JP2019042676A - ハロゲン化物吸収剤、及び、ハロゲン化物吸収剤の評価方法 - Google Patents

ハロゲン化物吸収剤、及び、ハロゲン化物吸収剤の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン化物を適切に吸収することが可能になり、細孔の容積(ml/g)に基づいて、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行う。【解決手段】アルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤において、径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし、径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、{(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、前記細孔指標R(ml/g)の値を0.10(ml/g)以上とした。【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン化物吸収剤、及び、ハロゲン化物吸収剤の評価方法に関する。
近年、資源の有効利用や廃棄物の減量化が求められており、バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスを発電機器(燃料電池やガスタービン、ガスエンジン等)の燃料ガスとすることが考えられている。バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスには腐食性の高い不純物として、塩化水素やフッ化水素等のハロゲン化物が含まれているため、燃料電池やガスタービン、ガスエンジン等の発電機器の燃料ガスとして用いるには、事前に不純物を除去する必要がある。
ガス中のハロゲン化物を除去する技術として、アルカリ性の固体物質との化学反応を利用した乾式の不純物除去システムが考えられ、アルミン酸ナトリウムを含む吸収剤を用いることが従来から行われている。
アルミン酸ナトリウムは本来水溶性である上に、乾燥された固体の状態でも空気中で吸湿して液状化する潮解性を有しているため元来成形し難い材料であったため、熱をかけて焼結させる過程でアルミン酸ナトリウムを生成する原料、例えば、炭酸ナトリウムとアルミナゾルの混合物を原料として用い、高温で焼成することによりアルミン酸ナトリウムを合成することで製造されていた(例えば、特許文献1)。
ハロゲン化物を除去するための吸収剤として、細孔分布が除去性能を大きく左右することが知られている。即ち、ハロゲン化物が吸収されると吸収剤の構成粒子には体積膨張が生じるため、細孔が、例えば、0.1μm以下の細孔のみからなる場合には、その小さい細孔が、塩化水素等のハロゲン化物とアルミン酸ナトリウムの反応時に生ずる体積膨張により閉塞してハロゲン化物の除去性能が低下する虞があった。
吸収剤のハロゲン化物の除去性能を発揮するためには、ハロゲン化物が吸収剤内部にまで浸透し、吸収剤の構成粒子に含まれる成分であるアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムとハロゲン化物との反応が迅速に進むことが重要である。そのために、吸収剤にはハロゲン化物が浸透するために必要な適切な細孔が形成されている必要がある。細孔が閉塞すると、ハロゲン化物の吸収剤内部への浸透が阻害され、吸収剤の内部にある構成粒子までハロゲン化物が到達することができず、吸収剤内部に未反応のアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムが多量に残る虞がある。
ハロゲン化物の除去性能が高い吸収剤は、ハロゲン化物が吸収剤内部まで浸透するのに適切な細孔が形成されており、細孔にハロゲン化物が浸透することにより、吸収剤の構成粒子に含まれる成分であるアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムとハロゲン化物との反応が迅速に進み、吸収剤内部に未反応のアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムが殆ど残らない状態までナトリウム成分を有効に利用できる。したがってハロゲン化物の吸収剤では、そのナトリウム成分を最大限に利用できることが吸収性能の高いことの重要な要件の一つとなる。
ハロゲン化物の吸収剤の吸収性能の評価は、従来は、ハロゲン化物と吸収剤を実際にナトリウム成分の利用が完了するまで反応させて、反応時のハロゲン化物の除去量をガス分析装置によって測定したり、反応後のハロゲン化物の吸収剤に含まれるハロゲン化物の量を化学分析によって測定したりする必要があった。
吸収性能の高い吸収剤の評価を行う場合、ナトリウム成分の利用が完了するまで反応させるのに非常に長時間、たとえば50時間から100時間の反応時間が必要であった。このため、吸収性能の高い吸収剤の評価を行うためには、評価設備を運転しガス分析装置で測定し、反応後の吸収剤の化学分析を行う、といった膨大な作業を実施する必要があり、その結果から吸収性能の優劣を判断するため、吸収性能の高い吸収剤の評価を行うために、膨大な労力がかかっていた。
吸収性能の優劣を判断するまでに膨大な作業と長時間を要するハロゲン化物の吸収剤を、実際にナトリウム成分の利用が完了するまで反応させる評価方法に代えて、吸収剤の内部まで浸透するのに適切な細孔が形成されていることを判断して評価することにより、吸収性能の優劣を判断できれば、吸収剤の吸収性能の優劣を迅速に判断でき、当該吸収剤を産業で利用する際の吸収性能の評価の効率化を図れる有効な手段となる。
炭酸ナトリウムとアルミナゾルの混合物を原料として用いてアルミン酸ナトリウムを合成した吸収剤は、焼結時に炭酸ガスが放出されて非常に微細な細孔が形成されるため初期の除去性能が高いが、細孔の分布に対しては考慮されていないため、上述の細孔閉塞が起きて吸収剤内部に多量の未反応のアルミン酸ナトリウムが残り除去性能が急激に低下する虞がある。
このため、ハロゲン化物吸収剤の除去性能を向上させる余地が残されており、また、吸収性能の優劣を判断するまでに膨大な作業と長時間を要するハロゲン化物と吸収剤を実際にナトリウム成分の利用が完了するまで反応させる評価方法に代わるハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行う技術が望まれているのが現状であった。
特許第3571219号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ハロゲン化物が吸収されて吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、未反応のアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムが残らずに、吸収剤のナトリウム成分を有効に利用してハロゲン化物を効率的に吸収することができるハロゲン化物吸収剤を提供することを目的とする。
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ハロゲン化物の吸収性能の優劣について、吸収剤を反応させずに適切な手段により迅速に評価できるハロゲン化物吸収剤の評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明のハロゲン化物吸収剤は、ハロゲン化物を除去可能なアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤であって、
径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、
径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし、
径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、
{(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、
前記細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上としたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、径が0.01μm以上の細孔に対し、即ち、略全ての細孔に対し、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔(VP2)、径が1μm以上で10μmまでの細孔(VP3)の状況を用いて、細孔指標R(ml/g)として定義し、細孔指標R(ml/g)の値を0.10(ml/g)以上とすることにより、ハロゲン化物の除去性能の低下を抑制できる適切な細孔の容積(ml/g)の分布を持つ使用に適したハロゲン化物吸収剤を得ることができる。
このため、塩化水素等のハロゲン化物とアルミン酸ナトリウムの反応時に吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、径の異なる細孔の存在により、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能が低下することを抑制することができる。
これにより、吸収剤のハロゲン化物との反応に伴うその構成粒子の体積膨張が生じても、吸収剤のハロゲン化物の除去性能が著しく低下しないように、ハロゲン化物の除去量と細孔分布の変化とを適切な状況に維持できるため、ハロゲン化物吸収剤の内部にある構成粒子に含まれるナトリウム成分まで有効に反応させることができる。そして、吸収剤の細孔の状況を分析することで、当該吸収剤のハロゲン化物の除去性能が低下することを抑制することができるハロゲン化物吸収剤を得ることが可能になる。
上記目的を達成するための請求項2に係る本発明のハロゲン化物吸収剤の評価方法は、ハロゲン化物を除去可能なアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤を評価する評価方法であって、細孔容量の細孔径に対する分布から細孔指標を定義し、前記細孔指標の値に基づいて、使用に適した吸収容量であることを判定することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、細孔容量の細孔径に対する分布から細孔指標を定義し、細孔指標の値に基づいて、使用に適した吸収容量であることを判定するので、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を、細孔容量の細孔径に対する分布(径の分布)に基づいて適切に行うことができる。そして、細孔の状況を分析することで、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能を推測することができる。
そして、請求項3に係る本発明のハロゲン化物吸収剤の評価方法は、請求項2に記載のハロゲン化物吸収剤の評価方法において、前記細孔指標を定義するに際し、
径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、
径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし、
径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、
{(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、前記細孔指標R(ml/g)の値が0.10(ml/g)以上の場合に、使用に適した吸収容量であることを判定することを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、径が0.01μm以上の細孔に対し、即ち、略全ての細孔に対し、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔(VP2)、径が1μm以上で10μmまでの細孔(VP3)の状況を用いて、細孔指標R(ml/g)として定義し、細孔指標R(ml/g)の値が0.10(ml/g)以上の場合に、使用に適した吸収容量であることを判定するので、細孔容量の細孔径に対する分布(径の分布)に基づいて吸収剤の吸収容量を評価できるようになり、ハロゲン化物の除去性能の低下を抑制できる適切な細孔の容積(ml/g)の分布を持つ使用に適した吸収剤であることを容易に判断することができる。
このため、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行うことができ、ハロゲン化物吸収剤の細孔の状況を分析することで、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能を推測することができる。
本発明のハロゲン化物吸収剤は、細孔の容積(ml/g)の分布が適切に定義されるので、ハロゲン化物が吸収されて吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、ハロゲン化物を適切に吸収することが可能になる。
また、本発明のハロゲン化物吸収剤の評価方法は、細孔の容積(ml/g)に基づいて、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行うことが可能になる。
本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤を製造するための工程を説明する概念図である。 本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の細孔分布を説明するグラフである。 本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の構成粒子が形成する細孔構造の模式図である。 本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の使用前後の組成の相違を説明する説明図である。 種々の細孔分布を有するハロゲン化物吸収剤の細孔分布の相違を説明するグラフである。 種々の細孔分布を有するハロゲン化物吸収剤の細孔分布の相違を説明するグラフである。 アルミン酸ナトリウムの残存率と細孔指標R(ml/g)との関係を説明するグラフである。 ハロゲン化物の吸収容量と細孔指標R(ml/g)との関係を説明するグラフである。
本発明のハロゲン化物吸収剤は、アルミン酸ナトリウムの粉体、成形助剤、気孔形成剤を混練して成形し、成形品を焼成することにより、ハロゲン化物を除去可能なアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤(多孔体)としたものである。
工業製品として容易に入手できる安価なアルミン酸ナトリウムの粉体を気孔形成剤と共に成形助剤を混合して水分を加えて混練し、混練物を成形し、焼成することで、気孔形成剤の作用で細孔が形成され、多孔質化したアルミン酸ナトリウムを含有するハロゲン化物吸収剤を得ることができる。また、混練の過程で混合する気孔形成剤や成型助剤の種類や混合割合によって様々な径の細孔が形成され、多様な細孔分布を有するアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤を得ることができる。
本発明のハロゲン化物吸収剤は、炭酸ナトリウムおよびアルミナゾルと比べて、安価な原料であり工業的に容易に入手できるアルミン酸ナトリウムの粉体を使用していることで、原料コストを抑制して製造することができる。また、炭酸ナトリウム水溶液とアルミナゾルとを原料に用いる場合と比べて、水分を後から混合して混練するため、乾燥のために多くのエネルギーを必要とせず、製造コストを抑制することができる。
図1に基づいて本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の製造の状況を説明する。
図1には本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤を製造するための工程を概念的に表したものである。
図に示すように、アルミン酸ナトリウムの粉体(アルミン酸ソーダ)1と、成形助剤としての可塑剤2、気孔形成剤3、強度補強添加剤4(例えば、グラスファイバー)に、水分を添加して原料を混練することで原料剤を得る。次に、原料剤を押し出し成形により、例えば、ペレット状の原料剤成型物を作成し、その形状を維持できるように、原料剤成型物を予備的に乾燥させる。
原料剤成型物を予備的に乾燥させた後、所定の温度で原料剤成型物を焼成し、ハロゲン化物吸収剤を得る。尚、ハロゲン化物吸収剤は、ペレット状の他に、粒状、球状、ハニカム状等に加工することができ、容器等に充填した際にガスの流れが阻害されないようになっている。
アルミン酸ソーダ1、可塑剤2と気孔形成剤3を混合し、水を添加して混練した原料剤を形成し、焼成しているので、気孔形成剤3の作用により細孔が形成され、多孔質化したアルミン酸ナトリウムを含有するハロゲン化物吸収剤を得ることができる。また、混練の過程で空気が混合し、焼成時の反応によりガス成分が形成され、生成したガスが放出されることにより細孔が形成され、多様な細孔分布を有するアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤を得ることができる。
図2に基づいて本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の細孔の分布を説明する。細孔径の分布は、水銀圧入法により、水銀の侵入量を検出し、細孔の大きさ(径)と体積を測定して導き出したものである。
図2には本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の細孔分布を説明するためのグラフを示してあり、図中横軸が細孔の径(μm)で、縦軸が細孔の容積(ml/g)である。
アルミン酸ナトリウムの粉体(アルミン酸ソーダ)1と、成形助剤としての可塑剤2、有機助剤、無機助剤、あるいはそれらの混合物として導入される気孔形成剤3、強度補強添加剤4を用いて作成することで、以下の細孔分布のハロゲン化物吸収剤が調整される。
即ち、粒子と粒子の間の隙間、及び、粒子内に存在する細孔が、例えば、0.01μm以上の径の全ての細孔を形成する(累計容積:VP1)。そして、例えば、粒子と粒子の間の隙間が、1μm以上で10μmまでの径が中心となる細孔となり(容積:VP3)、例えば、粒子内に存在する細孔が、0.1μm以上で1μm未満の径が中心となる細孔となる(容積:VP2)。
ハロゲン化物吸収剤の細孔分布のピークの径を複数存在させていることで、吸収剤のハロゲン化物との反応に伴うその構成粒子の体積膨張が生じても、吸収剤のハロゲン化物の除去性能が著しい低下をしないように、ハロゲン化物の除去量と細孔分布の変化とを適切な状況に維持できるため、ハロゲン化物吸収剤の内部にある構成粒子に含まれるナトリウム成分を有効に反応させることができる。
図3に基づいて上述したハロゲン化物吸収剤の粒子の状況を説明する。
図3には本発明の一実施例に係るハロゲン化物吸収剤の構成粒子が集合して形成される細孔構造の状況を模式的に表した説明図を示してある。
図に示すように、ハロゲン化物吸収剤の組成物の構成粒子が集合して粒子11の間の隙間12(約5μmの径の細孔)が形成され、粒子11自体に細孔13(約0.4μmの径の細孔)が形成されている。ガスが導入されてハロゲン化物(例えば、HCl)が吸収されると、粒子11の細孔13の表面部位で体積膨張が生じるが、粒子11の間の大きな隙間12では体積膨張が生じても、ハロゲン化物吸収剤の内部に向けて浸み込み続ける。
粒子11の中で体積膨張が進んでも、即ち、一つの粒子11が体積膨張して細孔13の閉塞が生じても、隣接する粒子11に向けてハロゲン化物(例えば、HCl)が隙間12を伝わって浸み込み続けるため、中心側の粒子11に向けてハロゲン化物(例えば、HCl)が浸み込み、中心部に存在する粒子11の中までハロゲン化物(例えば、HCl)を浸み込ませることができる。
図4には上述したハロゲン化物吸収剤の使用前後での組成の状況(化合物の組成の割合)を示してある。
図に示すように、使用後には、アルミン酸ナトリウムが大幅に減少し、炭酸ナトリウムが消失している。それらに替えて、塩化ナトリウムが生成し、アルミナが大幅に増加している。
ハロゲン化物吸収剤は、HClを吸収すると、ナトリウム成分が塩化ナトリウムに変換されて残る。本実施例のハロゲン化物吸収剤では使用前にアルミン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムの化合物として存在していたナトリウム成分の大半が、使用後に塩化ナトリウムとして残っていることから、HClを吸収してナトリウム成分が有効に使用されていることがわかる。
また、ナトリウムが塩化ナトリウムに変換されているため、アルミン酸ナトリウムに含まれていたアルミニウム成分がアルミナになって残っている。このことからも、HClを吸収してナトリウム成分が有効に使用されていることがわかる。
つまり、本実施例の複数の径で細孔量のピークが存在するハロゲン化物吸収剤は、使用後には、アルミン酸ナトリウムは殆ど残っておらず、炭酸ナトリウムは全く残っていないため、HClを吸収してナトリウム成分が有効に使用されていることがわかる。
図2に点線で示すように、ハロゲン化物吸収剤にガスが導入されて、長期にわたってハロゲン化物(例えば、HCl)が吸収されると、特に、0.1μm以上で1μm未満の径が中心となる細孔の容積VP2の範囲では、多くの細孔に閉塞が生じるため細孔容積が減少するが、1μm以上で10μmまでの径が中心となる細孔の容積VP3の範囲では、細孔が閉塞せず細孔容積が殆ど変化しない状況となることが確認されている。
このため、ハロゲン化物(例えば、HCl)の吸収剤内部への浸み込みと吸収反応の進行が早期に低下しないように、本発明では、細孔容量の細孔径に対する分布を的確にするため細孔の容積(ml/g)の状況を定量的に規定し、ハロゲン化物が吸収されて吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、ハロゲン化物を適切に吸収することができるようにしている。そして、細孔の容積(ml/g)に基づいて計算される指標を基準にして、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行えるようにしている。
即ち、上述したハロゲン化物吸収剤は、原料(アルミン酸ソーダ)を変更することなく、添加剤等を適切に選択することによって、吸収剤の構成粒子間の隙間の状況によって形成される細孔の容積(ml/g)を以下の通りに規定した。
粒子と粒子の間の隙間、及び、粒子内に存在する細孔の径が、0.01μm以上の細孔で形成され、0.01μm以上の径の全ての細孔の累計容積(ml/g)をVP1(ml/g)とした。また、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2(ml/g)とし、径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3(ml/g)とした。
そして、径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし(図2参照)、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし(図2参照)、径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として(図2参照)、{(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上とした。
細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上とすることで、ハロゲン化物(例えば、HCl)の吸収剤内部への浸み込み(吸収)が早期に低下しないように、細孔容量の細孔径に対する分布を的確にして細孔の状況を定量的に規定することができ、ハロゲン化物が吸収されて吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、ハロゲン化物を適切に吸収することができる。
つまり、細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上とすることで、ハロゲン化物の吸収を適切に行うことができると共に、使用に適した吸収容量であることを判定することができる(ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行うことができる)。
以下、細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上とした場合に、ハロゲン化物の吸収を適切に行うことができる状況を図5から図8に基づいて説明する。ハロゲン化物の吸収が適切に行えることは、例えば、アルミン酸ナトリウムの残存率が低くなる状況(ハロゲン化物を吸収してナトリウム成分が有効に使用されている状況)により説明してある。
図5、図6には、原料(アルミン酸ソーダ)に混合する気孔形成剤や成型助剤の種類や混合割合が異なる原料剤を用いた8種類のハロゲン化物吸収剤(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)の細孔分布を示してある。
また、図7には8種類のハロゲン化物吸収剤(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)におけるアルミン酸ナトリウムの残存率(ハロゲン化物を吸収してナトリウム成分が有効に使用されている割合)と細孔指標R(ml/g)との関係、図8にはハロゲン化物吸収剤のハロゲン化物の吸収容量と細孔指標R(ml/g)との関係を示してある。
図5、図6に示すように、原料(アルミン酸ソーダ)に混合する気孔形成剤や成型助剤の種類や混合割合が異なる原料剤を用いることにより、細孔容量の細孔径に対する分布が異なる8種類のハロゲン化物吸収剤を得た。
8種類のハロゲン化物吸収剤(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)に対し、細孔の容積(ml/g)であるVP1、VP2、VP3を求め、{(VP2・VP3)/VP1}の関係から、細孔指標R(ml/g)を導いた。
そして、各ハロゲン化物吸収剤についてのアルミン酸ナトリウムの残存率(ハロゲン化物を吸収してナトリウム成分が有効に使用されている割合)を求め、細孔指標R(ml/g)との関係を求めた。アルミン酸ナトリウムの残存率と細孔指標R(ml/g)とは、図7に示す関係になることが確認された。
即ち、図7に示すように、細孔指標R(ml/g)が大きくなるにつれアルミン酸ナトリウムの残存率が小さくなっており、個々のハロゲン化物吸収剤によりばらつきはあるが、概ね図の斜線で示した範囲に入っていることが確かめられた。その範囲で見ると、細孔指標R(ml/g)が0.10(ml/g)以上の範囲で、アルミン酸ナトリウムの残存率が所定の値Swt%以下とされ、ハロゲン化物を吸収してナトリウム成分が有効に使用されている割合が高くなっている{(100−S)wt%}ことが確認された。
例えば、細孔指標R(ml/g)が0.10(ml/g)以上のハロゲン化物吸収剤である(c)(f)(d)(e)のハロゲン化物吸収剤が、アルミン酸ナトリウムの残存率が所定の値Swt%以下とされていることが確認された。ハロゲン化物吸収剤(h)のように細孔指標R(ml/g)が0.10(ml/g)以下であってもアルミン酸ナトリウムの残存率が所定の値Swt%以下となる例外があるが、細孔指標R(ml/g)が0.10(ml/g)以上あればアルミン酸ナトリウムの残存率が所定の値Swt%以下とされている。
そして、図8に示すように、アルミン酸ナトリウムが理論上で全て反応した際のハロゲン化物の吸収容量を100とした場合(図中点線で示してある)、細孔指標R(ml/g)が0.10(ml/g)以上の時に、ハロゲン化物の吸収容量が、例えば、95以上が維持されることが確認された。
上述した本発明のハロゲン化物吸収材は、径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし、径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、{(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、細孔指標R(ml/g)を0.10(ml/g)以上としている。これにより、アルミン酸ナトリウムの残存率を所定の値Swt%以下にして、ハロゲン化物の吸収容量を高い値に維持している。
このため、細孔指標R(ml/g)に基づいて、ハロゲン化物吸収材が使用に適した吸収容量であることを判定することができ、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を、細孔容量の分布(細孔容量の細孔径に対する分布)に基づいて適切に行うことができる。そして、細孔の状況を分析することで、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能を推測することができる。
従って、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行うことができ、ハロゲン化物吸収剤の細孔の状況を分析することで、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能を推測することができる。即ち、上述したハロゲン化物吸収剤は、細孔の容積(ml/g)の分布が適切に定義されるので、ハロゲン化物が吸収されて吸収剤の構成粒子に体積膨張が生じても、ハロゲン化物を適切に吸収することが可能になり、細孔の容積(ml/g)に基づいて計算される細孔指標R(ml/g)を基準にして、ハロゲン化物吸収剤の吸収性能の評価を適切に行うことが可能になる。
本発明は、ハロゲン化物吸収剤を用いた各種のガス処理やガス浄化の産業分野で利用することができる。
1 アルミン酸ナトリウムの粉体(アルミン酸ソーダ)
2 可塑剤
3 気孔形成剤
4 強度補強添加剤
11 粒子
12 隙間
13 細孔

Claims (3)

  1. ハロゲン化物を除去可能なアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤であって、
    径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、
    径が0.1μm以上で1μm未満の細孔の容積(ml/g)をVP2とし、
    径が1μm以上で10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、
    {(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、
    前記細孔指標R(ml/g)の値を0.10(ml/g)以上とした
    ことを特徴とするハロゲン化物吸収剤。
  2. ハロゲン化物を除去可能なアルミン酸ナトリウムを含有する多孔質化したハロゲン化物吸収剤を評価する評価方法であって、
    細孔容量の細孔径に対する分布から細孔指標を定義し、
    前記細孔指標の値に基づいて、使用に適した吸収容量であることを判定する
    ことを特徴とするハロゲン化物吸収剤の評価方法。
  3. 請求項2に記載のハロゲン化物吸収剤の評価方法において、
    前記細孔指標を定義するに際し、
    径が0.01μm以上の細孔の累計容積(ml/g)をVP1とし、
    径が0.1μmから1μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP2とし、
    径が1μmを超えて10μmまでの細孔の容積(ml/g)をVP3として、
    {(VP2・VP3)/VP1}を細孔指標R(ml/g)と定義し、
    前記細孔指標R(ml/g)の値が0.10(ml/g)以上の場合に、使用に適した吸収容量であることを判定する
    ことを特徴とするハロゲン化物吸収剤の評価方法。


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