以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、送風装置Aにおいて、送風装置Aの中心軸Cと平行な方向を「軸方向」、送風装置Aの中心軸Cに直交する方向を「径方向」、送風装置Aの中心軸Cを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。同様にして、インペラ20についても、送風装置A内に組み込まれた状態において送風装置Aの軸方向、径方向及び周方向と一致する方向をそれぞれ単に「軸方向」、「径方向」及び「周方向」と呼ぶ。また、本明細書では、送風装置Aにおいて、軸方向を上下方向とし、インペラ20に対してインペラカバー41の吸気口43側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。上下方向は単に説明のために用いられる名称であって、送風装置Aの使用状態における位置関係及び方向を限定しない。また、「上流」及び「下流」はインペラ20を回転させた際に吸気口43から吸い込まれた空気の流通方向の上流及び下流をそれぞれ示す。
また本明細書では、掃除機100において、図1の床面F(被清掃面)に近づく方向を「下方」とするとともに床面Fから離れる方向を「上方」として、各部の形状や位置関係を説明する。なお、これらの方向は単に説明のための用いられる名称であって、掃除機100使用状態における位置関係及び方向を限定しない。また、「上流」及び「下流」は送風装置Aを駆動させた際に吸気部103から吸い込まれた空気の流通方向の上流及び下流をそれぞれ示す。
(第1実施形態)
<1.掃除機の全体構成>
本発明の例示的な実施形態の掃除機について以下説明する。図1は、本実施形態にかかる掃除機の斜視図である。掃除機100は所謂スティック型の電気掃除機であり、下面及び上面にそれぞれ吸気部103及び排気部104を開口する筐体102を備える。筐体102の背面からは電源コード(不図示)が導出される。電源コードは居室の側壁面等に設けられた電源コンセント(不図示)に接続され、掃除機100に電力を供給する。なお、掃除機100は、所謂、ロボット型、キャニスター型またはハンディ型の電気掃除機でもよい。
筐体102内には吸気部103と排気部104とを連結する空気通路(不図示)が形成される。空気通路内には上流側から下流側に向かって集塵部(不図示)、フィルタ(不図示)及び送風装置Aが順に配置される。空気通路内を流通する空気に含まれる塵埃等のゴミはフィルタにより遮蔽され、容器状に形成される集塵部内に集塵される。集塵部及びフィルタは筐体102に対して着脱可能に構成される。
筐体102の上部には把持部105及び操作部106が設けられる。使用者は把持部105を把持して掃除機100を移動させることができる。操作部106は複数のボタン106aを有し、ボタン106aの操作によって掃除機100の動作設定を行う。例えば、ボタン106aの操作により、送風装置Aの駆動開始、駆動停止、及び回転数の変更等が指示される。吸気部103には筒状の吸引管107が接続される。吸引管107の上流端(図中、下端)には吸引ノズル110が吸引管107に対して着脱可能に取り付けられる。
<2.送風装置の全体構成>
図2は、本実施形態に係る送風装置の斜視図である。図3は、図2に示す送風装置の縦断面図である。図4は、図2に示す送風装置の分解斜視図である。送風装置Aは掃除機100に搭載されて空気を吸引する。
送風装置Aは、モータ10と、インペラ20と、モータハウジング3と、ブロアハウジング40と、カバー部材50と、熱伝導部材70と、回路基板Bdとを備える。モータハウジング3は、後述する上ハウジング30と、カバー部材50と、を備える。
ブロアハウジング40の内部に、インペラ20及びモータハウジング3を収納する。本実施形態においては、ブロアハウジング40は、上ハウジング30を収納する。図3に示すとおり、ブロアハウジング40と上ハウジング30との隙間に流路60が構成される。流路60は上端(上流端)で後述のインペラカバー41に連通し、流路60の下端(下流端)には排気口61が構成される。
上ハウジング30には、インペラ20と連結されたモータ10が収納される。すなわち、上ハウジング30はモータ10の径方向外側を囲む。つまり、モータハウジング3は、モータ10の径方向外側を囲む。インペラ20は、上下に延びる中心軸C周りに回転する。すなわち、インペラ20は、上下に延びる中心軸C周りに回転可能である。モータ10は、インペラ20の下方に配置されてインペラ20を回転させる。すなわち、モータ10は、インペラ20を回転させる。つまり、モータ10の回転によりインペラ20は上下に延びる中心軸C周りに回転方向R(後述の図8参照)に回転する。インペラ20が回転することで発生する気流は、流路60を通って排気口61から排出される。
<3.モータの構成>
図3に示すように、インペラ20の下方には上ハウジング30に収納されたモータ10が配置される。モータ10は所謂インナーロータ型のモータである。モータ10は、シャフト11と、ロータ12と、ステータ13とを備える。
<3.1 シャフトの構成>
シャフト11は、円柱状である。シャフト11は、中心軸Cに沿って配置される。図3に示すとおり、シャフト11は、上ハウジング30の後述する上ハウジング天板部31に設けられた貫通孔316を貫通する。シャフト11の上ハウジング天板部31から突出している端部に、インペラ20が固定される。シャフト11は、上軸受Br1および下軸受Br2に回転可能に支持されている。
上軸受Br1および下軸受Br2は、玉軸受である。そして、シャフト11は、上軸受Br1及び下軸受Br2の内輪に固定される。固定は、接着挿入や、圧入等の手段が採用される。上軸受Br1の外輪は上ハウジング30に固定され、下軸受Br2の外輪はカバー部材50に固定される。なお、上軸受Br1および下軸受Br2は、玉軸受に限定されない。上軸受Br1は、少なくとも一部が、インペラ20の後述する下面凹部211内に配置される。これにより、上軸受Br1と下軸受Br2の軸方向の長さを長くすることができる。また、上軸受Br1をインペラ20の後述するボス部212に近接して配置できる。これにより、インペラ20回転時のシャフト11のたわみ等の変形を抑制できる。
<3.2 ロータの構成>
ロータ12は、シャフト11に固定される。ロータ12は、シャフト11と共に回転する。すなわち、ロータ12は、シャフト11に固定され、シャフト11とともに回転する。ロータ12は複数のマグネット(不図示)を有する。複数のマグネットはシャフト11の外周面に固定される。複数のマグネットはN極の磁極面とS極の磁極面とが交互に並ぶ。
なお、複数のマグネットに替えて、単一の環状のマグネットを用いてもよい。この場合、マグネットにおいて、N極とS極とが周方向に交互に着磁されていればよい。また、マグネットが磁性体粉を配合した樹脂により一体に成形されてもよい。
<3.3 ステータの構成>
図5は、上ハウジング30及びステータコア131を下方から見た斜視図である。ステータ13はロータ12の径方向外側に配置される。すなわち、ステータ13は、ロータ12と径方向に対向する。より詳細に述べると、ロータ12は、径方向においてステータ13の内側に配置される。つまり、モータ10は、インナーロータ型である。これにより、高速回転に適したモータ10を実現できる。また、インナーロータ型においては、ステータ13と天板対向部314との間に他の部材が配置されないため、アウターロータ型に比べて、熱伝導部材70の配置が容易である。ステータ13は、ステータコア131と、インシュレータ132と、コイル133とを備える。すなわち、ステータ13は、コイル133を備える。ステータコア131は電磁鋼板を軸方向(図3において、上下方向)に積層した積層体である。なお、ステータコア131は、電磁鋼板を積層した積層体に限定されず、例えば、紛体の焼成、鋳造等、単一の部材であってもよい。
ステータコア131は、環状のコアバック134と複数のティース135とを有する。複数のティース135はコアバック134の内周面からロータ12のマグネット(不図示)に向かって径方向内側に延びて放射状に形成される。これにより、複数のティース135が周方向に配置される。コイル133はインシュレータ132を介して各ティース135の周囲にそれぞれ導線を巻き回して構成される。
なお、モータ10は、ブラシレスモータである。ブラシレスモータは、供給タイミングが異なる3系統(以下、3相とする)に分けられた電流によって駆動される。複数個のコイル133に決められたタイミングで電流を供給することで、コイル133とロータ12のマグネットとが引き合う又は反発することで、ロータ12が回転する。モータ10は、例えば、分速10万回転以上の回転数で回転可能な高回転型のモータである。通常、モータ10、コイル133の個数が少ない方が高速回転に有利である。そして、モータ10は、3相の電流で制御される。そのため、モータ10において、コイル133及びコイル133が配置されるティース135の個数は3個である。すなわち、モータ10は、3相3スロットのモータである。すなわち、モータ10は3相モータであり、ステータ13が3個のコイル133を備える。なお、3個のティース135は、バランスよく回転させるために、周方向に等間隔をなして配置される。
ステータコア131において、コアバック134の内周面及び外周面はティース135の根元近傍で平面になっている。これにより、巻線スペースを有効に活用できる。また、磁路を短くすることにより、損失を低減できる。また、磁気分布の乱れを防止しながらコイル133の巻崩れを防止することができる。また、ティース135の根元近傍以外のコアバック134の内周面及び外周面は曲面になっている。コアバック134は、曲面部分が上ハウジング30の内面と接触する。このとき、曲面部分が上ハウジング30の内面に圧入されてもよい。なお、圧入は、いわゆるしまりばめであってもよいし、圧入による力がしまりばめよりも弱い、軽圧入、いわゆる、中間ばめであってもよい。なお、コアバック134は、平面を備えずに、円筒状であってもよい。この場合、円筒の外面が、上ハウジング30に圧入される。なお、コアバック134と上ハウジング30との固定は、挿入接着等、他の方法であってもよい。
コイル133にはリード線(不図示)が接続される。リード線の一端はブロアハウジング40の下方に配された回路基板Bd上の駆動回路(不図示)に接続される。これにより、コイル133に電力が供給される。
<4.モータハウジングの構成>
モータハウジング3は、上ハウジング30と、カバー部材50と、を備える。すなわち、モータハウジング3は、上ハウジング30を備える。図6は、上ハウジングの上から見た斜視図である。図7は、上ハウジングの下から見た斜視図である。図3や図5、図7等に示すように、上ハウジング30は、モータ10の径方向外側を覆う。上ハウジング30は、上ハウジング天板部31と、上ハウジング筒部32とを備える。上ハウジング天板部31は、中心軸Cと直交する方向に拡がる。上ハウジング天板部31は軸方向から見て円形状である。上ハウジング筒部32は、上ハウジング天板部31の径方向外縁から軸方向下側に延びる。上ハウジング天板部31および上ハウジング筒部32は、一体成形体である。モータハウジング3は、金属製、樹脂製等を挙げることができる。すなわち、本実施形態においては、モータハウジング3は、金属製である。これにより、モータハウジング3の強度を高めることができる。さらに、熱伝導部材70からモータハウジング3へ伝達した熱を効率良く放熱できる。
ここで、上ハウジング30が金属製の場合、上ハウジング30を構成する金属として、例えば、アルミニウム合金及びマグネシウム合金を挙げることができる。アルミニウム合金及びマグネシウム合金は、他の金属に比べて、成形が容易、軽量、安価である。
上ハウジング天板部31は、天板上面310を備える。天板上面310は、第1天板傾斜面311と、第2天板傾斜面312とを備える。第1天板傾斜面311は、軸に沿って上方に向かうに連れて内側に向かう円錐状である。また、第2天板傾斜面311は、軸に沿って上方に向かうにつれて外側に向かう円錐状である。そして、第1天板傾斜面311及び第2天板傾斜面312は、軸方向下端部で接続される。すなわち、上ハウジング天板部31は、環状の凹部を備えている。そして、環状の凹部は、下方に凹んだ略V字状である。
また、天板上面310には、天板凹部313を備える。天板凹部313は、天板上面310の径方向外縁から径方向内側に延びる。天板凹部313の詳細は、後述する。
上ハウジング天板部31は、モータ10のロータ12およびステータ13と軸方向に対向する天板対向部314を備える。天板対向部314は、上ハウジング天板部31の下面である。天板対向部314は、中央部に上側に凹んだ中央凹部315と、軸方向に貫通した貫通孔316を備える。中央凹部315は、上軸受Br1の外輪が固定される。貫通孔316は、シャフト11が貫通する。中央凹部315と貫通孔316とは、中心軸が一致する。また、天板対向部314には、上方に凹んだ対向凹部317が備えられる。すなわち、上ハウジング天板部31のロータ12及びステータ13と軸方向に対向する天板対向部314は、軸方向に凹む対向凹部317を備える。
対向凹部317は、熱伝導部材70が挿入される。天板対向部314は、3個の対向凹部317を備えており、3個の対向凹部317は、中心軸C周りに周方向に等間隔に配列される。なお、詳細は後述するが、対向凹部317は、ステータコア131を上ハウジング30に固定したときに、コイル133、すなわち、ティース135と軸方向に重なる位置に配置される。
上ハウジング筒部32は、円筒状である。上ハウジング筒部32の軸方向上端部は、上ハウジング天板部31と連結されている。すなわち、上ハウジング30は、下方が開口した有底円筒状である。上ハウジング天板部31の内周面に、ステータコア13が圧入される。また、上ハウジング筒部32は下部に、軸方向接触部321を備える。軸方向接触部321は、径方向内側に突出している。図3、5に示すように、軸方向接触部321は、ステータコア131の軸方向下端面と接触して、ステータコア131の下方に向かう移動を抑制する。ステータ30の軸方向上方と天板対向部314との間には、熱伝導部材70が配置されている。そして、ステータ30は、熱伝導部材70の弾性力によって軸方向下方に押される。軸方向接触部321は、熱伝導部材70からの弾性力の方向と逆方向の力をステータ30に作用させている。
また、図5に示すように、モータ10は、軸方向接触部321を複数個備える。より具体的に述べると、軸方向接触部321は、上ハウジング筒部32のステータコア131の上ハウジング30と接触する部分と軸方向に重なる位置に、3個備えられる。3個の軸方向接触部321が周方向に等間隔に配置されることで、軸方向接触部321からステータコア131に力を作用させることができる。これにより、ステータコア131に、周方向において均等又は略均等な力を作用させることができる。
なお、軸方向接触部321は、ステータコア131の軸方向下側に向く面と接触すればよく、下端面に限定されない。また、軸方向接触部321はステータコア131と接触しているが、これに限定されない。例えば、インシュレータ132やコイル133が十分な強度を有する場合、インシュレータ132やコイル133と接触してもよい。
また、軸方向接触部321は、予め周方向内側に突出しており、ステータコア131、すなわち、ステータ13を取り付けるときに、ステータコア131で径方向に押される形状としてもよい。また、ステータコア131を上ハウジング30に取り付けた後に、軸方向接触部321の全体又は一部を周方向に折り曲げてもよい。また、折曲に限定されず、かしめてステータコア131が軸方向下側に移動するのを抑制してもよい。
上ハウジング30の外周面300には複数の静翼33が設けられる。静翼33は板状に構成され、上方へ行くほどインペラ20の回転方向と反対方向に向かって傾斜する。静翼33はインペラ20側が凸に湾曲している。複数の静翼33の外縁はブロアハウジング40、すなわち、下カバー42の内面に接する。静翼33は周方向に並設され、送風装置Aの駆動の際に気流Sを下方に案内する。
静翼33は、モータハウジング3と同一の部材で形成される。本実施形態においては、静翼33と上ハウジング30は一体部材である、すなわち、静翼33が、上ハウジング30と同一の部材で形成されるが、静翼30と上ハウジング30とは別体の部材でもよい。静翼33と上ハウジング30とが同一部材である場合は、送風装置Aの組み立て作業性が向上する。また、熱伝導部材70を介してモータ10と上ハウジング30とが接続される場合は、熱伝導部材70で発生した熱が静翼33に伝達しやすくなるため、ステータ13の冷却効率が向上する。
モータハウジング3は軸方向の下方に、円板状のカバー部材50を備える。カバー部材50は、上ハウジング筒部32の軸方向下端部と接触する。そして、上ハウジング30の下端部に、カバー部材50を取り付けることで、上ハウジング30の下面が覆われる。カバー部材50は、上ハウジング30に対して、図示を省略したねじ等の固定具を用いて固定される。カバー部材50には、リード線を通すための貫通孔が備えられている。また、図1、図3等に示すように、カバー部材50の下方に、回路基板Bdが配置される。なお、上ハウジング30とカバー部材50は、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
<4.1熱伝導部材>
後述する図9に示されている通り、上ハウジング天板部31の天板対向部314に設けられた対向凹部317には、熱伝導部材70が挿入されている。熱伝導部材70は、第1接触部71と、第2接触部72とを備える。熱伝導部材70は、例えば、シリコン樹脂等の熱伝導率が高い(例えば、空気よりも高い)材料で形成されている熱伝導部材である。すなわち、熱伝導部材70は、樹脂で形成される。また、熱伝導部材70は、弾性変形可能である。すなわち、熱伝導部材70は、モータハウジング3内に配置される。より詳細に述べると、熱伝導部材70は、上ハウジング30内に配置される。
熱伝導部材70の第1接触部71は、モータ10のステータ13のコイル133と接触する。すなわち、熱伝導部材70の第1接触部71の少なくとも一部は、コイル133と接触する。なお、第1接触面71は、ステータ13と接触すればよく、コイル133に限定されない。しかしながら、モータ10の高温になるコイル133と接触することが好ましい。これにより、コイル133で発生した熱をより効率良く上ハウジング30に伝達できる。また、熱伝導部材70は、ステータ13と接触していればよく、ステータ13の上面以外の部分と接触してもよい。これにより、ステータ13の熱が、上ハウジング30に伝達されて、ステータ13の温度が低下する。
また、熱伝導部材70の第2接触部72は、対向凹部317に挿入されるとともに、上ハウジング天板部31と接触する。すなわち、熱伝導部材70の第2接触部72は、上ハウジング天板部31と軸方向に接触する。また、熱伝導部材70の第2接触部72の少なくとも一部が対向凹部317内に収納される。熱伝導部材70は、上ハウジング30に接触していればよく、熱伝導部材70の第2接触部72と接触する部分は、上ハウジング天板部31に限定されない。例えば、上ハウジング筒部32であってもよい。
このように、熱伝導部材70が備えられることで、コイル133は、上ハウジング天板部31と熱伝導部材70を介して配置される。上述のとおり、熱伝導部材70は熱伝導率が高い材料で形成されているため、通電によってコイル133およびステータコア131で発生する熱を熱伝導部材70を介して、上ハウジング天板部31に伝達することが可能である。上ハウジング30は、ステータ13に比べて表面積が大きい。また、インペラ20が発生させた気流Sが、上ハウジング30、すなわち、モータハウジング3の外面に沿って流れる。これにより、ステータ13からの熱で昇温されたモータハウジング3を効率よく冷却できる。すなわち、熱伝導部材70は、ステータ13と接触する第1接触部71と、モータハウジング3と接触する第2接触部72とを備える。本実施形態においては、第2接触部72は、上ハウジング30と接触する。
また、熱伝導部材70は、弾性変形可能な部材である。このことから、ステータ13、上ハウジング30に製造誤差があっても、弾性変形することで誤差を吸収することが可能である。また、ステータコア131は、下端部を軸方向接触部321で軸方向に押えられる。ステータコア131を上ハウジング筒部32に取り付けるときに、熱伝導部材70が弾性変形した状態で、軸方向接触部321でステータコア131の下面を押える。これにより、ステータコア131のがたつきを抑制するとともに、熱伝導部材70をステータ13及び上ハウジング天板部31に接触させることができる。
本実施形態にかかる送風装置Aでは、熱伝導部材70はステータ13に対して、軸方向下向きの弾性力を作用させる。モータ10は、複数の熱伝導部材70を備える。複数個の熱伝導部材70を中心軸C回りに等間隔に配置することで、その弾性力をステータ13に均等又は略均等に作用させることが可能である。送風装置Aでは、熱伝導部材70を3個のコイル133の各々と接触させるため、3個備えている。すなわち、熱伝導部材70は、3個のコイル133のそれぞれに接触する。これにより、3個のコイル133のそれぞれを冷却できる。しかしながらこれに限定されない。例えば、円環状の熱伝導部材70を用いることで、1個の熱伝導部材とすることも可能である。
また、上ハウジング天板部31の対向凹部317に熱伝導部材70の第2接触部72の少なくとも一部を挿入する構成とすることで、熱伝導部材70の周方向及び径方向の少なくとも一方への移動が抑制される。また、対向凹部317に熱伝導部材70を挿入することにより、より軸方向長さが長い熱伝導部材70を用いることができる。冷却効率を高めることが可能である。
なお、熱伝導部材70が周方向及び(又は)径方向に移動しない又は移動しにくい場合には、対向凹部317を省略し、熱伝導部材70の第2接触部72を平面状又は曲面状の天板対向部314と接触させてもよい。このように構成することで、対向凹部317を形成する工程を省略でき、上ハウジング30の製造に要する手間を省くことが可能である。また、対向凹部317に限定されず、天板対向部314から突出し、熱伝導部材70の側面と接触する複数個の凸部を備えた構成であってもよい。
<5.インペラの構成>
次にインペラ20について図面を参照して説明する。図8は、インペラの斜視図である。インペラ20は樹脂成形品により形成された、いわゆる、斜流インペラであり、ハブ部21と、複数枚の動翼22とを有する。インペラ20は、エンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂で形成される。エンジニアリングプラスチックとは、強度、耐熱性等の機械特性が他の樹脂に比べて優れた樹脂である。なお、インペラ20は、金属等の材料で形成されてもよい。ハブ部21の直径は下方に向かうにつれて大きくなる。換言すると、インペラ20は、下方に向かうにつれて径が拡がるハブ部21を有する。すなわち、ハブ部21は下方に向かって漸次拡径する。
ハブ部21は、下面凹部211と、ボス部212とを備える。ボス部212の中心(中心軸C上)にはモータ10のシャフト11が圧入される孔部213が設けられる。これにより、ボス部212とシャフト11とが連結され、インペラ20は中心軸Cを中心として回転する。
複数の動翼22は、ハブ部21の外面214に周方向に並設される。本実施形態においては、動翼22はハブ部21の外面214上に周方向に所定周期に並設され、ハブ部21と一体成形される。動翼22の上部は下部に対して回転方向R前方に配される。すなわち、動翼22は、中心軸Cに対して、傾斜している。そして、インペラ20は、下方に向かうにつれて径が大きくなるハブ部21と、ハブ部21の外面214上に配される複数の動翼22とを有する。動翼22の上部は下部に対して回転方向R前方に配される。
インペラ20のハブ部21の下面は、第1インペラ傾斜面215と、第2インペラ傾斜面216とを有する。第1インペラ傾斜面215は、軸方向上方が径方向内側に向かう円錐面である。また、第2インペラ傾斜面216は、第1インペラ傾斜面215の径方向外側で、軸方向上側に向かうにつれて外側に向かう円錐面である。第1インペラ傾斜面215および第2インペラ傾斜面216は、軸方向の下端で接続される。すなわち、ハブ部21の下面は、環状の凸部を有する。そして、環状の凸部は、断面形状が略V字状である。なお、上ハウジング30に取り付けられたモータ10のシャフト11にインペラ20を固定したとき、第1インペラ傾斜面215は第1天板傾斜面311と軸方向に対向し、第2インペラ傾斜面は第2天板傾斜面312とそれぞれ軸方向に対向する。この構成の詳細については、後述する。
インペラ20のハブ部21の下面凹部211が備えられていることで、ハブ部21を軽量化することが可能である。回転部であるインペラ20を軽量化することで消費電力を低減可能であるとともに、高速回転させやすくする。また、インペラ20を成型する際のひけを抑制できる。
<6.ブロアハウジング>
次にブロアハウジング40について説明する。ブロアハウジング40は、上ハウジング30の径方向外側を間隙を介して囲む。ブロアハウジング40は、インペラカバー41と、下カバー42とを備える。
インペラカバー41は、インペラ20の少なくとも径方向外側に配置される。インペラカバー41は、インペラ20の回転によって発生する気流Sの流れを軸方向に向けるガイドの役割を果たす。インペラカバー41は、上下方向(軸方向)に開口する吸気口43を備える。また、吸気口43は上端から内側に屈曲して下方へ延びるベルマウス431を備える。これにより、吸気口43の直径は上方から下方に向かうに従って滑らかに小さくなる。インペラカバー41が給気口43にベルマウス431を備えることで、滑らかに空気を吸い込むことができる。これにより、インペラ20の回転時に吸気口43から吸い込まれる空気の量が増える。それだけ、送風装置Aの送風効率を高めることが可能である。
本実施形態の送風装置Aでは、インペラカバー41は下カバー42に固定される。固定方法としては、例えば、下カバー42の外面に凸部を設け、インペラカバー41に軸方向下方に延び、先端側の内面に径方向外側に凹んだ凹部を備えた梁部を設ける。そして、インペラカバー41を下カバー42に向けて軸方向に移動させたとき、梁部をたわませるとともに、インペラカバー41の梁部の凹部に下カバー42の凸部を挿入させて固定する。なお、固定方法は、これに限定されず、軸方向及び周方向の移動を抑制できる固定方法を広く採用することが可能である。周方向の位置決めが可能であるとともに、着脱が容易であることが好ましい。
下カバー42は、断面円形で軸方向に延びる筒状である。下カバー42は、上ハウジング30の径方向外側に配置される。すなわち、ブロアハウジング40は、モータハウジング3の径方向外側を間隙を介して配置される。本実施形態においては、ブロアハウジング40(下カバー42)は上ハウジング30の径方向外側に間隙をあけて配置される。静翼33は、モータハウジング3の径方向外面において、周方向に等間隔に配置される。本実施形態においては、下カバー42と上ハウジング30との間隙には、複数個の静翼33が周方向に等間隔に並んで配置される。すなわち、複数個の静翼33は、モータハウジング3の径方向外面よりも径方向外側、且つ、ブロアハウジング40(下カバー42)の径方向内面よりも径方向内側に配置され、少なくともモータハウジング3の径方向外面と接触する。本実施形態においては、複数個の静翼33は、上ハウジング30の径方向外面よりも径方向外側、且つ、ブロアハウジング40(下カバー42)の径方向内面よりも径方向内側に配置され、少なくとも上ハウジング30の径方向外面と接触する。また、複数の静翼33は、上ハウジング30の径方向外面において、周方向に等間隔に配置される。
なお、静翼33と上ハウジング30とが接触するとは、異なる部材が接触する場合だけでなく、一体成形で形成される場合も含む。また、静翼33が、上ハウジング30の径方向外面において、周方向に等間隔に配置される。これにより、上ハウジング30の径方向外面における気流を軸対称に近づけることができ、上ハウジング30の冷却特性を周方向で均一に近づけることができる。
モータ10では、回転に伴って、コイル133及びその周囲から発熱する。その熱は、上ハウジング30に伝達される。上ハウジング30の外周面300には、外側に突出した静翼33が設けられて、静翼33が流路60の内部に配置される。そのため、静翼33は、気流Sを整流するとともに、上ハウジング30の熱を外部に逃がす放熱フィンとしての役割も果たす。これにより、ステータ13の熱によって昇温された上ハウジング30を効率よく冷却できる。
なお、本実施形態の送風装置Aでは、上ハウジング30と下カバー42とは、樹脂の一体成形で形成される。そして、下カバー42の上端部には、上ハウジング30の上ハウジング天板部31の天板上面310の天板凹部313と径方向に重なる位置に、貫通部421を備える。貫通部421は、矩形の切欠きである。
下カバー42は、上端部と下端部に開口を備える。下カバー42の上端部は、インペラカバー41の下端部と連結されている。インペラカバー41の下端部は、下カバー42の内部に挿入される。そして、インペラカバー41の内面は、下カバー42の内面と滑らかに、例えば、微分可能に連続する。これにより、ブロアハウジング40の内面を滑らかにして、気流Sの乱れを抑制する。
本実施形態の送風装置Aでは、上ハウジング30と下カバー42とを一体成形体としているが、これに限定されない。例えば、上ハウジング30と下カバー42とが別部材として形成されてもよい。この場合、上ハウジング30に取り付けられたモータ10にインペラ20を取り付けた状態で、インペラ20の回転バランスを調整する。その後、下カバー42を取り付けることができるため、下カバー42の貫通部421を省略してもよい。また、下カバー42が上ハウジング30と別体として形成される場合には、インペラカバー41と下カバー42とが一体であってもよい。
<7.インペラ下面と上ハウジング天板部との関係>
図9は、上ハウジング30及びインペラ20の周部の径方向に沿った断面(中心軸Cを含む断面)の拡大断面図である。上ハウジング30に取り付けられたモータ10のシャフト11にインペラ20を固定したとき、第1インペラ傾斜面215は第1天板傾斜面311と軸方向に対向し、第2インペラ傾斜面216は第2天板傾斜面312と軸方向に対向する。
上ハウジング30の第1天板傾斜面311の径方向内側の端部は、インペラ20の第1インペラ傾斜面215の径方向外縁よりも軸方向において上側に位置する。また、第2天板傾斜面312の径方向外縁はインペラ20の第2インペラ傾斜面216の径方向内側の端部よりも軸方向において上側に位置する。すなわち、インペラ20の第1インペラ傾斜面215及び第2インペラ傾斜面216とで構成される環状の凸部が、上ハウジング天板部31の第1天板傾斜面311及び第2天板傾斜面312とで構成される環状の凹部の内部に配置される。
なお、本実施形態の送風装置Aにおいて、第2天板傾斜面312と第2インペラ傾斜面216との隙間の距離D1は、径方向外端部と径方向内端部で同じである。なお、「同じ」とは、厳密に同じ場合に加えて、略同じ場合も含む。
第1インペラ傾斜面215と第1天板傾斜面311との隙間の距離D2は、第2インペラ傾斜面216と第2天板傾斜面312との隙間の距離D1よりも小さい。また、第1天板傾斜面311の周方向内側の端部は、第2天板傾斜面312の径方向外側の端部よりも軸方向に高い位置に配置される。なお、第1インペラ傾斜面215と第1天板傾斜面311との隙間の距離D2は、動翼22の上端部22uとインペラカバー411uとの隙間D1よりも大きくてもよい。
以上のように、回転体であるインペラ20の下面に形成された凸部が、インペラ20の下面と対向する上ハウジング天板部31の天板上面310に形成された凹部の内部に隙間をあけて配置される。このとき、上ハウジング30とインペラ20との隙間の最小値は、上ハウジング30とインペラカバー41との隙間の最小値よりも小さい。
インペラ20と上ハウジング天板部31との間には、アキシャルラビリンスが形成される。すなわち、軸方向の間隙がせまいラビリンス機構が実現できる。アキシャルラビリンスが形成されることで、空気の流れが発生しにくくなる。これにより、インペラ20で発生した気流Sがインペラ20と上ハウジング30との間に流入しにくくなり、送風効率を維持しやすくなる。また、インペラ20と上ハウジング30との間に流入した気流Sによる、インペラ20への力が作用しにくくなるため、インペラ20の回転が安定する。
<8.天板凹部について>
図10は、インペラカバーを外した状態の送風装置の斜視図である。図11は、図10に示す送風装置の側面図である。図10、図11に示すように、上ハウジング天板部31の天板上面310には、天板凹部313が設けられている。天板凹部313は、径方向に見たとき、底面を有する矩形状の凹溝である。
天板凹部313の周方向の長さr1は、インペラ20の動翼22の軸方向下端部の周方向の長さr2よりも短い。このように、天板凹部313の幅を狭くすることで、インペラ20の回転によって発生する気流Sが乱れにくい。これにより、送風装置Aの送風効率の低下を抑制できる。
<8.1インペラのバランス調整について>
図12は、インペラのバランス調整を行っている状態の概略断面図である。図12に示すように、工具TLは、外部から下カバー42の貫通部421を下カバー42の内部に向かって貫通する。そして、貫通した工具TLは、天板凹部313に挿入される。図12に示すように、天板凹部313の底面は、第1天板傾斜面311及び第2天板傾斜面312よりも軸方向下側に位置している。そのため、天板凹部313に挿入された工具TLは、インペラ20のハブ部21の下面よりも下方に位置する。
このように、インペラ20のハブ部21の下面を工具TLで削ることで、ハブ部21の肉が取り除かれた切欠き部23が形成される。切欠き部23を形成することで、ハブ部21の周方向の重量バランスを調整できる。これにより、インペラ20の回転がアンバランスになるのを抑制することができる。また、インペラ20は、樹脂で形成されているため、工具TLで削りやすく、回転バランスの調整がやりやすい。
インペラ20のハブ部21の下面は、ハブ部21において径方向の最も外側に位置する。ハブ部21の下面の重量が変化すると、インペラ20の回転(慣性力)が変化しやすい。そのため、ハブ部21の下面を削って切欠き部23を形成することで、少ない削り量でインペラ20の回転バランスを最適化できる。このことから、モータ10の内部や回路基板Bdにインペラ20の削りかすが進入する量を減らすことができ、インペラ20の削りかすによる不具合を抑制できる。
<9.インペラとインペラカバーとの関係>
図13は、インペラの平面図である。図13には、インペラカバー41の内周面411において、動翼22の軸方向上端部22uとの隙間が最小となる部分を411uとして二点鎖線で示している。また、インペラカバー41の内周面411において、動翼22の軸方向下端部22dとの隙間が最小となる部分を411dとして二点鎖線で示している。
通常、送風装置では、インペラ20の動翼22とインペラカバー41の内周面411との隙間が小さい方が送風効率が高い。しかしながら、動翼22と内周面411との隙間が適切でない場合は、送風効率が低下する可能性がある。よって、静翼22と内周面411との隙間を適切にすることが好ましい。
インペラ22が回転するとき、ハブ部21および動翼22には遠心力が作用する。そして、ハブ部21は、軸方向の下側が上側に比べて大径になっている。そのため、インペラ20の上側と下側とでは、径方向外縁における遠心力が異なる。そして、遠心力が異なることから、遠心力による変形量にも差が出る。動翼22の径方向の外縁は、上側に比べて下側が中心軸Cよりも遠くにあるため、下側の遠心力が上側に比べて大きい。すなわち、インペラ20の回転時において、動翼22の径方向外側への変形量は、下側が上側に比べて大きい。
ハブ部21は、上部に比べて下部が径方向外側に拡がっている。そのため、ハブ部21の下部は上部に比べて変形量が大きい。そして、ハブ部21は、下面に下面凹部211が設けられており、径方向の厚みが薄く、遠心力によって変形しやすい。ハブ部21の下部は円錐状である。そのため、インペラ20の回転によってハブ部21の下部は、外側に変形するとともに、上側に変形する。そのため、動翼22の下端部22dは、径方向外側且つ上側に変形する。また、動翼22の上端部22u側は、径方向外側且つ下側に変形する。
以上のことを総合すると、インペラ20が回転しているとき、すなわち、送風装置Aが送風動作を行っているとき、インペラ20の動翼22の周方向の変形量は、軸方向下端部22dが軸方向上端部22uよりも大きくなる。
また、インペラカバー41の内周面411(図3参照)は、径方向下側に向かって外側に拡がる形状である。そのため、動翼22の上端部22uは、インペラカバー41の内周面411に沿う方向(図3参照)に変形する。一方、動翼22の下端部22dは、インペラカバー41の内周面411と交差する方向(図3参照)に変形する。そのため、インペラ20の回転時の遠心力による変形によって、動翼22と内周面411との隙間が狭くなりやすい。
送風装置Aでは、静止時において、動翼22の下端部22dにおけるインペラカバー41の内周面411dとの間隙の最小値t1は、動翼22の上端部22uにおけるインペラカバー41の内周面411uとの間隙の最小値t2よりも大きい。このようにすることで、インペラ20が高速回転した場合であっても、動翼22とインペラカバー41の内周面411との間隙を適切に保つことができる。これにより、安定かつ円滑にインペラ20を回転させることが可能である。
<10.掃除機及び送風装置の動作>
掃除機100は、送風装置Aを備える。上記構成の掃除機100において、送風装置Aのモータ10が駆動されるとインペラ20が中心軸Cを中心として回転方向Rに回転する。これにより、床面F上の塵埃等のゴミを含んだ空気が吸引ノズル110、吸引管107、吸気部103(いずれも図1参照)、集塵部及びフィルタを順に流通する。フィルタを通過した空気は、送風装置Aの吸気口43を介してブロアハウジング40の内部に取り込まれる。この時、ベルマウス431により吸気口43から吸入される空気の量を増やし、隣接する動翼22間に円滑に導かれる。したがって、送風装置Aの送風効率を向上させることができる。掃除機100は、送風装置Aを備える。これにより、送風効率を落とすことなく、ステータ13を冷却できる送風装置Aを備える掃除機が実現できる。
インペラカバー41の内部に取り込まれた空気は隣接する動翼22間を流通し、回転するインペラ20により径方向外側で下方に向かって加速される。径方向外側で下方に向かって加速した空気はインペラ20よりも下方に吹き出される。インペラ20よりも下方に吹き出された空気は上ハウジング30と下カバー42との間隙の流路60に流入する。流路60内に流入した空気は周方向に隣接する静翼33間を流通する。
静翼40の下端を通過した気流Sは排気口61を介してブロアハウジング40の外部に排気される。ブロアハウジング40の外部に排気された気流Sは掃除機100の筐体102内の空気通路を流通し、排気部104(図1参照)から筐体102の外部に排気される。これにより、掃除機100は床面F上を清掃することができる。
モータ10では、コイル133への通電によって、コイル133及びステータコア131が発熱する。熱伝導部材70の第1接触部71がコイル133と接触し、第2接触部72が対向凹部317に挿入されて、第2接触部72は上ハウジング天板部31と接触する。これにより、熱伝導部材70は、コイル133およびステータコア131で発生した熱を、上ハウジング天板部31に伝達させる。上ハウジング天板部31は、上ハウジング筒部32と一体に形成されているとともに、上ハウジング筒部32の外面には、インペラ20で発生した気流Sが流れる。また、気流Sが流れる流路60の内部に、上ハウジング筒部32の外面と一体に形成された複数個の静翼33が設けられている。これにより、気流Sが接触する表面積が大きくなり、放熱効率が高くなる。これにより、熱伝導部材70を設けることで、モータ10の温度を下げることができ、モータ10の熱による効率低下を抑制できる。ひいては、送風装置Aの送風効率の低下を抑制できる。
また、ハブ部21の下面には第1インペラ傾斜面215及び第2インペラ傾斜面216を含む環状のインペラ凸部が設けられ、上ハウジング天板部31の天板上面310には第1天板傾斜面311及び第2天板傾斜面312を含み、下側に窪む環状の溝部が設けられる。溝部にはインペラ凸部の少なくとも一部が収容される。これにより、送風装置Aの軸方向の大型化を抑制しながら、流路60を流通する気流Sのインペラ20の内側(図3参照)への流入を防止できる。すなわち、ラビリンス効果が発揮される。したがって、送風装置Aの送風効率を向上させることができる。
<11.第1変形例>
図14は、天板凹部の変形例を示す平面図である。図14に示すように、天板凹部318は、天板凹部313と同じく天板上面310から下方に凹む。また、天板凹部318は、径方向内側から外側に延びる。そして、天板凹部318の径方向内側が、天板凹部318の径方向外側よりもインペラ20の回転方向後方側に配置される。
インペラ20が備える動翼22は、斜流羽根である。そのため、インペラ20が回転することで発生する気流は、インペラ20の回転方向の成分、すなわち、周方向の成分を含む。図14において気流は、インペラ20の回転方向の後方側に向く成分を備えている。すなわち、気流は、軸方向下側に向いて流れているとともに、径方向外側及びインペラ20の回転方向後側に向かって流れる。
そして、天板凹部318の径方向内側が径方向外側よりもインペラ20の回転方向後方側に配置される。そのため、気流は天板凹部318の長尺方向と交差する方向に流れる。このような形状とすることで、気流が天板凹部318に流入しにくく、気流の乱れを抑制できる。
<12.第2変形例>
図15は、天板凹部の周方向の断面図である。送風装置Aを軸方向上方から見たとき、気流は、天板凹部313及び天板凹部318と交差して流れる。このとき、天板凹部313及び天板凹部318の内部に気流が流れ込み、気流の乱れが発生しやすい。そこで、図15に示す、天板凹部319は、天板凹部319のインペラ20の回転方向の前方側の側面である凹部前方側面3190を備えている。そして、凹部前方側面3190が、上側に向かうにしたがってインペラ20の回転方向前方側に拡がる前方側面拡大部3191を備えている。
凹部前方側面3190に前方側面拡大部3191を備えることで、インペラ20の回転によって空気が天板凹部319に誘導された場合においても、前方側面拡大部3191に沿って滑らかに排気されるため、気流が径方向内側に入ることを抑制できる。また、天板凹部319やその周辺で乱流が発生することを抑制できるため、送風効率の低下を抑制できる。なお、図15では、前方側面拡大部3191を上方に凸の曲面としているが、これに限定されない。例えば、平面であってもよいし、下に凹んだ曲面であってもよい。
<13.第3変形例>
図16は、上ハウジング30の径方向に沿った断面(中心軸Cを含む断面)の拡大断面図である。図16は、中心軸Cを基準として、径方向一方側のみを示している。上述したように、インペラが回転することで気流が発生したとき、上ハウジング天板部31の天板上面310に天板凹部313があると、気流を乱す恐れがある。そこで、図16に示すように、天板凹部313に挿入部材34を挿入して、天板凹部313を埋めてもよい。天板部313を埋めることで、気流が天板部313に流入するのを抑制できるため、気流の乱れを抑制できる。挿入部材34は、上ハウジング天板部31の天板上面310と面一となる形状であることが好ましい。なお、挿入部材34は、貫通部421から挿入可能な大きさである。なお、下カバー42が上ハウジング30と分離可能な構成の場合や、インペラカバー41としたカバー42とが分離可能な場合は、挿入部材34の大きさは、貫通部421に限定されない。
また、貫通部421は、下カバー42に設けられている。下カバー42は、流路60を構成しており、貫通部421から気流が漏れると、送風効率が低下する。そこで、貫通部421を蓋部422で閉塞することで、気流の流出を抑制する。これにより、送風効率の低下を抑制する。
(第2実施形態)
本発明にかかる送風装置の他の例について図面を参照して説明する。図17は、本発明にかかる送風装置の他の例の斜視図である。図18は、図17に示す送風装置の縦断面図である。図19は、上ハウジング30xの下から見た斜視図である。図20は、図18に示す送風装置をXX−XX線で切断した断面図である。本実施形態にかかる送風装置Dは、基板カバー80を備える点で、第1実施形態の送風装置Aと異なる。また、上ハウジング30xの形状が異なる。そして、送風装置Dの以上の点以外の部分は、送風装置Aと同じ構成を有している。そのため、送風装置Dにおいて、実質上、送風装置Aと同じ構成の部分には、同じ符号を付す。
図17、図18に示すように、送風装置Dは、モータ10と、インペラ20と、上ハウジング30xと、ブロアハウジング40と、回路基板Bdと、熱伝導部材70と、基板ケース80とを備える。
モータ10は、シャフト11と、ロータ12と、ステータ13とを備える。シャフト11は、上下に延びる中心軸Cに沿って配置される。ロータ12は、マグネット121を有する。ロータ12は、シャフト11とともに回転する。すなわち、ロータ12は、シャフト11に固定される。ステータ13は、マグネット121と径方向に対向する。
インペラ20は、シャフト11に固定される。シャフト11が回転することで、インペラ20は、中心軸C周りに回転する。上ハウジング30xは、モータ10の径方向外側に配置される。ブロアハウジング40は、インペラ20の径方向外側に配置され、上ハウジング30xの径方向外面と間隙を介して対向し、上ハウジング30xの径方向外側に流路60を構成する。回路基板Bdは、モータ10よりも軸方向下側に配置される。基板ケース80は、モータ10よりも下側に配置され、回路基板Bdの径方向外側を囲む。熱伝導部材70は、上ハウジング30x内に配置される。熱伝導部材70の少なくとも一部はステータ13と接触し、熱伝導部材70の他の一部は上ハウジング30xの内面と接触する。これにより、ステータ13の熱が熱伝導部材70を介して上ハウジング30xに伝導することにより、ステータ13の温度が低下する。また、上ハウジング30xの径方向外面が流路60に露出することによって、温度が高くなった上ハウジング30xを効率良く冷却できる。
なお、送風装置Dにおける、モータ10、インペラ20、ブロアハウジング40、回路基板Bd及び熱伝導部材70は、送風装置Aと同じ構成を有する。そのため、詳細な説明は省略する。
以下に、基板ケース80について説明する。図17、18に示すように、送風装置Dは、ベース部材50xの下方に基板カバー80を備える。基板カバー80は、基板カバー底板部81と、基板カバー筒部82と、吸気凹部83とを備える。基板カバー底板部81は軸方向から見て円形状である。基板カバー筒部82は、基板カバー底板部81の径方向外縁から軸方向上側に延びる。すなわち、基板カバー80は、上面が開口した有底円筒状である。そして、基板カバー筒部82の上端部は、ベース部材50xの下部の径方向外面と接触する。
吸気凹部83は、基板カバー筒部82の上端部に形成される。吸気凹部83は、基板カバー筒部82の上端部の内面から径方向外側に凹んだ凹部である。基板カバー80では、3個の吸気凹部83が周方向に等間隔に配置される(図17参照)。なお、吸気凹部83は、3個に限定されるものではない。また、複数個の吸気凹部83を備える場合、周方向に異なる間隔で配置されてもよい。
図18に示すように、基板カバー80の基板カバー筒部82の内面の上部とベース部材50xの外面の下部が径方向に接触する。このとき、吸気凹部83によって、ベース部材50xと基板カバー筒部82との間に間隙が形成される。吸気凹部83は、排気口61の下方に形成されている。そのため、流路60を通過して排気口61から排出される気流Sの一部は、吸気凹部83から基板カバー80の内部に流入する。
つまり、排気口61から排出される気流は、外部に排出される第1気流S1と、基板カバー80の内部に流入する第2気流S2とに分かれて流れる。第1気流S1は、送風装置Aの気流Sと同じ流れであるため詳細な説明は省略する。第2気流S2は、基板カバー80の内部に流れ、基板カバー80の内部を流れた後、基板カバー底板部81に形成された貫通孔(図示省略)から外部に排出される。第2気流S2が基板カバー80の内部を流れることで、回路基板Bdに実装されている電子部品、例えば、IC、キャパシタ等の温度を下げることが可能である。これにより、回路基板Bd上に実装されている電子部品を効率良く冷却できる。
また、これにより、送風装置Dから排出される気流、すなわち、第1気流S1の流量は、送風装置Aから排出される気流Sの流量よりも少なくなる。しかしながら、排気口61は、上ハウジング30xと下カバー42の間の隙間で、中心軸C周りに全周に渡って形成されている。一方で、図17に示すように、基板カバー80は、3個の吸気凹部83を備える。そのため、第2気流S2の流量は、第1気流S1に比べて少ない。このことから、送風装置Dでは、第1気流S1の流量の送風装置Aから排出される気流の総流量に対する減少分を低く抑えることができる。なお、基板カバー82内の空気を排出する貫通孔を、貫通孔を流れる気流が第1気流S1と合流する位置に配置することで、第1気流S1の気流Sに対する減少部をさらに低く抑えることが可能である。
上ハウジング30xは、上ハウジング天板部31xと、上ハウジング筒部32xとを備える。上ハウジング筒部32xは、軸方向に延び、径方向外面が流路に露出する筒状である。上ハウジング天板部31xは、上ハウジング筒部32xの上端部から径方向内側に拡がる。熱伝導部材70は、上ハウジング天面部31xに接触する。これにより、上ハウジング天面部31xを形成することによって上ハウジング30xの表面積が増加するので、ステータ13の熱が効率良く伝導する。
図18、図19に示すように、上ハウジング天板部31xの天板対向部314は、上ハウジング天板部31xのモータ10のロータ12及びステータ13と軸方向に対向する。そして、天板対向部314及びステータ13との間には、両方と接触する熱伝導部材70が配置される。これにより、ステータ13の熱が熱伝導部材70を介して上ハウジング30xに伝導する。その結果、ステータ13の温度が低下する。上ハウジング天板部31xを形成することで上ハウジング30xの表面積が増加する。そのため、ステータ13の熱が効率良く上ハウジング30xに伝導する。また、上ハウジング30xの径方向外面が流路60に露出することによって、温度が高くなった上ハウジング30xを効率良く冷却できる。なお、熱伝導部材70は、上ハウジング30xに接触していればよく、熱伝導部材70が接触する部分は、上ハウジング天板部31xに限定されない。
ステータ13は、ステータコア131に巻線が巻き回されることによって形成されるコイル133を有し、熱伝導部材70の少なくとも一部は、コイル133と接触する。これにより、ステータ13において、高温になりやすいコイル133に熱伝導部材70を接触させることにより、コイル133で発生した熱が効率よく上ハウジング30xに伝導する。その結果、コイル133やステータ13の温度が低下する。
図19、図20に示すように、上ハウジング天板部31xは、上側に凹む対向凹部317を有し、熱伝導部材70の少なくとも一部は、対向凹部317に接触する。これにより、熱伝導部材70を対向凹部に固定できる。また、ステータ13と上ハウジング天板部31との軸方向距離を長くすることで、より大きな熱伝導部材70を収容できる。
また、図19、図20に示すように、上ハウジング30xの径方向外面には、周方向に複数の静翼33が配置される。これにより、上ハウジング30xから複数の静翼33に熱が伝導する。複数の静翼33は流路内に露出している。そのため、上ハウジング30xの熱を効率良く放熱できる。これにより、ステータ13の温度が効率良く低下する。静翼33は、周方向に等間隔に配置されてよい。これにより、上ハウジング30xの熱が、略周方向対称に静翼33に伝導されて放熱される。これにより、上ハウジング30xの温度が効率良く低下する。
なお、上ハウジング30xは、金属製であってよい。これにより、上ハウジング30xの熱伝導特性が向上する。特に、上ハウジング30xをアルミニウム合金やマグネシウム合金にすることで、上ハウジング30xの成型が容易になる。これにより、他の金属に対して比較的軽量かつ安価である。
熱伝導部材70は、樹脂であってよい。樹脂は容易に変形できるため、ステータ13や上ハウジング30xの形状に合わせて熱伝導部材70を好ましい形状に成形できる。
モータ10は、インナーロータ型モータである。アウターロータ型の場合に比べて、ステータ13と上ハウジング30xとの間にロータ12が配置されない。そのため、ステータ13と上ハウジング30xとの間に容易に熱伝導部材70を配置できる。
モータ10は、三相モータであり、コイル133の数は3個であり、熱伝導部材70の数は3個であってよい。高速回転用途に優れた送風装置Dを実現できる。また、3個のコイル133に対して熱伝導部材70を最少の3個にすることによって、熱伝導部材70の材料費を低減できる。さらに、送風装置Aを作製する際の組立工数を低減できる。
本実施形態の送風装置Dは、例えば、掃除機に使用できる。これにより、ステータ13の熱を効率よく放熱できる送風装置Dを有する掃除機を実現できる。
(第3実施形態)
本発明にかかる送風装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図21は、本発明にかかる送風装置のさらに他の例の縦断面図である。図21に示す送風装置Eは、カバー部材51の形状及び熱伝導部材70の配置が異なる。本実施形態においては、モータハウジング3は、上ハウジング30と、カバー部材51と、を備える。これ以外の部分は、第1実施形態の送風装置Aと同じ構成である。そのため、送風装置Eにおいて、送風装置Aと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
図21に示すように、カバー部材51は、軸方向に拡がるカバー底板部511と、カバー底板部511の外縁から径方向上方に延びるカバー筒部512と、カバー筒部512の径方向外面に設けられた複数個のフィン513とを備える。カバー筒部512の軸方向上側の端面が、上ハウジング筒部32の軸方向下端面と接触する。また、カバー底板部511は、下軸受Br2を保持する。
カバー底板部511のステータ13と軸方向に対向する面には、軸方向下方に凹んだカバー凹部514が形成されている。カバー凹部514には、熱伝導部材70の第2接触部72が挿入されている。
熱伝導部材70の第1接触部71は、モータ10のステータ13のコイル133と接触する。すなわち、熱伝導部材70の第1接触部71の少なくとも一部は、コイル133と接触する。なお、第1接触面71は、ステータ13と接触すればよく、コイル133に限定されない。しかしながら、モータ10の高温になるコイル133と接触することが好ましい。これにより、コイル133で発生した熱をより効率良くモータハウジング3に伝達できる。また、熱伝導部材70は、ステータ13と接触していればよく、ステータ13の上面以外の部分と接触してもよい。これにより、ステータ13の熱が、モータハウジング3に伝達されて、ステータ13の温度が低下する。本実施形態においては、ステータ13の熱は、カバー部材51に伝達されることによって、ステータ13の温度が低下する。
また、熱伝導部材70の第2接触部72は、カバー凹部514に挿入されるとともに、カバー底板部511と接触する。すなわち、熱伝導部材70の第2接触部72は、モータハウジング3に備えられたカバー部材51と軸方向に接触する。熱伝導部材70は、カバー部51に接触していればよく、熱伝導部材70の第2接触部72と接触する部分は、カバー底板部511に限定されない。例えば、カバー筒部512であってもよい。
コイル133とカバー底板部511との間には、熱伝導部材70を介して配置される。上述のとおり、熱伝導部材70は熱伝導率が高い材料で形成されているため、通電によってコイル133およびステータコア131で発生する熱を熱伝導部材70を介して、カバー部51に伝達可能である。カバー部51は、ステータ13に比べて表面積が大きく、外面が外気と接しているため、ステータ13からの熱を効率よく外部に排出できる。
また、カバー筒部512の外面に設けられた複数個のフィン513は、径方向外側に突出した板状の部材である。複数枚のフィン513は、周方向に並んで配置されている。フィン513は、カバー筒部512の外面と接触している。ここで、カバー筒部512とフィン513とが接触するとは、異なる部材が接触する場合だけでなく、一体成形で形成される場合も含む。なお、本実施形態では、カバー筒部512とフィン513とは一体成形体である。熱伝導部材70を介して、ステータ13からカバー底板部511に伝達された熱は、カバー筒部512を介して各フィン513にも伝達される。フィン513を備えていることで、カバー部51の外気と接触する面積、すなわち、放熱面の面積が大きくなり、放熱効率が上昇する。これにより、ステータ13を効率よく冷却できる。
また、フィン513は、流路60を流れる気流Sの流れ方向において、排気口61の下流側に配置される。これにより、フィン513の表面を気流Sが流れる。フィン513には、気流Sによって連続して新しい空気が流れ込んでおり、このことから、ステータ13の冷却効率をより高めることが可能である。
なお、フィン513は周方向に等間隔に配置されていてもよいし、配置間隔が不均等であってもよい。また、フィン513は、気流Sの流れ方向を妨げない、すなわち、気流Sの流れに沿って配置されることが好ましい。このように配置することで、気流Sの乱れを抑制し、送風効率の低下や騒音の発生を抑えることができる。
本実施形態にかかる送風装置Eでは、熱伝導部材70はステータ13に対して、軸方向上向きの弾性力を作用させる。モータ10は、複数の熱伝導部材70を備える。複数個の熱伝導部材70を中心軸C回りに等間隔に配置することで、その弾性力をステータ13に均等又は略均等に作用させることが可能である。送風装置Eでは、熱伝導部材70を3個のコイル133の各々と接触させるため、3個備えている。すなわち、熱伝導部材70は、3個のコイル133のそれぞれに接触する。これにより、3個のコイル133のそれぞれを冷却できる。しかしながらこれに限定されない。例えば、円環状の熱伝導部材70を用いることで、1個の熱伝導部材とすることも可能である。
また、カバー底板部511のカバー凹部514に熱伝導部材70の第2接触部72の少なくとも一部を挿入する構成とすることで、熱伝導部材70の周方向及び径方向の少なくとも一方への移動が抑制される。また、カバー凹部514に熱伝導部材70を挿入することにより、より軸方向長さが長い熱伝導部材70を用いることができる。これにより、冷却効率をより高めることが可能である。
なお、熱伝導部材70が周方向及び(又は)径方向に移動しない又は移動しにくい場合には、カバー凹部514を省略し、熱伝導部材70の第2接触部72を平面状又は曲面状のカバー底板部511と接触させてもよい。このように構成することで、カバー凹部514を形成する工程を省略でき、モータハウジング3、つまりカバー部材51の製造に要する手間を省くことが可能である。また、カバー凹部514に限定されず、カバー底板部311から突出し、熱伝導部材70の側面と接触する複数個の凸部を備えた構成であってもよい。
送風装置Eは、熱伝導部材70をカバー部51と接触させて取り付ける構成とすることで、ステータ13を上ハウジング30に取り付けた後に、熱伝導部材70を取り付ける。これにより、熱伝導部材70の取り付けが容易になる。また、カバー部材51を外すことで、熱伝導部材70を移動させることができる。これにより、送風装置Eでは、組み立て完了後に容易に熱伝導部材70を取り換えることが可能である。そのため、最適な熱伝導部材70を配置することが可能であり、ステータ13の熱を効率よく外部に放熱することができる。また、モータハウジング3は、金属製であることが好ましい。これにより、ステータ13の熱が熱伝導部材70を介してより効率良くモータハウジング3に伝達するため、ステータ13をさらに効率良く冷却できる。なお、本実施形態においては、モータハウジング3のうち、カバー部材51を金属製にすることによって、上述の効果を実現できる。なお、フィン513を金属製にすることによって、さらに熱伝導性が向上するため、より効率良くステータ13を冷却できる。
これ以外の特徴については、第1実施形態の送風装置Aと同じである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。