JP2018148124A - 封止シート、および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、封止シート、および当該シートを使用した半導体装置の製造方法に関する。
従来、半導体装置の製造方法において、封止材がシート状に形成された層(接着剤層)を備える封止シートを用いて、半導体チップを封止することが行われている。例えば、基板上に設けられた半導体チップに対し、封止シートにおける接着剤層を積層した後、当該接着剤層を硬化させることで、半導体チップが封止されている(特許文献1)。
また、近年では、半導体チップが内蔵された基板(以下、「チップ内蔵基板」という場合がある。)の開発が進められているが、当該基板の製造においても、半導体チップの封止が行われることがある。この場合、基材上に半導体チップを設け、当該基材における半導体チップが設けられた面に封止シートの接着剤層を積層した後、当該接着剤層を硬化することで、封止された半導体チップを備えるチップ内蔵基板が得られる。当該基板には、必要に応じて、半導体チップと外部との間を電気的に接続する電極等が形成される。
さらに、近年では、粘着シート上において半導体チップを封止する手法の開発も進められている。当該方法では、粘着シート上に設けられた半導体チップに対して封止シートにおける接着剤層を積層し、当該接着剤層を硬化することで、半導体チップが封止されてなる封止体を得ることができる。当該方法では、さらに、当該封止体から粘着シートを剥離して、半導体チップにおける粘着シートとの接触していた面を露出させ、当該面に対して、更なる封止を行うといったその他の加工を行うことが可能となる。
ところで、特許文献1に記載されるような従来の封止シートは、熱硬化に関する保存安定性が悪いといった問題がある。例えば、特許文献1に記載される封止シートでは、接着剤層が、液状または固体状の硬化性組成物とゲル化剤として作用する熱可塑性樹脂パウダーとの混合物をシート化することにより得られるものである(特許文献1の段落0010)。そして、特許文献1の実施例では、当該混合物と溶剤とを混合してワニスを調製し、当該ワニスを剥離フィルム上に塗工することで接着剤層を形成している(特許文献1の段落0051)。この場合、硬化性組成物を構成する成分同士が溶剤中において十分に混合される結果、接着剤層の硬化反応が進行し易くなる。
そのため、従来の封止シートでは、接着剤層を加熱して硬化させる前における、意図しない段階において硬化が進行してしまうことがある。例えば、当該封止シートの保管時において、周囲の温度の上昇等により接着剤層が硬化することがある。さらには、従来の封止シートをチップ内蔵基板の製造に用いたり、粘着シート上における半導体チップの封止に用いる場合、当該封止シートを半導体チップ上に積層する際に生じる熱により接着剤層が硬化するということが特に問題となる。
また、特許文献1に記載されるような従来の封止シートでは、接着剤層の硬化の開始から完了まで比較的長い時間を要し、その結果、半導体装置の生産性が低下するといった問題がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、熱硬化に関する保存安定性に優れるとともに、接着剤層を短時間で硬化させることができる封止シートを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような封止シートを使用した、生産性の高い半導体装置の製造方法を提供する。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基板内に内蔵される半導体チップの封止または粘着シート上における半導体チップの封止に用いられる封止シートであって、前記封止シートは、少なくとも硬化性の接着剤層を備え、前記接着剤層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、イミダゾール系硬化触媒と下記式(1)
の構造を有する化合物とから形成された複合化合物および無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする封止シートを提供する(発明1)。
の構造を有する化合物とから形成された複合化合物および無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする封止シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る封止シートでは、接着剤層が上記複合化合物を含有する接着剤組成物から形成されていることにより、意図しない段階における接着剤層の硬化が抑制されるため、熱硬化に関する保存安定性に優れる。また、接着剤層を加熱することで硬化を開始させた場合には、硬化反応が迅速に進行して、硬化反応が短時間で完了するため、短時間で封止することができる。
上記発明(発明1)において、前記接着剤層は、示差走査熱量分析法により測定される反応開始温度が、120℃以上、250℃以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記イミダゾール系硬化触媒は、下記式(2)の構造を有する化合物
[式(2)中、R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基またはシアノエチル基を示す。R2〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を示す。]
であることが好ましい(発明3)。
[式(2)中、R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基またはシアノエチル基を示す。R2〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を示す。]
であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記複合化合物中における前記イミダゾール系硬化触媒の含有量は、前記式(1)の構造を有する化合物1モルに対して、1.0モル以上、2.0モル以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であるか、または、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物および酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物であることが好ましい(発明5)。
第2に本発明は、基材の少なくとも一方の面上に半導体チップを設ける工程、前記基材における前記半導体チップが設けられた面側に、前記封止シート(発明1〜5)における前記接着剤層を積層する工程、および前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップと、前記基材とを備えるチップ内蔵基板を得る工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明6)。
第3に本発明は、粘着シート上に半導体チップを設ける工程、前記粘着シートにおける前記半導体チップが設けられた面側に、前記封止シート(発明1〜5)における前記接着剤層を積層する工程、前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップとを備える封止体を得る工程、および前記封止体から前記粘着シートを剥離する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明7)。
本発明の封止シートは、熱硬化に関する保存安定性に優れるとともに、接着剤層を短時間で硬化させることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような封止シートを使用して、高い生産性にて半導体装置を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔封止シート〕
図1には、本実施形態に係る封止シート1の断面図が示される。図1に示すように、本実施形態に係る封止シート1は、接着剤層11と、当該接着剤層11の少なくとも一方の面に積層された剥離シート12とを備える。なお、接着剤層11における剥離シート12とは反対の面に、別の剥離シートがさらに積層されてもよい。ただし、剥離シート12および別の剥離シートは省略されてもよい。
〔封止シート〕
図1には、本実施形態に係る封止シート1の断面図が示される。図1に示すように、本実施形態に係る封止シート1は、接着剤層11と、当該接着剤層11の少なくとも一方の面に積層された剥離シート12とを備える。なお、接着剤層11における剥離シート12とは反対の面に、別の剥離シートがさらに積層されてもよい。ただし、剥離シート12および別の剥離シートは省略されてもよい。
本実施形態に係る封止シート1は、基板内に内蔵される半導体チップの封止または粘着シート上における半導体チップの封止に用いられる。また、本実施形態に係る封止シート1を用いて、半導体装置を製造することができる。ここにおいて、製造される半導体装置は、封止された半導体チップを備えるものであり、例えばチップ内蔵基板や、ファンアウト型ウエハレベルパッケージ(FOWLP)、ファンイン型ウエハレベルパッケージ(FIWLP)、等の半導体パッケージが挙げられる。
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤層11が硬化性を有する。ここで、硬化性を有するとは、接着剤層11が加熱等によって硬化し得ることをいう。すなわち、接着剤層11は、封止シート1を構成している状態では未硬化である。接着剤層11は、熱硬化性であることが好ましい。これにより、積層された接着剤層11に対してエネルギー線を照射し難い場合であっても、当該接着剤層11を良好に硬化することができる。
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤層11が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、イミダゾール系硬化触媒と下記式(1)
の構造を有する化合物とから形成された複合化合物および無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものである。
の構造を有する化合物とから形成された複合化合物および無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものである。
後述する通り、上記複合化合物では、所定の温度に加熱されるまで、上記式(1)の化合物がイミダゾール系硬化触媒から解離しない。また、イミダゾール系硬化触媒は、上記式(1)の化合物との間で複合化合物を形成した状態では、触媒として機能することができない。そのため、接着剤層11は、所定の温度に加熱されるまで硬化反応を開始しない。その結果、本実施形態に係る封止シート1では、意図しない段階における接着剤層11の硬化を抑制することができる。具体的には、封止シート1の保管時における硬化や、封止シート1の使用時の、接着剤層11を硬化するために加熱する前の段階における硬化を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る封止シート1は、熱硬化に関する保存安定性に優れる。
一方、上記複合化合物が所定の温度まで加熱されると、上記式(1)の化合物がイミダゾール系硬化触媒から一挙に解離し、これに伴い、接着剤層11において硬化反応が一挙に開始されるとともに、反応速度が急速に増大し、硬化反応が短時間で完了する。そのため、封止シート1を使用する場合、所定の温度まで加熱することで、短時間で半導体チップの封止を完了させることができる。従来の封止材を使用する場合、硬化に時間を要するため、半導体装置の製造におけるタクトタイムは、封止材の硬化の時間によって規定されることが多い。一方、本実施形態に係る封止シート1によれば、上記の通り接着剤層11の硬化反応が短時間で完了するため、上記タクトタイムを効果的に短縮することが可能となる。そのため、本実施形態に係る封止シート1を使用することで、半導体装置の生産性を向上させることができる。
なお、上記式(1)の化合物は、イミダゾール系硬化触媒から解離した後、熱硬化性樹脂と反応して、当該樹脂が形成する構造に取り込まれる。そのため、接着剤層11の硬化後において、当該化合物が、製造される半導体装置に対して悪影響を及ぼすことがない。
1.接着剤層
(1)複合化合物
上記複合化合物は、イミダゾール系硬化触媒と下記式(1)
の構造を有する化合物とから形成されたものである。なお、当該式(1)の化合物は、5−ヒドロキシイソフタル酸、または5−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジカルボン酸とも呼ばれる化合物である。
(1)複合化合物
上記複合化合物は、イミダゾール系硬化触媒と下記式(1)
の構造を有する化合物とから形成されたものである。なお、当該式(1)の化合物は、5−ヒドロキシイソフタル酸、または5−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジカルボン酸とも呼ばれる化合物である。
上記複合化合物では、イミダゾール系硬化触媒における、触媒としての機能を発揮するために必要な部位と、上記式(1)の化合物とが共有結合以外の結合で結合していることが好ましい。これにより、複合化合物を形成した状態において、イミダゾール系硬化触媒の触媒機能が効果的に阻害され、意図しない段階での硬化反応が効果的に抑制される結果、より優れた保存安定性を達成することができる。
共有結合以外の上記結合の例としては水素結合が挙げられ、この場合、例えば、上記式(1)の化合物が有するカルボキシル基の少なくとも一方と、イミダゾール系硬化触媒において、イミダゾール環構造を構成する窒素原子に共有結合している水素原子(後述する式(2)において、R1の位置に存在する水素原子)との間で水素結合が生じる。
上記複合化合物は、2つのイミダゾール系硬化触媒が、1つの上記式(1)の化合物により連結されてなる構造を有していることが好ましい。この場合、上記式(1)の化合物が有する2つのカルボキシル基のそれぞれが、イミダゾール系硬化触媒における上記水素原子との間で水素結合を行っている。当該複合化物は、熱硬化に関する優れた保存安定性および短時間での硬化反応を達成し易いという観点から好ましい。なお、当該複合化合物では、上記式(1)の化合物とイミダゾール系硬化触媒との比率が1対2となる。
また、上記複合化合物は、複数の上記式(1)の化合物が連結して分子鎖を形成し、その両端にイミダゾール系硬化触媒が存在する構造を有していてもよい。この場合、複数の上記式(1)の化合物同士は、カルボキシル基同士で水素結合を行っており、上記式(1)の化合物とイミダゾール系硬化触媒とは、それらがそれぞれ有するカルボキシル基と上記水素原子との間で水素結合を行っている。このような複合化合物では、上記式(1)の化合物の数をXとした場合、上記式(1)の化合物とイミダゾール系硬化触媒との比率がX対2となる。特に、熱硬化に関する優れた保存安定性および短時間での硬化反応を達成し易いという観点から、上記複合化合物は、Xが2である構造を有していることが好ましい。
また、上記複合化合物は、包接化合物であってもよい。この場合、例えば、ホストとしての上記式(1)の化合物が複数集まって形成した空間に、ゲストとしてのイミダゾール系硬化触媒が取り込まれた構造を有する。当該構造においては、ホストである上記式(1)の化合物同士が共有結合以外の結合(例えば水素結合)により結合して空間を形成し、ゲストであるイミダゾール系硬化触媒が、上記式(1)の化合物との間で共有結合以外の結合(例えば水素結合)を行い、当該空間内に固定されていることが好ましい。ここで、上記式(1)の化合物とイミダゾール系硬化触媒との間における水素結合は、前述したような、カルボキシル基と水素原子との間における水素結合であることが好ましい。ホストが形成する空間の形状は特に制限されず、トンネル形状、層状、網状などが挙げられる。なお、包接化合物である複合化合物は、上記式(1)の化合物とイミダゾール系硬化触媒とから形成された塩あるいは分子錯体ということもできる。
上記複合化合物が包接化合物である場合、ホストである上記式(1)の化合物は、複合化合物の少なくとも一部で上記空間を形成していればよく、上記空間を形成していない上記式(1)の化合物が複合化合物に含まれていてもよい。また、上記空間に取り込まれていないイミダゾール系硬化触媒が複合化合物に含まれていてもよい。
従来の包接剤(ホスト)により包接された硬化触媒(例えば、テトラキスフェノール系化合物により包接してなる包接硬化触媒)は、有機溶媒中に溶解した際にその包接が外れることが多いため、溶媒を用いずに(いわゆるドライブレンドにて)使用されることが多い。このような硬化触媒を封止シートに使用した場合、接着剤組成物を溶媒で希釈した際にその包接が外れるため、包接されていない硬化触媒を使用した場合と同様に、意図しない硬化反応が進み易い。これに対し、複合化合物が、ホストして上記式(1)の化合物を使用した包接化合物である場合には、当該複合化合物を有機溶媒に溶かした場合にも包接が外れにくいため、意図しない硬化反応が進みにくく、熱硬化に関する保存安定性がより優れたものとなる。
上記イミダゾール系硬化触媒は、下記式(2)の構造を有する化合物
であることが好ましい。当該構造を有するイミダゾール系硬化触媒は、硬化反応を良好に進行させることができるため、硬化反応が開始されると、当該反応をより迅速に進行させ、より短時間で完了させることができる。
であることが好ましい。当該構造を有するイミダゾール系硬化触媒は、硬化反応を良好に進行させることができるため、硬化反応が開始されると、当該反応をより迅速に進行させ、より短時間で完了させることができる。
上記式(2)において、R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基またはシアノエチル基であることが好ましい。
上記R1における炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。上記R1における炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基等が挙げられる。
また、上記式(2)において、R2〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基であることが好ましい。
上記R2〜R4において、アルキル基の炭素数は、17以下であることが好ましく、特に10以下であることが好ましい。また、シクロアルキル基の炭素数は、17以下であることが好ましく、特に10以下であることが好ましい。さらに、アシル基の炭素数は、17以下であることが好ましく、特に10以下であることが好ましい。
上記R2〜R4において、炭素数1〜20のアルキル基の例としては、上記R1における炭素数1〜10のアルキル基の例として挙げたものが使用できる。また、上記R2〜R4において、炭素数3〜20のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基等が挙げられる。さらに、上記R2〜R4において、炭素数1〜20のアシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
上記式(2)で表されるイミダゾール系硬化触媒の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾールなどが挙げられ、反応性の観点から、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾールを使用することが好ましい。なお、イミダゾール系硬化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記複合化合物では、イミダゾール系硬化触媒から上記式(1)の化合物が解離する温度が、180℃以上であることが好ましく、特に190℃以上であることが好ましく、さらには200℃以上であることが好ましい。また、当該温度は、300℃以下であることが好ましく、特に250℃以下であることが好ましく、さらには220℃以下であることが好ましい。解離する温度が180℃以上であることで、意図しない段階における接着剤層11の硬化反応の開始を効果的に抑制することができ、より優れた保存安定性を達成することができる。また、当該温度が300℃以下であることで、過度な加熱を要せず、解離を生じさせることができる。
上記複合化合物中におけるイミダゾール系硬化触媒の含有量は、上記式(1)の構造を有する化合物1モルに対して、1.0モル以上であることが好ましく、特に1.5モル以上であることが好ましい。また、当該含有量は、上記式(1)の構造を有する化合物1モルに対して、2.0モル以下であることが好ましい。当該含有量が1.0モル以上であることで、接着剤層11中におけるイミダゾール系硬化触媒の含有量が十分なものとなり、接着剤層11の硬化不良を効果的に抑制できるとともに、より迅速に硬化させることができる。また、当該含有量が2.0モル以下であることで、複合化合物中における上記式(1)の化合物の含有量が相対的に多くなり、上記式(1)の化合物がイミダゾール系硬化触媒に対して不足することなく複合化合物が形成され、それにより、意図しない段階における硬化反応を効果的に抑制することができる。
接着剤組成物中における複合化合物の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、特に0.05質量%以上であることが好ましく、さらには、0.1質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、特に1.5質量%以下であることが好ましく、さらには1.0質量%以下であることが好ましい。当該含有量が上記範囲であることで、より優れた保存安定性を達成できるとともに、硬化の開始から完了までの時間をより短縮することが可能となる。
(2)熱硬化性樹脂
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が熱硬化性樹脂を含有することにより、半導体チップを強固に封止することが可能となる。熱硬化性樹脂としては、接着剤層11の硬化を可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、酸無水物系化合物を使用することが好ましく、特に、優れた接着性を示すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、またはエポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物および酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物を使用することが好ましい。
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が熱硬化性樹脂を含有することにより、半導体チップを強固に封止することが可能となる。熱硬化性樹脂としては、接着剤層11の硬化を可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、酸無水物系化合物を使用することが好ましく、特に、優れた接着性を示すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、またはエポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物および酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物を使用することが好ましい。
エポキシ樹脂は、一般的に、加熱を受けると三次元網状化し、強固な硬化物を形成する性質を有する。このようなエポキシ樹脂としては、公知の種々のエポキシ樹脂が用いることができ、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェニルノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸のグリシジルエーテル;アニリンイソシアヌレート等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したグリシジル型もしくはアルキルグリシジル型のエポキシ樹脂;ビニルシクロヘキサンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−ジシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等のように、分子内の炭素−炭素二重結合を例えば酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環型エポキシドを挙げることができる。その他、ビフェニル骨格、トリフェニルメタン骨格、ジシクロヘキサジエン骨格、ナフタレン骨格等を有するエポキシ樹脂を用いることもできる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述したエポキシ樹脂の中でも、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂)またはこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
フェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリフェニルメタン型フェノール、テトラキスフェノール、ノボラック型フェノール、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するフェノール(ビフェニル型フェノール)等が挙げられ、これらの中でも、ビフェニル型フェノールを使用することが好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との反応性等の観点から、フェノール樹脂を併用することが好ましい。
接着剤組成物中における熱硬化性樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、特に15質量%以上であることが好ましく、さらには、20質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、80質量%以下であることが好ましく、特に70質量%以下であることが好ましく、さらには60質量%以下であることが好ましい。当該含有量が10質量%以上であることで、接着剤層11の硬化がより十分なものとなり、半導体チップをより強固に封止することができる。また、当該含有量が80質量%以下であることで、接着剤層11の意図しない段階での硬化をより抑制することができ、保存安定性がより優れたものとなる。
(3)熱可塑性樹脂
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有することにより、接着剤層11をシート状に形成することが容易となる。そのため、当該熱可塑性樹脂としては、接着剤層をシート状に形成することを可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂の例としては、フェノキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、シラン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有することにより、接着剤層11をシート状に形成することが容易となる。そのため、当該熱可塑性樹脂としては、接着剤層をシート状に形成することを可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂の例としては、フェノキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、シラン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノキシ系樹脂としては、特に限定されないものの、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型、ビスフェノールS型、ビスフェノールアセトフェノン型、ノボラック型、フルオレン型、ジシクロペンタジエン型、ノルボルネン型、ナフタレン型、アントラセン型、アダマンタン型、テルペン型、トリメチルシクロヘキサン型、ビフェノール型、ビフェニル型等が例示され、これらの中でもビスフェノールA型フェノキシ樹脂を使用することが好ましい。
接着剤組成物中における熱可塑性樹脂の含有量は、1.0質量%以上であることが好ましく、特に5.0質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましい。当該含有量が上記範囲であることで、接着剤層11をシート状に形成することがより容易となる。
(4)無機フィラー
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が無機フィラーを含有することにより、硬化後の接着剤層11が優れた機械的強度を有するものとなり、得られる半導体装置の信頼性が向上する。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、ガラス、酸化チタン、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ムライト、コージェライト等の複合酸化物、モンモリロナイト、スメクタイト等を例示することができ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもシリカフィラーを使用することが好ましい。シリカフィラーの形状は、球状であることが好ましい。
本実施形態に係る封止シート1では、粘着剤組成物が無機フィラーを含有することにより、硬化後の接着剤層11が優れた機械的強度を有するものとなり、得られる半導体装置の信頼性が向上する。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、ガラス、酸化チタン、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ムライト、コージェライト等の複合酸化物、モンモリロナイト、スメクタイト等を例示することができ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもシリカフィラーを使用することが好ましい。シリカフィラーの形状は、球状であることが好ましい。
上記無機フィラーの平均粒径は、10nm以上であることが好ましく、特に20nm以上であることが好ましく、さらには30nm以上であることが好ましい。また、上記無機フィラーの平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、特に150nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下であることが好ましい。無機フィラーの平均粒径が上記範囲であることで、硬化後の接着剤層11がより優れた機械的強度を有するものとなる。なお、本明細書における無機フィラーの平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装社製,製品名「ナノトラックWave−UT151」)を使用して、動的光散乱法により測定した値とする。
また、上記無機フィラーの最大粒子径は、10000nm以下であることが好ましく、特に5000nm以下であることが好ましい。無機フィラーの最大粒子径が10000nm以下であることで、接着剤層11を半導体チップの周囲に効果的に充填し易くなる。
接着剤組成物中における無機フィラーの含有量は、35質量%以上であることが好ましく、特に40質量%以上であることが好ましく、さらには、50質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、90質量%以下であることが好ましく、特に85質量%以下であることが好ましい。当該含有量が35質量%以上であることで、接着剤層11がより良好な機械的強度を有するものとなる。また、当該含有量が90質量%以下であることで、接着剤組成物中における熱硬化性樹脂および複合化合物等の含有量が相対的に高くなり、より優れた保存安定性およびより短時間での硬化を達成し易くなる。
(5)その他の成分
粘着剤組成物は、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与材、着色剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
粘着剤組成物は、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与材、着色剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
(6)物性等
本実施形態に係る封止シート1では、硬化前における接着剤層11の、示差走査熱量分析法により測定される反応開始温度が、120℃以上であることが好ましく、特に130℃以上であることが好ましく、さらには140℃以上であることが好ましい。また、当該反応開始温度は、250℃以下であることが好ましく、特に220℃以下であることが好ましく、さらには200℃以下であることが好ましい。ここで、反応開始温度とは、示差走査熱量分析法により取得されるDSC曲線における、接着剤層11の硬化反応に起因して生じるピークについて、当該ピークが生じ始めるときの温度(℃)をいうものとする。反応開始温度が120℃以上であることで、意図しない段階における接着剤層11の硬化反応の開始を効果的に抑制することができ、より優れた保存安定性を達成することができる。また、反応開始温度が250℃以下であることで、過度な加熱を要せず、硬化反応を開始させることが可能となる。
本実施形態に係る封止シート1では、硬化前における接着剤層11の、示差走査熱量分析法により測定される反応開始温度が、120℃以上であることが好ましく、特に130℃以上であることが好ましく、さらには140℃以上であることが好ましい。また、当該反応開始温度は、250℃以下であることが好ましく、特に220℃以下であることが好ましく、さらには200℃以下であることが好ましい。ここで、反応開始温度とは、示差走査熱量分析法により取得されるDSC曲線における、接着剤層11の硬化反応に起因して生じるピークについて、当該ピークが生じ始めるときの温度(℃)をいうものとする。反応開始温度が120℃以上であることで、意図しない段階における接着剤層11の硬化反応の開始を効果的に抑制することができ、より優れた保存安定性を達成することができる。また、反応開始温度が250℃以下であることで、過度な加熱を要せず、硬化反応を開始させることが可能となる。
本実施形態に係る封止シート1では、硬化前における接着剤層11の、示差走査熱量分析法により測定される反応立ち上がり温度が、140℃以上であることが好ましく、特に150℃以上であることが好ましく、さらには160℃以上であることが好ましい。また、当該反応立ち上がり温度は、230℃以下であることが好ましく、特に220℃以下であることが好ましく、さらには200℃以下であることが好ましい。ここで、反応立ち上がり温度とは、示差走査熱量分析法により取得されるDSC曲線における、接着剤層11の硬化反応に起因して生じるピークについて、当該ピークに接する接線の傾きが最大となるときの温度(℃)をいうものとする。すなわち、反応立ち上がり温度とは、接着剤層11の硬化反応において反応速度が最大となる温度のことをいう。反応立ち上がり温度が140℃以上であることで、意図しない段階における接着剤層11の硬化反応の進行を効果的に抑制することができ、より優れた保存安定性を達成することができる。また、反応立ち上がり温度が230℃以下であることで、過度な加熱を要せず、硬化反応を進行させることが可能となる。
本実施形態に係る封止シート1では、硬化前における接着剤層11の、示差走査熱量分析法により測定される反応立ち上がり温度と反応ピーク温度との差が、20℃以下であることが好ましく、特に15℃以下であることが好ましい。ここで、反応ピーク温度とは、示差走査熱量分析法により取得されるDSC曲線における、接着剤層11の硬化反応に起因して生じるピークについて、ピークの頂点をもたらす温度(℃)をいうものとする。反応立ち上がり温度と反応ピーク温度との差が20℃以下であることで、接着剤層11の硬化の開始から完了までの時間が効果的に短縮され、これにより、封止シート1を使用して半導体装置を製造する場合に、その生産性を効果的に向上させることが可能となる。なお、当該反応立ち上がり温度と反応ピーク温度との差の下限値については特に限定されないものの、例えば、当該差は、1.0℃以上であってよく、特に5.0℃以上であってよい。
上述した、反応開始温度、反応立ち上がり温度および反応ピーク温度は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。例えば、厚さ15mmの接着剤層11を、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、昇温速度10℃/分で50℃から300℃まで加熱し、これにより得られるDSC曲線から求めることができる。
接着剤層11の厚さは、封止の用途や、封止後の硬化した接着剤層11の厚さ等を考慮して設定することができるが、例えば、10μm以上であることが好ましく、特に20μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、500μm以下であることが好ましく、特に400μm以下であることが好ましく、さらには300μm以下であることが好ましい。接着剤層11の厚さが10μm以上であることで、接着剤層11を半導体チップの周囲に効果的に埋め込むことができる。また、接着剤層11の厚さが500μm以下であることで、封止後のチップを保護する効果を良好に得ることができる。
2.剥離シート
本実施形態に係る封止シート1は、剥離シート12を備えていてもよい。剥離シート12の構成は任意であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらの剥離面(封止シート1の接着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離剤が挙げられる。
本実施形態に係る封止シート1は、剥離シート12を備えていてもよい。剥離シート12の構成は任意であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらの剥離面(封止シート1の接着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離剤が挙げられる。
剥離シート12の厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。
3.封止シートの製造方法
本実施形態に係る封止シート1は、従来の封止シートと同様に製造することができる。例えば、接着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シート12の剥離面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより封止シート1を製造することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、接着剤層11を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。剥離シート12は工程材料として剥離してもよいし、封止に使用するまでの間、接着剤層11を保護していてもよい。
本実施形態に係る封止シート1は、従来の封止シートと同様に製造することができる。例えば、接着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シート12の剥離面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより封止シート1を製造することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、接着剤層11を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。剥離シート12は工程材料として剥離してもよいし、封止に使用するまでの間、接着剤層11を保護していてもよい。
また、封止シート1の両面に剥離シート12がそれぞれ積層された積層体の製造方法としては、前述の剥離シート12の剥離面上に塗工液を塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させて接着剤層11と剥離シート12とからなる積層体を形成し、この積層体の接着剤層11における剥離シート12とは反対の面を他の剥離シート12の剥離面に貼付して、剥離シート12/接着剤層11/剥離シート12からなる積層体を得ることができる。この積層体における剥離シート12の少なくとも一方は工程材料として剥離してもよいし、封止に使用するまでの間、接着剤層11を保護していてもよい。なお、上記溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンの有機溶媒等が挙げられる。
〔半導体装置の製造方法〕
本実施形態に係る封止シート1を使用して、半導体装置を製造することができる。特に、この製造方法は、封止シート1を使用して、半導体チップを封止する工程を含む。このような半導体装置の製造方法の例としては、基板内に内蔵される半導体チップを封止する工程を含む、チップ内蔵基板を製造する方法や、粘着シート上において半導体チップを封止する工程を含む方法が挙げられる。具体的には、以下に説明する第1の態様および第2の態様に係る半導体装置の製造方法が挙げられる。
本実施形態に係る封止シート1を使用して、半導体装置を製造することができる。特に、この製造方法は、封止シート1を使用して、半導体チップを封止する工程を含む。このような半導体装置の製造方法の例としては、基板内に内蔵される半導体チップを封止する工程を含む、チップ内蔵基板を製造する方法や、粘着シート上において半導体チップを封止する工程を含む方法が挙げられる。具体的には、以下に説明する第1の態様および第2の態様に係る半導体装置の製造方法が挙げられる。
1.第1の態様に係る半導体装置の製造方法
第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、基材の少なくとも一方の面上に半導体チップを設ける工程(以下、第1の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、当該基材における当該半導体チップが設けられた面側に、本実施形態に係る封止シートにおける接着剤層を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、および当該接着剤層を硬化することで、当該接着剤層が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップと、基材とを備えるチップ内蔵基板を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)を含む。
第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、基材の少なくとも一方の面上に半導体チップを設ける工程(以下、第1の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、当該基材における当該半導体チップが設けられた面側に、本実施形態に係る封止シートにおける接着剤層を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、および当該接着剤層を硬化することで、当該接着剤層が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップと、基材とを備えるチップ内蔵基板を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)を含む。
図2には、第1の態様に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する断面図が示される。この例では、図2(a)に示されるように、準備工程として、基材3の両面上に半導体チップ2が設けられる。本実施形態では、基材3の一方の面に設けられた半導体チップ2と、基材3の他方の面に設けられた半導体チップ2とが、基材3を平面視した場合に重ならない位置に設けられている。基材3上に半導体チップ2を設ける手法は特に限定されず、一般的な手法を採用することができる。例えば、ピックアップ装置を用いて、半導体チップ2が基材3の所定の位置に載置される。半導体チップ2は、粘着剤、接着剤等を使用して、基材3上に固定されてもよい。基材3の材料としては、チップ内蔵基板の製造に一般的に使用される基材を使用することができる。
続いて、図2(b)に示されるように、積層工程として、基材3の両面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11が積層される。当該積層により、基材3上に設けられた半導体チップ2は、接着剤層11により覆われる。接着剤層11を積層する際、封止シート1における剥離シート12とは反対側の面を基材3に積層した後、剥離シート12を接着剤層11から剥離する。接着剤層11を積層する際には、半導体チップ2の周囲に空間が生じないように積層することが好ましい。
次に、図2(c)に示されるように、硬化工程として、接着剤層11を硬化して、硬化層11’を形成する。当該硬化は、接着剤層11を加熱することにより行うことが好ましい。当該硬化により、硬化層11’と、硬化層11’により封止された半導体チップ2と、基材3とを備えるチップ内蔵基板4が得られる。本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11は、所定の温度に加熱されるまで硬化反応が開始されないため、意図しない段階における接着剤層11の硬化を抑制することができ、熱硬化に関して優れた保存安定性を達成することができる。さらに、接着剤層11において、所定の温度まで加熱されることにより硬化反応が開始された場合には、当該硬化反応が迅速に進行し、短時間で半導体チップ2を封止することができるため、半導体装置の製造方法全体の時間を短縮することが可能となり、半導体装置の生産性を向上させることができる。
上記硬化工程に続いて、チップ内蔵基板4に電極を形成する工程を行ってもよい。例えば、硬化層11’における基材3とは反対の面にレーザーを照射して、硬化層11’を貫通し、半導体チップ2の表面まで達する孔を形成する。その後、当該孔を形成した面に銅を用いたメッキ処理を行うことで、当該孔に銅を埋め込み、さらに、不要な銅をエッチング等により除去することにより、半導体チップ2と外部とを電気的に接続する電極を形成することができる。
このようにして得られるチップ内蔵基板4では、所定の半導体チップ2が内部に埋め込まれている分、基板表面に実装される半導体チップの数を減らすことができるため、基板の表面積を縮小することができる。すなわち、基板の小型化が可能となる。また、導体チップや半導体デバイスといった全ての電子部品を基板表面に実装する場合と比較して、内蔵される半導体チップと、表面に実装される電子部品との間の配線の長さを短縮することができ、これにより、電気特性を向上できるとともに、実装後の基板における電子部品の高密度化も可能となる。
2.第2の態様に係る半導体装置の製造方法
第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、粘着シート上に半導体チップを設ける工程(以下、第2の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、当該粘着シートにおける当該半導体チップが設けられた面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、当該接着剤層11を硬化することで、当該接着剤層11が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップとを備える封止体を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)、および当該封止体から当該粘着シートを剥離する工程(以下、当該方法について「剥離工程」という場合がある。)を含む。
第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、粘着シート上に半導体チップを設ける工程(以下、第2の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、当該粘着シートにおける当該半導体チップが設けられた面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、当該接着剤層11を硬化することで、当該接着剤層11が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップとを備える封止体を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)、および当該封止体から当該粘着シートを剥離する工程(以下、当該方法について「剥離工程」という場合がある。)を含む。
図3には、第2の態様に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する断面図が示される。この例では、図3(a)に示されるように、準備工程として、粘着シート5の片面上に半導体チップ2が設けられる。粘着シート5上に半導体チップ2を設ける手法は、特に限定されず、一般的な手法を採用することができる。例えば、ピックアップ装置を用いて、半導体チップ2が粘着シート5の所定の位置に載置される。この場合、粘着シート5の粘着性を有する面上に半導体チップ2を設けることが好ましい。粘着シート5としては、当該シートが発揮する粘着力によって、当該シート上に半導体チップ2を固定できるものであれば特に限定されず、基材と、当該基材に積層された粘着剤層とからなるものであってよく、または、自己粘着性を有する基材であってもよい。また、このような基材および粘着剤層は、後述する硬化工程における加熱に耐えうる耐熱性を有することが好ましい。さらに、粘着剤層は、エネルギー線硬化性であることが好ましい。これにより、エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させ、粘着シート5の粘着力を低下させることが可能となる。その結果、後述する剥離工程において、封止体6から粘着シート5を剥離することが容易となる。
続いて、図3(b)に示されるように、積層工程として、粘着シート5における半導体チップ2が設けられた面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11が積層される。当該積層により、粘着シート5上に設けられた半導体チップ2は、接着剤層11により覆われる。接着剤層11を積層する際、封止シート1における剥離シート12とは反対側の面を粘着シート5に積層した後、剥離シート12を接着剤層11から剥離する。接着剤層11を積層する際には、半導体チップ2の周囲に空間が生じないように積層することが好ましい。
次に、図3(c)に示されるように、硬化工程として、接着剤層11を硬化して、硬化層11’を形成する。当該硬化は、接着剤層11を加熱することにより行うことが好ましい。当該硬化により、硬化層11’と、硬化層11’により封止された半導体チップ2とを備える封止体6が得られる。本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11は、所定の温度に加熱されるまで硬化反応が開始されないため、意図しない段階における接着剤層11の硬化を抑制することができ、熱硬化に関して優れた保存安定性を達成することができる。さらに、接着剤層11において、所定の温度まで加熱されることにより硬化反応が開始された場合には、当該硬化反応が迅速に進行し、短時間で半導体チップ2を封止することができるため、半導体装置の製造方法全体の時間を短縮することが可能となり、半導体装置の生産性を向上させることができる。
次に、図3(d)に示されるように、剥離工程として、封止体6から粘着シート5が剥離される。前述の通り、粘着シート5がエネルギー線硬化性を有する粘着剤層を備える場合、剥離の前に、粘着剤層に対してエネルギー線を照射して、硬化させることで、粘着シート5の粘着力を低下させ、当該剥離を容易に行うことが可能となる。
上記剥離工程に続いて、封止体6をさらに加工する工程を行ってもよい。例えば、粘着シート5を剥離することで露出した半導体チップ2の面を、本実施形態に係る封止シート1やその他の封止材を使用して、さらに封止してもよい。また、封止体6に対して、電極を形成してもよく、この場合、チップ内蔵基板4に電極を形成する場合と同様の手法により、電極を形成することができる。第2の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置として、ファンアウト型ウエハレベルパッケージといった半導体パッケージ等を製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例および試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜2および比較例1〕
表1に示す構成成分を混合し、メチルエチルケトンにて希釈して、固形分濃度が40質量%である接着剤組成物塗工液を得た。当該塗工液を、片面がシリコーン剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離面上に塗布し、得られた塗膜をオーブンにて100℃で1分間乾燥することで、厚さ50μmの接着剤層と剥離フィルムとからなる封止シートを得た。
表1に示す構成成分を混合し、メチルエチルケトンにて希釈して、固形分濃度が40質量%である接着剤組成物塗工液を得た。当該塗工液を、片面がシリコーン剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離面上に塗布し、得られた塗膜をオーブンにて100℃で1分間乾燥することで、厚さ50μmの接着剤層と剥離フィルムとからなる封止シートを得た。
〔試験例1〕(示差走査熱量分析)
実施例および比較例で作製した封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、昇温速度10℃/分で50℃から300℃まで加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークについて、当該ピークが生じ始めるときの温度を反応開始温度(℃)として得た。その結果を表2に示す。
実施例および比較例で作製した封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、昇温速度10℃/分で50℃から300℃まで加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークについて、当該ピークが生じ始めるときの温度を反応開始温度(℃)として得た。その結果を表2に示す。
〔試験例2〕(保存安定性の評価)
実施例および比較例で作製した直後の封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。このようにして得られた直後の測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、昇温速度10℃/分で50℃から300℃まで加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークの面積から反応熱を算出し、算出した反応熱をH0とした。
実施例および比較例で作製した直後の封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。このようにして得られた直後の測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、昇温速度10℃/分で50℃から300℃まで加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークの面積から反応熱を算出し、算出した反応熱をH0とした。
さらに、上記と同様に得られた測定サンプルを23℃環境下で1ヶ月保管した後、上記と同様に接着剤層の反応熱を測定し、算出した反応熱をH1とした。
得られた反応熱H0およびH1を利用して、下記式(3)
((H0−H1)/H0)×100=H2 … (3)
からH2を算出し、その値が10%以下となったものを「〇」、10%を超えたものを「×」として、保存安定性を評価した。結果を表2に示す。
((H0−H1)/H0)×100=H2 … (3)
からH2を算出し、その値が10%以下となったものを「〇」、10%を超えたものを「×」として、保存安定性を評価した。結果を表2に示す。
〔試験例3〕(硬化完了までの時間の測定)
実施例および比較例で作製した封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、200℃で所定の時間加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークが消失した時間を測定し、これを硬化完了までの時間(分)とした。結果を表2に示す。
実施例および比較例で作製した封止シートを使用して、接着剤層を複数積層することにより、厚さ15mmの測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製,製品名「Q2000」)を用いて、200℃で所定の時間加熱した。これによりDSC曲線を取得し、接着剤層の硬化反応に起因して生じるピークが消失した時間を測定し、これを硬化完了までの時間(分)とした。結果を表2に示す。
ここで、表1に示す構成成分の詳細は以下の通りである。
[熱可塑性樹脂]
BisA型フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER1256」)
[熱硬化性樹脂]
BisA型エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER828」)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製,製品名「NC−3000−L」)
ナフタレン型エポキシ樹脂:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製,製品名「HP−4700」)
ビフェニル型フェノール:ビフェニル型フェノール(明和化成社製,製品名「MEHC−7851−SS」)
[複合化合物/硬化触媒]
包接触媒1:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが5−ヒドロキシイソフタル酸により包接されてなる複合化合物(日本曹達社製,製品名「HIPA−2P4MHZ」,イミダゾール含有量:5−ヒドロキシイソフタル酸1モルに対して1モル)
包接触媒2:2−エチル−4−メチルイミダゾールが5−ヒドロキシイソフタル酸により包接されてなる複合化合物(日本曹達社製,製品名「HIPA−2E4MZ」,イミダゾール含有量:5−ヒドロキシイソフタル酸1モルに対して1.0モル)
イミダゾール系熱硬化触媒:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(四国化成社製,製品名「2MZA」)
[無機フィラー]
シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SC2050MA」,平均粒子径:500nm)
[熱可塑性樹脂]
BisA型フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER1256」)
[熱硬化性樹脂]
BisA型エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER828」)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製,製品名「NC−3000−L」)
ナフタレン型エポキシ樹脂:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製,製品名「HP−4700」)
ビフェニル型フェノール:ビフェニル型フェノール(明和化成社製,製品名「MEHC−7851−SS」)
[複合化合物/硬化触媒]
包接触媒1:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが5−ヒドロキシイソフタル酸により包接されてなる複合化合物(日本曹達社製,製品名「HIPA−2P4MHZ」,イミダゾール含有量:5−ヒドロキシイソフタル酸1モルに対して1モル)
包接触媒2:2−エチル−4−メチルイミダゾールが5−ヒドロキシイソフタル酸により包接されてなる複合化合物(日本曹達社製,製品名「HIPA−2E4MZ」,イミダゾール含有量:5−ヒドロキシイソフタル酸1モルに対して1.0モル)
イミダゾール系熱硬化触媒:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(四国化成社製,製品名「2MZA」)
[無機フィラー]
シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SC2050MA」,平均粒子径:500nm)
表2から分かるように、実施例で得られた封止シートは、硬化反応に関する保存安定性に優れ、硬化反応が開始した場合には、短時間で硬化反応が完了した。
本発明に係る封止シートは、熱硬化に関する保存安定性に優れるとともに、接着剤層を短時間で硬化させることができるため、チップ内蔵基板やファンアウト型ウエハレベルパッケージといった半導体装置の製造に好適に利用することができる。
1…封止シート
11…接着剤層
11’…硬化層
12…剥離シート
2…半導体チップ
3…基材
4…チップ内蔵基板
5…粘着シート
6…封止体
11…接着剤層
11’…硬化層
12…剥離シート
2…半導体チップ
3…基材
4…チップ内蔵基板
5…粘着シート
6…封止体
Claims (7)
- 前記接着剤層は、示差走査熱量分析法により測定される反応開始温度が、120℃以上、250℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の封止シート。
- 前記イミダゾール系硬化触媒は、下記式(2)の構造を有する化合物
[式(2)中、R1は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基またはシアノエチル基を示す。R2〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を示す。]
であることを特徴とする請求項1または2に記載の封止シート。 - 前記複合化合物中における前記イミダゾール系硬化触媒の含有量は、前記式(1)の構造を有する化合物1モルに対して、1.0モル以上、2.0モル以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止シート。
- 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であるか、または、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物および酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止シート。
- 基材の少なくとも一方の面上に半導体チップを設ける工程、
前記基材における前記半導体チップが設けられた面側に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止シートにおける前記接着剤層を積層する工程、および
前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップと、前記基材とを備えるチップ内蔵基板を得る工程
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 粘着シート上に半導体チップを設ける工程、
前記粘着シートにおける前記半導体チップが設けられた面側に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止シートにおける前記接着剤層を積層する工程、
前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップとを備える封止体を得る工程、および
前記封止体から前記粘着シートを剥離する工程
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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-
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