JP2018158977A - 複合体粒子、樹脂組成物、誘電エラストマー及びトランスデューサー - Google Patents

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潤 木戸場
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裕美 吉田
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裕美 吉田
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Abstract

【課題】絶縁性を保持しつつ、比誘電率と柔軟性とのいずれにも優れる誘電層を与えることができる複合体粒子を提供する。また、このような複合体粒子を用いた樹脂組成物、誘電エラストマー及びトランスデューサーも提供する。【解決手段】金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が担持した複合体粒子であって、該イオン液体の担持量は、該金属酸化物100重量部に対し1〜40重量部である複合体粒子。【選択図】 なし

Description

本発明は複合体粒子、樹脂組成物、誘電エラストマー及びトランスデューサーに関する。
誘電エラストマー等の高分子材料は、小型で軽量なトランスデューサー等の構成材料として広く使用されている。トランスデューサーとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエーター、センサー等や、音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカー、マイクロフォン等が知られており、多種多様な用途に使用されている。
例えばアクチュエーターは、誘電エラストマーからなる誘電層を厚み方向に電極で挟むことで構成することができる。アクチュエーターでは、電極間への印加電圧を大きくすることで電極間の静電引力が大きくなるため、電極に挟まれた誘電層が圧縮され、平行方向に伸長する一方、印加電圧を小さくすると電極間の静電引力が小さくなり、圧縮力が小さくなることで、誘電層は平行方向に収縮する。このようにアクチュエーターは、誘電層を伸長、収縮させることで駆動する特性を有するが、誘電エラストマーの変位を大きくする手段の一つとして、比誘電率の向上があり、例えばチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム等の高誘電性の無機粒子を使用する手法や、高誘電性の有機物を使用する手法が知られている。従来の誘電エラストマーについては、例えば特許文献1等に開示がある。
国際公開第2013/146357号公報
上述の通り、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム等の高誘電性の無機粒子を高充填することで比誘電率を向上させることができる。だが、樹脂等への高誘電性の無機粒子の添加量が多ければ多いほど、誘電層自体の柔軟性が損なわれ、伸長しにくくなるため、比誘電率の向上と柔軟性とを両立することは困難である。一方、イオン液体のみで誘電層を形成する場合、見かけ上イオン液体が可塑剤として機能するため、柔軟性を向上することができる。だが、誘電層が導電性を帯びるため、層全体の耐電圧が低くなり、短絡し易くなる。短絡を防止するための手段の一つとして各電極と誘電層との間にそれぞれ絶縁層を設ける方法があるが、その結果、電極と誘電層との距離が大きくなり、伸長変位を低下させることになる。
特許文献1には、反応性イオン液体が、シラノール基を介して金属酸化物粒子に固定化されているイオン固定化金属酸化物粒子、及び、この粒子がエラストマーに固定化されているイオン固定化エラストマーが記載されている。だが、柔軟性とともに、比誘電率のより一層の向上を図るための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、絶縁性を保持しつつ、比誘電率と柔軟性とのいずれにも優れる誘電層を与えることができる複合体粒子を提供することを目的とする。本発明はまた、このような複合体粒子を用いた樹脂組成物、誘電エラストマー及びトランスデューサーを提供することも目的とする。
本発明者らは、誘電層等の材料について鋭意検討を重ねるうち、金属酸化物に、イオン液体を所定範囲で担持させることで金属酸化物とイオン液体との相乗効果に起因して、絶縁性を保持しつつ、比誘電率が著しく向上することを見いだした。このような複合体粒子は、誘電エラストマーの材料として極めて有用である。こうして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が担持した複合体粒子であって、該イオン液体の担持量は、該金属酸化物100重量部に対し1〜40重量部である複合体粒子である。
上記イオン液体は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記金属酸化物は、Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物であることが好ましい。
本発明はまた、上記複合体粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物でもある。
上記樹脂は、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。
本発明は更に、上記樹脂組成物を用いて作製された誘電エラストマーでもある。
本発明はそして、一対の電極間に、上記誘電エラストマーが配置された構成を有するトランスデューサーでもある。
本発明の複合体粒子は、上述の構成よりなるので、絶縁性を保持しつつ、比誘電率と柔軟性とのいずれにも優れる誘電層を与えるものである。それゆえ、この複合体粒子を含む樹脂組成物は、誘電エラストマーとして極めて有用であり、アクチュエーター、センサー、スピーカー、マイクロフォン等の種々のトランスデューサーの他、様々な用途に多大な貢献をなすものである。
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1、複合体粒子
本発明の複合体粒子は、金属酸化物にイオン液体が担持した構造を有する。
本明細書中、「担持」しているとは、イオン液体が、化学的、物理的、電気的、ファンデルワールス力又はその他任意の力により、金属酸化物粒子の粒子表面に束縛している状態を表現したもので、例えばイオン液体がチタン酸バリウム粒子の表面に結合している状態を示す。なお、上記粒子表面とは、粒子孔内や粒子同士が密着した隙間等も含む。
上記複合体粒子の平均粒子径は特に限定されず、例えば、1〜5000nmであることが好ましい。比誘電率を更に高める観点から、より好ましくは100〜2000nm、更に好ましくは150〜1000nm、特に好ましくは200〜500nmである。
本明細書中、平均粒子径はBET法による比表面積より換算した平均一次粒子径を意味し、下記計算式(1)により求めた値である。
平均一次粒子径=[6/(Sg×ρ)](Sg:比表面積、ρ:粒子の真比重)・・・(1)
なお、比表面積は、例えば全自動BET比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HN−1220」)により求めることができる。
上記複合体粒子の形状は特に限定されず、球状(略球状も含む)、棒状、針状、紡錘状、板状、六角板状、六角柱状、針状凝集体、板状集積型、無定形状、キュービック状等が挙げられる。形状は、走査型電子顕微鏡等によって観察することができる。
以下では、複合体粒子を構成する金属酸化物及びイオン液体について説明する。
1)金属酸化物
金属酸化物としては特に限定されないが、比誘電率を更に高める観点から、Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物であることが好ましい。これらの中でも、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタンがより好ましい。
本明細書中、「複合金属酸化物」とは、同一結晶構造内に酸素以外の原子が2種以上である酸化物であり、また、「単一金属酸化物」とは、同一結晶構造内に酸素以外の原子が1種である酸化物をいう。
上記金属酸化物の平均粒子径は特に限定されず、例えば、1〜5000nmであることが好ましい。比誘電率を更に高める観点から、より好ましくは100〜2000nm、更に好ましくは150〜1000nm、特に好ましくは200〜500nmである。
2)イオン液体
イオン液体は、アルコキシシリル基を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属酸化物表面が負に帯電している場合、カチオン側にアルコキシシリル基を有すると、静電気力と化学反応の相乗効果により、誘電率向上効果が充分に発揮される。アニオン側にアルコキシシリル基を有する場合も同様である。
上記アルコキシシリル基としては、例えば、下記一般式(1):
−Si(OR) (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)で表されるアルコキシシリル基であることが好適である。Rが表す炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2である。また、炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好適である。
上記イオン液体を構成するアニオンは特に限定されないが、例えば、N、SO 、Cl、Br、I、BF 、PF 、AlCl 、シアノ基、カルボキシレート基及びスルホネート基からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好適である。
上記イオン液体を構成するカチオンについても特に限定されないが、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好適である。中でも、上記イオン液体は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、更に好ましくはアンモニウムカチオン及び/又はホスホニウムカチオンを含むことである。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記複合体粒子において、イオン液体の担持量は、金属酸化物100重量部に対し1〜40重量部であることが好適である。これにより、充分な柔軟性を発揮しながらも、比誘電率がより一層向上された誘電層を与えることが可能になる。イオン液体の担持量が1重量部未満の場合、比誘電率の向上効果が小さくなる。一方、40重量部を超える場合、イオン液体により誘電層が導電化することで電圧印加時に短絡し易く、誘電体としての機能を果たせなくなる。より好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは1〜15重量部である。なお、担持量は、複合体粒子を得るための原料の重量比から求められる。
上記複合体粒子を製造する方法としては特に限定されず、イオン液体と金属酸化物とを通常の混合手段で混合すればよい。この混合は、有機溶媒の存在下で行うことが好適である。有機溶媒としては特に限定されず、例えば、キシレン、トルエン等の炭化水素系の有機溶媒が挙げられる。なお、混合後、脱溶媒や粉砕工程等を行ってもよい。
2、樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の複合体粒子と樹脂とを含む。各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記樹脂としては特に限定されず、誘電層に通常使用される樹脂を用いればよく、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、共重合ブロックポリマー、ゴム系材料等が挙げられる。中でも、柔軟性、絶縁性向上の観点から、シリコーン樹脂が好ましい。
上記樹脂組成物において、複合体粒子と樹脂との含有量比は特に限定されないが、例えば、体積比(複合体粒子/樹脂)として、5〜90/95〜10とすることが好ましい。より好ましくは10〜80/90〜20、更に好ましくは10〜70/90〜30である。
上記樹脂組成物はまた、必要に応じて更に他の成分を1種又は2種以上含んでもよい。他の成分としては特に限定されず、例えば、有機溶媒、硬化剤、添加剤等が挙げられ、樹脂の種類や樹脂組成物の使用用途等に応じて適宜選択すればよい。
上記樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、各成分を通常の混合手段で混合すればよい。
3、誘電エラストマー
本発明の樹脂組成物は、誘電エラストマーの原料として有用である。誘電エラストマーは、上記樹脂組成物を硬化させることで得ることができる。このように上記樹脂組成物を用いて作製された誘電エラストマーもまた、本発明の一つである。
上記誘電エラストマーを製造する方法は特に限定されないが、例えば、基材に、樹脂組成物を塗布し、乾燥及び硬化することで得ることができる。なお、実際の使用態様で基材が不要である場合は、乾燥及び硬化後、基材を剥離すればよい。
上記誘電エラストマーの形状は特に限定されないが、取扱いやすい観点で、膜状(シート状又はフィルム状)であることが好適である。厚みも特に限定されず、例えば、1〜10000μmであることが好ましい。より好ましくは10〜5000μmである。
上記誘電エラストマーは、絶縁性を保持しつつ、比誘電率と柔軟性とのいずれにも優れる誘電層となるため、例えば、アクチュエーター、センサー、スピーカー、マイクロフォン等の種々のトランスデューサーの他、様々な用途に有用である。中でも、トランスデューサー用途に用いると、誘電エラストマーは電極に追随して伸長、収縮しやすいため、トランスデューサーが所望の出力を得やすくなる。
4、トランスデューサー
本発明のトランスデューサーは、一対の電極間に、上述した本発明の誘電エラストマーが配置された構造を有する。上述したように本発明の誘電エラストマーを用いることで、所望の出力を得やすくなる。
上記電極の材料は特に限定されず、通常使用されるものを使用すればよいが、例えば、導電材をバインダー(樹脂、オイル、エラストマー等)に混合した材料が挙げられる。導電材も特に限定されないが、例えば、銀や銅等の導電性を有する金属粉や、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素材料が好適である。また、金属繊維や炭素繊維等から電極を形成してもよく、蒸着やスパッタ等で形成してもよい。
上記トランスデューサーを製造する方法は特に限定されないが、例えば、シート状の誘電エラストマーの両面に電極材料を塗布し、乾燥及び硬化することで得ることができる。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「質量部(又は重量部)」を、「%」は「質量%(又は重量%)」を意味する。また、以下の試験例で得た樹脂組成物は、体積比で、(イオン液体、金属酸化物又は複合体粒子)/樹脂=40/60となるよう調製したものである。
試験例1〜19で使用した器具や原料等は以下の通りである。
ミキサー:シンキー社製の自転・公転ミキサー、「ARE−250」
金属酸化物(1):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−03」(平均粒子径:300nm)
金属酸化物(2):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−01」(平均粒子径:100nm)
金属酸化物(3):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−05」(平均粒子径:500nm)
金属酸化物(4):堺化学工業社製、酸化亜鉛、「XZ1000F」(平均粒子径:1μm)
金属酸化物(5):堺化学工業社製、酸化亜鉛、「XZ2000F」(平均粒子径:2μm)
硫酸バリウム:堺化学工業社製、「B−30NC」(平均粒子径:300nm)
シリコーン樹脂:信越化学工業社製、「KE−1316」
硬化剤:信越化学工業社製、「CAT−1316」
イオン液体(1)〜(6):表1に示す。
Figure 2018158977
試験例1
ミキサーにてイオン液体(5)100部を混合した。得られた混合物に、シリコーン樹脂125部を添加し混合した後、硬化剤12.5部を更に添加して混合することで、樹脂組成物を得た。
試験例2
ミキサーにて、溶剤としてキシレン50部、イオン液体(5)60部、及び、金属酸化物(1)100部を混合した。得られた粒子にシリコーン樹脂100部を添加し混合した後、硬化剤10部を更に添加して混合することで、樹脂組成物を得た。
試験例3〜9
各成分の配合量を表2に示す通りに変更したこと以外は、試験例2と同様にして、樹脂組成物を各々得た。
試験例10〜19
イオン液体(5)及び金属酸化物(1)を、表3に示す化合物等に変更したこと以外は、試験例5と同様にして、樹脂組成物を各々得た。
試験例1〜19で得た各樹脂組成物を用いて以下の手順で誘電エラストマーを作製した後、柔軟性及び比誘電率を測定した。結果を表2、3に示す。
1)誘電エラストマーの作製
ベーカー式フィルムアプリケーターを用いて、テフロン(登録商標)シート(中興化成工業社製、「スカイブドテープMSF−100」)に、樹脂組成物を塗布した。その際、乾燥後の厚みが約100μmになるように塗布量を調節した。塗布後のシートを、乾燥機(エスペック社製、「SPH(H)−102」)にて100℃で30分乾燥した後、180℃で2時間硬化させた。硬化物を、テフロン(登録商標)シートから手で剥離した。
2)比誘電率の測定
上記1)で得た誘電エラストマーに金スパッタを両面に施し電極とし試験片を作製した。試験片をインピーダンスアナライザ(YHP社製、「4192A−LF」)にて両電極に電流が流れるようにセットし、1kHzで静電容量値を測定した。測定した静電容量値より比誘電率を算出した。
3)柔軟性評価
上記1)で得た誘電エラストマーシートをダンベル状2号形に抜き試験片とした。作製した試験片を引っ張り試験機(島津製作所社製、「AGS−1kNX」)にて初期弾性率を測定した。弾性率が低いほど柔軟性が高いと判断することができる。
4)絶縁性評価
上記1)で得た誘電エラストマーシートを抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、「ハイレスターUP MCP−HT450」)にて測定した。
Figure 2018158977
Figure 2018158977
表2、3より以下の事項を確認した。
試験例3〜7は、金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が所定量担持した複合体粒子を用いた例である。これに対し、試験例1はイオン液体のみを使用した点で、試験例9は金属酸化物のみを使用した点で、試験例2、8は金属酸化物とアルコキシシリル基を有するイオン液体とを併用しているものの、イオン液体の担持量が本発明で規定した範囲外である点で、試験例3〜7とそれぞれ相違する。このような相違の下、誘電エラストマーとしたときの素子の比誘電率を比較すると、試験例3〜7では、試験例1、2、8及び9に比較して比誘電率が著しく高いことが分かった。
なお、試験例1〜9では、イオン液体を含まなくても、すなわち試験例9でもある程度の柔軟性を奏することができるように樹脂との配合比を設定し、試験を行った。それにも関わらず、試験例3〜7では試験例9よりも弾性率が低くなっており、柔軟性が向上したことが分かった。
試験例10、11は金属酸化物の粒子径を変更した例であるが、この場合も、比誘電率及び柔軟性のいずれも良好な結果となった。また、金属酸化物及びイオン液体の種類を変更した試験例12、13でも同様に、比誘電率及び柔軟性のいずれも良好な結果となったのに対し、金属酸化物ではない金属化合物(硫酸バリウム等)を使用した場合には、比誘電率の向上効果が確認できなかった。
試験例5、15〜19のうち、試験例5、15〜18は、アルコキシシリル基を有するイオン液体を使用した例であるのに対し、試験例19はイオン液体がアルコキシシリル基を有さない点で相違する。この相違の下、誘電エラストマーとしたときの柔軟性及び素子の比誘電率を比較すると、試験例19に比べて試験例5、15〜18では比誘電率が著しく高い。また、試験例5と試験例18とは、アルコキシシリル基を有するイオンがカチオンであるか(試験例5)又はアニオンであるか(試験例18)の点で相違するが、誘電エラストマーとしたときの柔軟性及び比誘電率はいずれも著しく高い結果が得られた。
なお、上記表等には示していないが、試験例2〜19で得た誘電エラストマーはいずれも、絶縁性を有していた。
以上より、金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が所定範囲で担持した構成の複合体粒子であることによって初めて、絶縁性を保持しつつ、比誘電率と柔軟性とのいずれにも優れる誘電層を与えることができることが分かった。
誘電エラストマー素子の作製例
まず、ケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「ケッチェンブラックEC300J」)4部、シリコーン樹脂(信越化学工業社製、「KE−1316」)18部、硬化剤(信越化学工業社製、「CAT−1316」)1.8部、及び、キシレン1.3部を混合することで、電極用塗工液を作製した。
上記1)で作製したシート状の硬化物(誘電エラストマー)の両面に、電極用塗工液膜を塗布した。塗布後のシートを、乾燥機(エスペック社製、「SPH(H)−102」)にて100℃で30分乾燥した後、180℃で2時間硬化させ、誘電エラストマー素子を得た。

Claims (7)

  1. 金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が担持した複合体粒子であって、
    該イオン液体の担持量は、該金属酸化物100重量部に対し1〜40重量部である
    ことを特徴とする複合体粒子。
  2. 前記イオン液体は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合体粒子。
  3. 前記金属酸化物は、
    Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、
    該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合体粒子と、樹脂とを含む
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  5. 前記樹脂は、シリコーン樹脂を含む
    ことを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の樹脂組成物を用いて作製された
    ことを特徴とする誘電エラストマー。
  7. 一対の電極間に、請求項6に記載の誘電エラストマーが配置された構成を有する
    ことを特徴とするトランスデューサー。
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