JP2018185010A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプ作用を利用した場合であっても軸の回転速度の値に拘らず密封対象物の滲み出を抑制することができる密封装置を提供する。
【解決手段】密封装置1において密封装置本体2は、環状の補強環10と環状の弾性体部20とを備える。スリンガ3は外周側に向かって延びる環状のフランジ部31を有し、弾性体部20は内側に向かって延びるフランジ部31に外側から接触する環状の端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側には少なくとも1つの溝33が形成され、端面リップ21の内周面22には複数の突起23が周方向に並んで形成されている。突起23は端面リップ21がスリンガ3に接触するスリンガ接触部24よりも内周側に形成されている。突起23の内側端23aは、突起23の外側端23bよりも軸の回転方向側に位置しており、突起23は、延び方向における少なくとも一部に波形に延びる波形部40を有している。
【選択図】 図4
【解決手段】密封装置1において密封装置本体2は、環状の補強環10と環状の弾性体部20とを備える。スリンガ3は外周側に向かって延びる環状のフランジ部31を有し、弾性体部20は内側に向かって延びるフランジ部31に外側から接触する環状の端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側には少なくとも1つの溝33が形成され、端面リップ21の内周面22には複数の突起23が周方向に並んで形成されている。突起23は端面リップ21がスリンガ3に接触するスリンガ接触部24よりも内周側に形成されている。突起23の内側端23aは、突起23の外側端23bよりも軸の回転方向側に位置しており、突起23は、延び方向における少なくとも一部に波形に延びる波形部40を有している。
【選択図】 図4
Description
本発明は、軸とこの軸が挿入される孔との間の密封を図るための密封装置に関する。
車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物の漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りつけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。密封のためのこのシールリップの軸との接触は軸に対する摺動抵抗(トルク抵抗)ともなっている。近年、車両等の低燃費化の要求から、密封装置には、軸に対する摺動抵抗の低減が求められており、密封性能を維持又は向上させつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる構造が求められている。
密封装置の密封性能の向上にはシールリップの数を増やすことが考えられるが、シールリップの数を増やすことにより摺動抵抗が上昇してしまう。これに対して、シールリップの増加によるものではなく、シールリップ又は軸に取り付けられる環状部材にネジ構造を設けて、このネジ構造が発揮するポンプ作用によって密封装置の密封性能の向上を図る構造が開示されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
このようなポンプ作用を利用した従来の密封装置においては、密封性能の向上を図りつつ摺動抵抗の低減を図ることができる。しかしながら、このようなポンプ作用を利用した従来の密封装置である、軸に固定されたスリンガのフランジ面にシールリップが接触する所謂端面シールタイプの密封装置においては、軸の回転速度が高速になると密封対象物が外部に滲み出てきてしまう場合がある。
このように、従来のポンプ作用を利用した密封装置においては、軸の回転速度が高速になった場合でも密封対象物が滲み出ることがない構造が求められていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプ作用を利用した場合であっても、軸の回転速度の値に拘らず密封対象物の滲み出を抑制することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側には少なくとも1つの溝が形成されており、前記端面リップの内周側の面には、複数の突起が周方向に並んで形成されており、前記突起は、前記他方の側から前記一方の側に向かって延びており、前記端面リップにおいて前記端面リップが前記スリンガに接触する部分であるスリンガ接触部よりも内周側に形成されており、前記突起の前記一方の側の端は前記突起の前記他方の側の端よりも前記周方向において前記軸の回転方向側に位置しており、前記突起は前記突起の延び方向における少なくとも一部に波形に延びる波形部を有していることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記波形部は、前記突起の少なくとも前記他方の側の部分に形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記突起は、前記波形部において、滑らかな波形に延びている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記突起は、前記波形部において、ジグザグ状の波形に延びている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記突起は、前記密封装置における還流領域からポンプ領域に至るように、前記端面リップにおいて前記スリンガ接触部から間隔を空けて形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記スリンガに形成された溝はネジ溝である。
本発明に係る密封装置によれば、ポンプ作用を利用した場合であっても、軸の回転速度の値に拘らず密封対象物の滲み出を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本実施の形態に係る密封装置1は、軸とこの軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であり、車両や汎用機械において、軸とハウジング等に形成されたこの軸が挿入される孔(軸孔)との間を密封するために用いられる。例えば、エンジンのクランクシャフトとフロントカバーやシリンダブロック及びクランクケースに形成されている軸孔であるクランク孔との間の環状の空間を密封するために用いられる。なお、本発明の実施の形態に係る密封装置1が適用される対象は、上記に限られない。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向(軸線方向において一方の側)を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向(軸線方向において他方の側)を外側とする。より具体的には、内側とは、密封対象空間の側(密封対象物側)であり潤滑油等の密封対象物が存在する空間の側であり、外側とは内側とは反対の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
図1に示すように、密封装置1は、後述する取付対象としての孔に嵌着される密封装置本体2と、後述する取付対象としての軸に取り付けられるスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを備えている。スリンガ3は、外周側(矢印c方向)に向かって延びる軸線x周りに環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、軸線x方向において一方の側(内側、矢印a方向)に向かって延びる、フランジ部31に軸線x方向において他方の側(外側、矢印b方向側)から接触する軸線x周りに環状のリップである端面リップ21を有している。
スリンガ3のフランジ部31の他方の側(外側)には、少なくとも1つの溝33が形成されており、端面リップ21の内周側の面(内周面22)には、複数の突起23が周方向に並んで形成されている。突起23は、他方の側(外側)から一方の側(内側)に向かって延びており、端面リップ21において端面リップ21がスリンガ3に接触する部分であるスリンガ接触部24よりも内周側に形成されている。突起23の一方の側(内側)の端(内側端23a)は、突起23の他方の側(外側)の端(外側端23b)よりも周方向において軸の回転方向側に位置している(後述する図3参照)。また、突起23は、突起23の延び方向における少なくとも一部に波形に延びる波形部40を有している。
以下、密封装置1の密封装置本体2及びスリンガ3の各構成について具体的に説明する。
密封装置本体2において補強環10は、図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、後述するハウジングの軸孔に密封装置本体2が圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、外周側に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側の端部から内周側に延びる中空円盤状の部分である円盤部12と、円盤部12の内周側の端部から内側且つ内周側へ延びる円錐筒状の環状の部分である錐環部13と、錐環部13の内側又は内周側の端部から内周側へ径方向に延びて補強環10の内周側の端部に至る中空円盤状の部分である円盤部14とを有している。補強環10の筒部11は、より具体的には、外周側に位置する円筒状又は略円筒状の部分である外周側円筒部11aと、外周側円筒部11aよりも外側及び内周側において延びる円筒状又は略筒状の部分である内周側円筒部11bと、外周側円筒部11aと内周側円筒部11bとを接続する部分である接続部11cと有している。筒部11の外周側円筒部11aは、密封装置本体2が後述するハウジングの軸孔(図8参照)に嵌着された際に、密封装置本体2の軸線xと軸孔の軸線との一致が図られるように、軸孔に嵌め込まれる。補強環10には、略外周側及び外側から弾性体部20が取り付けられており、弾性体部20を補強している。
弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10の円盤部14の内周側の端の部分に取り付けられている部分である基体部25と、補強環10の筒部11に外周側から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基体部25とガスケット部26との間において外側から補強環10に取り付けられている部分である後方カバー部27とを有している。ガスケット部26は、より具体的には、図2に示すように、補強環10の筒部11の内周側円筒部11bに取り付けられている。また、ガスケット部26の外径は、後述する軸孔の内周面(図8参照)の径よりも大きくなっている。このため、密封装置本体2が後述する軸孔に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の内周側円筒部11bと軸孔との間で径方向に圧縮され、軸孔と補強環10の内周側円筒部11bとの間を密封する。これにより、密封装置本体2と軸孔との間が密封される。ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径が軸孔の内周面の径よりも大きくなっていなくてもよく、一部において外径が軸孔の内周面の径よりも大きくなっていてもよい。例えば、ガスケット部26の外周側の面に、先端の径が軸孔の内周面の径よりも大きい環状の凸部が形成されていてもよい。
また、弾性体部20において、端面リップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側(矢印a方向)に向かって延びており、密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代(スリンガ接触部24)を持ってスリンガ3のフランジ部31に外側から接触するように形成されている。端面リップ21は、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。つまり、図1,2に示すように、端面リップ21は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基体部25から内側及び外周側に、軸線xに対して斜めに延びている。端面リップ21の内周面22には、複数の突起23が設けられている。突起23の詳細については後述する。
また、弾性体部20は、ダストリップ28と中間リップ29とを有している。ダストリップ28は、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってスリンガ3に外周側から接触するように形成されている。ダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印b方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。ダストリップ28は、使用状態において、密封対象物側とは反対側である外側からダストや水分等の異物が密封装置1の内部に侵入することの防止を図っている。ダストリップ28は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3に接触しないように形成されていてもよい。
中間リップ29は、図2に示すように、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、スリンガ3と接触していない。中間リップ29は、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。中間リップ29は、他の形状であってもよく、密封装置1の使用状態においてスリンガ3に接触するように形成されていてもよい。
次いで、端面リップ21の形状についてより詳細に説明する。図3は、密封装置本体2を内側から見た斜視図であり、図4は、図3の線A−Aに沿う断面を示す密封装置本体2の部分斜視図である。図3,4に示すように、端面リップ21の内周面22には、複数の突起23が、同一の又は略同一の円周上に、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔で配列されており、等ピッチ間隔又は略等ピッチ間隔で配列されている。各突起23は、上述したように、内側端23aが外側端23bよりも、周方向において後述する軸(スリンガ3)の回転方向側に位置しており、各突起23は、端面リップ21の根元21b側から端面リップ21の先端21a側に向かってスリンガ3の回転方向に傾斜して配置されている。また、各突起23は、スリンガ接触部24から間隔を空けて形成されており、スリンガ接触部24よりも内周側(外側)に、つまりスリンガ接触部24よりも端面リップ21の根元21bの側に形成されている。
端面リップ21において、突起23は、スリンガ接触部24から間隔を空けて形成されている。具体的には、図3,4に示すように、突起23の内側端23aは、スリンガ接触部24の外側(内周側)の縁部である外側縁24aから、内周面22に沿って軸線xに沿った方向に、所定の間隔Gを空けた位置に位置している。この間隔Gは、後述する密封装置1の使用状態において、スリンガ3の溝33に基づくポンプ作用が発生する領域よりも内周側の領域に、少なくとも部分的に突起23が存在するような間隔である。また、突起23は、端面リップ21の内周面22に沿って中間リップ29まで延びており、突起23の外側端23bは、中間リップ29の外周側の面である外周面29aに接続している。
上述のように、突起23は、端面リップ21の内周面22において、スリンガ接触部24の外側縁24aから間隔Gの位置から中間リップ29の外周面29aまでリブ状に形成されており、周方向に面する面である側面23c,23dが端面リップ21の内周面22から立ち上がっている。
図5,6に示すように、各突起23は、内側端23aと外側端23bとの間における少なくとも一部に波形に延びる波形部40を有している。なお、図5,6は、端面リップ21に外力が加わっていない状態である自由状態における突起23を示している。本実施の形態においては、突起23の内側端23aと外側端23bとの間における全体に、波形部40が形成されている。
図5,6に示すように、突起23は、波形部40において、滑らかな波形に延びている。具体的には、図6に示すように、波形部40は、周方向においてスリンガ3の回転方向に向かって出っ張るように湾曲する部分と、周方向においてスリンガ3の回転方向とは反対方向に向かって出っ張るように湾曲する部分とが、交互に滑らかに接続して形成されている。つまり、端面リップ21の側面23c,23dは、周方向に向かう凹凸を形成しており、スリンガ3の回転方向に向かって出っ張るように湾曲する曲面と、周方向においてスリンガ3の回転方向とは反対方向に向かって出っ張るように湾曲する曲面とが、交互に滑らかに接続して形成されている。
密封装置1の使用状態において、端面リップ21はスリンガ3に接触しており、端面リップ21は、外側に向かって反るように変形しており、これにより所望の締め代でスリンガに接触している。また、密封装置1の使用状態においてスリンガ3が密封装置1に対して軸線x方向に相対移動した場合、端面リップ21はスリンガ3に追従して外側又は内側に向かって変形し、これにより締め代の維持が図られている。突起23は、上述のように波形部40を有しており、外側端23bから内側端23aに向かう方向である突起23の延び方向に伸縮することができるようになっている。このため、突起23は、端面リップ21が変形した際に、端面リップ21に過大な張力を発生させることがなく、突起23が端面リップ21の変形の自由を阻害することが抑制又は防止されている。これにより、密封装置1の使用状態において、突起23の作用による端面リップ21とスリンガ3との間の締め代の減少が抑制又は防止されている。
また、各突起23は、後述するように、密封装置1の使用状態において、スリンガ3と接触しないような形状に形成されている。つまり、使用状態において、突起23がスリンガ3のフランジ部31の外側の面に接触しないように、突起23の内周面22からの高さ、及び間隔Gが設定されている。本実施の形態においては、突起23は、図2,4に示すように、内側端23aから外側端23bに向かって内周面22からの高さが高くなっている。また、突起23は、外側端23bにおいて中間リップ29の外周面29aの軸線x方向における幅全体に亘って延びており、突起23の外側端23bは、中間リップ29の根元から先端29bまで延びている。
突起23の内周面22からの高さは上述の具体的な形状に限られない。突起23は、内側端23aから外側端23bに亘って内周面22から一定の高さであってもよく、内側端23aから外側端23bに向かって内周面22からの高さが低くなっているものであってもよい。また、突起23は、内側端23aから外側端23bに亘る内周面22からの高さが、上述の高くなる、低くなる、及び一定であるの種々の組み合わせであってもよい。また、突起23の延び方向に直交する断面における形状は、種々の形状であってよく、例えば三角形や四角形、逆U字状等の形状である。密封装置1の使用状態において突起23は、スリンガ3と接触しないような形状に形成されているため、突起23によりスリンガ3に対する摺動抵抗が増加することはない。
上述のように、弾性体部20は、端面リップ21、基体部25、ガスケット部26、後方カバー部27、ダストリップ28、及び中間リップ29を有しており、各部分は一体となっており、弾性体部20は同一の材料から一体に形成されている。
上述の補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
スリンガ3は、後述する密封装置1の使用状態において軸に取り付けられる環状の部材であり、軸線xを中心又は略中心とする円環状の部材である。スリンガ3は、断面が略L字状の形状を有しており、フランジ部31と、フランジ部31の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる筒状又は略筒状の筒部34とを有している。
フランジ部31は、具体的には、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の内周側円盤部31aと、内周側円盤部31aよりも外周側において広がっている径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の外周側円盤部31bと、内周側円盤部31aの外周側の端部と外周側円盤部31bの内周側の端部とを接続する接続部31cとを有している。外周側円盤部31bは、内周側円盤部31aよりも軸線x方向において外側に位置している。なお、フランジ部31の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。例えば、フランジ部31は、内周側円盤部31a及び接続部31cを有しておらず、外周側円盤部31bが筒部34まで延びており筒部34に接続しており、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の部分であってもよい。
スリンガ3が端面リップ21に接触する部分であるリップ接触部32は、フランジ部31において、外周側円盤部31bの外側に面する面である外側面31dに位置されている。外側面31dは径方向に広がる平面に沿う面であることが好ましい。また、図7に示すように、フランジ部31の外側面31dには、内側に凹む凹部によって溝33が形成されている。溝33は、例えばネジ溝である。この溝33により、スリンガ3が回転した際に、ポンプ作用を発生させることができる。フランジ部31の外側面31dにおいて、溝33は、リップ接触部32よりも内周側からリップ接触部32よりも外周側の領域に亘って形成されている。溝33は、外周側円盤部31bの外側面31dにおいて内周側の端部から外周側の端部まで延びて形成されていてもよく、リップ接触部32を含む外側面31dの径方向の一部の幅の領域(周面)に形成されていてもよい。また、溝33は、外周側円盤部31bの外側面31dにおいて、リップ接触部32よりも内周側に位置していてもよい。フランジ部31の外側面31dには、例えば複数の溝33が形成されており、フランジ部31の外側面31dには、図7に示すように、例えば4つのネジ状の溝33が形成されており、これら4つのネジ状の溝33は4条ネジを形成している。溝33の個数や溝33が延びて描く形状は4条ネジではなく他のものであってもよい。溝33は、例えば、円錐面に形成された螺旋状のネジ溝をこの円錐面の軸線に直交する平面に投影した際にこの平面に描かれる線に沿った形状となっている。
また、スリンガ3において、筒部34は、図2に示すように、円筒状又は略円筒状の部分である円筒部35を有しており、この円筒部35は軸に嵌着可能に形成されている。つまり、円筒部35が軸に締り嵌め可能となるように、円筒部35の内径が軸の外周面の径よりも小さくなっている。スリンガ3は、円筒部35が軸に締り嵌めされることにより固定されるものに限らず、筒部34において軸に接着されて固定されるものであってもよく、他の公知の固定方法によって軸に固定されるものであってもよい。
スリンガ3は、金属材料を基材として作られており、例えば、SPCC(冷間圧延鋼)を基材とし、SPCCにリン酸塩皮膜処理が施されて防錆処理がなされて作られている。リン酸塩皮膜処理としては、例えばリン酸亜鉛皮膜処理がある。防錆性能の高いスリンガ3により、端面リップ21に対する摺動部であるリップ接触部32に錆が発生することを抑制することができ、端面リップ21の密封機能や密封性能を長く維持することができる。また、錆が発生することにより、溝33の形状が変化することを抑制することができ、溝33の発揮するポンプ効果の低減を抑制することができる。スリンガ3の基材としては、ステンレス等の耐錆性、防錆性に優れている他の金属が用いられてもよい。また、スリンガ3の基材の防錆処理は、金属メッキ等の他の処理であってもよい。
次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図8は、密封装置1が取付対象としてのハウジング50及びこのハウジング50に形成された貫通孔である軸孔51に挿入された軸52に取り付けられた使用状態における密封装置1の部分拡大断面図である。ハウジング50は、例えばエンジンのフロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースであり、軸孔51は、フロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースに形成されたクランク孔である。また、軸52は、例えば、クランクシャフトである。
図8に示すように、密封装置1の使用状態において、密封装置本体2は軸孔51に圧入されて軸孔51に嵌着されており、スリンガ3は軸52に締り嵌めされて軸52に取り付けられている。より具体的には、補強環10の外周側円筒部11aが軸孔51の内周面51aに接触して、密封装置本体2の軸孔51に対する軸心合わせが図られ、また、弾性体部20のガスケット部26が軸孔51の内周面51aと補強環10の内周側円筒部11bとの間で径方向に圧縮されてガスケット部26が軸孔51の内周面51aに密着して、密封装置本体2と軸孔51との間の密封が図られている。また、スリンガ3の円筒部35が軸52に圧入され、円筒部35の内周面35aが軸52の外周面52aに密着し、軸52にスリンガ3が固定されている。
密封装置1の使用状態において、弾性体部20の端面リップ21が、内周面22の先端21a側の部分であるスリンガ接触部24において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dの部分であるリップ接触部32に接触するように、密封装置本体2とスリンガ3との間の軸線x方向における相対位置が決められている。また、ダストリップ28は先端側の部分においてスリンガ3の筒部34に外周側から接触している。ダストリップ28は、例えば、スリンガ3の円筒部35の外周面35bに接触している。
端面リップ21は、スリンガ3のフランジ部31に押し付けられ、外側に向かって反るように変形し、スリンガ接触部24においてリップ接触部32に接触し、所望の締め代が形成されている。上述のように、突起23は、波形部40を有しており、突起23の延び方向に伸縮可能になっている。このため、端面リップ21が変形した際に、突起23が強く引っ張られて端面リップ21に過度な張力を発生させることはなく、突起23は、端面リップ21の変形を阻害せず、所望の締め代が形成されることを阻害することはない。また、端面リップ21とスリンガ3のフランジ部31との間の軸線x方向の相対移動により、端面リップ21が変形する際にも、突起23が端面リップ21に過度な張力を発生させることはなく、端面リップ21の変形を阻害せず、締め代の低下、又は、スリンガ接触部24のフランジ部31からの離間が起こることはない。また、突起23により、端面リップ21のスリンガ3に対する接触圧力が増加することはなく、端面リップ21とスリンガ3との間に発生する摺動抵抗が増加することはない。
このように、波形部40により、突起23が端面リップ21の変形を阻害することはなく、端面リップ21とフランジ部31との間の締め代を所望幅に維持することができる。また、使用状態において、突起23は、波形部40により、端面リップ21に過度の張力を発生させることがなく、突起23によって端面リップ21とスリンガ3との間に発生する摺動抵抗が増加することをなくすことができる。
また、密封装置1の使用状態において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bに形成された4条ネジを形成する溝33は、軸(スリンガ3)が回転した場合にポンプ作用をもたらす。軸(スリンガ3)の回転により、フランジ部31と端面リップ21との間の空間である挟空間Sにおいて、スリンガ接触部24及びリップ接触部32近傍の領域にポンプ作用が生じる。このポンプ作用により、密封対象物側から密封対象物が挟空間Sに滲み出た場合であっても、滲み出た密封対象物が挟空間Sからスリンガ接触部24及びリップ接触部32を越えて密封対象物側に戻される。このように、スリンガ3のフランジ部31に形成された溝33が生ずるポンプ作用により、挟空間Sへの密封対象物の滲み出が抑制されている。
挟空間Sにおいて、溝33によるポンプ作用が生ずる領域(以下、ポンプ領域ともいう。)を越えて更に外部側に滲み出た密封対象物は、軸の回転により、ポンプ領域に内周側で隣接する領域において、スリンガ3の回転方向に軸線x周りに回転し、その領域(以下、還流領域ともいう。)に留められる。
端面リップ21には、内周面22に突起23が形成されており、突起23は、スリンガ接触部24の外側縁24aから間隔Gの位置より延びており、少なくとも部分的に還流領域の中に延びている。このため、還流領域に回転しながら留まる密封対象物は突起23にぶつかり、又は還流領域に回転しながら留まる密封対象物は突起23に沿って突起23の外側端23b側から内側端23aに導かれ、還流領域に留まっていた密封対象物はポンプ領域に導かれる。突起23によってポンプ領域に導かれた密封対象物はポンプ作用を受けて密封対象物側に戻される。
図9は、端面リップ21の突起23の作用を説明するための、端面リップ21の突起23の作用による密封対象物の流れの様子を示すための図である。図9において、破線で示すように、ポンプ領域を超えて還流領域側に滲み出た密封対象物は、突起23の外周側に面する側面である側面23cにぶつかり、ポンプ領域側に跳ね返されるか、突起23の側面23cに沿って内側端23aまで導かれ、内側端23aからポンプ領域に戻される。このため、突起23は、端面リップ21の内周面22において、内側端23a側の一部がポンプ領域に進入するように形成されていることが好ましい。後述するように、ポンプ領域は軸の回転速度によって径方向の幅が変化すると考えられる。このため、突起23の内側端23a側の一部は、軸の回転速度に拘らずにポンプ領域に進入しているように形成されていることが好ましい。また、突起23全体が還流領域に存在するように形成されている場合は、上述のようにポンプ領域を超えて還流領域側に滲み出た密封対象物を再度ポンプ領域に戻すことができる範囲において、スリンガ接触部24の外側縁24aからの間隔Gが設定されている。
また、突起23の側面23cに当たっても、跳ね返されず、また、側面23cに沿って内側端23aまで導かれずに、側面23cを越えて端面リップ21の根元21b側に更に進む密封対象物もある。このため、突起23は、軸52(スリンガ3)の回転方向側において隣接する突起23と、軸線x方向において内周側(外側)から外周側(内側)に見て部分的に重なるように配列されていることが好ましい。図9の左側の破線で示すように、密封対象物が内側端23a側の突起23の側面23cを越えて端面リップ21の根元21b側に流れても、この突起23を越えた密封対象物は、スリンガ3の回転方向側において隣接する突起23の側面23cに当たり、密封対象物を側面23cに沿って内側端23aまで導き、内側端23aからポンプ領域に戻すことができるからである。また、スリンガ3の回転方向とは反対側で隣接する突起23と軸線x方向において外周側(内側)から内周側(外側)に見て重なっていない突起23の部分に、スリンガ3の回転方向側で隣接する突起23が軸線x方向において内周側(外側)から外周側(内側)に見て部分的に重なるように、突起23が配列されていることが好ましい。
また、上述の隣接する突起23を越えた密封対象物をポンプ領域に戻す機能を向上させるために、互いに隣接する突起23が軸線x方向において内周側から外周側に見て重なる部分を大きくするために、突起23の延び方向(角度)や、互いに隣接する突起23の間隔(ピッチ)を調整することが好ましい。また、上述の突起23の機能を端面リップ21が周方向において均等に有するように、突起23は、互いに等しい間隔で隣接していることが好ましい。
このように、密封装置1においては、ポンプ作用が働くポンプ領域を超えて更に還流領域にまで密封対象物が滲み出たとしても、この滲み出た密封対象物を突起23によりポンプ領域に戻すことができ、更にポンプ作用により密封対象物側に戻すことができる。このように、密封装置1によれば、端面リップ21に形成された突起23により、スリンガ3に形成された溝33の発揮するポンプ作用をより効果的に用いることができ、従来よりも密封対象物の滲み出を抑制することができる。また、突起23はスリンガ3に接触しておらず、密封装置1によれば、スリンガ3に対する摺動抵抗を増加させることなく、密封対象物の滲み出を抑制することができる。
スリンガ3の溝33に基づくポンプ作用は、スリンガ3の回転が高速になるほど低減する。これは、スリンガ3の回転が高回転になるほど、ポンプ領域がスリンガ接触部24及びリップ接触部32側に向かって収縮するためであると考えられる。このため、密封対象物が密封対象物側から挟空間Sに滲み出た場合、スリンガ3の回転が高速になるほど、還流領域に進入する密封対象物が増すことになる。還流領域を還流する密封対象物の量が、還流領域に留めておくことができる密封対象物の量を超えると、密封対象物は更に内部に滲み出ることになり、更に密封装置1の外部に滲み出ることがある。
本発明の実施の形態に係る密封装置1においては、上述のように、ポンプ領域を超えて還流領域にまで密封対象物が滲み出たとしても、この滲み出た密封対象物を突起23によりポンプ領域に戻すことができ、更にポンプ作用により密封対象物側に戻すことができる。このため、スリンガ3の回転が高回転になり、還流領域に留まる密封対象物が増したとしても、この還流領域に留まる密封対象物を突起23によりポンプ領域に戻すことができ、還流領域を還流する密封対象物の量が還流領域に留めておくことができる密封対象物の量を超えることを抑制することができる。また、スリンガ3の高回転によりポンプ作用が低減したとしても、突起23により密封対象物をポンプ領域に戻すので、スリンガ3の高回転時において、ポンプ作用により密封対象物側に戻すことができる密封対象物を多くすることができる。
また、このようにポンプ作用を効果的にする突起23が波形部40を有することにより、端面リップ21の変形を阻害することはなく、端面リップ21とフランジ部31との間の締め代を所望の幅に維持することができる。また、使用状態において、突起23が端面リップ21に過度の張力を発生させることはなく、突起23により端面リップ21とスリンガ3との間に発生する摺動抵抗を増加させることはない。このように、ポンプ作用を効果的にする突起23が密封装置1のシール性能に影響を与えることを抑制又は防止することができ、また、摺動抵抗の増加をもたらすことを抑制又は防止することができる。
このように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、スリンガ3の溝33によるポンプ作用を利用した場合であっても、軸の回転速度の値に拘らず密封対象物の滲み出を抑制することができる。
次いで、突起23の変形例について説明する。図10〜15は、上述の突起23の変形例の概略形状を示すための図である。図10は、突起23の第1の変形例を示し、図11,12は、突起23の第2の変形例を示し、図13は、突起23の第3の変形例を示す。図14は、突起23の第4の変形例を示し、図15は、突起23の第5の変形例を示す。図10〜15は、端面リップ21に外力が加わっていない状態である自由状態における突起23を示している。
上述のように、突起23は、延び方向の少なくとも一部に波形部40を有していてもよく、図10に示すように、突起23の延び方向の一部に波形部40が形成されていてもよい。使用状態において、端面リップ21は、外側に向かって反るように変形し、この変形する部分に位置する突起23の部分に、又はこの部分とその近傍に波形部40が形成されており、他の部分は、延び方向に沿って延びるように形成されていてもよい。例えば、図10に示すように、波形部40は、突起23の外側端23b側(外側)の部分に形成されており、突起23の波形部40よりも内側の他の部分は、延び方向に延びる平部41となっている。平部41において、突起23の側面23c,23dは、平らに延びている。使用状態において端面リップ21は中間リップ29側の部分が主に変形し、この変形により、この端面リップ21の変形する部分に位置する突起23の部分が、又はこの端面リップ21の変形する部分に位置する突起23の部分及びその近傍の突起23の部分が、強く引っ張られる。本変形例においては、使用状態において端面リップ21の変形により強く引っ張られる突起23の部分に波形部40が形成されていることにより、変形時の端面リップ21に対して突起23が及ぼす引っ張り力を低減でき、所望の締め代の形成のための端面リップ21の変形が阻害されることはない。
突起23において、波形部40と平部41との配置は上述のものに限られない。また、突起23は、波形部40と平部41とを各1つ有するものに限られず、波形部40及び平部41を夫々複数有していてもよく、波形部40及び平部41のいずれか一方を1つ有しており他方を複数有していてもよい。
また、突起23は、図11,12に示すように、滑らかな波形に延びる部分である波形部40に変えて、ジグザグ状の波形に延びている部分である波形部42を有していてもよい。つまり、第2の変形例に係る突起23は、内側端23aと外側端23bとの間における少なくとも一部にジグザグ状の波形に延びる波形部42を有している。第2の変形例に係る突起23は、例えば図11,12に示すように、突起23の内側端23aと外側端23bとの間における全体に、波形部42が形成されている。
図11,12に示すように、突起23は、波形部42において、ジグザグを描いて延びている。具体的には、波形部42は、周方向においてスリンガ3の回転方向に向かって出っ張る部分と、周方向においてスリンガ3の回転方向とは反対方向に向かって出っ張る部分とが、交互に接続して形成されている。つまり、突起23の側面23c,23dは、周方向に向かう凹凸を形成しており、互いに異なる方向に延びる平面又は略平面が連続して接続されて形成されている。
ジグザグ状の波形に延びている波形部42を有する突起23においても、上述の滑らかな波形に延びている波形部40を有する突起23と同様に、突起23の延び方向に伸縮することができる。このため、突起23は、端面リップ21の変形を阻害することなく、使用状態において、端面リップ21とフランジ部31との間の締め代を所望の幅に維持することができる。また、使用状態において、突起23が端面リップ21に過度の張力を発生させることはなく、端面リップ21とスリンガ3との間に発生する摺動抵抗が増加することがない。
上述のように、突起23は、延び方向の少なくとも一部に波形部42を有していてもよく、図13に示すように、突起23の延び方向の一部に波形部42が形成されていてもよい。使用状態において、端面リップ21は、外側に向かって反るように変形し、この変形する部分に位置する突起23の部分に波形部42が形成されており、他の部分は、延び方向に沿って延びるように形成されていてもよい。例えば、図13に示すように、波形部42は、図10に示す変形例と同様に、突起23の外側端23b側(外側)の部分に形成されており、突起23の波形部42よりも内側の他の部分は、延び方向に延びる平部41となっている。
突起23において、波形部42と平部41との配置は上述のものに限られず、また、突起23は、波形部42と平部41とを各1つ有するものに限られず、波形部42及び平部41を夫々複数有していてもよく、波形部42及び平部41のいずれか一方を1つ有しており他方を複数有していてもよい。
また、突起23の波形部40は、図14に示すように、周方向への出っ張りの大きさ(以下、振幅ともいう。)が一定でなくてもよく、内側端23aから外側端23bに向かうに連れて振幅が大きくなっていてもよい。また、突起23の振幅が内側端23a側の部分よりも外側端23b側の部分で大きくなっていてもよい。上述のように、使用状態において端面リップ21は中間リップ29側の部分が主に変形し、この変形する端面リップ21の部分に位置する突起23の部分が強く引っ張られる。本変形例では、使用状態において端面リップ21の変形により強く引っ張られる突起23の部分において、波形部40の振幅が大きく形成されていることにより、変形時の端面リップ21に対して突起23が及ぼす引っ張り力を低減でき、所望の締め代の形成のための端面リップ21の変形が阻害されることはない。
また、同様に、図11,12に示すジクザグ状の波形部42の振幅は、突起23の内側端23aから外側端23bに向かうに連れて大きくなっていてもよく、また、内側端23a側の部分よりも外側端23b側の部分で大きくなっていてもよい。
また、図15に示すように、突起23は、周方向ではなく、突起23の高さ方向(図15の矢印e方向)において、波形の振幅が変化する波形部43を有するものであってもよい。より具体的には、高さ方向(矢印e)においてスリンガ3側から端面リップ21側に向かうに連れて、波形部43の波形の振幅が小さくなるように、波形部43は形成されていてもよい。波形部43は、端面リップ21の接続部において直線状になっていてもよい。
波形部43の波形は、図15に示すように、滑らかな波形であってもよく、又は、図11,12に示すようなジグザグ状の波形であってもよい。また、波形部43の波形の振幅は、図6,12に示すように突起23の延び方向において一定であってもよく、図14に示すように外側端23b側に向かうに連れて大きくなっていてもよい。また、波形部43の波形の振幅は、内側端23a側の部分よりも外側端23b側の部分で大きくなっていてもよい。また、波形部43は、上述の変形例1,3のように、突起23の一部に形成されていてもよい。
使用状態において端面リップ21が変形した際に、突起23はスリンガ3側の部分において強く引っ張られる。本変形例においては、この端面リップ21の変形により強く引っ張られるスリンガ3側の部分において、波形部43の振幅が大きく形成されていることにより、変形時の端面リップ21に対して突起23が及ぼす引っ張り力を低減でき、所望の締め代の形成のための端面リップ21の変形が阻害されることはない。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
スリンガ3の有する溝33は、上述のように、図7に示すネジ(4条ネジ)形状に限らず、他の形状であってもよい。例えば、図16(a)に示すように、内周側から外周側に向かって軸線xを中心又は略中心として放射状に延びる溝であってもよく、また、図16(b)に示すように、周方向に傾いて延びる溝であってもよい。
密封装置1において、弾性体部20は、ダストリップ28及び中間リップ29を有しているとしたが、弾性体部20は、ダストリップ28及び中間リップ29を有していなくてもよく、ダストリップ28及び中間リップ29のいずれか一方のみを有していてもよい。
また、本実施の形態に係る密封装置1は、エンジンのクランク孔に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1…密封装置、2…密封装置本体、3…スリンガ、10…補強環、11…筒部、11a…外周側円筒部、11b…内周側円筒部、11c…接続部、12,14…円盤部、13…錐環部、20…弾性体部、21…端面リップ、21a…先端、21b…根元、22…内周面、23…突起、23a…内側端、23b…外側端、23c,23d…側面、24…スリンガ接触部、24a…外側縁、25…基体部、26…ガスケット部、27…後方カバー部、28…ダストリップ、29…中間リップ、29a…外周面、29b…先端、31…フランジ部、31a…内周側円盤部、31b…外周側円盤部、31c…接続部、31d…外側面、32…リップ接触部、33…溝、34…筒部、35…円筒部、35a…内周面、35b…外周面、40,42,43…波形部、41…平部、50…ハウジング、51…軸孔、51a…内周面、52…軸、52a…外周面、G…間隔、S…挟空間、x…軸線。
Claims (6)
- 軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、
前記孔に嵌着される密封装置本体と、
前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、
前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、
前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、
前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、
前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側には少なくとも1つの溝が形成されており、
前記端面リップの内周側の面には、複数の突起が周方向に並んで形成されており、
前記突起は、前記他方の側から前記一方の側に向かって延びており、前記端面リップにおいて前記端面リップが前記スリンガに接触する部分であるスリンガ接触部よりも内周側に形成されており、前記突起の前記一方の側の端は前記突起の前記他方の側の端よりも前記周方向において前記軸の回転方向側に位置しており、前記突起は前記突起の延び方向における少なくとも一部に波形に延びる波形部を有していることを特徴とする密封装置。 - 前記波形部は、前記突起の少なくとも前記他方の側の部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
- 前記突起は、前記波形部において、滑らかな波形に延びていることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
- 前記突起は、前記波形部において、ジグザグ状の波形に延びていることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
- 前記突起は、前記密封装置における還流領域からポンプ領域に至るように、前記端面リップにおいて前記スリンガ接触部から間隔を空けて形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の密封装置。
- 前記スリンガに形成された溝はネジ溝であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の密封装置。
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