JP2018172585A - 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発色性、及び定着性に優れた筆記用インキ組成物、およびそれを用いた筆記具の提供
【解決手段】 顔料と、浸透剤と、ロジンと、溶媒とを含み、該浸透剤が特定のHLB値を有することを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、筆記具用水性インキ組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は非浸透面や、紙、布等に筆記した際においても、筆跡のインキの発色性、定着性に優れる筆記具用水性インキ組成物に関するものである。また、本発明は、その組成物を用いた筆記具にも関するものである。
従来から、紙、布の他、ガラスやプラスチック、ホウロウ等の非浸透面など、様々な素材に対して筆記可能な筆記具用インキ組成物が知られ、中でも、主溶媒に水を用いた水性タイプのインキ組成物は、環境負荷が小さく、安全性が高いことから、盛んに検討されている。そのようなインキ組成物は、着色剤の他、界面活性剤等の浸透剤や、定着剤を用いることによって、インキをはじきやすい非浸透面上に筆記した際にインキがはじかれることなく、鮮明な筆跡が得られることを可能にしている。(特許文献1)
特許文献1には、特定のフッ素系界面活性剤と、顔料を用いた筆記具用インキが記載されている。そして、ショ糖脂肪酸エステル又は(メタ)アクリル酸由来の構成単位を有する樹脂が記載されている。このインキは、非浸透面上に筆記した際の筆記線のはじきが低減されたものである。
しかしながら、特許文献1に記載されたインキ組成物を用いて、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体の表面に筆記した際、フッ素系界面活性剤によって表面張力が低下したインキ組成物が前記繊維間の隙間を通って被筆記体内部へ浸透し易くなるため、着色剤が前記被筆記体表面に留まりにくく、筆跡が不明瞭になってしまう問題があった。
本発明は、非浸透面に筆記可能であって、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体の表面に筆記した際においても、着色剤が前記繊維間の隙間を通って、被筆記体の内部に入り込むことなく、着色剤を被筆記面の繊維表面に留めることが可能であり、筆跡の発色性や定着性に優れた筆記具用インキ組成物を提供することを目的とするものである。
本発明による筆記具用水性インキ組成物は、着色剤と、浸透剤と、ロジンと、溶媒とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明による筆記具は、前記組成物を収容してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、非浸透面や、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体の表面に筆記した際においても、優れた筆跡の発色性や筆跡の高い定着性を奏する筆記具用インキ組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
本発明による筆記具用水性インキ組成物(以下、場合により、「水性インキ組成物」または「組成物」と表すことがある。)は、着色剤と、浸透剤と、ロジンと、溶媒とを含んでなる。以下、本発明による水性インキ組成物を構成する各成分について説明する。
(着色剤)
本発明において、着色剤は従来知られている顔料、染料から任意に選択することができ、好ましく用いることができる。顔料としては、金属酸化物または金属塩などの無機顔料、有機色素顔料またはレーキ顔料などの有機顔料、ならびにアルミニウム顔料などの、光沢のある光輝性顔料が挙げられ、染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応染料、バット染料、硫化染料、含金染料、カチオン染料、分散染料が挙げられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。これは、染料は溶媒に溶解するため、被筆記体の繊維内部に入り込みやすく、筆跡の発色性に影響がでやすいためである。さらに、顔料は金属酸化物を用いることが好ましく、特に酸化チタンを用いることが好ましく、このような顔料を用いることにより、後述する補色顔料などと組み合わせることで、多様な色彩を実現できるためである。
本発明において、着色剤は従来知られている顔料、染料から任意に選択することができ、好ましく用いることができる。顔料としては、金属酸化物または金属塩などの無機顔料、有機色素顔料またはレーキ顔料などの有機顔料、ならびにアルミニウム顔料などの、光沢のある光輝性顔料が挙げられ、染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応染料、バット染料、硫化染料、含金染料、カチオン染料、分散染料が挙げられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。これは、染料は溶媒に溶解するため、被筆記体の繊維内部に入り込みやすく、筆跡の発色性に影響がでやすいためである。さらに、顔料は金属酸化物を用いることが好ましく、特に酸化チタンを用いることが好ましく、このような顔料を用いることにより、後述する補色顔料などと組み合わせることで、多様な色彩を実現できるためである。
本発明の水性インキ組成物において、顔料は、被覆材により表面処理されていることが好ましく、該被覆材の材料としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機酸化物や、モリブデン等の金属、またはリン酸塩などが好ましい。これは、顔料を上記被覆材で表面処理することにより、インキ中で顔料同士の凝集が抑制されて顔料の分散が安定し、また、顔料と水との反応が抑制されて気泡発生を抑えることができるからである。さらには、金属を含む顔料がインキ製造時にミキサーなどから剪断力を受けた際、顔料が変形、損傷して、金属イオンが溶出することが抑制されるため、インキの経時安定性を向上させることが可能になるのである。上記の、インキ中での分散安定性を考慮すれば、顔料の被覆材は、シリカまたはアルミナ、を含む無機酸化物であることがより好ましい。
顔料について、被覆材により表面処理された顔料の被覆量は、被覆材により表面処理された後の顔料質量100質量部に対する被覆材の質量の割合は、0.01%質量部〜20%質量部であることが好ましく、0.1%質量部〜8.0%質量部であることがより好ましい。被覆量が上記数値範囲内であれば、水性インキ組成物の分散を容易とすることができる。
本発明において、無機酸化物で表面処理された顔料を用いる場合は、インキ中での分散安定性を考慮すれば、水性インキ組成物において、無機酸化物で表面処理された顔料は正の値または負の値の表面電荷を有することが好ましく、特にシリカを含む無機酸化物で処理された顔料を用いる場合は、負の値の表面電荷を有することが好ましく、アルミナを含む無機酸化物で処理された顔料を用いる場合は正の値を有することが好ましい。そのような顔料は、組成物において良好な分散性を呈するが、後述する顔料分散剤と組み合わせることによって、分散性や再分散性をさらに高めることができる。表面処理された顔料が上記の表面電荷を有する場合は、インキ中での分散安定性を考慮すれば、酸化チタンを用いることが好ましい。
顔料の平均粒子径は、0.01μm〜30μmであることが好ましく、0.05μm〜15μmであることがより好ましく、0.1μm〜5μmであることがさらに好ましい。顔料の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体に筆記した際においても、顔料が前記繊維間の隙間に入り込みづらく、鮮明な発色性が得られやすいためである。また、平均粒子径が上記数値範囲内の顔料を含む水性インキ組成物をマーカーなどの筆記用具に使用した場合、インキ吐出性を向上させることができる。なお、顔料の平均粒子径は、一例としては、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320−X100」、日機装株式会社)を用いてレーザー回折法で測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)により測定することができる。本明細書では、顔料の「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径のことを指すものとする。
水性インキ組成物における顔料の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1質量%〜40質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましい。顔料の含有量が上記数値範囲内であれば、インキ吐出性の低下を防止することができるとともに、水性インキ組成物、およびそれを用いて形成させた筆跡の鮮明性や隠蔽性を維持することができる。
(顔料分散剤)
本発明の水性インキ組成物は、顔料分散剤を含むことが好ましい。顔料分散剤と顔料とを組み合せることによって、顔料同士が凝集することを抑制し、インキの安定性を高めることが可能である。本発明に用いられる顔料分散剤は、顔料の分散性を高める効果を奏するものであれば特に限定されないが、無機酸化物で表面処理された顔料を用いる場合は、顔料の分散安定性を考慮すると、アニオン性吸着基またはカチオン性吸着基を有する顔料分散剤を用いることが好ましい。
本発明の水性インキ組成物は、顔料分散剤を含むことが好ましい。顔料分散剤と顔料とを組み合せることによって、顔料同士が凝集することを抑制し、インキの安定性を高めることが可能である。本発明に用いられる顔料分散剤は、顔料の分散性を高める効果を奏するものであれば特に限定されないが、無機酸化物で表面処理された顔料を用いる場合は、顔料の分散安定性を考慮すると、アニオン性吸着基またはカチオン性吸着基を有する顔料分散剤を用いることが好ましい。
本発明の組成物にシリカを含む無機酸化物で表面処理された顔料を用いる場合は、顔料分散剤はカチオン性吸着基を有するものが好ましい。インキ組成物の安定性や安全性を考慮すると、酸塩基性は中性付近であることが好ましいが、この液性においてインキ組成物中の上記顔料は負の値の表面電荷を有するため、カチオン性吸着基が電気的引力によって顔料に吸着し易く、分散を容易とすることができる。
カチオン性吸着基を有する顔料分散剤としては、具体的にDISPERBYK−184、DISPERBYK−2055(以上、ビックケミー株式会社製)を挙げることができ、好ましく用いられる。本発明に用いられるカチオン性吸着基を有する顔料分散剤はこれらに限定されるものではない。顔料分散剤は、1種または複数種を用いることが可能である。顔料の分散性をより考慮すれば、カチオン性吸着基を有する顔料分散剤は、DISPERBYK−184が特に好ましい。
カチオン性吸着基を有する顔料分散剤としては、具体的にDISPERBYK−184、DISPERBYK−2055(以上、ビックケミー株式会社製)を挙げることができ、好ましく用いられる。本発明に用いられるカチオン性吸着基を有する顔料分散剤はこれらに限定されるものではない。顔料分散剤は、1種または複数種を用いることが可能である。顔料の分散性をより考慮すれば、カチオン性吸着基を有する顔料分散剤は、DISPERBYK−184が特に好ましい。
また、組成物にアルミナを含む無機酸化物で表面処理された顔料を用いる場合は、顔料分散剤はアニオン性吸着基を有することが好ましい。前記酸塩基性において、上記顔料は正の値の表面電荷を有するため、アニオン性吸着基が電気的引力によって顔料に吸着し易く、分散を容易とすることができる。
アニオン性吸着基を有する顔料分散剤としては、具体的にDISPERBYK−190、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−2010(以上、ビックケミー株式会社製)を挙げることができ、好ましく用いられる。本発明に用いられるアニオン性吸着基を有する顔料分散剤はこれらに限定されるものではない。顔料分散剤は、1種または2種以上を用いることが可能である。顔料の分散性をより考慮すれば、アニオン性吸着基を有する顔料分散剤は、DISPERBYK190が特に好ましい。
アニオン性吸着基を有する顔料分散剤としては、具体的にDISPERBYK−190、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−2010(以上、ビックケミー株式会社製)を挙げることができ、好ましく用いられる。本発明に用いられるアニオン性吸着基を有する顔料分散剤はこれらに限定されるものではない。顔料分散剤は、1種または2種以上を用いることが可能である。顔料の分散性をより考慮すれば、アニオン性吸着基を有する顔料分散剤は、DISPERBYK190が特に好ましい。
本発明における顔料分散剤の含有量は、有効成分の固形分換算で、0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.05質量%〜3質量%であることがより好ましい。また、前記着色剤のインキ組成物全量に対する総含有量をA、顔料分散剤のインキ組成物全量に対する総含有量をBとすると、B/Aは、0.005≦B/A≦0.5であることが好ましく、0.01≦B/A≦0.2であることがさらに好ましい。顔料分散剤の含有量および、顔料分散剤の含有量と着色剤の含有量との比が上記数値範囲内であると、顔料の分散性が良好となり、インキ組成物の粘度が過度に高くなることを抑制することができる。
(浸透剤)
本発明の水性インキ組成物は、浸透剤を含んでなる。前記浸透剤は、ぬれ性の向上効果やインキ組成物への溶解安定性を考慮すると、4〜18のHLB値を有する界面活性剤であることが好ましく、6〜15のHLB値であることがより好ましく、7〜11のHLB値であることが特に好ましい。ここで、本実施形態において用いられる界面活性剤のHLB値は、グリフィンが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、下記一般式(1)によって算出される値をいう。グリフィン法によるHLB値は、0〜20の範囲内の値を示し、数値が大きい程、化合物が親水性であることを示す。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量) ・・・(1)
本発明に用いられる浸透剤としては、構造中にアセチレン結合を有する界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、およびコハク酸系界面活性剤の中から、1種以上選択することが好ましい。水性インキ組成物に上記のような界面活性剤を含有させることで、表面張力を下げて、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する水性インキ組成物のぬれ性を改善し、該非浸透性の記録媒体に対する筆跡カスレ・中抜けなどを良好として、筆記性を向上させることができる。
本発明の水性インキ組成物は、浸透剤を含んでなる。前記浸透剤は、ぬれ性の向上効果やインキ組成物への溶解安定性を考慮すると、4〜18のHLB値を有する界面活性剤であることが好ましく、6〜15のHLB値であることがより好ましく、7〜11のHLB値であることが特に好ましい。ここで、本実施形態において用いられる界面活性剤のHLB値は、グリフィンが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、下記一般式(1)によって算出される値をいう。グリフィン法によるHLB値は、0〜20の範囲内の値を示し、数値が大きい程、化合物が親水性であることを示す。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量) ・・・(1)
本発明に用いられる浸透剤としては、構造中にアセチレン結合を有する界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、およびコハク酸系界面活性剤の中から、1種以上選択することが好ましい。水性インキ組成物に上記のような界面活性剤を含有させることで、表面張力を下げて、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する水性インキ組成物のぬれ性を改善し、該非浸透性の記録媒体に対する筆跡カスレ・中抜けなどを良好として、筆記性を向上させることができる。
前記浸透剤の中でも、アセチレン結合を有する界面活性剤は非常に安定性が高く、ぬれ性の改善効果を持続的に発揮することができ、該非浸透性の記録媒体に対する筆跡カスレ・中抜けなどを良好として、筆記性を向上させることができるため、好ましい。アセチレン結合を有する界面活性剤としては、例えば、アセチレンアルコール系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。特に、アセチレングリコール系界面活性剤は、気泡発生を抑制することに優れ、筆記の際の筆跡の泡立ちを抑えて、筆跡表面を平滑にする効果を奏しやすいため、好ましい。
具体的なアセチレン結合を有する界面活性剤としては、オルフィンD−10A、オルフィンD−10PG、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020、オルフィンE1030W、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4200、オルフィンEXP.4123、オルフィンEXP.4300、サーフィノール61、サーフィノール82、サーフィノール104シリーズ、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール2502、ダイノール604、ダイノール607、以上日信化学工業株式会社製、アセチレノールEH、アセチレノールEL、アセチレノールE13T、アセチレノールE40、アセチレノールE60、アセチレノールE81、アセチレノールE100、アセチレノールE200、アセチレノールE300、アセチレノール85以上川研ファインケミカル株式会社製、を挙げることが可能であり、1種または2種以上を好ましく用いることができる。上記の界面活性剤の中では、ぬれ性の改善効果や筆跡の起泡抑制効果を考慮するとダイノール604、ダイノール607、サーフィノール2502が特に好ましい。
また、アセチレン結合を有する界面活性剤の含有量は、その有効成分において、0.001質量%〜1.5質量%であることが好ましく、0.01質量%〜0.7質量%であることがより好ましい。含有量が上記数値範囲内であると、筆記後の筆跡の速乾性と、ぬれ性の向上とを両立させることができる。
(ロジン)
本発明による水性インキ組成物は、ロジンを含んでなることが重要である。ロジンは、アビエチン酸等の樹脂酸を有する物質であり、インキ組成物において着色剤粒子や後述するポリオレフィン粒子や補色顔料と吸着し、着色剤の嵩高い凝集体を形成することにより、紙、布等の、繊維間に大きな隙間を有する被筆記体へ筆記した際、着色剤が前記繊維間の隙間を通って被筆記体内部へ浸透することを防ぎ、被筆記体の表面において着色剤を繊維に付着し易くして、筆跡の発色性を良好とするものである。また、非浸透面へ筆記した際は被筆記面へ吸着して、筆跡の定着性を向上させることができる。
また、ロジンは滑り止め効果を有するので、組成物により形成された筆跡上に筆記する際、筆跡上に手脂等の潤滑性物質が付着している場合においても、筆記体のインキ吐出部がスリップすることが抑制されるため、ロジンは、筆記の際に、筆跡が途切れることを抑制する効果をも有する。
本発明では、前記浸透剤と、ロジンとを併用して用いることで、該非浸透性の記録媒体に対して、筆記性が向上するだけでなく、筆跡の定着性が向上すると同時に、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体においても、優れた発色性や筆跡の高い定着性を奏する筆記具用インキ組成物とすることができ、該非浸透面や浸透面のどちらにも良好に筆記することが可能である。
本発明による水性インキ組成物は、ロジンを含んでなることが重要である。ロジンは、アビエチン酸等の樹脂酸を有する物質であり、インキ組成物において着色剤粒子や後述するポリオレフィン粒子や補色顔料と吸着し、着色剤の嵩高い凝集体を形成することにより、紙、布等の、繊維間に大きな隙間を有する被筆記体へ筆記した際、着色剤が前記繊維間の隙間を通って被筆記体内部へ浸透することを防ぎ、被筆記体の表面において着色剤を繊維に付着し易くして、筆跡の発色性を良好とするものである。また、非浸透面へ筆記した際は被筆記面へ吸着して、筆跡の定着性を向上させることができる。
また、ロジンは滑り止め効果を有するので、組成物により形成された筆跡上に筆記する際、筆跡上に手脂等の潤滑性物質が付着している場合においても、筆記体のインキ吐出部がスリップすることが抑制されるため、ロジンは、筆記の際に、筆跡が途切れることを抑制する効果をも有する。
本発明では、前記浸透剤と、ロジンとを併用して用いることで、該非浸透性の記録媒体に対して、筆記性が向上するだけでなく、筆跡の定着性が向上すると同時に、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体においても、優れた発色性や筆跡の高い定着性を奏する筆記具用インキ組成物とすることができ、該非浸透面や浸透面のどちらにも良好に筆記することが可能である。
本発明においてロジンは、上記効果を奏するものであれば、ロジンを構成する樹脂酸の種類や樹脂酸同士の相対比率を任意に選択可能であり、変性したロジンを用いることも可能であるが、好ましくはアビエチン酸を有するロジンであり、そのようなロジンにはアビエチン酸のみから成るロジンも含まれる。
ロジンは、平均粒子径0.01μm〜2.0μmを有することが好ましく、0.1μm〜1.0μmを有することがより好ましい。平均粒子径が該数値範囲内であれば、ロジンは、着色剤等と共に嵩高い凝集体を形成し易く、また、良好なインキ吐出性を奏しやすい。そのようなロジンはエマルションとして用いられることが好ましく、高い経時安定性を維持することが可能である。
ロジンは、平均粒子径0.01μm〜2.0μmを有することが好ましく、0.1μm〜1.0μmを有することがより好ましい。平均粒子径が該数値範囲内であれば、ロジンは、着色剤等と共に嵩高い凝集体を形成し易く、また、良好なインキ吐出性を奏しやすい。そのようなロジンはエマルションとして用いられることが好ましく、高い経時安定性を維持することが可能である。
本発明に用いられるロジンとしては、具体的には、サイズ剤AL1203、サイズ剤AL1309、サイズ剤CC1404、以上星光PMC株式会社製、が挙げられ、好ましく用いることができるが、これらに限定されるものではない。
上記化合物は、インキ組成物中に1種または2種以上適宣選択して用いることがでる。
上記化合物は、インキ組成物中に1種または2種以上適宣選択して用いることがでる。
ロジンの含有量は、インキ組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%とすることが好ましく、さらには、0.5質量%〜8質量%でることがより好ましい。特に好ましくは、1質量%〜6質量%である。含有量が上記数値範囲内であると、インキ粘度が高くなりすぎること、ならびに筆記する際のインキ吐出性の低下を防止することができる。
前記着色剤のインキ組成物全量に対する総含有量と、後述する補色顔料のインキ組成物全量に対する総含有量との和をA、ロジンのインキ組成物全量に対する総含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦2の範囲であることが好ましく、0.05≦B/A≦1の関係であることが好ましい、より考慮すれば、0.1≦B/A≦0.5がさらに好ましい。これは、上記数値範囲内であれば、着色剤が被筆記面の表面に、より定着し易くなり、発色性を良好とすると共に、インキ組成物の粘度が高くなりすぎず、インキ吐出性を良好とし、優れた筆記性としやすいためである。
(難水溶性樹脂)
本発明による水性インキ組成物は、難水溶性樹脂を含んでなることが好ましい。難水溶性樹脂とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満である樹脂であり、インキ組成物において、前記の、嵩高い凝集体、着色剤、および後述するポリオレフィン粒子や補色顔料に対して結合し、筆記の際、被筆記面へ接着することで、筆跡の、定着性や耐擦性を向上させ、筆跡の発色性を向上させるものである。そのため、本発明の水性インキ組成物においては、ロジンと、難水溶性樹脂とを併用することで、より筆跡の定着性と発色性が向上するため、両者を併用することが好ましい。
本発明において難水溶性樹脂は、エマルション、またはディスパーションとして用いることが好ましく、これによって難水溶性樹脂は安定した分散状態をとることができる。
本発明による水性インキ組成物は、難水溶性樹脂を含んでなることが好ましい。難水溶性樹脂とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満である樹脂であり、インキ組成物において、前記の、嵩高い凝集体、着色剤、および後述するポリオレフィン粒子や補色顔料に対して結合し、筆記の際、被筆記面へ接着することで、筆跡の、定着性や耐擦性を向上させ、筆跡の発色性を向上させるものである。そのため、本発明の水性インキ組成物においては、ロジンと、難水溶性樹脂とを併用することで、より筆跡の定着性と発色性が向上するため、両者を併用することが好ましい。
本発明において難水溶性樹脂は、エマルション、またはディスパーションとして用いることが好ましく、これによって難水溶性樹脂は安定した分散状態をとることができる。
本発明のインキ組成物に用いられる難水溶性樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、ケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン−アクリロニトリル樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂等が挙げることができ、好ましく用いることができる。これらは、1種または2種以上を用いることが可能である。
筆跡の発色性や筆跡の定着性、耐擦性の向上を考慮すれば、本発明の組成物はポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、およびポリエステル樹脂から1種以上を選択して含むことがより好ましい。上記性能をより考慮すれば、組成物はポリオレフィン樹脂またはアクリル樹脂を含むことがさらに好ましく、ポリオレフィン樹脂を含むことが特に好ましい
本発明のインキ組成物は、難水溶性樹脂を含むことにより、良好な発色性と、高い、筆跡の定着性および耐擦性を両立することができ、このような効果は、ロジンと上記難水溶性樹脂を併用することにより効果的に発現する。
筆跡の発色性や筆跡の定着性、耐擦性の向上を考慮すれば、本発明の組成物はポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、およびポリエステル樹脂から1種以上を選択して含むことがより好ましい。上記性能をより考慮すれば、組成物はポリオレフィン樹脂またはアクリル樹脂を含むことがさらに好ましく、ポリオレフィン樹脂を含むことが特に好ましい
本発明のインキ組成物は、難水溶性樹脂を含むことにより、良好な発色性と、高い、筆跡の定着性および耐擦性を両立することができ、このような効果は、ロジンと上記難水溶性樹脂を併用することにより効果的に発現する。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、またはブテン、等のオレフィンをモノマーとした重合体の他、オレフィンとオレフィン以外のモノマーとの重合体や、変性物が挙げられ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン共重合体、プロピレンブテン共重合体、エチレンプロピレンブテン共重合体や、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、エチレンと無水マレイン酸との共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体等を好ましく用いることができる。水性インキ組成物の発色性や定着性をより考慮すれば、インキ組成物に用いられるポリオレフィン樹脂としては、エチレンとアクリル酸との共重合物がより好ましく、さらには、エチレンとアクリル酸との共重合物を変性し、自己乳化型としたものが特に好ましい。
本発明に好適なポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレンとアクリル酸との共重合物をアルカリ中和し、自己乳化型としたポリオレフィン樹脂(住友精化株式会社製、製品名:ザイクセン Aシリーズ、Lシリーズ、Nシリーズ)や、変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製、製品名:アローベース Cシリーズ、Dシリーズ、Sシリーズ)を挙げることができる。
本発明に好適なポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレンとアクリル酸との共重合物をアルカリ中和し、自己乳化型としたポリオレフィン樹脂(住友精化株式会社製、製品名:ザイクセン Aシリーズ、Lシリーズ、Nシリーズ)や、変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製、製品名:アローベース Cシリーズ、Dシリーズ、Sシリーズ)を挙げることができる。
また、本発明に用いられるアクリル樹脂は、繰り返し単位にアクリル酸またはメタクリル酸を含むポリマーであり、単独あるいは複数種のアクリル樹脂を用いることが可能である。具体的には、アクリル酸エステル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルニトリル樹脂、アクリルスチレンニトリル樹脂、アクリル酢ビ樹脂、メタクリル酸エステル樹脂などを好ましく用いることができる。これらのアクリル樹脂の中でも、より筆跡の定着性、耐擦性を向上させることを考慮すれば、アクリルスチレン樹脂が好ましく、さらに好ましくは、自己架橋型のアクリルスチレン共重合樹脂が好ましい。
上記アクリル樹脂の分子量は特に限定されないが、一般に質量平均分子量で1,000〜1,000,000のものが用いられる。
本発明に用いることができるアクリル樹脂としては具体的には、JONCRYLシリーズ(BASF株式会社製)、プライマルACシリーズ (ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、JSRAEシリーズ(JSR株式会社製)、モビニールシリーズ(日本合成化学工業株式会社製)ニカゾールシリーズ(日本カーバイド工業株式会社製)、ウルトラゾールシリーズ(アイカ工業株式会社製)などが挙げられる。
また、本発明に用いられるナイロン樹脂やポリエステル樹脂は、インキ組成物の発色性や筆跡の定着性、および耐擦性、の向上の効果を奏するものであれば特に限定されず、ナイロン樹脂としては、アミド結合の繰り返し単位と、脂肪族骨格とを有する重合体であって、例えば、共重合ナイロンであるセポルジョンPA(住友精化株式会社製)を挙げることが可能であり、ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物である飽和共重合ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、製品名:エリーテルKAシリーズ、KTシリーズ)が挙げられ、いずれも好ましく用いられる。
難水溶性樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%とすることが好ましく、さらには、0.2質量%〜5質量%でることがより好ましい。より好ましくは、0.5〜3質量%である。また、前記、ロジンの、インキ組成物全量に対する総含有量をA、前記難水溶性樹脂のインキ組成物全量に対する総含有量をBとした場合、0.1≦B/A≦2の範囲であることが好ましく、0.2≦B/A≦1.5の関係であることが好ましい、より考慮すれば、0.4≦B/A≦1.0が好ましい。難水溶性樹脂の含有量や、難水溶性樹脂の含有量とロジンの含有量との比が、上記数値範囲内であれば、より着色剤の被筆記面への定着性が高まると共に、優れた筆記性としやすいためである。
(溶媒)
溶媒としては、水、および水と有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水としては、イオン交換水、蒸留水および水道水などの慣用の水を用いることができる。また、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、有機溶剤としては、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールなどを用いることができる。グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの比較的沸点の高いジオール類またはトリオール類を用いることができるが、その配合量は少ないことが好ましい。なお、有機溶媒の含有率は、溶媒の総質量に対して、1質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましい。特にジオール類またはトリオール類の含有率は1質量%〜10質量%であることが好ましい。有機溶媒の含有率が溶媒の総質量に対して上記数値範囲内であれば、良好な、ドライアップ性能と筆跡乾燥性を両立させることができる。
溶媒としては、水、および水と有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水としては、イオン交換水、蒸留水および水道水などの慣用の水を用いることができる。また、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、有機溶剤としては、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールなどを用いることができる。グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの比較的沸点の高いジオール類またはトリオール類を用いることができるが、その配合量は少ないことが好ましい。なお、有機溶媒の含有率は、溶媒の総質量に対して、1質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましい。特にジオール類またはトリオール類の含有率は1質量%〜10質量%であることが好ましい。有機溶媒の含有率が溶媒の総質量に対して上記数値範囲内であれば、良好な、ドライアップ性能と筆跡乾燥性を両立させることができる。
水性インキ組成物における溶媒の含有量は、組成物の総質量を基準として、20質量%〜90質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましい。溶媒の含有量は、上記数値範囲内であれば、各成分を安定的に溶解または分散することができ、水性インキ組成物中で再分散性が容易な嵩高い凝集体を作ることができる。
(ポリオレフィン樹脂粒子)
また、本発明のインキ組成物はポリオレフィン樹脂粒子を用いることによって、筆跡により高い、定着性や耐擦性を付与することができる。ポリオレフィン樹脂粒子とは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ならびにそれらの混合物から成る、表面潤滑性を有する微粒子であり、筆跡が擦過等の外力を受けた際、筆跡に過剰な力が加わることを抑制するものであって、上述の難水溶性樹脂とは異なる種類のポリオレフィン樹脂である。
ポリオレフィンは、直鎖状ポリオレフィン、分岐鎖を有するポリオレフィン、官能基が導入された変性ポリオレフィンなどであってもよい。例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレンを用いる場合には、低密度ポリエチレン、直鎖状低分子ポリエチレン、高密度ポリエチレン、変性ポリエチレン、変性高密度ポリエチレンなどを用いることができる。これらのポリオレフィンの分子量は特に限定されないが、例えば質量平均分子量が500〜100,000であるポリオレフィンが好ましく、重量平均分子量が800〜5,000であることがさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の質量平均分子量が上記数値範囲内であれば、この水性インキ組成物をマーカーなどの筆記具に用いて筆記を行った場合に、形成される筆記線に対し、より高い滑性と、それに伴う高い耐擦性を付与することができ、良好な筆跡を得ることができる。ポリオレフィン樹脂粒子は、必要に応じてポリオレフィン以外の材料を含んでいてもよい。
そのため、前記難水溶性樹脂とポリオレフィン樹脂を併用して用いることで、筆跡の発色性や筆跡の定着性、耐擦性のより向上しやすいため、好ましく、特に、非浸透性の記録媒体に筆記する場合も、良好に筆記しやすい。
また、本発明のインキ組成物はポリオレフィン樹脂粒子を用いることによって、筆跡により高い、定着性や耐擦性を付与することができる。ポリオレフィン樹脂粒子とは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ならびにそれらの混合物から成る、表面潤滑性を有する微粒子であり、筆跡が擦過等の外力を受けた際、筆跡に過剰な力が加わることを抑制するものであって、上述の難水溶性樹脂とは異なる種類のポリオレフィン樹脂である。
ポリオレフィンは、直鎖状ポリオレフィン、分岐鎖を有するポリオレフィン、官能基が導入された変性ポリオレフィンなどであってもよい。例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレンを用いる場合には、低密度ポリエチレン、直鎖状低分子ポリエチレン、高密度ポリエチレン、変性ポリエチレン、変性高密度ポリエチレンなどを用いることができる。これらのポリオレフィンの分子量は特に限定されないが、例えば質量平均分子量が500〜100,000であるポリオレフィンが好ましく、重量平均分子量が800〜5,000であることがさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の質量平均分子量が上記数値範囲内であれば、この水性インキ組成物をマーカーなどの筆記具に用いて筆記を行った場合に、形成される筆記線に対し、より高い滑性と、それに伴う高い耐擦性を付与することができ、良好な筆跡を得ることができる。ポリオレフィン樹脂粒子は、必要に応じてポリオレフィン以外の材料を含んでいてもよい。
そのため、前記難水溶性樹脂とポリオレフィン樹脂を併用して用いることで、筆跡の発色性や筆跡の定着性、耐擦性のより向上しやすいため、好ましく、特に、非浸透性の記録媒体に筆記する場合も、良好に筆記しやすい。
ポリオレフィン樹脂粒子の形状は、特に限定されず、不定形、球状、針状、板状、方形など任意の形状をとることができる。
ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、0.1μm〜35μmであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、この水性インキ組成物をマーカーなどの筆記具に用いて筆記を行った場合に、形成される筆記線に対し、より高い滑性と、それに伴う高い耐擦性を付与することができ、良好な筆跡を得ることができる。また、高い耐擦性を付与するという観点からは、0.1μm〜25μmであることがより好ましく、0.5μm〜20μmであることがさらに好ましく、0.5μm〜15μmであることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法により測定することができる。
本発明に用いることができるポリオレフィン樹脂粒子としては、具体的には、ケミパールWシリーズ、ケミパールMシリーズ(いずれも商品名、三井化学株式会社製)、CERAFLOURシリーズ、Aquacerシリーズ、Aquamatシリーズ(いずれも商品名、ビックケミー株式会社製)などが挙げられる。
水性インキ組成物におけるポリオレフィン樹脂粒子の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であると最も好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子の含有量が上記数値範囲内であれば、インキ吐出性を維持することができるとともに、筆記線に対し、より高い滑性を付与することができる。
(補色顔料)
本発明による水性インキ組成物は、得られる筆記線の色彩を調整するため、補色顔料を含んでいてもよい。特に、主たる顔料粒子として白色の酸化チタンを選択した場合、補色顔料との組み合わせにより種々の発色を実現できる。補色顔料は、特に限定されず、赤、青、黄、緑、白、黒など様々な色の顔料を用いることができ、また、該顔料を溶媒に分散させ、顔料分散体としたものを用いることが可能である。補色顔料としては、例えば、SPシリーズ(冨士色素株式会社製)、SANDYESUPERCOLOURシリーズ(山陽色素株式会社製)、EMACOLシリーズ(山陽色素株式会社製)、ルミコールシリーズ(日本蛍光化学株式会社製)MICROPIGMOシリーズ(オリヱント化学工業株式会社製)、WAシリーズ(大日精化工業株式会社製)などが挙げられる。
本発明による水性インキ組成物は、得られる筆記線の色彩を調整するため、補色顔料を含んでいてもよい。特に、主たる顔料粒子として白色の酸化チタンを選択した場合、補色顔料との組み合わせにより種々の発色を実現できる。補色顔料は、特に限定されず、赤、青、黄、緑、白、黒など様々な色の顔料を用いることができ、また、該顔料を溶媒に分散させ、顔料分散体としたものを用いることが可能である。補色顔料としては、例えば、SPシリーズ(冨士色素株式会社製)、SANDYESUPERCOLOURシリーズ(山陽色素株式会社製)、EMACOLシリーズ(山陽色素株式会社製)、ルミコールシリーズ(日本蛍光化学株式会社製)MICROPIGMOシリーズ(オリヱント化学工業株式会社製)、WAシリーズ(大日精化工業株式会社製)などが挙げられる。
水性インキ組成物における補色顔料の含有量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、0.01〜15質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
(その他)
また、水性インキ組成物は、必要に応じて、体質材、防腐剤、消泡剤、防錆剤、pH調整剤、気泡抑制剤、気泡吸収剤、剪断減粘性付与剤および粘度調整剤などを含んでいてもよい。
また、水性インキ組成物は、必要に応じて、体質材、防腐剤、消泡剤、防錆剤、pH調整剤、気泡抑制剤、気泡吸収剤、剪断減粘性付与剤および粘度調整剤などを含んでいてもよい。
(筆記具用水性インキ組成物)
本発明による水性インキ組成物の粘度は低いことが好ましい。組成物の粘度の測定はE型回転粘度計(ブルックフィールド社製)を用いて行うことができる。具体的には、20℃における水性インキ組成物の粘度は、回転数が100rpm(剪断速度380sec−1)の条件で測定した場合、1〜100mPa・sであることが好ましく、2〜70mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは5〜40mPa・sである。また、回転数が10rpm(剪断速度38sec−1)の条件で測定した場合、1〜600mPa・sであることが好ましく、5〜200mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、10〜100mPa・sである。回転数が1rpm(剪断速度3.8sec−1)においては、1〜3000mPa・sであることが好ましく、10〜1500mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、20〜400mP・sである。水性インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、マーカーなどの筆記用具に使用した場合のインキ吐出性を向上させることができ、またフィルムなど非浸透性の記録媒体への筆記性が向上する。
本発明による水性インキ組成物の粘度は低いことが好ましい。組成物の粘度の測定はE型回転粘度計(ブルックフィールド社製)を用いて行うことができる。具体的には、20℃における水性インキ組成物の粘度は、回転数が100rpm(剪断速度380sec−1)の条件で測定した場合、1〜100mPa・sであることが好ましく、2〜70mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは5〜40mPa・sである。また、回転数が10rpm(剪断速度38sec−1)の条件で測定した場合、1〜600mPa・sであることが好ましく、5〜200mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、10〜100mPa・sである。回転数が1rpm(剪断速度3.8sec−1)においては、1〜3000mPa・sであることが好ましく、10〜1500mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、20〜400mP・sである。水性インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、マーカーなどの筆記用具に使用した場合のインキ吐出性を向上させることができ、またフィルムなど非浸透性の記録媒体への筆記性が向上する。
水性インキ組成物の表面張力は、20℃環境下において、10〜35mN/mが好ましい。表面張力が上記数値範囲内であれば、筆記線の滲みや、紙への裏抜けを防ぐことができる傾向にあると共に、水性インキ組成物のぬれ性を改善し、該非浸透性の記録媒体に対する筆跡カスレ・中抜けなどを良好として、筆記性を向上させることができる。筆記性をより考慮すれば、水性インキ組成物の表面張力は、20〜30mN/mが好ましく、特に、本発明においては、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤は、水性インキ組成物の表面張力の調整に好適であるため、用いることが好ましい。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
水性インキ組成物のpHは、6〜10であることが好ましく、7〜9であることがより好ましい。水性インキ組成物のpHが上記数値範囲内であれば、組成物の変色や過度な高粘度化を抑制することが可能であり、また、組成物に、シリカまたはアルミナ、を有する無機酸化物で処理された顔料を用いる場合、前記顔料分散剤をさらに用いることによって、顔料の分散性や再分散性をより向上させることができる。
本発明において、pHの値は、例えばIM−40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)により20℃にて測定することができる。
本発明において、pHの値は、例えばIM−40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)により20℃にて測定することができる。
本願発明による水性インキ組成物が、優れた発色性と定着性を発現する理由は、詳細には解明されていないが、以下の様なメカニズムによるものと推定される。
水性インキ組成物として着色剤だけを溶媒に分散させた場合、この着色剤分散体は、プラスチック等、表面張力が低い非浸透面に筆記した際にはじかれやすい。このため、一般的には浸透剤を添加することによって、インキ組成物の表面張力を下げ、非浸透面への濡れ性を向上させている。
しかしその一方で、分散の際に、着色剤の溶媒濡れが容易となって、着色剤が微細な粒子へ解砕されるために、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体に筆記した際には、着色剤が紙、布等の繊維間の隙間を通って被筆記部分周辺や被筆記体内部に入り込み、筆跡の発色性が低下してしまう。
しかしその一方で、分散の際に、着色剤の溶媒濡れが容易となって、着色剤が微細な粒子へ解砕されるために、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体に筆記した際には、着色剤が紙、布等の繊維間の隙間を通って被筆記部分周辺や被筆記体内部に入り込み、筆跡の発色性が低下してしまう。
本発明における水性インキ組成物は、さらにロジンを組み合わせて、このような課題を解決したものである。
本発明による水性インキ組成物の場合、解砕された着色剤粒子とロジンとが吸着し、嵩高い凝集体が形成される。この結果、紙、布等の繊維間の隙間が大きい被筆記体に筆記した際には、嵩高い凝集体は繊維間の隙間を通過することなく、被筆記面の表面において繊維に吸着し、また、非浸透面へ筆記した際においても、凝集体は被筆記面に吸着しやすいため、発色性や筆跡の定着性が良くなると考えられる。
さらに、難水溶性樹脂を用いることにより、難水溶性樹脂は、着色剤や嵩高い凝集体と結合することによって、着色剤や嵩高い凝集体の、定着性や耐擦性をより高めることができるため、筆跡の発色性をさらに向上させることができる。
また、本発明による水性インキ組成物は、ポリオレフィン樹脂粒子を含むことにより、耐擦性が著しく改良される。この理由は、以下の様な理由によるものと推定される。本発明による水性インキ組成物を用いて形成させた筆跡は、被筆記表面に前記した嵩高い凝集体とポリオレフィン樹脂粒子とが配置されることで形成されている。ポリオレフィン樹脂粒子の表面は摩擦抵抗が小さいため、筆跡表面が擦過された際には、筆跡へ過剰な外力が加わることが抑制され、筆跡が剥がれるなどの影響を受けない。そして、擦過が進むと、ポリオレフィン樹脂粒子に力が加わることや摩擦熱などにより変形して、筆跡表面を被覆していく。この結果、筆跡表面がポリオレフィン樹脂で被覆され、ポリオレフィン樹脂により、筆跡表面の摩擦係数が低くなり、筆跡が保護されるものと推定される。
本発明による水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
(筆記具)
本発明の水性インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン芯またはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペン、金属製のペン先を用いた万年筆などの筆記具に用いることができる。その中でも、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する筆記性を良好にするには、ペン先が、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップから成るペン芯やボールペンチップであることが好ましい。さらには、マーキングペンまたはボールペンに用いることがより好ましい。特には、ボールペンに本発明の水性インキ組成物を用いた場合、該ボールペンで本発明の組成物によって形成された筆跡上に筆記する際に、筆跡上に手脂等が付着している場合においても、ロジンの有する滑り止め効果によりボールペンチップのボールが滑りにくくなり、筆跡途切れが抑制されるため、本発明の組成物はボールペンに特に好ましく用いられる。
前記ペン芯の気孔径は、嵩高い凝集体が通過できる程度の気孔径であれば任意に設定することが可能で有り、気孔率は、50〜80%とすることが好ましい。前記ペン芯の気孔率が上記数値範囲内であれば、前記顔料の目詰まりがなく、適切なインキ吐出量を維持することができる。
本発明の水性インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン芯またはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペン、金属製のペン先を用いた万年筆などの筆記具に用いることができる。その中でも、フィルムなど非浸透性の記録媒体に対する筆記性を良好にするには、ペン先が、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップから成るペン芯やボールペンチップであることが好ましい。さらには、マーキングペンまたはボールペンに用いることがより好ましい。特には、ボールペンに本発明の水性インキ組成物を用いた場合、該ボールペンで本発明の組成物によって形成された筆跡上に筆記する際に、筆跡上に手脂等が付着している場合においても、ロジンの有する滑り止め効果によりボールペンチップのボールが滑りにくくなり、筆跡途切れが抑制されるため、本発明の組成物はボールペンに特に好ましく用いられる。
前記ペン芯の気孔径は、嵩高い凝集体が通過できる程度の気孔径であれば任意に設定することが可能で有り、気孔率は、50〜80%とすることが好ましい。前記ペン芯の気孔率が上記数値範囲内であれば、前記顔料の目詰まりがなく、適切なインキ吐出量を維持することができる。
本発明の筆記具は、水性インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、水性インキ組成物を充填することのできるインキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。また、着色剤を再分散させるために、インキ収容体にはインキを攪拌する攪拌ボールなどの攪拌体を内蔵することが好ましい。さらに、前記攪拌体の形状は、球状体、棒状体などが挙げられる。攪拌体の材質は特に限定されるものではないが、具体例としては、金属、セラミック、樹脂、硝子などを挙げることができ、これらの中でも、着色剤を再分散させるための攪拌力、を考慮すれば、金属材質を用いることが好ましく、コストを考慮すれば、硝子材料を用いることが好ましい。なお、撹拌体は、複数個、複数種類の材質を用いても良い。
本発明の筆記具の出没機構は、特に限定されず、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式、ノック式、回転式およびスライド式などが挙げられる。また、軸筒内にペン先を収容可能な出没式であってもよい。
また、筆記具におけるインキ供給機構についても特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束などからなるインキ誘導芯をインキ流量調節部材として備え、水性インキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、水性インキ組成物をペン先に供給する機構、(3)弁機構によるインキ流量調節部材を備え、水性インキ組成物をペン先に供給する機構、および(4)ペン先を具備したインキ収容体または軸筒より、水性インキ組成物を直接、ペン先に供給する機構などを挙げることができる。
一実施形態において、筆記具は、マーキングペンであり、ペン先は、特に限定されず、例えば、繊維チップ、フェルトチップまたはプラスチックチップなどであってよく、さらに、その形状は、砲弾型、チゼル型または筆ペン型などであってよい。
一実施形態において、筆記具は、ボールペンであり、インキ逆流防止体を備えたボールペンであることが好ましい。
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
(実施例1)
下記原材料および配合量にて、室温で1時間攪拌混合することにより、筆記具用インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度をE型回転粘度計(DV−II+Pro、コーン型ローターCPE−42、ブルックフィールド社製)により測定し、その粘度を元に粘性指数を算出した。具体的には、20℃、剪断速度380sec−1(回転速度100rpm)における粘度は13.44mPa・sであり、剪断速度38sec−1(回転速度10rpm)における粘度は16.14mPa・sであった。
さらに、IM−40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて水性インキ組成物のpHを測定した結果、pHは8.2であった。
また、得られた水性インキ組成物の表面張力を、表面張力計測器(20℃環境下、垂直平板法、協和界面科学株式会社製)により測定したところ、27.4mN/mであった。
・着色剤 30質量%
(シリカ、アルミナにより表面処理された酸化チタン、平均粒子径0.26μm、堺化学工業株式会社製、商品名:GTR−100)
・浸透剤 0.4質量%
(アセチレン結合を有する界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:ダイノール604、HLB:8、有効成分100%)
・顔料分散剤 1.5質量%
(カチオン性吸着基を有する界面活性剤、固形分含有量52%、ビックケミー株式会社製、商品名:DISPER BYK−184)
・ロジン 10質量%
(アビエチン酸を有するロジンのエマルション、固形分含有量50%、星光PMC株式会社製、商品名:サイズ剤AL1203)
・難水溶性樹脂 10質量%
(自己乳化型ポリオレフィン樹脂ディスパージョン、固形分含有量25%、住友精化株式会社製、商品名:ザイクセンL)
・ジエチレングリコール 2質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン) 3.6質量%
・消泡剤 0.3質量%
(ビックケミー株式会社製、商品名BYK−024)
・防腐剤 0.2質量%
(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL−2)
・イオン交換水 42.00質量%
(実施例1)
下記原材料および配合量にて、室温で1時間攪拌混合することにより、筆記具用インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物の粘度をE型回転粘度計(DV−II+Pro、コーン型ローターCPE−42、ブルックフィールド社製)により測定し、その粘度を元に粘性指数を算出した。具体的には、20℃、剪断速度380sec−1(回転速度100rpm)における粘度は13.44mPa・sであり、剪断速度38sec−1(回転速度10rpm)における粘度は16.14mPa・sであった。
さらに、IM−40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃にて水性インキ組成物のpHを測定した結果、pHは8.2であった。
また、得られた水性インキ組成物の表面張力を、表面張力計測器(20℃環境下、垂直平板法、協和界面科学株式会社製)により測定したところ、27.4mN/mであった。
・着色剤 30質量%
(シリカ、アルミナにより表面処理された酸化チタン、平均粒子径0.26μm、堺化学工業株式会社製、商品名:GTR−100)
・浸透剤 0.4質量%
(アセチレン結合を有する界面活性剤、日信化学工業株式会社製、商品名:ダイノール604、HLB:8、有効成分100%)
・顔料分散剤 1.5質量%
(カチオン性吸着基を有する界面活性剤、固形分含有量52%、ビックケミー株式会社製、商品名:DISPER BYK−184)
・ロジン 10質量%
(アビエチン酸を有するロジンのエマルション、固形分含有量50%、星光PMC株式会社製、商品名:サイズ剤AL1203)
・難水溶性樹脂 10質量%
(自己乳化型ポリオレフィン樹脂ディスパージョン、固形分含有量25%、住友精化株式会社製、商品名:ザイクセンL)
・ジエチレングリコール 2質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン) 3.6質量%
・消泡剤 0.3質量%
(ビックケミー株式会社製、商品名BYK−024)
・防腐剤 0.2質量%
(ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL−2)
・イオン交換水 42.00質量%
(実施例2〜25、比較例1〜4)
実施例1に対して、配合する成分の種類や添加量を表1〜3に示したとおりに変更して、実施例2〜25、比較例1〜4のインキ組成物を得た。
実施例1〜25、比較例1〜4のインキ組成物における、顔料表面電荷数値の正負符号は以下の通りであった。
・実施例1〜8、11〜25(負の値)
・比較例1〜4(負の値)
・実施例9〜10(正の値)
実施例1に対して、配合する成分の種類や添加量を表1〜3に示したとおりに変更して、実施例2〜25、比較例1〜4のインキ組成物を得た。
実施例1〜25、比較例1〜4のインキ組成物における、顔料表面電荷数値の正負符号は以下の通りであった。
・実施例1〜8、11〜25(負の値)
・比較例1〜4(負の値)
・実施例9〜10(正の値)
・顔料(1)シリカ、アルミナにより表面処理された酸化チタン(平均粒子径:0.26μm、堺化学工業株式会社製、商品名:GTR−100)
・顔料(2)シリカ、アルミナにより表面処理された酸化チタン(平均粒子径:0.25μm、テイカ株式会社製、商品名:JR−707)
・顔料(3)シリカ、アルミナ、酸化亜鉛により表面処理された酸化チタン(平均粒子径:0.27μm、テイカ株式会社製、商品名:JR−701)
・顔料(4)アルミナにより表面処理された酸化チタン(平均粒子径:0.23μm、堺化学工業株式会社製、商品名:R−32)
・顔料(5)アルミナにより表面処理された酸化チタン(平均粒子径:0.21μm、テイカ株式会社製、商品名:JR−405)
・浸透剤(1)アセチレン結合を有する界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:ダイノール604、HLB:8、有効成分100%)
・浸透剤(2)アセチレン結合を有する界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール104H、HLB:4、有効成分75%)
・浸透剤(3)アセチレン結合を有する界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール485、HLB:17.5、有効成分100%)
・顔料分散剤(1)カチオン性吸着基を有する顔料分散剤(ビッグケミー株式会社製、商品名:DISPER BYK−184)
・顔料分散剤(2)アニオン性吸着基を有する顔料分散剤(ビックケミー株式会社製、商品名:DISPER BYK−190)
・ロジン(1)アビエチン酸を有するロジン(エマルション、固形分含有量50%、平均粒子径:0.3μm、星光PMC株式会社製、商品名:サイズ剤AL1203)
・ロジン(2)アビエチン酸を有するロジン(エマルション、固形分含有量50%、平均粒子径:0.3μm、星光PMC株式会社製、商品名:サイズ剤AL1309)
・難水溶性樹脂(1)自己乳化型ポリオレフィン樹脂ディスパージョン(固形分含有量25%、住友精化株式会社製、商品名:ザイクセンL)
・難水溶性樹脂(2)アクリル樹脂エマルション(固形分含有量42%、BASF株式会社製、商品名:JONCRYL PDX−7370)
・粘度調整剤 セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%水溶液、信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ65SH−50)
・pH調整剤 トリエタノールアミン
・ポリオレフィン樹脂粒子(1) 変性ポリエチレンワックス(平均粒子径:8μm、固形分:100%、ビックケミー株式会社製、商品名:CERAFLOUR929)
・ポリオレフィン樹脂粒子(2) 変性ポリエチレンワックス(平均粒子径:6μm、固形分:100%、ビックケミー株式会社製、商品名:CERAFLOUR925)
・ポリオレフィン樹脂粒子(3) 低密度ポリエチレン(平均粒子径:6μm、40%ディスパージョン、三井化学株式会社製、商品名:ケミパールM200)
・ポリオレフィン樹脂粒子(4) 低分子量ポリエチレン(平均粒子径:0.6μm 40%ディスパージョン 三井化学株式会社製、商品名:ケミパールW4005)
・ジエチレングリコール
・SandyeSuperColour BLUE GLL−E(有機顔料水分散体、固形分含有量32%、山陽色素株式会社製)
・SandyeSuperColour RED 1321−E(有機顔料水分散体、固形分含有量35%山陽色素株式会社製)
調製した水性インキ組成物について、下記の通り、評価を行った。得られた結果は表1〜3に記載したとおりであった。
また、評価試験で用いるマーキングペンは、以下のようなマーキングペンを作成し用いた。
マーキングペン:ペン先を具備したマーキングペンのインキ収容体(内寸:長さ80mm、直径16mm)に、直径8mmの金属材からなる球状体の撹拌体、及び容積6cm3のインキ組成物を内蔵し、実施例1〜25および、比較例1〜4で得られた水性インキ組成物を充填し、ペン先に水性インキ組成物を染み込ませ、ペン先には、気孔率60%の砲弾型ポリエステル繊維芯のペン芯を用いたマーキングペンとして、筆記を行った。
また、評価試験で用いるマーキングペンは、以下のようなマーキングペンを作成し用いた。
マーキングペン:ペン先を具備したマーキングペンのインキ収容体(内寸:長さ80mm、直径16mm)に、直径8mmの金属材からなる球状体の撹拌体、及び容積6cm3のインキ組成物を内蔵し、実施例1〜25および、比較例1〜4で得られた水性インキ組成物を充填し、ペン先に水性インキ組成物を染み込ませ、ペン先には、気孔率60%の砲弾型ポリエステル繊維芯のペン芯を用いたマーキングペンとして、筆記を行った。
(筆記性の評価)
上記マーキングペンにより、筆記試験を行った。その際の筆跡の発色性を目視により観察した。なお、筆記試験用の媒体としてプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)を用いた。
A:はじき、かすれもなく、筆跡が良好なもの
B:若干、はじき、かすれはあるものの実用上問題がないもの
C:はじき、かすれがあるが、実用可能なもの
D:はじき、かすれがひどく、実用上懸念があるもの
E:はじき、かすれがひどく、筆跡の認識ができず、実用不可能なもの
上記マーキングペンにより、筆記試験を行った。その際の筆跡の発色性を目視により観察した。なお、筆記試験用の媒体としてプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)を用いた。
A:はじき、かすれもなく、筆跡が良好なもの
B:若干、はじき、かすれはあるものの実用上問題がないもの
C:はじき、かすれがあるが、実用可能なもの
D:はじき、かすれがひどく、実用上懸念があるもの
E:はじき、かすれがひどく、筆跡の認識ができず、実用不可能なもの
(筆跡発色性の評価)
ペン先には、気孔率60%の砲弾型ポリエステル繊維芯のチップを用いた。このマーカーにより、筆記試験媒体に筆記を行った。その際の筆跡の発色性を目視により観察した。なお、筆記試験用の媒体として綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)及びプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)を用いた。
A:筆跡に色ムラが無く、鮮明なもの
B:若干筆跡に色ムラがあるが、実用上問題のないもの
C:筆跡に色ムラがあり、濃度が薄い。実用上懸念があるもの
ペン先には、気孔率60%の砲弾型ポリエステル繊維芯のチップを用いた。このマーカーにより、筆記試験媒体に筆記を行った。その際の筆跡の発色性を目視により観察した。なお、筆記試験用の媒体として綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)及びプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)を用いた。
A:筆跡に色ムラが無く、鮮明なもの
B:若干筆跡に色ムラがあるが、実用上問題のないもの
C:筆跡に色ムラがあり、濃度が薄い。実用上懸念があるもの
(耐擦性試験の評価)
上記マーキングペンにより、綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)及びプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)上に筆記を行った。この筆記線を1日放置後、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、荷重200g下・綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)にて50往復擦り、擦った後の筆跡を初期の筆跡と比べて、下記基準に従って、耐擦性を評価した。
A:筆跡剥離がないもの
B:筆跡剥離が若干あるものの実用上問題がないもの
C:筆跡剥離があるが、実用可能なもの
D:筆跡剥離があり、実用上懸念があるもの
E:筆跡剥離が多く、実用不可能なもの
上記マーキングペンにより、綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)及びプラスチックフィルム(ポリプロピレン製)上に筆記を行った。この筆記線を1日放置後、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、荷重200g下・綿布(日清紡製、60番手、コットンローン)にて50往復擦り、擦った後の筆跡を初期の筆跡と比べて、下記基準に従って、耐擦性を評価した。
A:筆跡剥離がないもの
B:筆跡剥離が若干あるものの実用上問題がないもの
C:筆跡剥離があるが、実用可能なもの
D:筆跡剥離があり、実用上懸念があるもの
E:筆跡剥離が多く、実用不可能なもの
Claims (8)
- 無機酸化物で表面処理された顔料と、浸透剤と、ロジンと、溶媒とを含み、該浸透剤が4〜18のHLB値を有する界面活性剤である、筆記具用水性インキ組成物。
- 難水溶性樹脂をさらに含む請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記顔料が、シリカまたはアルミナで表面被覆された顔料である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記顔料が、シリカまたはアルミナで表面被覆された酸化チタンである請求項3に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記難水溶性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、またはポリエステル樹脂の中から1種以上選択されたものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- アニオン性吸着基またはカチオン性吸着基を有する顔料分散剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記浸透剤がアセチレングリコール結合を有する界面活性剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。
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JP2017072633A JP2018172585A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=64107085
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JP (1) | JP2018172585A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210009827A1 (en) * | 2019-07-09 | 2021-01-14 | Seiko Epson Corporation | Solvent-based ink composition |
-
2017
- 2017-03-31 JP JP2017072633A patent/JP2018172585A/ja active Pending
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