JP2018177717A - 糖尿病用薬剤 - Google Patents
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Description
ごく数が限られているが、コンナルスルベの有用性に着目し、皮膚外用美白剤、化粧品としてコンナルスルベを配合したものがある。
糖尿病患者では食後・食間・空腹時、すなわち一日を通して健常人に比べ高血糖状態が存在するが、この一日を通しての高血糖状態は全体として、できるだけ是正されるべきである。
治療は、血糖値を下げることが中心に行われ、インスリン注射、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤などの血糖降下剤が臨床治療法として広く適用されている。
しかし、既存の血糖降下剤はそれぞれの血糖降下作用に特徴的なパターンがあり、一日を通じて異常な血糖上昇を抑制することはできない。たとえば、インスリンあるいはインスリン分泌促進剤は、投与した直後からしばらく効果が維持されるが、糖尿病患者のライフサイクルに伴う一日を通じての血糖変動パターンを完全に正常化することができず、結果として糖尿病性合併症の発症を完全には予防できないことが指摘されている。また、α−グルコシダーゼ阻害剤は食後高血糖改善剤として使用されているが、血糖降下作用は食後数時間たつと持続しにくい。その他の血糖降下剤は食事による血糖上昇を速やかに低下させる作用は期待できない。
そのため、複数の糖尿病用薬剤を組み合わせて服用して、終日にわたる血糖値をコントロールする治療方針が採られることが多い。
しかし、ここで、治療の現場で大きな副作用問題とされるのが、低血糖状態、つまり、一時的に血糖値が降下しすぎて低血糖状態に陥ってしまうことである。低血糖状態は、生命にとっては危険な状態であり、場合によっては意識混濁のうえ死亡してしまう事故にもつながりかねないものである。
患者が病院内に入院して、ICUなどで心電図や血圧値や血糖値を常にモニタしている状態であれば、血糖が変動して一時的に低血糖状態に陥った場合でも、糖分投与など即座に対応すれば問題はない。しかし、患者が一般の通常生活を送っていることも少なくなく、独りでいる場合に低血糖状態に陥れば、その発見が遅れてしまうこともあり得る。
このように、糖尿病に伴う諸疾患の治療に用いる薬剤の血糖値に与える副作用の有無に十分注意を払わなければならない。
糖化最終産物は一度生成されてしまうと分解されにくく、糖尿病をはじめとしたさまざまな病気の原因となるのみならず、それらが蓄積されると肌や髪、骨など全身の老化を進行させると考えられている。
現在、AGEsの生成を抑制する物質として、アミノグアニジンが知られている。アミノグアニジンにはタンパク質の糖化反応を阻害する効果が認められ、現在、このアミノグアニジンは抗糖尿病薬として臨床試験が行われている。
しかし、このアミノグアニジンは、人体にとって毒性が強いという副作用が大きく、人体への長期の使用が困難であるという問題がある。
発明者谷口泰造は、コンナルス抽出物を研究する中、コンナルス抽出物が上記の課題を解決するために有用であり、タンパク質と血糖との糖化物質産生を抑制する作用が得られ、かつ、血糖値への影響が小さく、他の血糖値降下剤と組み合わせが可能な糖尿病治療用の薬剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、マメモドキ科コンナルス属コンナルスルベの抽出物を含有する糖尿病用薬剤が提供される。
このように血糖値非降下の効用があるため、他の血糖値降下作用が認められる血糖値降下剤と組み合わせて服用することができる。
コンナルス抽出物は、ブラジルマナウス産のマメモドキ科コンナルス属コンナルスルベの原体を用いてから以下の方法で精製した。
コンナルス溶液は、コンナルス原体4gを80mLの水にて熱水抽出を行った後、コンナルス熱水抽出物40mLを0.4ミクロンフィルターでろ過したものを0.25%コンナルス溶液として得た。また、これをベースに希釈することで0.03%コンナルス溶液、0.15%コンナルス溶液も得て、これらを実験に使用した。
また、別途、コンナルス熱水抽出物80mLを作成し、それに凍結乾燥を行い、固形成分0.2gを得た。
コンナルス抽出物の糖尿病に対する効用を以下の試験で確認した。
評価はグリコアルブミン量を測定した。
人体の生体の代用として、高濃度糖負荷ラットを用いて試験を実施した。
高濃度糖負荷ラットは、日本クレアSDラットのオス15日齢を用いた。
2群(A群、B群)に分け、コントロール群(A群)5匹には56%スクロース含有Diet 2000を自由摂取の方法で投与し、コンナルス施用群(B群)4匹にはコンナルス固形成分0.2g/kgの割合で添加した56%スクロース含有Diet 2000を自由摂取の方法で投与し、血糖値および血中タンパクと糖の結合物であるグリコアルブミン値を測定した。
次に、血中タンパクとブドウ糖の結合に与える影響を見る。
図1(a)は、各群のグリコアルブミン値である。左側にはコントロール群(A群)、右側にはコンナルス施用群(B群)を示している。
図1(b)は、各群のグリコアルブミン値の平均値を算出して比較した図である。左側にはコントロール群(A群)、右側にはコンナルス施用群(B群)を示している。
図1(a)に示すように、各群のグリコアルブミン値については、固体によって値が異なるが、コントロール群のグリコアルブミン値が1.4程度になるが、その一方、コンナルス施用群のグリコアルブミン値が1.1〜1.2に減少している傾向が見える。図1(b)の平均値を見ると、コントロール群のマウスよりも、コンナルス群のマウスの方がグリコアルブミン値が有意に減少しているので、血中タンパクに関して血中での糖化を抑制する効果があることが確認できた。
図2(a)は、各群の血糖値(GLU:mg/dL)である。左側にはコントロール群(A群)、右側にはコンナルス施用群(B群)を示している。
図2(b)は、各群の血糖値(GLU:mg/dL)の平均値を算出して比較した図である。左側にはコントロール群(A群)、右側にはコンナルス施用群(B群)を示している。
図2(a)に示すように、各群の血糖値(GLU:mg/dL)については、固体によって大小が異なっているが、図2(b)の平均値を見ると、コントロール群のマウスよりも、コンナルス群のマウスの方が血糖値が大きな差はないが増加している傾向がみられる。そのため、血糖に関してコンナルス抽出物は血糖降下作用がないと言える。むしろ、血糖値非降下、つまり影響が無いまたは微上昇の効能があると言える。
このように、コンナルス抽出物が、糖尿病治療薬として、血中タンパクと糖の結合抑制のコントロールができ、かつ、血糖値の低下による低血糖状態を防止するという優れた効果効能が確認できた。この優れた効果効能は本発明で初めて得られたものである。
(使用した薬剤)
薬剤としての効果を確認するため、試験管内試験(in vitro)としてタンパクと糖の最終結合物の産生抑制試験を実行した。
実験に用いた材料として、タンパク質を模擬するコラーゲン溶液と緩衝液、血中の糖を模擬するグルコース溶液およびフルクトース溶液を用意した。投与する薬剤としては、コンナルス溶液と、比較対象としてのアミノグアニジン溶液を用いた。コンナルス溶液以外は抗糖化アッセイキット(コスモ・バイオAK70)付属のものを使用した。なお、コンナルス溶液は、上記したものと同様、コンナルス原体4gを80mLの水にて熱水抽出を行った後、40mLを0.4ミクロンフィルターでろ過し、0.25%コンナルス溶液として実験に使用した。
A1 0.000% (コントロール 緩衝液のみ)
A2 0.004% (アミノグアニジン溶液を緩衝液にて希釈)
A3 0.020% (アミノグアニジン溶液を緩衝液にて希釈)
A4 0.100% (アミノグアニジン溶液を緩衝液にて希釈)
A5 0.150% (アミノグアニジン溶液を緩衝液にて希釈)
投与試薬 コンナルス(重量/体積濃度)
C1 0.000% (コントロール 水のみ)
C2 0.006% (コンナルス溶液を水に希釈)
C3 0.020% (コンナルス溶液を水に希釈)
C4 0.150% (コンナルス溶液を水に希釈)
C5 0.250% (コンナルス溶液を使用)
実験方法としては、次の手順で行った。
1.コラーゲン250μLを1.5m試験管に入れ、37℃にて1日静置した。1日静置するとコラーゲンがゲル化する。
2.血糖として、グルコース(200mM)またはフルクトース(200mM)を250μL添加する。
3.投与試薬として、アミノグアニジン(A1〜A5)、コンナルス(C1からC5)50μLを添加した。
4.試験管を攪拌したのち、37℃にて23日静置する。
5.各サンプルについて、添加されていた投与試薬上清を取り除き、PBS溶液(pH7.4)で2 回洗浄する。
6.得られたサンプルについて、110℃で20時間、塩酸加水分解を行った。
7.サンプル溶液を回収して遠心濃縮機でドライアップし、水100μLに溶解する。
8.サンプルに安定同位体を添加し、3200QtrapLC/MS/MSシステムにて、3種類AGEsの生成量を測定した。
CMA(Carboxymethylarginine)
CML(Carboxymethyllysine)
CEL Carboxyethyllysine)
なお、CMAについては、Hydroxyproline(Hyp) 濃度およびArginine(Arg)濃度にて補正を行った。CML、CELについては、Hydroxyproline(Hyp) 濃度およびLysine(Lys)濃度にて測定値の補正を行った。
グルコースに対する投与試薬による産生抑制について示す。
図3は、グルコースに対する投与試薬により生成したCMA産生量を示す図である。
図3(a)はHyp補正後の濃度、図3(b)はArg補正後の濃度である。
左側にある比較対象であるアミノグアニジン群は、コントロールA1に対してA2〜A5はCMA産生量が抑制されている。右側にあるコンナルス群もコントロールC1に対してC2〜C5はCMA産生量が抑制されており、かつ、比較対象であるアミノグアニジンに比較して近い程度の効能が示されている。つまり、グルコースからのCMA産生抑制において、コンナルス溶液は、アミノグアニジンに匹敵する効果が得られている。
図4(a)はHyp補正後の濃度、図4(b)はArg補正後の濃度である。
左側にある比較対象であるアミノグアニジン群は、コントロールA1に対してA2〜A3はあまり産生量が抑制されていないが、A4からA5はCMA産生量が抑制されている。右側にあるコンナルス群はコントロールC1に対してC2〜C5はCMA産生量が抑制されており、かつ、比較対象であるアミノグアニジンに比較しても優れた効能が示されている。つまり、グルコースからのCML産生抑制において、コンナルス溶液は、アミノグアニジンよりも高い効果が得られている。
図5は、フルクトースに対する投与試薬により生成したCMA産生量を示す図である。
図5(a)はHyp補正後の濃度、図5(b)はArg補正後の濃度である。
左側にある比較対象であるアミノグアニジン群は、コントロールA1に対してA2〜A5はCMA産生量が抑制されている。右側にあるコンナルス群もコントロールC1に対してC2〜C5はCMA産生量が抑制されており、かつ、比較対象であるアミノグアニジンに比較して近い程度の効能が示されている。つまり、フルクトースからのCMA産生抑制において、コンナルス溶液は、アミノグアニジンに匹敵する効果が得られている。
図6(a)はHyp補正後の濃度、図6(b)はArg補正後の濃度である。
左側にある比較対象であるアミノグアニジン群は、コントロールA1に対してA2〜A5はCMA産生量が抑制されている。右側にあるコンナルス群はコントロールC1に対してC2〜C5はCMA産生量が抑制されており、かつ、比較対象であるアミノグアニジンに比較しても優れた効能が示されている。つまり、フルクトースからのCML産生抑制において、コンナルス溶液は、アミノグアニジンよりも高い効果が得られている。
図7(a)はHyp補正後の濃度、図7(b)はArg補正後の濃度である。
左側にある比較対象であるアミノグアニジン群は、コントロールA1に対してA2〜A5はCMA産生量が抑制されている。右側にあるコンナルス群はコントロールC1に対してC2〜C5はCMA産生量が抑制されており、比較対象であるアミノグアニジンに比較するとやや産生量は増えるが、近しい効能が示されている。つまり、フルクトースからのCEL産生抑制において、コンナルス溶液はアミノグアニジンに近い効果が得られている。
コントロールであるC1に比べて、C2〜C5はすべてCMA,CML,CEL産生抑制効果が得られている。
C2は、他のC3〜C5と比較して、グルコースからのCML産生量抑制、フルクトースからのCML産生量抑制、CEL産生量抑制に対して良い結果が得られている。
C3は、他のC2,C4,C5と比較しても全般的に良く、グルコースからのCMA産生量抑制、CML産生量抑制、フルクトースからのCMA産生量抑制、CML産生量抑制、CEL産生量抑制に対して良い結果が得られている。
C4は、他のC2,C3,C5と比較して、グルコースからのCMA産生量抑制、CML産生量抑制に対して良い結果が得られている。
C5は、他のC2〜C4と比較して、フルクトースからのCMA産生量抑制、CML産生量抑制、CEL産生量抑制に対して良い結果が得られている。
以上より、コンナルス溶液の濃度としてはC2〜C5いずれでも、つまり、0.006%〜0.25%の濃度において糖尿病用の薬剤として薬効が得られる。
さらに好ましくは、グルコースに対してはC2〜C4、つまり、0.006%〜0.15%の濃度であればより糖尿病用の薬剤として薬効が得られる。
また、好ましくは、フルクトースに対してはC3〜C5、つまり、0.02%〜0.25%の濃度であれば糖尿病用の薬剤として薬効が得られる。
コンナルス抽出物が、糖尿病治療薬として、血中タンパクと糖の結合抑制のコントロールができ、かつ、血糖値の低下による低血糖状態を防止するという優れた効果効能が確認できた。この優れた効果効能は本発明で初めて得られたものである。
コンナルスは、ブラジルマナウス産のマメモドキ科コンナルス属コンナルスルベを株式会社ファルマクリエ神戸が入手ルートを有しており、それらに含有されているコンナルス抽出物を精製して使用する。
ゲル剤は液剤をゲル状に固めたものである。ゲル化剤は、特に限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースのような変性セルロースや、カルボポールホモポリマーおよびコポリマーやそれらの組み合わせなどがある。溶媒としては、プロピレングリコールのようなアルケングリコールや、イソプロピルアルコールやエタノールのようなアルコールが含まれる。
丸薬、粉末薬は、経口用の基剤に含有せしめて薬剤とすることができる。経口用基剤としては、デキストリン、カラギーナン、寒天、プルラン、キサンタンガム、カリボキシメチルセルロース、コラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどがある。それらの組み合わせもあり得る。
食品に添加することも可能である。
有効成分であるコンナルス抽出物を食品中に配合せしめたタイプである。ゼリー、焼き菓子、ジュース、健康ドリンクなどに配合した食品として提供できる。
Claims (3)
- マメモドキ科コンナルス属コンナルスルベの抽出物を含有することを特徴とするタンパク質と血糖との最終結合物質の産生を抑制する糖尿病用薬剤。
- 血糖値に対して非降下の効用を備えたことを特徴とする請求項1に記載の糖尿病用薬剤。
- 他の血糖値降下作用が認められる血糖値降下剤と組み合わせて服用することを特徴とする請求項1または2に記載の糖尿病用薬剤。
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WO2022024385A1 (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-03 | 株式会社ファルマクリエ神戸 | 山椒またはコンナルスに由来する成分を含有する組成物 |
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JP2013107859A (ja) * | 2011-11-24 | 2013-06-06 | Nihon Kolmar Co Ltd | コンナルス抽出物を配合した皮膚外用化粧料 |
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WO2022024385A1 (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-03 | 株式会社ファルマクリエ神戸 | 山椒またはコンナルスに由来する成分を含有する組成物 |
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