JP2018158977A - 複合体粒子、樹脂組成物、誘電エラストマー及びトランスデューサー - Google Patents
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Abstract
Description
上記金属酸化物は、Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物であることが好ましい。
上記樹脂は、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。
本発明の複合体粒子は、金属酸化物にイオン液体が担持した構造を有する。
本明細書中、「担持」しているとは、イオン液体が、化学的、物理的、電気的、ファンデルワールス力又はその他任意の力により、金属酸化物粒子の粒子表面に束縛している状態を表現したもので、例えばイオン液体がチタン酸バリウム粒子の表面に結合している状態を示す。なお、上記粒子表面とは、粒子孔内や粒子同士が密着した隙間等も含む。
本明細書中、平均粒子径はBET法による比表面積より換算した平均一次粒子径を意味し、下記計算式(1)により求めた値である。
平均一次粒子径=[6/(Sg×ρ)](Sg:比表面積、ρ:粒子の真比重)・・・(1)
なお、比表面積は、例えば全自動BET比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HN−1220」)により求めることができる。
金属酸化物としては特に限定されないが、比誘電率を更に高める観点から、Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物であることが好ましい。これらの中でも、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタンがより好ましい。
本明細書中、「複合金属酸化物」とは、同一結晶構造内に酸素以外の原子が2種以上である酸化物であり、また、「単一金属酸化物」とは、同一結晶構造内に酸素以外の原子が1種である酸化物をいう。
イオン液体は、アルコキシシリル基を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属酸化物表面が負に帯電している場合、カチオン側にアルコキシシリル基を有すると、静電気力と化学反応の相乗効果により、誘電率向上効果が充分に発揮される。アニオン側にアルコキシシリル基を有する場合も同様である。
−Si(OR)3 (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)で表されるアルコキシシリル基であることが好適である。Rが表す炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2である。また、炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好適である。
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の複合体粒子と樹脂とを含む。各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、誘電エラストマーの原料として有用である。誘電エラストマーは、上記樹脂組成物を硬化させることで得ることができる。このように上記樹脂組成物を用いて作製された誘電エラストマーもまた、本発明の一つである。
本発明のトランスデューサーは、一対の電極間に、上述した本発明の誘電エラストマーが配置された構造を有する。上述したように本発明の誘電エラストマーを用いることで、所望の出力を得やすくなる。
ミキサー:シンキー社製の自転・公転ミキサー、「ARE−250」
金属酸化物(1):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−03」(平均粒子径:300nm)
金属酸化物(2):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−01」(平均粒子径:100nm)
金属酸化物(3):堺化学工業社製、チタン酸バリウム、「BT−05」(平均粒子径:500nm)
金属酸化物(4):堺化学工業社製、酸化亜鉛、「XZ1000F」(平均粒子径:1μm)
金属酸化物(5):堺化学工業社製、酸化亜鉛、「XZ2000F」(平均粒子径:2μm)
硫酸バリウム:堺化学工業社製、「B−30NC」(平均粒子径:300nm)
シリコーン樹脂:信越化学工業社製、「KE−1316」
硬化剤:信越化学工業社製、「CAT−1316」
イオン液体(1)〜(6):表1に示す。
ミキサーにてイオン液体(5)100部を混合した。得られた混合物に、シリコーン樹脂125部を添加し混合した後、硬化剤12.5部を更に添加して混合することで、樹脂組成物を得た。
ミキサーにて、溶剤としてキシレン50部、イオン液体(5)60部、及び、金属酸化物(1)100部を混合した。得られた粒子にシリコーン樹脂100部を添加し混合した後、硬化剤10部を更に添加して混合することで、樹脂組成物を得た。
各成分の配合量を表2に示す通りに変更したこと以外は、試験例2と同様にして、樹脂組成物を各々得た。
イオン液体(5)及び金属酸化物(1)を、表3に示す化合物等に変更したこと以外は、試験例5と同様にして、樹脂組成物を各々得た。
ベーカー式フィルムアプリケーターを用いて、テフロン(登録商標)シート(中興化成工業社製、「スカイブドテープMSF−100」)に、樹脂組成物を塗布した。その際、乾燥後の厚みが約100μmになるように塗布量を調節した。塗布後のシートを、乾燥機(エスペック社製、「SPH(H)−102」)にて100℃で30分乾燥した後、180℃で2時間硬化させた。硬化物を、テフロン(登録商標)シートから手で剥離した。
上記1)で得た誘電エラストマーに金スパッタを両面に施し電極とし試験片を作製した。試験片をインピーダンスアナライザ(YHP社製、「4192A−LF」)にて両電極に電流が流れるようにセットし、1kHzで静電容量値を測定した。測定した静電容量値より比誘電率を算出した。
上記1)で得た誘電エラストマーシートをダンベル状2号形に抜き試験片とした。作製した試験片を引っ張り試験機(島津製作所社製、「AGS−1kNX」)にて初期弾性率を測定した。弾性率が低いほど柔軟性が高いと判断することができる。
上記1)で得た誘電エラストマーシートを抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、「ハイレスターUP MCP−HT450」)にて測定した。
試験例3〜7は、金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が所定量担持した複合体粒子を用いた例である。これに対し、試験例1はイオン液体のみを使用した点で、試験例9は金属酸化物のみを使用した点で、試験例2、8は金属酸化物とアルコキシシリル基を有するイオン液体とを併用しているものの、イオン液体の担持量が本発明で規定した範囲外である点で、試験例3〜7とそれぞれ相違する。このような相違の下、誘電エラストマーとしたときの素子の比誘電率を比較すると、試験例3〜7では、試験例1、2、8及び9に比較して比誘電率が著しく高いことが分かった。
なお、試験例1〜9では、イオン液体を含まなくても、すなわち試験例9でもある程度の柔軟性を奏することができるように樹脂との配合比を設定し、試験を行った。それにも関わらず、試験例3〜7では試験例9よりも弾性率が低くなっており、柔軟性が向上したことが分かった。
まず、ケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「ケッチェンブラックEC300J」)4部、シリコーン樹脂(信越化学工業社製、「KE−1316」)18部、硬化剤(信越化学工業社製、「CAT−1316」)1.8部、及び、キシレン1.3部を混合することで、電極用塗工液を作製した。
上記1)で作製したシート状の硬化物(誘電エラストマー)の両面に、電極用塗工液膜を塗布した。塗布後のシートを、乾燥機(エスペック社製、「SPH(H)−102」)にて100℃で30分乾燥した後、180℃で2時間硬化させ、誘電エラストマー素子を得た。
Claims (7)
- 金属酸化物に、アルコキシシリル基を有するイオン液体が担持した複合体粒子であって、
該イオン液体の担持量は、該金属酸化物100重量部に対し1〜40重量部である
ことを特徴とする複合体粒子。 - 前記イオン液体は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の複合体粒子。 - 前記金属酸化物は、
Ba、Sr及びCaからなるA群より選択される少なくとも1種の元素と、Ti、Zr、Zn、Mg、Al及びSiからなるB群より選択される少なくとも1種の元素とを含む複合金属酸化物、及び/又は、
該B群より選択される1種の元素を含む単一金属酸化物である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体粒子。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の複合体粒子と、樹脂とを含む
ことを特徴とする樹脂組成物。 - 前記樹脂は、シリコーン樹脂を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。 - 請求項4又は5に記載の樹脂組成物を用いて作製された
ことを特徴とする誘電エラストマー。 - 一対の電極間に、請求項6に記載の誘電エラストマーが配置された構成を有する
ことを特徴とするトランスデューサー。
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