JP2018183121A - 粒状組成物、その製造方法及びその保存方法、並びに、粒状食品 - Google Patents

粒状組成物、その製造方法及びその保存方法、並びに、粒状食品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐酸性を有し、食感に優れ、かつ、様々な調味液を用いて後から味付け等ができる無味無臭の粒状組成物、その製造方法及びその保存方法を提供する。また、粒状組成物を調味液により味付けした粒状食品を提供する。【解決手段】粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物であって、前記内包部は、内包液を含むゾル状体から構成され、前記ゲル被膜は、アルギン類酸、LMペクチン、ジェランガム及び多価金属イオンを含む粒状組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、粒状組成物、その製造方法及びその保存方法、並びに、粒状食品に関する。
従来ゲル被膜の内部にゾル状体を封じ込めた粒状組成物の開発が行われている。この技術を利用したものとして、食品分野においては、粒状のゲル被膜の内部に調味液を封じ込めた粒状食品が知られている。その代表的な例は、天然のイクラを模した人工イクラ等の魚卵用食品である。
一般的に、魚卵様食品の被膜は、アルギン酸カルシウムから形成されている。例えば、特許文献1には、アルギン酸カルシウム被膜を外皮とし、4糖以上の糖類が糖組成の60%以上をしめるオリゴ糖、澱粉糖化物、またはこれらの還元物の少なくとも一種以上を含有する魚卵様食品が開示されている。
特許文献2には、アルギン酸カルシウム皮膜を外皮とし、その内腔に油性原料と水性原料を封入してある魚卵様食品において、塩味調味後の皮膜の含水率を60〜85%である魚卵様食品が開示されている。
また、アルギン酸カルシウム以外の成分を含む食品として、特許文献3には、ゲル皮膜として、アルギン酸塩とペクチンとを特定の割合で含むイクラ様人工魚卵が開示されている。
特開2004−215536号公報 特開平10−146173号公報 特公昭62−5583号公報
上述の特許文献1〜3のように、従来の粒状食品は、販売時点ですでに味付けがされている。一方で、市場では、このような粒状組成物に、購入者が自ら、様々な味を付けたいという要望があり、後から簡単に味付けができる粒状組成物が求められていた。
粒状組成物に調味液を用いて後から味付けを行うためには、調味液と粒状組成物に内包される内包液との液交換性や、調味液に対するゲル皮膜の耐久性が必要である。また、味付け前後で著しく食感を損なうことがなく、食感を維持できるような粒状組成物が望まれる。
しかしながら、上述のように、従来の粒状食品は、販売時点ですでに味付けがされており、特定の味付けに適した設計がなされており、様々な調味液で後から味付けするためには適している構成とはいえなかった。従来の粒状食品のゲル被膜は、魚卵様の味付けには適しているが、酸性の高い溶液(例えば、レモン果汁、酢等)に長時間晒すと内包液が短時間で流出しやすかったり、酸性の高い溶液に浸漬して味付けすることによって、食感が変化しやすかった。また、アルギン酸カルシウムのみで構成されたゲル被膜は、ゲル被膜が口の中に残りやすかった。一方、ゲル被膜の強度を上げようとすると、粒状組成物特有の、プチンとした弾けるような食感が損なわれる傾向にあった。
そのため、ゲル被膜に、酸性の高い溶液を含む様々な調味液に対する十分な安定性を付与しつつ、弾けるような食感の粒状組成物とすることは困難であり、味付けに使用できる調味液に制限があった。
かかる状況下、本発明の目的は、優れた耐酸性を有し、食感に優れ、かつ、様々な調味液を用いて後から味付け等ができる粒状組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多価金属イオンの存在下でゲル化する性質を有する多糖類の中から、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムを選択し、カルシウムイオンと架橋させてゲル被膜を構成することで、弾けるような食感を有する無味無臭の粒状組成物となり、また、後から果汁などの酸性の高い調味液で味付けしても粒状組成物の形状がすぐに壊れないことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物であって、前記内包部は、内包液を含むゾル状体から構成され、前記ゲル被膜は、アルギン酸類、LMペクチン、ジェランガム及び多価金属イオンを含む粒状組成物。
<2> 前記ゲル被膜において、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である前記<1>に記載の粒状組成物。
<3> 前記ゲル被膜において、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である前記<1>または<2>に記載の粒状組成物。
<4> 前記粒状組成物は無味無臭である前記<1>から<3>のいずれかに記載の粒状組成物。
<5> 前記粒状組成物の粒径は、2mm以上30mm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の粒状組成物。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の粒状組成物を調味液により味付けした粒状食品。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の粒状組成物の製造方法であって、以下の工程(A)を有する製造方法。
工程(A):アルギン酸類、LMペクチン、ジエランガム及び水を含む混合溶液中に、多価金属イオンを含む内包部原料を滴下し、滴下された内包部原料の表面にゲル被膜を形成させ、粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物を得る工程
<8> 前記工程(A)において、内包部原料は、多価金属イオンと、内包液と、多価金属イオン共存下においてゲル化しない増粘多糖類とからなる前記<7>に記載の粒状組成物の製造方法。
<9> 前記混合溶液中、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、前記混合溶液中、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である前記<7>または<8>に記載の粒状組成物の製造方法。
<10> 前記混合溶液中、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、前記混合溶液中、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である前記<7>から<9>のいずれかに記載の粒状組成物。
<11> 前記工程(A)の後に、pH値が4以上7以下のpH調整溶液に浸漬して、前記内包部のpH値を4以上7以下とする工程(B)を有する前記<7>から<10>のいずれかに記載の粒状組成物記載の粒状の製造方法。
<12> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の粒状組成物の保存方法であって、前記粒状組成物をpH値が4以上7以下のpH調整溶液に浸漬して、内包部のpH値を4以上7以下の状態で保存する保存方法。
本発明によれば、優れた耐酸性を有し、食感に優れ、かつ、様々な調味液を用いて後から味付け等ができる粒状組成物を提供することができる。
本発明の粒状組成物の模式図である。 本発明の粒状組成物の製造方法を説明する図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
1.粒状組成物
本発明は、粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物であって、前記内包部は、内包液を含むゾル状体から構成され、前記ゲル被膜は、アルギン酸類、LMペクチン、ジェランガム及び多価金属イオンを含む粒状組成物(以下、「本発明の粒状組成物」と記載する場合がある。)に関する。このような構成にすることによって、様々な調味液で後から味付けすることができる。特に、果汁等のpHの低い調味液でも味付けを行うことができるという利点がある。
図1に、本発明の粒状組成物の模式図を示す。図1に示すように、本発明の粒状組成物は、粒状の内包部と、粒状の内包部を被覆するゲル被膜とからなる。なお、ゲル被膜は、内包部を被覆するゲルの薄い膜であり、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムが複雑に絡み合い、多価金属イオンで架橋された微細な三次元網目構造となっている。
本発明の粒状組成物の特徴は、ゲル被膜を構成する成分として、多価金属イオンの存在下でゲル化する性質を有する多糖類の中でも、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムの3種の多糖類を必須成分とすることである。
アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムを組み合わせることで、ゲル被膜の耐酸性を向上させつつも、適度な弾力のあるゲル被膜となり、pHが低い調味液で味付けしても、粒状組成物の耐酸性とプチっとした弾けるような食感を両立させることができる。本発明の粒状組成物は、幅広いpH値の調味液を用いて後から味付けを行うことができる。また、ゲル被膜をこのような構成とすることで耐熱性にも優れたものとなる。
なお、図1においては、本発明の粒状組成物は球状であるが、本発明の粒状組成物は、粒状であればよく、球状でなくてもよい。ここで、本発明において、「粒状」とは、球状、楕円状、卵形状、涙状あるいはそれらが若干偏平化したもの等を含む。
本発明の粒状組成物の大きさは、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択可能だが、粒径が2〜30mmであることが好ましく、5〜10mmがより好ましい。なお、本発明の粒状組成物が球状ではない場合は、粒径は、断面の最大径をいう。
以下、本発明の粒状組成物を構成する粒状の内包部、及びゲル被膜について詳述する。
[粒状の内包部]
本発明の粒状組成物を構成する内包部(単に「内包部」と記載する場合がある。)は、ゲル被膜で覆われている内部の粒状の部分であり、内包液を含むゾル状体から構成される。
内包部は、ゲル被膜を透過できる内包液(溶媒及び低分子成分)と、ゲル被膜を透過できない増粘多糖類とから構成され、ゾル状体である。なお、「ゾル状体」とは、いずれも本発明の粒状組成物を構成する程度の強度(粘度)を有するものであればよく、流動性を有するゾル状のみならず、流動性に乏しいゲル状も含む概念である。通常は、ゾル状体は、ゾル状である。
内包部に含まれる増粘多糖類は、ゾル状体に適度の強度(粘度)を付与することに寄与する。これにより粒状組成物の形状が安定化し、潰れにくくなる。
増粘多糖類としては、ゾル状体が粒状を形成できれば特に限定されないが、例えば、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、アラビアガム、デキストリン、ゼラチン、寒天、カラギナン、ローカストビーガム、トラガカントガム、でんぷん、ウェランガム、ダイユータンガム等があげられ、内包部に含まれる増粘多糖類は、1成分でも2成分以上の複数の成分を含んでもよい。
本発明の粒状組成物は、後述するように、内包部を形成する原料に多価金属イオンを含ませる製造方法により好適に製造されるので、増粘多糖類は、多価金属イオン共存下においてもゲルしない増粘多糖類であることが好ましい。
内包液は、溶媒及び低分子成分とからなり、ゲル被膜を透過することができ、後から味付けをすることに適した粒状組成物となる。溶媒は、通常、水であるが、本発明の目的を損なわなければ、水以外の溶媒を含んでいてもよい。低分子成分は、本発明の目的を損なわなければ、任意である。
また、内包部は、pH調整剤や、抗菌剤等を含有してもよい。
本発明の粒状組成物は、通常、ほぼ透明で、無味無臭であり、本発明の内包部は、通常、pH値が7以下である。pH値の下限値は、粒状組成物が無味である範囲で適宜決定される。pH値が低すぎる場合、粒状組成物の酸味が強くなり、後から味付けをする調味液の風味を損なうことがある。そのため、本発明の粒状組成物のpH値は4以上であることが好ましい。
なお、本発明の内包部のpH値は、本発明の粒状組成物を潰して、内包部のpH値を直接測定することで求めることができる。また、製造時の内包部原料のpH値や保存液のpH値を測定して求めてもよい。
[ゲル被膜]
本発明の粒状組成物を構成するゲル被膜(単に「ゲル被膜」と記載する場合がある。)は、上述の通り、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムを含むことに特徴がある。これらの成分で構成される本発明のゲル被膜は、微細な三次元構造であり、半透膜として機能し、液交換性を有する。なお、「液交換性」とは、内包液と濃度の異なる溶液に浸漬させたときに、溶液中の成分と内包液中の成分とが交換することができる性質を意味する。
液交換性を利用し、本発明の粒状組成物は、調味液に浸漬することで後から味付けすることができる。
特に、本発明のゲル被膜は、アルギン酸類と共に、LMペクチン及びジェランガムを含むことで果汁のような酸性の高い水溶液と内包部の成分が置換されることで内包部が酸性になる場合においても、ゲル被膜の強度が低下し、短時間で粒状組成物が潰れることを抑制できる。そのため、本発明の粒状組成物は、酸性の高い調味液でも味付けができ、味付け後も粒状組成物の形状や食感も維持される。詳細については、粒状食品の説明にて後述する。
アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムは、多価金属イオンにより架橋されゲル化する性質を有する多糖類である。以下、それぞれについて説明する。
アルギン酸類は、褐藻類から製造される多糖類であり、β−D−マンヌロン酸(Mと略する)とα−L−グルロン酸(Gと略する)の2種類のウロン酸から構成される直鎖状の多糖類である。
具体的には、アルギン酸類とは、アルギン酸、アルギン酸の塩又はアルギン酸エステルのことである。例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、またはアルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられ、多価金属イオンと反応することで、ゲル被膜を形成しているものである。ゲル被膜中では、アルギン酸アルカリ金属塩の1価陽イオンの大部分は多価金属イオンと置換された構造となっている。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明のゲル被膜に含まれるアルギン酸類の分子量やM/G比は特に制限されない。アルギン酸類のマンヌロン酸(M)及びグルロン酸(G)のM/G比は特に制限されないが、M/G比が0.5〜1.0であるアルギン酸であることが好ましい。
特に、本発明のゲル被膜は、2種以上のアルギン酸類を含むことが好ましい。すなわち、分子量やM/G比等の異なるアルギン酸類を2種以上含むことが好ましい。2種以上のアルギン酸類を含むことで、ゲル被膜の強度をより高め、調味液浸漬後の耐久性をより向上させることができる。
LMペクチンは、主として、ガラクツロン酸とそのメチルエステルで構成される多糖類のうち、エステルの形で存在するガラクツロン酸の割合(DE=エステル化度)が50%未満のものである。本発明のゲル被膜は、2種以上のLMペクチンを含んでもよい。
ジェランガムは、シュードモナス・エロディアが産出する直鎖状のヘテロ多糖類で、グルコース、グルクロン酸、グルコースとラムノースの4つの糖が繰り返し結合し構成されている。ジェランガムは、主鎖の1−3結合したグルコースにアセチル基とグリセリル基が存在しているネイティブ型のHAジェランガムと、脱アシル型のLAジェランガムがある。本発明では、ネイティブ型のHAジェランガムでも脱アシル型のLAジェランガムでもよいが、好ましいジェランガムは、脱アシル型のLAジェランガムである。また、本発明のゲル被膜は、2種以上のジェランガムを含んでもよい。
多価金属イオンとしては、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等が挙げられるが、カルシウムイオンが特に好適である。多価金属イオン源は、水に溶解して多価金属イオンを供給でき、安全衛生上無害であり、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムと反応し、架橋構造を形成できるものであればよい。例えば、多価金属イオン源としては、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、第二リン酸カルシウム等が挙げられ、塩化カルシウムまたは乳酸カルシウムであることが好ましい。
本発明のゲル被膜を構成するアルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムの割合は、ゲル被膜の耐酸性と食感を両立できる範囲で、適宜調整すればよい。
一方で、ゲル被膜を構成するアルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムの割合は、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が少なすぎると、ゲル被膜が硬くなりやすく、また、耐酸性が不十分になる傾向にある。一方、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が多すぎると、弾けるような食感が得にくい。また、ゲル被膜中のジェランガムの割合は、多すぎても少なすぎても食感が損なわれやすい。そのため、ゲル被膜は、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
より好ましくは、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である。さらに好ましくは、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である。
ゲル被膜を構成するアルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムの割合は、原料仕込み比から算出できる。
また、本発明のゲル被膜は、安全衛生上無害のものであれば、ゲル被膜の耐酸性及び食感を損なわない範囲で、アルギン酸類、LMペクチン、ジェランガム及び多価金属イオン以外の成分を含んでもよい。例えば、アルギン酸ナトリウムを原料に用いた場合には、ゲル被膜はナトリウムイオンを含むこともある。また、pH調整剤や、抗菌剤等を含んでもよい。
また、本発明のゲル被膜の膜厚は、本発明の粒状組成物の形状を維持でき、液交換性及び食感を損なわない範囲で、適宜決定される。
2.粒状食品
本発明の粒状組成物は、調味液に浸漬することで味付けすることができる。調味液により味付けされた粒状組成物は、食品として好適に提供される。すなわち、本発明の粒状食品は、粒状組成物の粒状の内包部および内包部を被覆するゲル被膜の少なくとも一方に調味液を含むものである。上述のように、本発明のゲル被膜は、耐酸性、耐熱性に優れ、粒状組成物は、無味無臭であるので、幅広いpH値の調味液を用いて味付けを行うことができる。
なお、「調味液」とは、調味料や香料等が溶解した味付きの溶液のことであり、本発明の粒状組成物に味をつけるための液である。調味液と粒状組成物の内包液との交換により、調味液に溶解した調味料や香料等が粒状組成物中に取り込まれることにより、味を付けることができる。
調味液と粒状組成物の内包液との交換反応は、浸透圧差により起こる。そのため、調味液は、通常、内包液の濃度と濃度が異なる。
本発明の粒状組成物を味付けする場合、本発明の粒状組成物を調味液に浸漬しておけばよい。例えば、浸漬時間は1〜48時間程度である。
調味液への浸漬は、調味液を加熱しながら、本発明の粒状組成物を浸漬してもよいし、室温下で本発明の粒状組成物を調味液に浸漬してもよいし、冷蔵庫の中で冷却状態を保って浸漬してもよい。
調味液に応じて調味液の温度や浸漬時間は適宜選択すればよいが、本発明の粒状組成物は、室温以下で調味液へ浸漬させても十分に調味液と内包部の成分との交換が起こり、味付けをすることができる。調味液によっては加熱によって風味が飛んでしまうものもあるため、通常、調味液への浸漬は、室温以下で行われる。
例えば、本発明の粒状組成物を調味液に24時間程度冷蔵浸漬しておくことで、本発明の粒状組成物は十分に味付けすることができる。
味付けに用いることのできる調味液は、水溶性であればよく、幅広いpH値の調味液を用いることができる。
例えば、レモン汁等の果汁、わさび・からし・唐辛子・胡椒・カレー等の香辛料、醤油・味醂・ソース・酢・つゆ・だし・たれ・ドレッシングなど調味料、バニラ、ミント、バジル等の香料・ハーブ、清酒、焼酎、洋酒、果実酒等の酒類、カルピス・ヨーグルト等の乳酸飲料、コーヒー、ココア、紅茶、お茶、トマト、ミルク、生クリーム、練乳、あんこ、豆乳等の味の調味液を使用することができる。
なお、本発明の粒状組成物は、後から色付けや香り付けをすることもできる。後から色付けや香り付けをする場合は、調味液に代えて、色素や香料を溶解させた溶液を用いて色付けや香り付けを行えばよい。
3.粒状組成物の製造方法
以下、本発明の粒状組成物の製造方法について説明する。
本発明の粒状組成物は、以下の工程(A)を有する製造方法(以下、「本発明の製造方法」と記載する場合がある。)により好適に製造することができる。
工程(A):アルギン酸類、LMペクチン、ジエランガム及び水を含む混合溶液中に、多価金属イオンを含む内包部原料を滴下し、滴下された内包部原料の表面にゲル被膜を形成させ、粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物を得る工程
図2は、本発明の製造方法を説明する図である。まず、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムの混合溶液とすることで、アルギン酸類、LMペクチン及びジジェランガムを均一に分散できる。この混合溶液に、多価金属イオンを含む内包部原料が滴下されると、滴下された内包部原料は粒状となる。そして、粒状の内包部原料の界面で、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムと、内包部原料中の多価金属イオンとが反応し架橋構造を形成し、ゲル被膜が形成され、多価金属イオンを含む内包部原料からなる粒状の内包部及び前記内包部を被覆するゲル被膜からなる粒状組成物が形成される。次いで、内包部原料中の多価金属イオンは、形成されたゲル被膜を介して混合溶液中に染み出し、引き続き界面でゲル化が進行する。
このような製造方法とすることにより、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムが複雑に絡み、三次元網目構造のゲル被膜を内包部の表面に形成することができる。
以下、アルギン酸類、LMペクチン、ジエランガム及び水を含む混合溶液を、単に「混合溶液」と記載する場合がある。また、多価金属イオンを含む内包部原料を、単に「内包部原料」と記載する場合がある。
混合溶液及び内包部原料の濃度及び粘度は、混合溶液に内包部原料を滴下したときに、滴下された内包部原料が粒状となる範囲で、滴下条件等を考慮して適宜調整すればよい。
混合溶液及び内包部原料の調製方法は、各成分を溶解することができれば、特に限定されないが、混合溶液の調製は、加熱は行わず、室温(25℃)以下の温度で行うことが好ましい。
混合溶液中の各成分の濃度は、形成されるゲル被膜において、ゲル被膜の耐酸性及び食感を両立できる範囲で、内包液中の多価金属イオンの濃度等を考量して適宜決定できる。例えば、混合溶液の重量に対して、アルギン酸類が0.1〜1重量%、LMペクチンが0.01〜0.5重量%、ジェランガムが0.005〜0.05重量%とすることができる。また、混合溶液の重量に対して、アルギン酸類が0.3〜0.6重量%、LMペクチンが0.01〜0.3重量%、ジェランガムが0.01〜0.04重量%であってもよい。
また、混合溶液中のアルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、混合溶液中のアルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である。さらに好ましくは、混合溶液中のアルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である。
このような割合であると、耐酸性及び食感に優れた粒状組成物をより安定して製造できる。
内包部原料中の多価金属イオンの濃度は、本発明の目的を損なわない範囲で、混合溶液中の各成分の濃度等を考量して適宜決定できる。例えば、内包部原料の重量に対して、多価金属イオン源は、0.5〜5重量%とすることができる。
アルギン酸類は上述した通りである。アルギン酸類の中でも、アルギン酸がナトリウムで中和された水溶性の多糖類であるアルギン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。また、本発明において、2種以上のアルギン酸類を含むことが好ましく、2種以上のアルギン酸ナトリウムを含むことがより好ましい。
アルギン酸ナトリウムは、いずれの粘度グレードでも可能である。ゲル強度の得られやすさの観点からは、少なくとも1種のアルギン酸ナトリウムは、高粘度タイプのものが好ましく、1%水溶液で100mPa・s以上、より好ましくは300mPa・sである。また、アルギン酸ナトリウムのM/G比も特に限定されないが、M/Gが0.5〜1.0であるアルギン酸ナトリウムであることが好ましい。例えば、アルギン酸ナトリウムとして、キミカ社製のキミカアルギン High・G シリーズやGMB等を使用することができる。
LMペクチン及びジェランガムは、上述した通りである。また、混合溶液中には、安全衛生上無害のものであれば、ゲル被膜の耐酸性、食感を損なわない範囲で、アルギン酸類、LMペクチン及びジェランガム以外の成分を含んでもよい。
内包部原料は、多価金属イオンと、ゲル被膜を透過できる内包液(溶媒及び低分子成分)と、ゲル被膜を透過できない増粘多糖類とから構成される。
内包部原料に含まれる増粘多糖類の種類や組成は、混合溶液に内包部原料を滴下したときに、滴下された内包部原料が粒状となる範囲であれば特に限定されない。一方で、内包部原料の粘度が高すぎると、滴下しにくく、内包部原料を粒状に形成することが困難となるため、内包部原料はゾル状であることが好ましい。このため、内包部原料に含まれる増粘多糖類は、多価金属イオン共存下においてもゲル化しない増粘多糖類であることが好ましい。
内包部原料に含まれる増粘多糖類が、多価金属イオン共存下においてもゲル化しない増粘多糖類である場合、混合溶液と内包部原料の液滴の界面で、混合溶液中のアルギン酸類、LMペクチン及びジェランガムと、内包部原料の多価金属イオンとで架橋反応が起こるが、得られる粒状組成物の内包部ではゲル化が進行しない。このため、混合溶液中から取り出した後は、内包部でゲル化反応が起こることがなく、時間の経過とともにゲル化反応が進行して、ゲル被膜が厚くなることがない。
なお、内包液、増粘多糖類は上述した通りであるので、ここでの説明を省略する。
多価金属イオンは、上述した通りである。多価金属イオンは、カルシウムイオンが特に好適であり、多価金属イオン源は、塩化カルシウムまたは乳酸カルシウムであることが好ましい。
ゲル被膜の厚さや強度は、本発明の粒状組成物の形状を維持でき、液交換性及び食感を損なわない範囲で目的に応じて、混合溶液や内包部原料中の各成分の濃度、混合溶液と内包部原料との反応時間等により調整することができる。より強固なゲル被膜を形成させるためには、混合溶液へ内包部原料を滴下した後、30秒以上浸漬させたままにしておくことが好ましい。より好ましくは1分以上である。一方で、混合溶液中に浸漬しすぎるとゲル被膜が厚くなってしまい、液交換性や食感が損なわれるため、浸漬時間は30分より短く、より好ましくは、15分以内であり、更に好ましくは、10分以内である。
また、前記工程(A)の後に、pH値が4〜7のpH調整溶液に浸漬して、前記内包部のpH値を4〜7とする工程(B)を行うことが好ましい。
pH値が4〜7のpH調整溶液に浸漬することで、内包部を構成する内包部原料の内包液成分(溶媒及び低分子)の少なくとも一部は、pH調整溶液中の溶媒及び低分子成分により置換され、内包部のpH値を調整することができる。
pH値が4〜7のpH調整溶液としては、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸等の有機酸の水溶液が挙げられ、クエン酸溶液であることが好ましい。
また、混合溶液または内包部原料にpH値が4〜7のpH調整溶液を加えてゲル被膜を形成させると、ゲル被膜形成の反応に影響を与え、安定して製造することが困難となることがある。前記工程(A)の後に工程(B)を行い、内包部のpH値を4〜7とすることで、ゲル被膜形成の反応に影響を与えずに安定して製造することができる。
また、工程(B)を行った本発明の粒状組成物は、そのままpH値が4〜7のpH調整溶液に浸漬し、保存することが好ましい。すなわち、本発明の粒状組成物は、pH値が4〜7のpH調整溶液に浸漬し、内包部のpH値が4〜7の状態で保存することが好ましい。
このように保存することで、本発明の粒状組成物の乾燥を抑制するだけでなく、ゲル被膜を強固なものに保ちつつ、長期間での保存安定性にも優れる。
また、工程(A)と工程(B)の間に、別の工程を設けてもよい。例えば、工程(A)の後に内包部に残存する多価金属イオンを除去するために、水に浸漬する工程を行った後に、工程(B)を実施することができる。
なお、工程(A)以外の工程を行わない場合、内包部は、内包部原料から構成される。工程(A)以外に水や酸性溶液に浸漬する工程を行った場合、内包部原料の内包液成分(溶媒及び低分子)の少なくとも一部は、水または酸性溶液中の溶媒及び低分子成分により置換される。そのため、粒状組成物の内包部を構成する内包液成分は、内包部原料の内包液成分(溶媒及び低分子)の少なくとも一部が、水、または、酸性溶液中の溶媒及び低分子成分により置換されたものである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1](実施例)
I.内包部原料の調製
グアーガム(DSP五協フード&ケミカル株式会社製「グアパックPF−20」)を28g、乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所社製「乳酸カルシウム」)20.0gを量り取り、十分に撹拌したものを粉末原料(1a)とした。加熱しながら、水952.0gに、粉末原料(1a)を少量ずつ加え撹拌し、溶解させた。このときの加熱温度は60℃〜80℃程度である。真空脱泡機にて気泡抜きを行い、冷蔵庫(5℃)で8時間以上放置し、粉末原料(1a)を完全に溶解させ、内包部原料(1)を得た。
II.混合溶液(1)の調製
アルギン酸ナトリウム(キミカ製「I−3G」)を3.0g、アルギン酸ナトリウム(キミカ製「GMB」)を2.0g、LMペクチン(ヘルプシュトライト&フォックス社製「AB901」)を2.0g、LAジェランガム(CPケルコ社製「ケルコゲル」)を0.2g量り取り、十分に撹拌したものを粉末原料(1b)とした。水992.3gに粉末原料(1b)を少量ずつ加えながら、室温で撹拌し、溶解させた。冷蔵庫(5℃)で8時間以上放置し、粉末原料(1b)を完全に水に溶解させ、混合溶液(1)を得た。
III.pH調整溶液の調製
上述した内包部原料(1)の調製と同様の方法で、再度、内包部原料(2)を100g調整し、そこから99.9g量り取った。99.9gの内包部原料(2)に、0.1gのクエン酸(磐田化学工業株式会社製「クエン酸(結晶)」)を加え、撹拌し、冷蔵庫で8時間以上放置したものを、pH調整溶液(1)とした。なお、pH調整溶液(1)のpH値は5であった。このpH値は、ADVANTEC社のpH試験紙で測定した値である。
IV.粒状組成物の製造
(工程(A))
上記で調整した内包部原料(1)を、混合溶液(1)へ滴下した。滴下と同時に内包部原料(1)の表面にゲル被膜の形成がはじまった。混合溶液中に5分間浸漬したままにし、内包部原料の表面でゲル被膜の形成反応を進行させ、内包部原料がゲル被膜で覆われた粒状組成物(1a)を得た。得られた粒状組成物(1a)は球状であった。
次いで、混合溶液(1)から粒状組成物(1a)を取り出し、5分間水に浸漬した。
(工程(B))
得られた粒状組成物(1a)を、pH調整溶液(1)に8時間浸漬し、粒状組成物(1b)た。得られた粒状組成物(1b)の内包部のpH値は、5〜6であった。なお、粒状組成物を潰して、ADVANTEC社のpH試験紙で測定した。得られた粒状組成物(1b)は球状であり、粒径が8mmであった。得られた粒状組成物(1b)は、pH調整溶液(1)に浸漬させた状態で保存した。
[実験例2〜実験例5](実施例)
混合溶液の原料の比率を表1に記載の比率に変更した以外は、実験例1と同様の方法で工程(A)および工程(B)を実施して、実験例2〜実験例5の粒状組成物(2b)〜(5b)を得た。
[実験例6〜実験例9](比較例)
混合溶液の原料の比率を表2に記載の比率に変更した以外は、実験例1と同様の方法で工程(A)および工程(B)を実施して、実験例6〜実験例8の粒状組成物(6b)〜(8b)を得た。なお、実験例9の粒状組成物は、工程(A)の後、混合溶液から粒状組成物をすくい上げるときに粒状組成物が潰れてしまい、粒状組成物を形成できなかった。
[評価]
[評価(1)](食感)
得られた実験例1〜8の粒状組成物(1b)〜(8b)を2名のパネラーに食してもらい、以下の基準で食感を評価した。結果を表1または表2に示す。
〇:プチっとした弾けるような食感のもの
△:弾力はあるが、〇と比較するとプチっとした感じが弱い食感のもの
×:もろく弾力が感じられないのもの、または、粒状組成物のゲル被膜が口の中に残るもの
[評価(2)](耐酸性)
実験例1〜8の粒状組成物(1b)〜(8b)をpH調整溶液(1)から取り出し、ザルに入れて数秒水に晒し水を切った後に、粒状組成物と同量のレモン果汁中に24時間浸漬し、粒状食品を得た。レモン果汁は市販のレモン果汁ではなく、青果のレモンを絞った果汁をそのまま用いた。得られた粒状食品を2名のパネラーに食してもらい、以下の基準で食感を評価した。結果を表1または表2に示す。
〇:レモン果汁で調味する前と同様の食感である
×:レモン果汁で調味する前の食感を維持できていない
なお、実験例1〜8の粒状組成物(1b)〜(8b)をレモン果汁に浸漬させた製造した粒状食品は、いずれもレモン味をしっかり感じられた。
表1に示すように、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、ジェランガムの3つを組み合わせてゲル被膜を形成することで、食感のよい粒状組成物とすることができており、レモン果汁での調味前後で食感が維持されている。すなわち、実験例1〜5の粒状組成物は、耐酸性と食感が両立できている。特に、実験例1〜3の粒状組成物は、優れた耐酸性を有し、食感も優れていた。一方、表2に示すように、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、ジェランガムの3つ材料うちいずれか2つの組合せでは、弾力が感じられなったり、口残りがある(ゲル被膜が口に残る)ものとなっており、優れた食感を得ることはできず、また、耐酸性と食感の両立ができなかった。
なお、実験例1〜5の粒状組成物は、高温で加熱しても形状を維持しており耐熱性にも優れていた。実験例1〜5の粒状組成物は、市場に流通させる前に行われる加熱殺菌処理も可能であるといえる。
[評価(3)]
レモン果汁のかわりに、調味液(2)、調味液(3)または調味液(4)を用いた以外は、評価(2)と同様にして、実験例1の粒状食品を得た。なお、調味液(2)は、ミント味であり、モナン社のグリーンミントシロップを原液のまま用いた。調味液(3)は、梅酢味であり、庵梅社の赤梅酢を原液のまま用いた。調味液(4)は、醤油味であり、キッコーマン社の本醸造しょうゆを原液のまま用いた。
いずれの調味液を用いた場合も、味付けが可能であり、調味前後で食感もプチンとした弾けるような食感であった。また、これらの粒状食品は72時間浸漬経過後も形状を維持していた。
本発明によれば、購入者が自ら、好みの味付けをすることができる、無味無臭の粒状組成物が提供される。

Claims (12)

  1. 粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物であって、
    前記内包部は、内包液を含むゾル状体から構成され、
    前記ゲル被膜は、アルギン酸類、LMペクチン、ジェランガム及び多価金属イオンを含む粒状組成物。
  2. 前記ゲル被膜において、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、
    LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である請求項1に記載の粒状組成物。
  3. 前記ゲル被膜において、アルギン酸類とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、
    LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である請求項1または2に記載の粒状組成物。
  4. 前記粒状組成物が無味無臭である請求項1から3のいずれかに記載の粒状組成物。
  5. 前記粒状組成物の粒径は、2mm以上30mm以下である請求項1から4のいずれかに記載の粒状組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の粒状組成物を調味液により味付けした粒状食品。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の粒状組成物の製造方法であって、以下の工程(A)を有する製造方法。
    工程(A):アルギン酸類、LMペクチン、ジエランガム及び水を含む混合溶液中に、多価金属イオンを含む内包部原料を滴下し、滴下された内包部原料の表面にゲル被膜を形成させ、粒状の内包部と、前記内包部を被覆するゲル被膜と、からなる粒状組成物を得る工程
  8. 前記工程(A)において、内包部原料は、多価金属イオンと、内包液と、多価金属イオン共存下においてゲル化しない増粘多糖類とからなる請求項7に記載の粒状組成物の製造方法。
  9. 前記混合溶液中、アルギン酸とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が15重量%以上55重量%以下であり、
    前記混合溶液中、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上20重量%以下である請求項7または8に記載の粒状組成物の製造方法。
  10. 前記混合溶液中、アルギン酸とLMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、LMペクチンとジェランガムの合計量が20重量%以上45重量%以下であり、
    前記混合溶液中、LMペクチンとジェランガムの合計重量に対して、ジェランガムが5重量%以上15重量%以下である請求項7から9のいずれかに記載の粒状組成物の製造方法。
  11. 前記工程(A)の後に、pH値が4以上7以下のpH調整溶液に浸漬して、前記内包部のpH値を4以上7以下とする工程(B)を有する請求項7から10のいずれかに記載の粒状組成物の製造方法。
  12. 請求項1から5のいずれかに記載の粒状組成物の保存方法であって、
    前記粒状組成物をpH値が4以上7以下のpH調整溶液に浸漬して、内包部のpH値を4以上7以下の状態で保存する保存方法。
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