置である。以上の他にも、制御装置30には適宜の入出力装置が接続されてよいが、ここでは説明を省略する。
図9は、ゲーム制御部32の具体的な構成の一例を示している。ゲーム制御部32には、さらなる論理的装置として、カード判別部40、選手管理部41、進行制御部42、第1画像生成部43及び第2画像生成部44が設けられる。カード判別部40は、撮影装置17が撮影した画像から選手カードCPの裏面の読取標識Mの共通部M1又は固有部M2を検出し、その検出結果に応じた情報、例えば共通部M1の位置、あるいは固有部M2に記録された情報を選手管理部41に提供する。選手管理部41は、カード判別部40から提供される情報に従って上述した選手登録、及び選手の状態パラメータの設定値を管理する。状態パラメータの値を設定し、あるいは変更するため、選手管理部41は記憶装置31に記録されている選手データDCを適宜に参照する。進行制御部42は、選手管理部41から提供される登録選手、及び状態パラメータの設定値を参照しつつ野球ゲームを進行させるための各種の演算処理を実行する。例えば、進行制御部42は、各選手の状態パラメータを参照して各選手の試合における行動を演算しつつ、それらの行動に応じて定まるべき結果を演算する。進行制御部42は、例えばコントロールパネル12に設けられる入力装置、あるいはゲームの対価を徴収する装置等からの情報も参照しつつ試合の開始前から試合終了後に至るまでの各段階のゲームの進行を制御するが、それらの入力装置等との対応関係に関する図示は省略されている。
第1画像生成部43は、進行制御部42の演算結果に基づいて第1モニタ11に表示すべきゲーム画像を第1モニタ11のフレームレートに従って繰り返し生成し、生成された画像が表示されるように第1モニタ11の表示内容を制御する。一例として、第1画像生成部43は、進行制御部42の演算結果に従って、実際の野球の試合をテレビ放送で観戦する場合と同様のゲーム画像を繰り返し生成し、これを第1モニタ11に表示させる。なお、試合の開始前、終了において第1画像生成部43は、進行制御部42からの指示に従ってユーザにゲームを進める手順を案内し、あるいはユーザの指示又は選択を求めるといった各種の画像を生成して第1モニタ11に表示させてもよい。
第2画像生成部44は、選手管理部41からの指示に従ってカード読取装置14の第2モニタ15に表示させるべき画像を第2モニタ15のフレームレートに従って繰り返し生成し、生成された画像が表示されるように第2モニタ15の表示内容を制御する。つまり、第2画像生成部44は、カード読取装置14を介して選手登録し、あるいは選手カードCPの位置に応じて状態パラメータの値を変更するために必要な設定画像を第2モニタ15に表示させる処理を実行する。なお、第2画像生成部44は、図3に示したカード操作部20を構成するための設定画像以外にも適宜の画像を第2モニタ15に表示させてもよい。
次に、図10〜図12を参照してゲーム制御部32が選手登録及び状態パラメータの変更に関連して実行する各種の処理を説明する。図10は、登録領域22を利用して選手登録を行うためにゲーム制御部32が実行する選手登録処理の手順の一例を示している。この処理は、野球ゲームの試合を開始する前に設けられる選手登録段階にて実行される。図10の登録処理が開始されると、まず、選手管理部41は、処理対象となるべきカード領域21を特定する(ステップS11)。例えば、選手登録をカード領域21の並び順、言い換えれば打順に従って順次行う場合には、処理対象のカード領域21を順次変更すればよい。ユーザがカード領域21を選択して選手登録を行う場合には、そのユーザの選択に従ってステップS11で処理対象のカード領域21を特定すればよい。以下では、処理対象のカード領域21に含まれる登録領域22、及び指示領域23のそれぞれについても、処理対象の登録領域22、及び処理対象の指示領域23と称することがある。
処理対象領域が特定されると、選手管理部41は処理対象のカード領域21の登録領域22に選手カードCPが配置されているか否かを判別する(ステップS12)。この処理は、例えば、カード判別部40にて処理対象の登録領域22の画像を抽出し、その画像中に選手カードCPの裏面の共通部M1が検出されているか否かをカード判別部40にて判別し、その判別結果を選手管理部41が取得することにより行うことができる。なお、ステップS12では選手カードCPの共通部M1の全体が登録領域22に存在する場合に選手カードCPが配置されていると判断してもよいし、選手カードCPの共通部M1の一部が登録領域22に存在すれば選手カードCPが配置されていると判断してもよい。選手カードCPが登録領域22に正しく配置されている場合、選手管理部41はカード判別部40を介して選手カードCPのカードIDを取得する(ステップS13)。すなわち、カード判別部40は選手管理部41の求めに応じて処理対象の登録領域22に配置されている選手カードCPの固有部M2の情報を読み出し、そこに記録されているカードID、又は当該カードIDを特定するために必要な情報を選手管理部41に通知し、選手管理部41はその通知に従ってカードIDを特定する。
続いて、選手管理部41は、カードIDに対応する各状態パラメータの値を選手データDCに基づいて取得する(ステップS14)。ここで取得された値は、試合開始時点において処理対象の指示領域23の基本位置に選手カードCPが配置されたときの各状態パラメータの基本値となる。
その後、選手管理部41は、ここまでの処理で特定されたカードID、各状態パラメータの値といった情報を、処理対象のカード領域21に対応付けられた登録選手の設定として制御装置30の内部メモリに記憶し、その設定内容を示す情報を進行制御部42に通知する(ステップS15)。これにより選手登録が完了する。進行制御部42は選手管理部41から通知された登録選手の設定情報に基づいて野球ゲームの試合を進行させるための各種の演算処理を繰り返す。なお、ステップS12にて選手カードCPが配置されていないと判断された場合、選手管理部41はユーザの指示によらない、いわゆるNPC(ノンプレイヤキャラクタの略)を所定の手順で決定し(ステップS16)、そのNPCを処理対象のカード領域21に関する登録選手とみなしてステップS15の処理を実行する。なお、試合途中の適宜のタイミングで登録選手を交代する場合にも図10と同様の手順で新たな選手を登録すればよい。
図11は、指示領域23に配置された選手カードCPの位置に応じて登録選手の状態パラメータの値を設定するためにゲーム制御部32が実行するパラメータ設定処理の手順を示している。この処理は、選手管理部41が中心となって、試合中に所定の周期(一例として第1モニタ11のフレームレート)で繰り返し実行される処理である。図11の処理が開始されると、選手管理部41は処理対象のカード領域21を特定する(ステップS21)。この場合、処理対象のカード領域21は、攻撃側であれば打順が回っている打者のカード領域21、守備側であれば投手のカード領域21といったように試合の進行に応じて決定されてよい。
処理対象領域が特定されると、選手管理部41は処理対象の指示領域23における選手カードCPの位置を判別する(ステップS22)。この処理は、例えば、カード判別部40にて処理対象の指示領域23の画像を抽出し、その画像中に選手カードCPの裏面の共通部M1が検出されているか否かをカード判別部40にて判別し、検出されている場合に、その共通部M1の位置をカード判別部40にて判別してその判別結果を選手管理部41が取得することにより行うことができる。選手カードCPの位置は、一例として、共通部M1の中心を基準として判別される。ただし、選手カードCPの上端や下端等の適宜の位置を基準として選手カードCPの位置が判別されてよい。例えば、指示領域23において上下方向に目盛り線といった位置決め用の指標が表示されている場合には、選手カードCPの上端又は下端を基準として選手カードCPの位置を検出すれば、ユーザにとって選手カードCPの位置を正確に設定できて都合がよいことがある。なお、処理対象の指示領域23にて共通部M1の画像が検出されない場合には選手カードCPが存在しないと判断すればよい。
選手カードCPの位置が判別されると、選手管理部41は処理対象の指示領域23のゲージレベルを判別し(ステップS24)、続いて、指示領域23内における選手カードCPの検出位置及びゲージレベルに基づいて第1及び第2の状態パラメータの値を決定する(ステップS25)。例えば、選手カードCPの検出位置が指示領域23内において基本位置からどの方向にどの程度ずれているかの情報と、ゲージレベルに応じて規定された位置の変更量に対する状態パラメータの値の変更量の比率の情報とを用いれば、選手カードCPの指示領域23内における位置に応じて状態パラメータをどのような値に設定すべきかを特定することが可能である。よって、ステップS25では、選手カードCPの検出位置とゲージレベルとを参照して、検出位置に応じた状態パラメータの値を演算する。なお、ステップS25におけるパラメータの値の演算は、選手カードCPの指示領域23内における位置とパラメータの値との対応関係を基本値とゲージレベルとに基づいて割り出し、その対応関係に従って選手カードCPの位置に対応するパラメータの値を演算するものとしてもよいし、検出位置の変更量とゲージレベルとに応じてパラメータの値を演算するものとしてもよい。後者の場合の選手カードCPの位置の変更量は前回の選手カードCPの位置と今回検出された選手カードCPの位置との差分として特定されてもよいし、基本位置(基準標識23aにて示された位置)からの選手カードCPの移動量として特定されてもよい。上述した比率を例えば係数として保持し、選手カードCPの位置に応じて状態パラメータの値の変更量にその係数を乗じて状態パラメータの値が演算されてもよい。指示領域23を上下方向に関して複数の小領域に区分し、選手カードCPを代表する位置(一例として選手カードCPの中心、上端又は下端といった位置)がどの小領域に属するかを選手カードCPの検出位置に基づいて判別し、その判別された小領域とゲージレベルとに従って状態パラメータの値が演算されてもよい。
その後、選手管理部41はここまでの処理で決定された第1及び第2の状態パラメータの値を制御装置30の内部メモリに記憶し、その値を処理対象のカード領域21に対応付けられた登録選手の第1及び第2の状態パラメータの値として進行制御部42に通知する(ステップS26)。続いて、選手管理部41は、新たに決定された第1及び第2の状態パラメータの値及びそれらの変更量が処理対象の登録領域22及び変更量表示領域24に新たに表示されるように第2画像生成部44に指示する(ステップS27)。これにより、図3及び図4に例示したように、更新された第1及び第2の状態パラメータの値が登録領域22に表示され、かつ選手カードCPの位置の変更に応じたそれらの状態パラメータの値の変更量が変更量表示領域24に表示される。なお、ステップS25に続いてステップS26でパラメータの設定値や変更量をユーザに提示し、その値に対してユーザが確定を指示したことを条件として状態パラメータの値を確定してステップS26の処理を行う、といったように、ステップS25で決定された状態パラメータの値を直ちに反映させることなく、ユーザの確定指示を条件として状態パラメータの値を確定させてもよい。
なお、ステップS22にて選手カードCPが処理対象の指示領域23に存在しないと判断された場合、選手管理部41は処理対象のカード領域21に対応付けられた登録選手の第1及び第2の状態パラメータの値を基本値、すなわち図10のステップS17で演算される値に設定し(ステップS28)、その後にステップS26の処理に進む。この場合、ステップS27にて登録領域22に表示される第1及び第2の状態パラメータの値はそれらの基本値となり、変更量表示領域24には変更量が表示されない。また、ステップS23で検出された位置が前回の図11の処理時と同一でかつゲージレベルに変化がない場合には、ステップS25にて前回と同一の値が決定され、ステップS27にて登録領域22に表示される第1及び第2の状態パラメータの値も前回の処理時の値と同一に維持される。その場合、変更量表示領域24には変更量が表示されない。
図11の処理によれば、選手カードCPの位置が変更されて第1及び第2の状態パラメータの値が変更される場合、その変更後の値及び変更量が登録領域22及び変更量表示領域24に表示される。なお、図11の処理において、指示領域23に配置された選手カードCPのカードIDは判別されない。したがって、図10の登録処理で選手登録した選手カードCPと、指示領域23にてユーザが操作する選手カードCPとの異同は不問である。よって、希少性等の観点から価値の高い選手カードCPを利用して選手登録した場合、あるいはユーザが個人的に気に入っている選手カードCPを利用して選手登録した場合には、指示領域23に別の選手カードCPを配置して、選手登録で使用した選手カードCPの摩耗、損傷あるいは劣化といった状態の変化を防ぐことが可能である。
図12はゲージレベルを管理するためにゲーム制御部32が実行するゲージレベル制御処理の手順を示している。この処理は、選手管理部41が中心となって、試合中に所定の周期(一例として第1モニタ11のフレームレート)で繰り返し実行される処理である。また、ゲージレベル制御処理は、カード領域21ごとに区別して行われる。図12の処理が開始されると、選手管理部41は進行制御部42から現在のゲーム状態を判別するために必要な情報を取得し、得られた情報に基づいて、一のカード領域21に関するゲージレベルの制御と関連付けられたゲームの状態を判別する(ステップS31)。この場合ゲーム状態として、例えばカード領域21ごとの登録選手の試合中の行動とその行動に伴って生じた効果が判別されてよい。より具体的には、登録選手が打者としてどのような成績を挙げているか、あるいは投手としてどのような成績を挙げているかといったように、現実の野球の試合において選手がどのような成績を挙げているか、に倣ってゲーム状態が判別されてよい。あるいは、チームとしての状態、例えば得点、失点、あるいは得失点の差、ヒット数、エラー数といった状態が判別されてもよい。
次に、選手管理部41は、ステップS31で判別する状態と関連付けて設定されたレベル変更条件が成立したか否かを判別する(ステップS32)。例えば、所定レベルの成績を挙げていればゲージレベルを増加させる条件が成立し、一方で所定レベル未満の成績を残した場合はゲージレベルを減少させる条件が成立するといったように、レベル変更条件はゲーム状態に応じて適宜に設定されてよい。レベル変更条件が成立している場合、選手管理部41は、現在のゲージレベルが限度(上限又は下限)に達しているか否かを判別する(ステップS33)。すなわち、ゲージレベルを増加させる条件が成立している場合はゲージレベルが上限に達しているか否かが判別され、ゲージレベルを減少させる条件が成立している場合はゲージレベルが下限に達しているか否かが判別される。
ステップS33にてゲージレベルが限度に達していない場合、選手管理部41は処理対象の指示領域23に関するゲージレベルを変更する(ステップS34)。例えば、ゲージレベルを増加させる条件が成立している場合はゲージレベルを一段階増加させ、ゲージレベルを減少させる条件が成立している場合はゲージレベルを一段階減少させる。ただし、ゲーム状態によっては、上限又は下限を超えない範囲でゲージレベルが二段階以上変更されてもよい。次いで、選手管理部41は、変更後のゲージレベルを制御装置30の内部メモリに記憶し、かつ変更後のゲージレベルが指示領域23に表示されるように第2画像生成部44に指示する(ステップS35)。以上により、選手管理部41は図12の処理を終える。
以上の形態においては、カード読取装置14の撮影装置17とゲーム制御部32のカード判別部40との組み合わせが検出手段の一例に相当する。また、選手管理部41は、図11のステップS25及びS26の処理を実行することによりパラメータ制御手段の一例として機能し、図11のステップS27にて選手管理部41と第2画像生成部44とが協働してパラメータの設定値及び変更量を表示することにより、それらの選手管理部41と第2画像生成部44とが表示制御手段の一例として機能する。
本発明は上述した形態に限定されず、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、カード領域21の数は、野球のポジション数未満に設定されてもよい。つまり、野球の試合に出場する選手の一部のみをユーザが選手カードCPに基づいて登録し、不足する選手はゲーム機3がいわゆるノンユーザキャラクタの一種として試合に出場させてその行動を制御するものとしてもよい。あるいは、カード領域21をポジション数よりも大きく設定し、試合をサポートするコーチ、スコアラーといった選手以外のスタッフのカードを配置するカード領域21を一部に設定し、それらのカードに対するユーザの操作が試合に影響を与えるものとされてもよい。
図3及び図4の例では、指示領域23の下方の登録領域22に状態パラメータの設定値を、指示領域23の上方の変更量表示領域24に状態パラメータの値の変更量をそれぞれ表示しているが、パラメータ表示領域はそのような位置に設定される例に限らない。例えば、図13に示したように、選手カードCPの上方にて指示領域23と重なり合うようにして変更量表示領域24を配置してもよい。あるいは、図14に示したように、指示領域23の上下に隣接して一対の変更量表示領域24A、24Bを配置し、選手カードCPが上方に操作されたときに増加する状態パラメータ(一例としてパワー)の値の変更量を上方の変更量表示領域24Aに、選手カードCPが下方に操作されたときに増加する状態パラメータ(一例としてミート)の値の変更量を下方の変更量表示領域24Bに表示する、といったようにパラメータ表示領域は操作部材の周囲、あるいは操作領域に隣接する位置であれば、適宜の位置に適宜数に亘って設けられてよい。
操作領域の一例としての指示領域23は上下方向に直線的に延びる例に限らず、左右方向その他の各種の方向に延びる形状に設定されてもよい。あるいは、操作領域は直線的に延びた形状に設定される例に限らない。例えば、図15に示すように、操作領域の一例としての指示領域23Aを円弧状に形成し、その中央を基本位置として選手カードCPの位置が左右に変更された場合に第1及び第2の状態パラメータA、Bを背反的に変化させてもよい。この場合、パラメータ表示領域としての設定値表示領域26A、及び変更量表示領域26Bは選手カードCPの周囲の適宜の位置に設けられてよい。
制御パラメータの値を変更する場合の操作部材の操作方向(位置を変化させる方向)は、一方向に必ずしも限られない。例えば、図16に示したように、背反的な関係を有するパラメータA、Bの組を横軸方向に対応付けるとともに、背反的な関係を有するパラメータC、Dの組を縦軸方向に対応付け、横軸及び縦軸によって定義された二次元平面を選手カードCPの指示領域23Bとして定義し、各軸方向では一方向への位置の変化に対応して一方のパラメータの値を増加させつつ他方のパラメータの値を減少させるものとすれば指示領域23B内で選手カードCPの位置を適宜に変化させることにより、各組のパラメータの値を一括して変更することができる。このような場合でも、パラメータ表示領域としての設定値表示領域26A、及び変更量表示領域26Bは選手カードCPの周囲の適宜の位置に設けられてよい。
操作部材の位置の変化に応じて値が設定されるべき制御パラメータは、背反的な関係を有する第1の状態パラメータ及び第2の状態パラメータの組に限定されない。例えば、一種類の状態パラメータの値を操作部材の位置に応じて増減するような場合でも本発明は適用可能である。また、操作部材の位置の変化に応じて値が制御されるべきパラメータは、ゲームにて利用されるべきキャラクタ等の状態を示す状態パラメータに限定されない。例えば、ゲームの難易度、操作方法、操作感度といったプレイ条件、あるいはプレイ環境を決定付けるパラメータが本発明に従って設定されるべき制御パラメータとして選択されてもよい。また、状態パラメータの値を設定対象とする場合でも、その状態パラメータに対応するオブジェクトは、野球の選手のようなキャラクタに限定されない。ゲームにてユーザが適宜に利用可能なオブジェクトであれば、その状態を示すパラメータの値が本発明に従って設定されてよい。操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係は、そのパラメータの設定値又は変更量を数値にて示す例に限らず、適宜の態様で示されてよい。例えば、設定値や変更量を数値に代えて、又は加えて、表示要素の面積、長さ、半径等の物理量で示すことも可能である。
上記の形態では、撮影装置17にて撮影された画像から共通部M1を検出してその位置を選手カードCPの位置として割り出しているが、操作部材の位置の検出はそのような手段に限られない。表示面をその上方から撮影して選手カードCPの位置を検出し、あるいは表示面15s上を赤外光にて縦横にマトリクス状に走査する赤外光操作方式のタッチパネルを利用し、走査光が操作部材にて遮られた位置を手掛かりとして操作部材の位置を検出してもよい。操作部材にICチップ等の記録媒体を埋め込み、その位置を検出することにより操作部材の位置を割り出すようにしてもよい。操作部材は選手カードCPに限定されず、表示面上に置くことが可能な物品であれば適宜に変更されてよい。例えば、立体的な駒その他の物品が操作部材として利用されてよい。
上述した形態では、ゲームの状態に応じてゲージレベルを変更し、そのゲージレベルの変更に伴って選手カードCPの位置の変化量に対する制御パラメータの値の変化量の比率を変化させる一方で、指示領域23の上下方向の長さは不変としたが、ゲージレベルの変化に伴って指示領域23を上下方向に動的に変化させてもよい。例えば図17に示すように、ゲージレベルが低下した場合には指示領域23を上下方向に縮小し、ゲージレベルが上昇した場合には指示領域23を上下方向に伸長させてもよい。この場合、登録領域22及び変更量表示領域24の位置は不変であってもよいし、指示領域23の変化に合わせるようにしてそれらの領域22、24の位置が上下に変化してもよい。なお、図17の場合における選手カードCPの位置の変化量に対するパラメータの値の変化量の比率は指示領域23の伸縮に関わりなく一定に保持されてもよいし、上記の形態のようにゲージレベルの増減に応じて比率も増減されるものとしてもよい。図17では、指示領域23の上端部及び下端部を等しく伸縮させているが、指示領域23の上端部又は下端部のいずれか一方の側のみを伸縮させてもよい。図17のように指示領域23の範囲を動的に変化させる場合、その指示領域23は表示面15s上に表示される画像中の表示要素としてユーザに示される。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲームシステム(1)は、ユーザの操作対象としての物理的な操作部材(CP)が置かれるべき表示面(15s)を有する表示装置(15)と、前記表示面上における前記操作部材の位置を検出する検出手段(17、40)と、所定のゲームにおける制御パラメータの値を、前記検出手段による前記操作部材の検出位置に応じて設定するパラメータ制御手段(41、S25、S26)と、前記操作部材の位置と前記制御パラメータの値との対応関係をユーザに提示する画像が、前記表示面上の前記検出位置の周囲に表示されるように前記表示装置の表示を制御する表示制御手段(41、44、S27)と、を備えたものである。
本発明の一態様に係るゲームシステム用のコンピュータプログラム(PG)は、ユーザの操作対象としての物理的な操作部材(CP)が置かれるべき表示面(15s)を有する表示装置(15)と、前記表示面上における前記操作部材の位置を検出する検出手段(17、40)と、を備えたゲームシステムのコンピュータ(30)を、所定のゲームにおける制御パラメータの値を、前記検出手段による前記操作部材の検出位置に応じて設定するパラメータ制御手段(41、S25、S26)、及び前記操作部材の位置と前記制御パラメータの値との対応関係をユーザに提示する画像が、前記表示面上の前記検出位置の周囲に表示されるように前記表示装置の表示を制御する表示制御手段(41、44、S27)として機能させるように構成されたものである。
上記の態様によれば、操作部材が表示装置の表示面上に置かれた位置に応じて制御パラメータの値を設定するとともに、操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係を示す画像をその表示面上における検出位置の周囲に表示しているため、操作部材の位置をどのように変化させると、制御パラメータの値がどのように変化するかをユーザに対して良好な視認性をもって提示することができる。それにより、操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係をユーザに容易に把握させ、ユーザの円滑な操作を支援し、あるいは操作方法や操作結果に対するユーザの理解を高めることができる。
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
上記態様において、前記パラメータ制御手段は、前記操作部材の前記表示面上の所定方向における位置に応じて前記制御パラメータの値が変更されるように前記制御パラメータの値を設定し、前記表示制御手段は、前記操作部材に対して前記所定方向にずれた位置に配置され、かつ前記制御パラメータの設定値又は変更量の少なくともいずれか一方が表示されるパラメータ表示領域(22、24;24A、24B)が前記画像に含まれるように前記表示を制御してもよい。この場合には、操作部材の位置を所定方向に変更すると、その所定方向に関して操作部材の延長上に位置するパラメータ表示領域に制御パラメータの設定値又は変更量が表示される。したがって、操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係に関する視認性をさらに高めることができる。
さらに、前記表示面上には、前記操作部材の前記所定方向における位置を変更し得る範囲として設定される操作領域(23;23A;23B)が前記ユーザに視認できる態様にて示され、前記検出手段は、前記操作領域内における前記操作部材の位置を検出し、前記パラメータ制御手段は、前記操作領域内における前記操作部材の検出位置に応じて前記制御パラメータの値を設定してもよい。この態様によれば、操作領域がどのような範囲に設定されているかをユーザに示しつつ、その操作領域内のどの位置に操作部材を置けば制御パラメータの値がどのように設定されるのか、をパラメータ表示領域を介してユーザに明確に示すことができる。それにより、物理的な操作部材と表示装置上の表示要素との組み合わせによって、ユーザが理解し易いインターフェースを実現することができる。
さらに、前記表示制御手段は、前記操作領域(23;23A;23B)に対して前記パラメータ表示領域が前記所定方向に隣接するように前記表示を制御してもよい。これによれば、操作領域内で適宜に位置を変え得る操作部材によって隠されないように制御パラメータの設定値や変更量を表示することが可能である。よって、操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係についての視認性が損なわれるおそれを排除することができる。
また、前記操作領域の前記所定方向における長さが前記ゲームの状態に応じて変化し、かつ前記操作領域は前記表示装置における表示要素として前記表示面上に表示されてもよい(一例として図17の態様)。これによれば、ゲームの状態に応じて操作領域を所定方向の長さを動的に変化させることにより、操作部材の操作によって設定可能な制御パラメータの値の範囲をゲーム状態に応じて動的に変化させることができる。
また、前記パラメータ制御手段は、前記操作領域における前記操作部材の検出位置と前記制御パラメータの値との対応関係に従って前記制御パラメータの値を設定してもよい。これによれば、予め操作部材の検出位置と制御パラメータの値との対応関係を特定しておけば、その対応関係に従って、操作部材の検出位置に対応すべき制御パラメータの値を容易かつ迅速に決定することができる。
上記態様においては、前記ゲームの制御パラメータとして、前記ユーザが前記ゲームにて利用する対象としてのオブジェクト(一例として野球の選手)の状態を示す複数種類の状態パラメータが存在し、前記複数種類の状態パラメータには、背反的関係を有する第1の状態パラメータと第2の状態パラメータとが含まれ、前記パラメータ制御手段は、前記操作部材の位置が前記所定方向一方の側に変化した場合には前記第1の状態パラメータの値を増加させる一方で前記第2の状態パラメータの値を減少させ、前記操作部材の位置が前記所定方向他方の側に変化した場合には前記第2の状態パラメータの値を増加させる一方で前記第1の状態パラメータの値を減少させるものとしてもよい。これによれば、背反的関係を有する第1及び第2の状態パラメータの値を、一方が増加すれば他方が減少するといったように、操作部材の所定方向の位置の変更によって一括して変化させることができる。しかも、操作部材の位置とそれらの状態パラメータの値との対応関係を示す画像が操作部材の検出位置の周囲に表示されることにより、背反的関係を有する状態パラメータ間の関係をもユーザに容易かつ明確に把握させることができる。
また、前記利用対象のオブジェクトとして、前記ゲームにおける役割が異なる複数種類のオブジェクト(一例として野球における打者と投手)が用意され、前記第1及び前記第2の状態パラメータが、前記オブジェクトの種類に応じて異なっていてもよい。これによれば、第1の状態パラメータ及び第2の状態パラメータをオブジェクトの役割に応じて適切に選択しつつ、それらのパラメータの値の設定に関して上述した作用効果を生じさせてユーザの変更操作の円滑化等を図ることができる。
上記態様において、前記パラメータ制御手段は、前記操作部材の前記所定方向における位置の変化量に対する前記制御パラメータの値の変化量の比率を前記ゲームの状態に応じて変化させてもよい。これによれば、操作部材の位置を変更したときに制御パラメータの値をどの程度変化させるかをゲームの状態に応じて動的に変化させてゲーム状態に応じたパラメータの設定を可能としつつ、その操作部材の位置と制御パラメータの値との対応関係を示す画像を操作部材の周囲に表示することにより、上記の比率に応じた適切な画像をユーザに提示してユーザの混乱を防止し、制御パラメータの値に関する設定、変更の操作を適切に支援することができる。