JP2018178046A - 不燃性建材及び不燃断熱性建材 - Google Patents
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Abstract
Description
建築物には、様々な断熱材や耐火材が使用されている。断熱材としては、断熱効果が高く軽量で作業性が良い樹脂発泡体であるポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、およびフェノールフォーム等、コスト的に安価なグラスウールやロックウールなどの無機系の繊維状集合体等が使われている。発泡樹脂は有機物のため火災を発生すると燃焼し、しばしば延焼による被害拡大の原因となり、その対策を施すことが望まれている。
解決策として、グラスウールやロックウール等の無機系の断熱材を使用することが挙げられる。しかし、無機系の断熱材の熱伝導率は有機系素材のフォームよりも高い傾向があり、断熱性の点で劣る場合がある。グラスウールやロックウール等は繊維状であるため、作業性の点で穿痛感を有するといった課題がある。
耐火材としては、一般的に強化セッコウボードが使用されている。強化セッコウボードは不燃性であるが、ボード密度が750〜950kg/m3と重いので作業性が悪く、熱伝導率は0.2〜0.3W/m・Kと大きくて断熱性は劣るという課題がある。
ウレタン樹脂発泡体の耐燃焼性を向上する技術としては、アルカリ金属炭酸塩、イソシアネート類、水及び反応触媒で発泡体を形成する断熱材料に関する技術(特許文献1)、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、及びアルミニウムからなる群より選ばれる金属の、水酸化物、酸化物、炭酸塩類、硫酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩類からなる群より選ばれる一種又は二種以上の無機化合物と水とイソシアネート類とからなる硬化性組成物で、主にトンネルの地盤改良用の注入材に関する技術(特許文献2)がある。これらの発明は、断熱性について明確化されていない。特に、アルカリ金属炭酸塩30%以上の水溶液とイソシアネート類を反応させ、多量の水を使用するために未反応の水が多量に残り、断熱材として使用するためには乾燥する必要があり、作業工程が多い。
カルシウムアルミネートを用いた耐火材料も提案されている。例えば、カルシウムアルミネート、セッコウ、及び凝結遅延剤を含有する耐火被覆材が知られている(特許文献6)。この技術は、木材や鉄骨表面を被覆し火災から保護する目的で使用する材料である。特許文献6は、中空構造を有する無機粉末、廃ガラス発泡体粉末について記載はない。特許文献6は、断熱効果についても記載していない。
耐熱骨材、軽量骨材、アルミナ系結合材、炭化珪素、及び補強繊維からなる不焼成耐火断熱材に関する技術が開示されており、軽量骨材としてシラスバルーン、アルミナ系結合材としてカルシウムアルミネートが記述されている(特許文献7)。この技術は、製鉄や製鋼で使用する高温領域の耐火断熱材に使用することを前提としており、通常環境下の断熱を目的とした用途ではない。特許文献7は、セッコウについて記載はない。カルシウムアルミネートとしてアルミナセメントを挙げている。アルミナセメントのCaO含有量は40質量%未満であり、本発明とは異なる。
セメント、骨材、急硬材、及び特定の乾燥収縮低減剤を含有してなり、急硬材がカルシウムアルミネート単独又はカルシウムアルミネートとセッコウであり、セメント100質量部に対してカルシウムアルミネート1〜20質量部であり、カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウが30〜300質量部であり、乾燥収縮低減剤がセメント100質量部に対して0.1〜10質量部である、モルタル組成物が開示されており、骨材として、セラミックバルーン、シラスバルーン、廃ガラスを原料とし焼成して製造した軽量骨材が記裁されている(特許文献9)。しかし、中空構造を有する無機粉末と廃ガラス発泡体粉末を特定量使用すること、不燃性、耐火性、および断熱材を有する建材として使用することについて記載はない。
二水セッコウの純度は、十分なエトリンガイト生成量を得る点で、90質量%以上が好ましい。
本発明の耐火断熱ボードは必要とする耐火仕様により、複数枚重ねて貼り付けてもよく、強化セッコウボードと併用して使用してもよい。
減圧含浸装置を図1に示す。減圧含浸装置は、減圧含浸装置(容器本体)1、減圧室2、減圧室と発泡樹脂成形体をセットする部分の仕切り板3、不織布4、発泡樹脂成形体5、不燃材スラリー6、トラップ容器7、真空ポンプ8から構成される。
発泡樹脂成形体(A1):市販されているポリスチレン発泡ビーズ(直径1〜5 mm)を成形機(株式会社ダイセン工業製:VS−500)に充填し、スチームにより加熱することにより、発泡ビーズ間に空隙を有する状態で発泡ビーズ同士を融着させ、発泡樹脂成形体を作製した。連続気泡率36.8体積%、密度10.5kg/m3、不燃材スラリー未充填の発泡樹脂成形体の熱伝導率0.033W/m・K
カルシウムアルミネート(CA1):CaO:43質量%、Al2O3:53質量%となるように調製し、電気炉で溶融・急冷した非晶質カルシウムアルミネート、ブレーン比表面積値6050cm2/g
カルシウムアルミネート(CA2):デンカ社製アルミナセメント1号、CaO:36質量%、ガラス化率90%以上
セッコウ1(CS1):ノリタケカンパニー社製二水セッコウ、商品名P52A、純度95質量%、平均粒子径40μm
セッコウ2(CS2):ノリタケカンパニー社製II型無水セッコウ、商品名D−101A、純度95質量%、平均粒子径20μm
無機粉末1(P1):アクシーズケミカル社製シラスバルーン、商品名:MSB−301、平均粒子径50μm
無機粉末2(P2):アクシーズケミカル社製シラスバルーン、商品名:ISM−F015、平均粒子径10μm
無機粉末3(P3):アクシーズケミカル社製シラスバルーン、商品名:MSB−5011、平均粒子径70μm
無機粉末4(P4):巴工業社製フライアッシュバルーン、商品名:セノライトSA 平均粒子径80μm
材料分離防止剤(B):クニミネ工業社製ベントナイト、商品名:クニゲルGS
水:水道水
表1に示すカルシウムアルミネート100質量部、表1に示す量のセッコウ、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して表1に示す量の中空構造を有する無機粉末(以下無機粉末をいうこともある)、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して表1に示す量の材料分離防止剤を混合することにより不燃材を調製した。水を不燃性建材100質量部に対して200質量部となるように、攪拌しながら少量ずつ加えた。全ての水を加えてから5分間攪拌し、不燃性建材スラリーを調製した。調製した不燃性建材スラリーを発泡樹脂成形体上面に流し込んだ。流し込んだ不燃性建材スラリーの容量は810cm3(連続気泡率に対して1.1倍の容量)である。
ブレーン比表面積値:JIS R5201に従い、測定した。
平均粒子径:レーザ回折式粒度分布計で測定した。機種は、LA−920(堀場製作所)を使用した。
結晶水量:不燃断熱材から20gをサンプリングし、アセトンで硬化体中の自由水と発泡体を溶解し、ろ過後、残渣物をアセトンで洗浄し、25℃の環境下、デシケータ中で48時間真空乾燥した。乾燥した物について、熱分析装置(昇温速度:10℃/分、空気中)により、100〜200℃の範囲の質量減少量を測定し、結晶水量を算出した。
不燃性:ISO 5660−1:2002に示されたコーンカロリーメータによる発熱試験に準拠して測定した。縦10cm×横10cm×厚さ5cmの不燃断熱材を試験体にした。この試験体を用いて、加熱時間が20分間の時の総発熱量が8MJ/m2以下であれば、不燃性を示すとした。
熱伝導率:縦10cm×横5cm×厚さ5cmの試験体を用いて迅速熱伝導率計(ボックス式プローブ法)で測定した。
形状保持性:不燃性試験後の試験体に亀裂、割れ、崩壊、収縮がない場合を○、そうでない場合を×とした。
廃ガラス発泡体粉末(G):DENNERT PORAVER GMBH社製廃ガラス発泡体粉末、商品名:Poraver(0.04〜0.125mm粒度品)、軟化点700〜750℃、平均粒子径90μm
凝結遅延剤(R):試薬1級 クエン酸ナトリウム
(測定方法)
ゲル化時間:温度25℃条件下で、不燃性建材スラリーを調製してから、ガラス棒で撹拌しても不燃性建材スラリーが流動化しなくなるまでの時間をゲル化時間とした。
発泡樹脂成形体A(A1〜A5):市販されているポリスチレン発泡ビーズ(直径1〜5 mm)を成形機(株式会社ダイセン工業製:VS−500)に充填し、スチームにより加熱することにより、発泡ビーズ間に空隙を有する状態で発泡ビーズ同士を融着させ、発泡樹脂成形体を作製した。連続気泡率は加熱温度、加熱時間、圧力を調整することにより制御した。不燃性建材スラリー未充填の発泡樹脂成形体の熱伝導率0.033W/m・K
連続気泡率:発泡樹脂成形体を、縦10cm×横10cm×厚さ5cmの外形寸法を有する試験片として切り出し、見かけ体積(Va)を求めた。この試験片を、温度23℃のエタノールの入ったメスシリンダー中に、金網等の道具を使用して沈めた。軽い振動等を加えることにより成形体中の空隙中に存在する空気を脱気する。そして、金網等の道具の体積を考慮して水位上昇分を読み取り、この試験片の真の体積(Vb)を測定する。試験片の見かけ体積(Va)と真の体積(Vb)から、次式により連続気泡率(V)を求めた。
連続気泡率V(体積%)=〔(Va−Vb)/Va〕×100
サイディングボード:ニチハ社製、モエンサイディング、厚さ14mm、窯業系
透湿防水シート:フクビ化学社製、スーパーエアテックスKD、ポリエチレン系
構造用合板:JAS規格品、特類、厚さ9mm、木質系
強化セッコウボード:吉野石膏社製、タイガーボードタイプZ、厚さ21mm
間柱:木材(杉)、サイズは図2参照
胴縁:木材(杉)、サイズは図2参照
図2に示すように、耐火構造体を耐火炉に設置し、加熱は外壁を模擬したサイディングボード側で行い、ガスバーナー(5基)から加炎し、ISO834に準拠した標準過熱曲線に従い、耐火構造体を1時間加熱した。その後、加熱を止めて、耐火炉に設置した状態を3時間維持した。耐火炉から耐火構造体を取り外し、加熱側のサイディングボードを剥がして燃焼状態を観察した。
2 減圧室
3 減圧室と発泡樹脂成形体をセットする部分の仕切り板
4 不織布
5 発泡樹脂成形体
6 不燃材スラリー
7 トラップ容器
8 真空ポンプ
Claims (14)
- (1)CaO含有量が40質量%以上のカルシウムアルミネート、(2)二水セッコウ、(3)平均粒子径が10〜100μmの中空構造を有する無機粉末、(4)材料分離防止剤を含有する不燃性建材であり、(2)の使用量が(1)100質量部に対して70〜250質量部であり、(3)の使用量が(1)と(2)の合計100質量部に対して0〜100質量部であり、(4)の使用量が(1)と(2)の合計100質量部に対して0.05〜25質量部である不燃性建材であり、発泡ポリスチレン樹脂からなる樹脂成形体への充填に用いる不燃性建材。
- (3)が、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、火山性堆積物の加熱発泡体からなる群の1種以上である請求項1記載の不燃性建材。
- 更に、(5)廃ガラス発泡体粉末を含有する請求項1又は2記載の不燃性建材。
- (5)の軟化点が800℃以下であり、(5)の平均粒子径が20〜130μmである請求項3記載の不燃性建材。
- 更に、(6)凝結遅延剤を含有する請求項1〜4のうちの1項記載の不燃性建材。
- 樹脂成形体に充填するのに使用する請求項1〜5のうちの1項記載の不燃性建材。
- 請求項1〜6のうちの1項記載の不燃性建材と水を含有する不燃性建材スラリー。
- 水の使用量が、不燃性建材100質量部に対して100〜300質量部である請求項7記載の不燃性建材スラリー。
- 樹脂成形体に請求項7又は8記載の不燃性建材スラリーを充填した不燃断熱性建材。
- 樹脂成形体が、連続気泡を有する請求項9記載の不燃断熱性建材。
- 連続気泡率が25〜70体積%である請求項10記載の不燃断熱性建材。
- 密度が150〜500kg/m3である請求項9〜11のうちの1項記載の不燃断熱性建材。
- 樹脂成形体に請求項7又は8記載の不燃性建材スラリーを充填することにより得られる不燃断熱性建材の製造方法。
- 請求項9〜12記載のうちの1項記載の不燃断熱性建材を用いて耐火性と断熱性を付与する耐火断熱方法。
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