ところで、上記特許文献に記載の操作装置においては、被操作部がケース部材における開口部の上方に配置されており、被操作部がどの位置に配置されていても、つまり、排水口が開状態であっても閉状態であっても、被操作部の下部とケース部材との間に、排水の流路となる隙間が形成されるようになっている。従って、見栄えの低下を招いてしまうおそれがある。
また、上記のように被操作部を押圧することで伝達体が所定方向に動作し、被操作部を引くことで伝達体が戻り方向に動作するように構成した場合には、排水口の開閉状態により被操作部の操作方向が変化するため、操作性が低下してしまう可能性がある。さらに、被操作部を引くためには、被操作部に突起状のツマミなどを設ける必要であるが、ツマミなどを設ければ、排水口を開状態及び閉状態としたときの双方において、被操作部が槽体などの設置対象から出っ張ることになってしまい、見栄えや使い勝手、安全性の低下を招いてしまうおそれがある。また、排水口を開状態又は閉状態としたとき、被操作部はその往復移動方向に沿って位置が変動するだけであり、被操作部の状態から排水口の開閉状態を把握することは難しく、この点も使い勝手の低下を生じさせる要因となり得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、見栄えや使い勝手の向上等を図りつつ、良好な操作性を実現することができる操作装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋を遠隔操作するための操作装置であって、
前記槽体又は前記槽体の近傍に設けられた構造物の取付孔に挿設された筒状のケース部材と、
前記ケース部材の開口部に配置されるとともに、回動可能に軸支され、かつ、自身の回動に伴い前記開口部から突出可能な突出移動部及び自身の回動に伴い前記ケース部材内に没入可能な没入移動部を有する被操作部と、
前記被操作部の回動による駆動力を前記栓蓋側へと伝達する伝達体とを備え、
前記被操作部は、前記排水口が開状態及び閉状態のうちの一方であるときに自身の表面が前記ケース部材の端面とほぼ面一となった状態で前記ケース部材の開口部を閉鎖するように配置される一方、前記排水口が開状態及び閉状態のうちの他方であるときに前記突出移動部が前記開口部から突出するとともに前記没入移動部が前記ケース部材内に没入した状態で配置されるように構成され、
前記排水口が開状態及び閉状態のうちの一方であり前記被操作部の表面及び前記ケース部材の端面をほぼ面一としている状態では、前記没入移動部に押圧力を加えることで、この押圧力により前記伝達体が動作して前記排水口が開状態及び閉状態のうちの他方となり、前記排水口が開状態及び閉状態のうちの他方であり前記突出移動部が前記開口部から突出するとともに前記没入移動部が前記ケース部材内に没入している状態では、前記突出移動部に押圧力を加えることで、この押圧力により前記伝達体が動作して前記排水口が開状態及び閉状態のうちの一方となるように構成されていることを特徴とする操作装置。
尚、「ほぼ面一」とあるのは、厳密な面一のみを意味するものではなく、若干(例えば、5mm以下)の凹凸が存在する場合も含むという趣旨である。従って、例えば、ケース部材の端面から被操作部の表面にかけて若干の段差があってもよいし、被操作部の表面に若干の突起や窪みがあってもよい。
上記手段1によれば、排水口を開状態又は閉状態としたときに、被操作部の表面がケース部材の端面とほぼ面一となるように構成されている。従って、被操作部が邪魔となりにくくなり、使用者にとっての使い勝手を高めることができる。加えて、排水口を開状態及び閉状態の一方としたときには、被操作部などがほぼ面一となる一方、排水口を開状態及び閉状態の他方としたときには、突出移動部が開口部から突出するとともに没入移動部がケース部材内に没入した状態となる。すなわち、上記手段1によれば、排水口の開閉状態に応じて、被操作部の状態が大きく変動する。これにより、被操作部の状態から排水口の開閉状態を把握することが容易となり、使い勝手を一層高めることができる。
また、被操作部の表面がケース部材の端面とほぼ面一となることで、被操作部に対して手などが引っ掛かりにくくなり、安全性の向上を図ることができる。さらに、被操作部及びケース部材をほぼ面一とした状態において、ケース部材及び被操作部は、外観上非常にまとまりの良い状態となり、見栄えを良好なものとすることができる。
尚、被操作部の表面とケース部材の端面とをほぼ面一とすることは、排水口が槽体を使用する際における一般的な通常状態となったときになされることが好ましい。ここで、槽体が例えば洗面ボール(洗面器)や流し台などである場合では、使用時に、基本的に排水口は開状態とされるため、排水口が開状態であるときが通常状態である。一方、槽体が例えば浴槽などである場合には、使用時に、基本的に排水口は閉状態とされるため、排水口が閉状態であるときが通常状態である。従って、槽体が洗面ボールや流し台などである場合には、排水口が開状態であるときに、被操作部の表面とケース部材の端面とをほぼ面一とすることが好ましく、槽体が浴槽などである場合には、排水口が閉状態であるときに、被操作部の表面とケース部材の端面とをほぼ面一とすることが好ましい。但し、槽体が浴槽であっても、後述する手段2のようにオーバーフロー口などが設けられる場合には、排水口が閉状態であるときに、被操作部の表面とケース部材の端面とがほぼ面一となるように構成してもよい。
さらに、上記手段1によれば、被操作部を引くことなく、常に押圧することによって、排水口を開閉することができる。従って、良好な操作性を実現することができる。
併せて、上記手段1における操作装置は、被操作部を回動させることで栓蓋の操作を行うものである。そのため、被操作部を往復移動させることで栓蓋の操作を行う従来の操作装置とは全く異なる新鮮な操作感を使用者に与えることができる。
尚、上記手段1によれば、排水口を閉状態から開状態に切換えるとき、及び、排水口を開状態から閉状態に切換えるときの双方において、被操作部の押圧により伝達体を動作させ排水口を開閉させることができる。従って、伝達体を戻り方向に動作させるための戻り力付与部(例えば、ばね部材など)を不要とすることも可能である。戻り力付与部をなくした場合には、製造コストの低減を図ることができる。また、戻り力付与部の存在によって操作時に大きな押圧力が必要になるといったこともないため、操作性を一層向上させることができる。
手段2.前記取付孔は、前記槽体に設けられたオーバーフロー口であり、
前記ケース部材には、筒状のオーバーフロー管が接続されており、
前記被操作部は、前記排水口が開状態であるときに自身の表面が前記ケース部材の端面とほぼ面一となった状態で前記ケース部材の開口部を閉鎖するように配置される一方、前記排水口が閉状態であるときに前記突出移動部が前記開口部から突出するとともに前記没入移動部が前記ケース部材内に没入した状態で配置されるように構成され、
前記排水口が開状態であるときには前記没入移動部に押圧力を加えることで、この押圧力により前記伝達体が動作して前記排水口が閉状態となり、前記排水口が閉状態であるときには前記突出移動部に押圧力を加えることで、この押圧力により前記伝達体が動作して前記排水口が開状態となるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の操作装置。
上述した特許文献(特開2011−174346号公報)にあるような操作装置においては、排水口が開状態であっても閉状態であっても、被操作部の下部とケース部材との間に、排水の流路となる隙間が形成される。そのため、排水口側において泡が発生した場合に、オーバーフロー管を上ってきた泡が前記隙間から溢れ出てしまうといった事態が生じ得る。従って、衛生性や快適性が損なわれてしまうおそれがある。
この点、上記手段2によれば、被操作部は、排水口が開状態であるときに、つまり、排水口側から排水が行われるときに、ケース部材の開口部を閉鎖するように配置される。従って、オーバーフロー管を泡が上がってきたとしても、被操作部の存在によって、ケース部材の開口部からの泡の溢れ出しをより確実に防止することができる。その結果、衛生性や快適性の向上を図ることができる。
さらに、上記手段2によれば、排水口を閉状態から開状態に切換える場合〔つまり、栓蓋を持ち上げるために、被操作部の操作に比較的大きな押圧力が必要となる場合(尚、槽体に水が溜まっているときには特に大きな押圧力が必要となる)〕には、ケース部材から突出した突出移動部を押せばよいため、被操作部に対し十分な押圧力を容易に加えることができる。一方、排水口が開状態であるときには、被操作部の表面がケース部材の端面とほぼ面一となった状態となるため、ケース部材から突出した状態にある突出移動部を押圧する場合と比較して、没入移動部の押圧はやや行いにくくなる。しかし、排水口を開状態から閉状態に切換える場合には、栓蓋を下げるだけでよいため、排水口を閉状態から開状態へと切換える場合と比較して、切換に要する押圧力は低くて済む。そのため、被操作部の押圧を容易に行うことができる。すなわち、上記手段2によれば、比較的大きな押圧力が必要となる、排水口を閉状態から開状態へと切換えるときには、突出状態にある突出移動部を操作対象とすることで、被操作部に対し十分な押圧力を容易に印加可能とし、一方、比較的小さな押圧力で済む、排水口を開状態から閉状態へと切換えるときには、没入移動部を操作対象とすることで、押圧操作がやや行いにくい状態であっても被操作部を容易に押圧可能としている。従って、上記手段2によれば、被操作部を常に押圧によって操作することができる点と相俟って、被操作部の操作を極めて容易に行うことができる。その結果、非常に良好な操作性を得ることができる。
手段3.前記被操作部を一方側へと回動させて前記排水口を開状態としたときの前記被操作部の配置位置を開放対応位置とし、前記被操作部側を他方側へと回動させて前記排水口を閉状態としたときの前記被操作部の配置位置を閉鎖対応位置としたとき、
前記開放対応位置から当該開放対応位置よりも手前の所定位置までの間に前記被操作部が配置されている状態では、当該被操作部を前記一方側へと回動させる方向のアシスト力を当該被操作部へと付与する一方、前記閉鎖対応位置から当該閉鎖対応位置よりも手前の所定位置までの間に前記被操作部が配置されている状態では、当該被操作部を前記他方側へと回動させる方向のアシスト力を当該被操作部へと付与するように構成されたアシスト力付与部を有することを特徴とする手段1又は2に記載の操作装置。
尚、「アシスト力付与部」は、例えば、一端が固定されるとともに、他端が被操作部の回動に連動して回動する回動部の外周側に固定され、自身の伸縮力により前記回動部に対しこれを回動させる方向の力を加えるばね部材を備えたものを挙げることができる。この「アシスト力付与部」は、被操作部の回動に伴いばね部材が自身の一端を中心として前記回動部の回動軸を跨るようにして旋回移動可能とされ、ばね部材が前記回動部の回動軸を越えた位置にあるか否かにより、ばね部材から回動部ひいては被操作部に加わる力の向きが変化するように構成される。
また、「アシスト力付与部」として、ばね部材及びカムを備えた機構や、マグネットを備えた機構などを用いることとしてもよい。マグネットを備えた機構としては、開放対応位置から当該開放対応位置よりも手前の所定位置までの間に被操作部が配置されているときに、当該被操作部を一方側へと回動させる方向の引き力を生じさせる第一マグネットと、閉鎖対応位置から当該閉鎖対応位置よりも手前の所定位置までの間に被操作部が配置されているときに、当該被操作部を他方側へと回動させる方向の引き力を生じさせる第二マグネットとを備えたものなどを挙げることができる。
上記手段3によれば、アシスト力付与部から加えられるアシスト力によって、被操作部を開放対応位置又は閉鎖対応位置へと容易に移動させることができる。例えば、被操作部及びケース部材がほぼ面一とされた状態では、没入移動部を押したときに、軽い力で没入移動部をケース部材内に吸い込まれるように移動させることができる。一方、突出移動部が突出した状態では、突出移動部を押したときに、軽い力で突出移動部をケース部材内に吸い込まれるように移動させることができる。そして、被操作部が容易に移動可能となることで、排水口の開閉状態も容易に切換えることができる。これにより、操作性を一段と向上させることができる。
また、アシスト力によって、被操作部を閉鎖対応位置又は開放対応位置に対しより確実に配置させ続けることができ、ひいては排水口を開状態又は閉状態でより確実に維持することができる。これにより、例えば、排水口を開状態としている場合に、水圧等により栓蓋が意図せず下動して排水口が閉鎖されてしまうといった事態をより確実に防止できる。
尚、被操作部を開放対応位置へと移動させるとき、及び、被操作部を閉鎖対応位置へと移動させるときの双方において、被操作部に加わるアシスト力が均等なものとなるように構成してもよいし、被操作部を開放対応位置へと移動させるときのアシスト力と、被操作部を閉鎖対応位置へと移動させるときのアシスト力とが異なるものとなるように構成してもよい。例えば、被操作部を開放対応位置に移動させる場合と、被操作部を閉鎖対応位置に移動させる場合とで操作のしやすさに差があるときに、操作の行いにくい方の場合に、被操作部に加わるアシスト力がより大きくなるように構成し、操作性の更なる向上を図ることとしてもよい。尚、通常、突出移動部が突出している場合は、突出移動部を押圧しやすいため操作を行いやすく、被操作部及びケース部材がほぼ面一となっている場合は、没入移動部をケース部材内へと押し込むことになるため若干操作を行いにくい。そのため、没入移動部をケース部材内へと押し込む場合に、より大きなアシスト力が加わるように構成してもよい。
手段4.前記突出移動部が前記開口部から突出した状態においては、前記突出移動部の裏側部分と前記ケース部材との間を通って、前記ケース部材内へと排水が流入可能に構成されており、
前記突出移動部は、使用者から見て前記没入移動部よりも先方又は下方に位置するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の操作装置。
上記手段4によれば、突出移動部がケース部材から突出した状態においては、突出移動部の裏側部分とケース部材との間を通って水がケース部材内へと流れ込みやすくなる。ここで、突出移動部やケース部材における水の流路となる部分には、通水による汚れが付着してしまいやすく、この汚れの付着した部分が使用者から見えやすいと、見栄えが低下してしまうおそれがある。
この点、上記手段4によれば、突出移動部は、使用者から見て没入移動部よりも先方(奥)又は下方に位置するように構成されている。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分が見えにくくなり、見栄えをより良好なものとすることができる。特に突出移動部が使用者から見て没入移動部よりも下方に位置するように構成した場合には、被操作部によって汚れの付着しやすい部分が隠れた状態となる。つまり、被操作部が目隠し用の部材として効果的に機能することとなる。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分がより見えにくくなり、その結果、見栄えを一層良好なものとすることができる。
尚、上記手段4においては、突出移動部が開口部から突出した状態において、突出移動部の裏側部分とケース部材との間に開口が形成されるように構成してもよいし、前記開口に対応して網目状などの通水可能な部分が設けられるように構成してもよい。
手段5.前記取付孔は、前記槽体に設けられたオーバーフロー口であり、
前記ケース部材には、筒状のオーバーフロー管が接続されており、
前記オーバーフロー管及び前記ケース部材のうち水平方向又は水平方向に対し斜め方向に延びる部位である横延部の上面部には、所定の貫通孔が形成されており、
前記伝達体は、
前記貫通孔に配置されるとともに、自身の中心軸を回動軸として回動可能に構成された伝達軸部と、
前記横延部の内側において前記被操作部及び前記伝達軸部間に介在され、前記被操作部が押圧されたときに前記伝達軸部を回動させるように構成されたリンク部とを有することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の操作装置。
尚、上記手段2及び上記手段5にて規定されるオーバーフロー口及びオーバーフロー管は、それぞれ同じものを指している。従って、例えば、上記手段2を引用する手段5は、オーバーフロー口やオーバーフロー管がそれぞれ複数あることを規定するものではない。
上記手段5によれば、伝達体は伝達軸部を有しており、当該伝達軸部が貫通孔に配置されている。すなわち、伝達体は、貫通孔を通ってケース部材やオーバーフロー管の内部から外部へと出るように構成されている。従って、伝達体等(例えば、伝達体自体や伝達体を覆うチューブ部材など)に対する異物や汚れの付着を効果的に抑制することができ、衛生性を一段と向上させることができる。
一方、オーバーフロー管やケース部材に貫通孔を形成する場合には、貫通孔を通った漏水が懸念されるが、上記手段5によれば、貫通孔は、横延部の上面部に形成されている。すなわち、貫通孔は、オーバーフロー管やケース部材のうち排水の最も到達しにくい部位に形成されている。従って、漏水の発生をより確実に防止することができる。
手段6.前記伝達体のうち前記横延部の内部に位置する部位は、前記横延部の中心軸よりも上方に配置されていることを特徴とする手段5に記載の操作装置。
上記手段6によれば、伝達体のうち横延部の内部に位置する部位は、横延部の内部空間のうち主に排水の流れることとなる下方側の空間よりも上方に配置されることとなる。これにより、伝達体の存在による排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、良好な排水性能を実現することができる。
手段7.前記伝達体は、
前記被操作部の回動に伴い前記被操作部の回動軸と同一の又は平行な回動軸にて回動するとともに、自身の外周に自身の回動軸を中心とする円弧状をなす溝状の収容部を具備してなる連動部と、
自身の端部が前記収容部に配置され、前記連動部の回動に伴い往復移動する伝達部材とを備え、
前記被操作部の回動に伴い前記連動部が回動することで、前記伝達部材のうち前記収容部に配置されている部位が前記連動部の回動軸を中心として円弧運動するように構成され、
前記連動部側に位置する開口が前記収容部を向くとともに、少なくとも前記連動部側に位置する部位が前記連動部の回動方向の接線方向に沿って延びる孔部を有し、かつ、当該孔部に対し前記伝達部材のうち前記収容部から出た部分が挿通されたガイド部を有することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の操作装置。
尚、「溝状」とあるのは、連動部の回動軸を含み、かつ、収容部を通過する断面において、連動部のうち収容部を形成する部位(面)が、断面略U字状や断面略コの字状である場合のみならず、断面略L字状である場合も含む。
上記手段7によれば、連動部の外周には、連動部の回動軸を中心とする円弧状をなす収容部が設けられており、当該収容部に伝達部材の端部が配置されている。また、ガイド部の孔部は、連動部側の開口が収容部を向き、かつ、連動部側に位置する部位(伝達部材の入口に対応する部分)が連動部の回動方向の接線方向に沿って延びた状態とされている。そのため、伝達部材のうち収容部から出た部分を孔部へと挿通させた状態において、伝達部材のうち収容部から出た部分は屈曲することなく直線状となる。さらに、ガイド部の内周(孔部を形成する部位)に対し伝達部材が強く圧接されてしまうといった事態が生じにくくなる。これらの結果、伝達部材の破損防止をより確実に図りつつ、伝達部材をスムーズに移動させることができ、より良好な操作性を得ることができる。
さらに、孔部(特に、伝達部材の出口に対応する部分)の延びる方向に関しては、適宜変更することができる。従って、孔部の延びる方向を変更することにより、伝達部材の向きを自由に変更することが可能となり、伝達部材の向きに関する設定の自由度を向上させることができる。また、伝達部材の向きを調節することで、槽体や構造物における操作装置の設置スペース(奥行)が比較的小さい場合であっても、操作装置を取付けることが可能となる。従って、操作装置の設置自由度を高めることができる。
手段8.前記伝達体は、
前記被操作部の回動に伴い前記被操作部の回動軸と同一の回動軸にて回動する第一歯車部と、
前記第一歯車部に噛合され、前記連動部の回動軸と同一の回動軸にて回動可能な第二歯車部とを備え、
前記被操作部の回動に伴い前記第一歯車部が回動することで、前記第二歯車部及び前記連動部が回動し、前記伝達部材のうち前記収容部に配置されている部位が前記連動部の回動軸を中心として円弧運動するように構成されていることを特徴とする手段7に記載の操作装置。
上記手段8によれば、第一歯車部及び第二歯車部の歯車比を調節することで、被操作部を回動させるために必要な押圧力や、被操作部を操作した際の伝達部材の移動量を調節することができる。従って、例えば、被操作部をより小さな力で回動可能とすることによって、操作性の更なる向上を図ることが可能となる。また、例えば、被操作部の回動量(回動角度)が小さくても伝達部材が十分に移動可能となるように構成することができる。
手段9.前記突出移動部は、その裏側に異物を捕集可能なヘアキャッチャー部を備えることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の操作装置。
上記手段9によれば、突出移動部に設けられたヘアキャッチャー部によって、排水に含まれるゴミや毛髪等の異物を捕集することができ、衛生性をより一層高めることができる。
尚、ヘアキャッチャー部は突出移動部の裏側にあるため、突出移動部がケース部材から突出した状態であっても視認しにくくなり、また、被操作部とケース部材とがほぼ面一となった状態では、通常視認不能となる。そのため、ヘアキャッチャー部を設けたことによる見栄えの低下をより確実に防止することができる。
手段10.前記被操作部の表面と前記ケース部材の端面とがほぼ面一であるときに、前記ケース部材と前記被操作部との間における隙間がほとんどなくなるように構成されていることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の操作装置。
尚、「隙間がほとんどなくなる」とあるのは、ケース部材と被操作部との間の隙間が、最も広い部分であっても1mm以下とされている状態ということができる。
上記手段10によれば、被操作部の表面とケース部材の端面とがほぼ面一であるとき、つまり、ケース部材の開口部が被操作部により閉鎖された状態であるときにおいて、使用者は、ケース部材の内側をほぼ視認できないこととなる。従って、見栄えをより一層向上させることができる。また、上記手段2の構成を採用した場合には、ケース部材の開口部からの泡の溢れ出しを一層確実に防止することができ、衛生性や快適性を効果的に高めることができる。
手段11.前記被操作部における前記没入移動部の表面には、押圧することで前記被操作部が回動することとなる部分を示す目印部が設けられることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の操作装置。
上記手段1等の操作装置は、被操作部の表面とケース部材の端面とがほぼ面一であるときに、ケース部材の内周に被操作部が配置された外観となり、被操作部が往復移動するタイプの操作装置と似たような外観を呈することがあり得る。従って、使用者は、排水口の状態を切換えるために、被操作部の表面を単に押圧すればよいと考えてしまう可能性がある。このように考えた上で、使用者が被操作部の表面を押圧したときに、押圧位置が没入移動部でないと、被操作部が適正に動作しないこととなる。
この点、上記手段11によれば、目印部の存在により、排水口の状態を切換えるときに、被操作部のどの位置を押せばよいかを使用者に容易に認識させることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と高めることができる。また、操作方法が分からない場合、使用者は、被操作部が適正に動作しない原因が押圧力の不足であると考え、より大きな力で被操作部を押圧してしまうといった事態が生じ得るが、上記手段11によれば、操作方法が分かりやすくなるため、このような事態を生じにくくすることができる。これにより、誤った操作による不具合(例えば、装置の故障など)の発生を効果的に抑制することができる。
尚、突出移動部が突出状態であるときには、使用者は、排水口の状態を切換えるときに、被操作部におけるどの位置を操作すればよいのかを容易に理解することができる。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、操作装置1は、槽体としての洗面ボール100に取付けられている。洗面ボール100は、底面を構成する底壁部101と、当該底壁部101の外側に立設された周壁部102とを備えている。また、底壁部101には、排水口103が貫通形成されており、周壁部102の上側には、取付孔としてのオーバーフロー口104が貫通形成されている。本実施形態において、オーバーフロー口104は、正面側(洗面ボール100の貯水空間側)から見て矩形状をなしている。
まず、操作装置1の説明に先立って、排水口103に対応して設けられた排水栓装置110について説明する。
排水栓装置110は、排水口103を開閉する機能と、洗面ボール100からの排水を下流側に流すための流路としての機能とを備えている。排水栓装置110は、排水口103に挿設された円筒状の排水口部材111と、当該排水口部材111に螺合され、排水口部材111の上端部に設けられた鍔状部分との間で底壁部101を挟む込む状態とされた排水管112とを備えている。また、排水管112には、鉛直方向に沿って延びる本体管112Aと、当該本体管112Aから枝分かれした状態で延びる、それぞれ円筒状の取付管112B及び接続管112Cとが設けられている。
取付管112Bには、本体管112A内に突出する突起状の支持部113Aを有してなる円柱状の栓蓋側駆動部113が収容されている。栓蓋側駆動部113は、後述する伝達部材43から加えられた駆動力により回動するものであり、回動に伴い支持部113Aが上下動する。また、接続管112Cには、円筒状の連結管7の端部が接続されている。
さらに、本体管112A内には、栓蓋ユニット114が配置されている。栓蓋ユニット114は、本体管112Aの中心に配置される支持軸114Aを有しており、当該支持軸114Aの下端部には、支持部113Aの鉛直上方に配置された円環状の通水部材114Bが設けられている。そして、支持部113Aの上下動に伴い通水部材114Bが上下動することで、栓蓋ユニット114が上下動するようになっている。
また、支持軸114Aの上端部には、栓蓋114Cが設けられている。栓蓋114Cは、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成されたパッキン部114Dを自身の背面の外周側に備えている。そして、栓蓋ユニット114の上動に伴い、パッキン部114Dが底壁部101から離間することで、排水口103が開状態とされる。一方、栓蓋ユニット114の下動に伴い、パッキン部114Dの外周部分全域が底壁部101に接触することで、排水口103が閉状態とされる(図12参照)。
次いで、操作装置1について説明する。操作装置1は、栓蓋114Cを遠隔操作することで排水口103を開閉するために用いられるものである。操作装置1は、ケース部材2と、オーバーフロー管3と、伝達体4と、アシスト力付与部5と、被操作部6とを備えている。
ケース部材2は、オーバーフロー口104に挿設されており、図2〜6に示すように、全体として矩形筒状をなしている。ケース部材2は、矩形筒状をなし水平方向に対し若干だけ傾斜した状態の本体部21と、当該本体部21の一端部(洗面ボール100の貯水空間側の端部)において外側に突出形成されたフランジ部22と、本体部21の他端部において内向きに突出形成された内向突部23(図4参照)とを備えている。内向突部23は、本体部21の中心軸を対称に2つ設けられており、各内向突部23には、本体部21の中心軸方向に沿って延びる挿通孔24(図4参照)がそれぞれ形成されている。
さらに、ケース部材2(本体部21)の一端部開口は、洗面ボール100における貯水空間側に開口する開口部25となっている。洗面ボール100内の水は、開口部25を通ってケース部材2内へと流入可能となっている。
加えて、ケース部材2は、自身の上面部内周から下方に向けて突出し、本体部21内に位置する円柱状の上側軸部26A(図4,5参照)と、自身の下面部内周から上方に向けて突出し、上側軸部26Aと対向する円柱状の下側軸部26Bとを備えている。両軸部26A,26Bは、被操作部6を回動可能な状態で軸支するためのものである。両軸部26A,26Bは、洗面ボール100の貯水空間側から開口部25を見たとき、開口部25におけるその幅方向に沿った中心に対応する位置に設けられている。
また、ケース部材2は、洗面ボール100の貯水空間側に位置する端面27を備えている。端面27は、ケース部材2の内周面一端からフランジ部22の外周縁にかけて形成されており、正面視矩形状となっている。尚、本実施形態において、端面27は、周壁部102から若干突出した状態となっている(図1参照)が、例えば端面27を周壁部102に設けた凹部に配置することで、端面27が周壁部102から突出しないように構成してもよい。この場合、見栄えや安全性、使い勝手の向上を図ることができる。
オーバーフロー管3は、連結管7と接続されており(図1参照)、主として開口部25を通ってケース部材2内に流入した水を連結管7内へと案内する機能を有する。尚、連結管7は、円筒状をなしており、比較的柔軟な樹脂材料などにより形成されている。ケース部材2内に流入した水は、オーバーフロー管3及び連結管7を通って排水管112へと案内される。
オーバーフロー管3は、本体部21と同軸状であり、水平方向に対し若干だけ傾斜した方向に延びる第一管部31と、当該第一管部31の他端側下部から下方に向けて延びる第二管部32とを備えている。本実施形態では、本体部21及び第一管部31によって、水平方向に対し斜め方向に延びる横延部91が構成されている。
第一管部31は、本体部21よりも一回り大きな矩形筒状をなしており、自身の内側に自身の軸方向に延びるねじ穴33(図4参照)を2つ有している。そして、オーバーフロー口104を通してケース部材2を第一管部31へと挿通しつつ、所定の雄ねじ81(図4参照)を前記挿通孔24を通して前記ねじ穴33へと螺合し、フランジ部22及び第一管部31の一端面により周壁部102を挟み込むことで、ケース部材2に対しオーバーフロー管3が接続されるとともに、両者が洗面ボール100に取付けられた状態となっている。
尚、第一管部31の一端面と周壁部102との間には、弾性変形可能な環状のシール部材82(図1参照)が設けられている。当該シール部材82によって、洗面ボール100とケース部材2及びオーバーフロー管3との間からの漏水防止が図られている。
さらに、横延部91(オーバーフロー管3)の上面部の外側には、アシスト力付与部5及び伝達体4の後述する回動部41Aを収容するとともに、後述するチューブ部材45の一端部を取付けるための収容取付部92が設けられている。収容取付部92は、上方に向けて突出した突起からなり、当該突起で画された内部領域が平面視したときに大小の矩形を並べた形状をなすものとされた、アシスト力付与部5及び回動部41Aを収容するための動作部収容部92Aと、動作部収容部92Aにおける小さい方の矩形状の内部領域に隣接して設けられ、チューブ部材45の一端部を嵌合して保持するためのチューブ取付部92Bとを備えている。
加えて、横延部91の上面部であって動作部収容部92A内の所定位置には、横延部91(オーバーフロー管3)を上下に貫通する貫通孔93(図5参照)が設けられている。
また、収容取付部92の上部を塞ぐようにして蓋部94が設けられている(図2参照。図3,5,6等では不図示)。蓋部94は、例えばスナップフィットなどにより収容取付部92へと係止されることで取付けられており、蓋部94によって、アシスト力付与部5やチューブ部材45の一端部が脱落することなく保持されるようになっている。
伝達体4は、被操作部6の回動による駆動力を栓蓋114C側へと伝達するものである。伝達体4は、伝達軸部41、リンク部42及び伝達部材43を備えている(特に図4〜6参照)。
伝達軸部41は、前記貫通孔93に配置されており、横延部91(オーバーフロー管3)に対し、自身の中心軸を回動軸として相対回動可能に構成されている。伝達軸部41の上端部には、外側に向けて突出する回動部41Aが設けられており、当該回動部41Aが横延部91(オーバーフロー管3)の上面部に対し載置された状態となっている。これにより、伝達軸部41は、横延部91によって回動可能な状態で支持されている。
また、回動部41Aは、自身の回動軸よりも外側に、伝達部材43の一端部を接続するための被接続部41Bを有している。被接続部41Bは、二股状をなしており、伝達部材43の一端部に設けられた球状の被保持部分を挟み込むようにして保持することで、回動部41A及び伝達部材43を接続する。
さらに、伝達軸部41における貫通孔93に挿通される部位の外周には、弾性変形可能な環状のシール部材83(図5参照)が設けられている。当該シール部材83によって、伝達軸部41及び横延部91(オーバーフロー管3)間からの漏水防止が図られている。
リンク部42は、横延部91の内側に設けられ、被操作部6及び伝達軸部41間に介在されており、被操作部6が押圧されて回動したときに伝達軸部41を回動させるためのものである。リンク部42は、旋回アーム部42A及びアーム受け部42Bを備えている(図4及び図5参照)。
旋回アーム部42Aは、被操作部6の裏面のうち、被操作部6の幅方向端縁と被操作部6の回動軸との間に位置する部位から横延部91の内部に向けて延びている。旋回アーム部42Aの先端部には、上方に突出する円柱部分が設けられている。
アーム受け部42Bは、伝達軸部41の外周において伝達軸部41に対し相対回動不能な状態で設けられており、旋回アーム部42Aの先端部(前記円柱部分)が配置される窪み部分を有している。そして、被操作部6の回動に伴い旋回アーム部42Aが旋回移動することで、アーム受け部42Bが回動し、ひいては伝達軸部41が回動するようになっている。
尚、伝達軸部41におけるアーム受け部42Bよりも下方の部位の外周には、所定のCリング44が嵌め込まれている。当該Cリング44によって、伝達軸部41からのアーム受け部42Bの抜け落ちが防止されている。
さらに、伝達軸部41のうち横延部91内に位置する部位、リンク部42及びCリング44は、それぞれ横延部91の中心軸CL1よりも上方に配置されている(図5参照)。すなわち、伝達体4のうち横延部91内に位置する部位は、前記中心軸CL1よりも上方に配置されている。
伝達部材43は、ワイヤー状をなし、例えば、金属線からなるより線などにより構成されている。伝達部材43の一端部は、上記の通り、回動部41Aに接続されており、回動部41Aの回動に伴い、回動部41Aの回動軸CL2(図5,6参照)を中心とする円の接線にほぼ沿った方向に往復移動可能となっている。また、伝達部材43のうちその両端部を除いた大部分は、長尺筒状をなすチューブ部材45の内周に挿通されている。伝達部材43は、チューブ部材45に対し往復移動可能とされている。
尚、チューブ部材45の一端部には、鍔状のフレア部分が設けられており、当該フレア部分がチューブ取付部92Bに嵌合されることで、チューブ部材45の一端部が収容取付部92に取付けられている。一方、チューブ部材45の他端部は、排水栓装置110(例えば、取付管112B)に取付けられている。これにより、チューブ部材45によって、伝達部材43が操作装置1側から排水栓装置110側へと案内された状態となっている。
アシスト力付与部5は、動作部収容部92A内に配置されており、所定の金属線が螺旋状に巻回されてなるばね部材により構成されている。アシスト力付与部5の一端部は、横延部91(オーバーフロー管3)に固定されている。一方、アシスト力付与部5の他端部は、アシスト力付与部5の一端から見て、回動部41Aの外周側部位のうち前記回動軸CL2よりも奥に位置する部位に固定されている。
アシスト力付与部5は、自然長よりも延びた状態で設けられており、回動部41Aが回動したときに、自身の一端を中心として回動部41Aの回動軸CL2を跨るようにして旋回移動する(図6,11参照)。そして、アシスト力付与部5の中心軸が回動軸CL2上に位置していない状態である限り、アシスト力付与部5にて生じる引張力により、回動部41Aに対し当該回動部41Aを回動させる方向の力が加わるようになっている。このとき、アシスト力付与部5から回動部41Aに加わる力の向きは、アシスト力付与部5が回動軸CL2を越えた位置にあるか否かにより変化するようになっている。
さらに、本実施形態では、アシスト力付与部5の他端の旋回範囲における中心CPとアシスト力付与部5の一端(旋回中心)とを結ぶ仮想線VLを取ったとき、当該仮想線VLが回動軸CL2からずれた位置に存在するように、アシスト力付与部5等の配置位置が設定されている。そして、本実施形態では、排水口103を閉状態(図11の状態)としたときにおける回動軸CL2に対するアシスト力付与部5の中心軸のずれ量が、排水口103を開状態(図6の状態)としたときにおける回動軸CL2に対するアシスト力付与部5の中心軸のずれ量よりも大きくなるように設定されている。
被操作部6は、正面視矩形状をなしており、排水口103を開閉する際に使用者によって操作される部位である。尚、本実施形態において、被操作部6及び旋回アーム部42Aは、1の部材により構成されている。
被操作部6は、開口部25に配置されるとともに、ケース部材2の奥側に向けて突出する挟持部61(図4参照)を備えており、当該挟持部61によって前記両軸部26A,26Bを挟持した状態となっている。これにより、被操作部6は、前記両軸部26A,26Bを回動中心として、回動可能に軸支されている。
また、被操作部6は、自身の回動に伴い開口部25から突出する突出移動部62と、自身の回動に伴いケース部材2内に没入可能な没入移動部63とを備えている。突出移動部62の裏側における外縁部には、ケース部材2内に向けて延びる壁部64(図4,7等参照)が設けられている。
加えて、被操作部6における没入移動部63の表面には、押圧することで被操作部6が回動することとなる部分を示す目印部65が設けられている。本実施形態において、目印部65は、微小な窪みにより構成されている。
さらに、突出移動部62又は没入移動部63を押圧することで、被操作部6を回動させることができ、ひいては排水口103を開閉することができるようになっている。
具体的には、被操作部6は、排水口103が閉状態であるときに、突出移動部62が開口部25から突出するとともに没入移動部63がケース部材2内に没入した状態で配置されている(図7〜12参照)。この状態において、突出移動部62を押圧し、被操作部6を一方側へと回動させることで、リンク部42が動作して伝達軸部41が一方側に回動し、ひいては伝達部材43が往動する。これにより、栓蓋側駆動部113が回動し、支持部113Aが上動することで、栓蓋ユニット114が上動する。そして、パッキン部114Dが底壁部101から離間することで、排水口103が開状態される。
一方、被操作部6は、排水口103が開状態であるときに、自身の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となった状態で開口部25を閉鎖するように配置される(図2〜6参照)。この状態においては、没入移動部63を押圧し、被操作部6を他方側へと回動させることで、リンク部42が動作して回動部41Aが他方側に回動し、ひいては伝達部材43が復動する。これにより、栓蓋側駆動部113が回動し、支持部113Aが下動することで、栓蓋ユニット114が下動する。そして、パッキン部114Dが底壁部101に接触することで、排水口103が閉状態とされる。
尚、排水口103が閉状態となり、突出移動部62が開口部25から突出した状態では、突出移動部62の裏側部分とケース部材2との間を通って、ケース部材2内へと排水が流入可能となる。但し、壁部64によって、通常、排水の流路を視認することは困難である。
一方、排水口103が開状態となり、被操作部6の表面及びケース部材2の端面27をほぼ面一とした状態では、ケース部材2及び被操作部6との間における隙間がほとんどなくなる(隙間が1mm以下となる)ように構成されている。尚、見栄えの向上などの面では、隙間の大きさが小さいほど好ましい。従って、隙間の大きさを0.5mm以下とすることがより好ましく、隙間の大きさを0.3mm以下とすることがより一層好ましく、ケース部材2及び被操作部6の間に隙間が存在しないように構成することが最も好ましい。
さらに、突出移動部62が突出した状態の被操作部6を一方側に回動させて排水口103を開状態としたときの被操作部6の配置位置を開放対応位置(図2〜6にて示す位置)とし、ケース部材2とほぼ面一となった状態の被操作部6を他方側へと回動させて排水口103を閉状態としたときの被操作部6の配置位置を閉鎖対応位置(図7〜11にて示す位置)とする。
このとき、前記開放対応位置から当該開放対応位置よりも手前の所定位置までの間に被操作部6が配置されている状態では、アシスト力付与部5が回動軸CL2を越えない位置(図6にて示す位置)に配置されるため、回動部41Aに対し一方側に向けた方向(図6の太線の矢印にて示す方向)の力が加わる。その結果、排水口103を閉状態から開状態へと切換えるべく、突出移動部62を押圧するときには、被操作部6を一方側へと回動させる方向(排水口103を閉状態から開状態へと切換える際における被操作部6の回動方向)のアシスト力が被操作部6へと付与される。
一方、前記閉鎖対応位置から当該閉鎖対応位置よりも手前の所定位置までの間に被操作部6が配置されている状態では、アシスト力付与部5が回動軸CL2を越えた位置(図11にて示す位置)に配置されるため、アシスト力付与部5から回動部41Aに加わる力の向きが反転する。そのため、回動部41Aに対し他方側に向けた方向(図11の太線の矢印にて示す方向)の力が加わる。その結果、排水口103を開状態から閉状態へと切換えるべく、没入移動部63を押圧するときには、被操作部6を他方側へと回動させる方向(排水口103を開状態から閉状態へと切換える際における被操作部6の回動方向)のアシスト力が被操作部6へと付与される。
尚、本実施形態では、上記の通り、排水口103を閉状態としたときにおける回動軸CL2に対するアシスト力付与部5の中心軸のずれ量が、排水口103を開状態としたときにおける回動軸CL2に対するアシスト力付与部5の中心軸のずれ量よりも大きくなるように設定されている。そのため、没入移動部63押圧して被操作部6を他方側へと回動させるときには、突出移動部62を押圧して被操作部6を一方側へと回動させるときと比較して、より大きなアシスト力がより早い段階で加わるようになっている。
また、アシスト力付与部5から加わる力は、排水口103を閉状態又は開状態としているときに、被操作部6の移動を抑制するロック力として働く。
以上詳述したように、本実施形態によれば、排水口103を開状態としたときに、被操作部6の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となるように構成されている。従って、被操作部6が邪魔となりにくくなり、使用者にとっての使い勝手を高めることができる。加えて、排水口103を開状態としたときには、被操作部6などがほぼ面一となる一方、排水口103を閉状態としたときには、突出移動部62が開口部25から突出するとともに没入移動部63がケース部材2内に没入した状態となる。すなわち、排水口103の開閉状態に応じて、被操作部6の状態が大きく変動する。これにより、被操作部6の状態から排水口103の開閉状態を把握することが容易となり、使い勝手を一層高めることができる。
また、被操作部6の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となることで、被操作部6に対して手などが引っ掛かりにくくなり、安全性の向上を図ることができる。さらに、被操作部6及びケース部材2をほぼ面一とした状態において、ケース部材2及び被操作部6は、外観上非常にまとまりの良い状態となり、見栄えを良好なものとすることができる。
さらに、被操作部6を引くことなく、常に押圧することによって、排水口103を開閉することができる。従って、良好な操作性を実現することができる。
併せて、被操作部6を回動させることで栓蓋114Cの操作を行うものであるため、被操作部を往復移動させることで栓蓋114Cの操作を行う従来の操作装置とは全く異なる新鮮な操作感を使用者に与えることができる。
また、排水口103を閉状態から開状態に切換えるとき、及び、排水口103を開状態から閉状態に切換えるときの双方において、被操作部6の押圧により伝達体4を動作させ排水口103を開閉させることができる。従って、伝達体4を戻り方向に動作させるための戻り力付与部(例えば、ばね部材など)が不要となり、製造コストの低減を図ることができる。また、戻り力付与部の存在によって操作時に大きな押圧力が必要になるといったこともないため、操作性を一層向上させることができる。
さらに、被操作部6は、排水口103が開状態であるときに、つまり、排水口103側から排水が行われるときに、ケース部材2の開口部25を閉鎖するように配置される。従って、排水口103側において泡が発生し、この泡がオーバーフロー管3を上がってきたとしても、被操作部6の存在によって、開口部25からの泡の溢れ出しをより確実に防止することができる。その結果、衛生性や快適性の向上を図ることができる。
加えて、本実施形態では、排水口103を閉状態から開状態に切換える場合〔つまり、栓蓋114Cを持ち上げるために、被操作部6の操作に比較的大きな押圧力が必要となる場合(尚、洗面ボール100に水が溜まっているときには特に大きな押圧力が必要となる)〕には、ケース部材2から突出した突出移動部62を押せばよいため、被操作部6に対し十分な押圧力を容易に加えることができる。一方、排水口103が開状態であるときには、被操作部6の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となった状態となるため、ケース部材2から突出した状態にある突出移動部62を押圧する場合と比較して、没入移動部63の押圧はやや行いにくくなる。しかし、排水口103を開状態から閉状態に切換える場合には、栓蓋114Cを下げるだけでよいため、排水口103を閉状態から開状態へと切換える場合と比較して、切換に要する押圧力は低くて済む。そのため、被操作部6の押圧を容易に行うことができる。このように本実施形態によれば、比較的大きな押圧力が必要となる、排水口103を閉状態から開状態へと切換えるときには、突出状態にある突出移動部62を操作対象とすることで、被操作部6に対し十分な押圧力を容易に印加することができ、一方、比較的小さな押圧力で済む、排水口103を開状態から閉状態へと切換えるときには、没入移動部63を操作対象とすることで、押圧操作がやや行いにくい状態であっても被操作部6を容易に押圧することができる。従って、被操作部6を常に押圧によって操作することができる点と相俟って、被操作部6の操作を非常に容易に行うことができる。その結果、非常に良好な操作性を得ることができる。
併せて、アシスト力付与部5から加えられるアシスト力によって、被操作部6を開放対応位置又は閉鎖対応位置へと容易に移動させることができる。具体的には、被操作部6及びケース部材2がほぼ面一とされた状態では、没入移動部63を押したときに、軽い力で没入移動部63をケース部材2内に吸い込まれるように移動させることができる。一方、突出移動部62が突出した状態では、突出移動部62を押したときに、軽い力で突出移動部62をケース部材2内に吸い込まれるように移動させることができる。そして、被操作部6が容易に移動可能となることで、排水口103の開閉状態も容易に切換えることができる。これにより、操作性を一段と向上させることができる。
また、特に本実施形態では、没入移動部63をケース部材2内へと押し込む場合に、より大きなアシスト力がより早い段階で加わるように構成されている。すなわち、没入移動部63をケース部材2内へと押し込む操作は、突出移動部62を押圧する操作と比べてやや行いにくいが、このような操作を行いにくい場合に、より大きなアシスト力が被操作部6へと付与されるようになっている。従って、操作性の更なる向上を図ることができる。
さらに、アシスト力(ロック力)によって、被操作部6を閉鎖対応位置又は開放対応位置に対しより確実に配置させ続けることができ、ひいては排水口103を開状態又は閉状態でより確実に維持することができる。これにより、例えば、排水口103を開状態としている場合に、水圧等により栓蓋114Cが意図せず下動して排水口103が閉鎖されてしまうといった事態をより確実に防止できる。
加えて、伝達体4は、貫通孔93を通って横延部91の内部から外部へと出るように構成されている。従って、伝達部材43やチューブ部材45に対する異物や汚れの付着を効果的に抑制することができ、衛生性を一段と向上させることができる。
一方、横延部91に貫通孔93を形成した場合には、貫通孔93を通った漏水が懸念される。この点、貫通孔93は、横延部91の上面部、すなわち、横延部91のうち排水の最も到達しにくい部位に形成されている。従って、漏水の発生をより確実に防止することができる。
併せて、伝達体4のうち横延部91の内部に位置する部位は、横延部91の中心軸CL1よりも上方に配置されている。つまり、伝達体4のうち横延部91の内部に位置する部位は、横延部91の内部空間のうち主に排水の流れることとなる下方側の空間よりも上方に配置されている。これにより、伝達体4の存在による排水の流れ阻害を生じにくくすることができ、良好な排水性能を実現することができる。
また、被操作部6の表面とケース部材2の端面27とがほぼ面一であるとき、ケース部材2と被操作部6との間における隙間がほとんどなくなるように構成されている。従って、開口部25が被操作部6により閉鎖された状態であるときにおいて、使用者は、ケース部材2の内側をほぼ視認できないこととなる。従って、見栄えをより一層向上させることができる。また、開口部25からの泡の溢れ出しを一層確実に防止することができ、衛生性や快適性を効果的に高めることができる。
さらに、目印部65の存在により、排水口103の状態を切換えるときに、被操作部6のどの位置を押せばよいかを使用者に容易に認識させることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と高めることができる。また、操作方法が分からない場合、使用者は、被操作部6が適正に動作しない原因が押圧力の不足であると考え、より大きな力で被操作部6を押圧してしまうといった事態が生じ得るが、目印部65を設けることで操作方法が分かりやすくなるため、このような事態を生じにくくすることができる。これにより、誤った操作による不具合(例えば、装置の故障など)の発生を効果的に抑制することができる。
尚、突出移動部62が突出状態であるときには、使用者は、排水口103の状態を切換えるときに、被操作部6におけるどの位置を操作すればよいのかを容易に理解することができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。まず、上記第1実施形態の操作装置1において、被操作部6は正面視矩形状をなしている。これに対し、図13〜17に示すように、本第2実施形態の操作装置121において、被操作部126は正面視円形状をなしている。また、被操作部126の形状に合わせて、本第2実施形態におけるケース部材122は円筒状をなしており、オーバーフロー管123はほぼ直角に屈曲する円筒状をなしている。さらに、ケース部材122の開口部1225は正面視円形状とされている。
また、上記第1実施形態において、被操作部6の回動軸はほぼ鉛直方向に延びるものであり、被操作部6を回動させたときに、正面から見て被操作部6の左右部分が出没するように構成されている。これに対し、本第2実施形態では、被操作部126の回動軸は水平方向に延びるものとされており、被操作部126を回動させたときに、正面から見て被操作部126の上下部分が出没するように構成されている。より詳しくは、被操作部126における下側部分が突出移動部1262とされ、被操作部126における上側部分が没入移動部1263とされている。これにより、突出移動部1262は、使用者から見て、没入移動部1263よりも下方に位置した状態とされている。
また、本第2実施形態において、没入移動部1263には、3つの小さな突起からなる目印部1265が設けられている。
一方、突出移動部1262の裏側には、異物を捕集可能なヘアキャッチャー部1266が設けられている。尚、本第2実施形態において、ヘアキャッチャー部1266は、複数の棒状部分が平行に配置された形状とされているが、異物を捕集可能である限り、ヘアキャッチャー部の形状は特に限定されるものではない。
さらに、本第2実施形態における伝達体124は、図15及び図17に示すように、伝達部材43を有するという点で上記第1実施形態における伝達体4と共通するが、その構成や配置位置は伝達体4と大きく相違する。そこで次に、本第2実施形態の伝達体124について説明する。
伝達体124は、第一歯車部1241及び連動部1243を備えている。
第一歯車部1241は、被操作部126の裏面に設けられており、被操作部126の回動に伴い被操作部126の回動軸と同一の回動軸にて回動する。
連動部1243は、ケース部材122内に配置され、被操作部126の回動軸と同一又は平行な回動軸(本実施形態では、被操作部126の回動軸と平行な回動軸)にて回動可能な状態で設けられている。連動部1243は、第二歯車部1242及び収容部1243Aを有している。
第二歯車部1242は、第一歯車部1241に噛合されており、被操作部126の回動に伴い連動部1243の回動軸と同一の回動軸にて回動する。第二歯車部1242が回動することで、連動部1243が回動する。
また、収容部1243Aは、連動部1243の回動軸を基準として、第二歯車部1242とは反対側の位置に設けられている。収容部1243Aは、連動部1243の外周に設けられた溝により構成されており、連動部1243の回動軸を中心とする円弧状をなしている。そして、収容部1243Aに対し伝達部材43の一端部が配置されており、被操作部126の回動に伴い連動部1243が回動したときには、伝達部材43のうち収容部1243Aに収容されている部位が、連動部1243の回動軸を中心として円弧運動する。
尚、本実施形態において、連動部1243の回動軸を含み、かつ、収容部1243Aを通過する断面において、連動部1243のうち収容部1243Aを形成する部位(面)は、略U字状とされているが、収容部1243Aの形状は適宜変更可能である。例えば、収容部1243Aを断面略コの字状としてもよいし、断面略L字状としてもよい。
さらに、連動部1243は、ケース部材122内に設けられたガイド部131によって、回動可能な状態で保持されている。ガイド部131には、連動部1243の回動軸を中心とした円弧状をなすガイド面1311が設けられており、伝達部材43は、連動部1243の回動時にガイド面1311に沿って移動する。
さらに、ガイド部131は、収容部1243A側を向く開口を備えるとともに、少なくとも連動部1243側に位置する部位(伝達部材43の入口に対応する部分)が、連動部1243の回動方向の接線方向に沿って延びる孔部1312を具備している。そして、当該孔部1312に対し伝達部材43のうち収容部1243Aから出た部位が配置されている。孔部1312は、伝達部材43のうち収容部1243Aから出た部位の向きを所定の狙いの向きに設定するために設けられており、本実施形態における孔部1312は鉛直方向又は鉛直方向に対し若干斜めの方向に延びるように構成されている。これにより、伝達部材43は、鉛直下方又は斜め鉛直下方に向けて案内され、その結果、オーバーフロー管123内に配置された状態となっている。
以上、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、見栄えや使い勝手の向上などを図りつつ、良好な操作性を実現することができる。
また、本第2実施形態によれば、孔部1312によって伝達部材43のうち収容部1243Aから出た部分を屈曲させることなく直線状とすることができる。さらに、ガイド部131の内周(孔部1312を形成する部位)に対し伝達部材43が強く圧接されてしまうといった事態を生じにくくすることができる。これらの結果、伝達部材43の破損防止をより確実に図りつつ、伝達部材43をスムーズに移動させることができ、より良好な操作性を得ることができる。
さらに、孔部1312(特に伝達部材43の出口に対応する部分)の延びる方向に関しては、適宜変更することができる。従って、孔部1312の延びる方向を変更することにより、伝達部材43の向きを自由に変更することが可能となり、伝達部材43の向きに関する設定の自由度を向上させることができる。また、伝達部材43の向きを調節することで、操作装置121の設置スペース(奥行)が比較的小さい場合であっても、操作装置121を取付けることが可能となる。従って、操作装置121の設置自由度を高めることができる。
加えて、第一歯車部1241及び第二歯車部1242の歯車比を調節することで、被操作部126を回動させるために必要な押圧力や、被操作部126を操作した際の伝達部材43の移動量を調節することができる。従って、例えば、被操作部126をより小さな力で回動可能とすることによって、操作性の更なる向上を図ることが可能となる。また、例えば、被操作部126の回動量(回動角度)が小さくても伝達部材43が十分に移動可能となるように構成することができる。
ところで、本第2実施形態では、突出移動部1262が突出したときには、突出移動部1262の裏側とケース部材122との間を通ってケース部材122内へと水が流入可能となるが、突出移動部1262やケース部材122における水の流入に対応する部位に汚れが付着しやすくなる。この点、本第2実施形態の突出移動部1262は、使用者から見て没入移動部1263よりも下方に位置するように構成されている。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分が見えにくくなり、見栄えをより良好なものとすることができる。特に本第2本実施形態では、板状の被操作部126が目隠し用の部材として効果的に機能し、被操作部126によって汚れの付着しやすい部分を隠した状態とすることができる。その結果、使用者から汚れの付着しやすい部分がより見えにくくなり、見栄えを一層良好なものとすることができる。
さらに、突出移動部1262に設けられたヘアキャッチャー部1266によって、排水に含まれるゴミや毛髪等の異物を捕集することができ、衛生性をより一層高めることができる。
加えて、ヘアキャッチャー部1266は突出移動部1262の裏側に設けられている。そのため、突出移動部1262がケース部材122から突出した状態であってもヘアキャッチャー部1266を視認しにくくすることができ、また、被操作部126とケース部材122とがほぼ面一となった状態では、通常、ヘアキャッチャー部1266を視認不能とすることができる。これにより、ヘアキャッチャー部1266を設けたことによる見栄えの低下をより確実に防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、槽体として洗面ボール100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面ボールに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などに対し本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
(b)図18に示すように、槽体としての洗面器200の周壁部202のうち、使用者(通常、使用者は周壁部202における正面周壁部202Tの手前に位置する)から見て右側に位置する右側周壁部202R及び左側に位置する左側周壁部202L(本例では、右側周壁部202R)に対応して、操作装置1を設けることとしてもよい。そして、この場合において、突出移動部62を、使用者から見て没入移動部63よりも先方(奥)に位置するように構成してもよい。このように構成することで、突出移動部を使用者から見て没入移動部よりも下方に位置するようにした場合と同様に、使用者から汚れの付着しやすい部分がより見えにくくなり、その結果、見栄えを一層良好なものとすることができる。
(c)上記第1実施形態において、ケース部材2はオーバーフロー口104に挿設されており、操作装置1はオーバーフロー口104に対応して設けられている。これに対し、例えば、槽体に対し設けられたオーバーフロー口以外の取付孔にケース部材2を挿設し、この取付孔に対応して操作装置1を設けることとしてもよい。また、槽体の近傍に設けられた構造物(例えば、洗面ボール近傍に設けられたカウンタや流し台のカウンタ、浴槽の周壁部を覆うようにして設けられたエプロン、槽体の周壁部の上端から外側に延びるフランジ部分など)に取付孔を設けるとともに、当該取付孔にケース部材2を挿設し、この取付孔に対応して操作装置1を設けることとしてもよい。
(d)上記第1実施形態において、被操作部6は、排水口103が開状態であるときに自身の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となった状態で開口部25を閉鎖するように配置され、排水口103が閉状態であるときに突出移動部62が開口部25から突出するとともに没入移動部63がケース部材2内に没入した状態で配置されるように構成されている。これに対し、被操作部6が、排水口103を閉状態としたときに自身の表面がケース部材2の端面27とほぼ面一となった状態で開口部25を閉鎖するように配置され、排水口103を開状態としたときに突出移動部62が開口部25から突出するとともに没入移動部63がケース部材2内に没入した状態で配置されるように構成してもよい。
尚、排水口の状態が、槽体を使用する際における一般的な通常状態となったときに、被操作部6の表面とケース部材2の端面27とがほぼ面一となるように構成することが好ましい。従って、槽体が例えば洗面ボール(洗面器)や流し台などである場合では、使用時に、基本的に排水口は開状態とされるため、排水口が開状態であるときが通常状態である。そのため、槽体が洗面ボールや流し台などである場合には、排水口が開状態であるときに、被操作部6の表面とケース部材2の端面27とがほぼ面一となるように構成することが好ましい。
一方、槽体が例えば浴槽であり、操作装置1がオーバーフロー口以外の取付孔に対応して設けられる場合には、使用時に、基本的に排水口は閉状態とされるため、排水口が閉状態であるときが通常状態であるといえる。従って、槽体が浴槽であり、操作装置1がオーバーフロー口以外の取付孔に対応して設けられる場合には、排水口が閉状態であるときに、被操作部6の表面とケース部材2の端面27とがほぼ面一となるように構成することが好ましい。
(e)上記第1実施形態では、没入移動部63に押圧力を加えることで、排水口103が開状態から閉状態へと切換えられるように構成されているが、没入移動部63に押圧力を加えることで、排水口103が閉状態から開状態へと切換えられように構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、突出移動部62に押圧力を加えることで、排水口103が閉状態から開状態へと切換えられるように構成されているが、突出移動部62に押圧力を加えることで、排水口103が開状態から閉状態へと切換えられるように構成してもよい。
(f)上記第1実施形態において、横延部91は、水平方向に対し斜め方向に延びているが、横延部を水平方向に延びるように構成してもよい。
(g)上記第1実施形態では、横延部91のオーバーフロー管3に対し貫通孔93が形成されているが、横延部91のケース部材2に対し貫通孔を設けてもよいし、ケース部材2及びオーバーフロー管3の重なり部分に対し両者を貫通するようにして貫通孔を設けてもよい。
(h)上記第1実施形態において、アシスト力付与部5はばね部材により構成されているが、アシスト力付与部をその他の構成により実現してもよい。例えば、ばね部材及びカムを備えた機構や、マグネットを備えた機構によりアシスト力付与部を構成してもよい。
(i)上記実施形態において、被操作部6,126は、正面視矩形状又は正面視円形状とされているが、被操作部の形状はこれらに限定されるものではない。従って、例えば、被操作部を正面視多角形状や正面視楕円形状などとしてもよい。
(j)上記実施形態では、栓蓋114C(パッキン部114D)が底壁部101に接触することで排水口103が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋114C(パッキン部114D)が排水口部材111に接触することで排水口103が閉鎖されるように構成してもよい。
(k)上記実施形態において、栓蓋114Cは、支持部113Aを備えた栓蓋側駆動部113の回動動作により上下動するように構成されているが、栓蓋114Cを上下動させるための機構は適宜変更してもよい。従って、支持軸114Aの下方に配置され、伝達部材43の往復運動に伴い上下動する棒状の支持部を備えた機構を用いてもよい。
(l)上記実施形態において、目印部65,1265は窪み又は突起により形成されているが、目印部は、外観上目印と認識可能なものであればよく、その構成は上記実施形態で挙げたものに限定されない。従って、例えば、目印部を被操作部6の表面に付したマークや文字によって構成してもよい。