JP2018145289A - アンカーコート剤 - Google Patents

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紘平 直江
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Wataru Koshimizu
渉 小清水
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Abstract

【課題】本発明は、基材や被着体との剥離強度に優れ、耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施した後にも剥離強度を保持できるアンカーコート剤の提供を目的とする。【解決手段】複素環含有樹脂(A)と、硬化剤(B)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)とを含み、前記複素環が炭素−炭素二重結合を有する、アンカーコート剤。なお、前記複素環含有樹脂(A)中の複素環の官能基当量は50,000以下が好ましい。また、さらに顔料を含み、前記顔料は、体質顔料および着色顔料からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール等の作製に使用するアンカーコート剤に関する。
太陽電池(太陽光発電)は、通常、太陽電池素子の両面に封止材、保護材、順に積層した太陽電モジュールとして構成されている。前記保護材の代表的な例としてはガラス板や太陽電池保護シート(以下「保護シート」ともいう)等が挙げられる。ガラス板は、透明性、耐候性、耐擦傷性に非常に優れるが、コストや安全性、加工性の面に問題がある。一方、保護シートは、コストや安全性、加工性の面に優れるため、様々な態様の保護シートが提案されている(例えば、特許文献1)。また、封止材は、透明性が高く、耐湿性が優れているエチレン−酢酸ビニル共重合体(Ethylene−Vinyl Acetate copolymer、以下「EVA」という)が通常用いられている。
保護シートには、様々な性能が求められており、その中でも封止材との剥離強度、およびその剥離強度を保つ接着耐久性は重要な性能である。封止材との剥離強度が不十分であると、保護シートが剥がれ、太陽電池素子を水分や外的要因から保護できなくなり、太陽電池の出力が低下する。
封止材との剥離強度を確保する方法として、(1)保護シートの封止材と接する面にアンカーコート剤を塗布する方法や、(2)保護シートの封止材と接する面に、封止材との剥離強度の高いフィルムを使用する方法が挙げられるが、コストや効率の観点から近年では上記(1)の方法が注目されている。
アンカーコート剤としてはさまざまな種類が知られているが、例えば特許文献2には、側鎖の末端にエチレン性不飽和二重結合を有するビニル系重合体を含むアンカーコート剤が開示されている。
アンカーコート剤の耐久性を評価する方法としては、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気に曝すダンプヒート試験や、温度121℃、相対湿度100%の雰囲気に曝すプレッシャークッカー試験、特定の波長の紫外線を照射する光照射試験、−40℃の低温と85℃の高温環境に交互に曝す温度サイクル試験などが知られている。しかしながら近年では、屋外の厳しい環境を再現させるために、これらの試験を複合させた複合試験が実施されつつある。
特開2004−200322号公報 特開2013−071948号公報
従来のアンカーコート剤は、ダンプヒート試験やプレッシャークッカー試験、光照射試験、温度サイクル試験などの単独の耐久性試験には耐え得るが、これらを組み合わせた複合試験では剥離強度が低下する問題があった。
本発明は、基材や被着体との剥離強度に優れ、耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施した後にも剥離強度を保持できるアンカーコート剤の提供を目的とする。
本発明のアンカーコート剤は、複素環含有樹脂(A)と、硬化剤(B)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)とを含み、前記複素環が炭素−炭素二重結合を有する。
本発明により基材や被着体との剥離強度に優れ、耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施した後にも剥離強度を保持できるアンカーコート剤を提供できる。
太陽電池用モジュールの断面図。
本明細書において「フィルム」および「シート」は、同義語である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」は、「アクリル系共重合体」、「メタクリル系共重合体」、「アクリル系−メタクリル系共重合体」を包含する。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」、「メタクリロイル」を包含する。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」「メタクリル」を包含する。また、被着体は、樹脂層が形成された基材を貼り合わせる相手方をいう。
本発明のアンカーコート剤は、複素環含有樹脂(A)と、硬化剤(B)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)を含み、前記複素環が炭素−炭素二重結合を有する。アンカーコート剤は、基材上に塗工して樹脂層を形成する。そして、樹脂層付基材は、被着体と貼り合わせることで高い剥離強度が得られる。被着体は、各種プラスチック素材が好ましいところ、太陽電池封止材に用いられるEVAやポリオレフィンフィルムであることが好ましい。
本発明で用いる複素環含有樹脂(A)(以下「樹脂(A)」という。)は、複素環内に炭素−炭素二重結合を有する樹脂である。樹脂(A)と硬化剤(B)、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)を配合したアンカーコート剤は、被着体と加熱圧着する際にラジカル架橋する被着体(例えば、太陽電池封止材のEVAシート)との剥離強度に優れることに加え、耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施した後にも剥離強度を保持できるという驚くべき効果を有する。なお、被着体が過酸化物等のラジカル架橋成分を含まない場合であっても、アンカーコート剤がラジカル架橋成分を含むことで被着体との間に良好な剥離強度が得られる。
炭素−炭素二重結合を有する複素環は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選択される1種以上を含む複素環が好ましく、例えばピロール、フラン、チオフェン、ピリジン、アゼピン、オキセピン、チエピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール等が挙げられる。これらの中でも酸素原子または窒素原子を含む5員環の複素環が好ましく、フランがより好ましい。
樹脂(A)の種類としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン等が好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーを重合することで合成できる。(メタ)アクリル系モノマーは、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、その他ビニルモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有モノマーは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
グリシジル基含有モノマーは、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
その他ビニルモノマーは、例えば酢酸ビニル、無水マレイン酸、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル、スチレン等の(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法は、通常のラジカル重合、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合等の公知の重合法が使用できる。これらの方法の中でも溶液重合が好ましい。重合反応に使用する重合開始剤は、有機過酸化物、アゾ系開始剤等が好ましい。有機過酸化物は、例えばベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。アゾ系開始剤は、例えばアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
ポリエステルは、カルボン酸成分と水酸基成分とを常法に従い反応(エステル化反応、エステル交換反応)させて合成できる。
前記カルボン酸成分は、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラクロル無水フタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、ε−カプロラクトン、脂肪酸等が挙げられる。
前記水酸基成分は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分の他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多官能アルコールが挙げられる。
ポリウレタンは、イソシアネート化合物と水酸基成分を常法に従い反応させることで合成できる。
イソシアネート化合物は、例えばトリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネート、ならびにこれらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ならびにこれらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、ならびにこれらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネート等が挙げられる。
ポリウレタンを構成する水酸基成分は、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ならびにこれらのポリオールとジイソシアネートとの反応物であるポリウレタンポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、例えば前記ポリエステルで説明した中の分子末端に水酸基を有するポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールのような2個以上の水酸基を有する化合物や水などを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させて合成したポリエーテルポリオール等が挙げられる。具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2 以上の化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、(1)エチレングリコール、プロピレングリコールのような2個以上の水酸基を有する化合物と炭酸エステルとの反応生成物、(2)エチレングリコール、プロピレングリコールのような2個以上の水酸基を有する化合物にアルカリの存在下でホスゲンを反応させた化合物等が挙げられる。
前記(1)の製法で用いる炭酸エステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
ポリウレタンを合成する際に公知の触媒を使用できる。触媒は、例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
三級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N, N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物は、例えば、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物は、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物は、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ポリオレフィンは、エチレン性モノマーを、ラジカル重合する公知の方法で合成できる。ポリオレフィンは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマー(共重合体)であってもよく、コポリマー(共重合体)であることが好ましい。
エチレン性モノマーは、例えばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のオレフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。エチレン性モノマーは、単独または2種類以上を併用できる。
ポリオレフィンの市販品は、例えば、「ユニストール」(三井化学社製)、「アウローレン」(日本製紙ケミカル社製)等が挙げられる。
樹脂(A)は、例えば、公知の方法で樹脂に水酸基と反応可能な官能基を付与し、前記官能基に炭素−炭素二重結合を有する複素環および水酸基を有する化合物(a)と反応させることで合成できる。なお、本発明では、合成経路の関係なく樹脂(A)を使用することが重要であるので、下記合成方法に限定されないことはいうまでもない。
前記水酸基と反応可能な官能基は、例えばイソシアネート基等が好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂にイソシアネート基を導入する方法としては、例えば(メタ)アクリル系モノマーとしてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマーを使用する方法が挙げられる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等が挙げられる。前記モノマーの市販品は、昭和電工社製のカレンズAOI、カレンズMOIなどがある。
ポリエステルにイソシアネート基を導入する方法としては、例えばカルボン酸成分と水酸基成分とを反応させてポリエステルを得る際に水酸基成分を過剰にすることで末端が水酸基のポリエステルを得、さらに末端水酸基と当量のジイソシアネートを付加する方法が挙げられる。
ポリウレタンにイソシアネート基を導入する方法としては、例えばイソシアネート化合物と水酸基成分を反応させてポリウレタンを得る際に、イソシアネート化合物の量を過剰にすることで末端がイソシアネート基のポリウレタンを得ることができる。
炭素−炭素二重結合を有する複素環および水酸基を有する化合物(a)としては、例えば2−フランメタノール(2−フリルメタノール)、3−フランメタノール、2−チオフェンメタノール、3−チオフェンメタノール等が挙げられる。
ポリオレフィンに炭素−炭素二重結合を有する複素環を含有させる方法としては、例えば無水マレイン酸変性ポリオレフィンに炭素−炭素二重結合を有する複素環および水酸基を有する化合物(a)を反応させることで合成できる。
(メタ)アクリル系樹脂に炭素−炭素二重結合を有する複素環を含有させる他の方法としては、(メタ)アクリル系モノマーに加え、フリル基を有するモノマーを共重合させることで合成できる。この方法は、合成の反応プロセスを少なくできる点で優れている。
フリル基を有するモノマーとしては、例えばフルフリルメタクリレート、フルフリルビニルエーテル、フルフリルアリルエーテル等が挙げられる。これらの中でもモノマーの安定性や重合性の観点からフルフリルメタクリレートが好ましい。
本発明において樹脂(A)の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜750,000がより好ましく、30,000〜500,000がさらに好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量が1,000,000以下になるとアンカーコート剤の塗工性がより向上する。また重量平均分子量が10,000以上になるとアンカーコート剤の耐湿熱試験後の剥離強度がより向上する。
なお、重量平均分子量は、樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電社製KF−805L、KF−803L、及びKF−802)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.02%とし、標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。本発明の重量平均分子量は、上記の方法により測定した値を記載している。
樹脂(A)中の炭素−炭素二重結合を有する複素環の量としては、その官能基当量50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましい。官能基当量が50,000以下になると被着体への密着性がより向上する。
本発明において官能基当量とは、[樹脂(A)の重量平均分子量]÷[樹脂(A)が有する官能基の個数]で計算される。換言すると、官能基一つあたりの樹脂(A)の重量平均分子量である。例えば、重量平均分子量が50,000、官能基の個数が20であれば、この官能基当量は2,500と計算できる。樹脂(A)の重量平均分子量は先述した方法で測定することができる。
樹脂(A)のガラス転移温度は−20〜100℃が好ましく、0〜90℃がより好ましく、20〜80℃がさらに好ましい。樹脂(A)のガラス転移温度が100℃以下になると基材への接着力がより向上する。また、ガラス転移温度が−20℃以上になると塗布物同士のブロッキングを抑制し易い。
なお、ガラス転移温度とは、樹脂(A)を乾燥させて不揮発分100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転移温度のことを示す。例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で、液体窒素を用いて−100℃まで急冷処理し、その後、20℃/分で200℃まで昇温し、DSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。本発明のガラス転移温度は、上記の方法により測定した値を記載している。
樹脂(A)は、硬化剤(B)と架橋可能な官能基を有することが好ましい。
前記官能基が水酸基である場合、樹脂(A)の水酸基価は0.1〜100mgKOH/gが好ましく、1〜50mgKOH/gがより好ましく、2〜30mgKOH/gがさらに好ましい。水酸基価が100mgKOH/g以下になると基材への接着性がより向上する。また、水酸基価が0.1mgKOH/g以上になると湿熱試験後の剥離強度の低下を抑制し易い。
また、前記官能基がカルボキシル基である場合、樹脂(A)の酸価は0.1〜100mgKOH/gが好ましく、1〜50mgKOH/gがより好ましく、2〜30mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が100mgKOH/g以下になると基材への接着性がより向上する。また、酸価が0.1mgKOH/g以上になると湿熱試験後の剥離強度の低下を抑制し易い。
本発明で用いる硬化剤(B)は、樹脂(A)に含まれる官能基に結合(反応)する官能基を二つ以上有する化合物であれば良く限定されない。硬化剤(B)が樹脂(A)を架橋させることで耐久性の向上、および基材への密着性が向上する。
硬化剤(B)は、例えば、樹脂(A)が水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を含有する場合、これらの官能基と反応する化合物が好ましい。硬化剤(B)は、例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、金属キレート系硬化剤、アジリジン系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤が好ましく、イソシアネート系硬化剤がより好ましい。
イソシアネート系硬化剤は、ジイソシアネート化合物として、例えば1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
また、上記ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ジイソシアネート化合物のビュレット体、上記ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、更にはイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等、3官能以上のイソシアネート系硬化剤が挙げられる。これらの中でもヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。
また、イソシアネート系硬化剤としてブロックイソシアネート系硬化剤を使用することも好ましい。これにより耐湿熱試験後の剥離強度がより向上する。
本発明のアンカーコート剤を太陽電池用保護シート用途で使用する場合、イソシアネート化合物は、ブロック化イソシアネート化合物であることが好ましい。
ブロックイソシアネート系硬化剤のブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール;アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール;3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール;1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物等が挙げられる。その他にもアミン、イミド、メルカプタン、イミン、尿素、ジアリール等も挙げられる。ブロック化剤は、単独または2種類以上を併用できる。
ブロック剤の解離温度は、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましい。ブロック剤は、例えばメチルエチルケトンオキシム(解離温度:140℃、以下同様)、3,5−ジメチルピラゾール(120℃)、ジイソプロピルアミン(120℃)等がより好ましい。
樹脂(A)が水酸基を含有し、硬化剤(B)にイソシアネート系硬化剤を用いる場合、その配合比率は樹脂(A)の水酸基に対してイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基がNCO/OH比で0.1〜10の範囲であることが好ましく、0.1〜7.5であることがより好ましく、さらには0.1〜5であることが好ましい。NCO/OH比が0.1以上であることで、樹脂(A)と硬化剤(B)を効果的に架橋でき、10以下であることで過剰なイソシアネート基が水分と硬化して樹脂層が硬くなりすぎて密着性が低下することを防ぐことができる。
本発明のアンカーコート剤には、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)が含まれる。その機序については明らかではないか、アンカーコート剤が(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)を含有することによって耐久性が大きく向上し、例えば耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施するような厳しい試験を実施しても、剥離強度を保持することが可能となる。
本発明で使用される(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を有していればどのようなものでも良く、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、上述した(メタ)アクリル系モノマーを使用できる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)に含まれる(メタ)アクリロイル基は1個以上あれば効果を発現するが、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上である。また、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)は、樹脂(A)と硬化剤(B)との架橋を阻害しない程度にヒドロキシル基や他の官能基を含んでいても良い。
アンカーコート剤中の(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)の含有量としては、樹脂(A)100重量部に対して(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)が0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましく、さらには3〜30重量部であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)が0.1重量部以上であることで、耐久性向上の効果を効率的に発揮でき、50重量部以下であることで樹脂層を容易に形成できる。
本発明のアンカーコート剤は、さらに顔料を含有できる。顔料は、体質顔料および着色顔料からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。アンカーコート剤が顔料を含有することによって樹脂層を着色できる他、機序については明らかではないが耐久性が向上するという意外な効果が得られる。
体質顔料とは、着色性や強度などを改善するための無色ないし白色の顔料のことを指し、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、カオリンなどが挙げられる。
着色顔料とは、白色以外の黒、赤、青などの色に着色させるための顔料である。
黒色顔料は、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ペリレンブラックなどが挙げられる。
その他着色顔料は、例えばトルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンエロー等のイソインドリン系有機顔料:その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
これらの顔料を使用する場合は、アンカーコート剤中に顔料を安定に分散させるため、分散剤を使用することが好ましい。
分散剤は、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
顔料は、樹脂(A)100重量部に対して0.1〜300重量部を配合することが好ましく、1〜200重量部がより好ましく、1〜100重量部がさらに好ましい。顔料が0.1重量部以上であることで樹脂層の良好な着色、および耐久性向上の効果が得易い。また、300重量部以下であることで樹脂層が形成し易くなる。
本発明のアンカーコート剤は、溶剤を添加できる。
溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。これらの中でも沸点が50℃〜200℃の溶剤が好ましい。沸点が50以上によると塗工で均一な厚さの樹脂層を形成し易い。また、沸点が200℃以下になると塗工の際の乾燥性がより向上する。
溶剤は単独または2種類以上を併用できる。
本発明のアンカーコート剤は、課題を解決できる範囲内であれば、さらに架橋促進剤を添加できる。架橋促進剤は、樹脂(A)と硬化剤(B)の反応を促進する触媒である。架橋促進剤は、スズ化合物、金属塩、塩基などが挙げられる。
架橋促進剤は、例えば、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等が挙げられる。
架橋促進剤は、単独または2種類以上を併用できる。
本発明のアンカーコート剤には、必要に応じて、アンチブロッキング剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
本発明のアンカーコート剤の用途は、太陽電池保護シートに限らず、例えば,印刷インキ、塗料、接着剤、粘着剤、ハードコート等を基材に塗工ないし印刷する前に基材上に形成する樹脂層(アンカーコート層)として使用することができる。前記樹脂層により、例えば、インキ層と基材との密着性が向上する。
本発明の塗工物は、基材と、アンカーコート剤を含む樹脂層とを備えている。樹脂層は、アンカーコート剤を塗工することで形成できる。
塗工方法(塗工装置)は、例えばコンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。塗工の際に加熱乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は、通常、80〜150℃程度である。
基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルム等のフッ素系フィルム;、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のその他フィルムが挙げられる。その他、例えばガラス板などの剛直な基材(板材)に塗工しても良い。また、基材は2層以上の複層構造でも良く、金属酸化物や非金属無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムが積層されていても良い。さらに、基材は透明であっても着色されていても良い。
基材の厚みは、通常10〜300μm程度である。
樹脂層の厚みは、通常0.1〜30μm程度である。
本発明の塗工物は、多くの実施態様があるところ、太陽電池モジュールを構成する保護シート(前面保護シートまたは裏面保護シート)として使用することが好ましい。
保護シートとして使用する場合、例えば太陽電池モジュールを製造する際に太陽電池封止材のEVAシート面と保護シートを加熱圧着して両者が充分密着する。加熱圧着条件は、例えば140℃〜170℃で3〜10分間程度真空脱泡した後、温度を維持したまま大気圧で10〜50分間程度圧着する。加熱圧着後、必要に応じて100〜200℃オーブン内で5〜60分程度の加熱を行っても良い。
次に太陽電池モジュールについて説明する。
太陽電池モジュールの代表的な構成は、図1の断面図に示すように、太陽電池素子3に対し、太陽電池素子3の受光面側に位置する太陽電池表面保護材1を太陽電池セルの受光面側に位置する封止材2を介して積層し、保護シート5を太陽電池セルの非受光面側に位置する封止材4を介して積層し、加熱圧着することによって得ることができる。
太陽電池表面保護材1としては、ガラス板、ポリカーボネートやポリアクリレートのプラスチック板などを挙げることができる
封止材2および封止材4は、EVAやポリオレフィンフィルム等が好ましい。これらの封止材には耐候性向上のための紫外線吸収剤、光安定剤や、封止材自身を架橋させるための有機過酸化物などの添加剤が含まれていても良い。
太陽電池素子3としては、例えば、結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体などの光電変換層に電極を設けた素子が挙げられる。前記素子はガラス等の基板上に形成されていても良い。
次に、アンカーコート剤の耐久性試験について説明する。本アンカーコート剤を太陽電池保護シートに使用する場合、太陽電池保護シートは他の部材と積層されて太陽電池モジュールを構成する。太陽電池モジュールは屋外で数年〜数十年使用されるため、様々な耐久性試験が実施されるが、アンカーコート剤についてもこの耐久性試験で劣化しないことが求められる。
耐久性試験の例としては、特定の温度と相対湿度の雰囲気に曝す耐湿熱試験や、紫外線や擬似太陽光を照射する光照射試験、低温の温度下に一定時間曝した後、高温の温度下に一定時間曝し、これらを交互に繰り返す温度サイクル試験などが挙げられる。
耐湿熱試験の例としては、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気に曝すダンプヒート試験や、温度105〜121℃、相対湿度100%の雰囲気に曝すプレッシャークッカー試験などが挙げられる。
一般的に、上述した耐久性試験はそれぞれ単独で実施されることが多いが、太陽電池モジュールが使用される屋外環境は温度、湿度、光、温度サイクルが複合的に組み合わされることから、耐湿熱試験を行った後に温度サイクル試験を実施し、それを繰り返すような複合試験が実施されることもある。それぞれの耐久性試験が単独で実施されるよりも、複合的に組み合わされた複合試験の方が、熱、水蒸気、光、素材の収縮などによる劣化が複合的に発生するため、より厳しい試験となる。本発明のアンカーコート剤は、耐湿熱試験と温度サイクル試験を連続して実施した後にも剥離強度を保持できる。
本発明のアンカーコート剤は、太陽電池保護シート用途のみでなく、さまざまな被着体と基材との剥離強度を向上するために使用することができる。具体的に、本発明のアンカーコート剤が剥離強度を向上できると考えられる被着体(用途)としては、例えばUV硬化型印刷インキから形成したインキ層やUV硬化型ハードコート剤から形成したハードコート層等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は重量部を示し、%は重量%を示す。また、表中の配合比は重量部である。
ガラス転移温度、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、測定する樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させた不揮発分を用いた。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.05}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<(メタ)アクリル系樹脂A1溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにトルエン50部、メチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した。次にメチルメタクリレート10部、シクロヘキシルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート71部、フルフリルメタクリレート5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部、アゾビスイソブチロニトリル0.25部を含むモノマー液を滴下ロートに仕込み、モノマー液を2時間かけて連続滴下した。続いて、フラスコ中にアゾビスイソブチロニトリル0.25部を3分割して1時間ごとに添加して重合反応を行い、さらに1時間反応を継続した。反応終了後、冷却を行い重量平均分子量が82,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが36℃、フリル基の官能基当量が3323、不揮発分50%の(メタ)アクリル系共重合体A1溶液を得た。
<(メタ)アクリル系樹脂A2〜A6、A22、A23溶液>
(メタ)アクリル系樹脂A1溶液の作成において、使用する(メタ)アクリルモノマーの比率とアゾビスイソブチロニトリルの量を表1のように変更した以外は、(メタ)アクリル系樹脂A1溶液と同様にして(メタ)アクリル系樹脂A2〜A6、A22、A23溶液を得た。(メタ)アクリル系樹脂A2〜A6、A22、A23溶液の性状も表1中に記載する。
Figure 2018145289
表1の略称は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
tBMA:t−ブチルメタクリレート
FFMA:フルフリルメタクリレート
THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
<(メタ)アクリル系樹脂A7溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにトルエン56.3部、メチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した。次にメタクリル酸5部、メチルメタクリレート10部、シクロヘキシルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート65部、2−イソシアナトエチルメタクリレート10部、アゾビスイソブチロニトリル0.15部を含むモノマー液を滴下ロートに仕込み、モノマー液を2時間かけて連続滴下した。続いて、フラスコ中に、アゾビスイソブチロニトリルを0.25部を3分割して1時間ごとに添加して重合反応を行い、さらに1時間撹拌して重合させた。次いで、フルフリルアルコール6.3部、ジブチルスズジラウレート0.03部を加え、40℃で撹拌しながら2時間かけて反応させた。IRでイソシアネートピーク(2260cm−1)が消失したことを確認し、重量平均分子量が152,000、水酸基価が0(mgKOH/g)、酸価が29.0(mgKOH/g)、Tgが43℃、フリル基の官能基当量が1650、不揮発分50%の(メタ)アクリル系共重合体A7溶液を得た。
<(メタ)アクリル系樹脂A8溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにトルエン75.9部、メチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した。次にメチルメタクリレート10部、シクロヘキシルメタクリレート15部、n−ブチルメタクリレート60部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、アゾビスイソブチロニトリル0.15部を含むモノマー液を滴下ロートに仕込み、モノマー液を2時間かけて連続滴下した。続いて、フラスコ中に、アゾビスイソブチロニトリルを0.25部を3分割して1時間ごとに添加して重合反応を行い、さらに1時間撹拌して重合させた。次いで、イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基に2−チオフェンメタノールを付加した化合物(分子量336.46)25.9部、ジブチルスズジラウレート0.03部を加え、60℃で撹拌しながら5時間かけて反応させた。IRでイソシアネートピーク(2260cm−1)が消失したことを確認し、重量平均分子量が166,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが20℃、チエニル基の官能基当量が1638、不揮発分50%の(メタ)アクリル系共重合体A8溶液を得た。
<(メタ)アクリル系樹脂A9溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにトルエン75.5部、メチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した。次にメチルメタクリレート10部、シクロヘキシルメタクリレート15部、n−ブチルメタクリレート60部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、アゾビスイソブチロニトリル0.15部を含むモノマー液を滴下ロートに仕込み、モノマー液を2時間かけて連続滴下した。続いて、フラスコ中に、アゾビスイソブチロニトリルを0.25部を3分割して1時間ごとに添加して重合反応を行い、さらに1時間撹拌して重合させた。次いで、イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基に3−ピリジンメタノールを付加した化合物(分子量331.42)25.5部、ジブチルスズジラウレート0.03部を加え、60℃で撹拌しながら5時間かけて反応させた。IRでイソシアネートピーク(2260cm−1)が消失したことを確認し、重量平均分子量が181,000、水酸基価が18.1(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが23℃、ピリジル基の官能基当量が1633、不揮発分50%の(メタ)アクリル系共重合体A9溶液を得た。
<(メタ)アクリル系樹脂A21溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにトルエン51部、メチルエチルケトン50部を仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した。次にメチルメタクリレート10部、シクロヘキシルメタクリレート16部、n−ブチルメタクリレート70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、アゾビスイソブチロニトリル0.15部を含むモノマー液を滴下ロートに仕込み、モノマー液を2時間かけて連続滴下した。続いて、フラスコ中に、アゾビスイソブチロニトリルを0.25部を3分割して1時間ごとに添加して重合反応を行い、さらに1時間撹拌して重合させた。
その後、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部と重合禁止剤を添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認した後、冷却を行い重量平均分子量が39,000、水酸基価が17.2(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが30℃、アクリロイル基の官能基当量が7278、不揮発分50%の(メタ)アクリル系共重合体A21溶液を得た。
<ポリエステルP1溶液>
重合槽、攪拌機、温度計、水分離装置、還流冷却器、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽に、テレフタル酸31部、イソフタル酸31部、アジピン酸5部、エチレングリコール21.5部、ネオペンチルグリコール9部、トリメチロールプロパン1.5部およびフルフリルアルコール1部を重合槽に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル交換反応を行なった。次いで重合槽を徐々に1〜2トールまで減圧し、所定の粘度となったところで減圧下での反応を終了し、重量平均分子量が62,000、水酸基価が7.2(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが28℃、フリル基の官能基当量が9810のポリエステルポリオールを得た。さらに、酢酸エチルで希釈して、不揮発分40%のポリエステルP1溶液を得た。
<ポリウレタンU1溶液>
冷却管、窒素導入管、撹拌装置、温度計、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、C−2090(クラレ社製、ポリカーボネートポリオール)130部、1,6−ヘキサンジオール10部、シクロヘキサンジメタノール10部、トリメチロールプロパン2部、イソホロンジイソシアネート51部、トルエン100部を仕込み、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、3時間反応を行った。IR測定によりNCOピークがないことを確認した後、イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基にフルフリルアルコールを付加した化合物(分子量320.39)を2.85部加え、4時間反応して付加させた。再度IR測定によりNCOピークがないことを確認した後、酢酸エチル106部を添加して冷却を行うことで、重量平均分子量が39,000、水酸基価が4.1(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが20℃、フリル基の官能基当量が23162、不揮発分50%のポリウレタンU1溶液を得た。
(メタ)アクリル系樹脂A7〜A9、A21、ポリエステルP1、ポリウレタンU1の重量平均分子量、水酸基価、酸価、Tg、各官能基当量を一覧にしたものを表2に示す。
Figure 2018145289
表2の略称は以下の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
MOI:2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製、カレンズMOI)
チオフェンメタノールIPDI付加物:イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基に2−チオフェンメタノールを付加した化合物(分子量336.46)
ピリジンメタノールIPDI付加物:イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基に3−ピリジンメタノールを付加した化合物(分子量331.42)
フルフリルアルコールIPDI付加物:イソホロンジイソシアネートの一級イソシアネート基にフルフリルアルコールを付加した化合物(分子量320.39)
C−2090:ポリカーボネートポリオール、クラレ社製
<イソシアネート硬化剤溶液B1>
3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体をイソシアネート硬化剤溶液B1とした。
<カルボジイミド硬化剤溶液B2>
カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製)をカルボジイミド硬化剤溶液B2とした。
<アンカーコート剤溶液1〜15>
樹脂(A)、硬化剤(B)、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)を不揮発分比率で表3の比率となるようにそれぞれの原料を配合し、アンカーコート剤溶液1〜15とした。
Figure 2018145289
表3の略称は以下の通りである。
アロニックスM−215:イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、東亞合成社製
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
DPCA−60:KAYARAD DPCA−60、分子量1088、6官能アクリレ ート、日本化薬社製
DPCA−120:KAYARAD DPCA−120、分子量1946、6官能アク リレート、日本化薬社製
[実施例1]
アンカーコート剤溶液1を用い、後述する方法で、アンカーコート剤と酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(以下EVAフィルム)との剥離強度、およびダンプヒート試験(1000時間、2000時間)後の剥離強度の評価を行った。
<剥離強度>
アンカーコート剤溶液1をグラビアコーターで厚さ188μmのポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラーX10S)のコロナ処理面に塗布し、100℃1分で溶剤を乾燥させ、塗布量:3g/平方メートルの樹脂層を設けた。樹脂層の上にEVAフィルム(サンビック(株)製、Ultra Pearl PV−45FR00S)、白板ガラス板を重ね、この積層体を140℃に加熱したモジュールラミネータPVL0505S(日清紡メカトロニクス社製)の熱板の上に、白板ガラスが下になるように置き、1Torr程度に真空排気して5分間放置した。次いで、140℃を維持したまま大気圧でプレスし、15分間放置して測定サンプルを作製した。ポリエステルフィルムの面をカッターで15mm幅に切り、アンカーコート剤とEVAフィルムとの初期の剥離強度を測定した。測定には、引っ張り試験機を用い、荷重速度100mm/minで180度剥離試験を行った。得られた測定値に対して、以下のように評価した。
◎:80N/15mm以上 優れる
○:60N/15mm以上〜80N/15mm未満 良好
△:40N/15mm以上〜60N/15mm未満 実用域
×:40N/15mm未満 実用不可
<ダンプヒート(DH)試験後剥離強度>
上記同様に別途作製した測定サンプルを、温度85℃相対湿度85%雰囲気中にそれぞれ1000時間、2000時間曝した後、剥離強度を上記と同様に評価した。なお、ダンプヒート(DH)試験1000時間後、2000時間後のことをそれぞれ「DH1000h後」「DH2000h後」とする。
<複合耐久性試験>
上記同様に作成した測定サンプルを、エスペック社製高度加速寿命試験装置(EMD−211MD)を使用して、温度121℃相対湿度100%雰囲気中に曝すプレッシャークッカー試験を24時間実施した。その後、この測定サンプルを温度−40℃の環境に30分間曝した後、温度85℃の環境に30分間曝した。その後、再び温度−40℃の環境に30分間曝し、低温と高温の環境に交互に30分間曝す温度サイクル試験を200サイクル繰り返した。このプレッシャークッカー試験24時間と温度サイクル試験200サイクルを行うことで複合耐久性試験を1回行ったと数え、複合耐久性試験を1回、2回、3回行った後のアンカーコート剤とEVAフィルムとの剥離強度を上記と同様に測定した。
[実施例2〜11、比較例1〜4]
実施例1と同様にアンカーコート剤溶液2〜15をそれぞれ評価することでそれぞれ実施例2〜11、比較例1〜4とした。結果を表3に示す。
表3の結果から、本発明のアンカーコート剤を使用した実施例1〜11は剥離強度に優れ、プレッシャークッカー試験と温度サイクル試験を連続して実施した複合耐久性試験の後でも優れた接着性を保持している。
<アンカーコート剤溶液16〜20>
樹脂(A)、硬化剤(B)、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)、顔料、分散剤を不揮発分比率で表4の比率となるようにそれぞれの原料を配合し、アンカーコート剤溶液16〜とした。なお、配合する際には顔料、分散剤、樹脂(A)であらかじめビーズミルで顔料を分散してから、その他の原料を配合した。
[実施例12〜16]
実施例1と同様にアンカーコート剤溶液16〜20をそれぞれ評価することでそれぞれ実施例12〜16とした。結果を表4に示す。
Figure 2018145289
表4の略称は以下の通りである。
バリエースB−55:沈降性硫酸バリウム(体質顔料)、堺化学工業社製
JR−403:ルチル型酸化チタン(体質顔料)、テイカ社製
スペシャルブラック100:カーボンブラック(着色顔料)、エボニックデグサ社製
DISPERBYK−111:分散剤、ビックケミー社製
[UV硬化型印刷インキの密着性試験]
[実施例17]
密着性を下記の通り評価した。厚さ188μmの透明ポリエステルフィルム(メリネックスS 帝人デュポンフィルム社製)のコロナ処理面に、アンカーコート剤溶液1をグラビアコーターで塗布し、100℃1分で溶剤を乾燥させ、塗布量:3g/平方メートルの樹脂層を設けた。この樹脂層の上に東洋インキ社製UV硬化型印刷インキをRIテスター(簡易展色装置)を用いて厚さが5μmとなるように印刷し、112W/cmの空冷式メタルハライドランプ((株)東芝製)を用いて、所定の照射量で紫外線を照射して、インキ層を硬化させた。このインキ層と樹脂層との密着性を、JIS K 5600−5−6に準拠して、カッターを用いて、独立した縦1cm×横1cm程度のチップを100個備えた試験サンプルを作製した。前記試験サンプル上にセロハンテープを使用して個々のチップが剥離するか否かを試験した。なお、評価は、下記基準で行った。
◎:試験サンプル上のチップの残存率100% 良好
○:試験サンプル上のチップの残存率100%未満80%以上 実用域
△:試験サンプル上のチップの残存率80未満50%以上 実用不可
×:試験サンプル上のチップの残存率50%未満 実用不可
[実施例18〜21]
実施例17においてアンカーコート剤溶液1をアンカーコート剤溶液2〜5に変更したこと以外は、実施例17と同様にして実施し、実施例18〜21とした。
[比較例5、6]
実施例17においてアンカーコート剤溶液1をアンカーコート剤溶液14、15に変更したこと以外は、実施例17と同様にして実施し、比較例5、6とした。
[比較例7]
実施例17のアンカーコート剤溶液1を使用せず、透明ポリエステルフィルムのコロナ処理面に直接UV硬化型印刷インキI1を印刷塗布したこと以外は、実施例17と同様にして実施し、比較例7とした。
実施例17〜21、比較例5〜7の結果を表5に示す。
Figure 2018145289
表5の結果から本発明のアンカーコート剤を使用した実施例17〜21は、インキ層の密着性が向上した。
[UV硬化型ハードコート剤の密着性試験]
[実施例22]
厚さ188μmの透明ポリエステルフィルムであるメリネックスS(帝人デュポンフィルム社製)のコロナ処理面に、アンカーコート剤溶液1をグラビアコーターで塗布し、100℃1分で溶剤を乾燥させ、塗布量:3g/平方メートルの樹脂層を設けた。この樹脂層の上に東洋インキ社製UV硬化型ハードコート剤をメイヤーバーを用いて乾燥後厚さが5μmとなるように塗布し、オーブンで溶剤を乾燥させた後、メタルハライドランプで400mJ/cm2の紫外線を照射し、コート層を形成した。このコート層の密着性試験を上記同様に行い、上記同様の基準で評価した。
[実施例23〜26]
実施例22においてアンカーコート剤溶液1をアンカーコート剤溶液2〜5に変更したこと以外は、実施例22と同様にして実施し、実施例23〜26とした。
[比較例8、9]
実施例22においてアンカーコート剤溶液1をアンカーコート剤溶液14、15に変更したこと以外は、実施例22と同様にして実施し、比較例8、9とした。
[比較例10]
実施例22において、アンカーコート剤溶液1を使用せず、透明ポリエステルフィルムのコロナ処理面に直接UV硬化型ハードコート剤を印刷塗布したこと以外は、実施例22と同様にして実施し、比較例10とした。
実施例22〜26、比較例8〜10の結果を表6に示す。
Figure 2018145289
表6の結果から本発明のアンカーコート剤を使用した実施例22〜26は、密着性が良好であった。
1 太陽電池表面保護材
2 封止材
3 太陽電池素子
4 封止材
5 保護シート

Claims (4)

  1. 複素環含有樹脂(A)と、硬化剤(B)と、(メタ)アクリロイル基含有化合物(C)とを含み、前記複素環が炭素−炭素二重結合を有する、アンカーコート剤。
  2. 前記複素環含有樹脂(A)中の複素環の官能基当量が50,000以下である、請求項1記載のアンカーコート剤。
  3. さらに顔料を含み、前記顔料は、体質顔料および着色顔料からなる群より選択される1種以上である、請求項1または2記載のアンカーコート剤
  4. 基材、および請求項1〜3いずれか1項に記載のアンカーコート剤を含む樹脂層を備えた、太陽電池保護シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020196148A1 (ja) * 2019-03-22 2021-10-28 株式会社クレハ 電極合剤用組成物、電極合剤、電極、非水電解質二次電池、および電極の製造方法

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