図1は、本実施形態にかかるセルフチェックアウト装置1の構成を示す外観斜視図である。セルフチェックアウト装置1は、例えばスーパーマーケットや衣料販売店等の店舗に設置されて用いられる。セルフチェックアウト装置1の本体2(データ処理手段)は、タッチパネル3aが表面に配設されたディスプレイ3bを備えている。ディスプレイ3bとしては例えば液晶表示器が用いられる。
また、セルフチェックアウト装置1の本体2には、精算時に客のポイントカードやクレジットカードを挿入するためのカード挿入口4や、レシートを発行するレシート発行口5が設けられている。また、本体2には、精算用の紙幣の入金や釣り紙幣の受け取りを行うための紙幣入出金口6、精算時に硬貨を投入するための硬貨投入口7、釣り硬貨を受け取るための硬貨取出口8等が設けられている。
本体2の右側には、商品に付された無線タグ、本例ではRFID(Radio Frequency IDentifier)タグ、特にUHF帯で動作するRFIDタグを読み取るための読取装置10(読取手段)が備えられている。読取装置10は、詳しくは後述するが、読取装置10の外部(外界)からの電波を遮蔽し、商品を収納する収納室としての役目も果たしている。
読取装置10は、図示しないケーブル等によりセルフチェックアウト装置1に接続され、商品に付されているRFIDタグから読み取った各種の情報を、セルフチェックアウト装置1に出力(送信)する。こうして読取装置10は、セルフチェックアウト装置1に一体に構成される。
なお、各商品には当該商品を識別するための商品コード等を記録したRFIDタグ(図示せず)が付されているものとする。また、RFIDタグには、後述する登録済フラグを書き込むための記憶領域が用意されているものとする。登録済フラグの書き込みは、決済を行わずに誤って店舗から商品が持ち出されることを防止するためのものである。登録済みフラグの有無は、店舗の出入り口に設置されたゲートでチェックされ、登録済みフラグが立っていないものはブザーなどの報知手段により警告が促される。
以下、読取装置10について説明する。
図2は、読取装置10の概略構成を示す外観斜視図である。図2(a)は、読取装置10の開閉フタ12を開けた開状態を示し、図2(b)は、読取装置10の開閉フタ12を閉じた閉状態を示している。
図3は、開閉フタ12が閉状態の読取装置10の概略断面図である。
読取装置10は、読取装置10の主たる外装を構成する筐体11と、筐体11に設けられた買物カゴCの出入り口となる開口部Hを開閉するための開閉フタ12とを有する。筐体11の外形は、略箱型の形状を備え、横幅寸法よりも奥行寸法が大きい、奥行方向に長いプロポーションとなっている。また、筐体11は、その内部に買物カゴCを収納可能な大きさの読取室(収納室)13を有する。
筐体11及び開閉フタ12の外壁(外面)は、金属板やモールド材等の電波反射部材、又は電波を吸収する電波吸収材で形成されている。なお、筐体11及び開閉フタ12の内壁(内面)は特に問わないものとするが、電波反射部材又は電波吸収部材で覆う構成としてもよい。
開閉フタ12は、筐体11の背面部に設けたヒンジ機構111を中心に矢印X1方向に引き上げることで開状態とすることができる(図2(a))。また、開閉フタ12は、ヒンジ機構111を中心に矢印X2方向に引き下げることで閉状態とすることができる(図2(b))。顧客は、開閉フタ12を開状態とすることで、筐体11の開口部Hを介して、当該筐体11の読取室13内に、商品を入れた買物カゴCを出し入れすることができる。なお、開閉フタ12の開閉速度の緩和や開状態を保持するために、筐体11と開閉フタ12との間にダンパ112を設ける構成とした(図2(a)参照)。
読取室13内において、買物カゴCは、載置台14の上に載置される。載置台14は、木製やガラス等の絶縁性(電波透過性)の板状部材で構成され、筐体11と所定の間隙を有して支持されている。
読取室13内には、RFIDタグの情報の読み取り及び書き込みに使用されるRFIDアンテナ部として、RFIDアンテナ15が設けられている。ここでは、RFIDアンテナ15として、直方体形状の筐体に平面パッチアンテナを収容した送受信兼用のアンテナ装置を用いている。RFIDアンテナ15は、同軸ケーブルを介するなどしてリーダライタ部などを備えるリーダライタ装置(不図示)とアンテナ用のポートを介するなどして接続されている。リーダライタ装置の設置位置は、RFIDタグの情報の読み取りや書き込みに支障のない位置が良い。具体的には、読取室13外部の筐体11の周囲やセルフチェックアウト装置の内部などに設けると良い。また、読取室13内であれば、載置台14と筐体11底面との間隙などの空きスペースに設ける。この場合、リーダライタ装置への電波の影響やリーダライタ装置からの外部に対する電波環境の影響を除去又は低減させるためにリーダライタ装置を電波吸収材などの保護部材で覆うとなお良い。
本実施形態において、RFIDアンテナ15は、図3に示すように載置台14下部に配設された移動機構16に読取室13内を移動可能なように設けられている。
図4は、図3に示す移動機構16の平面図である。なお、図4には、RFIDアンテナ15と買物カゴCとの配置が分かるように、買物カゴCの外形を概略で示すこととした。また、図4において図3の移動機構16と対応する箇所には同一の番号を付すものとした。
移動機構16は、主に、ねじ軸160と、ねじ軸160の軸受け161と、回転動力源としてのステッピングモータ162と、回転動力をねじ軸160に伝達するカップリング163と、ねじ軸160に螺合したボールねじナットと一体に構成された移動ステージ(第一の移動部)164とからなる直進運動機構により構成されている。
ねじ軸160は、一端が軸受け161により他端がカップリング163により軸回転自在に水平に支持されている。また、ステッピングモータ162の出力軸162−1が、カップリング163においてねじ軸160の上記他端と接続されている。この構成により、ステッピングモータ162の回転動力が出力軸162−1からカップリング163を介してねじ軸160に伝達される。
移動ステージ164は、本体に貫通孔を有し、貫通孔にねじ軸160のボールねじナットが埋め込まれた構成のものである。移動ステージ164は、上記ボールねじナットをねじ軸160に螺合することにより、ねじ軸160の回転と共にねじ軸160に沿って進退移動する。移動ステージ164は、移動時にねじ軸160とボールねじナットとのねじ部に金属製のボール(鋼球)が介在するので、滑らかな移動が可能になる。
このように、上述したボールねじの機構によりステッピングモータ162の回転運動を直線運動に変え、移動ステージ164の前後の運度を可能にしている。
なお、移動ステージ164は、その本体自体がねじ軸160の回転に伴って回動しないように、リニアガイド(不図示)に本体の一部を接触させながら摺動移動するものとする。これにより、移動ステージ164は姿勢を一定に保ちながらねじ軸160に対してリニアに移動する。
移動ステージ164の本体上面には、RFIDアンテナ15がその読取面を上向きにして固定されている。読取面は、ここでは、平面パッチアンテナが電波を放射する放射面のことを差している。これにより、RFIDアンテナ15は読取面の前方つまり同図上方に向けて高い強度を示す電波を放射させる。
リーダライタ装置(不図示)は、この移動するRFIDアンテナ15と屈曲自在な同軸ケーブルを用いて接続される。
なお、本実施形態では特に説明しないが、移動ステージ164の位置決め精度を向上させるために、移動ステージ164の移動経路にセンサを設け、位置の補正などを行うようにしても良い。例えば、移動ステージ164の移動開始位置や移動終了位置にセンサ(例えばマイクロスイッチや近接センサなど)を設け、移動ステージ164をセンサで検出したときに移動ステージ164の移動を停止する、或いは移動量を補正するなど、位置決めをより確実に行うようにしても良い。
以上のような構成により、ステッピングモータ162を所定の向きに回転させると、移動ステージ164がねじ軸160の上を同図の右に進行し、ステッピングモータ162が逆回転すると、移動ステージ164がねじ軸160の上を同図の左に後退する。RFIDアンテナ15は、移動ステージ164のこの移動により、読取面を上方に向けたままで移動ステージ164と一体移動する。この移動により、RFIDアンテナ15はRFIDタグとの交信範囲を変えながらRFIDタグと交信を行う。なお、以下では、適宜、ステッピングモータ162の回転の向きを、移動ステージ164がねじ軸160を同図の右に進行する場合を正回転とし、その反対を逆回転として説明する。
RFIDアンテナ15は、UHF帯等の電波を出射することにより、読取室13内に存在するRFIDタグ、つまり買物カゴCに収められた各商品GのRFIDタグTと交信を行う。
本実施形態の移動機構16は、RFIDアンテナ15が買物カゴCの長手方向側に進退移動する構成とした。また、図4に示すように買物カゴCの中心線l(買物カゴCの短手方向の2つの線分を二等分する線)を含む鉛直面内又はその近傍をRFIDアンテナ15が進退移動する構成とした。また、買物カゴCの長手方向において買物カゴCの一端から他端までをRFIDアンテナ15が進退移動できる構成とした。
この構成により、RFIDアンテナ15は買物カゴCの中の商品に付されたRFIDタグTを買物カゴCの中心線上の任意の点から読み取ることが可能になる。
つまり、図4の買物カゴCの左端の商品のRFIDタグTはRFIDアンテナ15が左端にあるときに読み取り、買物カゴCの右端の商品のRFIDタグTはRFIDアンテナ15が右端にあるときに読み取る、ということが可能になる。
また、読み取りが困難な配置にあるRFIDタグTも、RFIDアンテナ15の移動によりRFIDタグTのアンテナ面とのなす角度などを変えることができるので、読み取りが困難な配置にあるRFIDタグTの情報の取りこぼしを抑止できる。
このような構造を備える読取装置10によれば、読取室13に各図に示すように買物カゴCを収容することで、買物カゴCの中の商品(RFIDタグT)をRFIDアンテナ15から一括で読み取ることができる。また、読取装置10(筐体11及び開閉フタ12)の外面を電波反射部材で覆うことで、読取室13内の環境を外部の電波(ノイズ)から遮蔽することができるため、誤動作等の発生を防ぐことができる。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10のハードウェア構成について説明する。
図5は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
セルフチェックアウト装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されるコンピュータ構成の制御部20を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。
制御部20には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、タッチパネル3a、ディスプレイ3b、カードリーダ21、レシートプリンタ22、紙幣入出金ユニット23、硬貨投入ユニット24及び硬貨排出ユニット25が接続される。
カードリーダ21は、カード挿入口4から挿入された客のポイントカードやクレジットカードの情報を読み込むものである。レシートプリンタ22は、会計処理後にレシートを印刷して、これをレシート発行口5から発行するものである。紙幣入出金ユニット23は、紙幣入出金口6から入金または出金される紙幣を処理するものである。また、硬貨投入ユニット24は硬貨投入口7から投入される硬貨を、硬貨排出ユニット25は硬貨取出口8に排出される硬貨を処理するものである。
また、制御部20には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、記憶部26及び通信I/F27等が接続される。
記憶部26は、HDD(hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部26は、セルフチェックアウト装置1の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。記憶部26が記憶するデータとしては、例えば、各商品に関する商品情報を、当該商品を識別する商品コードと対応付けて登録した商品マスタ等が挙げられる。係る商品情報は、例えば、対応する商品の商品名及び価格等を含む。通信I/F27は、読取装置10との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。
一方、読取装置10は、CPU、ROM及びRAM等から構成されるコンピュータ構成の制御部30を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。
また、制御部30には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、リーダライタ部31、開閉センサ32、記憶部33、通信I/F34、及びモータ駆動部35等が接続される。
リーダライタ部31は、制御部30からの指示の下に、RIFDアンテナ15を通じてRFIDタグTと交信し、データの送受信を行う。
RFIDタグTとの交信は、ここでは次の二つのサイクルに分けて行う。
例えばRFIDタグTがパッシブ方式の電池を持たないタイプのものである場合は、次の通りとなる。
一つは、不変調の搬送波を増幅してRFIDアンテナ15から電波(質問波)として放射し、放射された電波の応答範囲のRFIDタグTにおいてその反射波(応答波)に乗せられた識別コード等のRFIDタグT情報をRFIDアンテナ15で受信し、そのタグ情報を搬送波から復調して、復調されたタグ情報を制御部30に送信する読取サイクルである。
また別の一つは、制御部30からの書き込みの信号により搬送波を変調し、変調後の搬送波を増幅してRFIDアンテナ15から電波として放射し、放射された電波の応答範囲にあるRFIDタグTに情報の書き込みを行わせ、その結果を受信して制御部30に通知する書込サイクルである。なお、RFIDアンテナ15から放射された電波の応答範囲にあるRFIDタグTは、RFIDアンテナ15からの電波をRFIDタグTのアンテナで受けて通信チップを起動し、メモリに記憶されているタグ情報を反射波に乗せる。また、書き込み命令に基づいてメモリ内の書き込み領域に情報の書き込みを行う。
モータ駆動部35は、ステッピングモータ162を動作させるドライバ回路である。制御部30の制御下でステッピングモータ162に対して所定角度(ステップ角)を回転させるためのパルス信号を出力する。
開閉センサ32は、開閉フタ12の開閉状態を検知するセンサ装置である。開閉センサ32は、開閉フタ12の開閉状態を示す開閉状態情報を制御部30に出力する。開閉センサ32は、例えば、筐体11と開閉フタ12との接触部分や開閉フタ12のヒンジ機構に設けたマイクロスイッチや磁気センサにより実現することができる。また、開閉フタ12の閉状態において読取室13が暗所となる場合、この読取室13内に設けた光センサにより実現することができる。
記憶部33は、HDDやSSD等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部33は、読取装置10の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。
通信I/F34は、セルフチェックアウト装置1との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の機能的構成について説明する。 図6は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の機能的構成を示すブロック図である。
セルフチェックアウト装置1の制御部20(CPU)は、記憶部26に記憶されたプログラムと協働することで、表示制御部201と、入力受付部202と、通信制御部203と、販売登録部204とを機能部として実現する。
表示制御部201は、ディスプレイ3bを制御し、当該ディスプレイ3bに各種画面を表示させる。例えば、表示制御部201は、商品コード(RFIDタグT)の読み取り開始を指示させるための操作子(以下、読取開始ボタンという)や、読み取り終了を指示させるための操作子(以下、読取終了ボタンという)を含んだ画面を表示させる。また、表示制御部201は、読取装置10から送信される商品コードに基づき、当該商品コードに対応する商品情報を商品マスタから読み出し、その商品の商品名や価格、預かり金額や釣銭額等を表示させる。
入力受付部202は、タッチパネル3aを介した操作入力を受け付ける。例えば、入力受付部202は、ディスプレイ3bに表示された操作画面において、操作子が操作(タッチ操作)された場合に、その操作子に対応する指示情報を制御部20に出力する。
通信制御部203は、通信I/F27を制御し、当該通信I/F27を介して読取装置10との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部203は、読取開始ボタンが操作されると、読取開始を指示する指示情報を読取装置10に送信する。また、通信制御部203は、読取装置10から送信された商品コードを受信する。また、通信制御部203は、読取終了ボタンが操作されると、読取終了を指示する指示情報を読取装置10に送信する。また、通信制御部203は、販売登録部204による販売登録が完了すると、登録完了を指示する指示情報を読取装置10に送信する。
販売登録部204は、読取装置10から送信された商品コードに対応する各商品について、決済処理により代金の支払いを確認すると、それらの商品コードを顧客が買い上げた商品として販売登録を行う。具体的に販売登録部204は、各商品の商品コードを、預かり金額や釣り銭、取引日時とともに登録用のデータベースに登録する。なお、登録用のデータベースは、セルフチェックアウト装置1の記憶部26が備える形態としてもよいし、セルフチェックアウト装置1と通信可能な外部装置が備える形態としてもよい。
一方、読取装置10の制御部30(CPU)は、記憶部33に記憶されたプログラムと協働することで、開閉状態取得部301と、リーダライタ制御部302と、可動機構制御303、通信制御部304とを機能部として実現する。
開閉状態取得部301は、開閉センサ32と協働することで、開閉フタ12が開いた状態にあるか閉じた状態にあるかを示す開閉状態情報を取得する。
リーダライタ制御部302は、リーダライタ部31を制御することで、商品に付されたRFIDタグTの読み取りと、当該RFIDタグTへの書き込みをRFIDアンテナ15を介して行う。
具体的に、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り開始が指示され、且つ開閉状態取得部301が取得した開閉状態情報が開閉フタ12の閉状態を示す場合に、先ず読み取り(読取サイクル)を開始する。なお、RFIDタグTから読み取ったタグ情報(ここでは商品コード)は、随時、リーダライタ制御部302からセルフチェックアウト装置1に送信されるものとする。
また、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り終了が指示されると、リーダライタ部31による読み取りを終了する。そして、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から登録完了が指示されると、リーダライタ部31を制御し登録済フラグの書き込み(書込サイクル)を開始する。ここで、登録済フラグは、販売登録が完了したことを示す情報であって、RFIDタグTが有する所定の記憶領域に書き込まれるものとする。
さらに、リーダライタ制御部302は、RFIDタグTの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間に、開閉フタ12が開状態となった場合、読み取りを終了し、それまでに読み込んだ商品コードをリセットするリセット処理を実行する。このリセット処理により、セルフチェックアウト装置1に送信された商品コードもリセットが行われるものとする。そして、リーダライタ制御部302は、開閉フタ12が再び閉状態になったことを確認すると、RFIDタグTの読み取りを再度実行する。
これにより、決済処理の完了前に、RFIDタグTが未読取の商品が買物カゴ(読取室13)内に追加された場合であっても、その商品の読み取りをより確実に行うことができる。なお、開閉フタ12が開状態となったことをセルフチェックアウト装置1に通知することで、セルフチェックアウト装置1のディスプレイ3bに、開閉フタ12が開状態であることを報知する画面を表示させる形態としてもよい。
可動機構制御部303は、RFIDタグTの読み取り時にモータ駆動部35を制御する。
具体的に、可動機構制御部303はリーダライタ制御部302によるRFIDタグTの読取サイクル(又は書込サイクル)の実行中に、移動ステージ164が次に示す動作パターンとなるようにモータ駆動部35を駆動する。
移動ステージ164の動作パターンとして、例えば次のようなものがある。
一つは、リーダライタ制御部302で読取サイクル(又は書込サイクル)の制御を開始したら、モータ駆動部35を駆動し、移動ステージ164を順方向へ等速移動させる。移動ステージ164がねじ軸160の端部又はその近傍付近まで移動したら、移動ステージ164をそこで折り返して逆方向へ等速移動させ、ねじ軸160のもう一方の端部又はその近傍付近まで移動させる。移動ステージ164がねじ軸160のもう一方の端部又はその近傍付近まで移動したら、移動ステージ164をそこで折り返して順方向へ等速移動させ、停止するまでこの手順を繰り返す。そして、リーダライタ制御部302で読取サイクル(又は書込サイクル)の制御を終了したらモータ駆動部35の駆動を止め、移動ステージ164をその場に停止させる。
また、移動ステージ164の移動スピードは、RFIDアンテナ15とRFIDタグTとの交信が可能なスピード以下に維持するものとする。
また他の一つは、読取サイクル(又は書込サイクル)の制御の開始から終了まで、モータ駆動部35を間欠的に駆動することにより、移動ステージ164を所定距離移動して、停止させることを繰り返す。この場合、移動ステージ164の移動スピードを高速に設定し、停止時間を、RFIDアンテナ15とRFIDタグTとの交信が完了する程度の時間に設定することが好ましい。
また、移動ステージ164を常に所定の開始位置(例えばねじ軸160の一端など)からスタートさせる場合は、リーダライタ制御部302での読取サイクル(又は書込サイクル)の制御の終了後、モータ駆動部35を制御駆動して移動ステージ164を初期位置(読み取り又は書込みの開始位置)に戻すように制御する。この場合、移動開始から移動終了までと同じ制御量(パルス数)でモータ駆動部35を制御することにより、ステッピングモータ162を正回転又は逆回転させて初期位置に戻す。
また、位置決め用のセンサを設ける場合は、モータ駆動部35を駆動してステッピングモータ162を正回転又は逆回転させ、センサの位置で移動ステージ164を検出したところでモータ駆動部35の駆動を止める又は正回転から逆回転の駆動に切り替える。
例えば、移動ステージ164を開始位置へ戻す工程では、開始位置のセンサによる移動ステージ164の検出でモータ駆動部35の駆動を止める。また、読取サイクルや書込サイクルの工程では、折り返し点にあるセンサで移動ステージ164を検出したところでモータ駆動部35の駆動を正回転から逆回転(又は逆回転から正回転)に切り替える。
また、移動ステージ164は、電波環境が良ければ、ねじ軸160を一往復することによりRFIDアンテナ15でRFIDタグTからのタグ情報を取得できるので、常に固定の開始位置からスタートし、ねじ軸160を一往復してその開始位置に戻ったら、移動ステージ164を停止させるように設定しても良い。この場合、読取サイクル(又は書込サイクル)の制御の終了まで待たずにモータ駆動部35の駆動を強制的に停止させる。
通信制御部304は、通信I/F34を制御し、当該通信I/F34を介してセルフチェックアウト装置1との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部304は、セルフチェックアウト装置1から送信された読取開始を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部304は、リーダライタ制御部302がRFIDタグTから読み取った商品コードを、セルフチェックアウト装置1に送信する。また、通信制御部304は、セルフチェックアウト装置1から送信された読取終了を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部304は、セルフチェックアウト装置1から送信された登録完了を指示する指示情報を受信する。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の動作について説明する。
図7は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の動作例を説明するためのフローチャートである。
セルフチェックアウト装置1を操作する顧客は、読取装置10の開閉フタ12を開け、商品を入れた買物カゴを読取室13内に収容する。次いで、顧客は、セルフチェックアウト装置1のディスプレイ3bに表示された読取開始ボタンを操作することで、本処理が開始される。
セルフチェックアウト装置1では、入力受付部202が読取開始ボタンの操作を受け付けると、通信制御部203は、読み取り開始を指示する指示情報を読取装置10に送信する(ステップS11)。
読取装置10では、通信制御部304が読み取り開始を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得した開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS21)。ここで、リーダライタ制御部302は、開閉フタ12が開状態にあると判定すると、当該開閉フタ12が閉状態となるまで待機する(ステップS21;No)。なお、ステップS21の待機時に、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を閉じることを促す画面を表示させる形態としてもよい。
ステップS21において、開閉フタ12が閉状態にあると判定すると(ステップS21;Yes)、リーダライタ制御部302は、可動機構制御部303と協働してRFIDタグTの読み取りを開始する(ステップS22)。具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグTとの交信(読取サイクル)を開始し、可動機構制御部303に対して読取サイクルを開始した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の駆動を開始する。つまり、移動ステージ164の移動を開始する。
次いで、リーダライタ部31は、RFIDタグTから商品コードを読み取ったか否かを判定する(ステップS23)。ここで、商品コードが読み取られた場合(ステップS23;Yes)、通信制御部304は、その商品コードをセルフチェックアウト装置1に順次送信し(ステップS24)、ステップS25に移行する。
続くステップS25において、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得する開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS25)。閉状態にあると判定した場合(ステップS25;Yes)、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取りの終了が指示されたか否かを判定する(ステップS28)。ここで、読み取り終了の指示がない場合には(ステップS28;No)、ステップS23に戻る。
なお、ステップS23において、商品コードが読み取れない場合(ステップS23;No)、ステップS25に移行する。
また、ステップS25において、開状態にあると判定した場合(ステップS25;No)、リーダライタ制御部302は、RFIDタグTの読み取りを停止する(ステップS26)。ステップS26は、具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグTとの交信を停止し、可動機構制御部303に対して読取サイクルを中断した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の駆動を止める。つまり、移動ステージ164を停止させる。
ステップS26の処理に続き、リーダライタ制御部302は、これまでに読み取った商品コードをリセットするリセット処理を行い(ステップS27)、ステップS21に再び戻る。
なお、読取室13が空の状態でRFIDタグTの読み取りが開始されたような場合には、RFIDタグTが一つも読み取れないままステップS23〜S25及びS28のループが続くことになる。そこで、このような状態を回避するため、RFIDタグTが一つも読み取れないまま、所定時間が経過した場合(ここでは一例として5秒とする)、RFIDタグTの読み取り及び可動機構の制御を強制的に終了させる形態としてもよい。また、ステップS23〜S25及びS28のループを所定回数実行した場合においても、RFIDタグTの読み取り及び可動機構の制御を強制的に終了させる形態としてもよい。この場合、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、RFIDタグTを読み取ることができない旨のメッセージを表示させることが好ましい。
セルフチェックアウト装置1では、通信制御部203が読取装置10から商品コードを受信すると、表示制御部201は、その商品コードに対応する商品情報を商品マスタから読み出し、ディスプレイ3bに表示する(ステップS12)。
顧客は、ディスプレイ3bに表示された商品情報を参照し、買物カゴに入れた全ての商品が表示されたことを確認すると、そのディスプレイ3bに表示された読取終了ボタンを操作する。そして、入力受付部202が読取終了ボタンの操作を受け付けると、通信制御部203は、読み取り終了を指示する指示情報を読取装置10に送信する(ステップS13)。
読取装置10では、通信制御部304が読み取り終了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、読み取りの終了が指示されたと判定する(ステップS28;Yes)。次いで、リーダライタ制御部302は、RFIDタグTの読み取りを停止する(ステップS29)。具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグTとの交信を終了し、可動機構制御部303に対して読取サイクルを停止した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の駆動を止める。つまり、移動ステージ164を停止させる。
続いて、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から登録完了が指示されたか否かを判定する(ステップS30)。登録完了の指示がない場合(ステップS30;No)、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得する開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS31)。
ここで、閉状態にあると判定した場合(ステップS31;Yes)、ステップS30に戻る。また、開状態にあると判定した場合(ステップS31;No)、リーダライタ制御部302は、ステップS27と同様のリセット処理を行い(ステップS32)、ステップS21に再び戻る。
セルフチェックアウト装置1では、販売登録部204が、登録候補として表示された各商品について決済処理が完了すると(ステップS14)、これら各商品の販売登録を行う。そして、通信制御部203は、登録完了を指示する指示情報を読取装置10に送信し(ステップS15)、処理を終了する。
読取装置10では、通信制御部304が登録完了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、登録完了が指示されたと判定する(ステップS30;Yes)。そして、リーダライタ制御部302は、リーダライタ部31を制御することで、各商品のRFIDタグTに登録済フラグを書き込み(ステップS33)、本処理を終了する。
ステップS33では、具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグTとの交信(書込サイクル)を開始し、可動機構制御部303に対して書込サイクルを開始した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の制御駆動を開始する。そして、全てのRFIDタグTに対して登録済フラグの書込みが終了すると、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグTとの交信(書込サイクル)を終了し、可動機構制御部303に対して書込サイクルを終了した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の駆動を止める。
なお、登録済フラグを書き込む間、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を閉じたままでいることを伝える画面を表示させる形態としてもよい。また、登録済フラグの書き込みが終了した場合に、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を開けることを促す画面を表示させる形態としてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、顧客からの操作指示に応じてRFIDタグTの読み取り及びRFIDアンテナの可動機構制御を開始する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、顧客からの操作指示を要さずに、開閉フタ12が閉状態に切り替わるのに連動してRFIDタグTの読み取り及びRFIDアンテナの可動機構制御を自動的に開始する形態としてもよい。
また、上記実施形態では、RFIDタグTの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間に、開閉フタ12が開状態となった場合には、読み取りを終了してリセット処理を実行する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、読取装置10の筐体11と開閉フタ12との接触部分に、開閉フタ12の閉状態を保持するためのロック機構を設け、開閉フタ12が開けられないよう制御してもよい。具体的には、RFIDタグTの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間は、リーダライタ制御部302がロック機構を制御することで、開閉フタ12が開けられないよう閉状態を保持する。これにより、決済処理の完了前に、RFIDタグTが未読取の商品が買物カゴ(読取室13)内に挿入されてしまうことを未然に防ぐことができる。
また、上記実施形態では、顧客からの終了指示に応じてRFIDタグTの読み取りを終了する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、顧客から指示された個数(商品数)分のRFIDタグTを読み取ると、その読み取りを自動的に終了する形態としてもよい。
また、上記実施形態ではRFIDタグとの交信において電波方式を採用したが、その他の電磁誘導方式などに適用しても良い。
また、上記実施形態では、読取装置に一つのRFIDアンテナを設けた例を示したが、読取装置に二つのRFIDアンテナを設けても良い。この場合、二つのRFIDアンテナを共に移動ステージに搭載しても良いし、或いは一つを移動ステージに搭載して移動用として使用し、もう一つは、読取装置の筐体に設けるなどして固定用として使用するのも良い。また、RFIDアンテナを2つに限定せずに多数設けても良い。
また、上記実施形態では、移動機構を買物カゴCの下側に設けたが、買物カゴCに対して側面や背面、上側などに設けても良い。何れの場合であっても、RFIDアンテナの読取面を買物カゴC側に向けて構成することが好ましい。
また、上記実施形態は、可動機構と可動機構制御部によりRFIDアンテナの可動部を構成している。RFIDアンテナを一方向に移動させる移動機構は、RFIDアンテナを可動させる可動機構の一形態として示したに過ぎない。従って、RFIDアンテナを可動させる可動機構として、その他の形態を採用しても良い。
例えば、RFIDアンテナを二方向に移動させる移動機構や三方向に移動させる移動機構、或いはRFIDアンテナを傾斜させる可動機構などが考えられる。
また、上記実施形態では可動機構としてボールねじの機構を示した。しかし、この機構に限らず、その他の形態のものであっても良い。例えば、移動に空気圧を利用するものや磁石を利用するものであっても良い。
以下、変形例1として、移動用のRFIDアンテナ(可動式アンテナ部)と固定用のRFIDアンテナ(固定式アンテナ部)を読取装置に設けたセルフチェックアウト装置の形態について説明する。なお、上記実施形態のセルフチェックアウト装置(読取装置を含む)の構成と共通する部分の説明は繰り返しになるため、ここでは適宜省略するものとする。
[変形例1]
図8は、変形例1の読取装置80の移動機構の側面図である。ここでは変形例1の読取装置80の載置台下部の移動機構に設けた移動用のRFIDアンテナ15と、読取装置80の側面に設けた固定用のRFIDアンテナ消費者端末15´を示している。
図9は、図8の移動機構の平面図である。
図3及び図4の構成に比べ、図9及び図8に示す構成は、読取室13内の側面に固定用のRFIDアンテナ15´を新たに設けたものとなっている。
本例では、固定用のRFIDアンテナ15´は、移動用のRFIDアンテナ15と同様の構成のものを使用する。
固定用のRFIDアンテナ15´は、読取室13内に設けた板材17(ガラス製や木製など、電波を通しやすいもの)にその読取面を買物カゴCに向けて固定されている。
図8に示す例では、固定用のRFIDアンテナ15´は、破線で示す買物カゴCの長手方向の略中央に配置されている。
この配置により、固定用のRFIDアンテナ15´と、移動用のRFIDアンテナ15とによる、買物カゴC内のRFIDタグ情報の読み取りや書込みが行える。
図10は、変形例1のセルフチェックアウト装置1及び読取装置80のハードウェア構成を示すブロック図である。
セルフチェックアウト装置1の構成は、上記実施形態で示した構成(図5参照)と同じであるため、ここでの説明を省略する。
一方、読取装置80は、上記実施形態で示した読取装置10の構成(図5参照)において、リーダライタ部81の構成が異なるものである。
リーダライタ部81は、制御部30からの指示の下に、2つのRIFDアンテナ15、15´を動作させてRFIDタグTと交信し、データの送受信を行う。
具体的には、リーダライタ部81は、リーダライタ部81に接続されているRFIDアンテナ15、15´から一つのRFIDアンテナ15(又はRFIDアンテナ15´)を択一的に選んで切り替えるアンテナ切り替え部(切替制御部)810を備えている。アンテナ切り替え部810は、読み取り動作や書き込み動作の時に2つのRFIDアンテナ15、15´を所定の順番で択一的に選んで切り替える。従って、2つのRFIDアンテナ15、15´は、それぞれ異なるタイミングでRFIDタグと交信し、データの送受信を行う。
RFIDタグとの交信は、アンテナ切り替え部810によって切り替えられた一つのRFIDアンテナ15(またはRFIDアンテナ15´)により1サイクル(読取サイクル又は書込サイクル)の終了まで一貫して行われる。
図11は、リーダライタ部81の構成例である。
同図に示すようにリーダライタ部81は、2つのポート311−1、311−2と、アンテナ切り替え部810としての切り替えスイッチ310Aと、サーキュレータ312と、送信処理部313と、受信処理部314と、送受信制御部315と、入出力インタフェース部316とを備える。
2つのポート311−1、311−2は、RFIDアンテナ15、15´をリーダライタ装置の外部装置として設けた場合の、RFIDアンテナ15、15´のそれぞれの接続ポートである。
ここでは、ポート311−1とポート311−2に、それぞれ、RFIDアンテナ15とRFIDアンテナ15´が同軸ケーブルを介して接続される。
切り替えスイッチ310Aは、例えばダイオードスイッチやFETスイッチなどの電子式のスイッチ、或いは機械式のスイッチなどで構成される高周波スイッチである。
切り替えスイッチ310Aは、RFIDアンテナ15とRFIDアンテナ15´を択一的に選択していずれか一方の伝送経路にスイッチングするための切り替えスイッチである。制御部30からの入出力インタフェース部316を介して入力される読取開始や書込開始を示す信号に基づいて、送受信制御部315が所定順序で切り替え信号を切り替えスイッチ310Aに出力し、RFIDアンテナ15が接続されるポート311−1の伝送経路とRFIDアンテナ15´が接続されるポート311−2の伝送経路とから一つの伝送経路を択一的に切り替える。同図は、そのうちのRFIDアンテナ15が接続されるポート311−1の伝送経路が選択された状態が示されている。この場合、RFIDアンテナ15が動作することになる。
送受信制御部315は、制御部30から入出力インタフェース部316を介して受信した読取開始や読取終了、或いは書込開始や終了などのコマンドに従い、送信処理部313や受信処理部314を制御する。例えば、所定のデータを送信処理部313へ送信し、受信処理部314から送信されたコマンドやデータなどを入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信する。
また、送受信制御部315は、制御部30から入出力インタフェース部316を介して受信した切り替え命令に従い、切り替えスイッチ310Aの切り替えを制御する。この切り替えは所定順序で行う。例えば、始めにポート311−1、次にポート311−2のような所定順序で切り替えスイッチ310AをON・OFFしてそれぞれの伝送経路を切り替える。
送信処理部313は、主に変調処理を行う。例えば、不変調の搬送波を発生させたり、送受信制御部315から送られてきたデータで搬送波を変調したりする。そして、その搬送波を増幅し、サーキュレータ312を介してRFIDアンテナ15、15´へ送る。
受信処理部314は、主に復調処理を行う。例えば、RFIDアンテナ15、15´で受信し、サーキュレータ312を通して流れてきた信号を増幅し、搬送波からデータ(タグ情報等)を分離する。そして、搬送波から取り出したデータを送受信制御部315へ送る。
入出力インタフェース部316は、制御部30と送受信制御部315との信号やデータの入出力を行うインタフェース回路である。
この構成では、制御部30からRFIDタグの読み取りの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、ポート311−1の伝送経路とポート311−2の伝送経路とから一つの伝送経路に択一的に切り替える。この伝送経路は所定順序に従って行う。例えば、読み取りの命令があると、最初はポート311−1の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313では不変調の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−1と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15に送られ、そこで電波(質問波)として放射される。この質問波に対してRFIDタグから応答があると、そのRFIDアンテナ15で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する、受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。
また、制御部30からRFIDアンテナの切り替えの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、今度は、ポート311−2の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313では同様に不変調の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−2と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15´に送られ、そこで電波として放射される。この質問波に対してRFIDタグから応答があると、そのRFIDアンテナ15´で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する、受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。
なお、制御部30からRFIDタグへの書き込みの命令があった場合も、同様の手続きで行われる。
つまり、制御部30からRFIDタグの書き込みの命令があると、最初はポート311−1の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313で書き込み命令やデータにより搬送波を変調し、変調後の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−1と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15に送られ、そこで電波として放射される。
この電波に対してRFIDタグから書き込みを終えたことの応答があると、そのRFIDアンテナ15で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する、受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。
その後、制御部30からRFIDアンテナの切り替えの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、今度は、ポート311−2の伝送経路に切り替える。そして、RFIDアンテナ15´の動作による書き込み処理を同様にして行う。
なお、RFIDタグでは、書込みの命令を受信すると、内蔵メモリの所定の記憶領域にデータ(本例では登録済フラグ)を書き込み、その結果をRFIDアンテナに返信する。
ここで、読取装置10の機能的構成の一つに示したリーダライタ制御部302(図6参照)の構成において、変形例1の読取装置80に必要な機能を追加説明する。
リーダライタ制御部302は、リーダライタ部81を制御することで、商品に付されたRFIDタグの読み取りと、当該RFIDタグへの書き込みを複数のRFIDアンテナを介して行う。
具体的に、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り開始が指示され、且つ開閉状態取得部301が取得した開閉状態情報が開閉フタ12の閉状態を示す場合に、先ず読み取り(読取サイクル)を開始する。
この読取サイクルは、リーダライタ制御部302が2つのRFIDアンテナ15、15´を所定の順番でアンテナ切り替え部810に切り替えさせることにより行われる。
例えば、リーダライタ制御部302が先ずアンテナ切り替え部810によりRFIDアンテナ15を選択する。この状態で読み取り動作を行い、RFIDアンテナ15からその応答範囲にあるRFIDタグTのタグ情報を読み取る。その読み取りの開始から一定時間後、今度はアンテナ切り替え部810によりRFIDアンテナ15からRFIDアンテナ15´に切り替える。そして、この状態で同様に読み取り動作を行い、RFIDアンテナ15´からその応答範囲にあるRFIDタグTのタグ情報を読み取る。
なお、アンテナの切り替えまでの一定時間は、例えば、固定用のRFIDアンテナで読み取りを行っている場合はタグ情報の認識が一定時間行われなかった場合とし、移動用のRFIDアンテナで読み取りを行っている場合は、移動ステージがねじ軸上を一往復するまでの時間とする。
また、RFIDタグTから読み取ったタグ情報(ここでは商品コード)は、随時、リーダライタ制御部302からセルフチェックアウト装置1に送信されるものとする。
また、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り終了が指示されると、リーダライタ部81による読み取りを終了する。そして、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から登録完了が指示されると、リーダライタ部81を制御し登録済フラグの書き込み(書込サイクル)を開始する。ここで、登録済フラグは、販売登録が完了したことを示す情報であって、RFIDタグTが有する所定の記憶領域に書き込まれるものとする。
リーダライタ制御部302の書込サイクルは、読取サイクルと同様に、2つのRFIDアンテナ15、15´を所定の順番でアンテナ切り替え部810に切り替えさせることにより行う。例えば、リーダライタ制御部302が先ずRFIDアンテナ15に切り替える。この状態で登録済フラグの書き込み動作を行い、RFIDアンテナ15からその応答範囲にあるRFIDタグTに書き込みの命令を送信し、書込みの結果を受信する。その書き込みの結果を全て受信した後、今度はRFIDアンテナ15´に切り替える。そして、この状態で同様に書き込み動作を行い、RFIDアンテナ15´からその応答範囲にあるRFIDタグTに書き込みの命令を送信し、書込みの結果を受信する。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置80の動作について説明する。
図12は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置80の動作例を説明するためのフローチャートである。ここでは、図7に示す動作フローにおいて、特にステップS22〜ステップS25、S28、及びステップS33の処理について説明する。
ステップS22において、リーダライタ制御部302は、可動機構制御部303と協働してRFIDタグの読み取りを開始する。
具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部81を制御してRFIDタグとの交信(読取サイクル)を開始し、可動機構制御部303に対して読取サイクルを開始した旨を通知する。可動機構制御部303は、この通知により、モータ駆動部35の制御駆動を開始する。つまり、移動ステージ164の移動を開始する。
RFIDタグとの交信は、RFIDアンテナ15又はRFIDアンテナ15´の何れか一つに伝送経路を固定し、その伝送経路が固定されたRFIDアンテナに行わせる。ここでは、読取装置80の起動時の初期化処理においてRFIDアンテナ15の伝送経路に固定されるものとし、従ってこの段階ではRFIDアンテナ15による読み取りが行われるものとする。
次いで、リーダライタ制御部302は、RFIDタグから商品コードを読み取ったか否かを判定する(ステップS23)。ここで、商品コードが読み取られた場合(ステップS23;Yes)、通信制御部304は、その商品コードをセルフチェックアウト装置1に順次送信し(ステップS24)、ステップS25に移行する。
続くステップS25において、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得する開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS25)。閉状態にあると判定した場合(ステップS25;Yes)、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取りの終了が指示されたか否かを判定する(ステップS28)。ここで、読み取り終了の指示がない場合には(ステップS28;No)、ステップS23に戻る。
次に、ステップS23において、商品コードが読み取れない場合(ステップS23;No)、ステップS23−1に移行する。
ステップS23−1では、時間をカウントするパラメータiの値をインクリメントする。なお、パラメータiには、読取装置80の起動時に行われる初期化処理において「0」の値が設定されるものとし、本処理の開始時には、パラメータiに「0」の値が既に設定されているものとする。
ステップS23−1に次いで、パラメータiが所定時間を示す値以上であるか否かを判定する(S23−2)。所定時間を示す値は、読取装置からの送信のタイミングやRFIDタグからの応答速度、或いは移動ステージが一巡するまでの時間などに応じて適宜決めて良い。ここでは、一例として3秒に設定する。
ステップS23−2において、3秒未満と判定した場合には(ステップ23−2;No)、ステップS25に移行する。
ステップS23−2において、3秒以上と判定した場合には(ステップ23−2;Yes)、RFIDアンテナの切り替え処理を実行する(S23−3)。RFIDアンテナの切り替え処理は、具体的には、読取装置80の制御部30が、アンテナ切り替え部810により選択されているRFIDアンテナ15(又はRFIDアンテナ15´)を他方のRFIDアンテナ15´(又はRFIDアンテナ15)に切り替えるものとして行われる。
ステップS23−3以降は、パラメータiの値を「0」に初期化して(S23−4)、ステップS25からの処理に移行する。
次に、ステップS33の処理について説明する。
ステップS33において、リーダライタ制御部302は、リーダライタ部81を制御することで、各商品のRFIDタグに登録済フラグを書き込む。
具体的には、先ずRFIDアンテナ15を選択し、RFIDアンテナ15からRFIDタグに登録済フラグを書き込み、その後、今度はRFIDアンテナ15´に切り替えて、RFIDアンテナ15´からRFIDタグに登録済フラグを書き込む。また、全てのRFIDタグから書込みの結果を受信する。
以上のような構成では、RFIDタグとの交信中は常にモータ駆動部35が作動し、移動ステージ164が動き続ける。従って、移動用のRFIDアンテナ15から固定用のRFIDアンテナ15´に切り替えられた後も、移動ステージ164は動き続けることになる。固定用のRFIDアンテナでは、読取室内の電波環境が変えられない。このため、RFIDタグの配置や向きによりRFIDタグとの交信が行えない場合も考えられる。しかし、固定用のRFIDアンテナ15´による読み取り期間において移動ステージ164が移動すると、移動ステージ164における電波の反射の状態が変化するなどして読取室内の電波環境が随時変えられる。これにより、固定用のRFIDアンテナ15´との交信が行えないRFIDタグとの交信も可能になる。
変形例1では移動用ステージ164にRFIDアンテナ15を設けたが、RFIDアンテナ15を取り除き、RFIDアンテナ15´だけで切り替えをせずにRFIDタグとの交信を行わせる構成としても良い。この場合も、固定用のRFIDアンテナ15´における読み取り期間中に移動ステージ164が移動するため、読取室内の電波環境が変わり、RFIDタグの読み取り能力が向上する。
続いて、変形例2として、RFIDアンテナを二方向に移動させる機構を読取装置に設けたセルフチェックアウト装置の形態について説明する。なお、上記実施形態や変形例1のセルフチェックアウト装置(読取装置を含む)の構成と共通する部分の説明は繰り返しになるため、ここでは適宜省略するものとする。
[変形例2]
図13は、変形例2の読取装置90の移動機構の側面図である。
図14は、図13の移動機構の平面図である。
図3及び図4のRFIDアンテナを一軸(X軸)方向へ移動させる移動機構に対して、図13及び図14の構成では、RFIDアンテナを更に水平面の垂直(Y軸)方向へ移動するための移動機構が新たに設けられている。
変形例2に示すX軸用の移動機構16は、直方体のケース800に収められ、Y軸用の移動機構16´の上部にY軸方向へそれ自体が水平移動できるように設けられている。ケース800内に収められている軸受け161やカップリング163やステッピングモータ162などはケース800の底面で水平に支持されている。
Y軸用の移動機構16´はボールねじ機構部16´−1とガイドレール16´−2により構成されている。ボールねじ部16´−1は、X軸用の移動機構16と基本的に構成は同じである。つまり、ボールねじ部16´−1は、主に、ねじ軸160´と、ねじ軸160´の軸受け161´と、回転動力源としてのステッピングモータ162´と、回転動力をねじ軸160´に伝達するカップリング163´と、ねじ軸160´に螺合したボールねじナットと一体に構成された移動ステージ(第二の移動部)164´とからなる直進運動機構により構成されている。
ガイドレール16´−2は、ボールねじ機構部16´−1から距離を隔てたところにねじ軸160´に対して平行に設けられている。ボールねじ機構部16´−1とガイドレール16´−2との距離は、ここでは、およそX軸用の移動機構16の長さ程度に設定している。
ガイドレール16´−2は、X軸用の移動機構16をボールねじ機構部16´−1と共に両端で支えるためのものである。本体の高さは、X軸用の移動機構16を水平に支えられる高さに、長さはボールねじ機構部16´−1の移動ステージ164´の移動距離を制限しない長さに設計されている。また、本体上面には、長さ方向に一定幅の溝166´が設けられている。この溝166´及び上面に対してすべり対偶となる凸部材167´がその凸部側を溝に嵌め、その上面をX軸の移動機構16の底面部の一方の端部と固定している。
また、ボールねじ機構部16´−1に設けられている移動ステージ164´の上面がX軸の移動機構16の底面部の他方の端部と固定されている。
この構成により、X軸用の移動機構16は、ボールねじ機構部16´−1とガイドレール16´−2により、X軸用の移動機構16のそれぞれの端部が支持され、Y軸用の移動機構16´の上部で水平が保たれている。
また、後述する制御により、Y軸用の移動機構16´の移動ステージ164´が移動すると、X軸用の移動機構16はその姿勢のまま移動ステージ164´と一体になってY軸方向へ水平移動する。なお、このときに凸部材167´はガイドレール16´−2の溝166´を溝に沿って摺動する。更に、X軸の移動機構16の移動ステージ164が移動すると、移動ステージ164上のRFIDアンテナ15は読取面を上方に向けたままX−Y平面内を移動する。
なお、本変形例2において特に説明しないが、移動ステージ164の位置決め精度を向上させるために、移動ステージ164と移動ステージ164´の移動経路にそれぞれセンサを設け、位置の補正などを行うようにしても良い。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置90のハードウェア構成について説明する。ここで、セルフチェックアウト装置1のハードウェア構成及び読取装置90の一部の構成は図5に示すものと同じであるため、ここでは読取装置90のハードウェア構成の内の特に2つのステッピングモータの構成について説明する。
図15は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置90のハードウェア構成図である。
同図に示すように、変形例2の読取装置90は、2つのステッピングモータ162、162´を備えている。
ステッピングモータ162は、X軸用の移動ステージ164を移動させるためのものであり、ステッピングモータ162´はY軸用の移動ステージ164´を移動させるためのものである。
モータ駆動部35、35´は、それぞれ、ステッピングモータ162、162´を動作させるドライバ回路である。モータ駆動部35、35´は制御部30の制御下で、それぞれ、ステッピングモータ162、162´に対して所定角度(ステップ角)を回転させるためのパルス信号を出力する。
具体的には、モータ駆動部35からステッピングモータ162に対してパルス信号を出力するとステッピングモータ162が所定の角度回転し、従ってX軸の移動ステージ164がX軸方向へ移動する。
また、モータ駆動部35´からステッピングモータ162´に対してパルス信号を出力するとステッピングモータ162´が所定の角度回転し、従ってY軸の移動ステージ164´がY軸方向へ移動する。
制御部30によるモータ駆動部35とモータ駆動部35´への制御は、独立して行われるものとする。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置90の機能的構成について説明する。
ここでは、図6に示す機能の内、可動機構制御部303の機能について追加説明する。
読取装置90の可動機構制御部は、RFIDタグの読み取り時にモータ駆動部35とモータ駆動部35´を制御する。
具体的に、可動機構制御部はリーダライタ制御部302によるRFIDタグの読取サイクル(又は書込サイクル)の間に、所定のパターンでモータ駆動部35とモータ駆動部35´を駆動する。これにより、それぞれのステッピングモータ162、162´の駆動に連動して、RFIDアンテナ15の移動ステージ164がX−Y平面内を移動する。
モータ駆動部35、35´を駆動するパターンすなわちRFIDアンテナ15の移動パターンとして、例えば次のようなものがある。
一つは、X−Y平面内を先ず、基点からX軸方向の端まで移動し、次に、Y軸方向の端まで移動する。
別の一つは、買物カゴCの長手方向の中心軸に沿ってX軸方向へ移動し、次に、買物カゴCの短手方向の中心軸に沿ってY軸方向へ移動する。
別の一つは、基点からX軸方向の端まで移動し、次に、Y軸方向へ所定距離だけ移動する。そこから続けてX軸を逆走し、X軸方向の他の端まで移動する。更に、そこから再びY軸方向へ所定距離だけ移動し、X軸の順方向の端まで移動する。このステップをY軸方向の移動が可能な範囲内で繰り返し行う(繰り返しのパターン)。
別の一つは、X−Y平面内を円軌道を描くように移動する。
その他にも移動パターンは各種あるので、適宜決めて良い。
図16は、上述した移動パターンの内の一つの繰り返しのパターンの説明図である。
同図は、移動機構16、16´を平面図で示したものである。記号Mで示す二点鎖線で囲む範囲は、RFIDアンテナ15がX−Y平面内で移動できる範囲を示している。
繰り返しのパターンでは、先ず、基点m0からRFIDアンテナ15を移動し始める。この場合、Y軸用の移動ステージ164´を軸受け161´側に最大限移動させ、X軸用の移動ステージ164を軸受け161側に最大限移動させることにより、RFIDアンテナ15を基点に移動する。
次に、RFIDアンテナ15をm0からm1に移動する。この移動は、Y軸用の移動ステージ164´を停止させたままでX軸用の移動ステージ164を前進させることにより行われる。
次に、RFIDアンテナ15をm1からm2に移動する。この移動は、X軸用の移動ステージ164を停止させたままでY軸用の移動ステージ164´を所定の距離だけ前進させることにより行われる。前進させる距離としては、本例では、1サイクルの読み取り又は書込みでY軸方向への所定距離の移動を3回行うので、RFIDアンテナ15の移動範囲MのY軸方向の距離を3等分した長さに設定する。
次に、RFIDアンテナ15をm2からm3に移動する。この移動は、Y軸用の移動ステージ164´を停止させたままでX軸用の移動ステージ164を後退させることにより行われる。
続く、m3からm4の移動、m4からm5の移動、m5からm6の移動、m6からm7の移動も上述した制御の繰り返しとなるため、詳しい説明は省略する。
なお、同図に示す状態はm4からm5の移動の途中の状態を示したものである。
以上のように繰り返しのパターンで移動させることによりRFIDアンテナ15は、その移動範囲Mを漏れなく移動できるようになる。
なおこの移動は、連続的に行っても良いし、一定距離ごとに停止する間欠的な移動を行っても良い。
また、移動ステージ164の移動スピードは、実施形態でも述べたようにRFIDアンテナ14とRFIDタグとの交信が可能なスピード以下に維持するものとする。
また、移動ステージ164を常に所定の開始位置m0からスタートさせるには、リーダライタ制御部302での読取サイクル(又は書込サイクル)の制御の終了後、Y軸用のモータ駆動部35´を制御駆動して移動ステージ164を初期位置(読み取り又は書込みの開始位置)に戻すように制御する。この場合、制御量(パルス数)は、m7からm0の距離(移動範囲MにおけるY軸方向の最大の移動量に相当する)となる。
また、位置決め用のセンサを設ける場合は、モータ駆動部35´を駆動してステッピングモータ162´を正回転又は逆回転させ、センサの位置で移動ステージ164を検出したところでモータ駆動部35´の駆動を止める。
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置90の動作について説明する。なお、図7に示す処理において、特に処理の異なるステップS22(読み取りと移動機構制御の開始の処理)と、ステップS33(登録完了フラグ書込みの処理)について説明する。
変形例2の読取装置90において、読み取りと移動機構制御の開始の処理は、次のようにして行われる。
この処理では、リーダライタ制御部302は、可動機構制御部と協働してRFIDタグの読み取りを開始する。具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグとの交信(読取サイクル)を開始し、可動機構制御部に対して読取サイクルを開始した旨を通知する。可動機構制御部は、この通知により、所定パターンに従ってモータ駆動部35とモータ駆動部35´の制御駆動を開始する。例えば、パターンが図16に示す繰り返しのパターンである場合は、m0からm1まではモータ駆動部35を駆動し、m1からm2まではモータ駆動部35´を駆動する。m2からm7までも同様にしてモータ駆動部35とモータ駆動部35´を交互に駆動する。m7まで移動したら、再びm0に戻り、m0からモータ駆動部35とモータ駆動部35´の駆動を交互に行う。
なお、m0からm7まで一巡したらその段階でモータ駆動部35、35´の駆動を止めるように設定しても良い。
また、読取室13が空の状態でRFIDタグの読み取りが開始されたような場合には、RFIDタグが一つも読み取れないままステップS23〜S25及びS28のループが続くことになる。そこで、このような状態を回避するため、上述した実施形態ではRFIDタグが一つも読み取れないまま、5秒経過した場合に、RFIDタグの読み取り及び可動機構の制御を強制的に終了させる形態としてもよいものとした。変形例2でも、同様の形態を適用できる。この場合、設定時間は、RFIDアンテナ15が所定のパターンを一巡するまでの時間以上とすることが好ましい。
図7においてステップS29では、リーダライタ制御部302は、RFIDタグの読み取りを停止する。
変形例2の読取装置においても、この処理ではリーダライタ制御部302は、RFIDタグの読み取りを停止する。具体的には、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグとの交信を終了し、可動機構制御部に対して読取サイクルを停止した旨を通知する。可動機構制御部は、この通知により、モータ駆動部35とモータ駆動部35´の制御駆動を止める。つまり、移動ステージ164を停止させる。
次に、登録完了フラグ書込みの処理について説明する。
この処理では、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグとの交信(書込サイクル)を開始し、可動機構制御部に対して書込サイクルを開始した旨を通知する。可動機構制御部は、この通知により、モータ駆動部35とモータ駆動部35´の制御駆動を開始する。そして、全てのRFIDタグに対して登録済フラグの書込みが終了すると、リーダライタ制御部302はリーダライタ部31を制御してRFIDタグとの交信(書込サイクル)を終了し、可動機構制御部に対して書込サイクルを終了した旨を通知する。可動機構制御部は、この通知により、モータ駆動部35とモータ駆動部35´の制御駆動を止める。なお、書込サイクルにおけるRFIDアンテナ15の移動パターンは読取サイクルの移動パターンと同じとすることが望ましい。
続いて、変形例3として、RFIDアンテナを傾斜させる機構を読取装置に設けたセルフチェックアウト装置の形態について説明する。なお、上記実施形態や変形例1のセルフチェックアウト装置(読取装置を含む)の構成と共通する部分の説明は繰り返しになるため、変形例3の説明において適宜省略するものとする。
[変形例3]
図17は、変形例3の読取装置の移動機構を示す図である。
図17(a)は、移動機構の側面図である。
図17(b)は、図17(a)の移動機構のB−B´においての断面図である。
移動機構16Aは、RFIDアンテナを装着するステージの角度を変えられるように構成されている。
移動機構16Aは、主に、回転軸160Aと、回転軸160Aの軸受け161Aと、回転動力源としてのステッピングモータ162Aと、回転動力を回転軸160Aに伝達するカップリング163Aと、回転軸160Aに固定したカム167Aからなる回転機構と、更に、カム167Aに当接しながら往復直線運動を行う伝達部材168Aと、伝達部材168Aに連結されたステージ169Aにより構成されている。
回転軸160Aは、一端が軸受け161Aにより他端がカップリング163Aにより軸回転自在に水平に支持されている。また、ステッピングモータ162Aの出力軸162−1Aが、カップリング163Aにおいて回転軸160Aの上記他端と接続されている。この構成により、ステッピングモータ162Aの回転動力が出力軸162−1Aからカップリング163Aを介して回転軸160Aに伝達される。
カム167Aは、中央部に回転軸160Aの径と略同じ大きさの径をもつ貫通孔kを有し、この貫通孔kにおいて締り嵌めで回転軸160Aに固定されている。カム167Aの外周面167A−1は、回転軸160Aからの距離が位置に応じて変わる曲面で形成されている。
伝達部材168Aは、直方体の一組の端面が曲面に加工された形状のものである。この曲面に加工された一端面uがカム167Aの外周面167A−1をすべり対偶として摺動し、他方の端面u´がステージ169Aの後述する開口部169A−10との接触を回避する。
ステージ169Aは、RFIDアンテナを上面vに固定するためのものである。ステージ169Aは、一端に伝達部材168Aと連結するための連結部169A−1を有する。この連結部169A−1は、ステージ169Aに対して伝達部材168Aを回動自在に組み付けるためのものである。ここでは、ステージ169Aの一端に開口部169A−10を設け、開口部169A−10に通したピン169A−11に伝達部材168Aの貫通孔wを通すことにより、回動自在に連結する。ステージ169Aは、台170Aの上に支持部材171Aを介して設けられている。
支持部材171Aは、台170Aの上に固定されており、ステージ169Aの底面v´を重心部分で支持する。
台170Aは、伝達部材168Aの断面と略同じ形状の貫通孔zを有する平板であり、回転機構の上方に水平に設けられている。伝達部材168Aは台170Aの貫通孔zを介してカム167Aとステージ169Aに接続する。
この構成により、回転軸160Aの回転と共にカム167Aが回転し、カム167Aに形成された外周面167A−1から伝達部材168Aが入力を受け、伝達部材168Aは台170Aの貫通孔zにより移動方向を同図の上下方向に制限されながら、上下に往復直線運動を行う。ステージ169Aは、カム167Aの外周面167A−1により伝達部材168Aが上方へ押し上げられると、支持部材171Aを支点にして同図(b)に示す矢印qの方向に傾き、カム167Aの外周面167A−1により伝達部材168Aが下方へ押し下げられると、支持部材171Aを支点にして同図(b)に示す矢印q´の方向に傾く。従って、カム167Aが回転し続けると、ステージ169Aの傾斜の向きつまりRFIDアンテナの向きが順次変化する。
なお、変形例3の移動機構の制御回路、機能、動作は、上述した実施形態を参照されたい。
以上のように、本実施形態や各変形例のセルフチェックアウト装置は、RFIDアンテナと可動部を備え、可動部によりRFIDタグとの交信範囲を変えられるようにした。これにより、RFIDアンテナは、読み取りが困難な配置にあるRFIDタグのアンテナ面とのなす角度などを変えることができ、読み取りが困難な配置にあるRFIDタグの情報の取りこぼしを抑止できる。
買物カゴの中の商品のRFIDタグは、それぞれ、向きや配置がバラバラである。例えば衣料品などにおいては他の衣料品と混ぜこぜとなり、RFIDタグの向きは一定とはならない。一か所に固定したRFIDアンテナだけでは読み取りが苦手な角度のRFIDタグがあるとそれとは交信が行えないこととなる。
しかし、このような場合であっても、RFIDアンテナの可動により、RFIDアンテナとRFIDタグのアンテナ面との角度を変えられる、或いは電波の反射する方向を変えて電波環境を変えられるので、固定の位置では交信が行えないRFIDタグとの交信が行えるようになる。
従って、買物カゴの中の商品のRIFDタグの情報を一括で漏れなく読み取る技術が各段に向上する。
上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
実施形態のセルフチェックアウト装置は、収納室に収納された無線タグ付きの商品から該無線タグの情報を読み取る読取手段と、上記読取手段で上記無線タグの情報が読み取られた上記商品の販売登録および会計処理を行うデータ処理手段と、を備え、上記読取手段は、上記収納室の内部に、上記収納室に収納された上記商品から上記無線タグの情報を読み取る、上記無線タグとの交信範囲が一定の固定式アンテナ部と、上記無線タグとの交信範囲を変えながら、上記無線タグと上記固定アンテナ部との間の電波環境を変化させる、可動部を備えた少なくとも一つの可動式アンテナ部と、を有する複数のアンテナ部を備える、とともに、上記可動部は、上記固定式アンテナ部が上記無線タグと交信を行う間、上記可動式アンテナ部を移動させる。