JP2019003167A - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー像が乱れる、トナー定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供する。【解決手段】定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。加えて、定着装置100では、駆動回転体が、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかであり、従動回転体が、加熱ローラ54であり、加熱ローラ54の熱膨張分を補正して、駆動回転体の速度を制御する。【選択図】図10

Description

本発明は、定着装置、及びこれを備える画像形成装置に関するものである。
従来から、加熱ローラ等の加熱部材と定着ローラ等の定着部材に張架された定着ベルト等の無端ベルトと、加圧ローラ等の加圧部材との間を搬送するときに用紙等の記録材上のトナー画像を定着させる定着装置を備えた画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、次のような定着装置を備えた画像形成装置(カラープリンタ)が記載されている。
回転検知手段(回転速度検出手段)を用いて検知した、無端ベルトが架け回された従動回転体(第2ローラ)の回転速度が一定となるように、駆動回転体(定着部材)を回転駆動する速度(回転速度)が制御される定着装置である。
このように制御することで、正確に記録材の搬送速度を検知(検出)し、正確な速度で記録材の搬送が行えるとされている。
しかしながら、従来の構成では、無端ベルトの線速が最適な値からずれることがあった。特に、定着ニップへの記録材の通紙開始直後に、無端ベルトの線速が最適な値からずれることが多かった。
このように、無端ベルトの線速が最適な値からずれると、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れが発生してしまう。
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御され、前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、前記従動回転体が、前記加熱部材であり、前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする。
本発明によれば、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー像が乱れる、トナー定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
一実施形態に係る、プリンタの概要構成説明図。 一実施形態のプリンタに好適に備えることができる、2つのベルト加熱方式の定着装置の構成例の説明図。 構成例1に係る、回転検知部材の説明図。 構成例2に係る、回転検知部材の説明図。 構成例3に係る、回転検知部材の説明図。 構成例4に係る、回転検知部材の斜視説明図。 定着ローラの回転速度を一定に保ち、定着装置への用紙の連続通紙を行った場合の通紙時間と定着ベルトの線速の変化の関係の一例を示したグラフ。 定着ローラのローラ温度とローラ径の関係の一例を示したグラフ。 連続通紙中の紙間で回転速度の調整を行うときのタイミングチャートの一例。 加熱ローラの温度を検出する温度検知手段の例の説明図。 加熱ローラの長手方向の温度分布の例の説明図。 加熱ローラの熱膨張の例の説明図。 定着ローラに加圧ローラが当接してニップ圧が生じた状態と、離間した離間状態の説明図。 キャリブレーションを行うときの説明図。 自動動モードで行う、キャリブレーションが必要かどうかの判定とキャリブレーション実行の流れの説明図。 定着ベルトの線速をフィードバック制御する過程で、狙いの線速に対する現在の線速のズレ量が閾値をこえた場合の説明図。 定着ローラの芯金の温度を検知する温度検知手段を設置した定着装置の例の説明図。 定着ローラの芯金の温度と脱圧/加圧時の線速比の一例を示したグラフ。 定着装置の蓄熱補正を行った場合と、蓄熱補正を行わなかった場合の線速を比較したグラフ。
以下、本発明を適用した定着装置を備えた画像形成装置として、電子写真方式のタンデム型カラープリンタ(以下、プリンタ200という。)の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る、プリンタ200の概要構成説明図である。
プリンタ200は、図1に示すように、装置本体上部に位置する画像形成部200Aと、この画像形成部200Aの下方に位置する給紙部200Bとを備える高速機(プロダクション機)であり、画像形成部200Aに定着装置100を組み込んでいる。
画像形成部200Aには、装置本体の上下方向着中央に中間転写ベルト210が配置されており、中間転写ベルト210の上部には、色分解色と補色関係にある複数の色に対応したトナー像を形成するための構成が設けられている。具体的には、各補色関係にある色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を担持可能な像担持体(潜像担持体)としての感光体205Y,M,C,Kが中間転写ベルト210の上部転写面に沿って並べて配置されている。
感光体205Y,M,C,Kは、それぞれ同じ方向(図中、反時計回り方向)に回転可能なドラム形状のものである。そして、各感光体205の周りにはそれぞれ、帯電装置202Y,M,C,K、現像装置203Y,M,C,K、一次転写装置204Y,M,C,K及び感光体クリーニング装置206Y,M,C,K等が配置されている。
現像装置203Y,M,C,Kには、それぞれのカラートナーが収容されている。また、画像形成部200A内の最上部には、光書き込み装置201Y,Mと、光書き込み装置201C,Kが配置されている。
中間転写ベルト210は、駆動ローラと従動ローラに掛け回されて感光体205Y,M,C,Kとの対向位置において、同じ方向に移動可能な構成を有している。
また、従動ローラの1つである二次転写対向ローラ211に対向する位置に、二次転写ローラ212が設けられている。
また、二次転写ローラ212から定着装置100までの、記録材(シート)としての用紙Pの搬送経路は、略水平方向の横パスとなっている。
給紙部200Bは、用紙Pを積載収容する給紙トレイ220と、該給紙トレイ内の用紙Pを最下のものから順に1枚ずつ分離して、二次転写ローラ212の位置まで搬送する搬送機構を有している。
このプリンタ200における画像形成に当たっては、感光体205Yの表面が帯電装置202Yにより一様に帯電され、画像読取部からの画像情報に基づいて感光体205Y上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像はイエロー(Y)のトナーを収容した現像装置203Yによりトナー像として可視像化され、このトナー像は所定のバイアスが印加される一次転写装置204Yにより中間転写ベルト210上に一次転写される。
他の感光体205M,C,Kでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト210上に静電気力で順に転写されて重ね合わせられる。
次に、感光体205Y,M,C,Kから中間転写ベルト210上に一次転写されたトナー像は、二次転写対向ローラ211、二次転写ローラ212により搬送されてきた用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、さらに定着装置100まで搬送され、定着ベルト51と加圧ローラ55との定着ニップ部(以下、定着ニップNという。)にて定着が行なわれ、定着ニップNの出口側に排出される。ついで、定着ニップNから排出された用紙Pは排出経路に沿ってスタッカ215へ送り出される。
また、中間転写ベルト210上に一次転写されずに感光体205Y,M,C,K上に残った転写残トナー等は、それぞれ感光体クリーニング装置206Y,M,C,Kで除去される。また、用紙P上に二次転写されずに中間転写ベルト210上に残った転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置213で除去されて、次の画像形成に備える。
次に、本実施形態のプリンタ200に好適に備えることができる、2つのベルト加熱方式の定着装置100の例を、図を用いて説明する。
図2は、本実施形態のプリンタ200に好適に備えることができる、2つのベルト加熱方式の定着装置の構成例の説明図であり、図2(a)が、加熱ローラ54の加熱手段として、加熱ローラ54の内部にハロゲンヒータ等の加熱ヒータ53aを備える例の説明図である。また、図2(b)が、加熱ローラ54の加熱手段として、加熱ローラ54に架け回す定着ベルト51の外周部に対向して誘導加熱手段53bを設けた例の説明図である。
図2(a)に示す構成例と、図2(b)に示す構成例の定着装置100では、加熱ローラ54を加熱する加熱手段に係る点のみ異なるため、まず、各図に示した構成例に共通する構成を中心に説明する。
図2(a)、図2(b)(以下、適宜、図2という。)に示す定着装置100は、定着カバー100aの内部に、定着ローラ52、加熱ローラ54、定着ベルト51、及び加圧ローラ55を備えている。そして、定着ベルト51を挟んで定着ローラ52に加圧ローラ55が圧接されて、定着ベルト51と加圧ローラ55との間に定着ニップNが形成される。
定着ニップNの用紙Pの排出側には定着分離部材57、加圧分離部材58を備えている。
定着ローラ52は、金属の芯金52aにシリコンゴム等からなる弾性ゴム層52bを有したものである。ここで、弾性ゴム層52bの材料としては、ウォームアップ時間短縮のため、定着ベルト51の熱を吸収しにくいように、発泡のシリコンゴムを用いることもできる。
加熱ローラ54は、ステンレス又はニッケル合金の中空ローラで、図2(a)に示す構成例では、その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ53aが設けられており加熱される。一方、図2(a)に示す構成例では、加熱ローラ54に架け回す定着ベルト51の外周部に対向して、電磁誘導によるIHシステムの加熱手段である誘導加熱手段53bが設けられており加熱される。
定着ベルト51は、無端ベルトであり、断面構造としては、例えばポリイミドなどの基材にシリコンゴム層などの弾性層を形成した2層構造となっている。
そして、定着ベルト51は、加熱ローラ54と定着フレームに固定された加熱ローラ引張りばねにより一定のテンションで、定着ベルト51と加熱ローラ54に架け渡されている。
加圧ローラ55は、アルミ又は鉄等の中空ローラで、その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ53aが設けられ、中空ローラの外周上にシリコンゴム等からなる弾性層が設けられた円筒形状のローラである。
また、加圧ローラ55は、次のような加圧脱圧手段80により、定着ベルト51側へ加圧する加圧状態と、定着ベルト51から離間して脱圧された脱圧状態(離間状態)とに切り替え可能に構成されている。
加圧脱圧手段80は、図2に示すように加圧レバー81、加圧スプリング82、加圧カム83、及び加圧カムシャフト84を有し、加圧カムシャフト84をカム駆動モータで回転させることで、加圧状態と脱圧状態とに切り替え可能に構成されている。具体的には、加圧カムシャフト84を回転させることで、加圧ローラ55を定着ベルト51側へ移動させて加圧することと、加圧ローラ55を定着ベルト51から引き離す方向に移動させて離間させて脱圧することが可能である。
また、この加圧脱圧手段80を用いて、カム駆動モータにより加圧カム83のカム位置を調整することで、所定のニップ圧を得ることもできる。
定着装置100を駆動するときには、例えば、定着駆動モータによる、定着ローラ52の図2図中、時計回り方向の回転駆動により定着ベルト51が用紙Pを排出する方向に回転し、定着ベルト51に圧接している加圧ローラ55がつれ回りする。ここで、回転駆動されるローラは定着ローラ52に限らず加圧ローラ55であっても良い。
定着動作時には、図2(a)に示す例では、まず加熱ローラ54の内部に設けられた加熱ヒータ53aにより加熱ローラ54が加熱され、定着ベルト51へ伝熱される。定着ベルト51が、サーモパイル56で検出される温度が所定の温度(例えばトナー定着に適する温度)まで、加熱ローラ54が加熱される。
一方、図2(b)に示す例では、まず加熱ローラ54外部に設けられた誘導加熱手段53bの電磁誘導により加熱ローラ54が加熱され、定着ベルト51へ伝熱される。定着ベルト51が、サーモパイル56で検出される温度が所定の温度まで、加熱ローラ54が加熱される。
また、加圧ローラ55においても、昇温の際など必要なときに、内部に配置された加圧ヒータ59の発熱により所定の温度まで加熱される。ここで、本実施形態では、加圧部材としてローラタイプの加圧ローラ55を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、2つのローラに架け渡された無端ベルトを用いたベルトタイプの加圧部材としても良い。
定着装置100では、定着ベルト51、加圧ローラ55が回転駆動された状態で、定着ベルト51の表面は所定の温度まで加熱されており、定着ニップNに未定着のトナー像Tが担持(形成)された用紙Pが搬送(通紙)される。そして、定着ニップNにおける加圧及び加熱により、未定着のトナー像Tを用紙Pに定着される。
このとき、用紙Pが定着ベルト51に巻き付いたまま出てくることがあるため、定着分離部材57により分離される。また、加圧ローラ55側に巻き付いて排出される用紙Pは、加圧分離部材58により分離され、搬送ガイドに沿って搬送される。
定着装置100においては、加熱ローラ54が所定の温度まで加熱され、定着装置100での給紙許可がなされた後、定着ニップNへ用紙Pが通紙(搬送)されることになる。
しかし、用紙Pが連続で通紙される通紙ジョブの場合(連続通紙中)、定着ニップNから用紙Pが奪う熱量を補うため、加熱ローラ54は継続的に加熱される。
加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51は定着ニップNに熱を運び、用紙Pにトナーを定着させるが、同時に定着ローラ52にも熱を継続的に与えている。
連続通紙にて継続的に熱が与えられた定着ローラ52は熱膨張により、給紙許可時よりも外径が大きくなって定着ベルト51の移動速度(周速、線速)が増加する(速くなる)。定着ローラ52の熱膨張は弾性体であるシリコンゴムの熱膨張係数(シリコンゴムの熱膨張係数の代表値:3.0×10−4[/℃])によるところが大きい。よって、与えられる単位時間当たりの熱量と設定温度で膨張量は概略決まり、それにともなって定着ベルト51の移動速度、つまり定着ニップNを搬送される用紙Pの速度が変化してしまう。
このような定着ベルト51の移動速度の増加は、定着ローラ52を回転駆動する構成よりも少ないものの、加圧ローラ55を回転駆動する構成においても同様な理由により生じ、回転駆動する加圧ローラ55の熱膨張により、定着ベルト51の移動速度が増加する。
これらのため、定着ニップNを搬送される用紙Pの搬送速度を所定速度に保つためには、定着ベルト51の移動速度と略同一な速度で回転する加熱ローラ54の検知した回転速度に基づいて、回転駆動される定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの回転速度を制御することが望ましい。すなわち、熱膨張などの熱変形や経年変化により回転駆動される定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかのローラ径(外径)が変化しても、加熱ローラ54に架け回された定着ベルト51の移動速度、つまり記録材の搬送速度を、精度良く検知することができる。
ここで、加熱ローラ54についてもアルミや鉄を用いる場合、熱膨張係数は鉄が11.7×10−6[/℃]、アルミニウムが23.0×10−6[/℃]であり、無視できないことが分かった。
アルミニウムでは、20℃から270℃まで変化する場合、0.6%ほど大きくなり、加熱ローラ54の回転速度を、同じ回転速度(角速度)に維持した場合でも、変動することになる。その結果、定着ベルト51の速度(移動速度)、用紙Pの速度(搬送速度、移動速度)も狙いより速くなり、用紙Pを引張り気味となり、画像こすれなどの要因なる。
また、加熱ローラ54の回転数を検知する際に、加圧ローラ55の当接/離間、及び、当接時のニップ圧を複数段階に設定可能な構成を持つ場合には、同一ニップ圧の状態では、回転検知して補正してもかまわない。しかし、異なるニップ圧の状態での検知、補正を行うと、狙いの定着ベルト51の線速が得られないことになる。
また、本実施形態のプリンタ200のように高速な画像形成動作(印刷動作)が行えるプロダクション機では、高寿命化、高画質化のため通紙印刷中以外は加圧ローラを離間または脱圧して、通紙直前に加圧する方式(以下、直前加圧方式という。)をとっている。しかし、加熱ローラ54の回転数を検知して補正するには数秒の時間がかかり、直前加圧方式では、印刷開始後に加熱ローラ54の回転数を検知して定着駆動モータの回転数を補正することになり、1stプリント(1枚目の印刷)に時間を要してしまう。
これを、回避するために、直前加圧前、つまり脱圧状態で、加熱ローラ54の回転数を検知すると、加圧状態に比べて10%以上のズレが発生することが分かった。これを解消するため、通紙1枚目つまり加圧直後の定着駆動モータの回転数(速度)は、事前に検証しておいた脱圧時と加圧時の回転数比:k(線速比)を把握して補正することで、狙いのベルト速度が得られる。
しかし、この脱圧時と加圧時の回転数比:kが、定着動作にともなって昇温する定着装置100の蓄熱状態(加熱蓄熱状態)により、一定の値とならないことが分かった。
これらの不具合に対する、発明者らが見出した改善方法、及び定着装置100の構成については、詳しく後述する。
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知手段である回転検知部材63の構成について複数の構成例を挙げ、図を用いて説明する。
(構成例1)
まず、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例1について、図を用いて説明する。
図3は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、図3(a)が、加熱ローラ54の長手方向に直交する断面の説明図、図3(b)が、加熱ローラ54の長手方向に平行な断面の説明図である。
ここで、図3では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
図3に示す回転検知部材63は、加熱ローラ54の回転軸上に被検知部材として磁気エンコーダ63cを設け、この磁気エンコーダ63cの磁気部の有無(通過)を検知部材としての磁気センサ63dで検知するものである。
本構成例は、図3(a)に示すように磁気エンコーダ63cに有した4つの磁気部の有無を磁気センサ63dで検知するものであり、図3(b)に示すように磁気エンコーダ63cと磁気センサ63dは、加熱ローラ54の長手方向の一端側に設けられている。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設ける被検知部である磁気部の数は、4つに限定されるものではない。
また、上述したように加熱ローラ54の回転軸上の長手方向一端側に被検知部材を設け、この被検知部材を検知部材で検知する構成としては、上述したような磁気検知方式のものに限定されるものではない。
例えば、被検知部材としてスリットエンコーダ63aや回転フィラー63fを設け、これらの被検知部の有無(通過)をフォトセンサ63bで検知する方式のものでも良い。
(構成例2)
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例2について、図を用いて説明する。
図4は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、図4(a)が、加熱ローラ54の長手方向に直交する断面の説明図、図4(b)が、加熱ローラ54の長手方向に平行な断面の説明図である。
ここで、図4では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
図4に示す回転検知部材63は、加熱ローラ54の外周面上に被検知部材としてマーク63eを設け、このマーク63eの有無(通過)を検知部材としてのフォトセンサ63bで検知するものである。
本構成例は、図4(a)に示すように加熱ローラ54の外周面上に設けた1つのマーク63eの有無をフォトセンサ63bで検知するものであり、図4(b)に示すようにマーク63eとフォトセンサ63bは、加熱ローラ54の長手方向の一端側に設けられている。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設ける被検知部であるマーク63eの数は、1つに限定されるものではない。
また、上述したように加熱ローラ54の回転軸上の長手方向一端側に被検知部材を設け、この被検知部材を検知部材で検知する構成としては、上述したようなマーク検知方式のものに限定されるものではない。
例えば、被検知部材として磁性部材を設け、この磁性部材の有無(通過)を磁気センサ63dで検知する方式のものでも良い。
(構成例3)
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例3について、図を用いて説明する。
図5は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、定着ローラ52の長手方向に直交する断面を示している。
ここで、図5では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
図5に示す回転検知部材63は、加熱ローラ54から回転力が伝達されて回転する回転体としての被回転伝達手段62の回転軸上に被検知部材として回転フィラー63fを設け、検知部材としてのフォトセンサ63bで検知するものである。
具体的には、加熱ローラ54の長手方向一端部には、加熱ローラ54を支持する形状であって、その外周面に加熱ローラ54の回転力を伝えるギヤ等の第一回転伝達手段としての加熱ローラ回転伝達手段61が設けられている。また、加熱ローラ回転伝達手段61と噛み合うギヤ等を有した第二被回転伝達手段としての被回転伝達手段62が、加熱ローラ回転伝達手段61に対向して配置されている。
また、被回転伝達手段62は、引張りコイルバネ等の回転伝達手段付勢部材72によって、加熱ローラ回転伝達手段61へ押し当てられる(図2(b)参照)。
上述した構成とすることで、加熱ローラ54よりも速い回転速度で回転する被回転伝達手段62の回転速度を、回転検知部材63を用いて検知し、加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度(回転状態)を検知することが可能となっている。
このように検知することで、加熱ローラ54自体の回転速度を直接、回転検知部材63を用いて検出する構成に比べて、より高精度な加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度を検知することが可能となっている。
そして、回転検知部材63は、4枚のフィラーを有した被検知部材であり、回転体である回転フィラー63fと、回転フィラー63fの各フィラーによる遮光/通光を検知する検知部材としてのフォトセンサ63bとから構成されている。
図5に示す回転フィラー63fは、加熱ローラ54と同期するとともに増速されて回転するため、通常のフォトセンサで読むには高速である。このため、実際には、所定時間例えば10秒に何回転したか、または、分割フィラーであれば、何回high/low信号が変化したかをカウントすれば、精度よく加熱ローラ54の回転速度を検知することができる。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設けるフォトセンサ63bで検知する所定の時間は、検知精度や、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度の切り替え精度を考慮して適宜、定めれば良い。
例えば、本構成例では、検知時間を50秒程度に設定して検知することで、0.5[%]以下の速度変動を検知し、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度へのフィードバックを実施している。
また、回転検知部材63は、被検知部材としての4枚のフィラーを有した回転フィラー63fと、検知部材としてのフォトセンサ63bからなるものに限定されるものではない。例えば、回転フィラー63fに有するフィラーは4枚に限定されない。
(構成例4)
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例4について、図を用いて説明する。
図6は、本構成例に係る、回転検知部材63の斜視説明図である。
ここで、図6では、加熱ローラ54の加熱手段として誘導加熱手段53bを用いた例を示している。
図6に示す回転検知部材63は、加熱ローラ54から回転力が伝達されて回転する回転体としての被回転伝達手段62の回転軸上に被検知部材としてスリットエンコーダ63aを設け、検知部材としてのフォトセンサ63bで検知するものである。
具体的には、構成例3と同様に、加熱ローラ54の長手方向一端部には、加熱ローラ54を支持する形状であって、その外周面に加熱ローラ54の回転力を伝えるギヤ等の第一回転伝達手段としての加熱ローラ回転伝達手段61が設けられている。また、加熱ローラ回転伝達手段61と噛み合うギヤ等を有した第二被回転伝達手段としての被回転伝達手段62が、加熱ローラ回転伝達手段61に対向して配置されている。
また、被回転伝達手段62は、引張りコイルバネ等の回転伝達手段付勢部材72によって、加熱ローラ回転伝達手段61へ押し当てられる(図2(b)参照)。
上述した構成とすることで、構成例3と同様に、加熱ローラ54よりも速い回転速度で回転する被回転伝達手段62の回転速度を、回転検知部材63を用いて検知し、加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度を検知することが可能となっている。
このように検知することで、加熱ローラ54自体の回転速度を直接、回転検知部材63を用いて検出する構成に比べて、より高精度な加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度を検知することが可能となっている。
そして、回転検知部材63は、複数のスリットを有した被検知部材であり、回転体であるスリットエンコーダ63aと、スリットエンコーダ63aの各スリットによる遮光/通光を検知する検知部材としてのフォトセンサ63bとから構成されている。
図6に示すスリットエンコーダ63aは、加熱ローラ54と同期するとともに増速されて回転するため、通常のフォトセンサで読むには高速である。このため、実際には、所定時間(例えば10秒)に何回転したか、または、分割フィラーであれば、何回high/low信号が変化したかをカウントすれば、精度よく加熱ローラ54の回転速度を検知することができる。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設けるフォトセンサ63bで検知する所定の時間は、構成例3と同様に、検知精度や、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度の切り替え精度を考慮して適宜、定めれば良い。
また、回転検知部材63の構成としては、被検知部材としてスリットエンコーダ63aを設け、検知部材としてフォトセンサ63bを設ける構成に限定されるものではない。
例えば、被検知部材として磁気エンコーダ63cを設け、この磁気エンコーダ63cの有無(通過)を磁気センサ63dで検知する方式のものでも良い。
磁気エンコーダ63cは、スリットエンコーダ63aと比較すると小さく、また磁気センサ63dもフォトセンサ63bより小さい。これにより、センサ等のレイアウトスペースを小さくすることができ、定着装置100の小型化が可能になる。
また、被回転伝達手段62を、定着ローラ52と加熱ローラ54に架渡された定着ベルトの内側に入れることで、定着ベルト51の蛇行、ベルト寄り等により、定着ベルト51端部と被回転伝達手段62の接触を考慮しなくて良い。
このため、定着ベルト51の幅方向における定着装置100の小型化も可能になる。
ここで、定着ニップNを搬送される用紙Pの搬送速度を所定速度に保つためには、加熱ローラ54の検知した回転速度に基づいて、回転駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの回転速度を制御することが望ましい理由について、図を用いて詳しく説明しておく。
図7は、定着ローラ52の回転速度を一定に保ち、定着装置100への用紙Pの連続通紙を行った場合の通紙時間と定着ベルト51の線速の変化の関係の一例を示したグラフであり、定着ベルト51の線速は初期速度を100[%]としている。図8は、定着ローラ52のローラ温度とローラ径(定着R)の関係の一例を示したグラフである。
例えば、定着ローラ52の熱膨張での外径変化は、定着装置100を回転駆動する定着駆動モータの回転数が一定の場合、定着ローラ52表面の線速が大きくなり、定着ベルト51の移動速度(回転線速)、加熱ローラ54の回転数が速くなる。
そして、仮に、定着装置100への用紙Pの連続通紙を行った場合、連続通紙を行う時間にともなって、図7に示すように、定着ベルト51の線速が大きくなる。
また、プリンタ200における、定着装置100の設定(調整)可変域での定着ローラ52の温度と、定着ローラ52のローラ径(定着R)との関係は、図8のグラフに示すように、一定の勾配を保って変化する。
しかし、プリンタ200等による実際の画像形成動作(印刷動作)は、連続して行う画像形成枚数が変化したり、環境変化や定着するトナー像Tの総量(画像濃度)等が変化したり、経年変化により定着ローラ52や加圧ローラ55の外径が変化したりする。
これらのため、図7や図8の関係を予め記憶しておき、連続通紙を行う時間や作像条件に応じた定着ローラ52の設定温度、検知した定着ローラ52や加圧ローラ55の回転速度に基づいて、定着ベルト51の移動速度を精度良く所定の速度維持することは難しい。
一方、定着ニップNを搬送される用紙Pの移動速度と略同一な定着ベルト51を架け回した加熱ローラ54は、定着ローラ52の弾性ゴム層52b等の弾性層を設けていないため、熱膨張や経年変化の影響を受け難い。このため、加熱ローラ54の検知した回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの回転速度を制御することで、定着ベルト51の移動速度を所定の速度に、精度良く維持することが可能となる。
上述した理由により、定着ローラ52の熱膨張による定着ベルト51の移動速度(線速)の変化を、加熱ローラ54の回転数の変化として捉えることができる。
このため、本実施形態の定着装置100は、定着ベルト51の移動速度を一定制御するため、加熱ローラ54の回転速度や回転検知回転数に応じて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度が調整される。
そして、近年、画像形成後の画像品質に対する高画質化の要請が、従来にも増して高まっている。
しかし、上述したように、定着ローラ等の定着部材及び加圧ローラ等の加圧部材の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、加熱ローラ等の加熱部材の回転速度に基づいて制御される従来の定着装置では、次のような不具合が生じる場合があった。
定着ニップを通過するトナー画像を担持した記録材表面、又はトナー画像に接触した無端ベルト表面の速度に変動が生じて、軟化したトナー画像が部分的に乱れる定着画像の乱れが発生してしまい、高画質化の要請を満足させることができない場合である。
また、従来から定着ローラ52等の回転速度は、熱膨張による振れ幅の範囲を考慮して設定されていたが、転写と定着間の距離が短い場合、熱膨張による定着ローラ52等の回転速度の振れ幅を吸収できない場合がある。定着ニップN(定着部)における用紙P等の記録材の速度が所定の速度に対して遅ければ、たるみによるこすれが発生し、速ければ定着ニップNからの引っ張りによる二次転写部等の転写部でのブレ画像などが発生してしまう。
上述したような不具合の発生を抑制するためには、次のような3つの方法が挙げられる。
1つ目の方法は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときであるように構成する方法である。
2つ目の方法は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を、従来よりも高精度に、且つ、1回当たりの変更量を少なくするように制御するため、回転検知部材63を用いた加熱ローラ54の回転速度の検知精度を、従来よりも高める方法である。
3つ目の方法は、加圧脱圧手段80による脱圧時に検知した回転検知部材63の検知結果に基づいて、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度の制御を行う。そして、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度の設定は、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定する方法である。
まず、1つ目の方法(構成)について、より具体的に説明する。
定着装置100は、上述したように、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。そして、定着装置100は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更するタイミングが、定着ニップNを用紙Pが通過していないとき、つまり、定着ニップNを用紙Pの紙間が通過しているときになるように設定する。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由により発生していることが分かった。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体を回転駆動する速度(以下、適宜、駆動速度という。)の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動される駆動回転体のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
一方、上述したように構成した定着装置100では、駆動速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときである。このようなタイミングで駆動速度変更を行うので、仮に、定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合であっても、定着ニップNを用紙Pが通過しておらず、駆動速度の変更にともなう定着画像の乱れの発生を抑制できる。
したがって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
また、定着装置100は、駆動回転体が、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかであり、従動回転体が、加熱ローラ54である。
これにより、次のような効果を奏することができる。
回転駆動される定着ローラ52や加圧ローラ55は、熱膨張などの熱変形や経年変化によりローラ径(外径)が変化して定着ベルト51の移動速度が変化してしまう。このため、回転駆動される定着ローラ52や加圧ローラ55自身の検知速度に基づいて、これらの少なくともいずれかの回転速度を制御したとしても、定着ベルト51の移動速度を精度良く制御することができない。
一方、上述したように構成することで、定着ローラ52や加圧ローラ55よりも、熱膨張などの熱変形や経年変化によりローラ径が変化し難い加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの回転速度を制御できるので、定着ベルト51の移動速度を精度良く制御できる。
また、定着装置100は、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させることができる離間手段として加圧脱圧手段80を備えている。
そして、用紙Pを連続通紙中、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
ここで、具体的な例を、図9を用いて説明する。
図9は、連続通紙中の紙間で回転速度の調整を行うときのタイミングチャートの一例である。
図9に示すように、連続通紙中に紙間が定着ニップNを通過しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
これにより、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに用紙を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、駆動回転体の熱変形等により回転駆動される駆動回転体のローラ径の変化によらず設定される値である。このため、回転検知部材で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、上述したように構成することで、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度を設定することができる。
よって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で回転駆動される定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
また、回転検知部材63は、加熱ローラ54、その回転軸上、又は加熱ローラ54から回転力が伝達されて回転する被回転伝達手段62の回転軸上に被検知部材として回転フィラー63f等を設けている。そして、検知部材としてのフォトセンサ63b等で検知する。
これによれば、次のような効果を奏することができる。
加熱ローラ54を常に定着ベルト51に接する状態にでき、加熱ローラ54の回転速度を検知する回転検知部材63は定着ベルト51の回転速度、及び定着ベルト51が破損したときの異常を検知することができる。
また、回転検知部材63は、加熱ローラ54、その回転軸上、又は加熱ローラ54から回転力が伝達されて回転する被回転伝達手段62の回転軸上に設けられたマーク63eと、マーク63eの有無を検知するフォトセンサ63bとで構成することができる。
これによれば、加熱ローラ54の回転速度検出を精度良く検出することができる。
また、回転検知部材63は、スリットエンコーダ63aと、フォトセンサ63bとで構成することができる。
これによれば、回転検知部材63を小さくすることができ、定着装置100を小型化することができる。
また、回転検知部材63は、磁気エンコーダ63cと、磁気センサ63dとで構成することができる。
これによれば、定着ベルト51のベルト蛇行及びベルト寄りにかかわらず、加熱ローラ54の回転速度を精度良く検出でき、かつ定着装置を小型化することができる。
次に、2つ目の方法(構成)について、より具体的に説明する。
定着装置100は、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
加えて、(構成例3)及び(構成例4)で説明したように、加熱ローラ54が支持される、その一端部に設けられた、加熱ローラ54の回転力を伝える加熱ローラ回転伝達手段61を備えている。そして、これに対向して配置され、加熱ローラ回転伝達手段61から加熱ローラ54の回転力が伝達される被回転伝達手段62も備えている。また、被回転伝達手段62を加熱ローラ回転伝達手段61へ向けて付勢する回転伝達手段付勢部材72も備えている。
そして、被回転伝達手段62の回転軸上に回転検知部材63を設け、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更する。
上述したように定着装置100を構成することで、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由により発生していることも分かった。
従来の定着装置では、回転検知手段が従動回転体の回転状態を直接検知しているため、近年の高画質化の要請を満足させる程、検知精度が高くなく、且つ、検知間隔も細かくなかったためである。
このため、駆動回転体を回転駆動する速度である駆動速度を変化させるときの1回当たりの変更量が大きくなって定着画像の乱れが発生する場合があった。
一方、上述したように構成した定着装置100では、加熱ローラ54に加熱ローラ回転伝達手段61を設け、これから回転力が伝達され、加熱ローラ54よりも速い回転速度で回転させることができる被回転伝達手段62に回転検知部材63を設けている。このため、加熱ローラ54の回転速度検出を従来の構成に比べて、より細かく高精度に行うことができる。そして、定着ローラ52の熱変形等により変化する加熱ローラ54の回転速度との関係より、定着ベルト51の移動速度の制御を、従来よりも細かく高精度に行うことができる。
したがって、用紙Pが定着ニップNを通過中に、駆動速度変更を行う場合であっても、1回当たりの駆動速度変更の変更量を、定着画像の乱れが生じない変更量に低減することができる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を、従来よりも精度良く制御できるので、たるみによるこすれや、定着ニップNからの引っ張りによる二次転写部等の転写部でのブレ画像等が発生してしまうことも抑制できる。
また、(構成例3)の説明に用いた図5、及び(構成例4)の説明に用いた図6に示すように、被回転伝達手段62は、定着ベルト51の内部に配置することができる。
このように配置することで、定着装置100を小型化することができる。
次に、3つ目の方法(構成)について、より具体的に説明する。
定着装置100は、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51を介して定着ローラ52に対し、加圧ローラ55を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段80と、加圧ローラ55とを備えている。そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
加えて、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラ54の回転速度に基づいて設定している。そして、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定は、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定される。
上述したように定着装置100を構成することで、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由により発生していることも分かった。
従来の定着装置では、加圧時の定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた加熱ローラの回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラの回転速度とに基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラの回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、プリンタ本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
一方、上述したように構成した定着装置100では、定着装置100の蓄熱状態を定着ローラ52の芯金52aの温度を測定するなどして検出できる。そして、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて、脱圧時に検知した回転検知部材63の検知結果に基づいて制御される、加圧時、つまり用紙Pの通紙初期の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定を行うことができる。
このように回転させる速度の設定を行うことで、プリンタ200のあらゆる使用状態、特に1枚目の用紙Pが通紙される通紙初期の速度が一定になるように定着駆動モータを制御することができ、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持されたトナー像Tが乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
ここで、発明者らは、更なる高画質化を達成するために定着ベルト51の速度が、最適な(狙いの)速度、つまり記録材である用紙P上に転写された後の用紙搬送速度からずれしまう要因と、その改善方法について検討を重ねた。
そして、上述したように加熱部材である加熱ローラ54の熱膨張の影響が無視できないことが新たに分かった。
一方、従来の定着装置としては、上述した特許文献1のように加熱ローラの回転速度を検知して、定着ローラの回転速度を制御するものが知られている。また、特許文献2のように、定着ローラの芯金温度と、加熱ローラの温度を検知して定着ローラの回転速度(回転数)を制御するものも知られている。
しかしながら、従来の構成では、無端ベルトの線速が最適な値からずれることがあった。特に、定着ニップへの記録材の通紙開始直後に、無端ベルトの線速が最適な値からずれることが多かった。
ずれが生じる原因としては、次のようなものが挙げられる。
近年、良好な定着性が得られることと、定着装置の小型化のため、定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかに弾性層が設けられる構成では、設けられる弾性層が厚くなる傾向があるが、弾性層の厚いローラで駆動を行う場合、次のような問題がある。
1つ目は、ゴムは熱膨張係数が大きいのでローラの温度によってローラの外径が変化するため、外径の変化によって定着ベルトの線速が変わることがある。
2つ目は、弾性層であるゴム層が厚いローラで駆動する場合、ニップ形成によってローラのゴムが伸びることにより、ニップ内の線速はローラ外周の線速と異なることである。
このため、定着ベルトの線速をシステムの線速に合わせるには設計段階で、適切な定着駆動モータの回転速度を調査し、調整する必要がある。しかし、その調整した値であっても、ローラに使用しているゴムのロットが変わることや、ニップ幅の調整幅の誤差、経時によってローラの外径や硬度などが変化することによってニップ内の伸び率が変化することによって、線速が変化してしまう。
これらの問題を回避するために、特許文献1や特許文献2に記載されたような技術を用いて、ニップ時における線速を調整している。
また、高画質、高生産性を必要とする画像形成装置では、加圧ローラと、定着ローラ及び定着ベルトは通紙時には離間しており、通紙とほぼ同時に加圧を行う動作を行っている。
これは、加圧ローラの温度が圧接によって高くなると、ブリスタなどの画像問題が生じてしまうため、通紙の直前まで加圧ローラを離間し、温度の上昇を防いでいるためである。
ただし、離間時(脱圧時)とニップ時(加圧時)における定着ベルト線速は変化する。また、通紙は脱圧状態から始まるので脱圧時における線速を検知し、その結果から加圧時の線速が最適になるように定着駆動モータを調整する必要がある。
しかし、定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかに弾性層を設けた構成では、離間時(脱圧時)と加圧時の線速の比率が当初の調整値から変化する可能性がある。このため、通紙開始直後の定着ベルト線速がシステムに最適な値からずれが生じることがあった。
上述したように、無端ベルトの線速が最適な値からずれると、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れが発生してしまう。
そこで、本実施形態のプリンタ200では、定着装置100に後述するような改良を、更に加えることとした。
以下、定着装置100に加える改良の具体的な構成について、複数の実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
まず、定着装置100に加える改良構成の実施例1について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。加えて、本実施例の定着装置100では、駆動回転体が、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかであり、従動回転体が、加熱ローラ54であり、加熱ローラ54の熱膨張分を補正して、駆動回転体の速度を制御する。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
従来の定着装置では、加熱ローラの速度を一定にしても、加熱ローラが僅かでも熱膨張すると定着ベルトの線速がずれ、定着ニップを通る記録材の搬送速度が記録材搬送方向の上流側にある転写手段の排出速度よりも相対的に速くなる場合がある。
このように早くなると、定着ニップに記録材が進入したときに引っ張ることになり、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れが発生するおそれが高まる。
一方、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52もしくは加圧ローラ55の速度を、加熱ローラの熱膨張分を補正して制御するので、従来よりも、定着ベルト51の線速を一定に保つことが可能である。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
次に、図を用いて具体的な構成例の例について説明する。
図10は、加熱ローラ54の温度を検出する温度検知手段の例の説明図である。そして、図10(a)が構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙外温度検知手段91を設けた場合の説明図、図10(b)が構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙内温度検知手段92を設けた場合の説明図である。図11は、加熱ローラ54の長手方向の温度分布の例の説明図であり、通紙外温度検知手段91を設けた例を示している。図12は、加熱ローラ54の熱膨張の例の説明図であり、加熱ローラ54の検知温度と、加熱ローラ54のローラ径の変化を示したグラフである。
上述したように、加熱ローラ54についてもアルミや鉄を用いる場合、その熱膨張は無視できない。そこで、図10(a)、図10(b)に示すように、上述したサーモパイル56とは別に、加熱ローラ54の温度を検知する温度検知手段を設けることとした。
図10(a)に示す例では、上述した構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙外温度検知手段91を設けた加熱ローラ54の回転軸に直交する断面について示しており、定着ベルト51の内周側に設けた構成を示している。一方、図10(b)に示す例では、上述した構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙内温度検知手段92を設けた加熱ローラ54の回転軸に直交する断面について示しており、定着ベルト51の外周側に設けた構成を示している。
ここで、通紙外、通紙内の違いは、例えば、図11に示す加熱ローラ54の回転軸に平行な面における、加熱ローラ54上を通紙される用紙Pの通紙領域の内、外を区別して呼称している。
また、図11に示すように、加熱ローラ54の表面の長手方向の温度分布は、定着ベルト51を介して用紙Pに熱が奪われる通紙領域では、両端部近傍の通紙外領域よりも低くなる。このため、加熱ローラ54の温度を検知する温度検知手段の設置位置としては、加熱ローラ54の長手方向(加熱ローラ54の回転軸方向)の、通紙領域外が望ましい。
そして、通紙外温度検知手段91又は通紙内温度検知手段92で検知した温度に応じて検知した加熱ローラ54の回転速度(定着ベルト51の線速)を補正する。
この補正は、図12に示すように加熱ローラ54の温度が変化すると、加熱ローラ54のローラ径も変化し、熱膨張分の速度が加わった早い定着ベルト51のベルト速度となるので、ベルト速度が一定になるように、定着駆動モータの回転数を変化させる補正である。
具体的な回転駆動モータの回転数の補正は、加熱ローラ54の回転数を検知して定着駆動モータの回転数を補正していた構成とは異なり、以下のような流れとなる。
(補正方法1)
1つ目の補正の流れは、加熱ローラ54の回転数を検知した後、検知された回転数に加熱ローラ54の温度分(熱膨張分)を補正した後、補正した回転数に基づいて定着駆動モータの回転数を補正する流れである。
(補正方法2)
2つ目の補正の流れは、加熱ローラ54の回転数を検知した後、加熱ローラ54の回転数に応じた定着駆動モータの回転数に、加熱ローラ54の温度分(熱膨張分)を補正する流れである。
また、本実施例の定着装置100では、上述したように、加熱ローラ54の熱膨張を補正するときに、加熱ローラ54の温度を直接検知する通紙外温度検知手段91を備えている。
このように構成することで、加熱ローラ54の温度を直接検知した値を用いることができるので、高精度な補正が行える。
一方、上述したように、加熱ローラ54の熱膨張を補正するときに、加熱ローラ54の温度を定着ベルト51上で検知する通紙内温度検知手段92を備えることもできる。
このように構成することで、加熱ローラ54の温度を、定着ベルトを介して検知できるので、通紙内温度検知手段92の配置の自由度が増す。
また、本実施例の定着装置100では、加熱ローラ54の熱膨張を補正するときに、定着温度の目標値を用いることもできる。
このように構成することで、通紙外温度検知手段91や通紙内温度検知手段92等の温度検知手段を追加して設ける必要がないので、定着装置100の低コストに貢献できる。
また、本実施例の定着装置100では、駆動回転体としての定着ローラ52もしくは加圧ローラ55の速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときである。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由でも発生している。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体としての定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転駆動する速度の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
一方、本実施例の定着装置100は、駆動速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときである。このようなタイミングで駆動速度変更を行うので、仮に、定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合であっても、定着ニップNを用紙が通過しておらず、駆動速度の変更にともなう定着画像の乱れの発生を抑制できる。
したがって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
また、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させる加圧脱圧手段80を備え、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正する。そして、次回、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、駆動回転体としての定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態が無い。このため、従来の定着装置では、定着ニップに用紙を迎えるときの、駆動回転体としての定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した加熱ローラ(従動回転体)の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本実施例の定着装置100は、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度を設定できる。
したがって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、加熱ローラ54の径の変化に応じたものにできる。したがって、通紙中に適切な速度で駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成として、上述した構成例1に係る回転検知部材63の構成に適用した例について説明したが、このような構成に限定されるものではない。
例えば、上述した構成例1を含む、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
(実施例2)
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例2について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。加えて、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させる加圧脱圧手段80を備え、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正する。そして、次回、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動する定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転する加熱ローラの回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した従動回転体である加熱ローラ54の回転速度を補正する。そして、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、駆動される定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、駆動されるローラの初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
次に、図を用いて具体的な構成例の例について説明する。
図13は、定着ローラ52に加圧ローラ55が当接してニップ圧が生じた状態と、離間した離間状態の説明図である。そして、図13(a)が、当接ニップ圧3で当接している状態を示し、図13(b)が、当接ニップ圧1で当接している状態を示し、図13(c)が、離間した状態を示している。
実施例1で上述したように、加熱ローラ54についてもアルミや鉄を用いる場合、その熱膨張は無視できない。そこで、実施例1と同様に、図10(a)、図10(b)に示すように、上述したサーモパイル56とは別に、加熱ローラ54の温度を検知する温度検知手段を設けることとした。ここで、設ける温度検知手段は実施例1と同様なものが利用できるので、その構成、補正方法、及び効果等の説明については、適宜、省略する。
また、上述したように、加熱ローラ54の回転数を検知する際に、加圧ローラ55の当接/離間、及び、当接時のニップ圧を複数段階に設定可能な構成を持つ場合には、同一ニップ圧の状態では、回転検知して補正してもかまわない。しかし、異なるニップ圧の状態での検知、補正を行うと、狙いの定着ベルト51の線速が得られないことになる。
そこで、本実施例の定着装置100では、以下に説明するように、予め求めた回転数に定着駆動モータを設定することで、異なるニップ圧の状態で検知した場合でも、精度良く定着駆動モータの回転数の補正(定着ベルト51の速度補正)を行うこととした。
まず、同一のモータ回転数時の当接/離間状態と、ニップ圧における、加熱ローラ54の回転計測時間、定着ベルトの速度(ベルト速度)、及び定着駆動モータのモータ回転数についての、速度補正前の値と、補正後の値の例について、表1、表2を用いて説明する。
表1は、同一のモータ回転数時の当接/離間状態と、ニップ圧における、加熱ローラ54の回転計測時間、定着ベルトの速度(ベルト速度)、及び定着駆動モータのモータ回転数についての、速度補正前の値を記した表である。表2は、表1に示す値を補正変換したときの値の表である。
Figure 2019003167
Figure 2019003167
表1に示すように、当接ニップ圧の状態が異なると、定着駆動モータの回転数が同一の回転数:aであっても、待機・通紙前回転状態である定着ベルト51と加圧ローラ55が離間した状態と、通紙を行う当接ニップ圧が生じた状態とではベルト線速が異なる。
また、通紙時、定着ベルト51と加圧ローラ55を当接させ、ニップ圧が生じた状態でも、例えば、当接ニップ圧1、当接ニップ圧2、当接ニップ圧3と、ニップ圧が所定の範囲で変化する場合には、ニップ圧が増すほどベルト線速も早くなる。
ここで、図13(a)の当接ニップ圧3、及び図13(b)の当接ニップ圧1の状態のように、定着ローラ52と加圧ローラ55の間に定着ベルト51を介して形成される定着ニップNの状態は変化し、図13(c)に示す離間状態では定着ニップNは形成されない。
そして、定着ローラ52に設けた弾性層が加圧によりつぶれることで、同一のモータ回転数(角速度)でも周速が速くなるため、ニップ圧が大きい(つぶれた)状態では、補正するときの補正量が大きくなる。
そこで、本実施例の定着装置100では、ニップ圧に応じて、定着駆動モータの回転数を補正する値を予め求めておき、実施例1で説明した補正方法1や補正方法2により定着駆動モータの回転数を補正するときに用いる。これにより、異なるニップ圧の状態で加熱ローラ54の回転数を検知した場合でも、精度よい速度補正が可能となる。
特に、初期回転速度を狙いの速度に設定する精度を高めることができる。
このように、本実施例の定着装置100では、初期回転速度を、定着ニップNのニップ圧に応じて設定する。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
定着ニップNのニップ圧に応じて、つまり、定着する用紙Pの厚さや種類等に応じて初期回転速度を設定するので、定着する用紙Pの厚さや種類等に応じた良好な定着が行える。
また、本実施例の定着装置100では、駆動する駆動回転体が、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかであり、従動して回転する回転体が、加熱ローラ54部材であり、加熱ローラ54の熱膨張分を補正して、駆動回転体の速度を制御する。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
加熱ローラ54の回転速度(回転数)が一定でも、加熱ローラ54のわずかな熱膨張で定着ベルト51の速度はずれるので、さらに、定着ベルト51の線速のずれを低減することができる。
また、本実施例の定着装置100では、実施例1と同様に、駆動回転体としての定着ローラ52もしくは加圧ローラ55の速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときである。
このように構成することで、実施例1の同様な構成について説明した効果と、同様な効果を奏することができる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成としては実施例1と同様に、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
(実施例3)
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例3について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ローラ52、及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させる加圧脱圧手段80とを備えている。また、定着駆動モータの駆動力が伝達される定着ローラ52、及び加圧ローラ55の少なくともいずれかには弾性ゴム層52bを有している。そして、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧ローラ55による加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、その検知結果に基づいて、定着駆動モータの駆動を制御し、定着ベルト51の線速を最適化する。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動する定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転する加熱ローラの回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本実施例の定着装置100では、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、その検知結果に基づいて、定着駆動モータの駆動を制御して定着ベルト51の線速(速度)を最適化する。
すなわち、加圧したときニップ圧の変化にともなう定着ベルト51の線速が狙いの線速となるための離間中の線速が判明し、離間中の線速を判明した線速の値にすることにより、加圧初期から狙いの線速になるように定着駆動モータの回転速度を補正できる。このように補正することで、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
次に、図を用いて具体的な構成例の例について説明する。
図14は、キャリブレーションを行うときの説明図であり、キャリブレーションを行うときのタイミングシートに、定着ベルト51の線速と定着温度の推移も併記している。
まず、図3に示した構成であって、回転検知部材63として回転フィラー63fを設けた構成に対して、上述した本実施例の特徴を適用した場合について説明する。
本実施例の定着装置100では、定着ベルト51は定着ローラ52と加熱ローラ54に架橋されており、定着駆動モータの駆動で定着ローラ52を回転させる。
加圧ローラ55も定着駆動モータで回転されるが、ワンウェイクラッチを内蔵しているギヤで駆動されており、定着ニップNを形成すると定着ベルト51につれ回るように構成されている。
加熱ローラ54の端部にはギヤが備え付けられており、そのギヤとかみ合う回転フィラー63fがあり、加熱ローラ54と連動して回る構成である。
回転フィラー63fの回転速度は回転検知部材63に有したフォトセンサ63bで検知を行う。フォトセンサ63bはフォトインタラプタであり、回転フィラー63fによって、フォトセンサ63bの検知部が遮光/通光され、それに応じてhigh/lowの信号を出力する。その信号から回転フィラー63fの1回転の時間を算出し、定着ベルト51の線速を計算する構成である。
次に、本実施例における、離間中と加圧中の定着ベルト51の線速の変化をデータとして調べる制御について説明する。この制御は、一般にキャリブレーション(モード)と呼ばれている動作に関わる制御である。
まず、キャリブレーションモードとなったら、次の処理を順に行う。
1.定着駆動モータを所定の回転数で回転する。
2.定着ベルト51を所定の温度になるように加熱ヒータ53a内部にあるハロゲンヒータの点灯を制御する。ハロゲンヒータの制御はON/OFF制御でもPID制御でもよい。
3.定着ベルト51の線速の検知処理を行い、その情報を記録しておく。検知処理には、値が正確になるように、平均処理やフィルター処理を行って良い。
4.定着駆動モータの回転数を変動させずに、加圧ローラ55を加圧させ定着ニップNを形成させる。
5.再び、上記「2.」と「3.」に記載の動作、つまり、定着ベルト51を所定の温度になるように加熱ヒータ53a内部にあるハロゲンヒータの点灯を制御し、定着ベルト51の線速の検知処理を行い、その情報を記録する処理を行う。
6.定着ベルト51から加圧ローラ55を離間させて脱圧し、定着ローラ52及び加圧ローラ55の回転及び加熱ヒータ53aを用いた温度制御を停止する。
7.上述した「3.」と「5.」の処理によって、離間中と加圧中の線速の変化の結果が記録されており、記憶した離間中と加圧中の線速の変化の結果から、加圧中/離間中の線速比率を計算しておく。
(キャリブレーション結果の利用)
通紙処理は、加圧ローラ55が定着ベルト51から離間されている状態で定着ベルト51を回転させつつ、定着ベルト51の温度を所定の温度になるように制御を行い、所定温度に達したら、加圧ローラ55を加圧させ定着ニップNを形成させる。
定着ニップNの形成が完了したとほぼ同時に用紙Pの通紙を開始する。
通紙前の離間回転中において、定着ベルト51の線速の測定を行い、加圧状態の定着ベルト51の線速が目的の線速になるように、離間中の定着ベルト51の線速を調整する。
この測定結果から調整を行うタイミングは離間中も、加圧中でも良い。
以下に具体的なパラメータと制御例を示す。
(パラメータ)
加圧中の定着ベルト51の線速(目的の線速度):450[mm/sec]
加圧中/離間中の定着ベルト51の線速測定比の結果:1.2
離間中の定着ベルト51の線速(目的の線速度):450÷1.2=375[mm/sec]
離間中の定着ベルト51の線速測定結果:370[mm/sec]
離間中の定着ベルト51の測定中における定着駆動モータ回転数:1840[rpm]
定着駆動モータ回転数の補正:1840×375÷370=1865[rpm]
また、キャリブレーションを行う時期については、図14のタイミングチャートに示すように行われる。
前提として、操作者(オペレータ)にキャリブレーションを行う実行ボタンを持たせる。又は、自動的に一定期間(時間または通紙枚数)間隔等で行っても良い。
そして、ニップ幅(当接ニップ圧)を複数持つ場合、使用するニップごとに上述したキャリブレーション(処理)を行う。
そして、キャリブレーションの検知結果に基づいて、定着駆動モータの駆動を制御し、定着ベルト51の線速を最適化する。
また、本実施例の定着装置100では、無端ベルトとしての定着ベルト51の線速を検知する手段として、加熱ローラ54の回転速度を検知する回転検知部材63を有する。
このように構成することで、加熱ローラ54の回転速度を精度良く検出し、無端ベルトである定着ベルト51の線速を検知できる。
また、本実施例の定着装置100では、無端ベルトとしての定着ベルト51の線速を検知する手段として、定着ベルト51の周方向に等間隔にマーキングをし、そのマーキングを読み取ることで定着ベルト51の速度を検知することもできる。
このように構成することで、定着ベルト51の線速を直接測定できる。
また、本実施例の定着装置100では、用紙Pが通過しないときに、加圧ローラ55と定着ローラ52の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知する。そして、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で定着駆動モータを駆動する。
このように構成することで、定着装置100のキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
また、本実施例の定着装置100では、加圧ローラ55が定着ローラ52を加圧するときに、加圧ローラ55の位置を変化させることで、異なるニップ幅を形成する。
このように構成することで、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述したように、用紙Pが通過しないときに、加圧ローラ55と定着ローラ52の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で定着駆動モータを駆動する場合に、加圧するときのニップ幅を、加圧ローラ55の位置を変化させることで形成した異なるニップ幅でおこなうこともできる。
このように構成することで、複数のニップ(幅)でキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
また、本実施例の定着装置100では、加圧ローラ55が定着ローラ52を加圧するときに、加圧ローラ55による加圧力を変化させることで、異なるニップ幅を形成することもできる。
このように構成することで、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述したように、用紙Pが通過しないときに、加圧ローラ55と定着ローラ52の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で定着駆動モータを駆動する場合に、加圧するときのニップ幅を、加圧ローラ55による加圧力を変化させることで形成した異なるニップ幅でおこなうこともできる。
このように構成することで、複数のニップ(幅)でキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成としては実施例1、実施例2と同様に、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
(実施例4)
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例4について説明する。
本実施例の定着装置100は、実施例3に記載した定着装置のキャリブレーション(モード)を手動で行う場合や、自動的に一定期間間隔等で行う場合の、より詳細な複数の具体例を示すものである。
ここで、以下に説明するキャリブレーションを行う場合の複数の具体例の特徴的な構成を除く、本実施例の定着装置100の基本構成は、上述した実施例3の定着装置と同様である。したがって、上述した実施例3の定着装置と同様な本実施例の定着装置100の基本構成についての説明は適宜、省略して説明する。
キャリブレーションモードを実行する方法としては、次に示すものが挙げられる。
(1)手動モード
(2)自動モード
2−1:一定時間間隔で行う方法。
2−2:一定動作時間間隔、又は一定定着(通紙)枚数間隔で行う方法。
2−3:定着ベルト51の線速誤差が一定閾値を超えた場合に行う方法。
上記「(1)」に示した手動モードは、操作者(オペレータ)が画像形成装置に対して、所定のコマンドを送ったときに実行される。
具体的な例としては、プリンタ200の操作パネルに、『キャリブレーションボタン』を設定し、操作者がこのボタンを押すと、キャリブレーションモードに移行し、処理を行う。『キャリブレーションボタン』は物理的なボタンでもよいし、プリンタ200の操作パネル等に表示されるタイプでも良い。
このように、無端ベルトの線速の最適化を、操作者の手動モードなどの手動による指示に基づいて行うことで、操作者(オペレータ)の必要性に応じて、キャリブレーションモードの動作を実行することができる。
ここで、プリンタ200の運転(駆動)状態によっては、キャリブレーションモードに移行することができない場合があるが、この場合にコマンドが送られても、キャリブレーションモードに移行できないようにする。
上記「(2)」に示した自動動モードは、キャリブレーションが必要かどうかの判定条件をもち、必要と判定された場合(キャリブレーション必要フラグを立てる)、決められたシーケンスに従い、キャリブレーションを行うことにする。
ここで、シーケンスとしては、次のものが挙げられる。
1.ウォームアップ動作後にキャリブレーションモードに移行
2.通紙終了後にキャリブレーションモードに移行
3.待機モード移行時にキャリブレーションモードに移行
4.その他調整モード(トナー濃度調整など)時に、並列して移行
ここで、キャリブレーション必要フラグは、キャリブレーションが行われた後に、倒れるものとする。
ここで、自動モードで行う、キャリブレーションが必要かどうかの判定とキャリブレーション実行の流れについて、図15のフロー図を用いて説明しておく。
図15は、自動動モードで行う、キャリブレーションが必要かどうかの判定とキャリブレーション実行の流れの説明図である。
まず、自動モードの判定処理がスタートすると(S1)、詳しくは後述する所定の条件を満たしているか否かを判定し、満たしている場合にフラグを立てるキャリブレーション必要フラグ判定処理を行う(S2)。
次に、キャリブレーション実行可能シーケンスである上述した「1.」から「4.」のシーケンスにある場合にはキャリブレーションモードに移行し、ない場合には上述した「1.」から「4.」のシーケンスになるまでキャリブレーションモードへの移行を保留する(S3)。
キャリブレーションモードに移行したら、キャリブレーション必要フラグが立っているか否かの判断を行い(S4)、フラグが立っていると判断した場合には(S4のYES)、キャリブレーションを実行し(S5)、その後、キャリブレーション必要フラグを倒して(S6)、終了(エンド)し、スタートにループする(S8)。
一方、キャリブレーション必要フラグが立っているか否かの判断で(S4)、フラグが立っていないと判断した場合には(S4のNO)、キャリブレーションを実行せず(S7)、終了(エンド)し、スタートにループする(S8)。
次に、図15を用いて説明したキャリブレーション必要フラグ判定処理(S2)を行うときに満たしているか否かの判断を行う所定の条件について、上述した「2−1」から「2−3」の方法に準じて説明する。
2−1:一定時間間隔で行う方法。
脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、この方式を用いると良い。
時間・時刻の判断については、画像形成装置の内部に時計を持っているため、こちらを利用する。
判定の具体例としては、次のような方法が挙げられる。
(2−1−1):定時方式
1日の中で同じ時間(時刻)に行う。例えば、午後12時なると、必ずキャリブレーションモードに移行するようにする。このとき内部処理としては、その時刻になると『キャリブレーション必要フラグ』を立てることにする。また、1日ではなく、週の中できまった時間に行っても良く、例えば、水曜日の午後12時等の例が挙げられる。
(2−1−2):一定時間経過方式
前回キャリブレーションを行ってから、一定時間経過した場合に行う。
例えば、前回キャリブレーションが行われてから、300時間以上経過した場合、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)等の例が挙げられる。
定着装置100において、上述したように、定時方式、又は一定時間経過方式により
定着ベルト51の線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くす(キャンセルする)ことができる。
2−2:一定動作時間間隔、又は一定定着(通紙)枚数間隔で行う方法。
脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の動作時間に依存する場合、この方式を用いると良い。
また、動作間隔は、定着駆動モータの駆動時間の積算で計算することが適切であるが、定着を行った枚数、つまり定着装置100に通紙枚数で代用しても良い。
より具体的な例としては、次のような例が挙げられる。
(2−2−1):定着駆動モータの駆動時間積算方式
定着駆動モータの駆動時間を積算したカウンタを持ち、積算値が閾値を超えた場合、キャリブレーションモードに移行するようにする。
定着駆動モータの駆動積載時間については、脱圧時と加圧時の線速の関係が、加圧(ニップ状態)の駆動時間に依存する場合は、加圧している時の駆動時間のみを積算するようにしても良い。
例えば、加圧時の定着駆動モータの駆動積算時間の閾値を120Hとし、駆動積算時間のカウンタがこの時間を超えると、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
定着装置100において、このように、定着駆動モータの駆動時間積算方式により、定着ベルト51の線速の最適化を、定着装置100の定着駆動モータの駆動積算時間が一定の時間となった場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の駆動(動作)時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の駆動積算時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
(2−2−2):定着(通紙)枚数積算方式
例えば、加圧時の定着駆動モータの駆動積算時間の閾値を120Hとし、駆動積算時間のカウンタがこの時間を超えると、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
定着装置100において、このように、定着(通紙)枚数積算方式により、定着ベルト51の線速の最適化を、定着装置100で一定以上の枚数定着した場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の定着枚数(通紙枚数)に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定以上の枚数定着(通紙)した毎に行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
2−3:定着ベルト51の線速誤差が一定閾値を超えた場合に行う方法。
定着ベルト51の線速をフィードバック制御する過程で、現在の線速を測定するので、狙いの線速に対するズレ量を計算することが可能である。このズレ量が閾値を超えた場合、キャリブレーションモードに移行するようにする。
これを、図16を用いて、より具体的に説明しておく。図16は、定着ベルト51の線速をフィードバック制御する過程で、狙いの線速に対する現在の線速のズレ量が閾値をこえた場合の説明図である。
図16に示すように、通紙(定着)開始すると、定着ベルト51の線速をフィードバック制御する過程で、現在の線速を測定も開始する。
狙いの線速が、例えば400mm/secの場合のズレ量は、太い両矢印として求めることができ、閾値を、+閾値、−閾値と定め、定めた閾値よりもフィードバック開始するまでのズレ量が、図16に示すように大きい場合、キャリブレーションモードに移行する。
ここで例えば、定着ベルト51の線速ズレの閾値を例えば、0.8[%]としたとする。
すると、通紙(定着)初期の定着ベルト51の線速を測定し、狙いの線速より±0.8[%]以上のズレを生じている場合、キャリブレーションモードに移行することとなる(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
定着装置100において、このように、定着ベルト51の線速誤差が一定閾値を超えた場合に行う方法により、定着ベルト51の線速の最適化を、目標の線速との差が、予め設定された閾値を超えた場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、定着ベルト51の目標の線速との差(ズレ)が大きくなったときに、キャリブレーションモードの動作を行うことができ、キャリブレーションモードの動作を、適切な頻度で行うことができる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成としては実施例3(実施例1、2)と同様に、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
(実施例5)
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例5について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51と加圧ローラ55とを接触させて加圧、離間させて脱圧する加圧脱圧手段80とを備えている。そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
加えて、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラ54の回転速度に基づいて設定している。そして、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定は、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定される。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
従来の定着装置では、加圧時の定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた加熱ローラの回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラの回転速度とに基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラの回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、プリンタ本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
一方、本実施例の定着装置100では、定着装置100の蓄熱状態を定着ローラ52の芯金52aの温度を測定するなどして検出できる。そして、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて、脱圧時に検知した回転検知部材63の検知結果に基づいて制御される、加圧時、つまり用紙Pの通紙初期の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる速度の設定を行うことができる。
このように回転させる速度の設定を行うことで、プリンタ200のあらゆる使用状態、特に1枚目の用紙Pが通紙される通紙初期の速度が一定になるように定着駆動モータを制御することができ、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持されたトナー像Tが乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
次に、図を用いて具体的な構成例の例について説明する。
図17は、定着ローラ52の芯金52aの温度を検知する芯金温度検知手段93を設置した定着装置100の例の説明図、図18は、定着ローラ52の芯金52aの温度と脱圧/加圧時の線速比の一例を示したグラフである。また、図19は、定着装置100の蓄熱補正を行った場合と、蓄熱補正を行わなかった場合の線速を比較したグラフであり、図19(a)が蓄熱補正を行わなかった場合のグラフ、図19(b)が蓄熱補正を行った場合のグラフである。
まず、図3に示した構成であって、回転検知部材63として回転フィラー63fを設けた構成に対して、上述した本実施例の特徴を適用した場合について説明する。
図17に示すように、本実施例の定着装置100は、上述したように、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
定着ローラ52には、その芯金52aに芯金52aの温度を検出するための、芯金温度検知手段93が設置されている。
そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくいずれかを回転駆動する速度の設定を、次のように行っている。
回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度と、芯金温度検知手段93により検知された定着ローラ52の芯金52aの温度の結果を用いて補正することで、検知した加熱ローラ54の回転速度のズレ量を適正に補正することができる。
これにより、次のような効果を奏することができる。
図18に示すように、加熱ローラ54の脱圧状態の線速(回転速度)と加圧状態の線速の比は、定着装置100の蓄熱状態、すなわち定着ローラ52等の温度に相関がある。特に、定着ローラ52の芯金52aの温度に対しては強い相関がある。
例えば、図11に示すように芯金52aの芯金温度が高くなるにつれ、加熱ローラ54の脱圧状態と加圧状態の線速比(回転速度の比)も大きくなる。
これは、定着ローラ52の熱膨張によるもので、定着ローラ52はそれ自体の内部には加熱手段がなく、定着ベルト51から熱を受けるため、定着ローラ52の外周面側から温度が上昇していき熱膨張が起こっている。
本実施例の定着装置100では、定着ローラ52の芯金52aの温度を芯金温度検知手段93により測定することで、定着ローラ52の蓄熱状態(加熱状態)を測定している。
ここで、図19(a)に示すように、本実施例の定着装置100による定着装置100の蓄熱補正を行わなかった場合、つまり蓄熱状態を加味した補正を行なわなかった場合は脱圧時と加圧時の補正を一定としている。このため、蓄熱量が小さい蓄熱小の場合と、蓄熱量が大きい蓄熱大の場合で加圧時の線速(回転速度)に違いが発生している。
これに対して、図19(b)に示すように、本実施例の定着装置100による定着装置100の蓄熱補正を行った場合、つまり蓄熱状態により補正量を変えた場合は、蓄熱小と蓄熱大のいずれの場合でも加熱時の線速を一定にすることができる。
また、上述したように、本実施例の定着装置100では、その蓄熱状態の検出は、定着ローラ52の温度を検出することで行われる。
これにより、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラ54の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置100の蓄熱状態の値として定着ローラ52の温度を検出することができ、簡易な構成で定着ベルト51の線速を最適化できる。
加えて、本実施例の定着装置100では、その蓄熱状態の検出は、定着ローラ52の芯金52aの温度を検出することで行われる。
これにより、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラ54の回転速度の比に相関のある定着装置100の蓄熱状態の値として、強い相関のある定着ローラ52の芯金52aの温度を芯金温度検知手段93で計測する等して検出することができる。
したがって、簡易な構成で無端ベルトの線速を高精度に最適化できる。
また、本実施例の定着装置100では、加圧脱圧手段80による加圧と脱圧は、用紙Pの通紙中以外は脱圧され、通紙直前で加圧される。
これにより、プリンタ200の高寿命化、高画質化を達成しつつ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮できる。
また、本実施例の定着装置100では、脱圧時の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の用紙Pが通紙するときに定着駆動モータで回転駆動する、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの速度を設定する。
これにより、プリンタ200の高寿命化、高画質化を達成し、且つ、1stプリントまでに要する時間を短縮しつつ、連続印刷時等の複数の画像形成を行うときの時間短縮を達成できる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成としては実施例1〜実施例4と同様に、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
以上、本実施形態について、図面を参照しながら説明してきたが、具体的な構成は、上述した本実施形態の定着装置100を備えたプリンタ200の構成に限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等を行っても良い。
例えば、画像形成装置各部の構成は任意であり、例えば、タンデム式における各色プロセスカートリッジの並び順などは任意である。
また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御され、前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、前記従動回転体が、前記加熱部材であり、前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
従来の定着装置では、加熱部材の速度を一定にしても、加熱部材が僅かでも熱膨張すると無端ベルトの線速がずれ、定着ニップNなどの定着ニップを通る記録材の搬送速度が記録材搬送方向の上流側にある転写手段の排出速度よりも相対的に速くなる場合がある。
このように早くなると、定着ニップに記録材が進入したときに引っ張ることになり、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れが発生するおそれが高まる。
一方、本(態様A)では、無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度を、加熱部材の熱膨張分を補正して制御するので、従来よりも、無端ベルトの線速を一定に保つことが可能である。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様B)
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御され、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段を備え、前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップNなどの定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本(態様B)では、無端ベルトと加圧部材とが離間しているときに検知した従動回転体の回転速度を補正して、次回、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度が設定される。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った従動回転体の回転速度に基づいて、駆動回転体の初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、無端ベルトと加圧部材とが離間した状態から、定着ニップに記録材を迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で駆動回転体を回転駆動できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様C)
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記定着部材、及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータなどの駆動源と、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段とを備え、前記駆動源の駆動力が伝達される前記定着部材、及び前記加圧部材の少なくともいずれかには弾性ゴム層52bなどの弾性層を有し、離間中の前記無端ベルトの線速と、前記加圧部材による加圧中の前記無端ベルトの線速とを検知し、その検知結果に基づいて、前記駆動源の駆動を制御し、前記無端ベルトの線速を最適化することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本(態様C)では、離間中の無端ベルトの線速と、加圧中の無端ベルトの線速とを検知し、その検知結果に基づいて、駆動源の駆動を制御して無端ベルトの線速を最適化する。
すなわち、加圧したときニップ圧の変化にともなう定着部材の線速が狙いの線速となるための離間中の線速が判明し、離間中の線速を判明した線速の値にすることにより、加圧初期から狙いの線速になるように駆動源の回転速度を補正できる。このように補正することで、無端ベルトの線速を最適化できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様D)
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータなどの駆動源と、前記無端ベルトを介して前記定着部材に対し、前記加圧部材を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段80などの加圧脱圧手段とを備え、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御されるとともに、前記加圧脱圧手段による脱圧時に検知した前記回転検知手段の検知結果に基づいて、加圧時の前記駆動回転体の速度の制御を行い、前記加圧時の前記駆動回転体の速度の設定は、当該定着装置の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、加圧時の駆動回転体を回転する速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた従動回転体の回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での従動回転体の回転速度に基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、画像形成装置本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
一方、本(態様D)では、定着装置の蓄熱状態を定着ローラの芯金の温度を測定するなどして検出できる。そして、定着装置の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて、脱圧時に検知した回転検知手段の検知結果に基づいて制御される、加圧時、つまり記録材の通紙初期の駆動回転体を回転する速度の設定を行うことができる。
このように駆動回転体を回転する速度の設定を行うことで、画像形成装置のあらゆる使用状態、特に1枚目の記録材が通紙される通紙初期の駆動回転体を回転させる速度が一定になるように駆動源を制御することができ、無端ベルトの線速を最適化できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様E)
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、前記加熱部材の温度を直接検知する通紙外温度検知手段91などの温度検知手段を備えていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、加熱部材の温度を直接検知した値を用いることができるので、高精度な補正が行える。
(態様F)
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、前記加熱部材の温度を前記無端ベルト上で検知する通紙内温度検知手段92などの温度検知手段を備えていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、加熱部材の温度を、無端ベルトを介して検知できるので、温度検知手段の配置の自由度が増す。
(態様G)
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、定着温度の目標値を用いることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、通紙外温度検知手段91や通紙内温度検知手段92などの温度検知手段を追加して設ける必要がないので、定着装置の低コストに貢献できる。
(態様H)
(態様B)において、前記初期回転速度は、前記定着ニップのニップ圧に応じて設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、定着ニップのニップ圧に応じて、つまり、定着する記録材の厚さや種類等に応じて初期回転速度を設定するので、定着する記録材の厚さや種類等に応じた良好な定着が行える。
(態様I)
(態様B)又は(態様H)において、前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、前記従動回転体が、前記加熱部材であり、前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
加熱部材の回転速度(回転数)が一定でも、加熱部材のわずかな熱膨張で無端ベルトの速度はずれるので、さらに、無端ベルトの線速のずれを低減することができる。
(態様J)
(態様A)、(態様B)、又は(態様E)乃至(態様I)のいずれかにおいて、前記駆動回転体の速度を変更するタイミングが、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップを記録材が通過していないときであることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由でも発生している。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体を回転駆動する速度の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
一方、本(態様J)の定着装置は、駆動速度を変更するタイミングが、無端ベルトと加圧部材で形成される定着ニップを記録材が通過していないときである。このようなタイミングで駆動速度変更を行うので、仮に、定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合であっても、定着ニップを記録材が通過しておらず、駆動速度の変更にともなう定着画像の乱れの発生を抑制できる。
したがって、定着ニップを通過中の記録材に担持された、軟化したトナー画像が部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様K)
(態様A)、又は(態様A)を引用する(態様J)において、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段を備え、前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態が無い。このため、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
一方、本(態様K)では、無端ベルトと加圧部材とが離間しているときに検知した従動回転体の回転速度を補正して、次回、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度が設定される。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った従動回転体の回転速度に基づいて、駆動回転体の初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態から、定着ニップに記録材を迎えいれるときの初期回転速度を、加熱部材の径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で駆動回転体を回転駆動できる。
(態様L)
(態様C)において、記録材が通過しないときに、前記加圧部材と前記定着部材の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、前記離間中の無端ベルトの線速と、前記加圧中の無端ベルトの線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で前記駆動源を駆動することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、定着装置のキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様M)
(態様C)、又は(態様L)において、前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材の位置を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述した(態様L)を、本(態様M)により形成した異なるニップ幅で行うことで、複数のニップでキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様N)
(態様C)、又は(態様L)において、前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材による加圧力を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述した(態様L)を、本(態様N)により形成した異なるニップ幅で行うことで、複数のニップでキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様O)
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、オペレータなどの操作者の手動による手動モードなどの指示に基づいて行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、操作者(オペレータ)の必要性に応じて、キャリブレーションモードの動作を実行することができる。
(態様P)
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くす(キャンセルする)ことができる。
(態様Q)
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、当該定着装置の前記駆動源の駆動積算時間が一定の時間となった場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置の駆動(動作)時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の駆動積算時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
(態様R)
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の枚数定着した場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置の定着枚数(通紙枚数)に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定以上の枚数定着(通紙)した毎に行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
(態様S)
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、目標の線速との差が、予め設定された閾値を超えた場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、無端ベルトの目標の線速との差(ズレ)が大きくなったときに、キャリブレーションモードの動作を行うことができ、キャリブレーションモードの動作を、適切な頻度で行うことができる。
(態様T)
(態様D)において、前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の温度を検出することで行われることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置の蓄熱状態の値として定着部材の温度を検出することができ、簡易な構成で無端ベルトの線速を最適化できる。
(態様U)
(態様D)又は(態様T)において、前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の芯金52aなどの芯金の温度を検出することで行われることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置の蓄熱状態の値として、強い相関のある定着部材の芯金52aなどの芯金の温度を芯金温度検知手段93で計測するなどして検出することができる。
したがって、簡易な構成で無端ベルトの線速を高精度に最適化できる。
(態様V)
(態様D)、(態様T)又は(態様U)において、前記加圧脱圧手段による加圧脱圧は、前記記録材の通紙中以外は脱圧され、通紙直前で加圧されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、画像形成装置の高寿命化、高画質化を達成しつつ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮できる。
(態様W)
(態様D)、又は(態様T)乃至(態様V)のいずれかにおいて、前記脱圧時の前記蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の記録材が通紙するときの前記駆動回転体の速度を設定することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、画像形成装置の高寿命化、高画質化を達成し、且つ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮しつつ、連続印刷時などの複数の画像形成を行うときの時間短縮を達成できる。
(態様X)
用紙Pなどの記録材上に担持したトナー像Tなどのトナー画像を、記録材上に定着する定着装置を備えたプリンタ200などの画像形成装置において、前記定着装置として、(態様A)乃至(態様W)のいずれかの定着装置100などの定着装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、(態様A)乃至(態様W)のいずれかの定着装置と同様な効果を奏することができる画像形成装置を提供できる。
51 定着ベルト
52 定着ローラ
52a 芯金
52b 弾性ゴム層
53a 加熱ヒータ
53b 誘導加熱手段
54 加熱ローラ
55 加圧ローラ
56 サーモパイル
61 加熱ローラ回転伝達手段
62 被回転伝達手段
63 回転検知部材
63a スリットエンコーダ
63b フォトセンサ
63c 磁気エンコーダ
63d 磁気センサ
63e マーク
63f 回転フィラー
72 回転伝達手段付勢部材
80 加圧脱圧手段
91 通紙外温度検知手段
92 通紙内温度検知手段
93 芯金温度検知手段
100 定着装置
200 プリンタ
N 定着ニップ
P 用紙
T トナー像
特許第4314732号公報 特許第5516143号公報

Claims (24)

  1. 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
    前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御され、
    前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、
    前記従動回転体が、前記加熱部材であり、
    前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする定着装置。
  2. 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
    前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御され、
    前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段を備え、
    前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする定着装置。
  3. 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
    前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる駆動源と、
    前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段とを備え、
    前記駆動源の駆動力が伝達される前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかには弾性層を有し、
    離間中の前記無端ベルトの線速と、前記加圧部材による加圧中の前記無端ベルトの線速とを検知し、その検知結果に基づいて、前記駆動源の駆動を制御し、前記無端ベルトの線速を最適化することを特徴とする定着装置。
  4. 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
    前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる駆動源と、
    前記無端ベルトを介して前記定着部材に対し、前記加圧部材を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段とを備え、
    前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御されるとともに、
    前記加圧脱圧手段による脱圧時に検知した前記回転検知手段の検知結果に基づいて、加圧時の前記駆動回転体の速度の制御を行い、
    前記加圧時の前記駆動回転体の速度の設定は、当該定着装置の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定されることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1に記載の定着装置において、
    前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
    前記加熱部材の温度を直接検知する温度検知手段を備えていることを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1に記載の定着装置において、
    前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
    前記加熱部材の温度を前記無端ベルト上で検知した値を用いることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1に記載の定着装置において、
    前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
    定着温度の目標値を用いることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項2に記載の定着装置において、
    前記初期回転速度は、前記定着ニップのニップ圧に応じて設定されることを特徴とする定着装置。
  9. 請求項2、又は請求項8に記載の定着装置において、
    前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、
    前記従動回転体が、前記加熱部材であり、
    前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とすることを特徴とする定着装置。
  10. 請求項1、請求項2、又は請求項5乃至9のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記駆動回転体の速度を変更するタイミングが、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップを記録材が通過していないときであることを特徴とする定着装置。
  11. 請求項1、又は請求項1を引用する請求項10に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段を備え、
    前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする定着装置。
  12. 請求項3に記載の定着装置において、
    記録材が通過しないときに、前記加圧部材と前記定着部材の離間と加圧を行い、
    同一駆動条件で、前記離間中の無端ベルトの線速と、前記加圧中の無端ベルトの線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で前記駆動源を駆動することを特徴とする定着装置。
  13. 請求項3、又は請求項12に記載の定着装置において、
    前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材の位置を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする定着装置。
  14. 請求項3、又は請求項12に記載の定着装置において、
    前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材による加圧力を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする定着装置。
  15. 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトの線速の最適化を、操作者の手動による指示に基づいて行うことを特徴とする定着装置。
  16. 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に行うことを特徴とする定着装置。
  17. 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトの線速の最適化を、当該定着装置の前記駆動源の駆動積算時間が一定の時間となった場合に行うことを特徴とする定着装置。
  18. 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の枚数定着した場合に行うことを特徴とする定着装置。
  19. 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記無端ベルトの線速の最適化を、目標の線速との差が、予め設定された閾値を超えた場合に行うことを特徴とする定着装置。
  20. 請求項4に記載の定着装置において、
    前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の温度を検出することで行われることを特徴とする定着装置。
  21. 請求項4、又は請求項20に記載の定着装置において、
    前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の芯金の温度を検出することで行われることを特徴とする定着装置。
  22. 請求項4、請求項20、又は請求項21に記載の定着装置において、
    前記加圧脱圧手段による加圧脱圧は、前記記録材の通紙中以外は脱圧され、通紙直前で加圧されることを特徴とする定着装置。
  23. 請求項4、又は請求項20乃至22のいずれか一に記載の定着装置において、
    前記脱圧時の前記蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の記録材が通紙するときの前記駆動回転体の速度を設定することを特徴とする定着装置。
  24. 記録材上に担持したトナー画像を、記録材上に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
    前記定着装置として、請求項1乃至23のいずれか一に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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