JP2018122562A - ガスバリアフィルム積層体 - Google Patents
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(1)前記ガスバリア性被膜層表面を、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定した時に水溶性高分子の炭素−炭素結合(C−C)と炭素−水酸基結合(C−OH)の官能基比D=(C−OH/C−C)が、0.35以上0.77以下。
(2)前記ガスバリア性被膜層表面の水に対する接触角が28度〜40度。
の層間に変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層を備え、ガスバリア性被膜層の表面状態を特定の官能基比D=(C−OH/C−C)と水に対する接触角を有する表面としたので、熱可塑性樹脂層を溶融押出しラミネートした場合に、ガスバリア性被膜層と、接着性樹脂層を介した熱可塑性樹脂層との密着強度に優れたガスバリア積層体が得られる。このため、本発明のガスバリアフィルム積層体は、食品等の内容物を密封包装するための包装容器製造用の包装フィルム材料として使用可能であり、さらにボイル処理やレトルト等の加熱殺菌処理を行っても、密着強度の低下を抑えることが可能なガスバリア積層体となる。
図1は、本発明の第1の実施形態のガスバリアフィルム積層体20を説明する模式断面図である。本実施形態のガスバリアフィルム積層体20は、プラスチックフィルム基材1の一面に無機酸化物蒸着層2とガスバリア性被膜層3(無機酸化物蒸着層2はガスバリアフィルム積層体の用途に応じ省略可能)とが順次形成されたガスバリアフィルム10のガスバリア性被膜層3の上に、変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層4が形成されている。接着性樹脂層4は溶融押出しラミネート法により形成される。
図2は、本発明の第2の実施形態のガスバリアフィルム積層体30を説明する模式断面図である。第2の実施形態のガスバリアフィルム積層体30は、本発明の第1の実施形態のガスバリアフィルム積層体20の接着性樹脂層4の上に、さらに熱可塑性樹脂層5が積層されている。
プラスチックフィルム基材1は、ガスバリアフィルムの基材として、一般的に用いられるものであれば何でもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエ
チレンナフタレート(PEN)などのポリエステル(飽和ポリエステル)フィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。またフィルム基材1は、延伸、未延伸のどちらでも良く、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
プラスチックフィルム基材1には、ガスバリア性を持たせるために、無機酸化物蒸着層2を形成することができる。無機酸化物蒸着層2は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、且つ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよい。各種加熱殺菌耐性を配慮すると、これらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし本発明の蒸着層である無機酸化物蒸着層2は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば、適宜に用いることが可能である。
次に、ガスバリア性被膜層3について説明する。ガスバリア性被膜層3は、水溶性高分子と無機化合物で形成されている。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にはガスバリアフィルム10のガスバリア性が最も優れるので好ましい。
り、285.0eV付近にC−C結合の結合ピーク31が現れ、286.5eV付近にC−OH結合の結合ピーク32が現れる。
接着性樹脂層4としては、変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂を用いる。変性ポリオレフィンは、オレフィン重合体に不飽和カルボン酸もしくはその誘導体のモノマーをグラフト反応させてグラフト変性して得られたオレフィン重合体グラフト変性物が好ましい。
的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸‐N‐モノエチルアミド、マレイン酸‐N,N‐ジエチルアミド、マレイン酸‐N‐モノブチルアミド、マレイン酸‐N,N‐ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸‐N‐モノエチルアミド、フマル酸‐N,N‐ジエチルアミド、フマル酸‐N‐モノブチルアミド、フマル酸‐N,N‐ジブチルアミド、マレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等を挙げることができる。
第2の実施形態のガスバリアフィルム積層体30では、第1の実施形態のガスバリアフィルム積層体20の接着性樹脂層4の上に、さらに熱可塑性樹脂層5が積層される。熱可塑性樹脂としては溶融押出しラミネート法にて積層ラミネートが可能であれば特に制限はないが、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。これらは単体、もしくは2種類以上混合したブレンド物であってもよい。熱可塑性樹脂層5は、接着性樹脂層4と共押出方式にて多層ラミネートすることも可能である。さらに熱可塑性樹脂層5上には他のプラスチックフィルムを積層させることも可能である。
以下のように、第2の実施形態(図2参照)のガスバリアフィルム積層体30を作製した。プラスチックフィルム基材1としての厚さ12μmのPETフィルムの一方の面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により金属アルミニウムを蒸発させ、これに酸素ガスを導入して無機酸化物蒸着層2として厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着した。この酸化アルミニウム上に、下記に示すA液とB液を配合比(wt%)60/40に混合した溶液をグラビアコート法により塗布して乾燥させ、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層3を形成して、ガスバリアフィルム10を作製した。
B液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水/イソプロピルアルコール重量比=90/10)。
上記実施例1において、ガスバリア性被膜層3を塗布形成した後に、表面処理として印加電力60W、プラズマ密度E=100W・sec/m2の条件でRIEによるプラズマ処理を施した以外は、実施例1と同じ条件としてガスバリアフィルム積層体30を作製した。なお処理ガスにアルゴン/酸素混合ガスを用い、処理ユニット圧力を2.0Paとし
、自己バイアスは300Vであった。
上記実施例1と同じ条件でプラズマ処理を行ったガスバリア性被膜層3上に厚さ5μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体と厚さ20μmのポリプロピレンを共押出ラミネーションを行い、変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層4、及びポリプロピレンからなる熱可塑性樹脂層5を形成した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体30を作製した。
上記実施例1の条件において、ガスバリア性被膜層3の表面処理を行わない以外は、実施例1と同じ条件としてガスバリアフィルム積層体を作製した。
上記実施例1の条件において、ガスバリア性被膜層3に、表面処理として印加電力500W、放電量10W・min./m2の条件でコロナ処理を施した以外は、実施例1と同じ条件としてガスバリアフィルム積層体を作製した。
上記実施例1の条件において、ガスバリア性被膜層3上に厚さ20μmの低密度ポリエチレンを押出温度320℃にて押出ラミネーションを行い熱可塑性樹脂層5のみを形成した以外は実施例1と同じ条件として、変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層4を持たないガスバリアフィルム積層体を作製した。
実施例1〜3、比較例1〜3のガスバリアフィルム積層体のガスバリア性被膜層3(比較例1以外は表面処理後)に対し、XPS測定にて表面分析を行った。測定に用いたX線光電子分光装置(日本電子株式会社製)のX線源としては、非単色化MgKα(1253.6eV)を使用、出力は100W(10kV−10mA)で測定した。C1s波形の波形分離解析には、ガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用し、帯電補正はC−C結合の結合ピーク強度31(図3参照)を、285.0eVとして補正した。波形分離解析よりC−C結合とC−OH結合の結合ピーク強度を求め、これらの値より官能基比D=(C−OH/C−C)を求めた。
実施例1〜3、比較例1〜3のガスバリアフィルム積層体のガスバリア性被膜層3(比較例1以外は表面処理後)の水に対する接触角θを日本工業規格JIS−R3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」の中の静滴法で規定されている試験方法に従って、試験測定器(協和界面科学(株)製、「CA−V型」)を用いて測定した。
実施例1〜3、比較例1〜3のガスバリアフィルム積層体のガスバリア性被膜層3と接着性樹脂層4(比較例3は熱可塑性樹脂層5)とのラミネート強度を、日本工業規格JIS−K6854−3:1999「接着剤―剥離接着強さ試験方法−第3部:T型剥離」で規定されている試験方法に従って、試験測定機(オリエンテック社製、テンシロン万能試験機RTC−1250)を用いて測定した。測定の際は、常態ラミネート強度及び剥離面に水を塗布しながらの水付けラミネート強度を測定した。
2・・・・無機酸化物蒸着層
3・・・・ガスバリア性被膜層
4・・・・変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層
5・・・・熱可塑性樹脂層
10・・・ガスバリアフィルム
20・・・ガスバリアフィルム積層体(第1の実施形態)
30・・・ガスバリアフィルム積層体(第2の実施形態)
31・・・C−C結合ピーク
32・・・C−OH結合ピーク
Claims (5)
- プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、水溶性高分子と無機化合物とからなり、以下に示す(1)、(2)の両方を満たす表面状態を持つガスバリア性被膜層を設け、さらにガスバリア性被膜層の上に変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層を積層したことを特徴とするガスバリアフィルム積層体。
(1)前記ガスバリア性被膜層表面を、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定した時に水溶性高分子の炭素−炭素結合(C−C)と炭素−水酸基結合(C−OH)の官能基比D=(C−OH/C−C)が、0.35以上0.77以下。
(2)前記ガスバリア性被膜層表面の水に対する接触角が28度〜40度。 - 前記変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂層が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンであることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリアフィルム積層体。
- 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項1、または2に記載のガスバリアフィルム積層体。
- 前記無機化合物が1種類以上の金属アルコキシドの加水分解物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルム積層体。
- 前記プラスチックフィルム基材と前記ガスバリア性被膜層との間に、厚さ5〜100nmの無機酸化物蒸着層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリアフィルム積層体。
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