JP2018174181A - 固体電解質キャパシタ、および、固体電解質キャパシタの製造方法 - Google Patents

固体電解質キャパシタ、および、固体電解質キャパシタの製造方法 Download PDF

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星児 一▲柳▼
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将任 岩崎
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大介 獅子原
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英昭 彦坂
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Abstract

【課題】高い温度での熱処理を実行することなく、安全でかつ高い直流比容量を有する固体電解質キャパシタを得る。【解決手段】複数の電極と電解質層を備える固体電解質キャパシタにおいて、電解質層を形成するイオン伝導体は、複数の酸化物系リチウムイオン伝導体粒子を備え、2つの酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の間に、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物のうち、少なくとも一つが存在する領域を有する。【選択図】図2

Description

本明細書によって開示される技術は、固体電解質キャパシタに関する。
近年、パソコンや携帯電話等の電子機器の普及、電気自動車の普及、太陽光や風力等の自然エネルギーの利用拡大等に伴い、高性能な高容量キャパシタの需要が高まっている。従来、固体キャパシタとしてMLCC(Multi-layered ceramic capacitor)構造のセラミックを用いた誘電体キャパシタが一般的であったが、容量が十分ではなかったため、有機電解液と電極とを接触させて容量を得る電気二重層キャパシタが利用されている。電気二重層キャパシタは、電極と電解質との界面に形成される電気二重層を利用するキャパシタとして知られている。そのため、電気二重層キャパシタは、上記のパソコンや電気自動車などの主電源が何らかの原因で遮断したとき、電気二重層キャパシタに予め蓄積しておいた電荷をバックアップ電源として使用できるように取り付けられる。そのため、電気二重層キャパシタは高速充電が可能であり、かつ高容量である特性が求められている。
上記従来の電気二重層キャパシタでは、高容量化が可能ではあるものの、有機電解液の漏えいや発火のおそれがあり、安全性の点で課題があった。そこで、近年、キャパシタがすべて固体材料で構成された固体キャパシタの活用が期待されている。なかでも、固体キャパシタとしては、例えば電極間に固体電解質を用いた固体電解質キャパシタが知られている(例えば、特許文献1)。固体電解質キャパシタは有機電解液の漏えいや発火のおそれがないため、安全であり、そのため外装を簡略化することができる。
固体電解質キャパシタの電解質層に用いる固体電解質としては、例えば、酸化物系リチウムイオン伝導体や硫化物系リチウムイオン伝導体が用いられる。酸化物系リチウムイオン伝導体は、1000℃程度の高温で熱処理をした焼結体の状態においては、高いリチウムイオン伝導率(例えば、25℃において1.0×10−5〜1.0×10−3S/cm程度)を示し、高い電気容量が発現するが、焼結していない粉末を加圧成形した状態においては、リチウムイオン伝導率が極めて低く(例えば、25℃において1.0×10−7S/cm以下)、電気容量は極めて低くなる。そのため、酸化物系リチウムイオン伝導体は、高いリチウムイオン伝導率と高容量を得るために要するエネルギーが多くなり、キャパシタの形態として利用する際に電極に使用する金属等の材料選択の自由度が低下する。
一方、硫化物系リチウムイオン伝導体は、酸化物系リチウムイオン伝導体に比べてイオン伝導率が高い。これは、酸化物に比べて硫化物の方が分極率が高いからである。さらに、硫化物系リチウムイオン伝導体は、塑性変形しやすいため、比較的低い温度域(例えば25℃から200℃程度)において加圧するだけで粒子間の密着性が高まり、高いリチウムイオン伝導率(例えば、25℃において1.0×10−4〜1.0×10−2S/cm程度)を示し、容量を大きくすることができる可能性がある。しかし、硫化物系リチウムイオン伝導体は、大気中で水分と反応して硫化水素ガスを発生するため、安全面において好ましくない場合がある。
特開2008−130844号公報
上記のような固体電解質を用いた電気二重層キャパシタは、高容量化と安全性とを両立させるために向上の余地があった。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるイオン伝導体は、複数の電極と、少なくとも一つの電解質層を備える固体電解質キャパシタにおいて、電解質層は、複数の酸化物系リチウムイオン伝導体粒子を備えるイオン伝導体からなり、前記イオン伝導体は、2つの前記酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の間に、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物のうち、少なくとも一つが存在する領域を有し、前記ハロゲン化リチウムと前記ハロゲン化リチウムの水和物と前記ハロゲン化リチウムの水酸化物との含有割合の合計は、40体積%以上、85体積%以下である。
本固体電解質キャパシタによれば、硫化物系イオン伝導体を含まないために安全性が向上する。また、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の間に、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物の少なくとも一つが存在する領域を有し、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウム水和物とハロゲン化リチウム水酸化物との合計の含有割合が、40体積%以上、85体積%以下であるために、粒子間の密着性が向上して直流容量が向上する。さらに、本固体電解質キャパシタによれば、低温で焼結体を作製できるため、電極材料の選択の自由度向上やプロセスコストの低減が期待できる。
(2)上記固体電解質キャパシタにおいて、上記のイオン伝導体は、イオン伝導体に含まれるハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウム水和物とハロゲン化リチウム水酸化物との合計の割合を、50体積%以上85体積%以下とすると、粒子間の密着性が向上して、直流容量が大きく向上する。
(3)上記固体電解質キャパシタにおいて、上記のイオン伝導体に含まれるハロゲン化リチウムのハロゲン元素が、ヨウ素(I)を含むために、粒子間の密着性が向上して直流容量が向上する
(4)上記固体電解質キャパシタにおいて、イオン伝導体は、LiとTiとLaとOとを少なくとも含有するペロブスカイト型構造を有するイオン伝導体、および、LiとM(MはTi、Zr、Geの内の少なくとも1つ)とPとOとを少なくとも含有するNASICON型構造を有するイオン伝導体、および、LiとZrとLaとOとを少なくとも含有するガーネット型構造もしくはガーネット型類似構造を有するイオン伝導体の内の少なくとも1種類であってもよい。本固体電解質キャパシタによれば、イオン伝導体におけるイオン伝導性が向上して直流容量が向上する。
(5)上記固体電解質キャパシタにおいて、上記イオン伝導体はLi3xLa2/3−xTiO3、またはLi7La3Zr2O12であって、xは、0.04<x<0.16であってもよい。本固体電解質キャパシタによれば、イオン伝導体におけるイオン伝導性が向上して直流比容量が向上する。
(6)上記固体電解質キャパシタにおいて、上記イオン伝導体は、LiaMgbLacM1dZreM2fO12で表され、M1は、Ca,Sr,Baからなる群より選択される1種類以上の元素であり、M2は、Ta,Nbからなる群より選択される1種類以上の元素であって、かつ、6.5<a+2b<8.5、2.9<c+d<3.1、1.9<e+f<2.1(ただし、b、d、fは0を含む)を満たすイオン伝導体であってもよい。本固体電解質キャパシタによれば、イオン伝導体におけるイオン伝導性が向上して直流比容量が向上する。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、イオン伝導体、イオン伝導体を含む固体電解質キャパシタ、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
図1は、本実施形態における固体電解質キャパシタの断面構成を概略的に示す説明図である。 図2は、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICの構成を示す説明図(切断面のSEM画像)である。 図3は、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICの構成を示す説明図(切断面のSEM−EDS画像)である。 図4は、本実施形態の固体電解質キャパシタの製造方法を示すフローチャートである。 図5は、結晶相の変化の有無を調べる実験結果の一例を示す説明図である。 図6は、性能評価における各サンプルの構成および性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.固体電解質キャパシタの構成:
図1は、本実施形態における固体電解質キャパシタ100の断面構成を概略的に示す説明図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上側といい、Z軸負方向を下側という。
固体電解質キャパシタ100は、電解質層110と、電解質層110の一方側(上側)に配置された第1の電極121と、電解質層110の他方側に(下側)に配置された第2の電極123とを備える。第1の電極121および第2の電極123は、導電性を有する略平板形状部材であり、例えば、ステンレス鋼、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、これらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等によって形成されている。電解質層110は、略平板形状であり、固体電解質であるリチウムイオン伝導体LICにより構成されている。したがって、固体電解質キャパシタ100は、キャパシタの要素がすべて固体で構成されたキャパシタであり、電解質層110と、電解質層110の一方側(上側)に配置された第1の電極121と、電解質層110の他方側(下側)に配置された第2の電極123とを備える。
A−2.リチウムイオン伝導体LICの構成および製造方法:
本実施形態の固体電解質キャパシタ100は、電解質層110に用いられる固体電解質であるリチウムイオン伝導体LICに特徴がある。以下、リチウムイオン伝導体LICの構成および製造方法について説明する。図2および図3は、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICの構成を示す説明図である。図2には、リチウムイオン伝導体LICの破断面のSEM画像(1000倍)が示されており、図3には、図2に対応するリチウムイオン伝導体LICの破断面のSEM−EDS画像(元素マッピング画像)(1000倍)が示されている。図3では、La(ランタン)とZr(ジルコニウム)とがより暗く示されており、I(ヨウ素)が比較的明るく示されている。なお、図2および図3に示されるリチウムイオン伝導体LICは、酸化物系リチウムイオン伝導体の含有割合を50体積%としたサンプルである。
図2および図3に示すように、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICは、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52とハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56とを含む。より詳細には、リチウムイオン伝導体LICは、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52同士の間にハロゲン化リチウム含有粒子58および/またはハロゲン化リチウム水和物含有粒子54および/またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56が存在する領域(図2および図3に示された領域)を有する。すなわち、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICでは、ハロゲン化リチウム含有粒子58および/またはハロゲン化リチウム水和物含有粒子54および/またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56によって酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52同士の間の空隙が埋められた状態となっている。なお、図2では、便宜上、ハロゲン化リチウム含有粒子58およびハロゲン化リチウム水和物含有粒子54およびハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56のそれぞれの位置を矢印で例示しているが、厳密には矢印で示す位置は、ハロゲン化リチウム含有粒子58またはハロゲン化リチウム水和物含有粒子54またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56が存在する位置である。図3以降についても同様である。
リチウムイオン伝導体LICに含まれる酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52は、例えば、LiとTiとLaとOとを少なくとも含有するペロブスカイト型構造を有するイオン伝導体(例えば、Li0.34La0.56TiO3(以下、LLTという))の粒子、LiとZrとLaとOとを少なくとも含有するガーネット型構造もしくはガーネット型類似構造を有するイオン伝導体(例えば、Li7La3Zr2O12(以下、「LLZ」という)や、LLZに対してMg(マグネシウム)およびSr(ストロンチウム)の元素置換を行ったもの(以下、「LLZ―MgSr」という))の粒子、LiとM(MはTi、Zr、Ge(ゲルマニウム)の内の少なくとも1つ)とP(リン)とOとを少なくとも含有するNASICON型構造を有するイオン伝導体(例えば、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(以下、「LAGP」という))の粒子のいずれか1種類、または、これらの内の少なくとも2つの種類を混ぜた粒子である。
また、リチウムイオン伝導体LICに含まれるハロゲン化リチウム含有粒子58は、例えば、例えば、LiI(ヨウ化リチウム)の粒子や、LiBr(臭化リチウム)の粒子、LiCl(塩化リチウム)の粒子、これらハロゲン化リチウムを主成分とする粒子(例えばヨウ化リチウムを含有する非晶質体)である。ハロゲン化リチウム水和物含有粒子54は、例えば、LiI(ヨウ化リチウム)の水和物(LiI・H2O)の粒子や、LiBr(臭化リチウム)の水和物(LiBr・H2O)の粒子、LiCl(塩化リチウム)の水和物(LiCl・H2O)の粒子、これらハロゲン化リチウムの水和物を主成分とする粒子(例えばヨウ化リチウムを含有する非晶質体)である。また、リチウムイオン伝導体LICに含まれるハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56は、例えば、LiIの水酸化物(Li2I(OH)やLi4(OH)3I)の粒子や、LiBrの水酸化物(Li2Br(OH)やLi4(OH)3Br)の粒子、LiClの水酸化物(Li2Cl(OH)やLi4(OH)3Cl)の粒子、これらハロゲン化リチウムの水酸化物を主成分とする粒子(例えばヨウ化リチウム水酸化物を含有する非晶質体)である。なお、主成分とは、含有率が50重量%以上の成分を意味する。
図2および図3に示す例は、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52としてLLZの粒子が用いられ、ハロゲン化リチウム含有粒子58としてLiIの粒子が用いられ、ハロゲン化リチウム水和物含有粒子54としてLiI・3H2Oの粒子が用いられ、ハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56としてLi2I(OH)やLi4(OH)3Iの粒子が用いられた例である。
図4は、本実施形態の固体電解質キャパシタの製造方法を示すフローチャートである。S110〜S120において、リチウムイオン伝導体LICの製造工程を示し、S130〜S160で、固体電解質キャパシタ構成にする製造工程を示している。はじめに酸化物系リチウムイオン伝導体の粉末とハロゲン化リチウムの粉末とを準備し(S110)、準備された両粉末を所定の割合で混合する(S120)。得られた混合粉末を成形した後、所望の形状になるようプレス成型を行う。次に再加圧を行い、加圧状態を保持し、かつ密封容器内で、混合粉末に対する熱処理(例えば80℃、48時間)を実行する(S130〜S160)。これにより、上述した構成のリチウムイオン伝導体LICが得られる。なお、熱処理の温度としては、60℃以上、452℃以下が好ましく、70℃以上、300℃以下がより好ましく、80℃以上、200℃以下がさらに好ましい。また、熱処理を加圧状態で行ってもよい。この場合の荷重は、0.1kN以上が好ましく、0.5kN以上がより好ましく、1kN以上がさらに好ましい。加圧することにより、リチウムイオン伝導体粒子とハロゲン化リチウムまたはハロゲン化リチウムの水和物またはハロゲン化リチウムの水酸化物との間の密着性が向上するため、リチウムイオン伝導体LICの性能が向上する。
ここで、ハロゲン化リチウムは吸湿性・潮解性を有するため、上述したリチウムイオン伝導体LICの製造の過程で、原料であるハロゲン化リチウムはハロゲン化リチウムの水和物やハロゲン化リチウムの水酸化物に相変化する。図5は、結晶相の変化の有無を調べる実験結果の一例を示す説明図である。この実験では、ハロゲン化リチウム原料としてLiIを用い、図4に示す方法に従いリチウムイオン伝導体LICを製造したときの各段階の試料についてXRD測定を行い、試料にLiIとその水和物および水酸化物が含まれているか否かを確認した。
図5に示すように、LiIの原料には、大部分を占めるLiIに加えて、LiIの水和物(LiI・H2O)がわずかに含まれていた。この結果から、LiI原料が空気中の水と反応して、水和物に相変化したものと考えられる。また、LiI原料をLLZ粉末と混合した後の試料には、LLZおよびLiIに加えて、LiIの水和物(LiI・H2O)がわずかに含まれ、さらに、LiIの水酸化物(Li2I(OH))がわずかに含まれていた。この結果から、混合によってLiI原料と水との反応が促進され、LiIから水和物および水酸化物への相変化が進行したものと考えられる。また、上記混合粉末に対して熱処理(加圧なし)を実行した後の試料については、LiIの含有量がわずかになり、LiIの水和物(LiI・3H2O)が大部分を占め、LiIの水酸化物(Li2I(OH)およびLi4(OH)3I)も含まれていた。この結果から、熱処理によってLiI原料と水との反応がさらに促進され、LiI原料の大半が水和物および水酸化物に相変化したものと考えられる。なお、上記混合粉末に対して熱処理(加圧あり)を実行した後の試料についても同様に、LiIの含有量がわずかになり、LiIの水和物(LiI・3H2O)が大部分を占め、LiIの水酸化物(Li2I(OH)およびLi4(OH)3I)も含まれていた。なお、図5におけるLiIとLiIの水和物とLiIの水酸化物の含有量の大小関係は、出発原料と、加熱および加圧後に相変化したサンプルとを、前述したXRD測定によって得られた回折角のピークについて比較した。したがって、リチウムイオン伝導体LICにおける表面の状態、すなわち面積の観点で含有量を比較している。また、後述するが、本願実施例では、LiI(またはLiIの水和物もしくは水酸化物)が均一に分散していることを確認しているため、体積の観点からも同じ大小関係が得られる。
以上のことから、上述した製造方法に従いリチウムイオン伝導体LICを製造すると、上述した構成のリチウムイオン伝導体LIC、すなわち、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52とハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56とを含むリチウムイオン伝導体LICを製造することができる。
なお、上述した製造方法において、原料として、ハロゲン化リチウムの粉末に代えて、または、ハロゲン化リチウムの粉末に加えて、ハロゲン化リチウムの水和物および/またはハロゲン化リチウムの水酸化物の粉末を用いてもよい。このようにしても、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52とハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56とを含むリチウムイオン伝導体LICを製造することができる。本明細書では、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物の少なくとも1つを含む粒子を、ハロゲン化リチウム系粒子といい、これらの粒子を含む材料をハロゲン化リチウム系相という。
以上説明したように、本実施形態の固体電解質キャパシタ100に用いられるリチウムイオン伝導体LICは、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52同士の間にハロゲン化リチウム含有粒子58および/またはハロゲン化リチウム水和物含有粒子54および/またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56が存在する領域を有するため、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子52同士がハロゲン化リチウム含有粒子58および/またはハロゲン化リチウム水和物含有粒子54および/またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56により融着することで、粒子間の密着性が高く、高いリチウムイオン伝導性(例えば、25℃において1.0×10−5S/cm以上のリチウムイオン伝導率)を有する。また、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICは、比較的高温(例えば1000℃程度)の熱処理によって焼結体を形成させなくても、より低い温度での熱処理を行うだけで高いリチウムイオン伝導率を得られるため、製造に要するエネルギーを低減することができると共に、電極に熱的負荷を与えないため、電極の材料選択の自由度を向上させることができる。また、本実施形態のリチウムイオン伝導体LICは、大気中で水分と反応して硫化水素を発生する硫化物系リチウムイオン伝導体を含有しないため、高い安全性を有する。
なお、一般に、ハロゲン化リチウムやハロゲン化リチウムの水和物やハロゲン化リチウムの水酸化物のリチウムイオン伝導率(25℃)は、1.0×10−7S/cm程度と極めて低いため、キャパシタを形成したときの容量も極めて低い。また、酸化物系リチウムイオン伝導体においては、リチウムイオン伝導率が得られるものの、固体電解質キャパシタを形成したときの容量は低い。本願発明者は、酸化物系リチウムイオン伝導体に、リチウムイオン伝導率が極めて低いハロゲン化リチウムやハロゲン化リチウムの水和物やハロゲン化リチウムの水酸化物を加えて混合することにより、固体電解質キャパシタを形成したときに容量が大きく向上するという予測困難な効果が得られることを見出した。本願発明は、この点において、当業者が想到することが極めて困難な発明であると言える。
A−3.性能評価:
リチウムイオン伝導体LICを用いた固体電解質キャパシタの複数のサンプル(サンプル1〜10)を作製し、性能評価として各サンプルの直流比容量Cdsを測定した。図6は、性能評価における各サンプルの構成および直流比容量Cdsの測定結果を示す説明図である。
図6には、各サンプルの作製に使用した材料が示されている。本性能評価において、酸化物系リチウムイオン伝導体としてLLT、およびLLZ―MgSrを用い、ハロゲン化リチウムとしてLiIを用いた。図6には、各サンプルについて、切断面における酸化物系リチウムイオン伝導体粒子(具体的にはLLTまたはLLZ―MgSr粒子)の含有割合と、ハロゲン化リチウム(またはハロゲン化リチウムの水和物または水酸化物)含有粒子(具体的にはLiI(またはLiIの水和物もしくは水酸化物含有粒子)との合計量の含有割合が示されている。なお、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の含有割合とは、図2および図3に示した切断面画像における、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の面積とハロゲン化リチウム(またはハロゲン化リチウムの水和物もしくは水酸化物)含有粒子の面積とから求められる面積割合で示すことができる。原料段階での含有割合(体積%)は、原料に対する混合処理や加圧処理、熱処理を経て作製されたリチウムイオン伝導体LICにおいても、ほぼ同じ値に維持される。酸化物系リチウムイオン伝導体の含有割合0(ゼロ)体積%であるサンプル1は、ハロゲン化リチウム(またはハロゲン化リチウムの水和物もしくは水酸化物)含有粒子(LiI、またはLiI水和物またはLiI水酸化物含有粒子)のみから構成されており、酸化物系リチウムイオン伝導体の含有割合の値が100%であるサンプル(サンプル8,10)は、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子(LLT、またはLLZ―MgSr)のみから構成されている。以下、各サンプルの作製方法について詳述する。
まず、図4のS110における酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の準備について記述する。サンプル2〜8については、LLTを用いた。まず、Li0.34La0.56TiO3という組成となるように、炭酸リチウム(Li2CO3)、水酸化ランタン(La(OH)3)、酸化チタン(TiO3)を所定量秤量した。この原料をジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、有機溶剤(エチルアルコール)中で、ボールミルで粉砕混合を行った。混合後、スラリーを乾燥させ、1150℃、12時間仮焼を行った。仮焼後の粉末をジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、有機溶剤(エチルアルコール)中で、60時間ボールミルで粉砕混合を行い、混合後のスラリーを乾燥させ、LLTの粉末を得た。
サンプル9〜10については、まず、Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12(LLZ―MgSr)という組成になるように、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化ランタン(La(OH)3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を所定量秤量した。その際、焼成時のLiの揮発を考慮し、元素換算で15mol%程度過剰になるように、Li2CO3をさらに加えた。この原料をジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、有機溶剤(エチルアルコール)中で、15時間ボールミルで粉砕混合を行った。混合後、スラリーを乾燥させ、1100℃、10時間、MgO板上にて仮焼を行った。なお、仮焼後の粉末の組成は上記組成から多少ずれる場合がある。仮焼後の粉末をジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、有機溶剤(エチルアルコール)中で、36時間ボールミルで粉砕混合を行い、混合後のスラリーを乾燥させ、LLZ―MgSrの粉末を得た。
次に、作製されたLLT粉末またはLLZ―MgSr粉末とヨウ化リチウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%)とを、各サンプルの含有割合に応じた配合割合となるよう秤量し、乳鉢で15分間粉砕混合して混合粉末を得た。なお、サンプル1,8,10については、単体の粉末が用いられるため、混合処理は実行されない。サンプル1〜7,9について、混合粉末(または単体粉末)を直径10mmの円筒絶縁容器中に投入し、プレス機によって圧力360MPaで1分間加圧状態を保持して圧粉体を得た(図4のS130)。
次に、図4におけるS140〜S160について説明する。上述したS130における加圧成型によって得られた圧粉体と電極となるNi箔とを、Ni箔、圧粉体、Ni箔の順に積層して、圧力50MPaに再加圧し、加圧を保持した状態で80℃、48時間の加熱処理を行い、サンプル1〜7、9を得た。各サンプルのサイズは直径10mm、厚み1mmとした。
また、サンプル8については、作製されたLLT粉末を、直径12mmの金型で厚さが1.5mm程度になるように圧力10MPa、10秒間保持してプレス成型し、その後、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて圧力147MPa、保持時間5秒間の静水圧を印加して成型体を得た。次に、得られた成型体を還元雰囲気中(ウェット窒素20L/min、ウェット水素0.05L/min、ウェッター温度30℃)にて、1200℃、3時間の熱処理を行うことにより直径10mm、厚み1mmの焼結体を得た。次に、焼結体の両面を研磨し、金蒸着を施すことによって測定用試料を得た。
また、サンプル10については、作製されたLLZ―MgSr粉末を、直径12mmの金型で厚さが1.5mm程度になるように圧力10MPa、10秒間保持してプレス成型し、その後、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて圧力147MPa、保持時間5秒間の静水圧を印加して成型体を得た。次に、得られた成型体を還元雰囲気中(ドライ窒素20L/min、ドライ水素0.05L/min)にて、1200℃、3時間の熱処理を行うことにより直径10mm、厚み1mmの焼結体を得た。次に、焼結体の両面を研磨し、金蒸着を施すことによって測定用サンプルを得た。
以上の工程によって得られた固体電解質キャパシタの各サンプル(サンプル1〜10)を対象として、充放電測定(ソーラトロン社製1287および1255Bを用いる)によって25℃での直流容量Cdを測定し、サンプルのサイズから、直流比容量Cdsを算出した。なお、充放電測定の条件は、充電時間1Vで1時間保持、放電電流1μAとした。
充放電測定による直流比容量Cdsを測定した後、各サンプルについて、リチウムイオン伝導体LICの断面(切断面)におけるハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物の含有量であるハロゲン化リチウム系相の含有量(体積%)を算出した。なお、含有量の測定方法については後述する。
(測定結果)
図6に示すように、サンプル3〜6,9は、サンプル1〜2,7〜8,10と比較して高い直流比容量Cdsを示した。これは、LLTまたはLLZ―MgSrにLiIを混合し、熱処理することによってLiIの水和物(もしくは水酸化物)が融着し、LiIの水和物(もしくは水酸化物)によってLLT粒子(またはLLZ―MgSr粒子)同士の間の空隙が埋められた状態となり、粒子間の密着性が高くなるためであると考えられる。そのため、ハロゲン化リチウム系相の含有量が、固体電解質に対して40体積%以上であると、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物のいずれか一つが存在する領域があるため、直流比容量Cdsが向上するといえる。
サンプル7は、ハロゲン化リチウム系相の含有量が90体積%と極めて多い。しかし、このサンプルでは直流比容量Cdsは比較的低い結果となった。このサンプルでは、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の間にハロゲン化リチウム(またはハロゲン化リチウム水和物もしくは水酸化物)含有粒子が存在する領域が極めて多いと言える。そのため、イオン伝導性が極めて低いハロゲン化リチウムが固体電解質のイオン伝導性に対して支配的になり、イオン伝導性が低くなり直流比容量が得られなかったと考えられる。
サンプル6は、ハロゲン化リチウム系相の含有量が85体積%と多いが、直流比容量Cdsはサンプル7よりも大きく向上した。酸化物系イオン伝導体粒子の間を占めるハロゲン化リチウム系相の含有割合が多すぎず、適度にイオン伝導性がある結果、直流比容量が高くなったと考えられる。そのため、ハロゲン化リチウム系の含有量が固体電解質に対して85体積%以下であると、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物のいずれか一つが存在する領域が適度にあり、直流比容量Cdsが向上するといえる。
一方で、サンプル2については、酸化物系リチウムイオン伝導体(具体的にはLLT)の粒子52同士の間にハロゲン化リチウムまたはハロゲン化リチウム水和物(具体的にはLiI)含有粒子54またはハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56の少なくともいずれか一つが存在する箇所が30体積%であるものの、LiIの水和物(または水酸化物)の存在する領域が少ない、または存在しない領域があり(すなわち、分散度が極めて小さい)、粒子間の密着性が比較的低い。そのため、サンプル2では、イオン伝導性が極めて小さく、直流比容量Cdsが得られなかったと考えられる。
サンプル1は、LiIの粉末材料のみから作成されたサンプルであり、直流比容量Cdsは極めて低かった。上述したように、ハロゲン化リチウムは、一般的に極めて低いイオン伝導性である材料であり、加圧加熱によってハロゲン化リチウムの水和物またはハロゲン化リチウムの水酸化物が形成されてもイオン伝導性に大きな変化はなく、直流比容量Cdsが極めて低くなったと考えられる。
サンプル4は、他のサンプルと比較して極めて高い直流比容量Cdsが得られた。そのため、固体電解質とハロゲン化リチウム系相の含有量がほぼ同程度であると、ハロゲン化リチウム系相の分散性が高くなり、イオン伝導性が大きく向上し、直流比容量Cdsが大きく向上する。
イオン伝導性の発現と直流容量Cdとの関係について、以下のように考察する。イオン伝導経路は酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の界面であると考えられている。しかし、ハロゲン化リチウム系相の含有量が40体積%未満と十分でない場合、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子とハロゲン化リチウム系相の界面において、イオン伝導経路が連続していないと考えられる。そのためイオン伝導性が得られず、直流容量Cdが得られなかったと考えられる。また、ハロゲン化リチウム系相が85体積%を超えて過度に多い場合、酸化物系リチウムイオン伝導体粒子同士の距離が長くなり、イオン伝導経路はイオン伝導率の低いハロゲン化リチウム系相が支配的になると考えられる。よって、イオン伝導性が低下し、直流容量Cdが得られなかったと考えられる。
なお、リチウムイオン伝導体LICの断面(切断面)における酸化物系リチウムイオン伝導体の含有割合(体積%)は、以下の方法により測定した。リチウムイオン伝導体LICの成型体に対して、クロスセクションポリッシャ法(CP法)またはそれに準ずる鏡面研磨加工などにより成型体の切断面を得た。この切断面に対して、例えば500倍の視野にて、SEM−EDS分析による元素マッピング、または、反射電子像を撮影し、酸化物系リチウムイオン伝導体とハロゲン化リチウム系相を区別できる画像を取得した。その後、画像解析を行い、代表元素(例えば、ZrやLaなどの元素X)の存在する面積割合を求めることで、酸化物系リチウムイオン伝導体の面積割合を算出した。次に全体を100%と仮定して、100%からの酸化物系リチウムイオン伝導体の面積割合を減算した値をハロゲン化リチウム水和物(または水酸化物)の面積割合とした。ここで、各サンプルにおける酸化物系リチウムイオン伝導体とハロゲン化リチウム系相の含有量(体積%)を、サンプルの任意の切断面において算出した面積割合の平均値とした。なお、任意の切断面とは、図1におけるXY面およびXZ面を含む3箇所以上の切断面である。本実施形態では、XY面とXZ面における面積割合はほぼ同じであり、均一であった。本実施形態では、酸化物系リチウムイオン伝導体とハロゲン化リチウム系相とで、リチウムイオン伝導体LICが構成されているため、ハロゲン化リチウム系相の面積割合を特定してもよい。すなわち、いずれか一方の面積割合を特定すればよい。
なお、リチウムイオン伝導体LICが他の材料と混ぜて使用されている成型体の場合、XRDによる結晶構造解析により、混在している物質の同定を行う。次いで、この成型体に対して研磨や、クロスセクションポリッシャ法(CP法)などにより成型体の切断面を取得する。この切断面に対してSEM−EDS分析を行い、XRDの結果と合わせて、リチウムイオン伝導体LICと他の材料との分別を行う。そして、リチウムイオン伝導体LICの部分に対して、SEM−EDSによる元素分析の結果から、上述の「元素X」の割合を算出し、酸化物系リチウムイオン伝導体の面積割合とする。次にリチウムイオン伝導体LICの部分の全体を100%と仮定して、100%からの酸化物系リチウムイオン伝導体の面積割合を減算した値をハロゲン化リチウム(またはハロゲン化リチウムの水和物もしくは水酸化物)の面積割合とする。つまり、このような場合は、他の材料の占める割合は除外して考えるものとする。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記の実施形態では、リチウムイオン伝導体LICによって形成される電解質層110が1層であり、2つの電極で挟まれた構成(図1の構成)を示したが、この構成は固体電解質キャパシタの最小単位である。電解質層と電極は複数層であり、交互に積層することで多層の固体電解質キャパシタが形成されていてもよい。この場合、ハロゲン化リチウムまたはハロゲン化リチウムの水和物またはハロゲン化リチウムの水酸化物を含むイオン伝導体LICが、複数の電解質層のうち、少なくとも1層に含まれるとしてもよく、上記以外の他の電解質層は、他の構成のリチウムイオン伝導体LIC(例えば硫化物系リチウムイオン伝導体や酸化物系リチウムイオン伝導体)が含まれるとしてもよい。また、電極で挟まれる電解質層は、複数のリチウムイオン伝導体で形成された複数の電解質層が積層された構成でもよい。その場合、複数のイオン伝導体のうち少なくとも1つを形成するリチウムイオン伝導体LICにハロゲン化リチウム系相が含まれるとしてもよい。
また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
例えば、固体電解質としては、Li0.34La0.56TiO3(LLT)や、Li7La3Zr2O12(LLZ)や、Li6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr2.0O12(LLZ―MgSr)や、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(LAGP)を用いることができるが、他のリチウムイオン伝導体を用いることができる。
例えば、Li1+xAlxGe2−x(PO4)3、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(LATP)、LixZryNbz(PO4)3(LZNP)、Li1.2Zr1.9Ca0.1(PO4)3(LZCP)、Li7−xLa3Zr2−xNbxO12(LLZN)、Li7−xLa3Zr2−xTaxO12(LLZT)、Li3xLa2/3−xTiO3(LLT)、Li6BaLa2Ta2O12(LBLT)、Li3BO3、Li3PO4−xNx(LiPON)などのリチウムイオン伝導体を採用できる。
また、上記実施形態では、リチウムイオン伝導体LICは、ハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56を含むとしているが、リチウムイオン伝導体LICは、ハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56の一つのみを含むとしてもよい。すなわち、リチウムイオン伝導体LICは、ハロゲン化リチウム含有粒子58とハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56の少なくとも一つを含めばよい。また、リチウムイオン伝導体LICは、ハロゲン化リチウム水和物含有粒子54とハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子56との少なくとも一方に加えて、ハロゲン化リチウム含有粒子58を含んでもよい。
52:酸化物系リチウムイオン伝導体粒子 54:ハロゲン化リチウム水和物含有粒子 56:ハロゲン化リチウム水酸化物含有粒子 58:ハロゲン化リチウム含有粒子 100:固体電解質キャパシタ 110:電解質層 121:第1の電極 123:第2の電極

Claims (6)

  1. 複数の電極と、少なくとも一つの電解質層を備える固体電解質キャパシタにおいて、前記電解質層は、複数の酸化物系リチウムイオン伝導体粒子を備えるイオン伝導体からなり、前記イオン伝導体は、2つの前記酸化物系リチウムイオン伝導体粒子の間に、ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物のうち、少なくとも一つが存在する領域を有し、
    前記ハロゲン化リチウムと前記ハロゲン化リチウムの水和物と前記ハロゲン化リチウムの水酸化物との含有割合の合計は、40体積%以上、85体積%以下である、ことを特徴とする固体電解質キャパシタ。
  2. 請求項1に記載の固体電解質キャパシタにおいて、
    前記イオン伝導体に含まれる前記ハロゲン化リチウムとハロゲン化リチウムの水和物とハロゲン化リチウムの水酸化物との含有割合の合計は、50体積%以上85体積%以下である、ことを特徴とする固体電解質キャパシタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の固体電解質キャパシタにおいて、
    前記イオン伝導体に含まれる前記ハロゲン化リチウムのハロゲン元素は、ヨウ素(I)を含むことを特徴とする固体電解質キャパシタ。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の固体電解質キャパシタにおいて、
    前記イオン伝導体は、LiとTiとLaとOとを少なくとも含有するペロブスカイト型構造を有するイオン伝導体、および、LiとM(MはTi、Zr、Geの内の少なくとも1つ)とPとOとを少なくとも含有するNASICON型構造を有するイオン伝導体、および、LiとZrとLaとOとを少なくとも含有するガーネット型構造もしくはガーネット型類似構造を有するイオン伝導体の内の少なくとも1種類であることを特徴とする、固体電解質キャパシタ。
  5. 請求項1または請求項4のいずれか一項に記載の固体電解質キャパシタにおいて、
    前記イオン伝導体は、Li3xLa2/3−xTiO3であって、xは、0.04<x<0.16である、固体電解質キャパシタ。
  6. 請求項1または請求項4のいずれか一項に記載の固体電解質キャパシタにおいて、
    前記イオン伝導体は、LiaMgbLacM1dZreM2fO12で表され、M1は、Ca,Sr,Baからなる群より選択される1種類以上の元素であり、M2は、Ta,Nbからなる群より選択される1種類以上の元素であって、かつ、6.5<a+2b<8.5、2.9<c+d<3.1、1.9<e+f<2.1(ただし、b、d、fは0を含む)を満たす、固体電解質キャパシタ。
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