JP2018203697A - クロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩 - Google Patents
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Abstract
Description
前記クロスカップリング反応の反応触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法である。
また、本発明において、R1〜R4が複素環である場合、当該複素環としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基等が挙げられる。
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
無水塩化鉄FeCl3(0.608g、3.74mmol)をシュレンクフラスコにとり、そこにBis(triphenylphosphoranylidene)ammonium chloride(以下[PPN]Clと略す、2.18g、3.80mmol)を加え、無水MeOH45mLを加えて室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた黄色の粉末をEt2Oで洗浄した後、真空乾燥を行った。続いて、得られた粉末をTHFに溶解しろ過した。得られた黄色溶液を用いてTHF/Et2O気液拡散法による再結晶を行うことで、黄色の結晶として鉄塩[PPN][FeCl4]を収率91%で得た(2.50g、3.40mmol)。得られた塩の一部を用いて単結晶X線構造解析を行うことで目的の塩の生成を確認した。
上記反応式を下記式(9)に示す。
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
フッ化鉄3水和物FeF3・3H2O(0.164g、0.98mmol)をシュレンクフラスコにとり、無水MeOH10mLを加えた。そこにTetrabutyl ammonium fluoride(1.0M THF溶液、1.00mL、1.00mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた灰色の粉末をTHFで洗浄した後に真空乾燥を行うことで、茶色の結晶として鉄塩[ノルマル−Bu4N][FeF4]を収率84%で得た(0.307g、0.35mmol)。
上記反応式を下記式(10)に示す。
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
無水臭化鉄FeBr3(0.311g、1.05mmol)をシュレンクフラスコにとり、そこにTetraphenylphosphonium bromide(0.417g、1.00mmol)を加え、無水MeOH15mLを加えて室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた茶色の粉末をEt2Oで洗浄した後、真空乾燥を行った。続いて、得られた粉末をTHFに溶解しろ過した。得られた溶液をTHF/ペンタン気液拡散法による再結晶を行うことで、茶色の結晶として鉄塩[Ph4P][FeBr4]を収率32%で得た(0.231g、0.32mmol)。その後、得られた塩の一部を用いて単結晶X線構造解析を行うことで目的の塩の生成を確認した。
上記反応式を下記式(11)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[PPN][FeCl4](0.0368g、0.050mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.1046g、0.67mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.1629g、1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、1.20mL、1.20mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率94%で得られた。
上記反応式を下記式(12)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Bu4N][FeCl4](0.0219g、0.050mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.1041g、0.67mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.1662g、1.01mmol、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、1.20mL、1.2mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率91%で得られた。
上記反応式を下記式(13)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Bu4N][FeBr4](0.0160g、0.027mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0521g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0858g、0.53mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率87%で得られた。
上記反応式を下記式(14)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Bu4N][FeF4](0.0095g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0527g、0.34mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0821g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率91%で得られた。
上記反応式を下記式(15)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Bu4N][FeCl3Br](0.0119g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0513g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0815g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(16)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Octyl4N][FeBr4](0.0211g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0515g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0802g、0.49mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.6mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率52%で得られた。
上記反応式を下記式(17)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコにFeCl3(0.004g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0520g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.080g、0.49mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(18)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル−Bu4P][FeBr4](0.0160g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0513g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0813g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(19)に示す。
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[Ph4P][FeBr4](0.0181g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル−ウンデカン(0.0518g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0838g、0.51mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2O5を用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率79%で得られた。
上記反応式を下記式(20)に示す。
窒素置換したシュレンクフラスコに[PPN][FeCl4](0.0372g、0.051mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これにブロモシクロヘキサン(0.163g、1.00mmol)、ZnCl2(0.211g、1.55mmol)とフェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、3.00mL、3.0mmol)から調製したジフェニル亜鉛溶液を加え、反応溶液を室温で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、内部標準としてピラジン(0.035g、0.440mmol)を加え、NMRにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率38%で得られた。
上記反応式を下記式(23)に示す。
実施例1で作製したテトラハロゲノ鉄塩[PPN][FeCl4]を用いて、グリニヤール反応剤の基質適用範囲を検討した。
まず、ブロモシクロヘキサンとアリールグリニヤール反応剤とのクロスカップリング反応では、フェニルグリニヤール反応剤とパラ−トリルグリニヤール反応剤及びパラ−アニシルグリニヤール反応剤を用いた場合、カップリング生成物を良好な収率で与えた。オルト−トリルグリニヤール反応剤を用いた場合は、カップリング生成物の収率は中程度となった。
Claims (11)
- ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法であって、
前記クロスカップリング反応の反応触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法。
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