JP2018167962A - 吊り荷の移送方法及びクレーン - Google Patents

吊り荷の移送方法及びクレーン Download PDF

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Abstract

【課題】クレーンにおいて吊り荷をロープで吊り上げて吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れが、時間とともに大きくなるか否かを、早期に判定することができる吊り荷の移送方法及びクレーンを提供する。【解決手段】クレーンを用いて吊り荷の移送をするときに発生する吊り荷の振れを止める振れ止め制御を行う。この吊り荷の振れの発生中あるいは振れ止め制御中、前記吊り荷の振れの最大振れ角度の予測値、吊り荷を移送するトロリから前記吊り荷に流入する前記吊り荷の単位質量当たりのエネルギ流量、及び前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つの物理量を算出する。この物理量の算出の結果、前記物理量が許容範囲を外れた場合、前記吊り荷の移送を停止する。【選択図】 図3

Description

本発明は、クレーンにおける吊り荷の移送方法及びクレーンに関する。
吊り荷を吊り上げるクレーン、例えばコンテナクレーンによる荷役作業においては、ロープでコンテナを吊り上げるとき、さらには、吊り上げたコンテナを移動させるとき、コンテナに振れが発生する。コンテナが振れていると、目標の位置へ到達した際に,この振れが収まるまでは正確な位置へコンテナを降ろすことができず、作業効率が低下する。
このため、コンテナをクレーンで吊り上げて移送するとき、コンテナの振れを小さくするような制御が行われることが好ましい。
コンテナの振れを抑制するためにはコンテナの振れ角を正確に検出することが必要である。振れ角検出のために、ロープの基部側の支点付近に、ロープに追従するロッドを取り付け、該ロッドの角度として吊り荷の振れ角を検出する技術が知られている(特許文献1)。
特開2014−97893号公報
しかし、上記技術は、コンテナの振れ角度を知ることはできても、コンテナの移送中、コンテナの振れが徐々に大きくなるか、あるいは徐々に小さくなるかを知るには、振れ角度の最大角度である最大振れ角度の時間的推移を把握しなければならない。振れ角度が徐々に大きくなる、すなわち、コンテナの振れが徐々に大きくなることは、コンテナがクレーンの構造物に接触するあるいは衝突する等の危険な状態に繋がるので、回避しなければならない。
このため、コンテナの振れが徐々に大きくなる傾向を、可能な限り早期に判定して移送を中止し、振れを抑制する等の対応をすることが好ましい。
そこで、本発明は、クレーンにおいて吊り荷をロープで吊り上げて吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れが、時間とともに大きくなるか否かを、早期に判定することができる吊り荷の移送方法及びクレーンを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、クレーンを用いた吊り荷の移送方法である。当該移送方法は、
クレーンがロープで吊り荷を吊り上げて前記吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れを止める振れ止め制御を行うステップと、
前記吊り荷の振れの発生中あるいは前記振れ止め制御中、前記吊り荷の振れの最大振れ角度の予測値、前記トロリから前記吊り荷に流入する前記吊り荷の単位質量当たりのエネルギ流量、及び前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つの物理量を算出するステップと、
前記算出した前記物理量が許容範囲を外れた場合、前記振れが時間とともに増大すると判定し前記吊り荷の移送を停止するステップと、を含む。
前記最大振れ角度の予測値は、前記振れによる前記吊り荷の前記トロリに対する相対位置の変動中、前記吊り荷の振れ角度の計測情報と前記ロープ長の情報を取得後、取得した前記振れ角度の計測情報と前記ロープ長の情報を用いて、変動中の前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に予測する、ことが好ましい。
前記吊り荷の振れ角度をφ、前記ロープのロープ長をl、前記吊り荷の振れ角速度をφ’、及び、重力加速度をg、としたとき、前記最大振れ角度は、cos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}として求められる、ことが好ましい。
前記エネルギ流量及び前記蓄積エネルギ量は、前記吊り荷の振れ角速度の2乗と前記ローブのロープ長の時間微分との積の情報を含んだ物理量である、ことが好ましい。
前記許容範囲は、前記予め設定された前記物理量の閾値で定められた範囲である、ことが好ましい。
前記振れ止め制御は、前記吊り荷の前記振れが小さくなるように前記トロリの速度を変動させることによって行われ、
前記吊り荷の移送方法は、さらに、前記吊り荷の移送中、前記振れ止め制御を数学モデルで再現した制御シミュレーションモデルを用いて、前記吊り荷の振れ止めを再現するステップを含み、
算出する前記物理量は、前記蓄積エネルギ量である。
このとき、前記許容範囲は、前記制御シミュレーションモデルで再現した前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量に対して予め設定された許容幅を持った範囲である、ことも好ましい。
前記振れ止め制御は、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を変更することで行われる、ことが好ましい。
前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記トロリの速度の指令情報は生成される、ことが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、クレーンである。当該クレーンは、
トロリ、吊り荷を吊り上げる前記トロリから延びるロープ、及び前記トロリの移動経路を形成するレール、を備えるクレーン本体部と、
前記吊り荷の吊り上げと前記トロリの移送を制御する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、
前記ロープが吊り荷を吊り上げて前記トロリが前記吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れを止めるように振れ止め制御を行う振れ止め制御部と、
前記吊り荷の振れの発生中、前記吊り荷の振れの最大振れ角度の予測値、前記トロリから前記吊り荷に流入する前記吊り荷の単位質量当たりのエネルギ流量、及び前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つの物理量を算出する物理量算出部と、
前記算出した前記物理量が許容範囲を外れるか否かによって、前記振れが時間とともに増大するか否かを判定する判定部と、
前記物理量が許容範囲を外れた場合、前記吊り荷の移送を停止する前記吊り荷の移送を停止する信号を生成する移送動作指示部と、
を含む。
前記物理量算出部は、前記吊り荷の振れ角度をφ、前記ロープのロープ長をl、前記吊り荷の振れ角速度をφ’、及び、重力加速度をg、としたとき、前記最大振れ角度を、cos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}として求める、ことが好ましい。
前記物理量算出部は、前記エネルギ流量あるいは前記蓄積エネルギ量を前記物理量として求め、前記エネルギ流量あるいは前記蓄積エネルギ量は、前記吊り荷の振れ角速度の2乗と前記ローブのロープ長の時間変化との積の情報を含んだ物理量である、ことが好ましい。
前記許容範囲は、前記予め設定された前記物理量の閾値で定められた範囲である、ことが好ましい。
前記振れ止め制御部は、前記吊り荷の前記振れが小さくなるように前記トロリの速度を変動させる制御を前記振れ止め制御として行い、
前記振れ止め制御部は、さらに、前記吊り荷の移送中、前記振れ止め制御を数学モデルで再現する制御シミュレーションモデルを備える。
このとき、前記許容範囲は、前記制御シミュレーションモデルで再現した前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量に対して予め設定された許容幅を持った範囲である、ことも好ましい。
前記振れ止め制御部は、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて変更する、ことが好ましい。
前記振れ止め制御部は、前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記トロリの速度の指令情報を生成する、ことが好ましい。
上記態様の吊り荷の移送方法及びクレーンによれば、クレーンにおいて吊り荷をロープで吊り上げて吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れが、時間とともに大きくなるか否かを、早期に判定することができる。
本実施形態で用いるコンテナクレーンの構成の一例を示す図である。 本実施形態のコンテナクレーンにおけるコンテナの振れ角度φ、コンテナの振れ変位、及びトロリの位置xを模式的に説明する図である。 本実施形態における制御装置の構成の一例を説明する図である。 本実施形態における制御装置の振れ止め制御部の構成の一例を説明する図である。 本実施形態における制御装置の振れ止め制御部の制御の一例を説明する図である。 本実施形態におけるフィードバック制御システムを再現したシミュレーションモデルを用いてコンテナの振れ止めの抑制をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 本実施形態における制御装置の判定部の構成の一例を示す図である。 本実施形態における振れ止め制御部のシミュレーション計算部が行うコンテナの振れ止め制御の一例を説明する図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。 図8に示すシミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。
以下、本発明の吊り荷の移送方法及びクレーンを詳細に説明する。
本実施形態では、コンテナを吊り荷とするが、吊り荷はコンテナに限定されない。吊り荷をロープで吊り上げ、吊り上げた吊り荷を、トロリを用いて移動するものであれば、吊り荷及びクレーンはコンテナ及びコンテナクレーンに限定されない。
図1は、本実施形態で用いるコンテナクレーン4の構成の一例を示す図である。コンテナクレーン4は、岸壁に設けられ、コンテナ船とコンテナヤードとの間で、コンテナの積み卸しを行なう装置である。図1には、コンテナ船1等を係留する岸壁2のコンテナヤードとコンテナ船1との間でコンテナ3の積み卸しを行うコンテナクレーン4を示している。コンテナクレーン4は、岸壁2上に岸壁に沿って移動自在に設けられた前脚5及び後脚6を有している。前脚5及び後脚6の頂部には、ガーダ9aが水平に設けられている。ガーダ9aの海側端には、コンテナ船1の接岸時に邪魔にならないように、起伏自在にブーム9bが取り付けられている。ガーダ9a及びブーム9bによって構成された水平梁9は、バックステー10によって補強されている。
コンテナクレーン4は、クレーン本体部12と、制御装置20と、駆動装置40と、を主に有する。
クレーン本体部12は、トロリ7、コンテナ3を吊り上げるトロリ7に接続されたロープ8、及びトロリ7の移送経路を形成するレール11、を備える。ロープ8はトロリ7から延びている。
トロリ7は、水平梁9に設けられたレール11上を移動する。トロリ7には、コンテナ3を吊るロープ8とコンテナのサイズに合わせて把持部を伸縮させるスプレッダ(図示されない)と、トロリ7の移動機構と、が設けられている。トロリ7は、コンテナ3を吊り上げて、コンテナ船1とコンテナヤードの間を移動する。このとき、トロリ7の目標位置xTrefに対する位置制御を含んだコンテナ3の振れ止めフィードバック制御が行なわれる。コンテナ3を吊り上げた際あるいはコンテナ3を移送する際、コンテナ3とトロリ7の位置ずれやコンテナ3の移送に伴った加速度等により、コンテナ3は、コンテナ3を吊っているロープ8のロープ長に応じた振り子振動、すなわち、振れが発生し易い。本実施形態では、この振れが時間とともに増大するか否かを判定し、振れが増大する場合、振れを止める振れ止め制御を行なう。
図2は、本実施形態のコンテナクレーン4におけるコンテナ3の振れ角度φ、コンテナ3の振れ変位x、及びトロリ7の位置xを模式的に説明する図である。
振れ角度φは、トロリ7のロープ8が鉛直方向に垂れた鉛直下方向の直線を基準とした角度である。コンテナ3の振れ変位xは、トロリ7からロープ8が延びる位置を基準とした相対的な位置(コンテナ3の移送方向における位置)であり、ロープ8のロープ長lとすると、x=l・φとして表される。トロリ7の位置xは、所定の基準位置からのレール11に沿った方向の距離を表す。ロープ長lは、コンテナ3を吊り上げるため時間的に変化する。振れ角度φも時間的に変化する。コンテナ3の振れ速度はφ’として表されている。トロリ7は、コンテナ3の振れ止め制御を行うとき、微小にトロリ7の位置xが変動する、あるいはトロリ7の速度vが変動することにより、コンテナ3の振れ止め抑制が行われる。
本実施形態のコンテナクレーン4のトロリ7には、トロリ7からコンテナ3を画像として撮像する撮像装置7a(図2参照)が設けられている。撮像装置7aは、撮像された画像からコンテナ3の振れ変位xを求め、制御装置20に送るように構成されている。さらに、コンテナクレーン4には、トロリ7の移送する速度を計測するセンサ7bが設けられている。センサ7bは、トロリ7の速度vを制御装置20に出力する。
制御装置20は、コンテナ3の吊り上げとトロリ7の移送を制御する。具体的には、制御装置20は、コンテナ3のロープ8による吊り上げの制御信号及びコンテナ3の移送の制御信号(具体的には、後述するトロリ7の速度指令値u)を駆動装置40に送る。さらに、制御装置20は、ロープ8で吊り上げられて移送されるコンテナ3の振れが時間とともに増大するか否かを、算出した物理量が許容範囲を外れるか否かによって判定し、判定結果に応じてコンテナ3の移送を停止する制御信号を駆動装置40に送る。さらに、制御装置20は、移送が停止した後、振れが抑制されるように振れ止め制御を行う。
駆動装置40は、ロープ8の巻上げ及びコンテナ3の移送を行う装置であり、これらの動作は、制御装置20から送られる制御信号に基づいて行われる。
図3は、制御装置20の構成の一例を説明する図である。
制御装置20は、コンピュータで構成されている。制御装置20は、物理量算出部22、判定部24、移送動作指示部26、及び振れ止め制御部28を有する。物理量算出部22、判定部24、移送動作指示部26、及び振れ止め制御部28の各部分は、コンピュータのメモリに記録したプログラムをコンピュータが呼び出し起動することにより形成されるソフトウェアモジュールである。このため、各部分の機能は、実質的には、プログラムに従がってコンピュータの中央演算ユニット(CPU)が司る。
物理量算出部22には、トロリ7がロープ8でコンテナ3を吊り上げて移送するときに発生するコンテナ3の振れによるコンテナ3の振れ変位xの計測情報、トロリ7の速度vの計測情報、及びロープ8の情報が時系列的にトロリ7から送られてくる。物理量算出部22は、この計測情報から、コンテナ3の振れ速度v及びトロリ7の位置xの情報を取得する。コンテナ3の振れ速度vは、振れ変位xの時間変化Δx(一定のサンプリング時間間隔Δtで送られてくる振れ変位xの隣り合う振れ変位のデータx1、x2の差分)を振れ変位xのサンプリング時間間隔Δtで除算することにより得られる。トロリ7の位置xは、トロリ7が基準位置に位置する時刻から現時刻までトロリ7の速度vを積分(累積)することにより、得られる。
また、物理量算出部22は、トロリ7の加速度v’を、トロリ7の速度vの時間変化Δv(一定のサンプリング時間間隔Δtで送られてくるトロリ7の速度vの隣り合う速度のデータ)v1、v2の差分)をトロリ7の速度vのサンプリング時間間隔Δtで除算することにより算出する。
さらに、物理量算出部22は、ロープ長lの時系列のデータから、ロープ長lの時間変化Δl(一定のサンプリング時間間隔Δtで送られてくるロープ長lの隣り合うデータl1、l2の差分)をロープ長lのサンプリング時間間隔Δtで除算することにより、ロープ長の時間微分l’を算出する。
さらに、物理量算出部22は、コンテナ3の振れ角速度φ’を、コンテナ3の振れ変位xとロープ長lから求められるコンテナ3の振れ角度φの時間変化分をサンプリング時間間隔Δtで除算することにより算出する。
物理量算出部22は、取得したコンテナ3の位置x及び振れ速度vと、トロリ7の位置x及び速度vと、ロープ長lの情報を、振れ止め制御部28に送る。
物理量算出部22は、さらに、コンテナ3の振れの発生中、コンテナ3の振れに関する物理量を算出する。
ここで、物理量は、コンテナ3の振れの最大振れ角度の予測値、トロリ7からコンテナ3に流入するコンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量、及びコンテナ3に蓄積されたコンテナ3の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つである。これらの物理量は、振れが時間の経過とともに増大する場合であっても、振れが小さい状態のときに、振れの増大を予測することができる物理量である。
コンテナ3の振れの最大振れ角度の予測値φmaxは、コンテナ3の振れ変位x、振れ角速度φ’、及びロープ長lを用いて、コンテナ3の振れ角度φがφmaxになる前に予測することができる。具体的には、重力加速度をgとしたとき、cos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}にしたがって算出することができる。この算出式は、コンテナ3の振れの全エネルギが、コンテナ3の運動エネルギと重力に対する位置エネルギの合計量が自由減衰を無視して一定であることから、求めることができる。
コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量Pは、P=v’・cosφ・φ’−2l’・φ’に従がって算出される。ここで、トロリ7からコンテナ3に流れるエネルギ流を正としている。このため、エネルギ流量Pの値が大きいと、振れが増大することを意味する。
コンテナ3の単位質量当たりの蓄積エネルギ量Eは、コンテナ3の単位重量当たりのエネルギ流量Pを振れ止め制御の開始からの蓄積エネルギ量Eの時系列データを時間積分する(累積する)ことにより算出される。
このように、エネルギ流量Pは、2l’・φ’の項を含んでいるので、エネルギ流量P及びエネルギ流量Pから算出される蓄積エネルギ量Eは、コンテナ3の振れ角速度φ’の2乗とローブ8のロープ長lの時間微分l’との積の情報を含んだ物理量である。すなわち、ロープ長の変化と振れ角速度の大小になるタイミングに応じて、エネルギ流量P及び蓄積エネルギ量Eは変化する。
判定部24は、物理量算出部22で算出された物理量が許容範囲を外れたか否かを判定する。この判定により、コンテナ3の振れが、今後増大する不安定な状態にあるかどうかを早期に判定することができる。許容範囲は、予め、後述する振れ止め制御を再現した制御シミュレーションモデルによるシミュレーション結果を用いて定めることができる。判定部24は、コンテナ3の振れが時間経過ととともに大きくなるか否かを、振れが許容できない程度になる前のコンテナ3の振れが小さい状態で早期に判定することができる。
本実施形態では、物理量として、最大振れ角度の予測値φmax、コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及び蓄積エネルギ量Eのいずれかを用いる。これ以外の物理量、例えば、最大振れ角度の予測値φmaxの時間微分値やコンテナ3のロープ長lの単位長さ当たり、単位質量当たりのエネルギ流量は、最大振れ角度の予測値φmax、コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及び蓄積エネルギ量Eに比べて、コンテナ3の振れが時間とともに大きくなるか否かを早期にかつ確実に判定することができない。この点から、本実施形態では、コンテナ3の振れが時間とともに大きくなるか否かを判定するための物理量として、最大振れ角度の予測値φmax、コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及び蓄積エネルギ量Eのいずれかを用いる。
本実施形態では、物理量として、最大振れ角度の予測値φmax、コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及び蓄積エネルギ量Eのいずれかを用いるが、これらの物理量のうち、2つ以上を判定に用いることができる。この場合、判定部24は、判定に用いる物理量の1つでも許容範囲を外れた場合、コンテナ3の振れが時間とともに大きくなると判定することが好ましい。これにより、判定部24は、コンテナ3の振れが時間とともに増大する不安定状態にあることを早期に判定することができる。
移送動作指示部26は、判定部24において物理量が許容範囲を外れた場合、コンテナ3の移送を停止する指示を駆動装置40に送る。具体的には、移送動作指示部26は、駆動装置40に、トロリ7の移動を停止する制御信号を送る。これにより、コンテナ3の移送中に振れが大きくなることを自然減衰等により止めることができる。この場合、後述する振れ止め制御部28を介して、非移送中、すなわち静止中のコンテナ3の振れ止め制御を行うことにより、振れを抑制してもよい。あるいは、コンテナ3の振れを機械的に抑制するような処理を行ってもよい。振れが抑制された後、移送動作指示部26は、コンテナ3の移送を再開するような制御信号を駆動装置40に送ってもよい。
振れ止め制御部28は、ロープ8で吊り上げたときに生じる移送前のコンテナ3の振れ、及び移送中に生じたコンテナ3の振れを止める振れ止め制御を行う。具体的には、振れ止め制御部28は、オペレータから入力されたトロリ7の目標位置xTrefに基づいてトロリ7によるコンテナ3の移送を行う制御信号を生成する。この制御信号は、コンテナ3の移送を行う信号であり、かつ、コンテナ3の移送中、コンテナ3の振れを止める振れ止め制御の制御信号、具体的にはトロリ7の速度指令値uである。
図4は、振れ止め制御部28の構成の一例を説明する図である。図5は、本実施形態の振れ止め制御部28の制御の一例を説明する図である。
振れ止め制御部28は、位置制御補償部28aと速度指令値生成部28bとを備える。
振れ止め制御部28は、トロリ7の目標位置xTrefの入力をオペレータから受けると、トロリ7の位置x、トロリ7の速度v、コンテナ3の振れ変位x及びその振れ速度vの情報を用いて速度指令値uを算出し、この速度指令値uを駆動装置40に出力する。この場合、コンテナ3の振れのオーバシュートが小さく、迅速に減衰するように、振れ止めの制御パラメータが予め与えられる。なお、振れ止め制御部28には、トロリ7の位置x、トロリ7の速度v、コンテナ3の振れ変位x及びその振れ速度v、更にはロープ長lの情報が物理量算出部22から送られる。
図5に示すように、トロリ7の目標位置xTrefが振れ止め制御部28に入力されると、振れ止め制御部28の位置制御補償部28aは、トロリ7の現在の位置xと目標位置xTrefとの差分に対して、位置制御補正関数H(sは制御工学における複素数)の演算を施す。位置制御補償部28aは、位置制御補正関数H(s)の演算により、トロリ7の目標速度vTrefを算出する。位置補正関数H(s)は、例えば、分母及び分子がsの多項式で表された関数である。
速度指令値生成部28bは、位置制御補償部28aで算出した目標速度vTrefに、f・(vTref−v)を加算し、この結果からf・x及びf・vを減算することにより、トロリ7の速度指令値uを算出する。すなわち、下記式(1)に従がって、速度指令値生成部28bは、速度指令値uを算出する。
= vTref+f・(vTref−v)−f・x−f・v ・・・式(1)
なお、vTrefは、vTref= H(s)・(xTref−x) である。
ここで、f、f、及びfは、フィードバック制御におけるゲイン係数である。このゲイン係数は、数学モデルで振れ止め制御を再現した制御シミュレーションモデルより得ることができる。具体的には、制御シミュレーションモデルは、コンテナ3とトロリ7の運動を表した状態方程式のシステムモデルとクレーン本体部12の上記式(1)で表したフィードバック制御の式とを連成させたモデルである。上記状態方程式では、クレーン本体部12におけるトロリ7の位置x、トロリ7の速度v、コンテナ3の振れ変位x及びその振れ速度vの4つの状態変数が用いられる。
このように、振れ止め制御部28が行う振れ止め制御は、トロリ7の速度、コンテナ3のトロリ7に対する振れ変位x、トロリ7の位置x、及びコンテナ3のトロリ7に対する振れ速度vに応じて、トロリ7を駆動させる駆動装置40に与えるトロリ7の速度指令値uを変更することで行われることが好ましい。この場合、トロリ7の位置x、とトロリ7の目標位置xTrefの指令情報の差分に基づいて、トロリ7の速度指令値uは生成されることが好ましい。
より具体的には、コンテナ3とトロリ7の運動を状態方程式で表したシステムモデルは、トロリ7の速度v、トロリ7の位置x、コンテナ3の振れ速度v、及びコンテナ3の振れ変位xを状態ベクトルXで表したとき、下記式(2)で表すことができる。
dX/dt = A・X+bu ・・・ 式(2)
ここで、dX/dtは、状態ベクトルXの時間微分を表す。Aは、クレーン本体部12のシステムモデルを表す行列であり、bは、このシステムモデルに入力される速度指令値uに係る係数を表すベクトルである。したがって、制御シミュレーションモデルは、上記式(1)及び(2)を連立させたモデルである。
連立させた制御シミュレーションモデルは下記式(3)で表される。
dX/dt = A’・X+b’vTref ・・・ 式(3)
ここで、A’は、フィードバック制御を含んだ制御シミュレーションモデルの行列であり、b’は、この制御シミュレーションに入力されるトロリ7の目標速度vTrefに係る係数を表すベクトルである。式(1)中のf、f、及びfは、行列A’に含まれる。この制御シミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行うことにより、コンテナ3の振れのオーバシュートが小さく、迅速に減衰するように定めた制御パラメータに基づいて定めることができる。制御パラメータは、例えば、制御シミュレーションモデルにおける極の固有角振動数を定めるパラメータと、この固有角振動数における減衰の程度を表すパラメータ(減衰比)を含むことができる。この制御パラメータを用いて、f、f、及びfを表すことができる。したがって、f、f、及びfは、制御パラメータの値を設定することにより、コンテナ3の振れのオーバシュートが小さく、迅速に減衰するようなf、f、及びfの値を求めることができる。
このような振れ止め制御では、目標位置xTrefに0を入力すれば、トロリ7がコンテナ3の移送をせずに振れ止め制御を行うことができる。すなわち、コンテナ3の移送の前に、あるいはコンテナ3の静止中に、コンテナ3の振れ止め制御を行うことができる。
また、目標位置xTrefに0より大きい値を入力すれば、トロリ7は移送を行い、コンテナ3の移送中、コンテナ3に振れが生じないように、トロリ7の移送速度を制御することができる。
図6は、上記制御シミュレーションモデルを用いてクレーン本体部12におけるコンテナ3の振れ止めの抑制をシミュレーションした結果の一例を示す図である。この例では、目標位置xTrefに0を入力している。時刻Tでコンテナ3の振れが発生し、時刻Tでf、f、及びfを用いた振れ止め制御を開始している。時刻T〜Tでは、コンテナ3の振れが自由減衰している。なお、図6では、振れの波形を正負折り返して重ね書きしている。図6からわかるように、時刻T以降では、振れ角度φが急激に減少している。また、このシミュレーション結果は、実際のコンテナクレーン4におけるコンテナ3の振れ止め制御における挙動と略一致している。これより、本実施形態で用いるコンテナの振れ止め制御は適切であることがわかる。
しかし、振れ止めの制御を行っても、クレーン本体部12の経時変化により、コンテナ3の振れに影響を与えるクレーン本体部12のパラメータあるいはクレーン本体部12の動作に影響を与えるパラメータが変化する場合がある。このような場合、振れ止め制御を行うと、コンテナ3の振れが増大する場合がある。また、コンテナ3の移送中の、クレーン本体部12に与えられる外的因子、例えば、コンテナクレーン12の水平梁9の振動(共振)や風等により、コンテナ3の振れが増大する場合もある。このため、移送中にコンテナ3の振れが増大することを早期に判定するために、判定部24は、振れの増大の有無を知るために、物理量算出部22が算出した物理量が許容範囲を外れたか否かを判定する。
本実施形態では、コンテナ3の振れの増大の有無を確実に判定するためには、上述した
ように物理量に対して定める許容範囲は、ロープ長lあるいはコンテナ3の重量等に係らず、同じ一定の許容範囲が設定されていることが必要である。しかも、コンテナ3の振れに影響を与えるクレーン本体部12のパラメータあるいはクレーン本体部12の動作に影響を与えるパラメータがクレーン本体部12の長期使用によって経時変化をしても、上記許容範囲は大きく変化しないことが必要である。このような物理量が、上述した最大振れ角度の予測値φmax、コンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及び蓄積エネルギ量Eである。
判定部24は、例えば、物理量の閾値で定められた範囲を上記許容範囲として設定することができる。すなわち、判定部24は、物理量の時系列データの値が上記閾値で定められた範囲を外れたか否かを判定することにより、コンテナ3の振れの増大の有無を確実に判定することができる。
この場合、物理量として、最大振れ角度の予測値φmaxを用いる場合、コンテナ3の振れ角度φが最大になる前に最大振れ角度の予測値φmaxを算出することができるので、コンテナ3の振れの増大の有無を早期に判定することができる。特に、最大振れ角度の予測値φmaxを用いる場合、振れによるコンテナ3の変動中のコンテナ3が最初に最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に予測することが、コンテナ3の振れの増大の有無を早期に判定する点から好ましい。
また、判定部24は、コンテナ3の単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量を用いる場合、上述した制御シミュレーションモデルで再現したコンテナ3に蓄積された単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量に対して予め設定された許容幅を持った範囲を、判定に用いる許容範囲とし、物理量算出部22で算出された蓄積エネルギ量Eがこの許容範囲から外れるか否かを判定することも好ましい。図7は、このような好ましい形態の判定部24の構成の一例を示す図である。判定部24は、シミュレーション計算部24aと比較部24bを有する。図8は、シミュレーション計算部24aが行うコンテナ3の振れ止め制御の一例を説明する図である。シミュレーション演算部24aは、図8に示す制御シミュレーションモデルを用いて、コンテナ3の振れ止めを再現する計算を行なう。図8中の式、dX/dt = A・X+buのうち、dX/dtは、トロリ7の速度v、トロリ7の位置x、コンテナ3の振れ速度v、及びコンテナ3の振れ変位xの状態ベクトルXの時間微分を表し、Aは、クレーン本体部12のシステムモデルを表す行列であり、bは、このシステムモデルに入力される速度指令値uに係る係数を表すベクトルである。具体的には、シミュレーション計算部24aは、トロリ7の目標位置xTrefの指令が制御装置20に入力されると、この目標位置xTrefの指令に基づいて、トロリ7の速度指令値uを算出しながら、制御シミュレーションモデルのコンテナ3に対応する部分に蓄積された単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量Eを算出する。この再現蓄積エネルギ量Eは比較部24bに送られる。
比較部24bは、再現蓄積エネルギ量Eに対して予め設定された許容幅を持った範囲を上述の判定のための許容範囲として定め、物理量算出部22から送られた蓄積エネルギ量Eが、定めた許容範囲から外れたか否かを判定する。
このようなコンテナクレーン4では、以下のコンテナ3の移送方法が行われる。
(1)制御装置20の振れ止め制御部28は、コンテナクレーン4がロープ8でコンテナ3を吊り上げてコンテナ3を移送するときに発生するコンテナ3の振れを止める振れ止め制御を行う。
(2)制御装置20の物理量算出部22は、コンテナ3の振れの発生中あるいはコンテナ3の振れ止め制御中、コンテナ3の振れの最大振れ角度φmaxの予測値、トロリ7からコンテナ3に流入するコンテナ3の単位質量当たりのエネルギ流量P、及びコンテナ3に蓄積されたコンテナ3の単位質量当たりの蓄積エネルギ量Eの少なくとも一つの物理量を算出する。
(3)制御装置20の移送動作指示部26は、物理量算出部22による物理量の算出の結果、物理量が許容範囲を外れた場合、コンテナ3の移送を停止する、
ことを行う。
このとき、物理量算出部22は、最大振れ角度φmaxの予測値を、振れによるコンテナ3のトロリ7に対する相対位置の変動中、コンテナ3の振れ角度φの計測情報とロープ長lの情報を取得後、取得した振れ角度φの計測情報とロープ長lの情報を用いて、変動中のコンテナ3が最初にコンテナ3の最大振れ角度φmaxの位置に到達するタイミングの前に予測することが好ましい。
物理量算出部22が最大振れ角度φmaxの予測値を算出する場合、最大振れ角度φmaxの予測値をcos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}として求めることが好ましい。
物理量算出部22がエネルギ流量Pあるいは蓄積エネルギ量Eを算出する場合、コンテナ3の振れ角速度φ’の2乗とローブ8のロープ長lの時間微分l’との積の情報を含んだ物理量であることが好ましい。
判定部24が用いる許容範囲は、予め設定された物理量の閾値で定められた範囲であることが好ましい。
また、振れ止め制御は、コンテナ3の振れが小さくなるようにトロリ7の速度vを、速度指令値uに基づいて変動させることによって行われ、コンテナ3の移送中、振れ止め制御を数学モデルで再現した図8に示す制御シミュレーションモデルを用いて、コンテナ3の振れ止めを再現する。物理量算出部22は、物理量として、蓄積エネルギ量Eを算出する。
このとき、判定部24は、判定に用いる許容範囲は、制御シミュレーションモデルで再現した再現蓄積エネルギ量Eに対して予め設定された許容幅を持った範囲であることが好ましい。
制御装置20の振れ止め制御部28で行う振れ止め制御は、トロリ7の速度v、コンテナ3のトロリ7に対する振れ変位x、トロリ7の位置x、及びコンテナ3のトロリ7に対する振れ速度vに応じて、トロリ7を駆動させる駆動装置40に与えるトロリ7の速度指令値uを変更することで行われることが好ましい。
制御装置20の振れ止め制御部28は、トロリ7の位置xとトロリ7の目標位置xの情報の差分に基づいて、トロリ7の指令速度値uを生成することが好ましい。
このようなコンテナ3の移送制御方法を行うことで、コンテナ3をロープ8で吊り上げてコンテナ3を移送するときに発生する振れが、時間とともに大きくなるか否かを、早期に判定することができる。また、コンテナクレーン4の長期使用に伴ってクレーン本体部12の動作やコンテナ3の振れに影響を与えるシステムのパラメータが変化して、移送中のコンテナ3の振れが時間の経過とともに増大するような不安定な状態になっても、早期に振れの増大の有無を判定できるので、移送を停止して振れを効果的に抑制することができる。
図9〜14は、図8に示す制御シミュレーションモデルを用いて再現したコンテナの移送の挙動の一例を示す図である。
図9〜12は、ロープ長lが43mの状態でコンテナ3を吊り上げてロープ長lを19mにし、コンテナ3を移送させたときの挙動を示す。図9は、トロリ7の目標速度vTref、トロリ7の速度指令値u、トロリ7の速度v、ロープ長lの時間微分l’の時系列波形の一例を示す。図10は最大振れ角度φmaxの予測値、図11はエネルギ流量P、図12は蓄積エネルギ量Eの挙動をそれぞれ示す。
図10〜12では、図9に示す動作時のコンテナ3の振れが、振れ止め制御によって抑制される例1と、振れが増大する例2を示している。例2では、制御シミュレーションモデルの制御パラメータの値を例1で用いる値から変化させて、振れが時間の経過とともに増大する不安定状態を再演している。図10に示すように、最大振れ角度φmaxの予測値としての許容範囲を0〜6度とすることで、約19秒の時点(T)で、最大振れ角度φmaxの予測値は許容範囲から外れるので、振れが増大する不安定状態を早期に判定することができる。図11に示すように、エネルギ流量Pの許容範囲を0〜0.18[W/kg]とすることで、約4秒の時点(T)で、エネルギ流量Pは許容範囲から外れるので、振れが増大する不安定状態を早期に判定することができる。図12に示すように、蓄積エネルギ量Eの許容範囲を0〜0.48[J/kg]とすることで、約10秒の時点(T)で、蓄積エネルギ量Eは許容範囲から外れるので、振れが増大する不安定状態を早期に判定することができる。
図13,14は、ロープ長lが43mの状態でコンテナ3を吊り上げてロープ長lを6mにし、コンテナ3を移送させたときの挙動を示す。図13は、トロリ7の目標速度vTref、トロリ7の速度指令値u、トロリ7の速度v、ロープ長lの時間微分l’の時系列波形の一例を示す。図14は、図13に示す動作時の蓄積エネルギ量Eの挙動を示す。図14に示すように、図12に示す蓄積エネルギ量Eの許容範囲と同様に、許容範囲を0〜0.48[J/kg]とすることで、約25秒の時点(T)で、蓄積エネルギ量Eは許容範囲から外れるので、振れが増大する不安定状態を早期に判定することができる。
以上、本発明の吊り荷の移送方法及びクレーンについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 コンテナ船
2 岸壁
3 コンテナ
4 コンテナクレーン
5 前脚
6 後脚
7 トロリ
9 水平梁
9a ガーダ
9b ブーム
10 バックステー
11 レール
12 クレーン本体部
20 制御装置
22 物理量算出部
24 判定部
24a シミュレーション計算部
24b 比較部
26 移送動作指示部
28 振れ止め制御部
28a 位置制御補償部
28b 速度指令値生成部
40 駆動装置

Claims (15)

  1. クレーンを用いた吊り荷の移送方法であって、
    クレーンがロープで吊り荷を吊り上げて前記吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れを止める振れ止め制御を行うステップと、
    前記吊り荷の振れの発生中あるいは前記振れ止め制御中、前記吊り荷の振れの最大振れ角度の予測値、前記トロリから前記吊り荷に流入する前記吊り荷の単位質量当たりのエネルギ流量、及び前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つの物理量を算出するステップと、
    前記算出した前記物理量が許容範囲を外れた場合、前記振れが時間とともに増大すると判定し前記吊り荷の移送を停止するステップと、を含むことを特徴とする吊り荷の移送方法。
  2. 前記最大振れ角度の予測値は、前記振れによる前記吊り荷の前記トロリに対する相対位置の変動中、前記吊り荷の振れ角度の計測情報と前記ロープ長の情報を取得後、取得した前記振れ角度の計測情報と前記ロープ長の情報を用いて、変動中の前記吊り荷が最初に前記吊り荷の最大振れ角度の位置に到達するタイミングの前に予測する、請求項1に記載の吊り荷の移送方法。
  3. 前記吊り荷の振れ角度をφ、前記ロープのロープ長をl、前記吊り荷の振れ角速度をφ’、及び、重力加速度をg、としたとき、前記最大振れ角度は、cos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}として求められる、請求項1または2に記載の吊り荷の移送方法。
  4. 前記エネルギ流量及び前記蓄積エネルギ量は、前記吊り荷の振れ角速度の2乗と前記ローブのロープ長の時間微分との積の情報を含んだ物理量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吊り荷の移送方法。
  5. 前記許容範囲は、前記予め設定された前記物理量の閾値で定められた範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吊り荷の移送方法。
  6. 前記振れ止め制御は、前記吊り荷の前記振れが小さくなるように前記トロリの速度を変動させることによって行われ、
    前記吊り荷の移送方法は、さらに、前記吊り荷の移送中、前記振れ止め制御を数学モデルで再現した制御シミュレーションモデルを用いて、前記吊り荷の振れ止めを再現するステップを含み、
    算出する前記物理量は、前記蓄積エネルギ量であり、
    前記許容範囲は、前記制御シミュレーションモデルで再現した前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量に対して予め設定された許容幅を持った範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吊り荷の移送方法。
  7. 前記振れ止め制御は、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を変更することで行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吊り荷の移送方法。
  8. 前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記トロリの速度の指令情報は生成される、請求項7に記載の吊り荷の移送方法。
  9. トロリ、吊り荷を吊り上げる前記トロリから延びるロープ、及び前記トロリの移動経路を形成するレール、を備えるクレーン本体部と、
    前記吊り荷の吊り上げと前記トロリの移送を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記ロープが吊り荷を吊り上げて前記トロリが前記吊り荷を移送するときに発生する吊り荷の振れを止めるように振れ止め制御を行う振れ止め制御部と、
    前記吊り荷の振れの発生中、前記吊り荷の振れの最大振れ角度の予測値、前記トロリから前記吊り荷に流入する前記吊り荷の単位質量当たりのエネルギ流量、及び前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの蓄積エネルギ量の少なくとも一つの物理量を算出する物理量算出部と、
    前記算出した前記物理量が許容範囲を外れるか否かによって、前記振れが時間とともに増大するか否かを判定する判定部と、
    前記物理量が許容範囲を外れた場合、前記吊り荷の移送を停止する前記吊り荷の移送を停止する信号を生成する移送動作指示部と、
    を含むことを特徴とするクレーン。
  10. 前記物理量算出部は、前記吊り荷の振れ角度をφ、前記ロープのロープ長をl、前記吊り荷の振れ角速度をφ’、及び、重力加速度をg、としたとき、前記最大振れ角度を、cos−1{cosφ−(l・φ’)/(2g・l)}として求める、請求項9に記載のクレーン。
  11. 前記物理量算出部は、前記エネルギ流量あるいは前記蓄積エネルギ量を前記物理量として求め、前記エネルギ流量あるいは前記蓄積エネルギ量は、前記吊り荷の振れ角速度の2乗と前記ローブのロープ長の時間変化との積の情報を含んだ物理量である、請求項9に記載のクレーン。
  12. 前記許容範囲は、前記予め設定された前記物理量の閾値で定められた範囲である、請求項9〜11のいずれか1項に記載のクレーン。
  13. 前記振れ止め制御部は、前記吊り荷の前記振れが小さくなるように前記トロリの速度を変動させる制御を前記振れ止め制御として行い、
    前記振れ止め制御部は、さらに、前記吊り荷の移送中、前記振れ止め制御を数学モデルで再現する制御シミュレーションモデルを備え、
    前記許容範囲は、前記制御シミュレーションモデルで再現した前記吊り荷に蓄積された前記吊り荷の単位質量当たりの再現蓄積エネルギ量に対して予め設定された許容幅を持った範囲である、請求項9〜11のいずれか1項に記載のクレーン。
  14. 前記振れ止め制御部は、前記トロリを駆動させる駆動装置に与える前記トロリの速度の指令情報を、前記トロリの速度、前記吊り荷の前記トロリに対する振れ変位、前記トロリの位置、及び前記吊り荷の前記トロリに対する振れ速度に応じて変更する、請求項9〜13のいずれか1項に記載のクレーン。
  15. 前記振れ止め制御部は、前記トロリの位置と前記トロリの目標位置の指令情報の差分に基づいて、前記トロリの速度の指令情報を生成する、請求項14に記載のクレーン。

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