以下、添付図面を用いて本発明の減衰部材及びこれを用いた免震装置を詳細に説明する。
図1は本発明の減衰部材を適用可能な免震装置の一例を示す正面断面図である。この免震装置1は例えば建物内に配置されて、精密機器、電子機器、美術品等の免震対象物を地震から保護する目的で使用される。前記免震装置1は、建物の床面に載置される下部テーブル2と、前記免震対象物を搭載する上部テーブル3と、前記下部テーブル2に対して前記上部テーブル3をX方向及びこれと直交するY方向(図1の紙面奥行き方向)へ自在に移動させる直交案内部4とを備えている。
図2は前記直交案内部4の具体的構成を示すものである。この直交案内部4は、前記下部テーブル2上に敷設された第一の軌道レール40と、この第一の軌道レールと直交する方向に沿って前記上部テーブル3の下面側に固定された第二の軌道レール41と、これら第一の軌道レール40及び第二の軌道レール41の双方に沿って運動する複合案内体42と、を備えている。また、前記複合案内体42は、多数の転動体を介し第一の軌道レール40に組付けられた第一の移動ブロック43と、多数の転動体を介して第二の軌道レール41に組付けられる第二の移動ブロック44と、前記第一の移動ブロック43と前記第二の移動ブロック44を背面合わせで一体化する結合プレート45と、から構成されている。
前記第一の軌道レール40と前記第一の移動ブロックの組み合わせ、及び前記第二の軌道レール41と前記第二の移動ブロック44の組み合わせが、本発明の減衰装置を適用可能な転がり案内装置を構成している。
前記第一の軌道レール40及び前記第二の軌道レール41のそれぞれには長手方向に沿って転動体の転走面が複数条形成されている。一方、前記第一の移動ブロック43及び前記第二の移動ブロック44は無限循環しながら前記転走面を転走する多数の転動体を有しており、前記第一の移動ブロック43は前記第一の軌道レール40に沿って自在に移動し、前記第二の移動ブロック44は前記第二の軌道レール41に沿って自在に移動する。また、前記第一の移動ブロック43は前記第一の軌道レール40と、前記第二の移動ブロック44は前記第二の軌道レール41と、それぞれ分離不能に組み付けられている。
第一の軌道レール40の長手方向をX方向とした場合、前記第一の移動ブロック43と前記第二の移動ブロック44が一体化した前記複合案内体42は前記第一の軌道レール40に沿ってX方向に沿って移動自在であり、前記第二の移動ブロック44が組つけられた第二の軌道レール41は前記複合案内部材に対してX方向と直交するY方向へ移動自在である。これにより、前記第二の軌道レール41が固定された前記上部テーブル3は前記下部テーブル2に対してX方向及びY方向へ自在に移動可能である。
また、前記複合案内体42は前記第一の軌道レール40及び前記第二の軌道レール41と分離不能であり、例えば前記上部テーブル3を前記下部テーブル2から持ち上げる方向の荷重、すなわち浮き上がり荷重が当該上部テーブル3に作用した場合でも、前記直交案内部4は浮き上がり荷重を負荷しながら前記上部テーブル3をX方向及びY方向へ自在に案内することができる。尚、前記第一の移動ブロック43及び前記第二の移動ブロック44の耐荷重は、前記上部テーブル3に搭載する免震対象物の重量に応じて適宜選定することができる。
図3は前記免震装置1の実施形態の一例であり、前記結合プレート45から前記第二の移動ブロック44を分離し、前記下部テーブル2から上部テーブル3を取り外した状態を示す平面図である。前記下部テーブル2は長方形状に形成されており、周囲四辺には当該下部テーブル2の強度を高めるためにフランジ部20が設けられている。かかるフランジ部20には他の免震装置との連結に利用可能なボルト取付け孔を形成することも可能である。
前記下部テーブル2には2基の前記直交案内部4a,4bが配置されている。各直交案内部4a,4bの第一の軌道レール40は前記下部テーブル2の各辺と45度の角度をなすように当該下部テーブル2上に敷設されている。また、一方の直交案内部4aの第一の軌道レール40と他方の直交案内部4bの第一の軌道レール40は90度異なる向きで配置されている。また、前記上部テーブル3に固定される前記第二の軌道レール41は前記第一の軌道レール40と直交して配置されており、参考のために図3中では当該第二の軌道レール41を一点鎖線で描いてある。
また、前記結合プレート45と前記下部テーブル2との間にはコイルスプリングからなる複数の下側弾性部材6aが設けられている。前記下側弾性部材6aは長手方向が前記第一の軌道レール40と直交する方向に合致しており、前記複合案内体42が前記第一の軌道レール40の長手方向の中央位置に存在する際に、最も張力が軽減するように張り渡されている。従って、前記下側弾性部材6aは、前記複合案内体42が前記第一の軌道レール40に沿って移動するのに伴い伸縮し、当該複合案内体42を前記第一の軌道レール40の長手方向の中央位置に引き戻す方向の引っ張り力を発揮する。
一方、前記転がり案内装置4の第二の軌道レール41が固定される前記上部テーブル3は前述した下部テーブル2と同一形状をなしており、前記転がり案内装置4を介して図3に示す前記下部テーブル2上に積み重ねられている。同図中に一点鎖線で示すように、前記第二の軌道レール41は前記第一の軌道レール40と直交しており、これら第二の軌道レール41と第一の軌道レール40との交点に前記複合案内体42が存在している。
また、前記結合プレート45と上部テーブル3との間にはコイルスプリングからなる複数の上側弾性部材6bが設けられている。前記上側弾性部材6bは長手方向が前記第二の軌道レール41と直交する方向に合致しており、前記複合案内体42が前記第二の軌道レール41の長手方向の中央位置に存在する際に、最も張力が軽減するように張り渡されている。従って、前記上側弾性部材6bは、前記第二の軌道レール41が前記複合案内体42に対して移動するのに伴って伸縮し、前記複合案内体42が当該第二の軌道レール41の長手方向の中央に位置するように前記上部テーブル3に対して引っ張り力を及ぼす。
従って、この免震装置1は前記直交案内部4、前記下側弾性部材6a及び前記上側弾性部材6bの作用によって振動系を構成しており、床面に設置された下部テーブル2に対して当該床面から振動が作用した際に、前記上部テーブル3が下部テーブル2と異なる周期でX方向及びY方向へ自由に振動することが可能となっている。
尚、図3に示す例では、前記第一の軌道レール40の両側に下側弾性部材6aを2本ずつ、前記第二の軌道レール41の両側に上側弾性部材6bを2本ずつ、配置したが、これら弾性部材6a,6bの数は、前記上部テーブル3上に設置する免震対象物の重量や、第一の軌道レール40及び第二の軌道レール41に対する前記複合案内体42の移動抵抗等を考慮し、適宜変更して差し支えない。
図4は、前記第一の軌道レール40と前記第一の移動ブロック43の組み合わせである転がり案内装置の一例を示すものであり、本発明の減衰部材が装着されている。前記第二の軌道レール41と前記第二の移動ブロック44の組み合わせも、これら第一の軌道レール40と第一の移動ブロック43の組み合わせと同じである。従って、以下の説明では第一の軌道レール40及び第二の軌道レール41を区別することなく「軌道レール40」と言い、第一の移動ブロック43及び第二の移動ブロック44を区別することなく「移動ブロック43」と言う。
この転がり案内装置は、直線状に延びる軌道レール40と、ボールやローラ等の多数の転動体を介して前記軌道レール40に組付けられた移動ブロック43と、前記移動ブロック43に装着された減衰部材5と、を備えている。前記軌道レール40は各種機械装置の固定部に敷設される一方、前記移動ブロック43には搬送対象となる各種の可動体が搭載され、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に沿って移動することにより、前記可動体を前記固定部上で往復移動自在に案内することができる。
前記軌道レール40は略断面四角形状の長尺体に形成されている。この軌道レール40には長手方向に所定の間隔をおいて上面から底面に貫通するボルト取付け孔12が複数形成されており、これらボルト取付け孔12に挿入した固定ボルトを用いて、当該軌道レール40を固定部に対して強固に固定することができるようになっている。前記軌道レール40には転動体の転走面13が複数条ずつ設けられている。
一方、前記移動ブロック43は前記多数の転動体が循環する無限循環路を複数備えており、各無限循環路は前記軌道レール40の各転走面13に対応している。前記多数の転動体が前記軌道レール40と前記移動ブロック43の間で荷重を負荷しながら転動することにより、前記移動ブロック43は僅かな摺動抵抗で前記軌道レール40の長手方向に沿って自在に移動することが可能である。
図5は前記減衰部材5を前記移動ブロック43から分離した状態を示す斜視図である。前記減衰部材5は、前記軌道レール40に接する摩擦部材50と、前記摩擦部材50を前記軌道レール40に押圧すると共に当該摩擦部材50を前記移動ブロック43と一体化する固定ホルダ51と、を備えている。前記減衰部材5は前記移動ブロック43と共に前記軌道レール40に沿って移動し、前記摩擦部材50が前記軌道レール40に摺接することで、前記移動ブロック43の運動に対してそれを押しとどめる方向の抵抗力を発揮する。
図6は前記摩擦部材50を示すものである。前記摩擦部材50は前記軌道レール40の両側面に当接する一対の摺接パッド50aを有すると共に、前記ボルト取付け孔12が形成された軌道レール40の上面に対して当接する受圧板50bを有している。これら摺接パッド50a及び受圧板50bは帯部によって互いに連結されており、合成樹脂の射出成形によって一体に形成されている。前記帯部は自在に屈曲させることが可能であり、当該帯部を屈曲させることによって、前記受圧板50bに対する各摺接パッド50aの傾斜角度を自由に変更し、前記一対の摺接パッド50aのそれぞれを前記軌道レール40の側面に的確に当接させることができる。尚、図6は前記摩擦部材50を展開した状態を示しており、実際に当該摩擦部材50を前記軌道レール40に対して装着する際には、前記一対の摺接パッド50aが前記軌道レール40の側面に対応するよう、当該摺接パッド50aを下方へ折り曲げて使用する。尚、図6に示した摩擦部材50においては、前記一対の摺接パッド50aが前記受圧板50bを介して一体に成形されているが、各摺接パッド50aを別々に成形してもよい。
一方、図7は前記固定ホルダ51を示すものである。前記固定ホルダ51は金属薄板を折り曲げて形成したものであり、前記摩擦部材50の上から前記軌道レール40に被さる保持部52を有している。前記保持部52は、前記摩擦部材50の受圧板50bに重ねて配置されるベース板52aと、前記ベース板52aから屈曲して前記摺接パッド50aを前記軌道レール40の側面に向けて押し付ける一対の押圧板52bを有している。前記一対の押圧板52bは板ばねとして作用し、前記軌道レール40を挟み込むことによって、前記一対の摺接パッド50aを前記軌道レールの側面に圧接させる。尚、前記押圧板52bの先端には外側に向けて折り返されたフランジ部52cが設けられているが、このフランジ部52cは前記保持部52を前記軌道レール40に被せる際に、治具の係合部位として使用される。
また、前記固定ホルダ51は前記保持部52から延びる一対の連結アーム53を有している。これら連結アーム53は軌道レール40の長手方向に伸びており、これら一対の連結アーム53の間隔は前記移動ブロック43の横幅に対応している。また、前記一対の連結アーム53は板ばねの如く可撓性を有しおり、これら連結アーム53の先端には当該連結アーム53を内側に向けて折り返された係止爪54が設けられている。
このため、図5に示す状態、すなわち前記固定ホルダ51が前記摩擦部材50の上から前記軌道レール40に装着された状態で、前記移動ブロック43を前記固定ホルダ51に向けて移動させると、前記係止爪54が前記移動ブロック43に当接して前記一対の連結アーム53が押し拡げられ、当該一対の連結アーム53の間に当該移動ブロック43が収容される。前記一対の連結アーム53は可撓性を有しているので、前記係止爪54が前記移動ブロック43を通過すると、当該係止爪54は前記移動ブロック43の端面に引っかかり、前記一対の連結アームが前記移動ブロックを抱え込んだ状態となる。これによって図4に示すように前記固定ホルダ51と前記移動ブロック43が一体化される。尚、前記固定ホルダ51は、前記軌道レール40に対する前記移動ブロック43の移動方向の前後どちらからでも、当該移動ブロック43に対して結合することが可能である。
前記移動ブロック43が前記軌道レール40上を前記減衰部材5の方向(図4中の矢線A方向)へ移動する場合、前記固定ホルダは前記移動ブロックによって押圧されて、前記軌道レール上を移動する。一方、前記移動ブロック43が前記軌道レール40上を前記減衰部材5と反対方向(図4中の矢線B方向)へ移動する場合、前記固定ホルダ51は前記一対の連結アーム53を介して前記移動ブロック43に引っ張られ、前記軌道レール40上を移動する。
一方、図6に示すように、前記摩擦部材50の各摺接パッド50aの一端には肉厚部50cが設けられており、前記肉厚部50cは前記軌道レール40の長手方向に関して前記固定ホルダ51の押圧板52bと前記移動ブロック43との間に位置している。このため、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に沿って前記減衰部材5の方向(図4中の矢線A方向)へ移動する場合には、前記移動ブロック43が前記肉厚部50cを介して前記固定ホルダ51を押圧することになり、各摺接パッド50aは当該固定ホルダ51と一緒に前記軌道レール40上を矢線A方向へ移動する。一方、前記移動ブロック43が前記軌道レール40上を前記減衰部材5と反対方向(図4中の矢線B方向)へ移動する場合には、前記移動ブロックによって引っ張られる前記固定ホルダ51が前記肉厚部50cを押圧し、各摺接パッド50aは当該固定ホルダ51と一緒に前記軌道レール40上を矢線B方向へ移動する。
また、前記摩擦部材50の受圧部50bには位置決め突部50dが設けられており、固定ホルダ51のベース板52aには前記位置決め突部50dが嵌合する切欠き部52dが設けられている。前記位置決め突起50dは前記摺接パッド50aの肉厚部50cと同様に機能し、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に沿って移動する際に、当該移動ブロック又は前記固定ホルダによって押圧されて、前記摩擦部材の受圧板50bを軌道レールに沿って押し引きする。
このため、図5に示した減衰部材5では、前記固定ホルダ51の保持部52を前記摩擦部材50に対して被せさえすれば、前記移動ブロック43の動きに合わせて前記摩擦部材50を軌道レール40に対して摺接させることができ、簡単な構成で前記摩擦部材50と前記固定ホルダ51とを一体化することが可能である。
図8は前記減衰部材5が装着された前記移動ブロック43を前記軌道レール40の長手方向から観察した正面図である。図示した転がり案内装置では、前記軌道レール40の側面に凹部が形成されており、前記軌道レール40の側面には僅かに下方に向いた傾斜面14が設けられている。前記摩擦部材50の摺接パッド50aは前記下向き傾斜面14に当接している。前記固定ホルダ51の押圧板52bは前記摺接パッド50aをその背後から前記下向き傾斜面14に向けて付勢しており、これによって当該摺接パッド50aは前記軌道レール40の側面に圧接している。
また、前記固定ホルダ51の一対の押圧板52bは前記一対の摺接パッド50aを前記軌道レール40の下向き傾斜面14に対して僅かに上向きに押圧しているので、その反力によって前記固定ホルダ51のベース板52aは前記摩擦部材50の受圧板50bを軌道レール40に向けて押圧することになる。すなわち、図示した実施形態では前記摩擦部材50の前記一対の摺接パッド50a及び前記受圧板50bが三方向から前記軌道レール40に圧接することとなり、前記受圧板50bも摩擦力を発揮する摺接パッドとして機能する。
このため、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に沿って移動する際には、前記減衰部材5と軌道レール40との間に作用する摩擦力が当該移動ブロック43の移動を押しとどめる抵抗力として作用する。すなわち、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に対して停止している状態では、前記減衰部材5が前記軌道レール40の長手方向に関する静的剛性を転がり案内装置に与え、前記移動ブロック43が前記軌道レール40に対して運動している状態では、前記減衰部材5が移動ブロック43の運動エネルギを熱エネルギに変換して消費する。
前記減衰部材5の摩擦部材50と前記軌道レール40との間に作用する摩擦力の大きさは、当該摩擦部材50の材質、前記摺接パッド50a及び前記受圧板50bと前記軌道レール40との接触面積、前記固定ホルダ51の押圧板52bのばね力を変更することにより、任意に設定することが可能である。従って、本発明の減衰部材には転がり案内装置の用途に応じて必要とされる減衰力を任意に与えることができる。
そして、本発明の減衰部材5は、前記摩擦部材50及び固定ホルダ51を前記軌道レール40に装着した後、前記固定ホルダ51を前記移動ブロック43に向けて押し込む単純な動作で、当該移動ブロック43と一体化することができる。このため、前記移動ブロック43にテーブル等の可動体が固定された状態のまま、当該移動ブロック43に本発明の減衰部材5を装着することができ、既に使用されている転がり案内装置に対して減衰部材を容易に追加することが可能となる。
また、本発明の減衰部材5は、図8から明らかなように、前記軌道レール40に対する前記移動ブロック43の移動経路内に重なって配置され、転がり案内装置の周囲に追加のスペースを必要としないので、この点においても既に使用されている転がり案内装置に対して減衰部材5を容易に追加することが可能となる。
尚、図示した実施形態では前記摩擦部材50が前記軌道レール40に対して三方向から圧接する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記摩擦部材50が前記軌道レール40に対していずれかの一方向からのみ圧接するものであってもよい。
図1乃至図3に示した免震装置1の直交案内部4に対して図4の転がり案内装置を使用した場合、前記上部テーブル3が下部テーブル2に対してX方向及びY方向へ振動すると、前記減衰部材5の前記摩擦部材50と前記第一の軌道レール40又は前記第二の軌道レール41との間に摩擦抵抗が生じ、当該摩擦抵抗は下部テーブル2に対する上部テーブル3の移動を押し止める力として作用する。これによって下部テーブル2に対する上部テーブル3の振動が減衰される。
すなわち、前記上部テーブル3が前記下部テーブル2に対して振動すると、かかる振動が前記第一の移動ブロック43と前記第二の移動ブロック44に装着された前記減衰部材5によって減衰され、床面から前記下部テーブル2に作用する振動が収まり次第、前記下部テーブル2に対する前記上部テーブル3の振動を早期に収束させることが可能である。
前記減衰部材5は前記下部テーブル2に対する前記上部テーブル3の移動を押し止める力を発揮することから、当該減衰部材5は前記下部テーブル2に対する前記上部テーブル3の静的剛性を高める機能を発揮する。そのため、前記摩擦部材50の変更や前記弾性部材52のばね係数の変更によって、この免震装置1の静的剛性を任意に設定することが可能であり、僅かな力が作用しただけで前記上部テーブル3が前記下部テーブル2に対して変位してしまうといった不具合を克服することが可能である。
また、前述したように前記減衰部材5は転がり案内装置の周囲に追加のスペースを必要とすることなく装着することが可能である。しかも、前記摩擦部材50及び固定ホルダ51を軌道レールに装着しさえすれば、減衰部材5を容易に移動ブロックに結合して使用開始することが可能である。このため、入力された振動に対する減衰要素を有していない、あるいは減衰力の不足している既存の免震装置1に対して簡便に追加し、過大な振動の入力に対して前記上部テーブル3が前記下部テーブル2に対して最大振幅で振動するのを防止し、当該上部テーブル3の挙動を適切に制御することが可能である。