JP2018179286A - 被覆層付き滑り軸受および駆動モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
ウレタンゴムは、耐摩耗性に優れ、さらに外輪に強固に接着固定できる。外輪にウレタンゴムを装着する製造工程は以下の通りである。
すなわち、金型内でウレタンゴムを長時間にわたり硬化させる必要があり、外輪の外周面への接着剤の塗布に時間がかかり、ウレタンゴムの硬化後にウレタンの外周面を研磨により所定の寸法、精度に仕上げる必要がある。
よって、ウレタンゴムが外周面に被覆された転がり軸受を大量生産する場合には、ウレタンゴムを外周面に被覆するための設備を多数備える必要があり、設備費が嵩む。また、外輪の外周面をサンドブラストで粗く加工する工程や、粗く加工した外周面に接着剤を塗布する工程が必要である。このため、ウレタンゴムが被覆された転がり軸受を、安価で大量に製造することは難しい。
また、滑り軸受の外周面には、第一の被覆層が射出成形の際に熱融着により強固に固定されている。よって、従来必要とされていた、サンドブラスト加工工程や、接着剤による塗布工程を不要にできる。これにより、滑り軸受を、安価で大量に製造することができる。
さらに、第一の被覆層が滑り軸受の外周面に熱融着により強固に固定されている。これにより、第一の被覆層で紙幣や切符などの搬送物を搬送する場合や、滑り軸受を移動体の車輪として接触物に沿って転がせる場合に、第一の被覆層で音(ノイズ)を低減できる。
一方、第二の被覆層を、滑り軸受や第一の被覆層よりも軟らかい材料で形成することにより、被覆層付き滑り軸受を駆動する際に、第二の被覆層で音(ノイズ)の発生を抑えることができ、音(ノイズ)の低減を図ることができる。
さらに、第二の被覆層の被覆外周部に大きな圧力で熱可塑性エラストマーを充填することができる。これにより、第二の被覆層と第一の被覆層との両層の密着力を高めることができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る被覆層付き滑り軸受10の断面図である。
図1に示すように、被覆層付き滑り軸受10は、滑り軸受12と、第一の被覆層14とを備える。
滑り軸受12は、円筒状に形成された軸受面16と、外周面17とを有する。軸受面16は、滑り軸受12の内周面で円弧状に形成され、支持軸19に回転自在に嵌合されている。滑り軸受12は、支持軸19を軸にして回転自在に支持されている。外周面17は、軸受面16に対して、滑り軸受12の径方向外側に一定の間隔をおいて形成されている。
軸受面16および外周面17は、滑り軸受12の軸線Oに対して同軸上に形成されている。
滑り軸受12を、例えば硬質プラスチックで形成することにより、支持軸19に対する軸受面16の耐摩耗性を確保できる。
この硬質プラスチックにはポリテトラフルオロエチレン(4フッ化、PTFE)などの固体潤滑材が添加されることが望ましい。
第一の被覆層14は、滑り軸受12の外周面17に熱可塑性エラストマー(TPE)で射出成形されている。熱可塑性エラストマーは、滑り軸受12の材料となる非晶性プラスチックとの熱融着性に優れている。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、塩ビ系(PPVC)、ウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)が適用可能である。機械的強度、耐摩耗性の観点からウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)、スチレン系(TPS)が好ましい。さらに好ましい熱可塑性エラストマーとしてポリエステル系(TPEE)が挙げられる。
ウレタン系(TPU)は、耐摩耗性に最も優れるが成形性に問題があり、吸湿性が高く充分な乾燥が必要である。さらに、アニール処理も必要であり、製造に時間がかかるとともに成形精度にも問題がある。また、ウレタン系は、機械的強度や耐摩耗性が熱可塑性エラストマー中で最も優れている。このため、ウレタン系は、被覆層18に機械的強度や耐摩耗性の特性が必要な場合に使用される。
熱融着とは、例えば、第一の被覆層14の熱可塑性エラストマーが加熱により溶融して硬質プラスチック(滑り軸受12の外周面17)に付着することをいう。
よって、2色成形時に効果を発揮する。また、また、ポリエステル系(TPEE)は、吸湿性も低く、成形性も良好なため被覆層付き滑り軸受10の第一の被覆層14の材料として最適である。
よって、滑り軸受12の外周面17に第一の被覆層14が熱融着により強固に溶着される。これにより、第一の被覆層14が滑り軸受12の外周面17から脱落することを防止できる。
金型のゲートG1を第一の被覆層14の被覆側面14aに相当する位置に設けることにより、熱可塑性エラストマーの充填個所を第一の被覆層14の被覆外周面18からずらすことができる。
このように、ゲートG1やパーティングラインPLを被覆外周面18からずらすことにした。よって、熱可塑性エラストマーをゲートG1から金型内に充填させる際に生じるバリや、パーティングラインPLにより生じるバリなどが被覆外周面18に生じさせないようにできる。これにより、被覆外周面18からバリを除去する後加工を不要にできる。
すなわち、小型の被覆層付き滑り軸受の場合、例えば、第一の被覆層を滑り軸受の外周面に接着剤で接着すると接着剤の塗布ムラにより、接着剤を滑り軸受の外周面に均一の厚さ寸法に塗布できないおそれがある。一方、小型の被覆層付き滑り軸受の場合、第一の被覆層の厚さ寸法が1.0mmより小さくなることが考えらえる。この状態において、接着剤が滑り軸受の外周面に均一の厚さ寸法に塗布されていない場合、第一の被覆層の硬度が不均一になることが考えられる。
このため、第一の被覆層が被覆された小型の被覆層付き滑り軸受で搬送物を搬送する場合や、第一の被覆層を接触物に沿って転がり動作させる場合に、音(ノイズ)が発生したり、トルクムラの原因となるおそれがある。
これにより、被覆層付き滑り軸受10を小型に形成した場合でも、搬送物を被覆層付き滑り軸受10で搬送する場合や、接触物に沿って被覆層付き滑り軸受10を転がり動作させる際に、音(ノイズ)の発生や、トルクムラの原因を抑えることができる。
なお、第1実施形態では、第一の被覆層14を滑り軸受12の外周面17に溶着のみで設ける例について、説明するが、これに限らない。その他の例として、被覆層付き滑り軸受10の用途やその材質によっては、例えば溶着に接着剤を併用させて第一の被覆層14を滑り軸受12の外周面17に設けてもよい。
表1は本発明の第一の被覆層14にチタン酸カリウム繊維を含有させた状態の特性を示す表である。図2は第一の被覆層14にチタン酸カリウム繊維を含有させた状態の特性を示すグラフである。
表1、図2において、チタン酸カリウム繊維を含有しない熱可塑性エラストマー(ポリエステル系(TPEE))をエラストマー(単体)として示す。チタン酸カリウム繊維を10wt%含有した熱可塑性エラストマーをエラストマー(10wt%)として示す。
また、チタン酸カリウム繊維を20wt%含有した熱可塑性エラストマーをエラストマー(20wt%)として示す。チタン酸カリウム繊維を30wt%含有した熱可塑性エラストマーをエラストマー(30wt%)として示す。
熱可塑性エラストマーにチタン酸カリウム繊維を10wt%、20wt%、30wt%含有することにより、引張り強さを12Mpaから13MPa,18MPa,23MPaと高くできる。
また、曲げ強さを4MPaから7MPa,9MPa,16MPaと高くできる。さらに、曲げ弾性率を0.05GPaから0.13GPa,0.21GPa,0.44GPaと高くできる。
さらに、図2、表1に示すように、熱可塑性エラストマーにチタン酸カリウム繊維を含有した状態において、熱可塑性エラストマーの摩耗量を減少させることができる。具体的には、チタン酸カリウム繊維を10wt%、20wt%、30wt%含有した状態において、熱可塑性エラストマーの摩耗量を12.5×10−3cm3から10.1×10−3cm3,7.0×10−3cm3,3.8×10−3cm3と減少させることができる。
なお、チタン酸カリウム繊維の含有量は、被覆層付き滑り軸受10の用途に対応させて適宜選択する。
つぎに、第1実施形態の第1変形例として被覆層付き滑り軸受20を図3に基づいて説明する。
図3は、第1実施形態に係る被覆層付き滑り軸受の第1変形例を示す断面図である。
図3に示すように、被覆層付き滑り軸受20は、滑り軸受21の両側部21a,21bにグリース24を充填する構成とすることも可能である。具体的には、滑り軸受12は、両側部21a,21bに第1凹部22と、第2凹部23とが同軸上に形成されている。一例として、第1凹部22の外径は、第2凹部23の外径より小さく形成されている。
第1凹部22にグリース24が充填され、第2凹部23に摺動ワッシャ25が収納されている。第2凹部23に摺動ワッシャ25が収納されることにより、第1凹部22の開口部が摺動ワッシャ25で閉塞される。よって、第1凹部22にグリース24を蓄えた状態に保つことができる。
ここで、例えば、規制部26が金属の場合、摺動ワッシャ25を樹脂材で形成することが好ましい。第1凹部22にグリース24を蓄えることにより、支持軸19に対して被覆層付き滑り軸受20を一層良好に回転させることができる。
つぎに、第1実施形態の軸受10の第2変形例について説明する。
図4は、第1実施形態に係る軸受10の第2変形例を示す側面図である。
図4に示すように、第1実施形態の軸受10として、第一の被覆層14を熱可塑性エラストマーで形成する例について説明したが、その他の例として、第一の被覆層14の被覆外周面に、歯車用の複数の歯28を形成することも可能である。これにより、軸受10を歯車27として用いることが可能になる。歯車27は、例えば、遊星歯車機構の内部の小さなプラネタリギア(遊星歯車)として用いることが可能である。
歯車27は、複数の歯28が熱可塑性エラストマーで形成されている。これにより、歯車27が噛み合う際に発生する駆動音を低減することが可能である。
また、複数の歯28を形成する第一の被覆層14は、歯車27の耐摩耗性、機械的強度などを考慮してデュロ硬度Aが95を超えた熱可塑性エラストマーの使用も可能である。
図5に示すように、例えば、被覆層付き滑り軸受10は移動体(駆動モジュール)1に取り付けて車輪として用いられている。
移動体1は、本体部2と、本体部2の両側に取り付けられた複数の被覆層付き滑り軸受10とを備えている。複数の被覆層付き滑り軸受10は、滑り軸受12が支持軸3に回転自在に支持されている。
支持軸3は本体部2に取り付けられている。滑り軸受12が支持軸3に固定されることにより、被覆層付き滑り軸受10が支持軸3に回転自在に支持されている。すなわち、複数の被覆層付き滑り軸受10は車輪として用いられる。
被覆層付き滑り軸受10に第一の被覆層14を備えているので、被覆層付き滑り軸受10が接触物5を転がりながら移動する際に、第一の被覆層14により音(ノイズ)を低減させることができる。
また、滑り軸受12の外周面17に第一の被覆層14が強固に係合されているので、滑り軸受12の外周面17から第一の被覆層14が脱落することを防止できる。
このように、移動体1に複数の被覆層付き滑り軸受10を備えることにより、耐久性を確保できるとともに低コストの移動体1を得ることができる。
また、その他の例として、被覆層付き滑り軸受10を走行方向が旋回する自在車に適用してもよい。被覆層付き滑り軸受10を自在車に適用することにより、移動体1の走行方向に対応させて被覆層付き滑り軸受10を旋回させることができる。
このように、搬送装置に被覆層付き滑り軸受10を備えることにより、耐久性を確保できるとともに低コストの搬送装置を得ることができる。
図6は、第2実施形態に係る被覆層付き滑り軸受30の断面図である。
図6に示すように、被覆層付き滑り軸受30は、滑り軸受32と、第二の被覆層36と、第一の被覆層14とを備える。滑り軸受32、第二の被覆層36、および第一の被覆層34は、滑り軸受32の軸線Oと同軸上に形成されている。
すなわち、滑り軸受32と第一の被覆層34との間に第二の被覆層36が介在されている。
軸受外周面43aは、軸受凸部43のうち、滑り軸受32の径方向外側に形成されている。軸受外周面43aは、軸受凸部43の一端側に形成されている。第2軸受側面43cは、軸受凸部43の他端側に形成されている。
滑り軸受32を、例えば硬質プラスチックで形成することにより、支持軸19に対する軸受面41の耐摩耗性を確保できる。
この硬質プラスチックにはポリテトラフルオロエチレン(4フッ化、PTFE)などの固体潤滑材が添加されることが望ましい。
滑り軸受32の外周部42に第二の被覆層36が射出成形によりインサート成形(2色成形)されている。
また、滑り軸受32は、外周部42に軸受凸部43が形成されている。よって、第二の被覆層36の内周面47と滑り軸受32の外周部42とが凹凸状に係合されている。これにより、第二の被覆層36に力が加わった際に、第二の被覆層36の内周面47と滑り軸受32の外周部42との凹凸で第二の被覆層36が滑り軸受32の外周部42から外れないようにできる。
被覆外周面52aは、被覆凸部52のうち、滑り軸受32の径方向外側に形成されている。第1被覆側面52bは、被覆凸部52の一端側に形成されている。第2被覆側面52cは、被覆凸部52の他端側に形成されている。
第一の被覆層34の熱可塑性エラストマーとしては、第二の被覆層36と同様に、ポリエステル系(TPEE)が好ましい。
このように、第二の被覆層36は、滑り軸受32と第一の被覆層34との両部材に対して熱融着性に優れた材料が選択されている。これにより、第一の被覆層34は、第二の被覆層36を介して滑り軸受32の外周部42に強固に固定されている。
軟らかい材料とは、曲げ弾性率、硬度(例えば、デュロ硬度A(デュロメータ硬さA))が小さい材料をいう。
硬い材料とは、曲げ弾性率、硬度(例えば、デュロ硬度A(デュロメータ硬さA))が大きい材料をいう。
一方、第二の被覆層36を、滑り軸受32や第一の被覆層34よりも軟らかい材料で形成することにより、被覆層付き滑り軸受30を駆動する際に、第二の被覆層36で音(ノイズ)の発生を抑えることができ、音(ノイズ)の低減を図ることができる。
図7は、第3実施形態に係る被覆層付き滑り軸受60の断面図である。なお、第3実施形態の被覆層付き滑り軸受60において、第2実施形態の被覆層付き滑り軸受30と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図7に示すように、被覆層付き滑り軸受60は、第2実施形態の滑り軸受32および第二の被覆層36を滑り軸受62および第二の被覆層66に代えたもので、その他の構成は第2実施形態の被覆層付き滑り軸受30と同様である。滑り軸受62は、第2実施形態の軸受凸部43を軸受凸部63に代えたものである。
第1軸受側面63bおよび第2軸受側面63cの傾斜角θ1は、90度未満に設定されている。すなわち、軸受凸部63は、滑り軸受62から径方向外側に向けて幅寸法W1が漸次大きくなるように形成されている。
よって、第二の被覆層66が冷却により収縮する際に、第1側面層66aを第1軸受側面63bに好適に食い込ませることができる。また、第2側面層66bを第2軸受側面63cに好適に食い込ませることができる。これにより、第二の被覆層66は、軸受凸部63(すなわち、滑り軸受62)に一層強固に固定されている。
よって、第一の被覆層64が冷却により収縮する際に、第1側面層64aを第1被覆側面65bに好適に食い込ませることができる。また、第2側面層64bを第2被覆側面65cに好適に食い込ませることができる。これにより、第一の被覆層64は、被覆凸部65(すなわち、第二の被覆層66)に一層強固に固定されている。
加えて、第一の被覆層64に軸線O方向の力や、第二の被覆層66からめくられる方向の力がかかった場合でも、第一の被覆層64が第二の被覆層66から剥がれ難くできる。
図8は、第4実施形態に係る被覆層付き滑り軸受70の断面図である。
図8に示すように、被覆層付き滑り軸受70は、滑り軸受72と、第二の被覆層76と、第一の被覆層74とを備える。滑り軸受72、第二の被覆層76、および第一の被覆層74は、滑り軸受72の軸線Oと同軸上に形成されている。
すなわち、滑り軸受72と第一の被覆層74との間に第二の被覆層76が介在されている。
滑り軸受72は、第1実施形態の滑り軸受12と同様に、例えばプラスチックとして、硬質プラスチック(非晶性プラスチック)で形成されている。非晶性プラスチックとしては、ポリカーボネート、ABS樹脂、あるいは、ポリカーボネート、ABS樹脂のアロイ材などが好ましい。
滑り軸受72を、例えば硬質プラスチックで形成することにより、支持軸19に対する軸受面81の耐摩耗性を確保できる。
この硬質プラスチックにはポリテトラフルオロエチレン(4フッ化、PTFE)などの固体潤滑材が添加されることが望ましい。
第一の被覆層34の熱可塑性エラストマーとしては、第二の被覆層76と同様に、ポリエステル系(TPEE)が好ましい。
このように、第二の被覆層76は、滑り軸受72と第一の被覆層74との両部材に対して熱融着性に優れた材料が選択されている。これにより、第一の被覆層74は、第二の被覆層76を介して滑り軸受72に強固に固定されている。
軟らかい材料とは、曲げ弾性率、硬度(例えば、デュロ硬度A(デュロメータ硬さA))が小さい材料をいう。
硬い材料とは、曲げ弾性率、硬度(例えば、デュロ硬度A(デュロメータ硬さA))が大きい材料をいう。
一方、第二の被覆層76を、滑り軸受72や第一の被覆層74よりも軟らかい材料で形成することにより、被覆層付き滑り軸受70を駆動する際に、第二の被覆層76で音(ノイズ)の発生を抑えることができ、音(ノイズ)の低減を図ることができる。
また、滑り軸受72と第二の被覆層76とは何れもプラスチックのため互いの溶着は一般に良好である。ところで、滑り軸受72と第二の被覆層76との溶着がうまくいかないことが考えられる。この場合でも、滑り軸受72と第二の被覆層76とは何れも熱可塑性エラストマーに比べて硬質であり、成形後に第二の被覆層76が径方向内側に収縮して滑り軸受72に密着する。これにより、滑り軸受72と第二の被覆層76との互いの摩擦力により、第二の被覆層76が滑り軸受72に固定される。
図9は、第5実施形態に係る被覆層付き滑り軸受100の断面図である。
図9に示すように、被覆層付き滑り軸受100は、第1実施形態の第一の被覆層14を第一の被覆層104に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の被覆層付き滑り軸受10と同様である。第一の被覆層104は、第1実施形態の被覆外周面18を被覆外周面106に代えたものである。
被覆外周面106は、第1端部106aと、第2端部106bとを有する。第1端部106aは、第1被覆側面104aと被覆外周面106とが交差する端部である。第2端部106bは、第2被覆側面104bと被覆外周面106とが交差する端部である。被覆外周面106は、第1端部106aから第2端部106bまで外径が漸次小さくなるように湾曲状に形成されている。被覆外周面106は、外径が漸次小さくなるように直線状に形成してもよい。
これにより、滑り軸受12の外周面17に第一の被覆層104をインサート成形した後、被覆外周面106からバリを除去する後加工を不要にできる。
図10は、本発明の変形例に係る軸受の断面図である。
図10に示すように、ゲート径D1が大きいゲートG2から充填する熱可塑性エラストマーで被覆層付き滑り軸受30の第一の被覆層34を成形することも可能である。
ゲートG2は、被覆層付き滑り軸受30の径方向において、第一の被覆層34の肉厚寸法T2よりゲート径D1が大きく開口されている。さらに、ゲートG2は、第二の被覆層36と第一の被覆層34との両方に軸線方向で重なるように配置されている。
ゲートG2から金型の内部(キャビティ)に熱可塑性エラストマーが充填されることにより、第二の被覆層36の被覆外周部51に第一の被覆層34がインサート成形される。
さらに、第二の被覆層36の被覆外周部51に大きな圧力で熱可塑性エラストマーを充填することができる。これにより、第二の被覆層36と第一の被覆層34との両層の密着力を高めることができる。
前記第1実施形態〜前記第5実施形態では、被覆層14,34,36,66,64,76,74,104の幅寸法を滑り軸受12の幅寸法と同一に設定した例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、被覆層14,34,36,66,64,76,74,104の幅寸法を滑り軸受12より小さく設定してもよい。以下、被覆層14,34,36,66,64,76,74,104を「被覆層14…」と略記する。
被覆層14…の幅寸法を小さくすることにより、被覆層14…を成形する材料の使用量を削減でき、被覆層14…の外周面の接触面積を減らすことにより音(ノイズ)の低減を図ることができる。
10,30,60,70,100…被覆層付き滑り軸受
12,32,62,72…滑り軸受
14,34,64,74,104…第一の被覆層
16,41,81…軸受面
17,82…外周面
36,66,76…第二の被覆層
42…外周部(外周面)
43…軸受凸部(凸部)
91…被覆外周部(外周面)
92…被覆凸部(凸部)
Claims (7)
- 円筒状に形成された軸受面を有する滑り軸受と、
前記滑り軸受の外周面に熱可塑性エラストマーが射出成形された第一の被覆層と、
を備えることを特徴とする被覆層付き滑り軸受。 - 前記滑り軸受は、
ポリカーボネート、ABS樹脂、あるいは、ポリカーボネート、ABS樹脂のアロイ材のプラスチックで形成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の被覆層付き滑り軸受。 - 前記滑り軸受の外周面と第一の被覆層との間に介在された第二の被覆層を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の被覆層付き滑り軸受。 - 前記第二の被覆層は、
前記滑り軸受よりも軟らかい材料で形成され、
前記第一の被覆層は、
前記第二の被覆層よりも硬い材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の被覆層付き滑り軸受。 - 前記第一の被覆層が形成される前記滑り軸受および前記第二の被覆層の一方の外周面には、軸方向の中央で、径方向外側に膨出する凸部を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の被覆層付き滑り軸受。
- 前記第一の被覆層は、ゲートから充填される熱可塑性エラストマーで形成され、
前記ゲートは、前記第一の被覆層の肉厚寸法より大きな開口に形成され、前記第一の被覆層と前記第二の被覆層との両方に軸線方向で重なるように配置されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の被覆層付き滑り軸受。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被覆層付き滑り軸受を備えたことを特徴とする駆動モジュール。
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