JP2018154565A - ペプチドおよび抗腫瘍剤 - Google Patents

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佳子 安田
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Abstract

【課題】優れた抗腫瘍剤の提供。
【解決手段】エリスロポエチン様作用を有するエリスロポエチンミメティックペプチドに由来し、SCHFGPLTWVCKのアミノ酸配列を有する、N末端がアシル化、C末端がアミド化されているペプチド(YS12)、及び、それを含有する抗腫瘍剤の提供。
【選択図】図3

Description

本発明は、新規ペプチドおよびこれを含有する抗腫瘍剤に関するものである。
エリスロポエチン(Epo)は赤血球前駆細胞表面にあるエリスロポエチン受容体(EpoR)と結合して、その生存を守り、増殖させ、ヘモグロビン合成を促すサイトカインである。ヒトの血液中の赤血球の寿命は120日で、赤血球は1日にその1%が死滅するので、全血液量を5Lとした場合、1日に500万個/mm数の赤血球を新生しなくてはならない。通常、ヒトの体では、腎臓がEpoを産生して血液中に分泌し、骨髄の血球幹細胞、赤芽球に作用して造血する。
2001年頃までは、エリスロポエチン情報は赤血球の産生にのみ寄与していると考えられてきた。本発明者等は、2002年以後、がんが分泌するEpoを捉えることができる抗Epo抗体および可溶型EpoRを用いて、ヒトがん組織のin vitroやex vivo実験を行い、Epo情報遮断によるがん組織崩壊の誘導を証明した。同時に、24種のヒト悪性細胞にEpo情報伝達系が発現していることを証明した(非特許文献1、非特許文献2)。
また、エリスロポエチン様作用を有するエリスロポエチンミメティックペプチド(EMP1)が報告されており、25を超えるその誘導体のエリスロポエチン様作用についての評価が報告されている(非特許文献3)。
一方、本発明者等は、EMP1の9番目にあるグリシンがアラニンに置換されているEMP9が、腫瘍増殖抑制作用を有していることを報告した(特許文献1)。
また、rhEpo(遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン)を高濃度で適応するとその作用が消失することが報告されている(非特許文献4)。
特開2003−201252号公報
Yasuda Y, et al. Carcinogenesis 24, 1021-1029(2003) Yasuda Y, et al. WSEAS Press. Cambridge. 337-348(2010) Johnson, Dana L. et al., Biochemistry 37, 3699-3710 (1998) Abe et al. Cytotechnology 63, 101-109(2011)
本発明は、優れた抗腫瘍活性を有するペプチドおよびそのペプチドを含有する抗腫瘍剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、配列番号1に示される12アミノ酸からなるペプチドであって、N末端がアシル化されC末端がアミド化されている修飾ペプチドが、強い抗腫瘍作用を有することを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は下記の態様を包含する。
1.配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、N末端のアミノ基がアシル化され、C末端のカルボキシル基がアミド化されているペプチド。
2.N末端のアミノ基がアセチル化されている前記1に記載のペプチド。
3.前記1または2に記載のペプチドを含有する抗腫瘍剤。
4.肺がん、肝臓がん、および卵巣がんからなる群より選択される少なくとも1種のがんの予防または治療に用いられる前記3に記載の抗腫瘍剤。
本発明のペプチドは、強い抗腫瘍作用を有する。特に、肺がん、肝臓がん、卵巣がんに対して強い抗腫瘍作用を有する。rhEpo(遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン)を高濃度で適応するとその作用が消失するのと同様に、EMP9を高濃度で適応すると、腫瘍崩壊効果が得られなかったが、本発明のペプチドは、12アミノ酸からなる低分子ペプチドであることより、Epo受容体の構造を変化させることなく、高濃度でも好適に効果を発揮することができる。また、短いペプチドであることにより、製剤としての安定性、取り扱い易さ、生産コストの点でも優れている。さらに、N末端とC末端がアシル化およびアミド化されていることにより、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼなどのエキソペプチダーゼによる分解を受けにくい点でも優れている。さらに本発明のペプチドはEpoRの発現量の少ない細胞には結合しない性質を持つ。正常細胞は腫瘍細胞と比べてEpoRmRNAの発現量が、50分の1から500分の1と少ない(非特許文献2)。従って本発明のペプチドは正常細胞には反応しない安全性の高いペプチドであり抗腫瘍剤として好適である。
図1はYS12、EMP9、EMP24、EMP24A及びEMP24ANの肺がん由来細胞A549に対する致死効果を示すグラフである。(a)YS12は高濃度で強い致死効果がみられた。(b)EMP9(E9)の致死効果はなかった。(c)EMP24(E24)は高濃度で致死効果がみられた。(d)EMP24A(E24A)の致死効果はなかった。(e)EMP24AN(E24AN)は高濃度で致死効果がみられた。致死効果の強さは、EMP9=EMP24A<EMP24=EMP24AN<YS12であった。 図2はYS12、EMP9、EMP24、EMP24A及びEMP24ANの肝臓がん由来細胞HepG2に対する致死効果を示すグラフである。(a)YS12は高濃度で強い致死効果がみられた。(b)EMP9の致死効果はなかった。(c)EMP24は高濃度で致死効果がみられた。(d)EMP24Aの致死効果はなかった。(e)EMP24ANの致死効果はなかった。致死効果の強さは、EMP9=EMP24A=EMP24AN<EMP24<YS12であった。 図3はYS12、EMP9及びEMP24の肺がん由来細胞A549に対する致死効果を示すグラフである。(a)YS12は低濃度から致死効果がみられている。(b)EMP9は高濃度のみで軽度な致死効果がみられた。(c)EMP24は高濃度のみで中等度の致死効果がみられた。致死効果の強さは、EMP9<EMP24<<YS12であった。 図4はYS12、EMP9及びEMP24の肝臓がん由来細胞HepG2に対する致死効果を示すグラフである。(a)YS12は中濃度から致死効果がみられている。(b)EMP9は明確な致死効果はみられていない。(c)EMP24は高濃度のみで軽度な致死効果がみられた。致死効果の強さは、EMP9<EMP24<YS12であった。 図5はYS12、EMP9及びEMP24の卵巣がん由来細胞A2780に対する致死効果を示すグラフである。(a)YS12は中濃度から致死効果がみられている。(b)EMP9は高濃度のみで致死効果がみられた。(c)EMP24は高濃度のみで致死効果がみられた。致死効果の強さは、EMP9=EMP24<YS12であった。
本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、N末端のアミノ基がアシル化され、C末端のカルボキシル基がアミド化されているペプチド(本明細書において、「本発明のペプチド」と示すこともある。)に関する。
本発明のペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列(SCHFGPLTWVCK)と同一のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が含まれる。配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドとは、たとえば、1〜2個のアミノ酸がD−アミノ酸に置換されているペプチドが挙げられる。
本発明のペプチドは、N末端のセリン残基のアミノ基がアシル化されている。アシル基はセリン残基のアミノ基の窒素原子に1〜2個結合しており、好ましくは、セリン残基の窒素原子に1個のアシル基が結合している。アシル基としては、C1−6のアシル基が好ましく、より好ましくは、C1−3のアシル基、さらに好ましくは、C1−2のアシル基、最も好ましくはCのアセチル基である。
本発明のペプチドは、C末端のリシンのカルボキシル基がアミド化され、カルボン酸アミドになっている。1級アミド、2級アミド、3級アミドのいずれでもよく、1級アミドが好ましい。
本発明のペプチドにはシステイン残基が2個含まれている。好ましくは、それらシステイン残基は分子内でジスルフィド結合されている。
本発明のペプチドの好ましい実施形態の一つとして、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、N末端のアミノ基がアセチル化され、C末端のカルボキシル基がアミド化されて、1級アミド(-C(=O)-NH2)が形成されているペプチドが挙げられる。さらに、2つのシステインがジスルフィド結合されているペプチドがより好ましいペプチドとして挙げられる。
本発明のペプチドには、分子内のアミノ酸の側鎖上にある、例えば、OH、NH、SHなどが適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アシル基など)で保護されているペプチドも含まれる。また、本発明のペプチドには、糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明のペプチドには、本発明のペプチドの塩も含まれる。本発明のペプチドの塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸など)との塩などが挙げられる。また、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムまたはアンモニウムなど)との塩、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジンなど)との塩なども挙げられる。
本発明のペプチドは溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
本発明のペプチドは、プロドラッグ化されていてもよい。プロドラッグとしては、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本発明のペプチドに変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明のペプチドに変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明のペプチドに変化する化合物などが用いられる。具体的には、本発明のペプチドのアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、エイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);本発明のペプチドの水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって本発明のペプチドから製造することができる。
本発明のペプチドは、公知のペプチドの合成法に従って製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによってもよい。すなわち、本発明のペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(1)〜(3)からに記載された方法が挙げられる。
(1)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)(1985年)
(2)実験化学講座第5版、高分子化学、26巻 丸善(株)(2007年)
(3)野上靖純著 パートナー薬品製造学、第2版、南江堂(2012年)
より具体的には、本発明のペプチドの合成には、通常市販のペプチド合成用樹脂を用いることができる。例えばポリスチレンを基材とした樹脂を用いることができる。C末端がアミド化されているペプチドを得るには出発原料の樹脂として、Fmoc−NH−SAL樹脂(Rink amide樹脂)、MBHA樹脂、Sieber amide樹脂、PAL樹脂、Ramage amide樹脂ならびにそれらのアミノ官能基とポリスチレンとの間にポリエチレングリコールなどの膨潤剤やリンカーを導入した樹脂等を用いることができる。このような樹脂と、α−アミノ基と側鎖官能基を適当な保護基(例えば、Boc、Fmoc)で保護したアミノ酸を原料として用い、目的とするペプチドの配列通りに、公知の各種縮合方法に従い樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のペプチドを取得する。保護基の除去(脱離)や樹脂からのペプチドの切り離しは、公知の方法(例えば、トリフルオロ酢酸よる酸処理)により行うことができる。なお、N末端がアシル化されているペプチドは、無水酢酸などで反応することにより得ることができる。樹脂から切り離された粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し所望のペプチド得ることができる。
本発明は、本発明のペプチドを含有する抗腫瘍剤(本明細書において、「本発明の抗腫瘍剤」と示すこともある。)に関する。
本発明の抗腫瘍剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)における悪性腫瘍や良性腫瘍(例えば、原発性、転移性または再発性の、乳がん、前立腺がん、すい臓がん、胃がん、肺がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん、肛門がん)、食道がん、十二指腸がん、頭頚部がん(舌がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん)、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺がん、肺小細胞がん、肝臓がん、腎臓がん、胆管がん、子宮がん(子宮体がん、子宮頸がん)、卵巣がん、膀胱がん、皮膚がん、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、骨腫瘍、血管腫、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎がん、小児固形がん、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、子宮筋腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、がん性の中皮腫瘍、白血病などの腫瘍など)の予防または治療剤として有用である。肺がん、肝臓がん、卵巣がん、すい臓がん、腎臓がん、大腸がん、黒色腫、脳腫瘍、胃がん、および乳がんの予防または治療に好適に用いることができる。特に、肺がん、肝臓がん、および卵巣がんの予防または治療に好適に用いることができる。本発明の抗腫瘍剤は、毒性が低く、安全である。
本発明の抗腫瘍剤に含有される本発明のペプチドもしくはその塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグは、毒性が低く、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、そのままあるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈、皮下、筋肉内、経鼻、経膣、経口腔粘膜、経肺粘膜、点眼投与等)に安全に投与することができる。
本発明の抗腫瘍剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤および無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。等張化剤としては、例えばブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。投与に当たっては、前記の注射用組成物を慣用の水性希釈剤中で溶解し、液剤として用いることができる。水性希釈剤としてはぶどう糖水溶液、生理食塩水、リンゲル液、栄養補給剤液などが含まれる。
注射剤にリン酸またはその塩が含まれる場合、その注射剤中のリン酸ナトリウムあるいはリン酸カリウムの濃度は約0.1mMないし500mMであり、約1mMないし100mMのときが好ましい。無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明の抗腫瘍剤において、本発明のペプチドもしくはその塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグの含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約0.1〜100重量%、好ましくは約10〜99.9重量%、さらに好ましくは約20〜90重量%程度である。本発明の抗腫瘍剤において、本発明のペプチドもしくはその塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ以外の成分の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体に対して約10〜99.9重量%、好ましくは約20〜90重量%程度である。本発明の抗腫瘍剤の投与量は、投与ルート、症状、患者の年令などによっても異なるが、例えば、腫瘍やがん等の増殖性臓器疾患を治療する目的で静注など非経口的に投与する場合、1日当たり体重1kgあたりペプチドとして約0.005〜50mg,好ましくは約0.05〜10mg、さらに好ましくは約0.2〜4mgを1〜3回に分割投与できる。
本発明の抗腫瘍剤は、本発明のペプチドもしくはその塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ以外に、適宜、他の医薬と適量配合して、または適量併用して使用することもできる。このような併用薬としては、例えば、種々の抗腫瘍剤や抗がん剤が挙げられる。
以下に、実施例、参考例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
実施例1 YS12の合成
下記の構造を有するYS12を合成した。
ペプチド自動合成機(CEM社製)を使用し、プログラムに従ってC端より9‐fluorenylmethoxycarbonyl法(Fmoc法)によりペプチド鎖を逐次延長し、目的の保護ペプチド樹脂の合成を行った。
Fmoc−NH−SAL樹脂(渡辺化学工業)を出発原料として使用し、通常のアミノ酸誘導体をシークエンスにしたがって順次縮合させて保護ペプチド樹脂を構築した。樹脂上へのペプチドの構築が終了した後、保護ペプチド樹脂を乾燥した。得られた保護ペプチドの脱保護基とペプチドの樹脂担体からの切り離しはトリフルオロ酢酸処理により行った。
粗ペプチドを樹脂担体から分離した後、得られた粗ペプチド(還元型)を逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)(Shimadzu社 model LC−8A)により精製した。
精製ペプチド(還元型)はヨウ素処理により粗ペプチド(酸化型)に変換しジスルフィド結合を形成させた。得られた粗ペプチド(酸化型)をRP−HPLCにより精製し、凍結乾燥した。
精製物は分析用RP−HPLC(Shimadzu社 Prominence)、質量分析(Agilent Technologies社 1100 series LC−MSD)ならびにアミノ酸分析(HITACHI社 L−8900)により検定し、目的のペプチドYS12である事を確認した。
結果
アミノ酸分析値:
Thr(1)0.89, Ser(1)0.79, Gly(1)0.98,
Cys(2)1.51, Val(1)0.98, Leu(1)1.00,
Phe(1)1.00, Lys(1)1.00, NH(1)1.59,
His(1)0.99, Trp(1)0.77, Pro(1)0.99
純度(HPLC):97.1%
ESI−MS:MW=1416.3
参考例
エリスロポエチンミメティックペプチド9(以下EMP9)、エリスロポエチンミメティックペプチド24(以下EMP24)、エリスロポエチンミメティックペプチド24のグリシン(G)をアラニン(A)に変換したペプチド(以下EMP24A)、EMP24Aにアセチル基(Ac基)とアミド基(NH)基を付けたペプチド(以下EMP24AN)を実施例1と同様にして合成し、生成ペプチドが目的のペプチドであることを確認した。以下に各ペプチドの構造を示す。各ペプチドのシステイン残基は分子内でジスルフィド結合を形成している。なお、EMP24ANの合成には、Fmoc−NH−SAL樹脂を出発原料として使用し、そのほかのペプチドの合成には、Fmoc−Lys(Boc)−Wang樹脂を出発原料として使用した。
EMP9: GGTYSCHFAPLTWVCKPQGG (配列番号2)
EMP24: SCHFGPLTWVCK (配列番号3)
EMP24A: SCHFAPLTWVCK (配列番号4)
EMP24AN:Ac−SCHFAPLTWVCK−NH (配列番号5)
YS12: Ac−SCHFGPLTWVCK−NH (配列番号1)
試験例1
(A)方法
1.がん細胞株
試験1および試験2では、肺がん細胞株A549及び肝臓がん細胞株HepG2を用いた。試験3、試験4および試験5では、肺がん細胞株A549及び肝臓がん細胞株HepG2に加え、卵巣がん細胞株A2780を用いた。これら細胞株はATCC,HSRRBまたはECACCより購入し、近畿大学医学部及び京都大学医学部において継代維持されたものである。
2.被験物
試験1および試験2では、EMP9、EMP24、EMP24A、EMP24AN、およびYS12を用いた。試験3、試験4および試験5では、EMP9、EMP24、およびYS12を用いた。
3.プレ培養
検査する種々の細胞株の細胞接着性を安定化させる為に、各がん細胞の7×10個を1mLの培養液入りの24穴プレートに撒種して16−18時間培養 (37℃、5%CO混入空気) した。
4.被験物質の処置
被験薬入りの培養液50μLを1時間毎に3回、被験がん細胞株の入った穴(培養液1mL/well)に入れた。3回処置後、第1回目処置から24時間、37℃、5%CO混入空気で培養した。
被験物質の濃度は、培養液中の濃度が0.025、0.05及び0.1mg/mLになる様に調製した。ただし、A549細胞株のYS12処置については、さらに低濃度の0.01mg/mLを設けた。
5.培養後の細胞の処置
各wellにおいて、培養上清と接着被験細胞の処置を行った。すなわち、まず、培養上清(sup)を遠沈(13,000rpm,1min)後、上清(sup)を廃棄して沈殿物(3sed)を得た。次いで、各wellの接着被験細胞に0.5mLのtrypsin(0.05%)を加えて、37℃で2分間静置した。次いで、0.5 mLの培養液を加えpipettingにより細胞を剥離後、全液を遠沈し(4000rpm, 1min)、沈殿物 (細胞4sed)と上清(4sup)を得た。
細胞4sedに30μLの培養液を加えた(5a)。また、細胞3sedに20μLの培養液を加えた(5b)。5aと5bを混和し、死亡細胞を染色するためnigrosine液(Kaltenbachら,1958)の最終濃度が1%となるように加え撹拌し、細胞混和液を作成した。
6.細胞の計数
上記の細胞混和液をcell−counter(バイオメデカルサイエンス社製)に注入し、8区画の細胞計数空間における死亡細胞数及び生存細胞を計数した。各区画の死亡率を算出して平均し、1標本の死亡率とした。
7.標本数及び統計処理
試験1および試験2の標本数は基本3標本とし、統計処理は行わなかった。
試験3、試験4および試験5の標本数は9標本とし、分散をF検定により行い、次いで等分散あるいは非等分散のT検定を実施した。
(B)結果
試験1.肺がん由来細胞株A549を用いた試験
YS12、EMP9、EMP24、EMP24A及びEMP24ANを0.025、0.05及び0.1mg/mLの濃度でA549細胞致死効果を確認した。その結果、EMP9及びEMP24Aでは0.1mg/mLの濃度で致死効果は認められなかった。EMP24暴露では高濃度である0.1mg/mLにおいて44.7%と中等度の致死効果が認められた。また、EMP24AN暴露においても高濃度である0.1mg/mLにおいて48.79%と中等度の致死効果が認められた。一方、YS12では高濃度である0.1mg/mLにおいて68.3%と明確な致死効果が認められた。
致死効果の強さは、EMP9=EMP24A<EMP24=EMP24AN<YS12であった(図1)。
試験2.肝臓がん由来細胞株HepG2を用いた試験
YS12、EMP9、EMP24、EMP24A及びEMP24ANを0.025、0.05及び0.1mg/mLの濃度でHepG2細胞に暴露して、細胞致死効果を確認した。
その結果、EMP9、EMP24A及びEMP24ANでは0.1 mg/mLまでの濃度で致死効果は認められなかった。EMP24暴露では高濃度である0.1mg/mLにおいて25.9%と軽度な致死効果が認められた。一方、YS12では高濃度である0.1mg/mLにおいて58.1%と明確な致死効果が認められた。
致死効果の強さは、EMP9=EMP24A=EMP24AN<EMP24<YS12であった(図2)。
試験1および試験2のまとめ
EMP9、EMP24、EMP24A、EMP24AN、YS12について、肝臓がん細胞株HepG2及び肺がん細胞株A549を用いて予備的に細胞致死効果を確認した結果、EMP24Aでは効果は認められず、EMP24ANにおいても効果はないか中等度であり、YS12の効果は明確であった。そこで、以下の試験3〜5では、YS12の比較対照として既知のペプチドであるEMP9とEMP24を用いた。
試験3.肺がん由来細胞株A549を用いた実験
YS12、EMP9及びEMP24を0.01(YS12のみ)、0.025、0.05及び0.1mg/mLの濃度でA549細胞に暴露して、細胞致死効果を確認した。
その結果、EMP9では高濃度である0.1mg/mLにおいてのみ軽度な致死効果がみられ、EMP24においても高濃度である0.1mg/mLにおいてのみ中等度の致死効果が認められた。一方、YS12では最低濃度である0.01mg/mLでは効果は認められなかったが、低濃度である0.025mg/mLにおいても有意な細胞致死効果が認められた。これは、EMP9及びEMP24の4倍の効果を有することを示唆するものである。
致死効果の強さは、EMP9<EMP24<<YS12であった(図3)。
試験4.肝臓がん由来細胞株HepG2を用いた実験
YS12、EMP9及びEMP24を0.025、0.05及び0.1mg/mLの濃度でHepG2細胞に暴露して、細胞致死効果を確認した。
その結果、EMP9では高濃度である0.1mg/mLにおいても致死効果が認められなかった。EMP24では高濃度である0.1 mg/mLにおいてのみ軽度な致死効果が認められた。一方、YS12では中濃度である0.05mg/mLで軽度な(統計学的に有意)効果が認められ、高濃度である0.1mg/mLにおいても中等度の有意な細胞致死効果が認められた。これは、EMP9の4倍以上、EMP24の2倍の効果を有することを示唆するものである。
致死効果の強さは、EMP9<EMP24<YS12であった(図4)。
試験5.卵巣がん由来細胞株A2780を用いた実験
YS12、EMP9及びEMP24を0.025、0.05及び0.1mg/mLの濃度でA2780細胞に暴露して、細胞致死効果を確認した。
その結果、EMP9及びEMP24では高濃度である0.1mg/mLにおいてのみ軽度な致死効果が認められた。一方、YS12では中濃度である0.05mg/mLで軽度な(統計学的に有意)効果が認められ、高濃度である0.1mg/mLにおいても中等度の有意な細胞致死効果が認められた。これは、EMP9及びEMP24の2倍の効果を有することを示唆するものである。
致死効果の強さは、EMP9=EMP24<YS12であった(図5)。
試験3〜試験5のまとめ
YS12、EMP9及びEMP24について肺がん細胞株A549、肝臓がん細胞株HepG2および卵巣がん細胞株A2780を用いてがん細胞致死効果を確認した結果、YS12はEMP9に比べ、2倍、4倍あるいは4倍以上の効果が確認され、EMP24に比べても2倍あるいは4倍の効果が確認できた。これはYS12の優れた抗腫瘍作用を示すものと考えられる。
本発明のペプチドは、抗腫瘍剤として、種々のがんや腫瘍の予防および治療に用いることができる。

Claims (4)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、N末端のアミノ基がアシル化され、C末端のカルボキシル基がアミド化されているペプチド。
  2. N末端のアミノ基がアセチル化されている請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1または2に記載のペプチドを含有する抗腫瘍剤。
  4. 肺がん、肝臓がん、および卵巣がんからなる群より選択される少なくとも1種のがんの予防または治療に用いられる、請求項3に記載の抗腫瘍剤。

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