JP2018131575A - プリフォーム用バインダー樹脂組成物、粒子、強化繊維基材、プリフォーム、および繊維強化複合材料 - Google Patents

プリフォーム用バインダー樹脂組成物、粒子、強化繊維基材、プリフォーム、および繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたプリフォームの層間接着性および形状固着性を発現可能なプリフォーム用バインダー樹脂組成物、それを用いた強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化複合材料を提供することにある。【解決手段】25℃での動的粘弾性測定による複素弾性率G*が100kPa〜30000kPaであり、25℃における引張強度が1MPa〜50MPaであるプリフォーム用バインダー樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、強化繊維のプリフォームの製造に用いられるバインダー樹脂組成物、およびそれを用いた粒子、強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化複合材料に関するものである。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を生かした材料設計ができるため、航空宇宙分野を始め、スポーツ分野、一般産業分野などに用途が拡大されている。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維などが用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などに硬化剤または硬化触媒を加えた樹脂組成物が用いられる。
繊維強化複合材料は様々な方法で製造されるが、型内に配置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂を注入し、加熱硬化して繊維強化複合材料を得るRTM(Resin Transfer Molding)法が、低コスト生産性にすぐれた方法として注目されている。
RTM法で繊維強化複合材料を製造する場合、強化繊維基材を所望の製品と近い形状に加工したプリフォームを予め作製し、このプリフォームを型内に設置して液状熱硬化性樹脂を注入することが多い。
プリフォームの作製方法には、強化繊維を用いて3次元ブレイドを作製する方法や、強化繊維織物を積層してステッチする方法など、いくつかの方法が知られている。汎用性の高い方法として、ホットメルト性のバインダー(タッキファイヤー)を用いて強化繊維織物などの基材を積層し、賦形する方法が知られている。
バインダーとしては、汎用的な高分子量エポキシ樹脂を使用することができるが、高分子量エポキシ樹脂では、プリフォームの取り扱い時、層間が剥離される方向に力がかかりやすいプリフォームの凸部では基材層間の接着性が不足する場合があった。
特許文献1には熱可塑性エラストマーを含み、強化繊維複合材料とした時の耐衝撃性に優れるバインダー樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、液状エポキシ樹脂とポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂を組み合わせた、融点が0〜20℃のバインダー樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂からなり、強化繊維複合材料とした時の特性に優れるバインダー樹脂組成物が開示されている。
特許文献4には、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホン/ポリエーテルエーテルスルホンの共重合体樹脂からなり、可撓性のあるプリフォームを作製可能なバインダー樹脂組成物が開示されている。
特開2013−181112号公報 特開2009−235182号公報 特表2001−524171号公報 特表2004−514758号公報
前述の特許文献1に開示されたバインダー樹脂組成物は、室温でガラス状固体であり、層間が剥離される方向に力がかかりやすいプリフォームの凸部では接着性が不足する場合があった。
また前述の特許文献2に示すバインダー樹脂組成物は、室温で流動性があるため、接着性やプリフォームの形状固着性に劣るものであった。
さらに特許文献3に開示されたバインダー組成物も、室温でガラス状固体であり、接着性に劣るものであった。
特許文献4に開示されたバインダー組成物は、可撓性のあるプリフォームを作製可能であるが、やはり接着性に劣るものであった。
本発明の目的は、係る従来技術の欠点を改良し、優れたプリフォームの層間接着性および形状固着性を発現可能なプリフォーム用バインダー樹脂組成物、それを用いた粒子、強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化複合材料を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は以下である。
(1) 25℃での動的粘弾性測定による複素弾性率Gが100kPa〜30000kPaであり、25℃における引張強度が1MPa〜50MPaであるプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
(2) 前記(1)に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物からなる粒子。
(3) 前記(1)に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物を、強化繊維基材の少なくとも一方の表面に有するバインダー付強化繊維基材。
(4) 前記(3)に記載のバインダー付強化繊維基材が積層されたプリフォーム。
(5) 前記(4)に記載のプリフォームと熱硬化性樹脂の硬化物からなる繊維強化複合材料。
本発明によれば、プリフォーム用バインダー樹脂組成物が、常温における変形性を有し、プリフォームの層間の剥離に対する荷重が分散することで、優れたプリフォームの層間接着性および形状固着性を発現することができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
本発明に係るプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、25℃での動的粘弾性測定による複素弾性率Gが100kPa〜30000kPaであり、25℃における引張強度が1MPa〜50MPaであるプリフォーム用バインダー樹脂組成物である。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物が、前記のレオロジー特性(ここで前記のレオロジー特性とは、複素弾性率Gが100kPa〜30000kPaであることを意味する。)および引張強度であることにより、常温でのプリフォーム取り扱い時に層間が剥離する力が働いた場合でも、該バインダー樹脂組成物が変形して荷重を分散させるため、プリフォームの層間の接着性に優れ、十分なプリフォームの形状固着性を発現することができる。
本発明に係るプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、25℃での動的粘弾性測定による複素弾性率Gが100kPa〜30000kPaであり、1000kPa〜15000kPaであることが好ましい。プリフォーム用バインダー樹脂組成物の複素弾性率Gは、バインダー樹脂組成物の変形に重要な値であり、Gが100kPaを下回る場合、バインダー樹脂が柔らかすぎ、プリフォームの形状固着が難しくなる。一方、Gが30000kPaを越える場合、バインダー樹脂の変形が小さく、プリフォームの層間接着性が不足する場合がある。
バインダー樹脂の複素弾性率Gは、動的粘弾性測定により求めることができる。動的粘弾性測定装置としては、例えば、ARES−G2(TA Instruments社製)などを用いて測定できる。樹脂サンプルを8mmのパラレルプレートにセットし、0〜200℃の温度で0.5Hzの牽引周期を加えながら5℃/分で昇温して複素弾性率Gを測定する。
本発明に係るプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、25℃における引張強度が1MPa〜50MPaであり、5MPa〜40MPaであることが好ましい。25℃における引張強度は、プリフォーム層間の接着強度の発現に重要であり、引張強度が1MPa未満の場合、接着性が不十分となる場合がある。一方、引張強度が50MPaを超える場合、一度作製したプリフォームのリペアが不可能となる場合がある。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物の引張強度は、JIS K 6251(2010)に基づき測定することができる。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、軟化温度が50〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましい。バインダー樹脂組成物の軟化温度が50℃より低い場合、作製したプリフォームを常温で取り扱う際に、プリフォームの形状固着が難しくなる場合がある。バインダー樹脂組成物の軟化温度が200℃よりも高い場合、バインダーが軟化しにくく、十分な層間接着性が得られない場合がある。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物の軟化温度は、動的粘弾性測定により測定することができる。動的粘弾性測定装置としては、例えば、ARES−G2などを用いて測定できる。樹脂サンプルを8mmのパラレルプレートにセットし、0〜200℃の温度で0.5Hzの牽引周期を加えながら5℃/分で昇温して測定した複素粘度ηが10000Pa・sとなる温度を軟化温度として測定する。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物は、25℃における引張破断伸び率が100%〜1000%であることが好ましく、300〜1000%であることがより好ましい。プリフォーム用バインダー樹脂組成物の25℃における引張破断伸び率が100%よりも小さい場合、プリフォーム層間の接着性が不十分となる場合がある。一方、引張破断伸び率が1000%よりも大きい場合、一度作製したプリフォームのリペアが不可能となる場合がある。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物の25℃における引張破断伸び率は、JIS K 6251(2010)に基づき測定することができる。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物が前記の好適な複素弾性率、引張強度、軟化温度、引張破断伸び率の特性を有するために、本発明に係るプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
ここで熱可塑性エラストマーとはブロック共重合体であり、25℃未満のガラス転移温度と25℃以上の融点を有する。そのため、融点以上に加熱すると流動性を示し、ガラス転移温度と融点の間の温度まで冷却するとゴム弾性を示すポリマーである。
なお、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度および融点は、JIS K 7121(1987)に従って、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。測定すべき試料をアルミニウム製のサンプルパンに採取し、窒素雰囲気下において、10℃/minの昇温速度で測定を行う。得られたDSC曲線における各ベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と,ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度とし、融解による吸熱ピークの頂点の温度を融点として求めることができる。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物に熱可塑性エラストマーを含むことで、該熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性を有するので、バインダー樹脂組成物が常温で変形性を有しながら、優れた引張強度を発現できる。
熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーから選ばれる1種または複数種を使用することができる。
これらの中でも特にウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマーは、常温での変形性や基材との接着性などのバランスに優れるため、熱可塑性エラストマーとして好適に使用することができる。
熱可塑性エラストマーは、プリフォーム用バインダー樹脂組成物100質量%中に70質量%〜100質量%含まれることが好ましく、80質量%〜100質量%含まれることがより好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量が70質量%未満の場合、常温での十分な変形性が得られず、接着性が不足する場合がある。
なお、プリフォーム用バインダー樹脂組成物の軟化点は、配合する熱可塑性エラストマーの重量平均分子量、およびバインダー樹脂組成物に配合する他の成分の種類や配合量により制御することができる。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物には、熱可塑性エラストマーの他に、種々の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を含むことが出来る。
バインダー樹脂組成物の成分に用い得る熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。
特にエポキシ樹脂は、強化繊維基材との接着性および繊維強化複合材料とする時のマトリックス樹脂との親和性の観点に加え、バインダー樹脂の軟化温度を調整するために好ましく用いられる。
バインダー樹脂組成物の成分に用い得る熱可塑性樹脂として、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコールおよびフェノキシ樹脂などが挙げられる。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物には、その他の成分を更に含んでいても良い。例えば、各種フィラーや硬化剤、硬化触媒、酸化防止剤などである。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物の形態としては、特に限定されるものではないが、フィルム、テープ、長繊維、短繊維、紡績糸、織物、ニット、不織布、網状体、粒子などの形態を採用することができる。中でも本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、粒子形態が特に好適に使用できる。なお、粒子形態のバインダー樹脂組成物を、以下、バインダー粒子ともいう。
プリフォーム用バインダー樹脂組成物の形態が粒子形態である場合、その平均粒径は10〜1000μmであることが好ましい。ここで、平均粒径は、体積平均粒子径を指す。平均粒径が10μmよりも小さい場合は、接着強度および作業性が低下する場合がある。平均粒径が1000μmよりも大きい場合はプリフォームとした時に強化繊維にうねりが生じて繊維強化複合材料の機械物性が低下すると言った問題が生じる。
バインダー粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折型粒度分布計等を用いて測定することができる。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、強化繊維基材に付着させて用いられる。つまり本発明のバインダー付強化繊維基材は、強化繊維基材の少なくとも一方の表面にプリフォーム用バインダー樹脂組成物を有する。
強化繊維基材に用いられる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維など、あるいはこれらを組合せたものが使用できる。中でも、炭素繊維は軽量性や強度に優れているため好適に用いることができる。
強化繊維は、短繊維および連続繊維のいずれであってもよく、両者を併用してもよい。高Vfの繊維強化複合材料を得るためには、連続繊維が好ましい。
強化繊維基材の形態としてはストランド、マット、織物、ニット、ブレイド、一方向シート等の形態が好適に用いられる。該バインダー樹脂組成物は、上記強化繊維基材の形態を安定的に保つ効果も得られる。
中でも、高Vfの繊維強化複合材料が得やすく、かつ取扱い性に優れた織物が好適に用いられる。織物の織組織としては、平織り、朱子織り、綾織り、ノンクリンプクロスなどが適宜選択できる。得られた繊維強化複合材料において、クリア塗装により強化繊維の織り目を意匠面に見せる場合には、平織りや綾織りを用いると意匠性が高くなる。また、朱子織りや綾織りの織布はドレープ性が良いため、奥行きの深さが深い3次元形状を賦形する場合に好適に使用される。
織物の見かけ体積に対する、強化繊維の正味の体積の比を織物の充填率とする。織物の充填率は、目付W(単位:g/m)、厚みt(単位:mm)、強化繊維の密度ρf(単位:g/cm)からW/(1000t・ρf)の式により求められる。織物の目付と厚みはJIS R 7602(1995)に準拠して求められる。織物の充填率が高い方が高Vfの繊維強化複合材料を得やすいため、織物の充填率は、好ましくは0.10〜0.85、より好ましくは0.40〜0.85、さらに好ましくは0.50〜0.85の範囲内である。
得られる繊維強化複合材料が高い比強度、あるいは比弾性率を持つためには、その繊維体積含有率Vfが、40〜85%、好ましくは45〜85%の範囲内であることが好ましい。なお、ここで言う、繊維強化複合材料の繊維体積含有率Vfとは、ASTM D3171(1999)に準拠して、以下により定義され、測定される値であり、強化繊維基材に対して液状熱硬化性樹脂を注入および硬化した後の状態における値をいう。すなわち、繊維強化複合材料の繊維体積含有率Vfの測定は、繊維強化複合材料の厚みhから、下記(式1)を用いて表すことができる。
繊維体積含有率Vf(%)=(Af×N)/(ρf×h)/10 ・・・(式1)
Af:強化繊維基材1枚・1m当たりの質量(g/m
N:強化繊維基材の積層枚数(枚)
ρf:強化繊維の密度(g/cm
h:繊維強化複合材料(試験片)の厚み(mm)。
なお、強化繊維基材1枚・1m当たりの質量Afや、強化繊維基材の積層枚数N、強化繊維の密度ρfが明らかでない場合は、JIS K 7075(1991)に基づく燃焼法もしくは硝酸分解法、硫酸分解法のいずれかにより、繊維強化複合材料の繊維体積含有率を測定する。この場合に用いる強化繊維の密度は、JIS R 7603(1999)に基づき測定した値を用いる。
本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物を強化繊維基材の少なくとも一方の表面に付着させる場合は、少なくとも片面に0.5〜30g/m、好ましくは1〜10g/mの目付で付着していることが好ましい。目付が0.5g/mよりも少ないと、形態固定や高靭性化の効果が少なく、30g/mよりも多いと、強化繊維ストランドあるいは強化繊維基材の見かけ体積が大きくなるため、強化繊維の体積含有率の大きい繊維強化複合材料の製造が困難になる、あるいは熱硬化性樹脂の含浸性が乏しくなるなどの不利が生じる。
本発明のプリフォームは、本発明のバインダー付強化繊維基材が積層されたものである。より具体的には、前記したバインダー樹脂組成物を少なくとも一方の表面に有する強化繊維基材を積層し、形態を固定したものである。バインダー付強化繊維基材は、強化繊維基材の少なくとも片面にプリフォーム用バインダー樹脂組成物が付着しており、通常、複数枚積層して加熱することにより、バインダー樹脂組成物が軟化し、層間を接着した後、冷却して強化繊維基材間を固着させることにより形態が固定されている。
プリフォームは、バインダー樹脂組成物が付着したシート状の強化繊維基材を型の上で積層し、適切な熱と圧力を加えることにより作製することができる。加圧の手段はプレスを用いることもできるし、真空バッグフィルムで囲って内部を真空ポンプで吸引して大気圧により加圧する方法を用いることもできる。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリフォームと熱硬化性樹脂の硬化物からなる。つまり本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物を含むプリフォームに液状熱硬化性樹脂を含浸させた後、該液状熱硬化性樹脂を硬化させることにより、繊維強化複合材料を作製することができる。
繊維強化複合材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、ハンドレイアップ法、RTM法などの2液型樹脂を用いる成形方法が好適に用いられる。これらのうち、生産性や成形体の形状自由度といった観点で、特にRTM成形法が好適に用いられる。RTM成形法とは、成形型内に配置した強化繊維基材に液状熱硬化性樹脂を注入し硬化して強化繊維複合材料を得るものである。
液状熱硬化性樹脂は、主にモノマー成分からなる液状樹脂とモノマー成分を3次元架橋させてポリマー化する硬化剤あるいは硬化触媒とからなる。
該液状樹脂としては、本発明のプリフォーム用バインダー樹脂組成物との接着性などの点からエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、水酸基を複数有するフェノールから得られる芳香族グリシジルエーテル、水酸基を複数有するアルコールから得られる脂肪族グリシジルエーテル、アミンから得られるグリシジルアミン、カルボキシル基を複数有するカルボン酸から得られるグリシジルエステル、オキシラン環を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、イミダゾール、ルイス酸錯体等が適しており、目的用途により適宜選択して用いる。
成形型内に液状熱硬化性樹脂を注入した後に、加熱硬化を行う。加熱硬化時の型の温度は、液状熱硬化性樹脂の注入時における型の温度と同じでも良いが、低温における硬化の場合、脱型の際に繊維強化複合材料が変形しない程度の剛性が得られるまで硬化を進めるのに時間がかかる場合があるため、注入時の型の温度より高い温度を選ぶことが好ましく、例えば60〜180℃の範囲が好ましい。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明する。
〈樹脂原料〉
各実施例の樹脂組成物を得るために、以下の樹脂原料を用いた。なお、表における樹脂組成物の含有割合の単位は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
熱可塑性エラストマー
・“エラストラン”(登録商標)1180A10(BASF製):ウレタン系エラストマー、ガラス転移温度:−40℃、融点:99℃
・“タフテック”(登録商標)H1221(旭化成(株)製):スチレン系エラストマー、ガラス転移温度:−36℃、融点:74℃
・“タフテック”(登録商標)H1052(旭化成(株)製):スチレン系エラストマー、ガラス転移温度:−51℃、融点:52℃
・“アサプレン”(登録商標)T−439(旭化成(株)製):スチレン系エラストマー、ガラス転移温度:−60℃、融点:82℃
・“EXCELINK”(登録商標)1301N(JSR(株)製):オレフィン系エラストマー、ガラス転移温度:−43℃、融点:140℃
・“RB”(登録商標)810(JSR(株)製):ポリブタジエン系エラストマー、ガラス転移温度:−15℃ 、融点:52℃
熱硬化性樹脂
・“jER” (登録商標)828(三菱化学(株)製):液状ビスフェノールA型 エポキシ樹脂
・“jER” (登録商標)1007(三菱化学(株)製):固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂
熱可塑性樹脂
・YP−50(新日鉄住金化学(株)製):フェノキシ樹脂
〈バインダー樹脂組成物の調製〉
表1に記載した原料と配合比で熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を180〜250℃で1時間加熱攪拌することにより均一に混合し、プリフォーム用バインダー樹脂組成物を調製した。
〈バインダー樹脂組成物の複素弾性率G、軟化温度の測定〉
バインダー樹脂組成物を試料として、動的粘弾性測定により求めた。測定装置にはARES−G2(TA Instruments社製)を使用した。樹脂サンプルを8mmのパラレルプレートにセットし、0.5Hzの牽引周期を加え、昇温速度5℃/分で、0〜200℃の温度範囲で測定し、25℃における複素弾性率G、および複素粘度ηを測定した。得られたηが10,000Pa・sとなる温度を軟化温度として求めた。
〈バインダー樹脂組成物の引張強度、引張破断伸び率の測定〉
バインダー樹脂組成物を用いて、JIS K 6251(2010)に従って、ダンベル状3号形試験片を作製し、25℃における引張強度および25℃における引張破断伸び率を測定した。測定は5回行い、その平均値を引張強度および引張破断伸び率とした。
〈バインダー粒子の作製〉
調製したプリフォーム用バインダー樹脂組成物をハンマーミル(PULVERIZER、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、孔サイズ1mmのスクリーンを使用し、液体窒素を用いて凍結粉砕して粒子を得た。得られた粒子を目開きサイズ300μmの篩いに通すことで粗大な粒子を排除し、プリフォーム用バインダー粒子を得た。軟化温度が室温以下のプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、液体窒素を用いて凍結させた後、ハンマーで粉砕して粒子を得た。
〈プリフォームの作製〉
前述のように作製したバインダー粒子を炭素繊維織物(”トレカ(登録商標)”クロスCO6343、炭素繊維:T300−3K、組織:平織、目付:198g/m、東レ(株)製)の片面に6g/mの散布量で散布した後、表面を遠赤ヒーターを用いて加熱することによりバインダー付強化繊維基材を得た。バインダー付強化繊維基材を2枚重ね、50kPaの圧力を加えながら使用したバインダー粒子の(軟化温度+20)℃で30秒間加熱することによりプリフォームを作製した。
〈プリフォームの接着強度評価〉
上記のようにして作製したプリフォームについて、強化繊維基材間の引き剥がし試験を行った。試験はJIS K6854(1977)に従い、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて実施した。試験片は作製したプリフォームを長さ150mm(接着部分は100mm)、幅25mmにカットして仕上げた。同一試験に用いる試験片の数は5個とし、試験結果にはその平均値を使用した。引っ張り速さは50mm/分とした。
〈実施例1〉
表1の配合比に従って、前記したようにして調製したプリフォーム用バインダー樹脂組成物の複素弾性率Gおよび引張強度、軟化温度の測定を行った。また、そのプリフォーム用バインダー樹脂組成物を用いて作製したバインダー粒子を用い接着強度評価を行った
実施例1では、ウレタン系エラストマーをバインダー粒子として使用した。このバインダー粒子は、室温で十分に変形するため、表1に示す優れた接着強度が得られた。
〈実施例2〜4〉
実施例2〜4では、スチレン系エラストマーをバインダー粒子として使用した。いずれのバインダー粒子も、室温での変形性が十分に得られ、十分な接着強度が得られた。
〈実施例5〉
実施例5では、オレフィン系エラストマーをバインダー粒子として使用した。このバインダー粒子は、軟化温度が高いが、室温での変形性があり十分な接着強度が得られた。
〈実施例6〉
実施例6では、ポリブタジエン系エラストマーをバインダー粒子として使用した。このバインダー粒子は、室温での変形性が十分に得られ、優れた接着強度が得られた。
〈実施例7〉
実施例7では、ポリブタジエン系エラストマー70質量%と固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂30質量%からなるバインダー粒子を使用した。このバインダー粒子は、室温での変形性が十分であり、優れた接着強度が得られた。
〈比較例1〉
実施例1と同様にして表1に示す配合比でプリフォーム用バインダー樹脂組成物の調製および評価並びにプリフォームの作製および評価を行った。
比較例1では、固形エポキシ樹脂をバインダー粒子として使用した。このバインダー粒子は室温での変形性がないため、接着強度は不十分であった。
〈比較例2〉
比較例2では、ウレタン系エラストマー20質量%と固形エポキシ樹脂80質量%からなるバインダー粒子を使用した。このバインダー粒子は熱可塑性エラストマーを少量含むが、室温での変形性がないため、接着強度は不十分であった。
〈比較例3〉
比較例3では、ウレタン系エラストマー20質量%と液状エポキシ樹脂80質量%からなるバインダー粒子を使用した。このバインダー粒子は室温で変形性があるが、流動性があるため、接着強度は不十分であった。
Figure 2018131575

Claims (9)

  1. 25℃での動的粘弾性測定による複素弾性率Gが100kPa〜30000kPaであり、25℃における引張強度が1MPa〜50MPaであるプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  2. 熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性エラストマーの含有量が70質量%〜100質量%である、請求項2に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性エラストマーが、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、及びポリブタジエン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2または3に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  5. 25℃における引張破断伸び率が100%〜1000%である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物からなる粒子。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物を、強化繊維基材の少なくとも一方の表面に有するバインダー付強化繊維基材。
  8. 請求項7に記載のバインダー付強化繊維基材が積層されたプリフォーム。
  9. 請求項8に記載のプリフォームと熱硬化性樹脂の硬化物からなる繊維強化複合材料。
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