JP2019050797A - 油脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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(油脂)
本発明の油脂組成物は、グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が75〜95質量%であり、同範囲の油脂を用いることで、酸化安定性を高めることができる。グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が75〜95質量%の油脂として、高オレイン酸品種の植物油を用いることができる。該オレイン酸含有率が75〜95質量%の品種として、ひまわり、菜種、大豆、紅花、オリーブなどを単独、あるいは混合して用いることができる。なお、酸化安定性の点から、該オレイン酸含有率は高いほうが好ましいが、これらの品種は天然由来であり、気候により、75〜95質量%の範囲で変動する。グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が78〜90質量%であることが好ましく、81〜89質量%であることがより好ましい。なお、グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドからなり、通常は、トリグリセリドが95質量%以上を占める。より好ましくは、トリグリセリドが98質量%以上である。グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸以外の脂肪酸の含有率は、パルミチン酸とステアリン酸からなる飽和脂肪酸が5〜15質量%であることが好ましく、リノール酸が2〜10質量%であることが好ましく、リノレン酸が0〜5質量%であることが好ましい。なお、油脂のヨウ素価は、80〜90であることが好ましく、82〜88であることがさらに好ましい。
該オレイン酸含有量が75質量%未満の油脂は、油脂組成物中に0〜20質量%配合してもよく、0〜10質量%配合することが好ましく、0〜5質量%配合することがより好ましい。
該オレイン酸含有率の低い油脂は、精製油であることが好ましい。
本発明の油脂組成物中には、本発明の効果を損ねない程度に、その他の成分を加えることができる。その他の成分とは、例えば、一般的な油脂に用いられる成分(食品添加物など)である。これらの成分としては、例えば、酸化防止剤、乳化剤、シリコーンオイル、結晶調整剤、食感改良剤等が挙げられ、脱臭後から充填前に添加されることが好ましい。
本発明の油脂組成物の製造方法は、グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が75〜95質量%である油脂に、油脂組成物中の全トコフェロールが500〜1300質量ppm、δ-トコフェロールが全トコフェロール中の150〜500質量ppmになるように、トコフェロールを添加する工程を含む。油脂は、前述の油脂組成物で述べたものを用いることができる。また、添加するトコフェロールは、市販のトコフェロール、トコフェロール製剤を用いることができる。δ−トコフェロールの含有量が多いトコフェロール製剤を用いることが好ましい。添加工程は、油脂の精製後であることが、トコフェロールが除去されないために好ましい。なお、添加方法は、特に限定するものではないが、添加する油脂の一部に、トコフェロールを混合し、それを残りの油脂に添加・混合することで、均一な油脂組成物を得ることが好ましい。また、その他の添加剤を添加する場合は、同時に添加することもできる。
本発明の油脂組成物は、あらゆる用途の油脂の保存時の酸化安定性を高めることができる。そのため、フライ用途、炒め油用途、離形油用途、炊飯油用途、ドレッシング用途、マヨネーズ用途などに好適に利用することができる。また、本発明の油脂組成物を含有する総菜、ドレッシング、マヨネーズ、ベーカリー食品等も酸化安定性を高めることができる。
PL67(精製パームオレイン:日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価67)を比較例1の油脂組成物とし、HOヒマワリ油(精製高オレイン酸ヒマワリ油:日清オイリオグループ株式会社製、ヨウ素価84.2)を比較例4の油脂組成物とした。
PL67、HOヒマワリ油、トコフェロール80(ミックストコフェロール 日清オイリオグループ株式会社製)、イーミックス−D(トコフェロール製剤:三菱ケミカルフーズ株式会社)を表1の配合になるように配合し、比較例2、3、実施例1、2の油脂組成物を得た。
比較例1〜4、実施例1〜4の油脂組成物2.5gをそれぞれCDM装置(自動油脂安定性試験装置Rancimat743型、メトロームジャパン株式会社製:120℃、空気吹込み20.1(L/h))で測定した。伝導率が急激に変化する変曲点までの時間(h)をCDM値とし、表1に記載した。なお、CDM値が大きいほど、酸化安定性が高い油脂である。
比較例1〜4、実施例1〜4の油脂組成物の脂肪酸組成を日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した。パルミチン酸とステアリン酸の合計値(C16+C18)、オレイン酸、オレイン酸とリノール酸、リノレン酸の合計値(C18不飽和)を表1に記載した。
比較例1〜4、実施例1〜4の油脂組成物のヨウ素価を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)に準拠して測定した。ヨウ素価(IV)の値が大きいほど、二重結合が多い。結果を表1に記載した。
比較例1〜4、実施例1〜4の油脂組成物に含まれるトコフェロールの含有量を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法 2.4.10−2003 トコフェロール(蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法)」に準拠して、α−トコフェロール(α−T.)、β−トコフェロール(β−T.)、γ−トコフェロール(γ−T.)、δ−トコフェロール(δ−T.)及びそれらの合計量(全T.)を測定した。結果を表1に記載した。
実施例3と比較例1の油脂組成物を180℃に加熱した際のにおいを、2点嗜好試験法に基づいて、評価を行った。なお、評価は、100mlビーカーに油脂組成物を55g入れ、180℃に加熱し、20名の社内専門パネラーに、「においが強い」もの、「においが好ましい」ものを選択させた。表2に、「においが強い」及び「においが好ましい」と評価した社内専門パネラー人数を記載した。
同様に、実施例4と比較例2の油脂組成物を180℃に加熱した際のにおいを、評価した。表3に結果を記載した。
Claims (4)
- トコフェロールとグリセリドとを含有する油脂組成物において、
油脂組成物中に全トコフェロールを500〜1300質量ppm含有し、
油脂組成物中にδ-トコフェロールを150〜500質量ppm含有し、
グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が75〜95質量%である、油脂組成物。 - 前記油脂組成物のヨウ素価が80〜90である、請求項1に記載の油脂組成物。
- 前記油脂組成物が、ひまわり油、菜種油、大豆油、紅花油、オリーブ油から選ばれる1種以上を含有する、請求項1又は2のいずれかに記載の油脂組成物。
- グリセリドを構成する脂肪酸中のオレイン酸含有率が75〜95質量%である油脂に、
油脂組成物中の全トコフェロールが500〜1300質量ppm、δ-トコフェロールが全トコフェロール中の150〜500質量ppmになるように、
トコフェロールを添加する工程を含む、油脂組成物の製造方法。
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