JP2019003167A - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、次のような定着装置を備えた画像形成装置(カラープリンタ)が記載されている。
このように制御することで、正確に記録材の搬送速度を検知(検出)し、正確な速度で記録材の搬送が行えるとされている。
このように、無端ベルトの線速が最適な値からずれると、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れが発生してしまう。
図1は、本実施形態に係る、プリンタ200の概要構成説明図である。
画像形成部200Aには、装置本体の上下方向着中央に中間転写ベルト210が配置されており、中間転写ベルト210の上部には、色分解色と補色関係にある複数の色に対応したトナー像を形成するための構成が設けられている。具体的には、各補色関係にある色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を担持可能な像担持体(潜像担持体)としての感光体205Y,M,C,Kが中間転写ベルト210の上部転写面に沿って並べて配置されている。
現像装置203Y,M,C,Kには、それぞれのカラートナーが収容されている。また、画像形成部200A内の最上部には、光書き込み装置201Y,Mと、光書き込み装置201C,Kが配置されている。
また、従動ローラの1つである二次転写対向ローラ211に対向する位置に、二次転写ローラ212が設けられている。
また、二次転写ローラ212から定着装置100までの、記録材(シート)としての用紙Pの搬送経路は、略水平方向の横パスとなっている。
給紙部200Bは、用紙Pを積載収容する給紙トレイ220と、該給紙トレイ内の用紙Pを最下のものから順に1枚ずつ分離して、二次転写ローラ212の位置まで搬送する搬送機構を有している。
他の感光体205M,C,Kでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト210上に静電気力で順に転写されて重ね合わせられる。
また、中間転写ベルト210上に一次転写されずに感光体205Y,M,C,K上に残った転写残トナー等は、それぞれ感光体クリーニング装置206Y,M,C,Kで除去される。また、用紙P上に二次転写されずに中間転写ベルト210上に残った転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置213で除去されて、次の画像形成に備える。
図2は、本実施形態のプリンタ200に好適に備えることができる、2つのベルト加熱方式の定着装置の構成例の説明図であり、図2(a)が、加熱ローラ54の加熱手段として、加熱ローラ54の内部にハロゲンヒータ等の加熱ヒータ53aを備える例の説明図である。また、図2(b)が、加熱ローラ54の加熱手段として、加熱ローラ54に架け回す定着ベルト51の外周部に対向して誘導加熱手段53bを設けた例の説明図である。
図2(a)、図2(b)(以下、適宜、図2という。)に示す定着装置100は、定着カバー100aの内部に、定着ローラ52、加熱ローラ54、定着ベルト51、及び加圧ローラ55を備えている。そして、定着ベルト51を挟んで定着ローラ52に加圧ローラ55が圧接されて、定着ベルト51と加圧ローラ55との間に定着ニップNが形成される。
定着ニップNの用紙Pの排出側には定着分離部材57、加圧分離部材58を備えている。
加熱ローラ54は、ステンレス又はニッケル合金の中空ローラで、図2(a)に示す構成例では、その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ53aが設けられており加熱される。一方、図2(a)に示す構成例では、加熱ローラ54に架け回す定着ベルト51の外周部に対向して、電磁誘導によるIHシステムの加熱手段である誘導加熱手段53bが設けられており加熱される。
そして、定着ベルト51は、加熱ローラ54と定着フレームに固定された加熱ローラ引張りばねにより一定のテンションで、定着ベルト51と加熱ローラ54に架け渡されている。
加圧ローラ55は、アルミ又は鉄等の中空ローラで、その内部にハロゲンヒータを用いた加熱手段である加熱ヒータ53aが設けられ、中空ローラの外周上にシリコンゴム等からなる弾性層が設けられた円筒形状のローラである。
加圧脱圧手段80は、図2に示すように加圧レバー81、加圧スプリング82、加圧カム83、及び加圧カムシャフト84を有し、加圧カムシャフト84をカム駆動モータで回転させることで、加圧状態と脱圧状態とに切り替え可能に構成されている。具体的には、加圧カムシャフト84を回転させることで、加圧ローラ55を定着ベルト51側へ移動させて加圧することと、加圧ローラ55を定着ベルト51から引き離す方向に移動させて離間させて脱圧することが可能である。
また、この加圧脱圧手段80を用いて、カム駆動モータにより加圧カム83のカム位置を調整することで、所定のニップ圧を得ることもできる。
一方、図2(b)に示す例では、まず加熱ローラ54外部に設けられた誘導加熱手段53bの電磁誘導により加熱ローラ54が加熱され、定着ベルト51へ伝熱される。定着ベルト51が、サーモパイル56で検出される温度が所定の温度まで、加熱ローラ54が加熱される。
このとき、用紙Pが定着ベルト51に巻き付いたまま出てくることがあるため、定着分離部材57により分離される。また、加圧ローラ55側に巻き付いて排出される用紙Pは、加圧分離部材58により分離され、搬送ガイドに沿って搬送される。
しかし、用紙Pが連続で通紙される通紙ジョブの場合(連続通紙中)、定着ニップNから用紙Pが奪う熱量を補うため、加熱ローラ54は継続的に加熱される。
加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51は定着ニップNに熱を運び、用紙Pにトナーを定着させるが、同時に定着ローラ52にも熱を継続的に与えている。
このような定着ベルト51の移動速度の増加は、定着ローラ52を回転駆動する構成よりも少ないものの、加圧ローラ55を回転駆動する構成においても同様な理由により生じ、回転駆動する加圧ローラ55の熱膨張により、定着ベルト51の移動速度が増加する。
アルミニウムでは、20℃から270℃まで変化する場合、0.6%ほど大きくなり、加熱ローラ54の回転速度を、同じ回転速度(角速度)に維持した場合でも、変動することになる。その結果、定着ベルト51の速度(移動速度)、用紙Pの速度(搬送速度、移動速度)も狙いより速くなり、用紙Pを引張り気味となり、画像こすれなどの要因なる。
また、加熱ローラ54の回転数を検知する際に、加圧ローラ55の当接/離間、及び、当接時のニップ圧を複数段階に設定可能な構成を持つ場合には、同一ニップ圧の状態では、回転検知して補正してもかまわない。しかし、異なるニップ圧の状態での検知、補正を行うと、狙いの定着ベルト51の線速が得られないことになる。
しかし、この脱圧時と加圧時の回転数比:kが、定着動作にともなって昇温する定着装置100の蓄熱状態(加熱蓄熱状態)により、一定の値とならないことが分かった。
これらの不具合に対する、発明者らが見出した改善方法、及び定着装置100の構成については、詳しく後述する。
(構成例1)
まず、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例1について、図を用いて説明する。
図3は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、図3(a)が、加熱ローラ54の長手方向に直交する断面の説明図、図3(b)が、加熱ローラ54の長手方向に平行な断面の説明図である。
ここで、図3では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
本構成例は、図3(a)に示すように磁気エンコーダ63cに有した4つの磁気部の有無を磁気センサ63dで検知するものであり、図3(b)に示すように磁気エンコーダ63cと磁気センサ63dは、加熱ローラ54の長手方向の一端側に設けられている。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設ける被検知部である磁気部の数は、4つに限定されるものではない。
また、上述したように加熱ローラ54の回転軸上の長手方向一端側に被検知部材を設け、この被検知部材を検知部材で検知する構成としては、上述したような磁気検知方式のものに限定されるものではない。
例えば、被検知部材としてスリットエンコーダ63aや回転フィラー63fを設け、これらの被検知部の有無(通過)をフォトセンサ63bで検知する方式のものでも良い。
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例2について、図を用いて説明する。
図4は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、図4(a)が、加熱ローラ54の長手方向に直交する断面の説明図、図4(b)が、加熱ローラ54の長手方向に平行な断面の説明図である。
ここで、図4では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
本構成例は、図4(a)に示すように加熱ローラ54の外周面上に設けた1つのマーク63eの有無をフォトセンサ63bで検知するものであり、図4(b)に示すようにマーク63eとフォトセンサ63bは、加熱ローラ54の長手方向の一端側に設けられている。
ここで、本構成例の回転検知部材63に設ける被検知部であるマーク63eの数は、1つに限定されるものではない。
また、上述したように加熱ローラ54の回転軸上の長手方向一端側に被検知部材を設け、この被検知部材を検知部材で検知する構成としては、上述したようなマーク検知方式のものに限定されるものではない。
例えば、被検知部材として磁性部材を設け、この磁性部材の有無(通過)を磁気センサ63dで検知する方式のものでも良い。
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例3について、図を用いて説明する。
図5は、本構成例に係る、回転検知部材63の説明図であり、定着ローラ52の長手方向に直交する断面を示している。
ここで、図5では、加熱ローラ54の加熱手段として加熱ヒータ53aを用いた例を示している。
具体的には、加熱ローラ54の長手方向一端部には、加熱ローラ54を支持する形状であって、その外周面に加熱ローラ54の回転力を伝えるギヤ等の第一回転伝達手段としての加熱ローラ回転伝達手段61が設けられている。また、加熱ローラ回転伝達手段61と噛み合うギヤ等を有した第二被回転伝達手段としての被回転伝達手段62が、加熱ローラ回転伝達手段61に対向して配置されている。
また、被回転伝達手段62は、引張りコイルバネ等の回転伝達手段付勢部材72によって、加熱ローラ回転伝達手段61へ押し当てられる(図2(b)参照)。
このように検知することで、加熱ローラ54自体の回転速度を直接、回転検知部材63を用いて検出する構成に比べて、より高精度な加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度を検知することが可能となっている。
図5に示す回転フィラー63fは、加熱ローラ54と同期するとともに増速されて回転するため、通常のフォトセンサで読むには高速である。このため、実際には、所定時間例えば10秒に何回転したか、または、分割フィラーであれば、何回high/low信号が変化したかをカウントすれば、精度よく加熱ローラ54の回転速度を検知することができる。
例えば、本構成例では、検知時間を50秒程度に設定して検知することで、0.5[%]以下の速度変動を検知し、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度へのフィードバックを実施している。
また、回転検知部材63は、被検知部材としての4枚のフィラーを有した回転フィラー63fと、検知部材としてのフォトセンサ63bからなるものに限定されるものではない。例えば、回転フィラー63fに有するフィラーは4枚に限定されない。
次に、本実施形態の定着装置100に好適に設けることができる、加熱ローラ54の回転速度を検知するために設ける回転検知部材63の構成例4について、図を用いて説明する。
図6は、本構成例に係る、回転検知部材63の斜視説明図である。
ここで、図6では、加熱ローラ54の加熱手段として誘導加熱手段53bを用いた例を示している。
具体的には、構成例3と同様に、加熱ローラ54の長手方向一端部には、加熱ローラ54を支持する形状であって、その外周面に加熱ローラ54の回転力を伝えるギヤ等の第一回転伝達手段としての加熱ローラ回転伝達手段61が設けられている。また、加熱ローラ回転伝達手段61と噛み合うギヤ等を有した第二被回転伝達手段としての被回転伝達手段62が、加熱ローラ回転伝達手段61に対向して配置されている。
また、被回転伝達手段62は、引張りコイルバネ等の回転伝達手段付勢部材72によって、加熱ローラ回転伝達手段61へ押し当てられる(図2(b)参照)。
このように検知することで、加熱ローラ54自体の回転速度を直接、回転検知部材63を用いて検出する構成に比べて、より高精度な加熱ローラ54、ひいては定着ベルト51や用紙Pの移動速度を検知することが可能となっている。
図6に示すスリットエンコーダ63aは、加熱ローラ54と同期するとともに増速されて回転するため、通常のフォトセンサで読むには高速である。このため、実際には、所定時間(例えば10秒)に何回転したか、または、分割フィラーであれば、何回high/low信号が変化したかをカウントすれば、精度よく加熱ローラ54の回転速度を検知することができる。
また、回転検知部材63の構成としては、被検知部材としてスリットエンコーダ63aを設け、検知部材としてフォトセンサ63bを設ける構成に限定されるものではない。
例えば、被検知部材として磁気エンコーダ63cを設け、この磁気エンコーダ63cの有無(通過)を磁気センサ63dで検知する方式のものでも良い。
磁気エンコーダ63cは、スリットエンコーダ63aと比較すると小さく、また磁気センサ63dもフォトセンサ63bより小さい。これにより、センサ等のレイアウトスペースを小さくすることができ、定着装置100の小型化が可能になる。
このため、定着ベルト51の幅方向における定着装置100の小型化も可能になる。
図7は、定着ローラ52の回転速度を一定に保ち、定着装置100への用紙Pの連続通紙を行った場合の通紙時間と定着ベルト51の線速の変化の関係の一例を示したグラフであり、定着ベルト51の線速は初期速度を100[%]としている。図8は、定着ローラ52のローラ温度とローラ径(定着R)の関係の一例を示したグラフである。
そして、仮に、定着装置100への用紙Pの連続通紙を行った場合、連続通紙を行う時間にともなって、図7に示すように、定着ベルト51の線速が大きくなる。
また、プリンタ200における、定着装置100の設定(調整)可変域での定着ローラ52の温度と、定着ローラ52のローラ径(定着R)との関係は、図8のグラフに示すように、一定の勾配を保って変化する。
これらのため、図7や図8の関係を予め記憶しておき、連続通紙を行う時間や作像条件に応じた定着ローラ52の設定温度、検知した定着ローラ52や加圧ローラ55の回転速度に基づいて、定着ベルト51の移動速度を精度良く所定の速度維持することは難しい。
上述した理由により、定着ローラ52の熱膨張による定着ベルト51の移動速度(線速)の変化を、加熱ローラ54の回転数の変化として捉えることができる。
このため、本実施形態の定着装置100は、定着ベルト51の移動速度を一定制御するため、加熱ローラ54の回転速度や回転検知回転数に応じて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する定着駆動モータの回転速度が調整される。
しかし、上述したように、定着ローラ等の定着部材及び加圧ローラ等の加圧部材の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、加熱ローラ等の加熱部材の回転速度に基づいて制御される従来の定着装置では、次のような不具合が生じる場合があった。
また、従来から定着ローラ52等の回転速度は、熱膨張による振れ幅の範囲を考慮して設定されていたが、転写と定着間の距離が短い場合、熱膨張による定着ローラ52等の回転速度の振れ幅を吸収できない場合がある。定着ニップN(定着部)における用紙P等の記録材の速度が所定の速度に対して遅ければ、たるみによるこすれが発生し、速ければ定着ニップNからの引っ張りによる二次転写部等の転写部でのブレ画像などが発生してしまう。
1つ目の方法は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更するタイミングが、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNを用紙Pが通過していないときであるように構成する方法である。
2つ目の方法は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を、従来よりも高精度に、且つ、1回当たりの変更量を少なくするように制御するため、回転検知部材63を用いた加熱ローラ54の回転速度の検知精度を、従来よりも高める方法である。
3つ目の方法は、加圧脱圧手段80による脱圧時に検知した回転検知部材63の検知結果に基づいて、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度の制御を行う。そして、加圧時の定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度の設定は、定着装置100の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定する方法である。
定着装置100は、上述したように、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。そして、定着装置100は、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更するタイミングが、定着ニップNを用紙Pが通過していないとき、つまり、定着ニップNを用紙Pの紙間が通過しているときになるように設定する。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体を回転駆動する速度(以下、適宜、駆動速度という。)の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動される駆動回転体のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
したがって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
これにより、次のような効果を奏することができる。
回転駆動される定着ローラ52や加圧ローラ55は、熱膨張などの熱変形や経年変化によりローラ径(外径)が変化して定着ベルト51の移動速度が変化してしまう。このため、回転駆動される定着ローラ52や加圧ローラ55自身の検知速度に基づいて、これらの少なくともいずれかの回転速度を制御したとしても、定着ベルト51の移動速度を精度良く制御することができない。
一方、上述したように構成することで、定着ローラ52や加圧ローラ55よりも、熱膨張などの熱変形や経年変化によりローラ径が変化し難い加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの回転速度を制御できるので、定着ベルト51の移動速度を精度良く制御できる。
そして、用紙Pを連続通紙中、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
ここで、具体的な例を、図9を用いて説明する。
図9は、連続通紙中の紙間で回転速度の調整を行うときのタイミングチャートの一例である。
図9に示すように、連続通紙中に紙間が定着ニップNを通過しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正して、次回、定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに用紙を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、駆動回転体の熱変形等により回転駆動される駆動回転体のローラ径の変化によらず設定される値である。このため、回転検知部材で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度を設定することができる。
よって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で回転駆動される定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
これによれば、次のような効果を奏することができる。
加熱ローラ54を常に定着ベルト51に接する状態にでき、加熱ローラ54の回転速度を検知する回転検知部材63は定着ベルト51の回転速度、及び定着ベルト51が破損したときの異常を検知することができる。
これによれば、加熱ローラ54の回転速度検出を精度良く検出することができる。
また、回転検知部材63は、スリットエンコーダ63aと、フォトセンサ63bとで構成することができる。
これによれば、回転検知部材63を小さくすることができ、定着装置100を小型化することができる。
これによれば、定着ベルト51のベルト蛇行及びベルト寄りにかかわらず、加熱ローラ54の回転速度を精度良く検出でき、かつ定着装置を小型化することができる。
定着装置100は、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
そして、被回転伝達手段62の回転軸上に回転検知部材63を設け、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度を変更する。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由により発生していることも分かった。
従来の定着装置では、回転検知手段が従動回転体の回転状態を直接検知しているため、近年の高画質化の要請を満足させる程、検知精度が高くなく、且つ、検知間隔も細かくなかったためである。
このため、駆動回転体を回転駆動する速度である駆動速度を変化させるときの1回当たりの変更量が大きくなって定着画像の乱れが発生する場合があった。
したがって、用紙Pが定着ニップNを通過中に、駆動速度変更を行う場合であっても、1回当たりの駆動速度変更の変更量を、定着画像の乱れが生じない変更量に低減することができる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
また、(構成例3)の説明に用いた図5、及び(構成例4)の説明に用いた図6に示すように、被回転伝達手段62は、定着ベルト51の内部に配置することができる。
このように配置することで、定着装置100を小型化することができる。
定着装置100は、加熱ローラ54と定着ローラ52に張架された定着ベルト51と、加圧ローラ55との間を搬送するときに用紙P上のトナー像Tを定着させる。また、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51を介して定着ローラ52に対し、加圧ローラ55を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段80と、加圧ローラ55とを備えている。そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由により発生していることも分かった。
従来の定着装置では、加圧時の定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた加熱ローラの回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラの回転速度とに基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラの回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、プリンタ本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
このように回転させる速度の設定を行うことで、プリンタ200のあらゆる使用状態、特に1枚目の用紙Pが通紙される通紙初期の速度が一定になるように定着駆動モータを制御することができ、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持されたトナー像Tが乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
そして、上述したように加熱部材である加熱ローラ54の熱膨張の影響が無視できないことが新たに分かった。
一方、従来の定着装置としては、上述した特許文献1のように加熱ローラの回転速度を検知して、定着ローラの回転速度を制御するものが知られている。また、特許文献2のように、定着ローラの芯金温度と、加熱ローラの温度を検知して定着ローラの回転速度(回転数)を制御するものも知られている。
ずれが生じる原因としては、次のようなものが挙げられる。
1つ目は、ゴムは熱膨張係数が大きいのでローラの温度によってローラの外径が変化するため、外径の変化によって定着ベルトの線速が変わることがある。
2つ目は、弾性層であるゴム層が厚いローラで駆動する場合、ニップ形成によってローラのゴムが伸びることにより、ニップ内の線速はローラ外周の線速と異なることである。
このため、定着ベルトの線速をシステムの線速に合わせるには設計段階で、適切な定着駆動モータの回転速度を調査し、調整する必要がある。しかし、その調整した値であっても、ローラに使用しているゴムのロットが変わることや、ニップ幅の調整幅の誤差、経時によってローラの外径や硬度などが変化することによってニップ内の伸び率が変化することによって、線速が変化してしまう。
また、高画質、高生産性を必要とする画像形成装置では、加圧ローラと、定着ローラ及び定着ベルトは通紙時には離間しており、通紙とほぼ同時に加圧を行う動作を行っている。
これは、加圧ローラの温度が圧接によって高くなると、ブリスタなどの画像問題が生じてしまうため、通紙の直前まで加圧ローラを離間し、温度の上昇を防いでいるためである。
しかし、定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかに弾性層を設けた構成では、離間時(脱圧時)と加圧時の線速の比率が当初の調整値から変化する可能性がある。このため、通紙開始直後の定着ベルト線速がシステムに最適な値からずれが生じることがあった。
そこで、本実施形態のプリンタ200では、定着装置100に後述するような改良を、更に加えることとした。
以下、定着装置100に加える改良の具体的な構成について、複数の実施例を挙げて説明する。
まず、定着装置100に加える改良構成の実施例1について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。加えて、本実施例の定着装置100では、駆動回転体が、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかであり、従動回転体が、加熱ローラ54であり、加熱ローラ54の熱膨張分を補正して、駆動回転体の速度を制御する。
従来の定着装置では、加熱ローラの速度を一定にしても、加熱ローラが僅かでも熱膨張すると定着ベルトの線速がずれ、定着ニップを通る記録材の搬送速度が記録材搬送方向の上流側にある転写手段の排出速度よりも相対的に速くなる場合がある。
このように早くなると、定着ニップに記録材が進入したときに引っ張ることになり、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れが発生するおそれが高まる。
一方、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52もしくは加圧ローラ55の速度を、加熱ローラの熱膨張分を補正して制御するので、従来よりも、定着ベルト51の線速を一定に保つことが可能である。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
図10は、加熱ローラ54の温度を検出する温度検知手段の例の説明図である。そして、図10(a)が構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙外温度検知手段91を設けた場合の説明図、図10(b)が構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙内温度検知手段92を設けた場合の説明図である。図11は、加熱ローラ54の長手方向の温度分布の例の説明図であり、通紙外温度検知手段91を設けた例を示している。図12は、加熱ローラ54の熱膨張の例の説明図であり、加熱ローラ54の検知温度と、加熱ローラ54のローラ径の変化を示したグラフである。
図10(a)に示す例では、上述した構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙外温度検知手段91を設けた加熱ローラ54の回転軸に直交する断面について示しており、定着ベルト51の内周側に設けた構成を示している。一方、図10(b)に示す例では、上述した構成例1に係る回転検知部材63の構成に、通紙内温度検知手段92を設けた加熱ローラ54の回転軸に直交する断面について示しており、定着ベルト51の外周側に設けた構成を示している。
また、図11に示すように、加熱ローラ54の表面の長手方向の温度分布は、定着ベルト51を介して用紙Pに熱が奪われる通紙領域では、両端部近傍の通紙外領域よりも低くなる。このため、加熱ローラ54の温度を検知する温度検知手段の設置位置としては、加熱ローラ54の長手方向(加熱ローラ54の回転軸方向)の、通紙領域外が望ましい。
この補正は、図12に示すように加熱ローラ54の温度が変化すると、加熱ローラ54のローラ径も変化し、熱膨張分の速度が加わった早い定着ベルト51のベルト速度となるので、ベルト速度が一定になるように、定着駆動モータの回転数を変化させる補正である。
(補正方法1)
1つ目の補正の流れは、加熱ローラ54の回転数を検知した後、検知された回転数に加熱ローラ54の温度分(熱膨張分)を補正した後、補正した回転数に基づいて定着駆動モータの回転数を補正する流れである。
(補正方法2)
2つ目の補正の流れは、加熱ローラ54の回転数を検知した後、加熱ローラ54の回転数に応じた定着駆動モータの回転数に、加熱ローラ54の温度分(熱膨張分)を補正する流れである。
このように構成することで、加熱ローラ54の温度を直接検知した値を用いることができるので、高精度な補正が行える。
一方、上述したように、加熱ローラ54の熱膨張を補正するときに、加熱ローラ54の温度を定着ベルト51上で検知する通紙内温度検知手段92を備えることもできる。
このように構成することで、加熱ローラ54の温度を、定着ベルトを介して検知できるので、通紙内温度検知手段92の配置の自由度が増す。
このように構成することで、通紙外温度検知手段91や通紙内温度検知手段92等の温度検知手段を追加して設ける必要がないので、定着装置100の低コストに貢献できる。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由でも発生している。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体としての定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転駆動する速度の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
したがって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持された、軟化したトナー像Tが部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態が無い。このため、従来の定着装置では、定着ニップに用紙を迎えるときの、駆動回転体としての定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した加熱ローラ(従動回転体)の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度を設定できる。
したがって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、加熱ローラ54の径の変化に応じたものにできる。したがって、通紙中に適切な速度で駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
例えば、上述した構成例1を含む、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例2について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。加えて、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させる加圧脱圧手段80を備え、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間しているときに検知した加熱ローラ54の回転速度を補正する。そして、次回、定着ベルト51と加圧ローラ55で形成される定着ニップNに用紙Pを迎えるときの、駆動する定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの初期回転速度が設定される。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動する定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転する加熱ローラの回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った加熱ローラ54の回転速度に基づいて、駆動されるローラの初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、定着ベルト51と加圧ローラ55とが離間した状態から、定着ニップNに用紙Pを迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動できる。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
図13は、定着ローラ52に加圧ローラ55が当接してニップ圧が生じた状態と、離間した離間状態の説明図である。そして、図13(a)が、当接ニップ圧3で当接している状態を示し、図13(b)が、当接ニップ圧1で当接している状態を示し、図13(c)が、離間した状態を示している。
また、上述したように、加熱ローラ54の回転数を検知する際に、加圧ローラ55の当接/離間、及び、当接時のニップ圧を複数段階に設定可能な構成を持つ場合には、同一ニップ圧の状態では、回転検知して補正してもかまわない。しかし、異なるニップ圧の状態での検知、補正を行うと、狙いの定着ベルト51の線速が得られないことになる。
そこで、本実施例の定着装置100では、以下に説明するように、予め求めた回転数に定着駆動モータを設定することで、異なるニップ圧の状態で検知した場合でも、精度良く定着駆動モータの回転数の補正(定着ベルト51の速度補正)を行うこととした。
表1は、同一のモータ回転数時の当接/離間状態と、ニップ圧における、加熱ローラ54の回転計測時間、定着ベルトの速度(ベルト速度)、及び定着駆動モータのモータ回転数についての、速度補正前の値を記した表である。表2は、表1に示す値を補正変換したときの値の表である。
また、通紙時、定着ベルト51と加圧ローラ55を当接させ、ニップ圧が生じた状態でも、例えば、当接ニップ圧1、当接ニップ圧2、当接ニップ圧3と、ニップ圧が所定の範囲で変化する場合には、ニップ圧が増すほどベルト線速も早くなる。
ここで、図13(a)の当接ニップ圧3、及び図13(b)の当接ニップ圧1の状態のように、定着ローラ52と加圧ローラ55の間に定着ベルト51を介して形成される定着ニップNの状態は変化し、図13(c)に示す離間状態では定着ニップNは形成されない。
そして、定着ローラ52に設けた弾性層が加圧によりつぶれることで、同一のモータ回転数(角速度)でも周速が速くなるため、ニップ圧が大きい(つぶれた)状態では、補正するときの補正量が大きくなる。
特に、初期回転速度を狙いの速度に設定する精度を高めることができる。
このように、本実施例の定着装置100では、初期回転速度を、定着ニップNのニップ圧に応じて設定する。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
定着ニップNのニップ圧に応じて、つまり、定着する用紙Pの厚さや種類等に応じて初期回転速度を設定するので、定着する用紙Pの厚さや種類等に応じた良好な定着が行える。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
加熱ローラ54の回転速度(回転数)が一定でも、加熱ローラ54のわずかな熱膨張で定着ベルト51の速度はずれるので、さらに、定着ベルト51の線速のずれを低減することができる。
このように構成することで、実施例1の同様な構成について説明した効果と、同様な効果を奏することができる。
また、本実施例の定着装置100の加熱ローラ54の回転速度を検知する構成としては実施例1と同様に、構成例1から構成例4のいずれにも適用可能であり、それぞれの回転検知部材63を備えることによる上述した効果も同様に奏することができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例3について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ローラ52、及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51と加圧ローラ55とを離間させる加圧脱圧手段80とを備えている。また、定着駆動モータの駆動力が伝達される定着ローラ52、及び加圧ローラ55の少なくともいずれかには弾性ゴム層52bを有している。そして、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧ローラ55による加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、その検知結果に基づいて、定着駆動モータの駆動を制御し、定着ベルト51の線速を最適化する。
待機状態等、定着ベルトと加圧ローラとを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動する定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかの初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動されるローラ等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転する加熱ローラの回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
すなわち、加圧したときニップ圧の変化にともなう定着ベルト51の線速が狙いの線速となるための離間中の線速が判明し、離間中の線速を判明した線速の値にすることにより、加圧初期から狙いの線速になるように定着駆動モータの回転速度を補正できる。このように補正することで、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の記録材である用紙Pに担持されたトナー像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
図14は、キャリブレーションを行うときの説明図であり、キャリブレーションを行うときのタイミングシートに、定着ベルト51の線速と定着温度の推移も併記している。
まず、図3に示した構成であって、回転検知部材63として回転フィラー63fを設けた構成に対して、上述した本実施例の特徴を適用した場合について説明する。
加圧ローラ55も定着駆動モータで回転されるが、ワンウェイクラッチを内蔵しているギヤで駆動されており、定着ニップNを形成すると定着ベルト51につれ回るように構成されている。
加熱ローラ54の端部にはギヤが備え付けられており、そのギヤとかみ合う回転フィラー63fがあり、加熱ローラ54と連動して回る構成である。
まず、キャリブレーションモードとなったら、次の処理を順に行う。
1.定着駆動モータを所定の回転数で回転する。
2.定着ベルト51を所定の温度になるように加熱ヒータ53a内部にあるハロゲンヒータの点灯を制御する。ハロゲンヒータの制御はON/OFF制御でもPID制御でもよい。
3.定着ベルト51の線速の検知処理を行い、その情報を記録しておく。検知処理には、値が正確になるように、平均処理やフィルター処理を行って良い。
4.定着駆動モータの回転数を変動させずに、加圧ローラ55を加圧させ定着ニップNを形成させる。
6.定着ベルト51から加圧ローラ55を離間させて脱圧し、定着ローラ52及び加圧ローラ55の回転及び加熱ヒータ53aを用いた温度制御を停止する。
7.上述した「3.」と「5.」の処理によって、離間中と加圧中の線速の変化の結果が記録されており、記憶した離間中と加圧中の線速の変化の結果から、加圧中/離間中の線速比率を計算しておく。
通紙処理は、加圧ローラ55が定着ベルト51から離間されている状態で定着ベルト51を回転させつつ、定着ベルト51の温度を所定の温度になるように制御を行い、所定温度に達したら、加圧ローラ55を加圧させ定着ニップNを形成させる。
定着ニップNの形成が完了したとほぼ同時に用紙Pの通紙を開始する。
通紙前の離間回転中において、定着ベルト51の線速の測定を行い、加圧状態の定着ベルト51の線速が目的の線速になるように、離間中の定着ベルト51の線速を調整する。
この測定結果から調整を行うタイミングは離間中も、加圧中でも良い。
(パラメータ)
加圧中の定着ベルト51の線速(目的の線速度):450[mm/sec]
加圧中/離間中の定着ベルト51の線速測定比の結果:1.2
離間中の定着ベルト51の線速(目的の線速度):450÷1.2=375[mm/sec]
離間中の定着ベルト51の線速測定結果:370[mm/sec]
離間中の定着ベルト51の測定中における定着駆動モータ回転数:1840[rpm]
定着駆動モータ回転数の補正:1840×375÷370=1865[rpm]
前提として、操作者(オペレータ)にキャリブレーションを行う実行ボタンを持たせる。又は、自動的に一定期間(時間または通紙枚数)間隔等で行っても良い。
そして、ニップ幅(当接ニップ圧)を複数持つ場合、使用するニップごとに上述したキャリブレーション(処理)を行う。
そして、キャリブレーションの検知結果に基づいて、定着駆動モータの駆動を制御し、定着ベルト51の線速を最適化する。
このように構成することで、加熱ローラ54の回転速度を精度良く検出し、無端ベルトである定着ベルト51の線速を検知できる。
このように構成することで、定着ベルト51の線速を直接測定できる。
このように構成することで、定着装置100のキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
このように構成することで、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述したように、用紙Pが通過しないときに、加圧ローラ55と定着ローラ52の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で定着駆動モータを駆動する場合に、加圧するときのニップ幅を、加圧ローラ55の位置を変化させることで形成した異なるニップ幅でおこなうこともできる。
このように構成することで、複数のニップ(幅)でキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
このように構成することで、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述したように、用紙Pが通過しないときに、加圧ローラ55と定着ローラ52の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、離間中の定着ベルト51の線速と、加圧中の定着ベルト51の線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で定着駆動モータを駆動する場合に、加圧するときのニップ幅を、加圧ローラ55による加圧力を変化させることで形成した異なるニップ幅でおこなうこともできる。
このように構成することで、複数のニップ(幅)でキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例4について説明する。
本実施例の定着装置100は、実施例3に記載した定着装置のキャリブレーション(モード)を手動で行う場合や、自動的に一定期間間隔等で行う場合の、より詳細な複数の具体例を示すものである。
ここで、以下に説明するキャリブレーションを行う場合の複数の具体例の特徴的な構成を除く、本実施例の定着装置100の基本構成は、上述した実施例3の定着装置と同様である。したがって、上述した実施例3の定着装置と同様な本実施例の定着装置100の基本構成についての説明は適宜、省略して説明する。
(1)手動モード
(2)自動モード
2−1:一定時間間隔で行う方法。
2−2:一定動作時間間隔、又は一定定着(通紙)枚数間隔で行う方法。
2−3:定着ベルト51の線速誤差が一定閾値を超えた場合に行う方法。
具体的な例としては、プリンタ200の操作パネルに、『キャリブレーションボタン』を設定し、操作者がこのボタンを押すと、キャリブレーションモードに移行し、処理を行う。『キャリブレーションボタン』は物理的なボタンでもよいし、プリンタ200の操作パネル等に表示されるタイプでも良い。
このように、無端ベルトの線速の最適化を、操作者の手動モードなどの手動による指示に基づいて行うことで、操作者(オペレータ)の必要性に応じて、キャリブレーションモードの動作を実行することができる。
ここで、プリンタ200の運転(駆動)状態によっては、キャリブレーションモードに移行することができない場合があるが、この場合にコマンドが送られても、キャリブレーションモードに移行できないようにする。
ここで、シーケンスとしては、次のものが挙げられる。
1.ウォームアップ動作後にキャリブレーションモードに移行
2.通紙終了後にキャリブレーションモードに移行
3.待機モード移行時にキャリブレーションモードに移行
4.その他調整モード(トナー濃度調整など)時に、並列して移行
ここで、キャリブレーション必要フラグは、キャリブレーションが行われた後に、倒れるものとする。
図15は、自動動モードで行う、キャリブレーションが必要かどうかの判定とキャリブレーション実行の流れの説明図である。
まず、自動モードの判定処理がスタートすると(S1)、詳しくは後述する所定の条件を満たしているか否かを判定し、満たしている場合にフラグを立てるキャリブレーション必要フラグ判定処理を行う(S2)。
次に、キャリブレーション実行可能シーケンスである上述した「1.」から「4.」のシーケンスにある場合にはキャリブレーションモードに移行し、ない場合には上述した「1.」から「4.」のシーケンスになるまでキャリブレーションモードへの移行を保留する(S3)。
一方、キャリブレーション必要フラグが立っているか否かの判断で(S4)、フラグが立っていないと判断した場合には(S4のNO)、キャリブレーションを実行せず(S7)、終了(エンド)し、スタートにループする(S8)。
2−1:一定時間間隔で行う方法。
脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、この方式を用いると良い。
時間・時刻の判断については、画像形成装置の内部に時計を持っているため、こちらを利用する。
判定の具体例としては、次のような方法が挙げられる。
1日の中で同じ時間(時刻)に行う。例えば、午後12時なると、必ずキャリブレーションモードに移行するようにする。このとき内部処理としては、その時刻になると『キャリブレーション必要フラグ』を立てることにする。また、1日ではなく、週の中できまった時間に行っても良く、例えば、水曜日の午後12時等の例が挙げられる。
(2−1−2):一定時間経過方式
前回キャリブレーションを行ってから、一定時間経過した場合に行う。
例えば、前回キャリブレーションが行われてから、300時間以上経過した場合、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)等の例が挙げられる。
定着ベルト51の線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くす(キャンセルする)ことができる。
脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の動作時間に依存する場合、この方式を用いると良い。
また、動作間隔は、定着駆動モータの駆動時間の積算で計算することが適切であるが、定着を行った枚数、つまり定着装置100に通紙枚数で代用しても良い。
より具体的な例としては、次のような例が挙げられる。
定着駆動モータの駆動時間を積算したカウンタを持ち、積算値が閾値を超えた場合、キャリブレーションモードに移行するようにする。
定着駆動モータの駆動積載時間については、脱圧時と加圧時の線速の関係が、加圧(ニップ状態)の駆動時間に依存する場合は、加圧している時の駆動時間のみを積算するようにしても良い。
例えば、加圧時の定着駆動モータの駆動積算時間の閾値を120Hとし、駆動積算時間のカウンタがこの時間を超えると、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の駆動(動作)時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の駆動積算時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
例えば、加圧時の定着駆動モータの駆動積算時間の閾値を120Hとし、駆動積算時間のカウンタがこの時間を超えると、キャリブレーションモードに移行するようにする(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
定着装置100において、このように、定着(通紙)枚数積算方式により、定着ベルト51の線速の最適化を、定着装置100で一定以上の枚数定着した場合に(自動的に)行うことで、次のような効果を奏することができる。
これによれば、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置100の定着枚数(通紙枚数)に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定以上の枚数定着(通紙)した毎に行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
定着ベルト51の線速をフィードバック制御する過程で、現在の線速を測定するので、狙いの線速に対するズレ量を計算することが可能である。このズレ量が閾値を超えた場合、キャリブレーションモードに移行するようにする。
これを、図16を用いて、より具体的に説明しておく。図16は、定着ベルト51の線速をフィードバック制御する過程で、狙いの線速に対する現在の線速のズレ量が閾値をこえた場合の説明図である。
狙いの線速が、例えば400mm/secの場合のズレ量は、太い両矢印として求めることができ、閾値を、+閾値、−閾値と定め、定めた閾値よりもフィードバック開始するまでのズレ量が、図16に示すように大きい場合、キャリブレーションモードに移行する。
ここで例えば、定着ベルト51の線速ズレの閾値を例えば、0.8[%]としたとする。
すると、通紙(定着)初期の定着ベルト51の線速を測定し、狙いの線速より±0.8[%]以上のズレを生じている場合、キャリブレーションモードに移行することとなる(『キャリブレーション必要フラグ』を立てる)。
これによれば、定着ベルト51の目標の線速との差(ズレ)が大きくなったときに、キャリブレーションモードの動作を行うことができ、キャリブレーションモードの動作を、適切な頻度で行うことができる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
次に、定着装置100に加える改良構成の実施例5について説明する。
本実施例の定着装置100は主に、次のような特徴を有する。
上述したように、本実施形態の定着装置では、定着ベルト51を回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55等の駆動回転体の速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54等の従動回転体の回転速度に基づいて制御される。また、本実施例の定着装置100では、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータと、定着ベルト51と加圧ローラ55とを接触させて加圧、離間させて脱圧する加圧脱圧手段80とを備えている。そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかを回転駆動する速度が、回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度に基づいて制御される。
従来の定着装置では、加圧時の定着ローラ及び加圧ローラの少なくともいずれかを回転させる速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた加熱ローラの回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での加熱ローラの回転速度とに基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラの回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、プリンタ本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
このように回転させる速度の設定を行うことで、プリンタ200のあらゆる使用状態、特に1枚目の用紙Pが通紙される通紙初期の速度が一定になるように定着駆動モータを制御することができ、定着ベルト51の線速を最適化できる。
よって、定着ニップNを通過中の用紙Pに担持されたトナー像Tが乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置100を提供できる。
図17は、定着ローラ52の芯金52aの温度を検知する芯金温度検知手段93を設置した定着装置100の例の説明図、図18は、定着ローラ52の芯金52aの温度と脱圧/加圧時の線速比の一例を示したグラフである。また、図19は、定着装置100の蓄熱補正を行った場合と、蓄熱補正を行わなかった場合の線速を比較したグラフであり、図19(a)が蓄熱補正を行わなかった場合のグラフ、図19(b)が蓄熱補正を行った場合のグラフである。
まず、図3に示した構成であって、回転検知部材63として回転フィラー63fを設けた構成に対して、上述した本実施例の特徴を適用した場合について説明する。
定着ローラ52には、その芯金52aに芯金52aの温度を検出するための、芯金温度検知手段93が設置されている。
そして、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくいずれかを回転駆動する速度の設定を、次のように行っている。
回転検知部材63を用いて検知した加熱ローラ54の回転速度と、芯金温度検知手段93により検知された定着ローラ52の芯金52aの温度の結果を用いて補正することで、検知した加熱ローラ54の回転速度のズレ量を適正に補正することができる。
図18に示すように、加熱ローラ54の脱圧状態の線速(回転速度)と加圧状態の線速の比は、定着装置100の蓄熱状態、すなわち定着ローラ52等の温度に相関がある。特に、定着ローラ52の芯金52aの温度に対しては強い相関がある。
例えば、図11に示すように芯金52aの芯金温度が高くなるにつれ、加熱ローラ54の脱圧状態と加圧状態の線速比(回転速度の比)も大きくなる。
これは、定着ローラ52の熱膨張によるもので、定着ローラ52はそれ自体の内部には加熱手段がなく、定着ベルト51から熱を受けるため、定着ローラ52の外周面側から温度が上昇していき熱膨張が起こっている。
ここで、図19(a)に示すように、本実施例の定着装置100による定着装置100の蓄熱補正を行わなかった場合、つまり蓄熱状態を加味した補正を行なわなかった場合は脱圧時と加圧時の補正を一定としている。このため、蓄熱量が小さい蓄熱小の場合と、蓄熱量が大きい蓄熱大の場合で加圧時の線速(回転速度)に違いが発生している。
これに対して、図19(b)に示すように、本実施例の定着装置100による定着装置100の蓄熱補正を行った場合、つまり蓄熱状態により補正量を変えた場合は、蓄熱小と蓄熱大のいずれの場合でも加熱時の線速を一定にすることができる。
これにより、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラ54の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置100の蓄熱状態の値として定着ローラ52の温度を検出することができ、簡易な構成で定着ベルト51の線速を最適化できる。
加えて、本実施例の定着装置100では、その蓄熱状態の検出は、定着ローラ52の芯金52aの温度を検出することで行われる。
これにより、脱圧状態と加圧状態での加熱ローラ54の回転速度の比に相関のある定着装置100の蓄熱状態の値として、強い相関のある定着ローラ52の芯金52aの温度を芯金温度検知手段93で計測する等して検出することができる。
したがって、簡易な構成で無端ベルトの線速を高精度に最適化できる。
これにより、プリンタ200の高寿命化、高画質化を達成しつつ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮できる。
また、本実施例の定着装置100では、脱圧時の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の用紙Pが通紙するときに定着駆動モータで回転駆動する、定着ローラ52及び加圧ローラ55の少なくともいずれかの速度を設定する。
これにより、プリンタ200の高寿命化、高画質化を達成し、且つ、1stプリントまでに要する時間を短縮しつつ、連続印刷時等の複数の画像形成を行うときの時間短縮を達成できる。
また、本実施例の定着装置100を備えたプリンタ200は、上述した本実施例の定着装置100と同様な効果を奏することができる。
例えば、画像形成装置各部の構成は任意であり、例えば、タンデム式における各色プロセスカートリッジの並び順などは任意である。
また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
(態様A)
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御され、前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、前記従動回転体が、前記加熱部材であり、前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする。
従来の定着装置では、加熱部材の速度を一定にしても、加熱部材が僅かでも熱膨張すると無端ベルトの線速がずれ、定着ニップNなどの定着ニップを通る記録材の搬送速度が記録材搬送方向の上流側にある転写手段の排出速度よりも相対的に速くなる場合がある。
このように早くなると、定着ニップに記録材が進入したときに引っ張ることになり、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れが発生するおそれが高まる。
一方、本(態様A)では、無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度を、加熱部材の熱膨張分を補正して制御するので、従来よりも、無端ベルトの線速を一定に保つことが可能である。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御され、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段を備え、前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップNなどの定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った従動回転体の回転速度に基づいて、駆動回転体の初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、無端ベルトと加圧部材とが離間した状態から、定着ニップに記録材を迎えいれるときの初期回転速度を、ローラ径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で駆動回転体を回転駆動できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記定着部材、及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータなどの駆動源と、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段とを備え、前記駆動源の駆動力が伝達される前記定着部材、及び前記加圧部材の少なくともいずれかには弾性ゴム層52bなどの弾性層を有し、離間中の前記無端ベルトの線速と、前記加圧部材による加圧中の前記無端ベルトの線速とを検知し、その検知結果に基づいて、前記駆動源の駆動を制御し、前記無端ベルトの線速を最適化することを特徴とする。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態がないので、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
すなわち、加圧したときニップ圧の変化にともなう定着部材の線速が狙いの線速となるための離間中の線速が判明し、離間中の線速を判明した線速の値にすることにより、加圧初期から狙いの線速になるように駆動源の回転速度を補正できる。このように補正することで、無端ベルトの線速を最適化できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
加熱ローラ54などの加熱部材と定着ローラ52などの定着部材に張架された定着ベルト51などの無端ベルトと、加圧ローラ55などの加圧部材との間を搬送するときに用紙Pなどの記録材上のトナー像Tなどのトナー画像を定着させる定着装置100などの定着装置において、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる定着駆動モータなどの駆動源と、前記無端ベルトを介して前記定着部材に対し、前記加圧部材を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段80などの加圧脱圧手段とを備え、前記無端ベルトを回転駆動する定着ローラ52や加圧ローラ55などの駆動回転体の速度が、回転検知部材63などの回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された加熱ローラ54などの従動回転体の回転速度に基づいて制御されるとともに、前記加圧脱圧手段による脱圧時に検知した前記回転検知手段の検知結果に基づいて、加圧時の前記駆動回転体の速度の制御を行い、前記加圧時の前記駆動回転体の速度の設定は、当該定着装置の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定されることを特徴とする。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、加圧時の駆動回転体を回転する速度の設定を、脱圧状態と加圧状態での予め定めた従動回転体の回転速度の比と、通紙直前の脱圧状態での従動回転体の回転速度に基づいて設定している。しかし、脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比が定着装置の蓄熱状態により変化するため、画像形成装置本体のあらゆる使用状態において、回転速度を一定の速度に設定することが困難であった。
このように駆動回転体を回転する速度の設定を行うことで、画像形成装置のあらゆる使用状態、特に1枚目の記録材が通紙される通紙初期の駆動回転体を回転させる速度が一定になるように駆動源を制御することができ、無端ベルトの線速を最適化できる。
よって、定着ニップを通過中の記録材に担持されたトナー画像が乱れる、定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、前記加熱部材の温度を直接検知する通紙外温度検知手段91などの温度検知手段を備えていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、加熱部材の温度を直接検知した値を用いることができるので、高精度な補正が行える。
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、前記加熱部材の温度を前記無端ベルト上で検知する通紙内温度検知手段92などの温度検知手段を備えていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、加熱部材の温度を、無端ベルトを介して検知できるので、温度検知手段の配置の自由度が増す。
(態様A)において、前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、定着温度の目標値を用いることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、通紙外温度検知手段91や通紙内温度検知手段92などの温度検知手段を追加して設ける必要がないので、定着装置の低コストに貢献できる。
(態様B)において、前記初期回転速度は、前記定着ニップのニップ圧に応じて設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、定着ニップのニップ圧に応じて、つまり、定着する記録材の厚さや種類等に応じて初期回転速度を設定するので、定着する記録材の厚さや種類等に応じた良好な定着が行える。
(態様B)又は(態様H)において、前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、前記従動回転体が、前記加熱部材であり、前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
加熱部材の回転速度(回転数)が一定でも、加熱部材のわずかな熱膨張で無端ベルトの速度はずれるので、さらに、無端ベルトの線速のずれを低減することができる。
(態様A)、(態様B)、又は(態様E)乃至(態様I)のいずれかにおいて、前記駆動回転体の速度を変更するタイミングが、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップを記録材が通過していないときであることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
上述した従来の定着装置の不具合である定着画像の乱れは、次の理由でも発生している。
従来の定着装置では、検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御される、駆動回転体を回転駆動する速度の変更タイミングも規定されていなかった。
このため、熱膨張などの熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径(外径)の変化に応じて変化する従動回転体の回転速度に基づいて、記録材が定着ニップを通過中に定着画像の乱れが生じる程の変更量の駆動速度変更を行う場合があった。
したがって、定着ニップを通過中の記録材に担持された、軟化したトナー画像が部分的に乱れる定着画像の乱れの発生を、従来よりも抑制できる定着装置を提供できる。
(態様A)、又は(態様A)を引用する(態様J)において、前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる加圧脱圧手段80などの離間手段を備え、前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態においては、直前の通紙状態が無い。このため、従来の定着装置では、定着ニップに記録材を迎えるときの、駆動回転体の初期回転速度を、固定値など狙いでない速度で回転駆動していた。
この固定値は、熱変形等により回転駆動される駆動回転体等のローラ径の変化によらず設定される値であるため、回転検知手段で検知した従動回転体の回転速度に基づいて制御しても、通紙中に適切な速度で回転駆動できないおそれがある。
加えて、上記補正を行う前に、予め、当接状態と離間状態の同じ熱膨張率での差分を計測して求めておけば、適切な補正が行え、適切な補正を行った従動回転体の回転速度に基づいて、駆動回転体の初期回転速度を設定することができる。
したがって、待機状態等、無端ベルトと加圧部材とを離間した状態から、定着ニップに記録材を迎えいれるときの初期回転速度を、加熱部材の径の変化に応じたものにでき、通紙中に適切な速度で駆動回転体を回転駆動できる。
(態様C)において、記録材が通過しないときに、前記加圧部材と前記定着部材の離間と加圧を行い、同一駆動条件で、前記離間中の無端ベルトの線速と、前記加圧中の無端ベルトの線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で前記駆動源を駆動することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、定着装置のキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様C)、又は(態様L)において、前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材の位置を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述した(態様L)を、本(態様M)により形成した異なるニップ幅で行うことで、複数のニップでキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様C)、又は(態様L)において、前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材による加圧力を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、複数のニップ幅を持つことができる。
また、上述した(態様L)を、本(態様N)により形成した異なるニップ幅で行うことで、複数のニップでキャリブレーションモードの動作を行うことができる。
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、オペレータなどの操作者の手動による手動モードなどの指示に基づいて行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、操作者(オペレータ)の必要性に応じて、キャリブレーションモードの動作を実行することができる。
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、経過時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くす(キャンセルする)ことができる。
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、当該定着装置の前記駆動源の駆動積算時間が一定の時間となった場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置の駆動(動作)時間に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定の駆動積算時間間隔で行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の枚数定着した場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧時と加圧時の線速の関係の変化が、定着装置の定着枚数(通紙枚数)に依存する場合に、キャリブレーションモードの動作を一定以上の枚数定着(通紙)した毎に行うことができ、経時のズレ量を無くすことができる。
(態様C)、又は(態様L)乃至(態様N)のいずれかの定着装置において、前記無端ベルトの線速の最適化を、目標の線速との差が、予め設定された閾値を超えた場合に行うことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、無端ベルトの目標の線速との差(ズレ)が大きくなったときに、キャリブレーションモードの動作を行うことができ、キャリブレーションモードの動作を、適切な頻度で行うことができる。
(態様D)において、前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の温度を検出することで行われることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置の蓄熱状態の値として定着部材の温度を検出することができ、簡易な構成で無端ベルトの線速を最適化できる。
(態様D)又は(態様T)において、前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の芯金52aなどの芯金の温度を検出することで行われることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
脱圧状態と加圧状態での従動回転体の回転速度の比(線速比)に相関のある定着装置の蓄熱状態の値として、強い相関のある定着部材の芯金52aなどの芯金の温度を芯金温度検知手段93で計測するなどして検出することができる。
したがって、簡易な構成で無端ベルトの線速を高精度に最適化できる。
(態様D)、(態様T)又は(態様U)において、前記加圧脱圧手段による加圧脱圧は、前記記録材の通紙中以外は脱圧され、通紙直前で加圧されることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、画像形成装置の高寿命化、高画質化を達成しつつ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮できる。
(態様D)、又は(態様T)乃至(態様V)のいずれかにおいて、前記脱圧時の前記蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の記録材が通紙するときの前記駆動回転体の速度を設定することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、画像形成装置の高寿命化、高画質化を達成し、且つ、1stプリント(1枚目の印刷)までに要する時間を短縮しつつ、連続印刷時などの複数の画像形成を行うときの時間短縮を達成できる。
用紙Pなどの記録材上に担持したトナー像Tなどのトナー画像を、記録材上に定着する定着装置を備えたプリンタ200などの画像形成装置において、前記定着装置として、(態様A)乃至(態様W)のいずれかの定着装置100などの定着装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、(態様A)乃至(態様W)のいずれかの定着装置と同様な効果を奏することができる画像形成装置を提供できる。
52 定着ローラ
52a 芯金
52b 弾性ゴム層
53a 加熱ヒータ
53b 誘導加熱手段
54 加熱ローラ
55 加圧ローラ
56 サーモパイル
61 加熱ローラ回転伝達手段
62 被回転伝達手段
63 回転検知部材
63a スリットエンコーダ
63b フォトセンサ
63c 磁気エンコーダ
63d 磁気センサ
63e マーク
63f 回転フィラー
72 回転伝達手段付勢部材
80 加圧脱圧手段
91 通紙外温度検知手段
92 通紙内温度検知手段
93 芯金温度検知手段
100 定着装置
200 プリンタ
N 定着ニップ
P 用紙
T トナー像
Claims (24)
- 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御され、
前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、
前記従動回転体が、前記加熱部材であり、
前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とする定着装置。 - 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御され、
前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段を備え、
前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする定着装置。 - 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる駆動源と、
前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段とを備え、
前記駆動源の駆動力が伝達される前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかには弾性層を有し、
離間中の前記無端ベルトの線速と、前記加圧部材による加圧中の前記無端ベルトの線速とを検知し、その検知結果に基づいて、前記駆動源の駆動を制御し、前記無端ベルトの線速を最適化することを特徴とする定着装置。 - 加熱部材と定着部材に張架された無端ベルトと、加圧部材との間を搬送するときに記録材上のトナー画像を定着させる定着装置において、
前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかを回転させる駆動源と、
前記無端ベルトを介して前記定着部材に対し、前記加圧部材を加圧、脱圧させる加圧脱圧手段とを備え、
前記無端ベルトを回転駆動する駆動回転体の速度が、回転検知手段を用いて検知した前記無端ベルトが架け回された従動回転体の回転速度に基づいて制御されるとともに、
前記加圧脱圧手段による脱圧時に検知した前記回転検知手段の検知結果に基づいて、加圧時の前記駆動回転体の速度の制御を行い、
前記加圧時の前記駆動回転体の速度の設定は、当該定着装置の蓄熱状態の検出結果に応じた補正値を用いて設定されることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
前記加熱部材の温度を直接検知する温度検知手段を備えていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
前記加熱部材の温度を前記無端ベルト上で検知した値を用いることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記加熱部材の熱膨張を補正するときに、
定着温度の目標値を用いることを特徴とする定着装置。 - 請求項2に記載の定着装置において、
前記初期回転速度は、前記定着ニップのニップ圧に応じて設定されることを特徴とする定着装置。 - 請求項2、又は請求項8に記載の定着装置において、
前記駆動回転体が、前記定着部材及び前記加圧部材の少なくともいずれかであり、
前記従動回転体が、前記加熱部材であり、
前記加熱部材の熱膨張分を補正して、前記駆動回転体の速度を制御することを特徴とすることを特徴とする定着装置。 - 請求項1、請求項2、又は請求項5乃至9のいずれか一に記載の定着装置において、
前記駆動回転体の速度を変更するタイミングが、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップを記録材が通過していないときであることを特徴とする定着装置。 - 請求項1、又は請求項1を引用する請求項10に記載の定着装置において、
前記無端ベルトと前記加圧部材とを離間させる離間手段を備え、
前記無端ベルトと前記加圧部材とが離間しているときに検知した前記従動回転体の回転速度を補正して、次回、前記無端ベルトと前記加圧部材で形成される定着ニップに記録材を迎えるときの、前記駆動回転体の初期回転速度が設定されることを特徴とする定着装置。 - 請求項3に記載の定着装置において、
記録材が通過しないときに、前記加圧部材と前記定着部材の離間と加圧を行い、
同一駆動条件で、前記離間中の無端ベルトの線速と、前記加圧中の無端ベルトの線速とを検知し、通紙時に、通紙が最適な速度になる駆動条件で前記駆動源を駆動することを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12に記載の定着装置において、
前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材の位置を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12に記載の定着装置において、
前記加圧部材が前記定着部材を加圧するときに、前記加圧部材による加圧力を変化させることで、異なるニップ幅を形成することを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
前記無端ベルトの線速の最適化を、操作者の手動による指示に基づいて行うことを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の時間経過した場合に行うことを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
前記無端ベルトの線速の最適化を、当該定着装置の前記駆動源の駆動積算時間が一定の時間となった場合に行うことを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
前記無端ベルトの線速の最適化を、一定以上の枚数定着した場合に行うことを特徴とする定着装置。 - 請求項3、又は請求項12乃至14のいずれか一に記載の定着装置において、
前記無端ベルトの線速の最適化を、目標の線速との差が、予め設定された閾値を超えた場合に行うことを特徴とする定着装置。 - 請求項4に記載の定着装置において、
前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の温度を検出することで行われることを特徴とする定着装置。 - 請求項4、又は請求項20に記載の定着装置において、
前記蓄熱状態の検出は、前記定着部材の芯金の温度を検出することで行われることを特徴とする定着装置。 - 請求項4、請求項20、又は請求項21に記載の定着装置において、
前記加圧脱圧手段による加圧脱圧は、前記記録材の通紙中以外は脱圧され、通紙直前で加圧されることを特徴とする定着装置。 - 請求項4、又は請求項20乃至22のいずれか一に記載の定着装置において、
前記脱圧時の前記蓄熱状態の検出結果に応じた補正値により、1枚目の記録材が通紙するときの前記駆動回転体の速度を設定することを特徴とする定着装置。 - 記録材上に担持したトナー画像を、記録材上に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1乃至23のいずれか一に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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