JP2018187533A - 複合半透膜 - Google Patents

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友哉 吉崎
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剛志 浜田
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淳 岡部
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Abstract

【課題】膜汚染物質に対する高い付着抑制能と高い脱離性を併せ持つ複合半透膜を提供する。【解決手段】本発明は、基材および多孔性支持層を含む支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた架橋ポリアミドを含む分離機能層からなる複合半透膜であって、前記分離機能層のpH6における表面ゼータ電位が±15mV以内であり、pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位より15mV以上高いことを特徴とする複合半透膜である。【選択図】なし

Description

本発明は、膜汚染物質に対する高い付着抑制能と高い脱離性を併せ持つ複合半透膜に関するものである。本発明によって得られる複合半透膜は、例えばかん水や海水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがある。近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがある。これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられている。
このような分離膜を用いた膜分離技術における課題の1つにファウリング現象がある。ファウリング現象とは、被処理水中に含まれる物質等が分離膜の表面や内孔に吸着することにより、溶液の透過が阻害され、分離膜の分離性能が劣化する現象である。ファウリング現象は、付着する物質の種類により分類され、有機物の吸着によるケミカルファウリング、微生物の吸着によるバイオファウリング等がある。
ケミカルファウリングは、排水等の被処理水中に含まれるフミン質や界面活性剤等の有機物が分離膜の表面に堆積したり分離膜の内部に吸着したりすることで、分離膜が目詰まりを起こし、被処理水の透過水量が減少することにより分離性能が低下する現象である。
一方、バイオファウリングは、被処理水中に含まれる微生物が前述のケミカルファウリングにより分離膜に吸着した有機物を栄養源として分離膜の表面や内部で繁殖することで、分離膜が目詰まりを起こし、被処理水の透過水量が減少することにより分離性能が低下する現象である。
これを改善する方法として、ポリビニルアルコールを分離機能層表面にコーティングすることでファウリングを抑制する方法(特許文献1、2)などが提案されている。同様に、酸性基を有する親水性高分子をアミド結合で分離機能層表面に導入することでファウリングを抑制する方法も提案されている(特許文献3)。
また、ファウリングなどにより透過水量が低下した逆浸透膜に対して、酸やアルカリといった薬品を用いて洗浄することで、透過水量を回復させる方法(特許文献4)なども提案されている。
国際公開第1997/34686号 国際公開第2014/133132号 国際公開第2015/46582号 特開平10−66972号公報
このように、分離膜に要求される性能には、塩除去性能や透過水量だけでなく、耐ファウリング性が存在する。ここで、耐ファウリング性とは、ファウリングを抑制することと、ファウリングが起きたとしても性能低下を小さく抑えることとのいずれをも含み得る。
分離膜の汚染の原因として挙げられるのが表面の荷電性である。特許文献1、2に記載の膜は、ポリビニルアルコールを分離機能層表面にコーティングすることで荷電状態を中性にして、各種イオンの汚染物質によるファウリングを抑制することができるが、透過水量低下の抑制能は未だ満足できるものではなかった。また、特許文献4においても薬品による洗浄による透過水量の回復性が未だ満足できるものではなかった。これは特許文献1〜3に記載の膜についても同様である。
本発明の目的は、膜汚染物質に対する高い付着抑制能と高い脱離性を併せ持つことで、長期にわたり優れた耐ファウリング性を実現する複合半透膜を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成をとる。
基材および多孔性支持層を含む支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた架橋ポリアミドを含む分離機能層からなる複合半透膜であって、
前記分離機能層のpH6における表面ゼータ電位が±15mV以内であり、pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位より15mV以上高いことを特徴とする複合半透膜。
本発明の複合半透膜の分離機能層が、pH6における表面ゼータ電位が±15mV以内であることを満たすことで、運転時における分離膜の汚染を抑制し、pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位より15mV以上高いことでアルカリ洗浄時における汚染物質の分離機能層からの剥離を促進し、長期間にわたり優れた耐ファウリング性を維持することが出来る。
1.複合半透膜
本発明の複合半透膜は、基材および多孔性支持層を含む支持膜と、多孔性支持層上に設けられた架橋ポリアミドを含む分離機能層とを備える。
(1−1)分離機能層
分離機能層は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層である。分離機能層の組成および厚み等の構成は、複合半透膜の使用目的に合わせて設定される。
分離機能層は、具体的には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合によって得られる架橋ポリアミドを有する。この架橋ポリアミドが、実質的に、複合半透膜における塩除去を担う。
ここで多官能アミンは、芳香族多官能アミン及び脂肪族多官能アミンから選ばれた少なくとも1つの成分からなることが好ましい。
芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどが例示される。また、そのN−アルキル化物として、N,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミンなどが例示される。性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン(以下、m−PDAという)、または1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。
また、脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミン及びその誘導体である。例えば、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジン、エチレンジアミンなどが例示される。性能発現の安定性から、特に、ピペラジンまたは2,5−ジメチルピペラジンが好ましい。これらの多官能アミンは、1種を単独で用いても、2種類以上を混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記多官能アミンとの反応により架橋ポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸等のハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライド(以下、TMCという)が好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は1種を単独で用いても、2種類以上を混合物として用いてもよい。
上記架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物の重合反応に由来するアミド基、未反応末端官能基に由来するアミノ基及びカルボキシ基を有する。これらの官能基量は、複合半透膜の透水性能や塩除去率に影響を与える。
架橋ポリアミド形成後に化学処理を行うと、架橋ポリアミド中の官能基を変換したり、架橋ポリアミドに新たな官能基を導入したりすることができ、これによって複合半透膜の透過水量や塩除去率を向上させることができる。導入する官能基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、アゾ基等が挙げられる。
例えば、架橋ポリアミドにアゾ基を導入すると、塩除去率が向上するため好ましい。アゾ基は、架橋ポリアミド中の(アゾ基のモル等量)/(アミド基のモル等量)の比が0.1以上1.0以下になるように導入されることが好ましい。この比が0.1以上1.0以下であることで、高い塩除去率を得ることができる。
また、分離機能層中の官能基割合「(アミノ基のモル当量)/(アミド基のモル当量)」は複合半透膜の耐久性に関係し、このアミノ基割合を0.18以下となるようにアミノ基を別の官能基に変換することが好ましい。「(アミノ基のモル当量)/(アミド基のモル当量)」が0.18以下であれば、層の堅牢性が増して膜の耐久性が向上する。
これらの架橋ポリアミド中の官能基量は、例えば、13C固体NMR測定で求めることができる。具体的には、複合半透膜から基材を剥離し、分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解・除去し、分離機能層を得る。得られた分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR測定を行い、各官能基が結合している炭素原子のピークの積分値を算出する。この積分値から各官能基量を同定できる。
分離機能層は、架橋ポリアミドと、架橋ポリアミドとは組成の異なる第二のポリマーとを含むことが好ましい。第二のポリマーは分離機能層において被処理液と接触する側の表面に存在していることが好ましい。より具体的には、分離機能層は、架橋ポリアミドを主成分とする第1層と、第二のポリマーを主成分とする第2層とを備え、基材、多孔性支持層、第1層および第2層は、この順に配置されることが好ましい。
第二のポリマーが分離機能層表面に存在することで、仮に汚染物質が分離機能層表面に付着しても、汚染物質は架橋ポリアミドよりも第二のポリマーに付着しやすいため、分離機能を実質的に担う架橋ポリアミドの汚染が抑制され、分離膜の性能低下を低く抑えられるためである。
本発明における第二のポリマーは、正荷電を有する官能基または負荷電を有する官能基を含む、あるいはそれら両方を含むことが好ましい。これは荷電をもつ事によって分離機能層表面の水和水の量が多くなり、これらの水和水が汚染物質の吸着を抑制するためと考えられる。本発明において、荷電を有する官能基とは、水中にてプロトン化、または脱プロトン化することにより、荷電を有する官能基も含む。
正荷電を有する官能基とは、電子の欠損によりイオン性を帯びた官能基であり、例えば、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムが挙げられる。
第二のポリマーで正荷電を有する官能基を含むポリマーとしては、以下のものが例示される。ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリピリジン、ポリアミノ酸、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリジアリルアルキルアミン、これらの塩、およびこれらの四級化物、ならびにポリジアリルアミン、ポリジアリルアミンの塩。
負荷電を有する官能基とは、電子の過剰によりイオン性を帯びた官能基であり、カルボキシ基、ホスホン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、リン酸エステル基が挙げられる。
第二のポリマーで負荷電を有する官能基を含むポリマーとしては、下記のモノマーの重合体などが挙げられる。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、以下のものが例示される。マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸および対応する無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシンおよび4−ビニル安息香酸が挙げられる。これらの中でも特に汎用性、共重合性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸が好ましい。
ホスホン酸基を有するモノマーとしては、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−フェニル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸および2−[2−ジヒドロキシホスホリル)−エトキシメチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチル−フェニルエステルが例示される。
リン酸エステル基を有するモノマーとしては、2−メタクリロイルオキシプロピル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシプロピル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシエチル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル−フェニル−水素リン酸、ジペンタエリトリトール−ペンタメタクリロイルオキシホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシル−二水素リン酸、ジペンタエリトリトールペンタメタクリロイルオキシホスフェート、リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)−エステル、6−(メタクリルアミド)ヘキシル二水素ホスフェートならびに1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−二水素ホスフェートが例示される。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸が挙げられる。
第二のポリマーで正荷電を有する官能基と負荷電を有する官能基の両方を含むポリマーは、正電荷を有する官能基を含むモノマーと負電荷を有する官能基を含むモノマーとの共重合体や多官能性アミンと多官能性カルボン酸誘導体の縮合により合成されるポリアミドなどが。また、正荷電を有する官能基と負荷電を有する官能基の両方を含むモノマーの共重合体を含む。
また、第二のポリマーは単独重合体でもよいが、目的に応じ、二種類以上のモノマーの共重合でもよく、モノマーの共重合比は特に限定されない。共重合の形式にはブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体などが挙げられるが特に限定されるものではない。
本発明では、第二のポリマーが、化学的に安定なポリアミドであることが、長期にわたり、耐ファウリング性を維持できる点で好ましい。特に、主要なアミド結合は下記記載の様式であることが好ましい。
Figure 2018187533
ここで、C1〜C5は全て脂肪族由来の炭素である。
C1〜C5が全て脂肪族由来の炭素であることにより、芳香族化合物を有する汚染物質の疎水性相互作用やπ―π相互作用による吸着を抑制できると考えられるためである。C1〜C5の少なくとも一つが芳香族由来の炭素である場合、芳香族化合物を有する汚染物質の上記の相互作用による吸着が起こり、分離膜の性能低下が起こると考えられる。ここで主要とは、全体のアミド結合のうち90 %以上を占めることを指す。
上記第二のポリマーは分子間または/および分子内で架橋されたポリアミドであることが好ましい。これは架橋によって第二のポリマーの化学的安定性が高まり、耐ファウリング性を長期維持できるようになるためである。さらに第二のポリマーが架橋ポリアミドにアミド結合で導入されていることが、上記した化学的安定性の向上と耐ファウリングの長期維持という点で好ましい。具体的には、分離機能層の主成分である架橋ポリアミドに、多くの場合はポリアミドの末端のアミノ基を介して、アミド結合によって結合する。
また、第二のポリマーの重量平均分子量は1500以上であることが好ましい。これは、第二のポリマーの重量平均分子量が1500より大きければ、仮に汚染物質が第二のポリマーに付着したとしても、分離機能を実質的に担う架橋ポリアミドから離れた位置で付着するので、分離膜の性能低下を低く抑えられるためである。第二のポリマーの重量平均分子量が1500未満であれば、汚染物質が第二のポリマーに付着した場合、架橋ポリアミドとより近い位置でのファウリングとなるため、分離膜の性能低下が起こる。
上述したように、第二のポリマーは、分離機能層の表面(言い換えると架橋ポリアミドで形成された層の表面上)に配置されることが好ましい。第二のポリマーを後述するように、架橋ポリアミドの形成後に第二のポリマーが導入されることで、第二のポリマーは、分離機能層中のポリアミドで形成された部分の表面に配置される。第二のポリマーは、分離機能を実質的に担う架橋ポリアミドの層をほとんど通過しないと考えられるからである。また、分離機能層の表面において第二のポリマーを検出し、その後エッチングし、さらに第二のポリマーを検出する、という一連の測定操作を繰り返せば、第二のポリマーが分離機能層の表面に多く存在することを確認することは可能である。例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて表面の元素組成および化学結合状態を測定することで、算出することもできる。このとき、測定深さが深いと分離機能層中の架橋ポリアミドの組成の影響を受けるため、試料を傾斜させる角度分解法により、最表面の測定を行うことが好ましい。
本願発明者らは鋭意検討を行った結果、分離機能層の表面ゼータ電位と、複合半透膜の透過水量および膜汚染物質の脱離性とに密接な関係があることを見出した。
ゼータ電位とは超薄膜層表面の正味の固定電荷の尺度であり、本発明の薄膜層表面のゼータ電位は、電気移動度から、下記数式1に示すヘルムホルツ・スモルコフスキー(Helmholtz−Smoluchowski)の式によって求めることができる。
Figure 2018187533
(式中、Uは電気移動度、εは溶液の誘電率、ηは溶液の粘度である)。ここで、溶液の誘電率、粘度は、測定温度での文献値を使用した。
ゼータ電位の測定原理について説明する。材料に接した(水)溶液には、材料表面の電荷の影響で、表面の近傍に流動できない静止層が存在する。ゼータ電位は、材料の静止層と流動層の境界面(すべり面)での溶液に対する電位である。
ここで、石英ガラスセル中の水溶液を考えると、石英表面は通常マイナスに荷電されているため、セル表面付近にプラス荷電のイオンや粒子が集まる。一方、セル中心部にはマイナス荷電のイオンや粒子が多くなり、セル内でイオン分布が生じている。この状態で電場をかけると、セル内ではイオン分布を反映し、セル内の位置で異なる泳動速度でイオンが動く(電気浸透流という)。泳動速度はセル表面の電荷を反映したものであるので、この泳動速度分布を求めることにより、セル表面の電荷(表面電位)を評価することができる。
通常、ゼータ電位の測定は、大きさ20mm×30mmの膜試料を用い、電気泳動させるための標準粒子は表面をヒドロキシプロピルセルロースでコーティングしたポリスチレン粒子(粒径520nm)を所定濃度に調整したNaCl水溶液に分散させて測定することができる。測定装置は例えば大塚電子製電気泳動光散乱光度計ELS−8000などが使用できる。
本発明の複合半透膜は、分離機能層の表面ゼータ電位が、pH6、NaCl10mMの条件において測定されたときに±15mV以内に制御されており、NaCl10mMの条件においてpH6における電位がpH11における電位よりも15mV以上高いことが必要である。
分離機能層には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物に由来する未反応のアミノ基とカルボキシ基が含まれ、それら官能基の解離度によって表面ゼータ電位の値が変化する。分離機能層のpH6における表面ゼータ電位は、膜汚染物質の吸着性に関係しており、表面ゼータ電位がNaCl10mMの条件において±15mV以内に制御されていると膜汚染物質と膜表面素材との相互作用を抑制することができる。表面ゼータ電位が±15mV以内に制御されていれば膜表面は電気的に中性であることを示しており、水中に存在している荷電基を有する膜汚染物質の電気的な相互作用を抑制するからである。表面ゼータ電位が±15mV以上の場合には、膜表面に電気的な偏りが生じるため、荷電基を有する膜汚染物質の電気的な相互作用が起こりやすくなる。
一方、表面ゼータ電位の絶対値が小さい中性領域からpHを変化させたときに、表面ゼータ電位の変化が大きいと、汚染物質の付着した膜の透過水量回復性が高くなる。これは、pH変化に伴い、表面の荷電バランスが大きく変化し、親水性の変化や静電反発によって分離機能層表面に付着した汚染物質の脱離が促進されるためと考えられる。pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位よりも15mV以上高ければ分離機能層表面に付着した汚染物質の脱離が十分に促進され、高い透水量回復性を得ることができる。pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位よりも高い場合でも、その差が15mV未満であれば、汚染物質の脱離の促進が不十分であり、透水量回復性は低くなる。
分離機能層の表面ゼータ電位が、NaCl10mM、pH3の条件において正、pH11の条件において負であると複合半透膜を洗浄する際に汚染物質の剥離性が高いことから好ましい。この条件を満たすことにより、酸性条件で正の電荷を持つ汚染物質の脱離が静電反発により促進され、なおかつアルカリ条件では負の電荷を持つ汚染物質の脱離が促進されると考えられる。分離機能層の表面ゼータ電位が、NaCl10mM、pH3の条件において負、またはpH11の条件において正であると上記した汚染物質の脱離の促進が不十分であり、透水量回復性は低くなる。
このようなゼータ電位を呈する膜の構成としては、例えば、分離機能層が、6以上11以下の酸解離定数pKaを有する官能基を含むことが挙げられる。より具体的には、分離機能層に含まれる架橋ポリアミドまたは第二ポリマーの少なくとも一方が、このような官能基を含むことが好ましい。また、官能基としては、脂肪族アミノ基または芳香族水酸基が例示される。分離機能層には、これらの官能基のうち少なくとも1種類が含まれていればよく、異なる2種類以上の官能基が含まれていてもよい。
分離機能層表面の自乗平均面粗さ(以下、Rmsともいう)は、60nm以上であることが好ましい。自乗平均面粗さが60nm以上であることで、分離機能層の表面積が大きくなり、透過水量が高くなる。一方、自乗平均面粗さが60nm未満の場合には透過水量が低下する。
なお、自乗平均面粗さは原子間力顕微鏡(以下、AFMという)で測定できる。自乗平均面粗さは基準面から指定面までの偏差の自乗を平均した値の平方根である。ここで測定面とは全測定データの示す面をいい、指定面とは粗さ計測の対象となる面で、測定面のうちクリップで指定した特定の部分をいい、基準面とは指定面の高さの平均値をZ0とするとき、Z=Z0で表される平面をいう。AFMは、例えばデジタル・インスツルメンツ社製NanoScopeIIIaが使用できる。
分離機能層表面の自乗平均面粗さは、界面重縮合によって分離機能層を形成する時のモノマー濃度や温度によって制御できる。例えば、界面重縮合時の温度が低いと自乗平均面粗さは小さくなり、温度が高いと自乗平均面粗さは大きくなる。また、分離機能層表面に第二のポリマーによる修飾を行う場合は、第二のポリマー層が厚いと自乗平均面粗さは小さくなるため、自乗平均面粗さが60nm以上となるように修飾することが好ましい。
(1−2)支持膜
支持膜は、分離機能層に強度を与えるためのものであり、それ自体は、実質的にイオン等の分離性能を有さない。支持膜は、基材と多孔性支持層からなる。
支持膜における孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面における微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような支持膜が好ましい。
支持膜は、例えば基材上に高分子重合体を流延することで、基材上に多孔性支持層を形成することにより得ることができる。支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されない。
基材としては、ポリエステルおよび芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種からなる布帛が例示される。機械的および熱的に安定性の高いポリエステルを使用するのが特に好ましい。
基材に用いられる布帛としては、長繊維不織布や短繊維不織布を好ましく用いることができる。基材上に高分子重合体の溶液を流延した際にそれが過浸透により裏抜けしたり、基材と多孔性支持層が剥離したり、さらには基材の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求されることから、長繊維不織布をより好ましく用いることができる。
長繊維不織布としては、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布などが挙げられる。基材が長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜を連続製膜する工程においては、基材の製膜方向に張力がかけられることからも、基材としては、寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
特に、基材の多孔性支持層と反対側に配置される繊維の配向が、製膜方向に対して縦配向であることにより、基材の強度を保ち、膜破れ等を防ぐことができるので好ましい。ここで、縦配向とは、繊維の配向方向が製膜方向と平行であることを言う。逆に、繊維の配向方向が製膜方向と直角である場合は、横配向と言う。
不織布基材の繊維配向度としては、多孔性支持層と反対側における繊維の配向度が0°以上25°以下であることが好ましい。ここで繊維配向度とは、支持膜を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち不織布基材の幅方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
複合半透膜の製造工程やエレメントの製造工程には、加熱工程が含まれるが、加熱により支持膜または複合半透膜が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において、幅方向には張力が付与されていないので、幅方向に収縮しやすい。支持膜または複合半透膜が収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。
不織布基材において多孔性支持層と反対側に配置される繊維と、多孔性支持層側に配置される繊維との配向度差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することができ好ましい。
基材の通気度は2.0cc/cm/sec以上であることが好ましい。通気度がこの範囲だと、複合半透膜の透過水量が高くなる。これは、支持膜を形成する工程で、基材上に高分子重合体を流延し、凝固浴に浸漬した際に、基材側からの非溶媒置換速度が速くなることで多孔性支持層の内部構造が変化し、その後の分離機能層を形成する工程においてモノマーの保持量や拡散速度に影響を及ぼすためと考えられる。
なお、通気度はJIS L1096(2010)に基づき、フラジール形試験機によって測定できる。例えば、200mm×200mmの大きさに基材を切り出し、サンプルとする。このサンプルをフラジール形試験機に取り付け、傾斜形気圧計が125Paの圧力になるように吸込みファン及び空気孔を調整し、このときの垂直形気圧計の示す圧力と使用した空気孔の種類から基材を通過する空気量、すなわち通気度を算出することができる。フラジール形試験機は、カトーテック株式会社製KES−F8−AP1などが使用できる。
また、基材の厚みは、10μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上120μm以下の範囲内である。
多孔性支持層の素材にはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられ、さらに、これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用できる。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、支持膜の孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
Figure 2018187533
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいはポリエステル不織布の上に一定の厚さに流延し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した支持膜を得ることができる。
上記の支持膜の厚みは、得られる複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。支持膜の厚みは、十分な機械的強度および充填密度を得るためには、30μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100μm以上220μm以下の範囲内である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜15kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)によって観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製作所社製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。
本発明に使用する支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるし、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法などに従って製造することもできる。
多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましい。多孔性支持層の厚みが20μm以上であることで、良好な耐圧性が得られると共に、欠点のない均一な支持膜を得ることができるので、このような多孔性支持層を備える複合半透膜は、良好な塩除去性能を示すことができる。多孔性支持層の厚みが100μmを超えると、製造時の未反応物質の残存量が増加し、それにより透過水量が低下するとともに、耐薬品性が低下する。
なお、基材の厚みおよび複合半透膜の厚みは、デジタルシックネスゲージによって測定することができる。また、分離機能層の厚みは支持膜と比較して非常に薄いので、複合半透膜の厚みを支持膜の厚みとみなすことができる。従って、複合半透膜の厚みをデジタルシックネスゲージで測定し、複合半透膜の厚みから基材の厚みを引くことで、多孔性支持層の厚みを簡易的に算出することができる。デジタルシックネスゲージとしては、尾崎製作所株式会社のPEACOCKなどが使用できる。デジタルシックネスゲージを用いる場合は、20箇所について厚みを測定して平均値を算出する。
なお、基材の厚みもしくは複合半透膜の厚みをシックネスゲージによって測定することが困難な場合、走査型電子顕微鏡で測定してもよい。1つのサンプルについて任意の5箇所における断面観察の電子顕微鏡写真から厚みを測定し、平均値を算出することで厚みが求められる。
2.製造方法
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、支持膜の形成工程および分離機能層の形成工程を含む。
(2−1)支持膜の形成工程
支持膜の形成工程は、基材に高分子溶液を塗布する工程および溶液を塗布した前記基材を凝固浴に浸漬させて高分子を凝固させる工程を含む。
基材に高分子溶液を塗布する工程において、高分子溶液は、多孔性支持層の成分である高分子を、その高分子の良溶媒に溶解して調製する。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の温度は、高分子としてポリスルホンを用いる場合、10℃以上60℃以下であることが好ましい。高分子溶液の温度が、この範囲内であれば、高分子が析出することがなく、高分子溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により多孔性支持層が基材に強固に接合し、良好な支持膜を得ることができる。なお、高分子溶液の好ましい温度範囲は、用いる高分子の種類や、所望の溶液粘度などによって適宜調整することができる。
基材上に高分子溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間は、0.1秒以上5秒以下であることが好ましい。凝固浴に浸漬するまでの時間がこの範囲であれば、高分子を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。なお、凝固浴に浸漬するまでの時間の好ましい範囲は、用いる高分子溶液の種類や、所望の溶液粘度などによって適宜調整することができる。
凝固浴としては、通常水が使われるが、多孔性支持層の成分である高分子を溶解しないものであればよい。凝固浴の組成によって得られる支持膜の膜形態が変化し、それによって得られる複合半透膜も変化する。凝固浴の温度は、−20℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは10℃以上50℃以下である。凝固浴の温度がこの範囲以内であれば、熱運動による凝固浴面の振動が激しくならず、膜形成後の膜表面の平滑性が保たれる。また温度がこの範囲内であれば凝固速度が適当で、製膜性が良好である。
次に、このようにして得られた支持膜を、膜中に残存する溶媒を除去するために熱水洗浄する。このときの熱水の温度は40℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは60℃以上95℃以下である。この範囲内であれば、支持膜の収縮度が大きくならず、透過水量が良好である。また、温度がこの範囲内であれば洗浄効果が十分である。
(2−2)分離機能層の形成工程
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程を説明する。本発明の分離機能層の形成工程は、
(a)多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを用い、支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、架橋ポリアミドを形成するステップと、
(b)上記(a)で得られた架橋ポリアミドに第二のポリマーを導入するステップと、
を有する。また、分離機能層の形成工程は、さらに、
(c)架橋ポリアミドの第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させるステップ、
をさらに含んでもよい。上記ステップ(b)は、ステップ(a)の後であればよい。また、ステップ(c)が、ステップ(a)と(b)との間で行われてもよい。
上記ステップ(a)は架橋ポリアミドを主成分とする第1層を形成し、その後のステップ(b)により第1層の表面に第二ポリマーを主成分とする第2層が形成される。上記ステップ(b)は架橋ポリアミドと第二ポリマーを疎水性相互作用、イオン性相互作用、あるいはアミド結合で導入するステップであり、第二のポリマーは、分離機能を実質的に担う架橋ポリアミドをほとんど通過しないと考えられるため、第1層の表面に第2層が形成される。一方、上記ステップ(c)はアミノ基を官能基変換する工程である。
以下、各ステップを(a)、(b)、および(c)の順に実行する場合の本工程について説明する。
ステップ(a)において、多官能酸ハロゲン化物を溶解する有機溶媒としては、水と非混和性のものであって、支持膜を破壊しないものであり、かつ、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しないものであればいずれであってもよい。代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
多官能アミン水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液には、両成分間の反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
界面重縮合を支持膜上で行うために、まず、多官能アミン水溶液で支持膜表面を被覆する。ここで、多官能アミンを含有する水溶液の濃度は、0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上15重量%以下である。
多官能アミン水溶液で支持膜表面を被覆する方法としては、支持膜の表面がこの水溶液によって均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、水溶液を支持膜表面にコーティングする方法、支持膜を水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、5秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、10秒以上3分以下の範囲内であるとさらに好ましい。次いで、過剰に塗布された水溶液を液切り工程により除去することが好ましい。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。
その後、多官能アミン水溶液で被覆した支持膜に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、界面重縮合により架橋ポリアミドを形成させる。界面重縮合を実施する時間は、0.1秒以上3分以下が好ましく、0.1秒以上1分以下であるとより好ましい。
有機溶媒溶液における多官能酸ハロゲン化物の濃度は、特に限定されないが、低すぎると活性層である架橋ポリアミドの形成が不十分となり欠点になる可能性があり、高すぎるとコスト面から不利になるため、0.01重量%以上1.0重量%以下程度が好ましい。
次に、反応後の有機溶媒溶液を液切り工程により除去することが好ましい。有機溶媒の除去は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1分以上5分以下であることが好ましく、1分以上3分以下であるとより好ましい。把持する時間が1分以上であることで目的の機能を有する架橋ポリアミドを得やすく、3分以下であることで有機溶媒の過乾燥による欠点の発生を抑制できるので、性能低下を抑制することができる。
次に、上述の方法により得られた架橋ポリアミドを、25℃以上90℃以下の範囲内で、1分以上60分以下熱水で洗浄処理することで、複合半透膜の溶質阻止性能や透過水量をより一層向上させることができる。ただし、熱水の温度が高すぎた場合、熱水洗浄処理後に急激に冷却すると耐薬品性が低下する。そのため、熱水洗浄は、25℃以上60℃以下の範囲内で行うことが好ましい。また、61℃以上90℃以下の高温で熱水洗浄処理する際には、熱水洗浄処理後は、緩やかに冷却することが好ましい。例えば、段階的に低い温度の熱水と接触させて室温まで冷却させる方法等がある。
また、上記の熱水洗浄する工程において、熱水中に酸またはアルコールが含まれていてもよい。酸またはアルコールを含むことで、架橋ポリアミドにおける水素結合の形成をより制御しやすくなる。酸としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸や、クエン酸、シュウ酸などの有機酸などが挙げられる。酸の濃度は、pH2以下となるように調整することが好ましく、pH1以下であるとより好ましい。アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの1価アルコールや、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。アルコールの濃度は、好ましくは10重量%以上100重量%以下であり、より好ましくは10重量%以上50重量%以下である。
次に、ステップ(b)として、第二のポリマーを架橋ポリアミドに導入する。第二のポリマーを含む水溶液を架橋ポリアミドに接触させることで疎水性相互作用、イオン性相互作用により導入される。なお薬液洗浄等により脱離する可能性を考慮し、この工程として、第二のポリマー及び縮合剤を含む水溶液を、架橋ポリアミド表面に接触させ、アミド結合を形成する方法がより好ましい。架橋ポリアミド表面の官能基と、第二のポリマーに含まれる官能基とが縮合反応によってアミド結合を形成するため、第二のポリマーが導入される。分離機能層に第二のポリマー及び縮合剤を含む水溶液を接触させる方法は特に限定されず、例えば、複合半透膜全体を第二のポリマーと縮合剤とを含む水溶液中に浸漬してもよいし、第二のポリマー及び縮合剤を含む水溶液を複合半透膜表面にスプレーしてもよく、架橋ポリアミドと第二のポリマー及び縮合剤が接触するのであれば、その方法は限定されない。
架橋ポリアミド表面に接触させる第二のポリマーは単独であっても数種混合して用いてもよい。第二のポリマーは、重量濃度で0.001重量%以上1重量%以下の水溶液として使用するのが好ましい。第二のポリマーの濃度が0.001重量%以上であれば、架橋ポリアミドに存在する官能基と第二のポリマーを十分に反応させることができる。一方で、1重量%を超えると第二のポリマー層が厚くなるため、造水量が低下する。
また、第二のポリマーの水溶液には必要に応じて他の化合物を混合することもできる。例えば、架橋ポリアミド表面と第二のポリマーの反応を促進するため、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウムなどのアルカリ性金属化合物を添加してもよい。また、架橋ポリアミド中に残存する、水と非混和性の有機溶媒や、多官能酸ハロゲン化物や多官能アミン化合物などのモノマー、及びこれらモノマーの反応で生じたオリゴマーなどを除去するために、ドデシル硫酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加することも好ましい。
本発明において縮合剤とは、水中でカルボキシ基を活性化させ、アミノ基との縮合反応を進行する化合物を指す。このような化合物として、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1,3−ビス(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル)カルボジイミド、及び4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(以下、DMT−MMという)が挙げられる。これらの化合物の中でも、縮合反応時の安定性、及び縮合反応後の副生成物の毒性の低さなどから、DMT−MMが特に好ましく用いられる。
第二のポリマーと縮合剤とを含む水溶液中の縮合剤の濃度は、活性化させるカルボキシ基濃度より高ければ特に限定されず、反応性基との縮合に十分な効果を得ることができる。
第二のポリマーと縮合剤とを含む水溶液のpHは2以上12以下であることが好ましい。水溶液のpHを上記範囲内とすることで、酸やアルカリによる膜の劣化を抑制し、複合半透膜の塩除去性能を維持することが出来る。
最後に、ステップ(c)において、架橋ポリアミドのアミノ基を官能基変換する試薬と接触させることでアミノ基を他の官能基へと変換する。中でも、アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させ、官能基の変換を行うことが好ましい。アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬としては、亜硝酸およびその塩、ニトロシル化合物などの水溶液が挙げられる。亜硝酸やニトロシル化合物の水溶液は気体を発生して分解する性質を持つため、亜硝酸塩と酸性溶液との反応によって亜硝酸を逐次生成するのが好ましい。一般に、亜硝酸塩は水素イオンと反応して亜硝酸(HNO)を生成するが、水溶液のpHが7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下で効率よく生成する。中でも、取り扱いの簡便性から水溶液中で塩酸または硫酸と反応させた亜硝酸ナトリウムの水溶液が特に好ましい。
アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬中の亜硝酸や亜硝酸塩の濃度は、好ましくは0.01重量%以上1重量%以下の範囲であり、より好ましくは0.05重量%以上0.5重量%以下の範囲である。0.01重量%以上の濃度であれば十分な効果が得られ、濃度が1重量%以下であれば溶液の取扱いが容易である。
亜硝酸水溶液の温度は15℃以上45℃以下であることが好ましい。15℃以上の温度であれば十分な反応時間が得られ、45℃以下であれば亜硝酸の分解が起こり難いため取り扱いが容易である。
亜硝酸水溶液との接触時間は、ジアゾニウム塩及びその誘導体のうち少なくとも一方が生成する時間であればよく、高濃度では短時間で処理が可能であるが、低濃度であると長時間必要である。そのため、上記濃度の溶液では10分間以内であることが好ましく、3分間以内であることがさらに好ましい。また、接触させる方法は特に限定されず、該試薬の溶液を塗布しても、該試薬の溶液に該複合半透膜を浸漬させてもよい。該試薬を溶かす溶媒は該試薬が溶解し、該複合半透膜が侵食されなければ、いかなる溶媒を用いてもかまわない。また、溶液には、アミノ基と試薬との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や酸性化合物、アルカリ性化合物などが含まれていてもよい。
次に、生成したジアゾニウム塩またはその誘導体の一部を異なる官能基へ変換する。ジアゾニウム塩またはその誘導体の一部は、例えば、水と反応することによりフェノール性水酸基へと変換される。また、塩化物イオン、臭化物イオン、シアン化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化ホウ素酸、次亜リン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸イオン、芳香族アミン、硫化水素、チオシアン酸等を含む溶液と接触させると、対応した官能基へ変換される。また、芳香族アミンと接触させることでジアゾカップリング反応が起こり膜面に芳香族基を導入することが可能となる。なお、これらの試薬は単一で用いても、複数混合させて用いてもよく、異なる試薬に複数回接触させてもよい。
ジアゾカップリング反応が生じる試薬としては、電子豊富な芳香環または複素芳香環を持つ化合物が挙げられる。電子豊富な芳香環または複素芳香環を持つ化合物としては、無置換の複素芳香環化合物、電子供与性置換基を有する芳香族化合物、および電子供与性置換基を有する複素芳香環化合物が挙げられる。電子供与性の置換基としては、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。上記化合物の具体的な例としては、例えば、アニリン、オルト位、メタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したメトキシアニリン、2個のアミノ基がオルト位、メタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、スルファニル酸、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、1−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、またはこれらの化合物のN−アルキル化物が挙げられる。
3.複合半透膜の利用
本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は0.1MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は高くなると塩除去率が低下するが、低くなるに従い膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
本発明に係る複合半透膜によって処理される原水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させた残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(NaCl除去率)
複合半透膜に、温度25℃、pH7、塩化ナトリウム濃度2,000ppmに調整した評価水を操作圧力1.55MPaで供給して膜ろ過処理を行なった。供給水および透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で測定して、それぞれの実用塩分、すなわちNaCl濃度を得た。こうして得られたNaCl濃度および下記式に基づいて、NaCl除去率を算出した。
NaCl除去率(%)=100×{1−(透過水中のNaCl濃度/供給水中のNaCl濃度)}
(透過水量)
前項の試験において、供給水(NaCl水溶液)の膜透過水量を測定し、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)に換算した値を膜透過流束(m/m/日)とした。
なお、膜性能の測定は以下のように行った。初めに、25℃、pH7、NaCl濃度が2,000mg/Lである水溶液を1.55MPaの圧力で2時間ろ過したときの透過水量を測定し、初期透過水量(F1)とした。続いてポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを150mg/Lの濃度となるように水溶液に加えて2時間ろ過したときの透過水量をF2とし、F2/F1の値を算出した。NaCl濃度が500mg/lで、pH11の水溶液で1時間洗浄した後に、NaCl濃度が2,000mg/Lである水溶液を1.55MPaの圧力で2時間ろ過したときの透過水量をF3とし、F3/F1の値を算出した。
(ゼータ電位)
複合半透膜を超純水で洗浄し、平板試料用セルに、複合半透膜の分離機能層面がモニター粒子溶液に接するようにセットし、大塚電子株式会社製電気泳動光散乱光度計(ELS−8000)により測定した。モニター粒子溶液としては、pH6、pH11、pH3にそれぞれ調整した10mM−NaCl水溶液にポリスチレンラテックスのモニター粒子を分散させた測定液を用いた。
(基材の繊維配向度)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で100〜1000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、不織布の長手方向(縦方向)を0°とし、不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値から小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度を求めた。
(通気度)
通気度は、JIS L1096(2010)に基づき、フラジール形試験機によって測定した。基材を200mm×200mmの大きさに切り出し、フラジール形試験機に取り付け、傾斜形気圧計が125Paの圧力になるように吸込みファン及び空気孔を調整し、このときの垂直形気圧計の示す圧力と使用した空気孔の種類から通気度を求めた。フラジール形試験機は、カトーテック株式会社製KES−F8−AP1を使用した。
(分子量測定方法)
各合成例で得られたポリマーを1.0w/v%になるよう20mMリン酸バッファー(pH7.4)で希釈し、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過して試験溶液とし、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分子量を測定・算出した。なお、GPC分析の測定条件は次の通りである。
(GPC分析の測定条件)
カラム;TSKgel PWXL-CP(東ソー株式会社製)、溶離溶媒;20mMリン酸バッファー(pH7.4)、標準物質;ポリエチレングリコール(Polymer Laboratories Ltd.製)、検出;示差屈折計RI−8020(東ソー株式会社製)、流速;0.5mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;45℃。
(第二のポリマーの合成)
(合成例1)
pH4の水に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン3.5gとアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド1.0gを溶解させ、窒素でバブリングを行った後、開始剤である過硫酸ナトリウム0.05gを添加して、70℃で2時間重合反応を行い、重量平均分子量56000のポリマーを得た。
(合成例2)
重量平均分子量が250であり両末端にカルボン酸を有するポリエチレングリコール(PEG)を0.15g、パラフェニレンジアミンを0.05g、重量平均分子量が2000であり両末端に一級アミノ基を有するPEG10gを混合した後、真空下60℃で2時間重合を行い、重量平均分子量が28000のポリマーを得た。
(合成例3)
重量平均分子量が250であり両末端にカルボン酸を有するPEG0.2gと重量平均分子量が2000であり両末端に一級アミノ基を有するPEG10gを混合した後、真空下60℃で2時間重合を行い、重量平均分子量が31000のポリマーを得た。
(合成例4)
重量平均分子量が800で、四つの末端にカルボン酸を有する四分岐ポリエチレングリコール(TetraPEG)の1重量%水溶液と2,2',2''-トリアミノトリエチルアミン0.1重量%水溶液を同量ずつ混合した後、硫酸水溶液でpH10となるように調整した。その調整溶液に縮合剤としてDMT−MMを1重量%水溶液となるように混合し、0℃で24時間重合を行い、重量平均分子量38000のポリマーを得た。
(合成例5)
重量平均分子量が2000のポリメタクリル酸の1重量%水溶液と2,2',2''-トリアミノトリエチルアミン0.1重量%水溶液を同量ずつ混合した後、硫酸水溶液でpH10となるように調整した。その調整溶液に縮合剤としてDMT−MMを1重量%水溶液となるように混合し、0℃で24時間重合を行い、重量平均分子量56000のポリマーを得た。
(複合半透膜の作製)
(比較例1)
長繊維からなるポリエステル不織布(通気度2.0cc/cm/sec)上にポリスルホン(PSf)の15.0重量%DMF溶液を25℃の条件下でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、多孔性支持層の厚みが40μmである支持膜を作製した。
次に、この支持膜を3.5重量%のm−PDA水溶液に浸漬した後、余分な水溶液を除去し、さらに0.14重量%のTMCとなるように溶解したn−デカン溶液を多孔性支持層の表面が完全に濡れるように塗布した。次に膜から余分な溶液を除去するために、膜を垂直にして液切りを行って、送風機を使い25℃の空気を吹き付けて乾燥させた後、40℃の純水で洗浄した。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(比較例2)
比較例1で得られた複合半透膜上に、ケン化度99%のポリビニルアルコール(平均重合度:n=2,000)をイソプロピルアルコールと水の3:7溶液に0.25重量%となるように溶解した溶液を塗布し、130℃で5分間乾燥し、分離機能層がポリビニルアルコールでコーティングされた比較例2の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(比較例3)
比較例1で得られた複合半透膜を、pH3、35℃に調整した0.3重量%の亜硝酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した。なお、亜硝酸ナトリウムのpHの調整は硫酸で行った。次に20℃の純水で洗浄することで、比較例3の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(比較例4)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中にポリエチレンイミン(重量平均分子量:1800)を0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、比較例4の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(比較例5)
比較例3で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中にポリエチレンイミン(重量平均分子量:1800)の0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、比較例5の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(比較例6)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中に合成例1のポリマーの0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、比較例6の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(実施例1)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中に合成例2で得られたポリマーの0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、実施例1の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(実施例2)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中に合成例3で得られたポリマーの0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、実施例2の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(実施例3)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中に合成例4で得られたポリマーの0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、実施例3の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(実施例4)
比較例1で得られた複合半透膜を用いた純水の通水運転中、供給純水中に合成例5で得られたポリマーの0.1重量%水溶液となるように添加し、1時間運転して接触させることで、実施例4の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
(実施例5)
比較例1で得られた複合半透膜を、合成例5で得られたポリマーを0.04重量%、DMT−MMを0.1重量%となるよう調整し、20℃で24時間接触させることで、実施例5の複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の製膜時膜性能、ファウリング後膜性能、及び洗浄後膜性能を測定したところ、表1に示す値であった。
Figure 2018187533
以上のように、本発明の複合半透膜は、膜汚染物質に対する高い付着抑制能と高い脱離性を併せ持ち、長期間安定して高い性能を維持することができる。
本発明の複合半透膜を用いれば、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。本発明の複合半透膜は、特に、かん水または海水の脱塩に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 基材および多孔性支持層を含む支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた架橋ポリアミドを含む分離機能層からなる複合半透膜であって、
    前記分離機能層のpH6における表面ゼータ電位が±15mV以内であり、pH6における表面ゼータ電位がpH11における表面ゼータ電位より15mV以上高いことを特徴とする複合半透膜。
  2. 前記分離機能層のpH3における表面ゼータ電位が正であり、pH11における表面ゼータ電位が負であることを特徴とする
    請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 前記分離機能層が、架橋ポリアミドとは組成の異なる第二のポリマーを含むことを特徴とする
    請求項1〜2のいずれかに記載の複合半透膜。
  4. 前記第二のポリマーが正荷電を有する官能基を含むことを特徴とする
    請求項の3に記載の複合半透膜。
  5. 前記第二のポリマーが負荷電を有する官能基を含むことを特徴とする
    請求項3に記載の複合半透膜。
  6. 前記第二のポリマーが正荷電を有する官能基および負荷電を有する官能基の両方を含むことを特徴とする
    請求項3に記載の複合半透膜。
  7. 前記第二のポリマーがポリアミドであることを特徴とする
    請求項3〜6のいずれかに記載の複合半透膜。
  8. 前記第二のポリマー中の主要なアミド結合が下記記載の様式である
    請求項7に記載の複合半透膜。
    Figure 2018187533
    ここで、C1〜C5は全て脂肪族由来の炭素である。
  9. 前記第二のポリマーが分子内または/および分子間で架橋したポリアミドである
    請求項7〜8のいずれかに記載の複合半透膜。
  10. 前記第二のポリマーがアクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸からなる群から選択される少なくとも一つを含む化合物の重合体成分を含む
    請求項7〜9のいずれかに記載の複合半透膜。
  11. 前記第二のポリマーが前記架橋ポリアミドにアミド結合により導入されている
    請求項7〜10のいずれかに記載の複合半透膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113308900A (zh) * 2021-06-08 2021-08-27 安徽弋尚纺织科技有限公司 一种抗皱耐磨的西服面料的生产工艺
WO2021177349A1 (ja) * 2020-03-06 2021-09-10 日東電工株式会社 分離膜、及び分離膜の製造方法
US20220040646A1 (en) * 2018-12-20 2022-02-10 Solvay Specialty Polymers Usa, Llc Porous membranes for high pressure filtration
WO2023222117A1 (zh) * 2022-05-20 2023-11-23 中国石油化工股份有限公司 分离膜及其制备方法和应用

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