JP2019009402A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光閉じ込め効果を高めて高い光電変換効率を得るとともに、太陽電池の破損の少ない太陽電池を供給すること。【解決手段】半導体層、光を散乱する光散乱層および電極層を含む太陽電池であって、光散乱層は半導体層と電極層の間に形成された導電性を有する材料からなり、光散乱層の前記電極層側の主表面は半導体層の光散乱層側の主表面の凹凸より大きな凹凸を有するテクスチャー形状とする。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池に係り、更に詳しくは、省資源・低コストで、機械強度に優れ、光電変換効率の高い太陽電池およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化などの地球環境問題の観点から化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換できる太陽電池が注目されている。そして、太陽電池により多くの電力が供給されることが期待されている。
太陽電池の光電変換効率を高める方法の1つが、光閉じ込め効果の利用である。
光閉じ込め効果とは、入射光の反射防止により光電変換部である半導体層中に出来るだけ多くの光が入射するようにしたときの効果、ならびに、光電変換部である半導体層中を光が通る距離、すなわち光路長を長くすることで半導体層中に光をなるべく閉じ込めるようにしたときの効果である。この効果を利用すると、多くの光子が半導体に吸収されて多くの電気エネルギーが得られる。
光閉じ込め効果は、赤外領域などの半導体層中での光吸収が少ない波長帯域の光を効率的に電気に変換する上で半導体層が薄い場合に特に有効である。
半導体層の表面をテクスチャー状にすると、反射が低減し、半導体層の表面で光が散乱する。その結果、半導体層中を通る光の光路長が伸びて光閉じ込め効果による光電変換効率が向上する。この方法による光閉じ込め効果の利用は、特に、半導体層が薄膜の場合に有効な方法である。なお、半導体層の表面をテクスチャー状にした太陽電池は、例えば、特許文献1および非特許文献1に開示がある。表面の反射防止のためには、屈折率を調整した反射防止膜の形成も効果的である。ナノサイズのテクスチャーによる中間屈折率層の形成も反射防止に有効である。
半導体層の表面をテクスチャー状にし、その大きさ、すなわち半導体層表面の凹凸を大きくすると、光の散乱効果も大きくなって光閉じ込め効果も大きくなる。
一方で、半導体層表面の凹凸が大きくなると、半導体層が薄い場合、凹部が起点となった割れ等の破損が起こりやすくなる。
結晶シリコンを用いた太陽電池が最も一般に普及しており、その中でも、シリコンヘテロ接合太陽電池は、エネルギー変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池として知られている。
シリコンヘテロ接合太陽電池では、結晶シリコン基板の表面に真性非晶質/微結晶シリコン系薄膜が形成されて結晶表面における欠陥はパシベーションされ、その薄膜の上に形成されたドープした導電性非晶質/微結晶シリコン系薄膜層により拡散電位が形成される。
シリコンヘテロ接合太陽電池において光閉じ込めを行うために、一般には、結晶シリコン基板の両面にミクロンサイズのピラミッド型表面凸凹テクスチャー(幅および高さが10μm程度)を形成する。そこでは、太陽光が入射してくる面とは反対面側の裏面側の反射層(裏面反射層)として、一般には酸化インジウムスズ(ITO)等の表面が平坦な透光性導電膜と銀(Ag)、銅(Cu)等の金属の積層膜が使用されている。シリコンヘテロ接合太陽電池のドープ層は非晶質シリコン系で伝導度が低いため、シート抵抗を低くするために光入射側には透光性導電膜が形成されるが、一般には表面が平坦な透光性導電膜が使用される。
結晶系シリコン太陽電池のコストの大きな割合を結晶シリコン基板の費用が占めており、シリコン基板の厚みを薄くすることには、低コスト化という利点がある。結晶シリコン基板バルク中のキャリア再結合が低減されることより、開放電圧向上という太陽電池特性上の利点もある。
薄型シリコン基板を用いた太陽電池では、結晶シリコン基板表面に形成する凸凹テクスチャーのサイズが大きいと基板が割れやすくハンドリングが困難であるため、凸凹テクスチャーの許容サイズは小さくなり、例えば1〜5μmというテクスチャーサイズが好ましい。しかし、その大きさでは光閉じ込め効果が不十分となり、薄型シリコン基板を用いた太陽電池では、長波長光の光吸収が十分に行われないために、太陽電池のエネルギー変換効率が低下するという問題がある。
特開2016―072522号公報
A.Gaucher et.al.,NANO Letters,vol.16,p.5358(2016)
本発明の課題は、上記半導体層表面に形成されるテクスチャー形状の凹凸の大きさ制限に伴う光閉じ込め効果不足を解消し、また、テクスチャー形状による太陽電池の破損を防止し、薄型太陽電池のハンドリングを容易とすることである。これにより、省資源・低コストで光電変換効率が高く、機械的強度に優れ、破損が少なくて歩留まりの高い太陽電池を提供することを目的とする。
下記に示す構成により、上記課題を解決した。
(構成1)
半導体層、光を散乱する光散乱層および電極層を含む太陽電池であって、
前記光散乱層は、前記半導体層と前記電極層の間に形成された導電性を有する材料からなり、
前記光散乱層の前記電極層側の主表面は、前記半導体層の前記光散乱層側の主表面の凹凸より大きな凹凸を有するテクスチャー形状である、太陽電池。
(構成2)
前記半導体層の前記電極層側の主表面は、平坦形状またはテクスチャー形状である、構成1記載の太陽電池。
(構成3)
前記半導体層の前記電極層側の主表面の表面テクスチャーの大きさ(幅)は、0μmを超えて5μm未満である、構成1または2記載の太陽電池。
(構成4)
前記半導体層の前記電極層側の主表面のテクスチャー形状は、規則性を有する形状である、構成1から3の何れか1記載の太陽電池。
(構成5)
前記光散乱層の前記電極層側の主表面の表面テクスチャーの大きさ(幅)は、0.7μm以上5μm以下である、構成1から4の何れか1記載の太陽電池。
(構成6)
前記光散乱層の前記電極層側の主表面のテクスチャー形状は、不規則な形状である、構成1から5の何れか1記載の太陽電池。
(構成7)
前記光散乱層は、亜鉛と酸素を少なくとも含む膜からなる、構成1から6の何れか1記載の太陽電池。
(構成8)
前記光散乱層は、無添加の亜鉛酸化物からなる、構成1から7の何れか1記載の太陽電池。
(構成9)
前記光散乱層は、B、Al、Ga、Nからなる群から選ばれる少なくとも1を含む元素が添加された亜鉛酸化物からなる、構成1から7の何れか1記載の太陽電池。
(構成10)
前記光散乱層は、有機金属気相成長法によって形成された結晶性膜である、構成1から9の何れか1記載の太陽電池。
(構成11)
前記半導体層は、ヘテロ接合シリコンからなる、構成1から10の何れか1記載の太陽電池。
(構成12)
前記半導体層の前記光散乱層とは逆側の主表面は、平坦形状またはテクスチャー形状である、構成1から11の何れか1記載の太陽電池。
(構成13)
前記半導体層の前記光散乱層とは逆側の主表面上に第2の光散乱層を有し、
前記第2の光散乱層の前記半導体層とは逆側の主表面にテクスチャーが形成されている、構成1から12の何れか1記載の太陽電池。
(構成14)
半導体膜の主表面に光を散乱させる導電性を有する光散乱層を形成する光散乱層形成工程と、
前記光散乱層上に導電層を形成する導電層形成工程を有し、
前記光散乱層の前記電極層側の主表面は、前記半導体層の前記光散乱層側の主表面の凹凸より大きな凹凸を有するテクスチャー形状である、太陽電池の製造方法。
(構成15)
前記半導体層の前記主表面の形状は、結晶方位性によるエッチング速度差を有するエッチング工程により形成されたテクスチャー形状である、構成14記載の太陽電池の製造方法。
(構成16)
前記光散乱層は、亜鉛と酸素を少なくとも含む膜からなる、構成14または15記載の太陽電池の製造方法。
(構成17)
前記光散乱層は、無添加の亜鉛酸化物からなる、構成14から16の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
(構成18)
前記光散乱層は、B、Al、Ga、Nからなる群から選ばれる少なくとも1を含む元素が添加された亜鉛酸化物からなる、構成14から16の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
(構成19)
前記光散乱層は、有機金属気相成長工程により形成された結晶性膜である、構成14から18の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
(構成20)
前記半導体層は、ヘテロ接合シリコンからなる、構成14から19の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
本発明は、半導体層表面に形成されるテクスチャー形状の凹凸の大きさ制限に伴う光閉じ込め効果不足を解消し、また、テクスチャー形状による太陽電池の破損を防止するものである。
その結果、所望の光閉じ込め効果が得られ、太陽電池の光電変換効率は高いものとなる。
また、本発明の太陽電池は機械的強度に優れたものとなる。半導体層の表面に形成されるテクスチャー形状による破損が発生しにくくなって歩留まりが向上するとともに、低コスト化に繋がる半導体層の薄膜化を行うことが可能になる。
本発明の太陽電池の概要構成を示す断面図である。 本発明の太陽電池の概要構成を示す断面図である。 表面の状態を断面で示した説明図である。 従来の太陽電池の概要構成を示す断面図である。 従来の太陽電池の概要構成を示す断面図である。 本発明の太陽電池の製造工程を示す断面図である。 光散乱層の状態を示す平面SEM写真である。 光散乱層の状態を示す断面SEM写真である。 作製した太陽電池の電圧‐電流特性を示す特性図である。 作製した太陽電池の量子効率スペクトルを示す特性図である。 結晶シリコンの分光透過率特性を示す特性図である。 光吸収係数αおよび光侵入長1/αの波長依存性を示す特性図である。 ITOの分光透過率特性を示す特性図である。 ZnOの分光透過率特性を示す特性図である。
<実施の形態1>
実施の形態1は、光が入射してくる側とは反対側の裏面側の半導体層側に光散乱層を設けた太陽電池の場合であって、その代表的な構造を図1および図2に示す。
図1は、半導体層の表面が平坦面の太陽電池100の場合であって、その太陽電池100は、光5が入射する側から、電極18、透光性導電層15、半導体層19、光散乱層16および裏面電極層17という構成になっている。
この太陽電池100は半導体層19をヘテロ接合シリコンの半導体層とした場合であり、半導体層19は、n型結晶シリコン10、真性非晶質シリコン11、真性非晶質シリコン12、n‐非晶質シリコン13およびp‐非晶質シリコン14よりなる。
なお、ヘテロ接合シリコンの半導体層19として、n型結晶シリコン10に代えてp型結晶シリコンを用いることもできる。その場合は、n‐非晶質シリコン13に代えてp‐非晶質シリコン、およびp‐非晶質シリコン14に代えてn‐非晶質シリコンを用いる。このように、n型結晶シリコン10はp型結晶シリコンにも置き換えられるため、n型p型に限らず結晶シリコンが本質の場合は、以下、結晶シリコン10とも称することとする。
ヘテロ接合シリコンの半導体層19を用いた場合は、真性半導体層(真性非晶質シリコン11と真性非晶質シリコン12)によって結晶表面の欠陥がパッシベーションされるので、高い光電変換効率が得られる。ここで、ドープした導電性非晶質と真性半導体層(真性非晶質シリコン11とn‐非晶質シリコン13、および真性非晶質シリコン12とp‐非晶質シリコン14)により、拡散電位が形成される。
結晶シリコン10の厚さは、350μm以下、好ましくは170μm以下、より好ましくは100μm以下、3μm以上、好ましくは10μm以上である。結晶シリコン10の厚さが350μmを超えると、光は1パスで半導体層中に十分に吸収されるため、本発明の光散乱層16の表面にテクスシャーを設けたときの光閉じ込め効果は相対的に小さくなる。ここで、結晶シリコン10の厚さが50μm未満の場合には、半導体層の機械強度が不足するため支持基板の使用(転写)が好ましい。結晶シリコン10の厚さが3μm未満の場合には、テクスチャーを設けても半導体層中に十分光を閉じ込めるのが難しくなって好ましくない。
結晶シリコン10としては、CZ(Czochralski)法、FZ(Floating Zone)法等で作製したシリコンインゴットをスライスしたシリコンウェハの使用が可能であり、エピタキシャル成長法により作製したシリコンウェハの使用も可能である。特に、厚みが100μm以下の場合は、エピタキシャル成長法により作製したシリコンウェハを用いるのが好ましい。
真性非晶質シリコン11と真性非晶質シリコン12の膜厚は、3nm以上15nm以下が好ましい。ここで、両者は、同じ膜厚でもよいし、異なる膜厚でもよい。3nmを下回ると欠陥のパッシベーション効果が小さくなり、15nmを上回ると太陽電池の直列抵抗が高くなって好ましくない。
なお、n‐非晶質シリコン13やp‐非晶質シリコン14は、非晶質シリコンのみでなく、非晶質/微結晶シリコン系薄膜(SiC:H、SiO:H、SiC:H等)とすることも可能である。
また、ヘテロ接合シリコンの半導体層19に代えて、p型領域とn型領域をもつシリコン半導体やGaAs,GaNなどの化合物半導体、ペロブスカイト半導体などを用いることもできる。ここで、ペロブスカイト半導体の場合は、透明電極層15と半導体層19の間にホール輸送層、光散乱層19と半導体層19の間に電子輸送層およびホールブロッキング層を設ける。
また、ヘテロ接合シリコンの半導体層19に代えて、複数の半導体層からなるタンデム型の光電変換半導体層とすることもできる。この場合は、各半導体層間に中間層を設けるとよい。半導体層19をタンデム型の光電変換半導体層にすると、入射光の波長に応じた複数の半導体層を用いることができるので、光電変換効率を向上させやすい。他方、p型領域とn型領域をもつ単層の半導体層を用いると工程が簡略化されるので生産性が高く、低コスト化しやすいという特徴がある。
透光性導電層15は、入射光を透過し、かつ導電性を有する材料からなる膜で、材料としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In)などを挙げることができる。ここで、透光性導電層15の上に反射防止膜を設けない場合は、透光性導電層15に反射防止機能をもたせるのが好ましく、したがって屈折率も考慮するのが好ましい。これらの膜は、スパッタリング法により形成することができる。または、中間屈折率層を形成するナノサイズ表面テクスチャーを有する膜とするのも好ましい。
この中でも、図13に示すように、300nmから1200nmの光の透過率が高く、導電率も1.8×10−4Ω・cmが確保されるITOを好んで用いることができる。
一方、光散乱層16のところで述べる酸化亜鉛(ZnO)は、エネルギーバンドギャップが約3.4eVなので波長370nm以下の透過率が低く、この観点からは、ZnOは透光性導電層15としてはあまり好ましくない。但し、中間屈折率層を形成するナノサイズ表面テクスチャーを有する点からは好ましい。参考までに、ノンドープの酸化亜鉛の透過率特性を図14に示す。
テクスチャー形状を有する光散乱層を用いた本方法は、特に赤外域での光閉じ込め効果が改善される方法なので、透光性導電層15は、赤外域(波長700nm以上1200nm以下)での光透過性に優れたものが好ましい。
透光性導電層15の膜厚は、薄くすると光の透過率は上がるものの導電性が低下し、厚くすると導電性は向上するものの光の透過率が下がるため、シート抵抗、直列抵抗、光透過率のトレードオフを考慮する必要がある。ITO膜の場合は50nm以上100nm以下とするのが好ましい。
光散乱層16は、透光性と導電性を有する材料からなり、裏面電極17側にテクスチャー(表面凹凸)が形成された層である。
そのテクスチャー上に光を反射させる裏面電極層17が形成されるため、このテクスチャーによって光が散乱反射する。散乱反射することにより、太陽電池100に対して垂直に入射した光は角度をつけて反射する。また、角度がついて反射した光は透光性電極15側でも反射しやすくなり、その結果、光が半導体層19に閉じ込まれやすくなる。すなわち、光散乱層16によって散乱反射された光の半導体層19での光路長が長くなって光が半導体層19に吸収され、光電変換効率が上がる。透光性導電層16は、半導体層19で光吸収しきれない長波長領域での光透過性に優れたものが好ましい。
表面凸凹テクスチャーを有する光散乱層16の作製温度は、結晶シリコン10表面に形成する真性非晶質シリコン11、12、n‐非晶質シリコン13およびp‐非晶質シリコン14の製膜温度以下であることが望ましく、具体的には200℃未満であることが望ましい。
光散乱層16の材料としては、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In)などを挙げることができる。この中でも、ZnOが好ましい。先にも述べたように、ZnOは、波長370nm以下の透過率が低いが、370nm以下の波長の光は、半導体層19での吸光度が高く、入射光が光散乱層16に届くまでに半導体層19中に十分吸収される。このため、波長370nm以下の透過率は光散乱層16の材料として問題とはならず、光散乱層16の材料として、ZnOを好んで用いることができる。
光散乱層16の表面のテクスチャーのサイズ、すなわちテクスチャーによる表面凹凸のサイズは、光散乱による効果を十分に得るために、例えばそのサイズを幅としたときに0.7μm以上、好ましくは1μm以上が好ましい。
光散乱層16の表面のテクスチャー形状の平均スロープは、光散乱による効果を十分に得るために、30°以上60°以下が好ましい。
光散乱層16の表面のテクスチャーは、統一された大きさでも、大小様々な大きさからなっていても構わない。また、規則的でも不規則的でも構わない。
光散乱層16の作製法としては、表面凹凸テクスチャーの自己形成機能を有する有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Oxide Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリングやCVDによって形成した結晶性の膜に対して結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行う方法、スパッタリングやCVDによって形成した膜に対してリソグラフィで形成されたレジストパターンをマスクにして、またはマスク無しでエッチングする方法などが挙げられる。ドライエッチングとウェットエッチングがともに可能である。
ZnOをMOCVD法により形成すると、200℃未満の低温で形成でき、形成されるテクスチャー形状は結晶性で、大小様々な大きさからなり、そのスロープも光散乱層16として好適である。MOCVD形成のZnOは成膜の膜厚を増やすほどテクスチャーのサイズも大きくなることから、サイズも所望に制御しやすいという特徴がある。例えば、MOCVD法により4μm厚のノンドープZnOを形成したときのテクスチャーサイズ(幅)は約1μmとなり、Bドープ2μm厚のZnOを形成したときのテクスチャーサイズは0.2〜0.4μmとなる。アズデポの膜も好ましいが、成膜後にプラズマ処理等でテクスチャー形状を変化させることも可能である。また、成膜後に200℃未満の温度でアニールすることが好ましい。
なお、ZnOをMOCVD法により形成するときの原料としては、ジエチル亜鉛(CZn、トリメチル亜鉛(CHZn、トリエチル亜鉛(CZnなどを挙げることができる。
MOCVD法により形成するZnOにボロン(B)などの不純物をドープしないノンドープ(無添加)とすると、光の透過率を高くすることができ、同じ膜厚で比較してBなどをドープした場合より表面テクスチャー(表面凹凸)が大きくなる。Bなどのドープ量が増加すると、自由電子吸収の増加により、赤外域の光透過率が低下する。
したがって、ZnOのノンドープ膜(無添加膜)は、比較的薄膜で所望の表面テクスチャーを得ることができ、薄膜と材料としての透過率特性から光透過という観点からも好ましい。
一方、ZnOにBなどをドープ(添加)すると導電率が上がるという効果がある。
裏面電極層17は、電極としての高い導電性と光を反射させる反射機能を併せもつ層であり、銀(Ag)、金(Au),白金(Pt),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rd),タングステン(W),アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni),クロム(Cr)からなる群から選ばれる少なくとも1からなる金属を含む材料からなる。この場合、金属単体でもよいし、これらからなる合金でもよいし、炭素(C)、窒素(N)やシリコン(Si)などを含む金属化合物でもよい。1種類の材料の単層でも良いし、2種類以上の材料の積層でも良い。この中でも、Agは高い導電性と300nmから1200nmの波長の光に対して高い光反射をもつため好ましい。より低コストなCu、Al等も好ましい。
裏面電極層17は、蒸着法、スパッタリング法などで形成することができる。ここで、表面に対してコンフォーマルに形成しても、成膜後の表面が平坦になるように形成してもよい。特に、表面テクスチャーの角度(スロープ)が大きく深い場合は、サンプルを回転させながら成膜することが好ましい。
裏面電極層17の厚さは、導電性と光反射機能の観点から300nm以上、好ましくは400nm以上が好ましい。一方で、量産性の観点からは薄いことが好ましい。
電極18は、太陽電池としての電気を外部に取り出すための電極であって、材料としては、銀(Ag)、金(Au),白金(Pt),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rd),タングステン(W),アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni),クロム(Cr)からなる群から選ばれる少なくとも1からなる金属を含む材料からなる。この場合、金属単体でもよいし、これらからなる合金でもよいし、炭素(C)、窒素(N)やシリコン(Si)などを含む金属化合物でもよい。1種類の材料の単層でも良いし、2種類以上の材料の積層でも良い。
電極18は、太陽電池100に入射する光をなるべく遮らないように、グリッド状あるいはストライプ状に形成しておくことが好ましい。
電極18は、マスキングを用いた蒸着法、銀等の導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法等で形成できる。また、リフトオフと蒸着法やスパッタリング法の組み合わせ、あるいは蒸着法やスパッタリング法とリソグラフィにより形成したレジストパターンをマスクにしたエッチングとの組み合わせ等によっても形成ができる。
図4に、平坦な結晶シリコン30と光散乱層に代えて平坦な透光性導電層36をもつ従来型の太陽電池300を示す。この太陽電池300は、光5が入射する側から、電極38、透光性導電層35、半導体層39、透光性導電層36および裏面電極層37という構成になっている。そして、半導体層39は、n型結晶シリコン30、真性非晶質シリコン31、真性非晶質シリコン32、n‐非晶質シリコン33およびp‐非晶質シリコン34よりなる。
この従来型の太陽電池300では、入射した5は半導体層39を最短距離で通過した後、透光性導電層35側から外部に出てしまい、入射した光5を半導体層39に十分閉じ込めることができない。
一方、図1に示す本発明の太陽電池100では、光散乱層16により光散乱層16に到達した光は散乱され、前述のように、入射した光5を半導体層39に十分閉じ込めることができ、光電変換効率が向上する。特に、光吸収係数が小さい赤外域の光吸収が裏面での光散乱による光路長増大により増加する。赤外域の光吸収量増大により太陽電池の短絡電流密度が増加し、光電変換効率が向上する。
表面にテクスチャーが形成されていない平坦な薄型結晶シリコンを用いると、バルク内および表面でのキャリア再結合を防止できるので、一般的に、太陽電池の開放電圧向上効果は大きい。
このため、本発明の太陽電池100は、開放電圧と光電変換効率の両方が高い太陽電池となる。
なお、結晶シリコン10が薄いほど本発明による光閉じ込め効果は、光散乱層16を用いない場合と比べて相対的に大きくなって、効果的である。また、透光性導電層15側の半導体層19や透光性電極層15の表面が平坦で、この面での光散乱が小さい場合、大きなテクスチャーが形成された光散乱層16の効果が顕在化する。
図2は、半導体層の表面にテクスチャーが形成された太陽電池200の場合であって、その太陽電池200は、光5が入射する側から、電極28、透光性導電層25、半導体層29、光散乱層26および裏面電極層27という構成になっている。
この太陽電池200は半導体層29をヘテロ接合シリコンの半導体層とした場合であり、半導体層29は、図1の場合と同様に、n型結晶シリコン20、真性非晶質シリコン21、真性非晶質シリコン22、n‐非晶質シリコン23およびp‐非晶質シリコン24よりなる。なお、ヘテロ接合シリコンの半導体層19として、n型結晶シリコン10に代えてp型結晶シリコンを用いることもできる。そのときのp型とn型の置き換えは図1の場合と同じである。
太陽電池200を構成する電極28、透光性導電層25、n型結晶シリコン20、真性非晶質シリコン21、真性非晶質シリコン22、n‐非晶質シリコン23、p‐非晶質シリコン24、光散乱層26および裏面電極層27は、(n型)結晶シリコン20を除き、全て材料から製法に至るまで図1の場合と同じである。
図2の場合は、(n型)結晶シリコン20の両面にテクスチャーを形成することのみが図1と異なる。なお、結晶シリコン20の表面のテクスチャーは、両面に限らず、裏面電極層側27、あるいは透光性電極層側25のみとしてもよいが、ここではテクスチャーが結晶シリコン20の両面に作られている場合を説明する。テクスチャーが片面に形成されている場合も光閉じ込めを増大させる効果があるが、両側にテクスチャーが形成されている方がその増大効果は大きい。
結晶シリコン20へのテクスチャーの形成方法としては、エッチングレートの結晶方位依存性を利用したウェットエッチング、ナノインプリントやリソグラフィにより形成したエッチングマスクを用いたエッチング、ナノ粒子を散布しそのナノ粒子をマスクにしたエッチングなどを挙げることができる。この中でも、結晶方位依存性を利用したウェットエッチングは簡便で、生産性に優れるという特徴がある。この場合、形成されるテクスチャーは規則的で、テクスチャー形状のスロープも一定のものとなる。具体的なエッチング液としては、KOH水溶液を挙げることができる。
結晶シリコン20のテクスチャーの凹部が起点となって半導体層29が破断破壊を起こしたりする。特に、結晶シリコン20を薄くするほど機械強度が不足して破断破壊が起こりやすくなる。
このため、結晶シリコン20のテクスチャーサイズは、結晶シリコンの厚みによるが、0μmを超えて5μm未満が好ましい。反射防止の観点からは、結晶シリコン20のテクスチャーサイズは0.2μm以上が好ましい。
結晶シリコン20のテクスチャーは、光閉じ込めを高める効果がある。
しかしながら、テクスチャーサイズ(幅)が1μm未満の場合、光閉じ込め効果は必ずしも十分ではない。結晶シリコン20の厚さが100μm以下の場合は、光閉じ込め効果が十分ではなくて光電変換効率が十分ではなくなる。そして、結晶シリコン20の厚さが薄くなればなるほど光閉じ込め効果不足が顕在化する。
図2に示す本発明の太陽電池200では、図3に示すように、光散乱層26の裏面電極層27側に結晶シリコン20に形成されたテクスチャーより大きなテクスチャーを形成することによって十分な光閉じ込め効果が得られる。
図3は、シリコン層29に接する光散乱層26の表面断面形状を1、光散乱層26の裏面電極層27側の表面断面形状を2aから2fで示したものである。
結晶シリコン20に形成されたテクスチャーより大きなテクスチャー形状は、(a)テクスチャーの周期(幅)、位相が同じで振幅が大きい、(b)テクスチャーの周期が同じで、位相が異なり振幅が大きい、(c)テクスチャーの幅が広い、(d)テクスチャーの幅が広く、振幅も大きい、(e)裏面電極層27側のテクスチャーは大小様々で、周期も様々で凸部の体積あるいは面積が大きい、(f)裏面電極層27側のテクスチャーは大小様々で、周期も様々、かつ平均して振幅が大きい、の4種類に大別される。この何れでも光閉じ込め効果が増大されるが、(f)が最も好ましい。
図5に、テクスチャー形状を有する結晶シリコン40と光散乱層に代えてコンフォーマルな形状で形成された透光性導電層46をもつ従来型の太陽電池400を示す。この太陽電池400は、光5が入射する側から、電極48、透光性導電層45、半導体層49、透光性導電層46および裏面電極層47という構成になっている。そして、半導体層49は、n型結晶シリコン40、真性非晶質シリコン41、真性非晶質シリコン42、n‐非晶質シリコン43およびp‐非晶質シリコン44よりなる。
この従来型の太陽電池400で、十分な光閉じ込め効果を得ようとすると、結晶シリコン40のテクスチャーを大きくする必要があり、結晶シリコン40の機械強度が不足して、結晶シリコン40への凹部が起点となって破断破壊を起こしやすい。このため、従来の太陽電池400は、結晶シリコン40を薄くするのが難しく、コスト低減が難しいという問題がある。
一方、図2に示す本発明の太陽電池200では、結晶シリコン20の表面のテクスチャーと光散乱層26のテクスチャーのダブルテクスチャー構造が裏面の反射層として形成されることにより、結晶シリコン40の表面のテクスチャーのみの太陽電池400の場合と比較して、光吸収係数が小さい赤外域の光吸収が裏面での光散乱による光路長増大により増加する。
<実施の形態2>
実施の形態2では、実施の形態1の図1に示した太陽電池100の製造方法を、要部断面図による図6を用いて説明する。
最初に、n型結晶シリコン基板10を準備する。
次に、フッ酸水溶液などにより基板表面の自然酸化膜除去および洗浄を行う。
その後、結晶シリコン基板10の両面に真性非晶質シリコン薄膜11および12を形成する(図6(a))。
真性非晶質シリコン薄膜11と真性非晶質シリコン薄膜12の形成は、片側ずつ行っても、同時に行っても構わない。形成方法としては、超高周波または高周波プラズマ化学気相成長法を挙げることができるが、それに限るものではなく、触媒CVD法等のCVD法やスパッタリング法を用いてもよい。
その後、n‐非晶質シリコン13およびp‐非晶質シリコン14を形成する(図6(b))。形成方法としては、真性膜の場合と同様なCVD法やスパッタリング法を挙げることができる。
次に、p‐非晶質シリコン14の上に透光性導電層15を形成する(図6(c))。形成法としては、RFスパッタリング法を好んで用いることができる。
しかる後、n‐非晶質シリコン13に接して光散乱層16を形成する(図6(d))。
MOCVD法によりノンドープの酸化亜鉛(ZnO)膜を形成すると、それは結晶性の膜となるため、形成された膜の表面は自動的にテクスチャー形状となる。そのテクスチャーの大きさ(表面凹凸)サイズ(幅)は、膜厚に依存し、膜厚が厚くなるほど大きくなる。また、その表面凹凸は規則的なものではなく大小入り混じり、かつ配置も不規則なものとなる。このため、MOCVD法により形成されたノンドープの酸化亜鉛(ZnO)膜は光散乱層16として好適である。
なお、透光性導電層15の形成と、光散乱層16の形成の順番を逆にして、光散乱層16を形成してから透光性導電層15を形成してもよい。
その後、裏面電極層17を光散乱層16に接して形成する(図6(e))。裏面電極層17の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法を挙げることができる。
最後に、透光性電極層15の上に電極18を形成し、太陽電池100が製造される(図6(f))。
なお、裏面電極層17の形成と、電極18の形成の順番を逆にして、電極18を形成してから裏面電極層17を形成してもよい。
<実施の形態3>
実施の形態3は、太陽電池へ光が照射される表面側に光散乱層を形成した場合である。裏面側は、実施の形態1と同様に光散乱層が形成されていても、図4や図5に示したような透光性導電層が形成されていても構わない。但し、裏面側にも実施の形態1に示した光散乱層を形成した方が、光閉じ込め効果が相乗的に起こるのでより好ましい。
実施の形態3の表面側に形成される光散乱層は、図1や図2における透光性導電層15や25に置き換えて形成される。それ以外は、実施の形態1に準拠してよい。
実施の形態3における表面側に形成される光散乱層のコンセプトは、実施の形態1における光散乱層16や26と同じである。但し、波長300nmから1200nmの光をよく透過することが求められる。ZnOは前述のように370nmより波長の短い光の透過率が高くないので、表面側に形成される光散乱層としてはITOやFTOがより適している。
この光散乱層の表面側のテクスチャーの大きさを半導体層側のテクスチャーより大きくすることにより、光閉じ込め効果が増大する。
また、他に反射防止膜を形成しない場合は、表面のテクスチャーサイズ(幅)は、0.5μm未満が、微細構造により中間屈折率層が形成されるという観点から好ましい。
(実施例1)
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1では、図1に示す太陽電池100を以下の工程で作製し、その光電変換特性を評価した。
1.太陽電池の作製
最初に、両側の表面が平坦な抵抗率1〜5Ω・cmのp型結晶シリコン基板を準備した。ここで、p型結晶シリコンの厚さは280μmである。
次に、フッ酸水溶液により基板表面の自然酸化膜除去を行った後、超高周波プラズマ化学気相成長法により、結晶シリコン基板10の両面に真性非晶質シリコン薄膜11および12を形成した(図6(a))。真性非晶質シリコン薄膜11および12の膜厚はともに約5nmである。
その後、p型微結晶SiC:H薄膜(p‐μc‐SiC:H)13およびn型非晶質シリコン薄膜(n‐a−Si:H)14を超高周波プラズマ化学気相成長法により形成した(図6(b))。膜厚は、p型微結晶SiC:H薄膜13が約50nmであり、n型非晶質シリコン薄膜14が約20nmである。
次に、光入射側の透光性導電層15として、表面が平坦な従来の透明導電膜であるITO膜をRFスパッタリング法により作製した(図6(c))。その膜厚は約70nmとし、面積は10mm×10mmとした。この成膜は室温(23℃)にて行った。
しかる後、光散乱層16として、ノンドープの酸化亜鉛(ZnO)膜をMOCVD法により成膜した(図6(d))。ここで、ジエチル亜鉛(DEZ)と水(HO)を原料として用い、プロセス圧力3Torr、基板温度約155℃の条件で成膜した。成膜されたZnOの膜厚は約4μmであり、シート抵抗は約30Ω/□であった。
成膜されたZnOの表面、すなわち、光反射層16の裏面金属側となる表面テクスチャーの様子を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上面から観察した結果の一例を図7に、断面を観察した結果の一例を図8に示す。大きさ(幅)約1μmで大小様々な結晶性の突起が無秩序に形成され、不規則なテクスチャー形状となっていることを確認した。
その後、裏面電極層17として、Agを約0.3μmの厚さで真空蒸着法により形成し(図6(e))、最後に、透光性電極層15側からAgおよびAlが積層されたグリッド状の電極18を真空蒸着法により作製し、太陽電池100とした(図6(f))。
比較用として、光散乱層16を表面が平坦な従来の透明導電膜(ITO)に代えたところのみが異なるシリコンヘテロ接合太陽電池を同時に作製して、その光電変換特性を実施例1と比較した。ここで、このITO膜はRFスパッタリング法により形成し、その膜厚は約180nmである。
作製した実施例1と比較例の太陽電池をともに裏面側から目視で観察した。その結果、実施例1の裏面側にテクスチャー形状を有する光散乱層が形成された実施例1では白色となり、平坦な透明電極膜が形成された比較例では鏡面となった。
2.光電変換特性の評価
作製した実施例1と比較例の太陽電池の電流密度‐電圧特性を図9に示す。
実施例1の太陽電池は比較例に比べ、短絡電流密度が約2〜5%増加し、それに伴って、エネルギー変換効率が増加した。なお、同図で同一線種に対して複数の結果が描かれているが、これは複数のサンプルの結果を示している。
作製した実施例1と比較例の太陽電池の量子効率(EQE)スペクトルをともに同じ図に載せて両者を比較した。その結果を図10に示す。また、使用した結晶シリコン基板(厚さ280μm)の透過率スペクトルを図11に示す。使用した結晶シリコン基板で光吸収しきれない、波長1000nmから1200nmの領域で、表面テクスチャー(凹凸)を有する光散乱層16(ノンドープZnO膜)を使用したセルの量子効率は、平坦なITO膜を使用したセルと比較して向上している。量子効率(EQE)スペクトルによっても本発明の効果が確認できた。
なお、様々な半導体に対する光吸収係数αならびに侵入長1/αと波長の関係を参考として図12に示す。シリコン(Si)以外の半導体層においても長波長では侵入長1/αが長い傾向をもつ。
本発明の太陽電池は、光電変換効率が高く、かつ破損の少ない歩留まりの高い太陽電池である。しかも、機械的強度に優れるので、半導体層を薄膜化でき、低コスト化を図ることができる。このため、高効率、低コスト太陽電池として広く使用されることが期待される。
1 表面
2a、2b、2c、2d 表面
5 光
10 結晶シリコン(n型結晶シリコン、p型結晶シリコン)
11 真性非晶質シリコン
12 真性非晶質シリコン
13 n‐非晶質シリコン(p‐微結晶SiC:H)
14 p‐非晶質シリコン(n‐非晶質Si:H)
15 透光性導電層
16 光散乱層
17 裏面電極層
18 電極(グリッド状電極)
19 半導体層
20 結晶シリコン
21 真性非晶質シリコン
22 真性非晶質シリコン
23 n‐非晶質シリコン
24 p‐非晶質シリコン
25 透光性導電層
26 光散乱層
27 裏面電極層
28 電極(グリッド状電極)
29 半導体層
30 結晶シリコン
31 真性非晶質シリコン
32 真性非晶質シリコン
33 n‐非晶質シリコン
34 p‐非晶質シリコン
35 透光性導電層
36 透光性導電層
37 裏面電極層
38 電極(グリッド状電極)
39 半導体層
40 結晶シリコン
41 真性非晶質シリコン
42 真性非晶質シリコン
43 n‐非晶質シリコン
44 p‐非晶質シリコン
45 透光性導電層
46 透光性導電層
47 裏面電極層
48 電極(グリッド状電極)
49 半導体層
100、200、300、400 太陽電池

Claims (20)

  1. 半導体層、光を散乱する光散乱層および電極層を含む太陽電池であって、
    前記光散乱層は、前記半導体層と前記電極層の間に形成された導電性を有する材料からなり、
    前記光散乱層の前記電極層側の主表面は、前記半導体層の前記光散乱層側の主表面の凹凸より大きな凹凸を有するテクスチャー形状である、太陽電池。
  2. 前記半導体層の前記電極層側の主表面は、平坦形状またはテクスチャー形状である、請求項1記載の太陽電池。
  3. 前記半導体層の前記電極層側の主表面の表面テクスチャーの大きさ(幅)は、0μmを超えて5μm未満である、請求項1または2記載の太陽電池。
  4. 前記半導体層の前記電極層側の主表面のテクスチャー形状は、規則性を有する形状である、請求項1から3の何れか1記載の太陽電池。
  5. 前記光散乱層の前記電極層側の主表面の表面テクスチャーの大きさ(幅)は、0.7μm以上5μm以下である、請求項1から4の何れか1記載の太陽電池。
  6. 前記光散乱層の前記電極層側の主表面のテクスチャー形状は、不規則な形状である、請求項1から5の何れか1記載の太陽電池。
  7. 前記光散乱層は、亜鉛と酸素を少なくとも含む膜からなる、請求項1から6の何れか1記載の太陽電池。
  8. 前記光散乱層は、無添加の亜鉛酸化物からなる、請求項1から7の何れか1記載の太陽電池。
  9. 前記光散乱層は、B、Al、Ga、Nからなる群から選ばれる少なくとも1を含む元素が添加された亜鉛酸化物からなる、請求項1から7の何れか1記載の太陽電池。
  10. 前記光散乱層は、有機金属気相成長法によって形成された結晶性膜である、請求項1から9の何れか1記載の太陽電池。
  11. 前記半導体層は、ヘテロ接合シリコンからなる、請求項1から10の何れか1記載の太陽電池。
  12. 前記半導体層の前記光散乱層とは逆側の主表面は、平坦形状またはテクスチャー形状である、請求項1から11の何れか1記載の太陽電池。
  13. 前記半導体層の前記光散乱層とは逆側の主表面上に第2の光散乱層を有し、
    前記第2の光散乱層の前記半導体層とは逆側の主表面にテクスチャーが形成されている、請求項1から12の何れか1記載の太陽電池。
  14. 半導体膜の主表面に光を散乱させる導電性を有する光散乱層を形成する光散乱層形成工程と、
    前記光散乱層上に導電層を形成する導電層形成工程を有し、
    前記光散乱層の前記電極層側の主表面は、前記半導体層の前記光散乱層側の主表面の凹凸より大きな凹凸を有するテクスチャー形状である、太陽電池の製造方法。
  15. 前記半導体層の前記主表面の形状は、結晶方位性によるエッチング速度差を有するエッチング工程により形成されたテクスチャー形状である、請求項14記載の太陽電池の製造方法。
  16. 前記光散乱層は、亜鉛と酸素を少なくとも含む膜からなる、請求項14または15記載の太陽電池の製造方法。
  17. 前記光散乱層は、無添加の亜鉛酸化物からなる、請求項14から16の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
  18. 前記光散乱層は、B、Al、Ga、Nからなる群から選ばれる少なくとも1を含む元素が添加された亜鉛酸化物からなる、請求項14から16の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
  19. 前記光散乱層は、有機金属気相成長工程により形成された結晶性膜である、請求項14から18の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
  20. 前記半導体層は、ヘテロ接合シリコンからなる、請求項14から19の何れか1記載の太陽電池の製造方法。
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