以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態は、適宜組み合わせることが可能である。
図1は、核燃料貯蔵設備の側断面図である。図2は、核燃料貯蔵設備の平面図である。
核燃料貯蔵設備は、原子力発電プラントにおいて原子炉にて使用された使用済みの燃料集合体や、未使用の燃料集合体を収納した核燃料貯蔵用ラック1を、貯蔵ピット2内の水中に配置することで燃料集合体を貯蔵する。燃料集合体は、複数の燃料棒である核燃料が束ねられた集合体である。したがって、燃料集合体は、いわゆる核燃料である。貯蔵ピット2は、燃料プールとも言われ、矩形状で上部が開放されたコンクリート躯体のプールとして構成されている。貯蔵ピット2は、底の床面2aおよび周囲の側壁の縦壁面2bを有している。この貯蔵ピット2において、床面2aに核燃料貯蔵用ラック1が配置される。核燃料貯蔵用ラック1は、上部が開放されて格子状に区画された複数の燃料収納部1aが設けられている。または、核燃料貯蔵用ラック1は、上部が開放されて格子状に区画された複数の燃料収納部1aに、筒型のセル1d(図3および図4参照)が挿入されている。そして、貯蔵ピット2は、内部に水Wが貯留された状態で、核燃料貯蔵用ラック1の各燃料収納部1aまたは各セル1dに燃料集合体が立てられた状態で収納されて貯蔵される。
貯蔵ピット2は、その床面2a側および縦壁面2b側のコンクリート面にライニング板10(図3および図4参照)が張り付けられている。ライニング板10は、厚さ4mm乃至6mm程度のオーステナイト系ステンレス鋼からなり、貯蔵ピット2の床面2aおよび縦壁面2bの内面を保護するものである。
核燃料貯蔵用ラック1は、各燃料収納部1aを有するラック本体1bの底面に支持脚1cが床面2aに向けて突出して設けられており、核燃料貯蔵用ラック1は、複数(例えば、核燃料貯蔵用ラック1の四隅)設けられた支持脚1cによりラック本体1bが床面2aに自立して支持されている。支持脚1cは、床面2aに対して摺動することが可能に設けられていることで、床面2aに対して相対移動が可能とされた、いわゆるフリースタンディング方式のラックである。そして、核燃料貯蔵用ラック1は、ラック本体1bが直方体形状の外形をなし、貯蔵ピット2の周りを矩形状に囲む4面の縦壁面2bから距離Lを隔てた状態で床面2aに複数(図2では12個)が矩形状に整列して配置されている。また、各核燃料貯蔵用ラック1は、互いのラック本体1bが所定間隔を空けて設けられている。
ところで、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1は、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。その反面、地震レベルが大きくなるほど滑り量が大きくなるため、貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近が課題となっている。核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット2の縦壁面2bに衝突すると、縦壁面2bのライニング板10が損傷して当該縦壁面2bの保護ができなくなる。また、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット2の縦壁面2bに接近すると、貯蔵ピット2の壁の向こう側に存在する通路などに核燃料が近くなり放射線の影響が生じるおそれがある。さらに、核燃料貯蔵用ラック1が貯蔵ピット2の縦壁面2bに接近した後、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事が必要である。一方、貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を回避するために、核燃料貯蔵用ラック1の滑り量分を考慮して縦壁面2bからラック本体1bの距離Lを大きくすると、核燃料の貯蔵スペースが貯蔵ピット2の内側に向かって狭くなるため貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数が少なくなる課題が生じる。以下の各実施形態では、この課題を解決するための核燃料貯蔵用ラック1を提供する。
[実施形態1]
図3は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の要部を示す拡大断面図である。図4は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の要部を示す拡大断面図であって、図3の矢印A方向から視た断面図である。図5は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の要部を示す拡大平面図である。図6は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の要部を示す拡大平面図である。
本実施形態の核燃料貯蔵設備は、核燃料貯蔵用ラック1の床面2a上での移動に対して当該移動に抵抗を付与するように、核燃料貯蔵用ラック1および床面2aに対して相互に係合し得る凹凸部11を備えるものである。具体的に、凹凸部11は、図3〜図6に示すように、核燃料貯蔵用ラック1において床面2aに接触する支持脚1c側と、床面2a側とに設けられている。
核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面において、凹凸部11は、支持脚1cの底面から床面2aに向けて突出する凸部11Aを有する。
ここで、核燃料貯蔵用ラック1は、燃料収納部1aの底を構成する基盤1eが設けられ、当該基盤1eの底面に支持脚1cが取り付けられている。支持脚1cは、内部に空間1fを有する矩形の箱状若しくは円筒状に形成され、一側部の一部を切欠いて空間1fに通じる開口1gが設けられている。また、核燃料貯蔵用ラック1は、基盤1eにおいて、支持脚1cの空間1fに通じる開口穴1hが貫通して形成されている。開口穴1hは、セル1dの筒内に通じて配置される。したがって、セル1dは、基盤1eの開口穴1hから支持脚1cの開口1gを通じる通水路1mを介して核燃料貯蔵用ラック1の内部に通じている。この通水路1mにより、セル1dの筒内に収納された燃料集合体の崩壊熱を核燃料貯蔵用ラック1の外部に除去する。なお、基盤1eは、支持脚1cが設けられていない部分では、セル1dの筒内に通じて開口穴1hが配置される。したがって、セル1dは、通水路1mにより基盤1eの開口穴1hを介して燃料収納部1aの外部に通じる。この結果、通水路1mを流れる水によりセル1dの筒内に収納された燃料集合体の崩壊熱を核燃料貯蔵用ラック1の外部に効率的に除去できる。また、隣接するセル1dの間には、隙間が形成され、燃料集合体の高速中性子を熱中性子に減衰するに必要な水(厳密には水に含まれる水素)の層であるウォーターギャップGが形成されている。
凸部11Aは、上記支持脚1cの下端に配置されている。凸部11Aは、球状に形成されている。支持脚1cの下端は、凸部11Aの球状の上部が嵌まる凹み1iが形成されている。また、支持脚1cの下端には、凸部11Aを支持する受部1jが埋め込みボルトまたは溶接などにより取り付けられている。受部1jは、凸部11Aの球状を下から支持し、凸部11Aの球状の下部を下方に突出させる開口1kが形成されている。このため、球状の凸部11Aは、支持脚1cの下端と受部1jとの間に挟まれ、支持脚1cの凹み1iと受部1jの開口1kとに転動可能に支持されつつ球状の下部を下方に突出して設けられる。また、図には明示しないが、開口1kは、その内壁面が上方に向くように傾斜面が形成されていてもよい。この場合、凸部11Aは、受部1jと開口1kの傾斜面に接触する。これによると、凸部11Aの球状は、転動可能であり、かつ常に、受部1jにて保持することができる。なお、球状の凸部11Aは、支持脚1cの下端と受部1jとの間に挟まれ、支持脚1cの凹み1iと受部1jの開口1kとに固定して支持されつつ球状の下部を下方に突出して設けられていてもよい。固定して支持される場合、凸部11Aは、球状の下部(一部)のみとして形成されて支持脚1cの下端に取り付けられていてもよい。
一方、床面2a側において、凹凸部11は、床面2aに設けられた凹部11Bを有する。凹部11Bは、凸部11Aの球状の下部に係合するように、図5および図6の平面図に示すように上から見た開口の形状が円形に形成されている。凹部11Bは、床面2aに複数設けられている。複数の凹部11Bは、図5に示すように、直交する複数の基準線S1がなす正方形の交差部において均等に配置されている。または、図には明示しないが、複数の凹部11Bは、直交する複数の基準線S1がなす長方形の交差部において配置されていてもよい。また、複数の凹部11Bは、図6に示すように、3本の基準線S2が交差する三角形の交差部において均等に配置されている。この凹部11Bは、図3および図4に示すように、貯蔵ピット2の床面2a側のコンクリート面に配置されたライニング板10の上に配置された板材12に形成されている。すなわち、板材12は、凹部11Bをなすパンチングプレートとして形成され、床面2aを構成している。板材12は、例えば、6mm以上好ましくは10mm以上のオーステナイト系ステンレス鋼からなる。図3および図4では、凹部11Bは、板材12を貫通して設けられているが、貫通していなくてもよい。このように、凹部11Bをなす板材12が床面2aを構成することで、貯蔵ピット2の底のコンクリートや、このコンクリートを覆うライニング板10を、板材12により保護することができる。また、図には明示しないが、凹部11Bは、円形に限らず、楕円形や多角形に形成されていてもよい。また、凹部11Bは、凸部11Aの球状の下部に1個、はたはこれを取り巻くように複数個を配置してもよい。また、凹部11Bは、複数個配置されている場合に、隣接する相互の開口径が同一であっても異なって形成されていてもよい。
図7は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の動作を示す拡大断面図である。
図7において、凸部11Aは、球状の直径Dが、円形の凹部11Bの穴径Dhよりも小さく形成されている。凸部11Aは、凸部11Aおよび収納されている燃料集合体を含む核燃料貯蔵用ラック1の位置エネルギーUにより凹部11Bに深さHの分だけ嵌まるように係合して配置される。このような状態で核燃料貯蔵用ラック1は、床面2aに載置される。
この状態において、地震力により核燃料貯蔵用ラック1に水平方向に運動エネルギーKが生じる。すると、運動エネルギーKが位置エネルギーUよりも大きい場合、核燃料貯蔵用ラック1の凸部11Aは、現在嵌まっている凹部11Bから外れるように、深さHの分上昇した後、床面2aを摺動して他の凹部11B’に嵌まるまで変位する。他の凹部11B’に到達しても位置エネルギーUよりも大きい残エネルギーEがまだ運動エネルギーKに存在する場合、核燃料貯蔵用ラック1の凸部11Aは、現在嵌まっている他の凹部11B’から外れるように、深さHの分上昇した後、床面2aを摺動してさらに他の凹部11B”に嵌まるまで変位する。運動エネルギーKや残エネルギーEが位置エネルギーUよりも小さい場合、核燃料貯蔵用ラック1の凸部11Aは、現在嵌まっている凹部11Bから外れない。なお、運動エネルギーKや残エネルギーEが位置エネルギーUよりも大きくても、現在嵌まっている凹部11Bから外れるだけで他の凹部11B’に到達しない場合もある。
このように、凹凸部11は、凸部11Aと凹部11Bとの係合によって、運動エネルギーKが生じた場合に、凸部11Aが現在嵌まっている凹部11Bから外れて床面2aに乗り上がろうとするに必要な消費エネルギーCにより運動エネルギーKを費やす。そして、運動エネルギーKに残エネルギーEが残存していても、凸部11Aが他の凹部11B’から外れて床面2aに乗り上がろうとするに必要な消費エネルギーCにより残エネルギーEを費やす。即ち、凹凸部11は、核燃料貯蔵用ラック1に生じる運動エネルギーKを消費エネルギーCにより位置エネルギーUに変換することで、運動エネルギーKを消費できる。この結果、本実施形態の核燃料貯蔵設備は、運動エネルギーKを消費させて、核燃料貯蔵用ラック1の床面2a上での変位(移動量)を抑制することができる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。また、核燃料貯蔵用ラック1の床面2a上での変位(移動量)を抑制することで、貯蔵ピット2の縦壁面2bに核燃料貯蔵用ラック1を近づけて配置することはできるため、貯蔵ピット2への燃料集合体の貯蔵容量を増すことができ、または貯蔵ピット2の小型化を図ることができる。なお、核燃料貯蔵用ラック1の構造強度は、凹凸部11の運動エネルギーKを位置エネルギーUに変換するために必要な消費エネルギーCに耐えられるように設計する。
なお、凸部11Aが支持脚1cの下端に固定されている場合、凸部11Aが凹部11Bから外れて床面2aに乗り上がろうとするに必要な消費エネルギーCを増加させることができる。そのため、運動エネルギーKをより多く消費させることができる。
また、凸部11Aが支持脚1cの下端に転動可能に設けられている場合、凸部11Aが凹部11Bから外れて床面2aに乗り上がろうとするに必要な消費エネルギーCが減少する。そのため、消費エネルギーCに耐える核燃料貯蔵用ラック1の構造強度を抑えることができる。
なお、凸部11Aの球状の直径Dと、凹部11Bの円形の穴径Dhとの大小関係を調整することで、凸部11Aが凹部11Bに嵌まる深さHを調整することができる。これにより、凸部11Aが凹部11Bから外れて床面2aに乗り上がろうとするに必要な消費エネルギーCを調整することができる。例えば、凸部11Aの球状の直径Dに対して凹部11Bの円形の穴径Dhを近づけるまたは大きくすることで深さHを深くするように調整した場合、運動エネルギーKをより多く消費させることができる。凸部11Aの球状の直径Dに対して凹部11Bの円形の穴径Dhを大きくすると、深さHは板材12の厚さとなり、凸部11Aが板材12を貫通してその下の構造物(例えば、ライニング板10)に当接して支持される。一方、凸部11Aの球状の直径Dに対して凹部11Bの円形の穴径Dhをより小さくすることで深さHを浅くするように調整した場合、消費エネルギーCに耐える核燃料貯蔵用ラック1の構造強度を抑えることができる。
凸部11Aを球状または球状の一部とし、凹部11Bを上から見た開口の形状を円形に形成することにより、相互の係合において水平方向のあらゆる方向において均等に位置エネルギーの消費を行うことができる。この結果、水平方向のあらゆる外力に対して同様に地震エネルギーを吸収できる。
図8は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大断面図である。
図8において、凸部11Aは、図7と同様の構成である。凹部11Bは、その開口縁に面取11Baが形成されている。このような構成としても、図7に示す構成と同様の作用を生じさせることができる。面取11Baが形成されていない凹部11Bに凸部11Aを載置すると、凸部11Aは凹部11B上面の鋭角(具体的には直角をなす鋭角)との接触により凹み傷を生じさせる恐れがあるが、凹部11Bに面取11Baを設けることにより、この事態を回避することができる。また、面取11Baの傾斜角度を緩やかにするとか急激な傾斜角度にするなどして、面取11Baの傾斜角度を適宜に調整することで、核燃料貯蔵用ラック1に与える衝撃力の強弱を調整することができる。凹部11Bは、凸部11Aの直径Dに対し、円形の凹部11Bの穴径Dhをより小さくしても凸部11Aが凹部11Bに嵌まる深さHを深くすることができることから、凹凸部の運動エネルギーKを多く消費させることができる。また、凸部11Aを面取11Baは、凸部11Aを角ではなく面で支承することから、面取りを行わない場合に比し、凸部11Aに、リング状の鋭角な傷(リング状の鋭角な窪み傷)の発生を回避することができる。また、面取11Baが形成されていることで、凹部11Bが凸部11Aを受け入れやすくなり、かつ面取11Baが凸部11Aの外形に沿って配置されて凸部11Aを安定して保持することができる。
面取11Baは、凹部11Bの開口縁に形成することで得られるが、凹部11Bの穴径Dhを下側に向かって漸次減少させるように凹部11Bの内面を下方に窄めたすり鉢状の円錐形状に形成することで得ることができ、同様の作用を生じさせることができる。
図9は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大平面図である。図10は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大断面図である。
図9および図10に示すように、凹部11Bは、開口縁に、凹部11Bの円形を中心とする放射方向に延在して周方向に複数配列したV形の戻り溝11Cが設けられている。戻り溝11Cは、床面2aに形成されて凹部11Bの開口に連通して設けられている。戻り溝11Cは、凹部11Bの中心に向かって漸次深さが深く形成されている。戻り溝11Cは、図9に示すように放射方向の長さが異なるものを周方向で交互に配列しているが、放射方向の長さが同じものを周方向に複数配列してもよい。この構成により、戻り溝11Cは、凸部11Aが凹部11Bから外れて床面2aを乗り越えても、凸部11Aを凹部11Bに戻りやすく、または隣接する凹部11Bに係合するように案内する。かつ、戻り溝11Cは、凸部11Aが戻り溝11Cを横切る事象が発生した際に、凸部11Aの運動エネルギーの一部を位置エネルギーに変換するため、凸部11Aの挙動を抑制する効果も期待できる。戻り溝11Cは、凹部11Bに近づくにつれて溝幅を広くV形に広くしたほうが、凸部11Aを凹部11Bに戻しやすくなる。戻り溝11Cは、一例として、深さ方向及び平面の長手方向をV形状のものを示すが、これに限るものではなく、U形状にするなど、類似の形状とすることがきる。なお、図9および図10に示す凹部11Bは、面取11Baが形成されているが、面取11Baはなくてもよい。また、面取11Baと戻り溝11Cは、必ずしも同じ深さに限定するものではない。また、戻り溝11Cは、隣接する凹部11Bを繋ぐように設けられていてもよく、このようにすることで、凸部11Aが戻り溝11Cを横切る事象が発生した際に凸部11Aの運動エネルギーの一部を位置エネルギーに変換し凸部11Aの挙動を抑制する効果が期待でき、凸部11Aが戻り溝11Cに沿う事象が発生した際に凸部11Aを隣接する凹部11Bに案内する。また、戻り溝11Cは、すり鉢状の凹部11Bに適宜組み合わせてもよい。また、戻り溝11Cは、図9に示すように上から見た開口の形状が円形に形成されている凹部11Bに限らず、あらゆる開口の形状の凹部11Bに設けられていてもよい。
図11は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大平面図である。
図11に示すように、凹部11Bは、開口縁に、凹部11Bの円形を中心とする放射方向に延在しつつ螺旋状に湾曲して周方向に複数配列した戻り溝11C’が設けられている。戻り溝11C’は、床面2aに形成されて凹部11Bの開口に連通して設けられている。戻り溝11C’は、凹部11Bから遠ざかる程、幅が細くなる先細りの曲線(先細りのカール状)の溝である。戻り溝11C’は、凹部11Bの中心に向かって漸次深さが深く形成されている。戻り溝11C’は、図11に示すように放射方向の長さが異同じものを周方向で複数配列しているが、放射方向の長さが異なるものを周方向に交互に配列してもよい。この構成により、戻り溝11C’は、凸部11Aが凹部11Bから外れて床面2aを乗り越えても、凸部11Aを凹部11Bに戻りやすく、または隣接する凹部11Bに係合するように案内する。かつ、戻り溝11Cは、凸部11Aが戻り溝11C’を横切る事象が発生した際に、凸部11Aの運動エネルギーの一部を位置エネルギーに変換するため、凸部11Aの挙動を抑制する効果も期待できる。戻り溝11C’は、凹部11Bに近づくにつれて溝幅を広くV形に広くしたほうが、凸部11Aを凹部11Bに戻しやすくなる。戻り溝11C’は、一例として、深さ方向及び平面の長手方向をV形状の湾曲としたものがあるが、これに限るものではなく、U形状の湾曲にするなど、類似の形状とすることがきる。なお、図11に示す凹部11Bは、面取11Baが形成されているが、面取11Baはなくてもよい。また、面取11Baと戻り溝11C’は、必ずしも同じ深さに限定するものではない。また、戻り溝11C’は、隣接する凹部11Bを繋ぐように設けられていてもよく、このようにすることで、凸部11Aが戻り溝11C’を横切る事象が発生した際に凸部11Aの運動エネルギーの一部を位置エネルギーに変換し凸部11Aの挙動を抑制する効果が期待でき、凸部11Aが戻り溝11C’に沿う事象が発生した際に凸部11Aを隣接する凹部11Bに案内する。また、戻り溝11C’は、すり鉢状の凹部11Bに適宜組み合わせてもよい。また、戻り溝11C’は、図11に示すように上から見た開口の形状が円形に形成されている凹部11Bに限らず、あらゆる開口の形状の凹部11Bに設けられていてもよい。
図12は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大平面図である。図13は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大断面図である。
図12および図13に示すように、凹部11Bは、その周り囲むように多段の平坦面11Da,11Db,11Dcを有する穴が設けられている。平坦面11Da,11Db,11Dcは、凹部11Bから遠ざかるに従って床面2aに近づくように相互間に段差11Ea,11Eb,11Ecが形成されている。すなわち、凹部11Bは、その周りに凹部11Bの開口よりも高くなる段差11Ea,11Eb,11Ec、および段差11Ea,11Eb,11Ecと凹部11Bとの間に形成された平坦面11Da,11Db,11Dcが設けられている。図12および図13では、段差11Ea,11Eb,11Ec、および平坦面11Da,11Db,11Dcが床面2aよりも低い位置に設けられている。各段差11Ea,11Eb,11Ecは面取による傾斜として形成されている。各段差11Ea,11Eb,11Ecは、地震などの外力に対し、各々において、凸部11Aの運動エネルギーを消費する。即ち、各段差11Ea,11Eb,11Ecを駆け上がる際に、運動エネルギーを位置エネルギーに変換することで、運動エネルギーを消費する。各段差11Ea,11Eb,11Ecの高さを低くさせたうえで平坦面を広くし、かつ、面取による傾斜を緩やかにすれば運動エネルギーを緩やかに位置エネルギーに変換させることができ、段差11Ea,11Eb,11Ecを大きくしたり面取を急斜面にすれば、運動エネルギーを速やかに位置エネルギーへ変換させることができる。各段差11Ea,11Eb,11Ecは、凸部11Aを凹部11Bに戻しやすくする。また、段差11Ea,11Eb,11Ecおよび平坦面11Da,11Db,11Dcの数、平坦面11Da,11Db,11Dcの広さ(幅)、段差11Ea,11Eb,11Ec高さ、および段差11Ea,11Eb,11Ecの面取の傾斜角度は、適宜に選択することができる。なお、図12および図13に示す形態と、図9〜図11に示す形態を組み合わせることで、双方の特徴を併せ持たせることもできる。また、段差11Ea,11Eb,11Ecおよび平坦面11Da,11Db,11Dcは、複数に限らず1個でもよい。また、平坦面11Da,11Db,11Dcに上述した戻り溝11C,11C’が組み合わせて設けられていてもよい。このように、図12および図13における多段式の凹部11Bは、地震などの外力に対して、凸部11Aへの衝撃力を緩和する。なお、各段差11Ea,11Eb,11Ecにおける平坦面11Da,11Db,11Dcは、凹部11Bの中心方向に向って、傾斜させてもよい。運動エネルギーの吸収は、凸部11Aの径と凹部11Bの穴径との相関でコントロールすることができる。例えば、凸部11Aの径よりも凹部11Bの穴径を大きくして位置エネルギーの消費を大きくすれば、地震などの外力による運動エネルギーを多く消費するため、甚大な地震エネルギーを吸収することができる。また、凸部11Aの径よりも凹部11Bの穴径を小さくして位置エネルギーの消費を小さくすれば、核燃料貯蔵用ラック1の耐震構造を簡素化することができる。
図14は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大平面図である。図15は、実施形態1に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大断面図である。
図14および図15において、凸部11Aは、図3、図7と同様の構成である。凹部11Bは、凸部11Aの周りを囲むように床面2aから突出して形成された突起により形成されている。図14に示す形態では、凹部11Bは、板材12が、チェッカープレート(縞鋼板)として形成されている。このような構成としても、突起を乗り越える度に、図7に示す構成と同様の作用を生じさせることができる。なお、凹部11Bは、突起が凸部11Aの周りを囲む円形に形成されていたり、多角形状に形成されていたりしてもよい。
なお、上述した図7〜図15に示す形態において、凹凸部11の凸部11Aは、凹部11Bに係合することができればよく、球状や球状の一部の形状に限らず、あらゆる形状であってもよい。好ましくは、凹部11Bがなす形状に合わせた形状がよい。また、凹凸部11の凸部11Aは、球状として多軸の回転軸を中心とする円形の断面形状に形成されて当該軸の廻りに床面2a上で転動可能に設けられている構成を説明したが、ローラ形状やコマ形状のように1軸の回転軸を中心とする円形の断面形状に形成されて当該軸の廻りに床面2a上で転動可能に設けられていてもよい。
また、上述した図7〜図15に示す形態において、凹凸部11は、凸部11Aを核燃料貯蔵用ラック1側に設け、凹部11Bを床面2a側に設けたが、その逆にしてもよい。
[実施形態2]
図16および図17は、実施形態2に係る核燃料貯蔵設備を示す拡大断面図である。
本実施形態の核燃料貯蔵設備は、図16および図17に示すように、貯蔵ピット2のコンクリートの内面を覆うライニング板10の外側に緩衝材13が配置されて、緩衝材13を覆うように板材12が配置されて床面2aが構成されている。板材12は、例えば、6mm以上好ましくは10mm以上のオーステナイト系ステンレス鋼からなる。
緩衝材13は、衝撃を吸収するためのもので、床面2aに沿って配置されている。緩衝材13は、例えば、コイルばねにより構成できる。コイルばねは、線状の材料を螺旋状に巻いたもので、本実施形態では、床面2aに沿って配置された複数個の圧縮コイルばねを使用する。適宜な数のコイルばねを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。コイルばねは、複数巻としてもよい。コイルばねの材料は、ステンレス鋼が推奨される。
緩衝材13は、例えば、皿ばねにより構成できる。皿ばねは、底のない皿のような形状にしたもので、円錐状の上側部分と下側部分に荷重を加え、高さを低くする方向にたわませることでばね作用が得られる。皿ばねは、形状の寸法比(径や高さ)を変えることで様々なばね特性が得られる。複数の皿ばねを積層して組み合せることにより、さらに様々なばね特性を得ることができ、全体の高さも変えることもできる。適宜な数の皿ばねを貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。皿ばねの材料は、ステンレス鋼が推奨される。
緩衝材13は、例えば、板バネにより構成できる。板ばねは、板の曲げ変形を利用する板材を用いるもので、適切な個数の板ばねを積層して組み合せることにより、様々なばね特性を得ることができ、全体の高さも変えることもできる。適宜な数の板ばねを貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。板ばねの形状、重ね枚数、天地方向、両端部形状、および設置個数は適宜である。板ばねの材料は、ステンレス鋼が推奨される。
緩衝材13は、例えば、メッシュばねにより構成できる、メッシュばねは、細い線材を帯状にメリヤス編みにて編み込んだもので、メッシュスプリングとも言う。メッシュばねは、ばね特性が大きなヒステリシスを持っていることから振動吸収の性能をもつ。適宜な数のメッシュばねを貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。メッシュばねの材料は、ステンレス鋼または銅合金が推奨される。
緩衝材13は、例えば、竹の子ばねにより構成できる。竹の子ばねは、長方形断面の板を円錐状に巻いた竹の子のような形状をしたもので、バンブースプリングとも言う。竹の子ばねは、自身の占める空間容積に対して大きな荷重、吸収エネルギーを得ることができる。本実施形態では、床面2aに沿って配置された複数個の竹の子ばねを使用する。適宜な数の竹の子ばねを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。竹の子ばねの材料は、ステンレス鋼が推奨される。
緩衝材13は、例えば、円錐ばねにより構成できる。円錐ばねは、線状の材料を円錐状に巻いたものである。本実施形態では、床面2aに沿って配置された複数個の円錐ばねを使用する。適宜な数の円錐ばねを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。円錐ばねの材料は、ステンレス鋼が推奨される。
緩衝材13は、例えば、非金属ばねにより構成できる。非金属ばねは、プラスチックやゴムなどの高分子材料を、ばね材料として利用するもので、発砲させずに、自ら持っている弾力を利用する方法と、発泡させた発泡体として用いる方法がある。発泡は、連泡と短泡の2種類が考えられる。好ましくは連泡とする。プラスチック材料としては、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced Plastics)が用いられる。繊維強化プラスチックは、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass-Fiber-Reinforced Plastics)と炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon-Fiber-Reinforced Plastics)を用いる。炭素繊維強化プラスチックは、板ばねとして構成することもできる。板ばねとして利用する際は、好ましくは重ね板ばねとする。無機材料のセラミックスもばねとして利用できる。適宜な数の非金属ばねを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、鉄鋼または非鉄金属からなる蛇腹様に板ばねが重ね折りされたばね、あるいは、筒状の周りが軸方向で重ね折りされたベローズ様のばねにより構成できる。かかるばねを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、発泡金属により構成できる。発泡金属は、金属をガスで発泡させたものである。適宜な数の発泡金属を床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、発泡セラミックにより構成できる。発泡セラミックは、セラミックを発泡させたものである。適宜な厚さの発泡セラミックを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、気泡コンクリートにより構成できる。気泡コンクリートは、コンクリートを練り混ぜるときに、セメント、砂、砂利、水のほかに発泡剤を入れることでコンクリートの中に小さな気泡を混入させ、内部に多数の気泡を閉じこめ、多孔質化させたものである。適宜な厚さの気泡コンクリートを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、ポーラスコンクリートにより構成できる。ポーラスコンクリートは、コンクリートの細骨材量を減らして多孔質化させたものである。適宜な厚さのポーラスコンクリートを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、グラスウールマットにより構成できる。グラスウールマットは、ガラス繊維でできた、綿状の素材を用いてマット状に成形したものである。適宜な厚さのグラスウールマットを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、ゴムクッションにより構成できる。ゴムクッションは、天然ゴムまたはシリコンラバーなどの有機系材料をマット状に成形したもので、ラバークッションとも言う。適宜な厚さまたは数のゴムクッションを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
緩衝材13は、例えば、流動性のある有機系材料により構成できる。有機系材料は、例えば、シリコンコンパウンドからなり、これを貯蔵ピット2の床のライニング板10の上に流し込んで固めたのち、板材12を敷設する。有機系材料は、発泡させずに用いる方法と、発泡体させて用いる方法が考えられる。
緩衝材13は、例えば、コルク材などの木材により構成できる。木材は、コルクまたはバルサなどの柔らかな木材をチップ状、ペレット状またはマット状に成形したもので、適宜な厚さまたは数の木材クッションを床面2aに沿って配置し、貯蔵ピット2の床のライニング板10と板材12の間に敷設する。
ここで、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1は、高い耐震性を有するが、地震動を受けて摺動する際、移動方向となる一端側が変位せず、反対の他端側が一端側を中心に回転するように傾斜して浮き上がるロッキング事象が発生する。ロッキング事象が発生すると、浮き上がった他端側が床面に着底する際に床側に大きな衝撃力を付与するため、貯蔵ピット2の床や核燃料貯蔵用ラック1が損傷するおそれがある。
本実施形態によれば、ロッキング事象が発生して浮き上がった核燃料貯蔵用ラック1が床面2aに着底する際の衝撃力を板材12および緩衝材13により吸収することができ、貯蔵ピット2の床や核燃料貯蔵用ラック1が損傷する事態を防ぐことができる。
また、本実施形態では、図17に示すように、貯蔵ピット2の縦壁面2bにおいて、床面2aから少なくとも核燃料貯蔵用ラック1の高さTに至りライニング板10の外側に上述した緩衝材13が配置され、緩衝材13を覆う板材12が配置されて縦壁面2bが構成される。
したがって、本実施形態によれば、ロッキング事象が発生して浮き上がった核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに衝突する際の衝撃力を板材12および緩衝材13により吸収することができ、貯蔵ピット2の縦壁や核燃料貯蔵用ラック1が損傷する事態を防ぐことができる。
また、本実施形態では、少なくとも板材12および緩衝材13を配置した部分のライニング板10について、厚さを厚く構成する。ライニング板10の厚さは、6mmから10mm程度とすることが好ましいが、これよりも厚くしても差し支えない。
したがって、本実施形態によれば、少なくとも板材12および緩衝材13を配置した部分のライニング板10について、厚さを厚く構成することで、核燃料貯蔵用ラック1が衝突する際の衝撃力をより吸収することができ、ライニング板10自体や、貯蔵ピット2が損傷する事態を防ぐことができる。
[実施形態3]
図18は、実施形態3に係る核燃料貯蔵設備を示す拡大断面図である。図19は、実施形態3に係る核燃料貯蔵設備の動作を示す拡大断面図である。
本実施形態の核燃料貯蔵設備は、核燃料貯蔵用ラック1の縦壁面2bから遠ざかる方向への移動に対して縦壁面2bに接近する方向への移動の抵抗が大きくなるように、核燃料貯蔵用ラック1および床面2aに対して相互に係合し得る凹凸部3を備えるものである。また、核燃料貯蔵用ラック1および床面2aに対して相互に係合し得る複数の連続した凹凸部3を備える場合もある。具体的に、凹凸部3は、核燃料貯蔵用ラック1において床面2aに接触する支持脚1c側と、床面2a側とに設けられている。
床面2aにおいて、凹凸部3は、直立する(鉛直方向に立設する)立面3Aaと傾斜面3Abとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成された凹溝3Aを有する。凹溝3Aは、立面3Aaが縦壁面2bから遠ざかる側に向いて設けられ、傾斜面3Abが縦壁面2bから遠ざかる方向で立面3Aaの下端から漸次上方に傾斜して設けられている。この凹溝3Aは、縦壁面2bに対して接近および遠ざかる方向に複数並列して設けられている。また、各凹溝3Aは、東西南北である水平方向の何れの方向からの外力にも対応できるよう、床面2aの周囲で4面にて構成される各縦壁面2bに沿って配置されて各縦壁面2b間の角の位置で屈曲して形成され、各縦壁面2bに対して接近および遠ざかる方向に複数並列して設けられており、貯蔵ピット2の周囲に沿って、連続して設けられている。凹溝3Aは、縦壁面2bに対して核燃料貯蔵用ラック1を配置する距離Lの位置から縦壁面2bまでの間に少なくとも設けられている。床面2aは、上述した実施形態1のようにライニング板10の上に配置された板材12や、実施形態2の板材12により構成することができる。
核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面において、凹凸部3は、直立する(鉛直方向に立設する)立面3Baと傾斜面3Bbとが組み合わされて形成された凹溝3Bを有する。凹溝3Bは、床面2aに形成された凹溝3Aと水平面を基準に上下反転して対称に形成されており、立面3Baが縦壁面2bから遠ざかる側に向いて設けられ、傾斜面3Bbが縦壁面2bから遠ざかる方向で立面3Baの上端から漸次下方に傾斜して設けられている。この凹溝3Bは、縦壁面2bに対して接近および遠ざかる方向に複数並列して設けられている。また、凹凸部3は、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面において、掛止部3Cを有する。掛止部3Cは、支持脚1cにおいて最も縦壁面2bに配置された凹溝3Bの立面3Baと、支持脚1cの縦壁面2b側に向く外周面1caとの間で、下方に向けて延在して設けられている。
このような構成において、図18に示すように、床面2aに核燃料貯蔵用ラック1の支持脚1cの底面が互いに面接触しているとき、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が水平方向であって縦壁面2bに対して接近または遠ざかる方向(図18中の矢印方向)に移動することが可能であり、当該水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。一方、図19に示すように、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面において立面3Baと傾斜面3Bbとが組み合わされて形成された凹溝3Bの間の突状の部分が、床面2aにおける立面3Aaと傾斜面3Abとが組み合わされて形成された凹溝3Aに落ち込んで嵌まり、これと共に核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の掛止部3Cも凹溝3Aに落ち込み嵌まる。すると、掛止部3Cをなす外周面1caが凹溝3Aの立面3Aaに対面して係合し、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。なお、図19の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、凹溝3Bの間の突状の部分および掛止部3Cが凹溝3Aの傾斜面3Abに沿って摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
なお、核燃料貯蔵用ラック1同士が衝突する事象については、核燃料貯蔵用ラック1の強度を高めたり、核燃料貯蔵用ラック1の間にダンパーなどの緩衝部材を介在したりすることにより、当該衝突により核燃料貯蔵用ラック1が損傷しないようにする。
ところで、図20から図25は、実施形態3に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す拡大断面図である。
図20に示す変形例では、床面2aの凹溝3Aにおいて、立面3Aaは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向き、水平方向に対して溝開口端側が縦壁面2bに接近する側に若干傾斜して設けられている。立面3Aaは、水平方向に対して溝開口端側が上方に30°以上で立つように傾斜して設けられている。また、傾斜面3Abは、立面3Aaの下端から漸次上方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が上方に10°以下で立面3Aaよりも小さく傾斜して設けられている。このように、凹溝3Aは、立面3Aaと傾斜面3Abとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bにおいて、立面3Baは、縦壁面2bに対して近づく方向に向き、水平方向に対して溝開口端側が縦壁面2bから遠ざかる側に若干傾斜して設けられている。立面3Baは、水平方向に対して溝開口端側が下方に30°以上で立つように傾斜して設けられている。また、傾斜面3Bbは、立面3Baの上端から漸次下方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が下方に10°以下で立面3Baよりも小さく傾斜して設けられている。このように、凹溝3Bは、立面3Baと傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。また、床面2aの凹溝3Aと、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bとは、水平面を基準に上下反転して対称に形成されている。このような構成において、凹溝3Bの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図20中の矢印方向)、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baが床面2aの凹溝3Aの立面3Aaに対面し、凹溝3Bの傾斜面3Bbが床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abに対面するように、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cが、床面2aの凹溝3Aに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Bの立面3Baが凹溝3Aの立面3Aaに対面して係合し、互いの傾斜が急であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図20の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cをなす凹溝3Bの傾斜面3Bbと凹溝3Aの傾斜面3Abとが互いの傾斜が緩いことから、相互に摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
図21に示す変形例では、床面2aの凹溝3Aにおいて、立面3Aaは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向き、傾斜面3Abの下端(凹溝3Aの溝底部)から凹状に湾曲して溝開口端に至り、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向けて切り立つように形成されている。また、傾斜面3Abは、立面3Aaの下端(凹溝3Aの溝底部)から漸次上方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が上方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Aは、立面3Aaと傾斜面3Abとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bにおいて、立面3Baは、縦壁面2bに対して近づく方向に向き、傾斜面3Bbの上端(凹溝3Bの溝底部)から凹状に湾曲して溝開口端に至り、縦壁面2bに対して近づく方向に向けて切り立つように形成されている。また、傾斜面3Bbは、立面3Baの上端(凹溝3Bの溝底部)から漸次下方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が下方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Bは、立面3Baと傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。また、床面2aの凹溝3Aと、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bとは、水平面を基準に上下反転して対称に形成されている。このような構成において、凹溝3Bの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図21中の矢印方向)、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baが床面2aの凹溝3Aの立面3Aaに対面し、凹溝3Bの傾斜面3Bbが床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abに対面するように、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cが、床面2aの凹溝3Aに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Bの立面3Baが凹溝3Aの立面3Aaに対面して係合し、互いが凹状の湾曲面であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図21の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cをなす凹溝3Bの傾斜面3Bbと凹溝3Aの傾斜面3Abとの互いの傾斜が緩いことから、相互に摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
図22に示す変形例では、床面2aの凹溝3Aが、図20に示す変形例と同様に形成されている。すなわち、立面3Aaは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向き、水平方向に対して溝開口端側が縦壁面2bに接近する側に若干傾斜して設けられている。立面3Aaは、水平方向に対して溝開口端側が上方に30°以上で立つように傾斜して設けられている。また、傾斜面3Abは、立面3Aaよりも小さく水平方向に対して溝開口端側が上方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Aは、立面3Aaと傾斜面3Abとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bは、縦壁面2bに対して近づく方向に向く立面3Baと、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向く傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に対称(例えば、水平面に対する相互の角度が45°とされている)に形成されている。このような構成において、凹溝3Bの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図22中の矢印方向)、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baが床面2aの凹溝3Aの立面3Aaに対面し、凹溝3Bの傾斜面3Bbが床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abに対面するように、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cが、床面2aの凹溝3Aに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Bの立面3Baが凹溝3Aの立面3Aaに対面して係合し、床面2aの凹溝3Aの立面3Aaの傾斜が急であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図22の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abの傾斜が緩いことから、掛止部3Cが傾斜面3Abに沿って摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
図23に示す変形例では、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bが、図20に示す変形例と同様に形成されている。すなわち、立面3Baは、縦壁面2bに対して近づく方向に向き、水平方向に対して溝開口端側が縦壁面2bから遠ざかる側に若干傾斜して設けられている。立面3Baは、水平方向に対して溝開口端側が下方に30°以上で立つように傾斜して設けられている。また、傾斜面3Bbは、立面3Baよりも小さく水平方向に対して溝開口端側が下方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Bは、立面3Baと傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、床面2aの凹溝3Aは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向く立面3Aaと、縦壁面2bに対して近づく方向に向く傾斜面3Abとが鉛直面を基準に対称(例えば、水平面に対する相互の角度が45°とされている)に形成されている。このような構成において、凹溝3Aの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図23中の矢印方向)、床面2aにおける凹溝3Aの立面3Aaが核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baに対面し、床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abが凹溝3Bの傾斜面3Bbに対面するように、凹溝3Aの間の突状の各掛止部3Cが、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Aの立面3Aaが凹溝3Bの立面3Baに対面して係合し、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bの立面3Baの傾斜が急であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図23の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bの傾斜面3Bbの傾斜が緩いことから、掛止部3Cが傾斜面3Bbに沿って摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
図24に示す変形例では、床面2aの凹溝3Aが、図21に示す変形例と同様に形成されている。立面3Aaは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向き、傾斜面3Abの下端(凹溝3Aの溝底部)から凹状に湾曲して溝開口端に至り、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向けて切り立つように形成されている。また、傾斜面3Abは、立面3Aaの下端(凹溝3Aの溝底部)から漸次上方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が上方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Aは、立面3Aaと傾斜面3Abとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bは、縦壁面2bに対して近づく方向に向く立面3Baと、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向く傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に対称(例えば、水平面に対する相互の角度が45°とされている)に形成されている。このような構成において、凹溝3Bの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図24中の矢印方向)、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baが床面2aの凹溝3Aの立面3Aaに対面し、凹溝3Bの傾斜面3Bbが床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abに対面するように、凹溝3Bの間の突状の各掛止部3Cが、床面2aの凹溝3Aに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Bの立面3Baが凹溝3Aの立面3Aaに対面して係合し、床面2aの凹溝3Aの立面3Aaが凹状の湾曲面であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図24の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abの傾斜が緩いことから、掛止部3Cが傾斜面3Abに沿って摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
図25に示す変形例では、核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bが、図21に示す変形例と同様に形成されている。すなわち、立面3Baは、縦壁面2bに対して近づく方向に向き、傾斜面3Bbの上端(凹溝3Bの溝底部)から凹状に湾曲して溝開口端に至り、縦壁面2bに対して近づく方向に向けて切り立つように形成されている。また、傾斜面3Bbは、立面3Baの上端(凹溝3Bの溝底部)から漸次下方に傾斜し、水平方向に対して溝開口端側が下方に10°以下で傾斜して設けられている。このように、凹溝3Bは、立面3Baと傾斜面3Bbとが鉛直面を基準に非対称な形状で組み合わされて形成されている。一方、床面2aの凹溝3Aは、縦壁面2bに対して遠ざかる方向に向く立面3Aaと、縦壁面2bに対して近づく方向に向く傾斜面3Abとが鉛直面を基準に対称(例えば、水平面に対する相互の角度が45°とされている)に形成されている。このような構成において、凹溝3Aの間の複数の突状の部分が掛止部3Cとして形成される。
このような構成において、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると(図25中の矢印方向)、床面2aにおける凹溝3Aの立面3Aaが核燃料貯蔵用ラック1における支持脚1cの底面の凹溝3Bの立面3Baに対面し、床面2aの凹溝3Aの傾斜面3Abが凹溝3Bの傾斜面3Bbに対面するように、凹溝3Aの間の突状の各掛止部3Cが、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bに落ち込んで嵌まる。すると、掛止部3Cをなす凹溝3Aの立面3Aaが凹溝3Bの立面3Baに対面して係合し、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bの立面3Baが凹状の湾曲面であることから、縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が大きくなり当該移動が妨げられる。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。一方、図25の形態において、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して遠ざかる方向へは、核燃料貯蔵用ラック1の凹溝3Bの傾斜面3Bbの傾斜が緩いことから、掛止部3Cが傾斜面3Bbに沿って摺動するため核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗が小さく当該移動が容易であり、地震発生時に作用する水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。
なお、上述した各構成において、核燃料貯蔵用ラック1および床面2aに対して相互に係合し得る複数の連続した凹凸部3を備える場合、すなわち縦壁面2bに対して接近および遠ざかる方向に複数並列して凹凸部3を備える場合は、1つの凹凸部3を超えても次の凹凸部3が係合することで縦壁面2bに対して接近する方向への核燃料貯蔵用ラック1の移動抵抗を連続して付与することができる。
[実施形態4]
図26は、実施形態4に係る核燃料貯蔵設備を示す平面図である。図27は、実施形態4に係る核燃料貯蔵設備を示す側断面図である。図28および図29は、実施形態4に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す側断面図である。
本実施形態の核燃料貯蔵設備は、核燃料貯蔵用ラック1の縦壁面2bに接近する移動を所定距離までに許容するように核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2内にて支持する索状部材5を備える。索状部材5は、例えば、ワイヤ、ロープ、縄、綱、鎖など、連続して形成されて可撓性を有すると共に引っ張り方向に強度を有する長尺部材である。索状部材5は、貯蔵ピット2内の水中に配置された核燃料貯蔵用ラック1を、水平方向で相反する方向、および当該相反する方向に交差する交差方向で支持する。具体的には、図26に示すように、直方形状の核燃料貯蔵用ラック1において平面視の4つの角から対角線の延長線の相反する方向に沿って索状部材5を設けている。なお、図には明示しないが、直方形状の核燃料貯蔵用ラック1において縦壁面2bに向く面で相反する方向に索状部材5を設けてもよい(図30参照)。
ここで、図26では、矩形状の貯蔵ピット2内に矩形状に整列された角部の4箇の核燃料貯蔵用ラック1に索状部材5を設けた形態として示しているが、核燃料貯蔵用ラック1が各々独立して設けられているため、少なくとも縦壁面2bに面して配置されている個々の核燃料貯蔵用ラック1について、相反する方向、および相反する方向に交差する交差方向に沿って索状部材5を配置する。または、図26に示すように矩形状配置の角部の4箇の核燃料貯蔵用ラック1に索状部材5を設け、隣接する全ての核燃料貯蔵用ラック1同士を索状部材5で連結したり、剛構造により連結したり、ダンパーなどの緩衝部材により連結したりしてもよい。
そして、索状部材5は、図27に示すように、上方から核燃料貯蔵用ラック1に連結されている。この場合、索状部材5は、下端が核燃料貯蔵用ラック1に連結され、上端が貯蔵ピット2の縦壁面2bに固定されていても、貯蔵ピット2外の固定された不動部に固定されていてもよい。または、索状部材5は、図28に示すように、側方から核燃料貯蔵用ラック1に連結されている。この場合、索状部材5は、一端が核燃料貯蔵用ラック1に連結され、他端が貯蔵ピット2の縦壁面2bに固定されている。または、索状部材5は、図29に示すように、下方から核燃料貯蔵用ラック1に連結されている。この場合、索状部材5は、上端が核燃料貯蔵用ラック1に連結され、下端が貯蔵ピット2の縦壁面2bや床面2aに固定されている。また、索状部材5は、緊張して設けられておらず、若干の緩みを有して設けられている。なお、索状部材5の緩みは、索状部材5の弾性により生じるものであってもよい。
このような構成において、索状部材5が緩みを有していることから、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が水平方向であって縦壁面2bに対して接近または遠ざかる方向に移動することが可能であり、当該水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。一方、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると、この移動を索状部材5が縦壁面2bから所定距離までで規制する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。
ここで、索状部材5により、核燃料貯蔵用ラック1の縦壁面2bに接近する移動を許容する所定距離とは、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して衝突せず、かつ貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響を生じさせない位置まで縦壁面2bに近づく移動距離であって、水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することが可能な移動距離である。例えば、核燃料貯蔵用ラック1の初期配置を最も近い縦壁面2bから距離L(600mm〜1000mm程度)を離した位置とした場合、当該初期配置から最も近い縦壁面2bに300mm接近する移動距離とする。したがって、索状部材5は、このような核燃料貯蔵用ラック1の縦壁面2bに接近する移動を所定距離までに許容するような緩みを有して設けられる。
なお、図30は、実施形態4に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す平面図である。図31は、実施形態4に係る核燃料貯蔵設備の変形例を示す側断面図である。
図30および図31は、貯蔵ピット2の縦壁面2bに予め固定されている支持部材6に索状部材5を固定することで貯蔵ピット2側に固定している形態を示している。支持部材6は、索状部材5を配置する以前に、核燃料貯蔵用ラック1を支持するために設けられている既設のものであり、核燃料貯蔵用ラック1をフリースタンディング方式に変更するにあたり不要となったものである。このように、索状部材5を配置するうえで、既設の支持部材6を利用してもよい。
なお、図30に示す形態では、矩形状の貯蔵ピット2内に矩形状に整列された角部の4箇の核燃料貯蔵用ラック1に索状部材5を設けた形態とし、かつ直方形状の核燃料貯蔵用ラック1において縦壁面2bに向く面であって縦壁面2bに向く面で相反する方向、および相反する方向に交差する交差方向に沿って索状部材5を設けている。上述したように、核燃料貯蔵用ラック1は、各々独立して設けられているため、少なくとも縦壁面2bに面して配置されている個々の核燃料貯蔵用ラック1について、相反する方向、および相反する方向に交差する交差方向に沿って索状部材5を配置する。または、図30に示すように矩形状配置の角部の4箇の核燃料貯蔵用ラック1に索状部材5を設け、隣接する全ての核燃料貯蔵用ラック1同士を索状部材5で連結したり、剛構造により連結したり、ダンパーなどの緩衝部材により連結したりしてもよい。
このように、既設の支持部材6を介して索状部材5を設けてもよく、核燃料貯蔵用ラック1の縦壁面2bに接近する移動を所定距離までに許容するような緩みを索状部材5に生じさせていることから、地震発生時に作用する水平力により核燃料貯蔵用ラック1が水平方向であって縦壁面2bに対して接近または遠ざかる方向に移動することが可能であり、当該水平力を水の流体負荷減衰効果と共に核燃料貯蔵用ラック1の摺動抵抗によって吸収することで高い耐震性を有する。一方、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに対して接近する方向に移動すると、この移動を索状部材5が縦壁面2bから所定距離までで規制する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。
なお、この実施形態4は、上述した実施形態1〜実施形態3のいずれか1つと適宜組み合わせて実施することができる。実施形態1〜実施形態3のいずれか1つと実施形態4を組み合わせることで、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の床面2aや縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐ効果をより顕著に得ることができる。
[実施形態5]
図32は、実施形態5に係る核燃料貯蔵設備を示す側断面図である。
本実施形態の核燃料貯蔵設備は、上述した実施形態1〜実施形態4のいずれか1つに組み合わせて実施される。この核燃料貯蔵設備では、図32に示すように、貯蔵ピット2の床面2aの縦壁面2bに沿う周縁において、縦壁面2bに接近する方向で漸次上方に傾斜する傾斜床面7を備えている。傾斜床面7は、床面2aに連続して設けられ、縦壁面2bに接近する方向で凹状に湾曲して傾斜する面や、平坦で傾斜する面で形成される。
傾斜床面7が実施形態1や実施形態2と共に設けられる場合、万一、核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに近づいて移動した場合、傾斜床面7により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに近づくことを防止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を確実に防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。
傾斜床面7が実施形態3の凹凸部3と共に設けられる場合、床面2aに設けられる凹溝3Aよりも縦壁面2b寄りに傾斜床面7を設ける。したがって、この実施形態によれば、万一、核燃料貯蔵用ラック1が最も縦壁面2b寄りの凹溝3Aを超えて縦壁面2bに近づいて移動した場合、傾斜床面7により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに近づくことを防止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を確実に防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。
傾斜床面7が実施形態4の索状部材5と共に設けられていると、万一、索状部材5の作用が生じない事象が生じた場合に、傾斜床面7により核燃料貯蔵用ラック1が縦壁面2bに近づくことを防止する。この結果、核燃料貯蔵用ラック1の貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を確実に防ぐことができる。したがって、核燃料貯蔵用ラック1のフリースタンディング方式の機能を生かしつつ貯蔵ピット2の縦壁面2bへの衝突や接近を好適に防ぐことができる。しかも、貯蔵ピット2の壁の向こう側への放射線の影響が生じるような接近を防ぐことから、核燃料貯蔵用ラック1を貯蔵ピット2の縦壁面2bから離して距離Lの位置に戻す再配置の工事を不要にすることができる。そして、縦壁面2bから余分に遠ざけて配置しなくてもよいことから、貯蔵ピット2内での核燃料の貯蔵体数を確保することができる。