JP2018162180A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機成分を多く含むハニカム成形体の脱脂工程において、脱脂時間の短縮ができ、ハニカム脱脂の割れを防止できるハニカム構造体の製造方法の提供。
【解決手段】アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む粒子と、有機バインダと有機造孔剤を含む2種類以上の有機成分からなる原料組成物のハニカム成形体を得る成形工程と、上記ハニカム成形体のハニカム脱脂体を得る脱脂工程を含むチタン酸アルミニウムハニカム構造体の製造方法であって、上記脱脂工程は、上記原料組成物に含まれる各有機成分毎に、当該有機成分のTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度に対して重量減少ピーク温度±30℃の脱脂温度を設定し、各有機成分毎に設定した脱脂温度で10分以上の保持を、低温側で設定された脱脂温度の保持から高温側で設定された脱脂温度の保持まで順次行うことにより段階的に有機成分の脱脂を行うチタン酸アルミニウムハニカム構造体の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。
そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するフィルタとして、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウムなどを用いたハニカム構造体からなるハニカムフィルタが種々提案されている。
これらのハニカム構造体は、無機粒子と有機成分からなる原料組成物を成形し、脱脂、焼成する工程を経て製造される。
有機成分のうち代表的なものとしては有機バインダや有機物からなる有機造孔剤が挙げられる。
特許文献1には、酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気中において、最高温度が700℃以上1100℃以下である温度条件で処理することにより、無機成分と有機成分とを含むセラミックス成形体に含まれる有機成分を除去する脱脂工程を含む、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体の製造方法が記載されている。
特開2011−73945号公報
特許文献1に記載の脱脂工程では、脱脂温度を最高温度700℃以上1100℃以下としている。特許文献1では、脱脂の温度について最高温度だけが定められており、最高温度でキープする時間が通常1分から10時間であり、好ましくは1〜7時間である旨の記載がある。
製造するハニカム構造体の気孔率を高くしたい場合、例えば45%以上にしたい場合には、ハニカム成形体の成形時に使用する造孔剤の量を増やすことが考えられる。
このような場合に造孔剤として有機造孔剤を大量に使用し、炭化させないように高い酸素濃度下で脱脂した場合、脱脂工程において脱脂される有機成分の量が多くなるため、有機成分の燃焼による発熱量が多くなり、脱脂工程において局所的に温度が高い領域が生じ、ハニカム脱脂体に割れが生じることがある。
脱脂工程においてハニカム脱脂体に割れが生じる場合に考えられる改善の手法として、脱脂工程における昇温速度を遅くする方法があった。昇温速度を遅くすることによって脱脂の進行が遅くなり、ハニカム脱脂体に生じる割れを防止する効果があると考えられる。
しかしながら、この手法では脱脂時間が長くなってしまうという問題があった。
本発明は、有機成分を多く含むハニカム成形体の脱脂工程において、脱脂時間を短縮することができ、ハニカム脱脂体に割れが生じることを防止することのできるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のハニカム構造体の製造方法は、アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む無機粒子と、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分とからなる原料組成物を成形してハニカム成形体を得る成形工程と、
上記ハニカム成形体を脱脂してハニカム脱脂体を得る脱脂工程とを含むチタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂工程では、上記原料組成物に含まれる各有機成分ごとに、当該有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度に対して重量減少ピーク温度±30℃の脱脂温度を設定し、各有機成分ごとに設定した脱脂温度で10分以上の保持を、低温側で設定された脱脂温度での保持から高温側で設定された脱脂温度での保持まで順次行うことにより段階的に有機成分の脱脂を行うことを特徴とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法における脱脂工程では、脱脂の対象となる各有機成分が脱脂され発熱する温度を把握し、各有機成分が脱脂される温度に合わせた脱脂温度を設定して有機成分ごとに適した脱脂温度での脱脂を行う。
このようにすると、複数種類の有機成分が連続的に脱脂されないので、ハニカム成形体が多量の有機成分を含む場合であっても急激な発熱が生じることが防止され、ハニカム脱脂体に割れが生じることが防止される。
また、有機成分が脱脂される温度に合わせた脱脂温度は、各有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度±30℃の範囲で設定される。この温度範囲は重量減少ピーク温度に近い温度であるので、その温度で脱脂される有機成分は一度に燃焼するのではなく、好ましい燃焼速度をもって燃焼することになる。有機成分の燃焼速度が遅くなりすぎるわけではないので、従来の脱脂工程に比べて脱脂工程の時間が長くなることはない。
また、いずれの有機成分についても脱脂温度が設定されない温度領域については、昇温速度を速くすることにより、有機成分の脱脂が進まない温度領域での保持時間及び昇温時間をなくすことができるため、脱脂工程の時間の短縮を図ることができる。
以上のことから、本発明のハニカム構造体の製造方法では、脱脂工程における脱脂時間を短縮することができ、ハニカム脱脂体に割れが生じることを防止することができる。
なお、有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度とは、各有機成分につきTG−DTA測定を行って得られるTGチャートにおいて、重量減少曲線の傾きが最も大きくなる温度を意味する。
なお、TG−DTA測定における測定条件は、昇温速度10℃/minとする。
また、TGチャートにおいて重量減少曲線に複数のピークがある場合は、それぞれのピークに対応する、重量減少曲線の傾きが最も大きくなる温度をそれぞれ重量減少ピーク温度とする。すなわち、その有機成分について複数の脱脂温度を定めるということになる。
各脱脂温度における保持時間は10分以上とする。また、その脱脂温度に対応する有機成分の配合量を踏まえ、脱脂温度に対応する有機成分がその脱脂温度で全て燃焼するために必要な時間を踏まえて保持時間を調整してもよい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記原料組成物に含まれる上記有機成分の割合が10〜40重量%であることが好ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、このように有機成分の割合が高い原料組成物を成形してなるハニカム成形体の脱脂に適しており、有機成分の割合が高い原料組成物を使用すると気孔率の高いハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記原料組成物は、さらに成形助剤、可塑剤、分散剤及び潤滑剤からなる群から選択された少なくとも1種の有機成分を含むことが好ましい。
成形助剤、可塑剤、分散剤及び潤滑剤といった有機成分も脱脂の対象となる有機成分であり、このような各有機成分についてもそれぞれに好ましい脱脂温度を設定して脱脂を行うことにより、ハニカム脱脂体に割れが生じることを防止することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記有機バインダがメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びポリエチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記有機造孔剤がアクリル樹脂及びでんぷんからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの有機バインダ、有機造孔剤は脱脂工程で脱脂される有機成分であり、これらの成分を含むハニカム成形体の脱脂に対して、本発明のハニカム構造体の製造方法は好適に用いることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記脱脂工程において、各脱脂温度までの昇温は、20℃/時間以上の昇温速度で行うことが好ましい。
これは、いずれの有機成分についても脱脂温度が設定されない温度領域に関する昇温速度についての規定であり、脱脂温度間の昇温速度を20℃/時間といった速い昇温速度にしてもハニカム脱脂体に割れが生じないので、脱脂工程の時間の短縮を図ることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム脱脂体を焼成する焼成工程を含み、焼成工程を経て得られるハニカム構造体の気孔率を45〜70%とすることが好ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、焼成工程を経て得られるハニカム構造体の気孔率が45〜70%と高くなるように有機成分の多いハニカム成形体の組成を設計したとしても、ハニカム脱脂体に割れが生じることが防止され、気孔率が高く、かつ、割れのないハニカム構造体を得ることができる。
図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、原料組成物中に含まれる有機成分のTG−DTAチャートの一例である。 図2(a)は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。 図3は、実施例1及び比較例1の脱脂工程における脱脂プロファイルである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む無機粒子と、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分とからなる原料組成物を成形してハニカム成形体を得る成形工程と、
上記ハニカム成形体を脱脂してハニカム脱脂体を得る脱脂工程とを含むチタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂工程では、上記原料組成物に含まれる各有機成分ごとに、当該有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度に対して重量減少ピーク温度±30℃の脱脂温度を設定し、各有機成分ごとに設定した脱脂温度で10分以上の保持を、低温側で設定された脱脂温度での保持から高温側で設定された脱脂温度での保持まで順次行うことにより段階的に有機成分の脱脂を行うことを特徴とする。
(成形工程)
成形工程では、アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む無機粒子と、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分とからなる原料組成物を成形してハニカム成形体を得る。
まず、原料組成物に含まれる各成分について説明する。
原料組成物には、アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む無機粒子と、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分を含む。
アルミナ粒子は、その平均粒子径が0.1〜40μmの粒子であることが好ましい。また、平均粒子径が0.1〜5.0μmのアルミナ微粒子と、平均粒子径が10〜40μmのアルミナ粗粒子を組み合わせて使用することも好ましい。
なお、本明細書における各粒子の平均粒子径は、レーザー回析散乱式粒度分布測定法による累積粒径の小径側から累積50%に相当する粒子径(D50)である。
チタニア粒子は、その平均粒子径が0.1〜1μmである粒子であることが好ましい。
アルミナ粒子は、原料組成物中に20〜45重量%含むことが好ましく、チタニア粒子は原料組成物中に15〜40重量%含むことが好ましい。
原料組成物は、その他の無機粒子として、マグネシア粒子及びシリカ粒子をさらに含むことが好ましい。
マグネシア粒子としてはその平均粒子径が1〜10μmである粒子を使用することが好ましい。また、シリカ粒子としてはその平均粒子径が1〜20μmである粒子を使用することが好ましい。シリカ粒子及びマグネシア粒子をさらに含むと、シリカ粒子由来のケイ素元素と、マグネシア粒子由来のマグネシウム元素が、チタン酸アルミニウムに固溶することで、チタン酸アルミニウムの熱分解を抑制することができ、高温での使用を可能にする。
また、マグネシア粒子及びシリカ粒子は焼成助剤として機能することができる。
マグネシア粒子を含む場合、原料組成物中に0.5〜5重量%含むことが好ましく、シリカ粒子を含む場合、原料組成物中に0.5〜5重量%含むことが好ましい。
また、焼成助剤として、シリカ粒子とマグネシア粒子の他に、Y、La、Na、K、Ca、Sr、Baの酸化物粒子が用いられていてもよい。
原料組成物は、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分を含む。原料組成物には有機バインダと有機造孔剤が少なくとも1種ずつは含まれる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びポリエチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1種が挙げられる。
有機造孔剤としては、アクリル樹脂及びでんぷんからなる群から選択された少なくとも1種が挙げられる。特にアクリル樹脂であることが好ましい。
原料組成物は、その他の有機成分として成形助剤、可塑剤、分散剤及び潤滑剤からなる群から選択された少なくとも1種の有機成分を含むことも好ましい。
成形助剤としては、たとえば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコールが挙げられる。
可塑剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物が挙げられる。
分散剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
潤滑剤としては、たとえば、グリセリンが挙げられる。
また、その他の成分として分散媒が使用される。
分散媒としては、水のみからなる分散媒、又は、50体積%以上の水と有機溶剤とからなる分散媒が挙げられる。有機溶剤としては、ベンゼン、メタノール等のアルコールが挙げられる。
原料組成物に含まれる有機成分の割合が10〜40重量%であることが好ましい。この割合を算出するための、原料組成物に含まれる有機成分は、有機バインダ、有機造孔剤、成形助剤、可塑剤、分散剤及び潤滑剤として例示した成分の合計量として定める。
分散媒として、ハニカム成形体の乾燥で除去される有機溶剤を使用した場合の有機溶剤は含まない。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、原料組成物に有機造孔剤を多く配合した場合にその効果が発揮されやすいのであるが、原料組成物中の有機造孔剤の割合が4重量%以上であることが好ましく、4〜30重量%であることがより好ましい。
また、原料組成物中の有機バインダの割合は5〜10重量%であることが好ましい。
成形工程では、原料組成物を成形してハニカム成形体を得る。
例えば、押出成形機に投入された原料組成物を種々の形状を有するスクリュー等を用いて密閉状態で混合及び混練を行いながら金型方向に押し出し、押出成形に適した混練状態とした後、金型を介して押出成形を行い、多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体の連続体を作製する。
また、成形工程では、ハニカム構造体の一部の形状に対応する成形体を成形してもよい。すなわち、ハニカム構造体の一部の形状に対応する成形体を成形し、それら成形体を組み合わせることによってハニカム構造体と同一形状を有するハニカム成形体を作製してもよい。
その後、必要に応じて、貫通孔が露出した両端面において、多数の貫通孔のうち所定の貫通孔の目封じを行い、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥器、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。
(脱脂工程)
脱脂工程では、ハニカム成形体中の有機成分を分解消失させて脱脂し、ハニカム脱脂体を得る。
脱脂工程においては、脱脂の対象となる各有機成分が脱脂され発熱する温度を把握し、各有機成分が脱脂される温度に合わせた脱脂温度を設定して有機成分ごとに適した脱脂温度での脱脂を行う。
有機成分が脱脂される温度に合わせた脱脂温度は、各有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度±30℃の範囲で設定する。
図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、原料組成物中に含まれる有機成分のTG−DTAチャートの一例である。
各チャートの右側には、重量減少曲線の傾きが最も大きくなる点である重量減少ピーク温度を定めるための、TGチャートの微分曲線を示している。
各TG−DTAチャートは昇温速度10℃/minで測定したチャートである。
図1(a)は可塑剤の一例であるポリオキシアルキレン系化合物(ユニルーブ(登録商標)50MB−26:日油株式会社製)のチャートであり、その重量減少ピーク温度は218℃である。
図1(b)は有機造孔剤の一例であるアクリル樹脂(品番:AR750SQ:東洋紡株式会社製)のチャートであり、その重量減少ピーク温度は267℃である。
図1(c)は分散剤の一例であるソルビタン脂肪酸エステル(セラミゾール(登録商標):日油株式会社製)のチャートであり、その重量減少ピーク温度は328℃である。
図1(d)は有機バインダの一例であるメチルセルロースのチャートであり、その重量減少ピーク温度は315℃と461℃である。
上記に示した各有機成分について、重量減少ピーク温度から脱脂温度を設定する。
図1(a)に示すポリオキシアルキレン系化合物の場合218℃±30℃で188〜248℃の範囲内で設定する。
図1(b)に示すアクリル樹脂の場合267℃±30℃で237〜297℃の範囲内で設定する。
図1(c)に示すソルビタン脂肪酸エステルの場合328℃±30℃で298〜358℃の範囲内で設定する。
図1(d)に示すメチルセルロースの場合315℃±30℃で285〜345℃と、461℃±30℃で431℃〜491℃の範囲内で設定する。
上記に示した各温度範囲は重複する部分があるが、その場合でも各有機成分ごとに異なる脱脂温度を設定することが好ましく、また、重量減少ピーク温度の高低の順番に沿って脱脂温度を設定することが好ましい。
例えば、ソルビタン脂肪酸エステルとメチルセルロースは298〜345℃の範囲で温度範囲が重複する。この場合、例えば310℃で両方の成分の脱脂温度ということで1点の脱脂温度を設定するのではなく、例えば315℃と328℃の2点の脱脂温度を設定する。
この場合315℃の脱脂温度はメチルセルロースの脱脂温度、328℃の脱脂温度はソルビタン脂肪酸エステルの脱脂温度として設定する。
温度範囲が重複する部分に脱脂温度を設定した場合は、その脱脂温度において複数種類の有機成分の脱脂が同時に進むこととなるが、各有機成分ごとに異なる脱脂温度を設定することにより、急激な発熱を防止する効果は発揮される。
また、温度範囲が重複する部分がある場合、その重複する部分を避けて脱脂温度を設定することが好ましい。例えば、ソルビタン脂肪酸エステルとメチルセルロースでは298〜345℃の範囲で温度範囲が重複するので、その範囲を避けてメチルセルロースに対して290℃、ソルビタン脂肪酸エステルに対して350℃の脱脂温度をそれぞれ設定する。
このようにすると、290℃での保持ではソルビタン脂肪酸エステルの脱脂が殆ど進まずにメチルセルロースの脱脂が進み、350℃での保持ではソルビタン脂肪酸エステルの脱脂だけが進む(実際にはメチルセルロースの脱脂はすでに290℃での保持により終わっている)ので、急激な発熱が生じることが防止される。
また、温度範囲が重複する部分がある場合に、その重複する部分を全て避けて脱脂温度を設定することが難しい場合には、低温側の脱脂温度での保持により低温側で脱脂される有機成分が全て脱脂されると仮定して脱脂温度を設定すると、温度範囲が重複することの影響は小さくなる。
例えば、上記4種の有機成分を含むハニカム成形体について脱脂温度を設定することを考えた場合に、メチルセルロースについては285〜345℃のどの範囲で脱脂温度を設定したとしても、アクリル樹脂とは低温側(285〜297℃)で、ソルビタン脂肪酸エステルとは高温側(298〜345℃)で温度範囲が重複することになる。このような場合には、低温側のアクリル樹脂との重複範囲で脱脂温度を設定するようにする方が好ましい。例えば、脱脂温度を210℃、260℃、290℃、340℃、460℃の5段階で設定するようにする。
メチルセルロースの脱脂温度としては290℃を設定している。この温度はアクリル樹脂の脱脂温度範囲の237〜297℃と重複するが、ソルビタン脂肪酸エステルの脱脂温度範囲の298〜358℃とは重複しないように設定した温度である。
脱脂は低温側から進めるので、210℃での保持によりポリオキシアルキレン系化合物が脱脂される。続いて260℃での保持によりアクリル樹脂が脱脂される。続いて290℃での保持によりメチルセルロースが脱脂される。
メチルセルロースを脱脂するための290℃での保持の際にはすでにアクリル樹脂の脱脂は260℃での保持により終わっている。そのため、アクリル樹脂の脱脂温度範囲にある290℃での保持であっても、アクリル樹脂とメチルセルロースが同時に脱脂されて急激な発熱が生じることは防止される。
そして、340℃での保持によりソルビタン脂肪酸エステルが脱脂される。ソルビタン脂肪酸エステルを脱脂するための340℃での保持の際にはすでにメチルセルロースの脱脂は290℃での保持により終わっている。そのため、メチルセルロースの脱脂温度範囲にある340℃での保持であっても、メチルセルロースとソルビタン脂肪酸エステルが同時に脱脂されて急激な発熱が生じることは防止される。
また、460℃での保持によりメチルセルロースの成分のうち高温で脱脂される成分が脱脂される。
このような工程であれば、各脱脂温度での保持により脱脂される有機成分の種類は1種類ずつとなる。複数種類の有機成分が連続的に脱脂されないので、ハニカム成形体が多量の有機成分を含む場合であっても急激な発熱が生じることが防止され、ハニカム脱脂体に割れが生じることが防止される。
各有機成分ごとに設定した脱脂温度では10分以上の保持を行う。配合量の少ない有機成分については10分の保持で脱脂が完了するので、保持時間の最低ラインを10分と定めているが、配合量の多い有機成分については保持時間をより長く設定してその脱脂温度での保持により当該有機成分の脱脂が完了するようにする。
いずれの有機成分についても脱脂温度が設定されない温度領域では、昇温を速く行うことが好ましく、20℃/時間以上の昇温速度を設定することが好ましい。
いずれの有機成分についても脱脂温度が設定されない温度領域での昇温を速く行ったとしてもハニカム脱脂体に割れが生じないので、脱脂工程の時間の短縮を図ることができる。
このようにして定める脱脂時の昇温プロファイルは、後述する実施例の図3で示すように、各有機成分ごとに設定した脱脂温度での保持と、脱脂温度が設定されない温度領域での速い昇温による傾きが組み合わされた階段状のプロファイルとなる。
脱脂に用いる装置としては、ハニカム成形体の脱脂に従来から使用されている脱脂炉であって、所定温度での脱脂温度の設定とその脱脂温度での所定時間の保持をプログラム入力して脱脂工程を実行することができる脱脂炉を使用することが好ましい。
(焼成工程)
焼成工程では、脱脂工程により得られたハニカム脱脂体を焼成して、焼成体であるハニカム構造体とする。
焼成条件は、1400〜1600℃とすることが好ましく、1450〜1550℃とすることがより好ましい。
焼成工程では、アルミナ粒子とチタニア粒子との反応が進行して、チタン酸アルミニウムの相が形成される。
焼成は、公知の単独炉、いわゆるバッチ炉や、連続炉を用いて行うことができる。焼成時間は特に限定されないが、上記の焼成温度において1〜20時間保持することが好ましく、1〜10時間保持することがより好ましい。また、焼成工程は大気雰囲気下で行うことが好ましい。大気雰囲気に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを混合することにより、酸素濃度を調整してもよい。
焼成工程を経て得られるハニカム構造体の気孔率を45〜70%とすることが好ましく、原料組成物の組成、脱脂条件、焼成条件等の調整によりハニカム構造体の気孔率を制御することができる。
ハニカム構造体の気孔率は、貫通孔(セル)部分を除いたセル隔壁部分の気孔率である。
焼成工程を経て得られるハニカム構造体の気孔率は、水銀圧入法を用いて測定することができる。
図2(a)は、本発明の各工程を経ることにより製造されたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示したハニカム構造体のA−A線断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、このハニカム構造体10では、円柱形状のハニカム構造体10の長手方向(図2(a)中、両矢印aで示す)に垂直な断面の形状が略八角形の排ガス導入セル11aと略四角形の排ガス排出セル11bが多数形成されており、排ガス導入セル11aと排ガス排出セル11bとは、セル隔壁13を隔てて形成されている。
排ガスが導入される側の端面14から見ると、排ガス排出セル11bは、端面14が封止部12bにより目封じされており、排ガス導入セル11aは開口している。一方、排ガスが排出される側の端面15では、排ガス導入セル11aが封止部12aにより目封じされており、排ガス排出セル11bは開口している。
排ガス導入セル11aの端面15は目封じされているため、端面14から排ガス導入セル11aに導入された排ガスGは、多孔質壁であるセル隔壁13を通過した後、排ガス排出セル11bを通って端面15から排出される。この間に排ガス中のパティキュレートマター(以下、PMという)がセル隔壁13で捕集され、排ガスが浄化される。
本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、排ガス中のPMを除去するハニカムフィルタとして機能する。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法により得られたハニカム構造体は、目封じすることなく、種々の触媒等を担持することにより触媒担体として使用してもよい。
本発明のハニカム構造体の製造方法の作用効果を説明する。
(1)本発明のハニカム構造体の製造方法における脱脂工程では、脱脂の対象となる各有機成分が脱脂され発熱する温度を把握し、各有機成分が脱脂される温度に合わせた脱脂温度を設定して有機成分ごとに適した脱脂温度での脱脂を行う。
このようにすると、複数種類の有機成分が連続的に脱脂されないので、ハニカム成形体が多量の有機成分を含む場合であっても急激な発熱が生じることが防止され、ハニカム脱脂体に割れが生じることが防止される。
(2)本発明のハニカム構造体の製造方法は、原料組成物に含まれる有機成分の割合が10〜40重量%であり、有機成分の割合が高い原料組成物を成形してなるハニカム成形体の脱脂に適している。有機成分の割合が高い原料組成物を使用すると気孔率の高いハニカム構造体を製造することができる。
(3)本発明のハニカム構造体の製造方法では、脱脂温度間の昇温速度を20℃/時間といった速い昇温速度にしてもハニカム脱脂体に割れが生じないので、脱脂工程の時間の短縮を図ることができる。
以下、上記した本発明のハニカム構造体の製造方法をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、平均粒子径が20μmのアルミナ粒子:40.0重量%、平均粒子径が0.5μmのチタニア粒子:25.7重量%、平均粒子径が1μmのシリカ粒子:2.5重量%、平均粒子径が3μmのマグネシア粒子:1.1重量%、メチルセルロース(有機バインダ):4.1重量%、ソルビタン脂肪酸エステル(分散剤):3.0重量%、ポリオキシアルキレン系化合物(可塑剤):1.0重量%、アクリル樹脂(有機造孔剤):6.9重量%、水(分散媒):15.6重量%からなる組成のものを混合機で混合して原料組成物を作製した。
その後、この原料組成物を使用して押出成形機によって押出成形を行い、図2(a)に示す形状でセルが封止されていないハニカム成形体を作製した。
次に、このハニカム成形体のセルを互い違いに上記原料組成物と同じ組成の封止材にて目封止し、乾燥した。
乾燥したハニカム成形体に対し脱脂工程を行った。
実施例1では、原料組成物に含まれる有機成分ごとに脱脂温度を設定し、各脱脂温度での保持を行った後に昇温するプロファイルを作成した。
原料組成物に含まれる有機成分のTG−DTAチャートは図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)に示すチャートである。
そして、原料組成物に含まれるポリオキシアルキレン系化合物に対して218℃で6時間の保持、アクリル樹脂に対して267℃で7時間の保持、メチルセルロースに対して290℃で5時間の保持と461℃で2.5時間の保持、ソルビタン脂肪酸エステルに対して328℃で2.5時間の保持を行うように脱脂温度及び保持時間を定めた。
また、各脱脂温度の間の昇温を100℃までを100℃/時間、100℃〜600℃までを20℃/時間で行うことして、脱脂プロファイルを作成した。
このようにして脱脂工程を行ったところ、作製したハニカム脱脂体には割れが生じておらいなかった。
図3には、実施例1の脱脂工程における脱脂プロファイルを実線で示した。脱脂工程に要した時間は49時間であった。
ハニカム脱脂体を大気雰囲気下、1500℃で15時間保持することにより、直径132.1mm、長さ100mm、外周壁の厚さ0.3mm、セル隔壁の厚さ0.125mm、セル密度34.1セル/cmの円柱状のハニカム構造体を作製した。
(比較例1)
実施例1と同じハニカム成形体に対して、ハニカム構造体の脱脂工程において従来用いられていたような脱脂プロファイルを用いて脱脂工程を行った。
図3には、比較例1の脱脂工程における脱脂プロファイルを点線で併せて示した。
ハニカム脱脂体には割れは生じていなかったが、脱脂工程に要した時間が283時間と長くなっていた。
10 ハニカム構造体
11a 排ガス導入セル
11b 排ガス排出セル
12a、12b 封止部
13 セル隔壁
14 排ガスが導入される側の端面
15 排ガスが排出される側の端面
G 排ガス

Claims (7)

  1. アルミナ粒子及びチタニア粒子を含む無機粒子と、有機バインダ及び有機造孔剤を含む少なくとも2種類以上の有機成分とからなる原料組成物を成形してハニカム成形体を得る成形工程と、
    前記ハニカム成形体を脱脂してハニカム脱脂体を得る脱脂工程とを含むチタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体の製造方法であって、
    前記脱脂工程では、前記原料組成物に含まれる各有機成分ごとに、当該有機成分についてTG−DTA測定により定められる重量減少ピーク温度に対して重量減少ピーク温度±30℃の脱脂温度を設定し、各有機成分ごとに設定した脱脂温度で10分以上の保持を、低温側で設定された脱脂温度での保持から高温側で設定された脱脂温度での保持まで順次行うことにより段階的に有機成分の脱脂を行うことを特徴とする、チタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記原料組成物に含まれる前記有機成分の割合が10〜40重量%である請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記原料組成物は、さらに成形助剤、可塑剤、分散剤及び潤滑剤からなる群から選択された少なくとも1種の有機成分を含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記有機バインダがメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びポリエチレングリコールからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記有機造孔剤がアクリル樹脂及びでんぷんからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記脱脂工程において、各脱脂温度までの昇温は、20℃/時間以上の昇温速度で行う請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記ハニカム脱脂体を焼成する焼成工程を含み、焼成工程を経て得られるハニカム構造体の気孔率を45〜70%とする請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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