JP2018109026A - 易服用性固形製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】服用性を改善した易服用性経口用製剤、及び/又は溶出性を改善した易服用性製剤に用いられるコーティング用組成物の提供。
【解決手段】金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマー、及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤;多価金属化合物;並びに、キサンタンガム、グアガム及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、服用性を改善した易服用性経口用製剤、及び/又は溶出性を改善した易服用
性製剤に用いられるコーティング用組成物に関する。
現在、医薬品は経口投与製剤の占める割合が高く、その中でも固形製剤が主流であるが
、中には服用量の多い製剤が多く存在し、これらの製剤はシングルユニットの錠剤とした
場合は大型化し、散剤・顆粒剤とした場合は密度が低いため嵩高い製剤となり、嚥下機能
の低い子供や老人にとって服用が困難な場合が多い。
錠剤の服用性を高めるために口腔内速崩壊錠の技術が開発されたが、錠剤全体に対する
主薬の含有量が少ないため、主薬の含有量が多い製剤には不向きである。口腔内速崩壊錠
を大きくした場合、崩壊後の口腔内での異物感が大きくなってしまう。更に主薬に苦味等
の不快味がある場合はマスキングが困難であるなど課題が多い。
また、服用性が良好な剤形として液剤やゼリー剤等の製剤も提案されているが、これら
の剤形にしても主薬の含量が高い場合には味のマスキングが困難で、更に水中での安定性
の担保という課題を抱えている。
服用量の多い製剤の例として陰イオン交換樹脂であるコレスチミドを活性成分とするコ
レステロール低下剤があり、製剤をコンパクトにして服用しやすいようにするためにマル
チユニット製剤 (ミニタブレット分包剤)が開発され販売されている。特許第 38835
05号 (特許文献1)では、コレスチミドのマルチユニット製剤 (ミニタブレット)の服用
性を改善するために水溶性高分子セルロースでコーティングした後にエチルセルロースで
コーティングすることで、口腔内でミニタブレットが崩壊・凝集して服用性が悪化するの
を防ぐことができるとの記載がある。しかし、錠剤の滑りを良くして嚥下しやすくする技
術に関する記載は見当たらない。
近年、固形剤を嚥下しやすくする手法として、粘膜の滑りが良好なゲル化剤を用いた技
術が開発されつつある。例えば特表2000−516222 (特許文献2)では顆粒、ペ
レット及びミニタブレットにおいて内層に高粘度のゲル化剤を、外層に低粘度のゲル化剤
をコーティングすることで口腔内でのまとまり、苦味マスキング及び易嚥下性を改善した
製剤が記載されている。しかし、ここに開示されている方法では、ゲル形成までに長い時
間がかかり、形成されたゲルは粘膜への付着性が高くなるという欠点を有する。
特開2002−275054(特許文献3)にはゲル化剤にキサンタンガムを用いコー
ティング固形分組成を100部とした場合40部以上の糖アルコールを添加したコーティ
ング液でコーティングされた嚥下しやすい錠剤の記載がある。このコーティングは、口腔
内に含んだときにぬめり感、べたつき感がなく粘膜の滑り感が良好とされるが、キサンタ
ンガム単独では口腔内で形成されたゲルが柔らかすぎ、苦味マスキングが不十分で粘膜の
滑り感の点でも更なる改善が求められる。
特許第 4267926号 (特許文献4) にゲル化するフィルム剤が開示されている。
このフィルム剤は、薬物層を多価金属塩で架橋したカルボキシビニルポリマー層で挟んだ
シート状の製剤であり、口腔内で速やかにゲル化し、喉等への引っ掛かりも少なく、苦味
もマスキングされると記載されている。しかし、錠剤や顆粒剤のコーティングに関しては
開示されていない。本技術のカルボキシビニルポリマーは多価金属イオンにより架橋され
た非常に粘度の高い溶液として製造工程に供されるため、錠剤や顆粒剤へのスプレーコー
ティングが困難と考えられる(後述する参考例1参照)。そのため、本技術で製造され得
るのはフィルム剤であり、塗布という特殊なプロセス及び装置が必要であり、錠剤や顆粒
剤のコーティングに比べて製造コストが高くなる傾向にある。さらに、後述の参考例2に
記載する通り、スプレーコーティング可能なように本技術を改良して製造したコーティン
グミニタブレットは、実用上満足すべき嚥下容易性を得られなかった。
一方、ゲル化剤でコーティングを行った場合、消化管内でゲルが形成されると薬物の拡
散が抑えられ溶出遅延が起きることが懸念される。特開平11−60472 (特許文献5
)ではメチルセルロースでコーティングした易嚥下コーティング錠において、糖類を添加
することで溶出遅延を防止できるとの開示がある。しかし、このコーティング錠ではミニ
タブレット化した場合の口腔内でのまとまり感は期待できない。
このように、ゲル化剤でコーティングした製剤において薬物の溶出遅延を防止すること
は大きな課題である。
特許第3883505号 特表2000−516222号 特開2002−275054号 特許第4267926号 特開平11−60472号
以上のように、経口投与製剤、特に服用量の多い錠剤等の製剤において、苦味等の不快
味のマスキング効果や、良好な嚥下性を有し、さらには製造が容易なコーティング製剤の
提供が望まれている。また、溶出性が改善されたコーティング製剤の提供も望まれている
。これらの性質をいずれか1つ以上、好ましくは全てを有するコーティング製剤、および
それを製造するためのコーティング用組成物を提供することが課題となっている。
本発明者らは、上記問題に鑑み、経口用製剤の服用性を改善することを目的に鋭意検討
した結果、増粘剤としてカルボキシビニルポリマー等の第1の増粘剤とキサンタンガム等
の第2の増粘剤とを組み合わせ、粘度調節剤として少量の多価金属化合物を加えたコーテ
ィング用組成物で錠剤等の経口用固形物を被覆することで、不快味がマスキングされ、更
に粘膜を滑りやすくなるため嚥下しやすくなることおよび製造が容易になることを見出し
た。また、本発明者らはコーティング用組成物にスクラロースを加えることで、不快味マ
スキング効果がより一層改善することを見出した。更に本発明者らはコーティング用組成
物にヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載する場合がある)、特
定の性質を有する糖または糖アルコールを加えることで嚥下後速やかに皮膜が崩壊し溶出
遅延を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の態様は以下のコーティング用組成物である。
[1−1]金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマー
およびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤;
多価金属化合物;ならびに、
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少な
くとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場
合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング用組成物。
[1−1a]カルボキシビニルポリマー、多価金属化合物及びキサンタンガムを含むコー
ティング用組成物。
[1−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキ
シビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムである前記[1−1]に記載のコーティン
グ用組成物。
[1−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[1−1a]に
記載のコーティング用組成物。
[1−3]さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む前記[1−1]
、[1−2]、[1−1a]、および[1−2a]のいずれか1項に記載のコーティング
用組成物。
[1−4]さらにHPMCを含む前記 [1−1]〜[1−3]、[1−1a]、および
[1−2a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−5] 第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%(溶媒を除
く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%で
あって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量
が10〜50質量%であることを特徴とする前記[1−4]に記載のコーティング用組成
物。
[1−5a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量
%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10
〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アル
コールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[1−4]に記載のコー
ティング用組成物。
[1−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して2〜15質量%で
あることを特徴とする前記[1−1]〜[1−5]のいずれか1項に記載のコーティング
用組成物。
[1−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して2〜
15質量%であることを特徴とする前記[1−1a]、[1−2a]、[1−3]、[1
−4]および[1−5a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−7] アルコールを溶媒として含むことを特徴とする[1−1]〜[1−6]、[
1−1a]、[1−2a]、[1−5a]および[1−6a]のいずれか1項に記載のコ
ーティング用組成物。
[1−8] さらにスクラロースを含む、前記[1−1]〜[1−7]、[1−1a]、
[1−2a]、[1−5a]および[1−6a]のいずれか1項に記載のコーティング用
組成物。
[1−9] 第1の増粘剤の含有量が3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以
下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの
含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前
記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[1−8
]に記載のコーティング用組成物。
[1−9a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%(溶媒を除く全成分中
の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、
スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量
%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とす
る前記[1−8]に記載のコーティング用組成物。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物によりコーティングした経口用組成物は、
滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マス
キング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様のコー
ティング用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。また別の好ましい態様のコーテ
ィング用組成物では、薬物核に容易にスプレーコーティングができ、乾燥も容易である。
また、本発明の第二の態様は以下の経口用組成物である。
[2−1] 有効成分を含有する薬物核と;
該薬物核に、
金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびア
ルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、
多価金属化合物、ならびに
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少な
くとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場
合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング
を有する経口用組成物。
[2−1a]有効成分を含有する薬物核と、該薬物核にカルボキシビニルポリマー、多価
金属化合物及びキサンタンガムを含むコーティングを有する経口用組成物。
[2−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキ
シビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[2−1]に記載の経口用組成物

[2−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[2−1a]に
記載の経口用組成物。
[2−3]前記コーティングがさらに 20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコール
を含む前記 [2−1]、 [2−2]、[2−1a]、および[2−2a]のいずれか1
項に記載の経口用組成物。
[2−4] 前記コーティングがさらにHPMCを含む前記[2−1]〜[2−3]、[
2−1a]、および[2−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−5] 第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%(コーティ
ング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜4
0質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコー
ルの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[2−4]に記載の経口用組
成物。
[2−5a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量
%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含
有量が10〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖
又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[2−4]に
記載の経口用組成物。
[2−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して2〜15質量%で
あることを特徴とする前記[2−1]〜[2−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物

[2−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して2〜
15質量%であることを特徴とする前記[2−1a]、[2−2a]、[2−3]、[2
−4]、および[2−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記[2−1]
〜[2−6]、[2−1a]、[2−2a]、[2−5a]、および[2−6a]のいず
れか1項に記載の経口用組成物。
[2−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオン
により架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種
以上の増粘剤である前記[2−1]〜[2−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−9]薬物核と前記コーティングの間にさらにシールコーティングを有する、前記[
2−1]〜[2−8]、[2−1a]、[2−2a]、[2−5a]、および[2−6a
]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−10]前記コーティングが、さらにスクラロースを含む、前記[2−1]〜[2−
9]、[2−1a]、[2−2a]、[2−5a]、および[2−6a]のいずれか1項
に記載の経口用組成物。
[2−11]第1の増粘剤の含有量が3〜20質量%(コーティング中の全成分に対する
質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、スク
ラロースの含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%で
あって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前
記[2−10]に記載の経口用組成物。
[2−11a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%(コーティング中の
全成分に対する質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量
%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの含有量が
5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であるこ
とを特徴とする前記[2−10]に記載の経口用組成物。
[2−12]シールコーティングと前記コーティングの間にさらにミドルコーティングを
有する、[2−9]〜[2−11]、および[2−11a]のいずれか1項に記載の経口
用組成物。
本発明の第二の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な
嚥下性を有する。または不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね
備える。さらに好ましい態様の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
また、本発明の第三の態様は以下の経口用組成物である。
[3−1] 多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に金属架橋増粘剤である第1の増
粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される第1の増粘剤、およびキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウ
ムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤
がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)
を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることにより得
られる経口用組成物。
[3−1a]多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマーおよ
びキサンタンガムを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティング
することにより得られる経口用組成物。
[3−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキ
シビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[3−1]に記載の経口用組成物

[3−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[3−1a]に
記載の経口用組成物。
[3−3] スプレーコーティングする液に、さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は
糖アルコールがさらに分散していることを特徴とする前記[3−1]、[3−2]、[3
−1a] および[3−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−4] スプレーコーティングする液に、さらにHPMCを含む前記[3−1]〜[
3−3]、[3−1a]、および[3−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−5] スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%もし
くは3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤
の含有量が10〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前
記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[3−4
]に記載の経口用組成物。
[3−5a]スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が3〜1
5質量%もしくは3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、
キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量
%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とす
る前記[3−4]に記載の経口用組成物。
[3−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して2〜15質量%で
あることを特徴とする前記[3−1]〜[3−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物

[3−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して2〜
15質量%であることを特徴とする前記[3−1a]、[3−2a]、[3−3]、[3
−4]、および[3−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記[3−1]
〜[3−6]、[3−1a]、[3−2a]、[3−5a]、および[3−6a]のいず
れか1項に記載の経口用組成物。
[3−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオン
により架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種
以上の増粘剤である前記[3−1]〜[3−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−9]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有するシール
コート薬物核である、前記[3−1]〜[3−8]、[3−1a]、[3−2a]、[3
−5a]、および[3−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−10] スプレーコーティングする液にさらにスクラロースを含む、前記[3−1
]〜[3−9]、[3−1a]、[3−2a]、[3−5a]、および[3−6a]のい
ずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−11] スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜20質量%(
溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40
質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの含有
量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であ
ることを特徴とする前記[3−10]に記載の経口用組成物。
[3−11a] スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が3
〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含
有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であって
、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10
〜50質量%であることを特徴とする前記[3−10]に記載の経口用組成物。
[3−12]前記シールコート薬物核が、シールコーティングの上にさらにミドルコーテ
ィングを有する、[3−9]〜[3−11]、および[3−11a]のいずれか1項に記
載の経口用組成物。
本発明の第三の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な
嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果
を兼ね備える。さらに好ましい態様の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている
また、本発明の第四の態様は以下の経口用組成物の製造方法である。
[4−1]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液
に金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびア
ルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、ならびにキサンタンガム、
グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第
2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤
はアルギン酸ナトリウムではない)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプ
レーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[4−1a]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶
液にカルボキシビニルポリマーおよびキサンタンガムを分散させた液を、有効成分を含有
する薬物核にスプレーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[4−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキ
シビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[4−1]に記載の経口用組成物
の製造方法。
[4−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[4−1a]に
記載の経口用組成物の製造方法。
[4−3] スプレーコーティングする液に、さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は
糖アルコールがさらに分散していることを特徴とする前記[4−1]、[4−2]、[4
−1a]および[4−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−4] スプレーコーティングする液に、さらにHPMCを含む前記[4−1]〜[
4−3]、[4−1a]、および[4−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製
造方法。
[4−5] スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%もし
くは3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤
の含有量が10〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前
記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[4−4
]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−5a]スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が3〜1
5質量%もしくは3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、
キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、HPMCの含有量が5〜35質量
%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とす
る前記[4−4]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して2〜15質量%で
あることを特徴とする前記[4−1]〜[4−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物
の製造方法。
[4−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して2〜
15質量%であることを特徴とする前記[4−1a]、[4−2a]、[4−3]、[4
−4]、および[4−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記[4−1]
〜[4−6]、[4−1a]、[4−2a]、[4−5a]、および[4−6a]のいず
れか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオン
により架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種
以上の増粘剤である前記[4−1]〜[4−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物の
製造方法。
[4−9]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有するシール
コート薬物核である、前記[4−1]〜[4−8]、[4−1a]、[4−2a]、[4
−5a]、および[4−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−10] スプレーコーティングする液にさらにスクラロースを含む、前記[4−1
]〜[4−9]、[4−1a]、[4−2a]、[4−5a]、および[4−6a]のい
ずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−11] 前記スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜20質量
%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜
40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であって、HPMCの
含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%
であることを特徴とする前記[4−10]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−11a]前記スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が
3〜20質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの
含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であっ
て、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が1
0〜50質量%であることを特徴とする前記[4−10]に記載の経口用組成物の製造方
法。
[4−12]前記シールコート薬物核が、シールコーティングの上にさらにミドルコーテ
ィングを有する、[4−9]〜[4−11]、および[4−11a]のいずれか1項に記
載の経口用組成物の製造方法。
本発明の第四の態様の経口用組成物の製造方法は、薬物核に容易にスプレーコーティン
グができ、乾燥も容易である。また本製造方法で得られた経口用組成物は、滑り易さが良
好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が
得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の製造方法で得られ
た経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
また、本発明の第五の態様は以下のコーティング用組成物である。
[5−1] 水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖
又は糖アルコールおよびHPMCを含むコーティング用組成物。
[5−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1種以上である前記[5−1]に記載のコーティング用組成物

[5−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[5−1]に記載のコーティング用組成
物。
[5−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[5−1]に記載のコーティ
ング用組成物。
[5−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[5−
1]に記載のコーティング用組成物。
[5−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[5−1
]に記載のコーティング用組成物。
[5−5]さらに多価金属化合物を含む前記[5−3]、[5−4]、[5−3a]また
は[5−4a]に記載のコーティング用組成物。
[5−6]HPMCと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特徴
とする前記[5−1]〜[5−5]、および[5−2a]〜[5−4a]のいずれか1項
に記載のコーティング用組成物。
[5−7] HPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同
じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキ
シビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%であって、前記キサ
ンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも
1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[5−4]〜[5−6
]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−7a] HPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下
同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボ
キシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%であって、キサン
タンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[5−4a]、[5−
5]、および[5−6]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−8] アルコールを溶媒として含むことを特徴とする前記[5−1]〜[5−7]
、[5−2a]〜[5−4a]、および[5−7a]のいずれか1項に記載のコーティン
グ用組成物。
[5−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロ
ースからなる群から選択される前記[5−1]〜[5−8]、[5−2a]〜[5−4a
]、および[5−7a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[5−9]に記載の
コーティング用組成物。
[5−11] さらにスクラロースを含む、前記[5−1]〜[5−10]、[5−2a
]〜[5−4a]、および[5−7a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−12] HPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下
同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボ
キシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって、前記キサンタンガム、グアガム
およびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が1
0〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であることを特徴
とする前記[5−11]に記載のコーティング用組成物。
[5−12a] HPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以
下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カル
ボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって、キサンタンガムの含有量が1
0〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であることを特徴
とする前記[5−11]に記載のコーティング用組成物。
本発明の第五の態様のコーティング組成物によりコーティングした経口用組成物は、コ
ーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様
のコーティング用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有
する。または不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。ま
た別の好ましい態様のコーティング用組成物では、薬物核に容易にスプレーコーティング
ができ、乾燥も容易である。
また、本発明の第六の態様は以下の経口用組成物である。
[6−1]有効成分を含有する薬物核と、水分に接することによりゲル化する増粘剤、2
0℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびHPMCを含むコーティング
を有する経口用組成物。
[6−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1種以上である前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−3] 増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[6−1]に記載の経口用組
成物。
[6−4] 増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[6
−1]に記載の経口用組成物。
[6−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[6−1
]に記載の経口用組成物。
[6−5] 前記コーティングにさらに多価金属化合物を含む前記[6−3]、[6−4
]、[6−3a]、および[6−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−6] HPMCと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特
徴とする前記[6−1]〜[6−5]、および[6−2a]〜[6−4a]のいずれか1
項に記載の経口用組成物。
[6−7] HPMCの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質量
%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって
、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種
の含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%であって、前記キサンタンガム、グア
ガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量
が10〜40質量%であることを特徴とする前記[6−4]〜[6−6]のいずれか1項
に記載の経口用組成物。
[6−7a]HPMCの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質量
%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって
、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%であって
、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[6−4a]
、[6−5]、および[6−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−8]薬物核が、シールコーティングを有するシールコート薬物核である、前記[6
−1]〜[6−7]、[6−2a]〜[6−4a]、および[6−7a]のいずれか1項
に記載の経口用組成物。
[6−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロ
ースからなる群から選択される前記[6−1]〜[6−8]、[6−2a]〜[6−4a
]、および[6−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[6−9]に記載の
経口用組成物。
[6−11] 前記コーティングがさらにスクラロースを含む、前記[6−1]〜[6−
10]、[6−2a]〜[6−4a]、および[6−7a]のいずれか1項に記載の経口
用組成物。
[6−12] HPMCの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質
量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であっ
て、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1
種の含有量が3〜20質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸
ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%で
あって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であることを特徴とする前記[6−
11]に記載の経口用組成物。
[6−12a]HPMCの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質
量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であっ
て、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって、キサンタンガムの含
有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であるこ
とを特徴とする前記[6−11]に記載の経口用組成物。
[6−13]前記シールコート薬物核が、シールコーティングの上にさらにミドルコーテ
ィングを有する、[6−8]〜[6−12]、および[6−12a]のいずれか1項に記
載の経口用組成物。
本発明の第六の態様の経口用組成物は、増粘剤によりコーティングされているにもかか
わらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好
ましい態様の経口用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を
有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備
える。
また、本発明の第七の態様は以下の経口用組成物である。
[7−1]アルコール溶液に、水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解
度が30以上の糖又は糖アルコールおよびHPMCを分散させた液を、有効成分を含有す
る薬物核にスプレーコーティングすることにより得られる経口用組成物。
[7−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1種以上である前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[7−1]に記載の経口用組
成物。
[7−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[7−
1]に記載の経口用組成物。
[7−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[7−1
]に記載の経口用組成物。
[7−5]スプレーコーティングする液が、さらに多価金属化合物を含む前記[7−3]
、[7−4]、[7−3a]または[7−4a]に記載の経口用組成物。
[7−6] スプレーコーティングする液のHPMCと前記糖又は糖アルコールの配合比
が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[7−1]〜[7−5]、および[7−2a
]〜[7−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−7] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を
除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜
50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3〜
20質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからな
る群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴と
する前記[7−4]〜[7−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−7a] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒
を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10
〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3
〜20質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴と
する前記[7−4a]、[7−5]、および[7−6]のいずれか1項に記載の経口用組
成物。
[7−8]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有するシール
コート薬物核である、前記[7−1]〜[7−7]、[7−2a]〜[7−4a]、およ
び[7−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロ
ースからなる群から選択される前記[7−1]〜[7−8]、[7−2a]〜[7−4a
]、および[7−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[7−9]に記載の
経口用組成物。
[7−11] スプレーコーティングする液がさらにスクラロースを含む、前記[7−1
]〜[7−10]、[7−2a]〜[7−4a]、および[7−7a]のいずれか1項に
経口用組成物。
[7−12] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒
を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10
〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって、
前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少
なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.0
1〜5質量%であることを特徴とする前記[7−11]に記載の経口用組成物。
[7−12a] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶
媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が1
0〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって
、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.0
1〜5質量%であることを特徴とする前記[7−11]に記載の経口用組成物。
[7−13]前記シールコート薬物核が、シールコーティングの上にさらにミドルコーテ
ィングを有する、[7−8]〜[7−12]、および[7−12a]のいずれか1項に記
載の経口用組成物。
本発明の第七の態様の経口用組成物は、薬物核にアルコール溶液をスプレーコーティン
グし、乾燥して得られるものであり、製造が容易である。また増粘剤によりコーティング
されているにもかかわらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶
出性を示す。また好ましい態様の経口用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性も
なく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは
両方の効果を兼ね備える。
また、本発明の第八の態様は以下の経口用組成物の製造方法である。
[8−1]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液
に水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アル
コールおよびHPMCを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティ
ングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[8−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1種以上である前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方
法。
[8−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造
方法。
[8−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[8−1]に記載の経口用組
成物の製造方法。
[8−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から
選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[8−
1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[8−1
]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−5] スプレーコーティングする液のHPMCと前記糖又は糖アルコールの配合比
が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[8−1]〜[8−4]、および[8−2a
]〜[8−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−6] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒を
除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜
50質量%であって、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される1種の含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%であって、前記キ
サンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくと
も1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[8−4]または[
8−5]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−6a] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒
を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10
〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%もしくは3
〜20質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴と
する前記[8−4a]または[8−5]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記[8−1]
〜[8−6]、[8−2a]〜[8−4a]、および[8−6a]のいずれか1項に記載
の経口用組成物の製造方法。
[8−8]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有するシール
コート薬物核である、前記[8−1]〜[8−7]、[8−2a]〜[8−4a]、およ
び[8−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロ
ースからなる群から選択される前記[8−1]〜[8−8]、[8−2a]〜[8−4a
]、および[8−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[8−9]に記載の
経口用組成物の製造方法。
[8−11] スプレーコーティングする液がさらにスクラロースを含む、前記[8−1
]〜[8−10]、[8−2a]〜[8−4a]、および[8−6a]のいずれか1項に
記載の経口用組成物の製造方法。
[8−12] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶媒
を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10
〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって、
前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少
なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.0
1〜5質量%であることを特徴とする前記[8−11]に記載の経口用組成物の製造方法

[8−12a] スプレーコーティングする液のHPMCの含有量が5〜35質量%(溶
媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が1
0〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜20質量%であって
、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、スクラロースの含有量が0.0
1〜5質量%であることを特徴とする前記[8−11]に記載の経口用組成物の製造方法

[8−13]前記シールコート薬物核が、シールコーティングの上にさらにミドルコーテ
ィングを有する、[8−8]〜[8−12]、および[8−12a]のいずれか1項に記
載の経口用組成物の製造方法。
本発明の第八の態様の経口用組成物の製造方法は、薬物核に容易にスプレーコーティン
グができ、乾燥も容易である。また本製造方法で得られた経口用組成物は、増粘剤により
コーティングされているにもかかわらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同
等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様の製造方法で得られたコーティング用組成物
では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快
味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。
また、本発明の第九の態様は以下の経口用組成物である。
[9−1]有効成分を含有する薬物核と;
該薬物核に、
水が存在した時に多価金属イオンによって架橋されたカルボキシビニルポリマーおよび
多価金属イオンによって架橋されたアルギン酸ナトリウムからなる群から選択されるゲル
状物質、ならびに
キサンタンガムおよびグアガムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤
を含むコーティング
を有する経口用組成物。
[9−2]前記コーティングがさらに 20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコール
を含む前記 [9−1]に記載の経口用組成物。
[9−3] 前記コーティングがさらにHPMCを含む前記[9−1]または[9−2]
に記載の経口用組成物。
[9−4] ゲル状物質の含有量が3〜15質量%もしくは3〜20質量%(コーティン
グ中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、増粘剤の含有量が10〜40質量%
であって、HPMCの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有
量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[9−3]に記載の経口用組成物。
[9−5] 前記コーティングがさらにスクラロースを含む、前記[9−1]から[9−
4]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[9−6] ゲル状物質の含有量が3〜20質量%(コーティング中の全成分に対する質
量%、以下同じ)であって、増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、HPMCの含
有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%で
あって、スクラロースの含有量が0.01〜5質量%であることを特徴とする前記[9−
5]に記載の経口用組成物。
[9−7] 薬物核と前記コーティングの間にさらにシールコーティングを有する、前記
[9−1]〜[9−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[9−8] シールコーティングと前記コーティングの間にさらにミドルコーティングを
有する、[9−7]に記載の経口用組成物。
本発明の第九の態様の経口用組成物は、本発明の第二の態様の経口用組成物が口腔内の
唾液等の水分により生成されるものと同等である。すなわち、本発明の第九の態様の経口
用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または不快
味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様
の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
また、本発明の第十の態様は以下の経口用組成物である。
[10−1] 有効成分としてレボフロキサシン水和物を含み、さらに、結晶セルロース
、カルボキシメチルスターチナトリウム、α化デンプン(例、SWELSTARWB−1
(商品名))およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠核(好ましくは、ミニタブレッ
ト)と;
該錠核上に、HPMC(例、TC−5R(商品名))およびマクロゴール6000(商
品名)を含むシールコーティングと;
該シールコーティング上に、カルボキシビニルポリマー(例、カーボポール974P(
商品名))、塩化カルシウム、キサンタンガム、スクラロース、HPMC(例、TC−5
E(商品名))、エリスリトールおよびHPC(例、HPC−L(商品名))を含むコー
ティングと;を有する経口用組成物。
[10−2]前記錠核のレボフロキサシン水和物の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の
質量、以下、同じ)は69.7質量%であり、結晶セルロースの含有量は6.2質量%で
あり、カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量は17.7質量%であり、α化デン
プンの含有量は2.7質量%であり、およびフマル酸ステアリルナトリウムの含有量は3
.7質量%であり、
前記シールコーティングのHPMCの含有量(シールコーティングの溶媒を除く全成分
中の質量、以下、同じ)は95.2質量%であり、およびマクロゴール6000(商品名)
の含有量は4.8質量%であり、
前記コーティングのカルボキシビニルポリマーの含有量(コーティングの溶媒を除く全
成分中の質量、以下、同じ)は12.7質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.5
質量%であり、キサンタンガムの含有量は25.3質量%であり、スクラロースの含有量
は0.8質量%であり、HPMCの含有量は15.2質量%であり、エリスリトールの含
有量は35.4質量%であり、およびHPCの含有量は10.1質量%である、上記[1
0−1]記載の経口用組成物。
[10−3]前記錠核のレボフロキサシン水和物の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の
質量、以下、同じ)は69.7質量%であり、結晶セルロースの含有量は6.2質量%で
あり、カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量は17.7質量%であり、α化デン
プンの含有量は2.7質量%であり、およびフマル酸ステアリルナトリウムの含有量は3
.7質量%であり、
前記シールコーティングのHPMCの含有量(シールコーティングの溶媒を除く全成分
中の質量、以下、同じ)は95.2質量%であり、およびマクロゴール6000(商品名)
の含有量は4.8質量%であり、
前記コーティングのカルボキシビニルポリマーの含有量(コーティングの溶媒を除く全
成分中の質量、以下、同じ)は9.4質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.4質
量%であり、キサンタンガムの含有量は26.3質量%であり、スクラロースの含有量は
0.9質量%であり、HPMCの含有量は15.8質量%であり、エリスリトールの含有
量は36.8質量%であり、およびHPCの含有量は10.5質量%である、上記[10
−1]記載の経口用組成物。
本発明の第十の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な
嚥下性を有する。または、有効成分のレボフロキサシン水和物からくる不快味に対するマ
スキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の経
口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
また、本発明の第十一の態様は以下の経口用組成物である。
[11−1] 有効成分としてバラシクロビル塩酸塩を含み、さらに、(i)部分α化デ
ンプン(例、PCS(商品名))、カルボキシメチルスターチナトリウム、α化デンプン
(例、SWELSTAR WB−1(商品名))、タルクおよびフマル酸ステアリルナト
リウム、または、(ii)部分α化デンプン(例、PCS(商品名))、α化デンプン(
例、SWELSTAR WB−1(商品名))、タルクおよびフマル酸ステアリルナトリ
ウムを含む錠核(好ましくはミニタブレット)と;
該錠核上に、(iii)α化デンプン(例、SWELSTAR WB−1(商品名))
およびエリスリトール、または、(iv)HPMC(例、TC−5E(商品名))および
エリスリトールを含むシールコーティングと;
該シールコーティング上に、カルボキシビニルポリマー(例、カーボポール974P(
商品名))、塩化カルシウム、キサンタンガム、スクラロース、HPMC(例、TC−5
E(商品名))、エリスリトールおよびHPC(例、HPC−L(商品名))を含むコー
ティングと;を有する経口用組成物。
[11−2]前記錠核のバラシクロビル塩酸塩の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質
量、以下、同じ)は75.6質量%であり、部分α化デンプンの含有量は4.6質量%で
あり、カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量は13.6質量%であり、α化デン
プンの含有量は2.0質量%であり、タルクの含有量は2.7質量%であり、およびフマ
ル酸ステアリルナトリウムの含有量は1.4質量%であり、
前記シールコーティングのエリスリトールの含有量(シールコーティングの溶媒を除く
全成分中の質量、以下、同じ)は90質量%であり、およびα化デンプンの含有量は10
質量%であり、
前記コーティングのカルボキシビニルポリマーの含有量(コーティングの溶媒を除く全
成分中の質量、以下、同じ)は16.7質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.6
質量%であり、キサンタンガムの含有量は23.4質量%であり、スクラロースの含有量
は0.8質量%であり、HPMCの含有量は13.9質量%であり、エリスリトールの含
有量は33.4質量%であり、およびHPCの含有量は11.1質量%である、上記[1
1−1]記載の経口用組成物。
[11−3]前記錠核のバラシクロビル塩酸塩の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質
量、以下、同じ)は75.6質量%であり、部分α化デンプンの含有量は18.7質量%
であり、α化デンプンの含有量は1.5質量%であり、タルクの含有量は2.7質量%で
あり、およびフマル酸ステアリルナトリウムの含有量は1.4質量%であり、
前記シールコーティングのHPMCの含有量(シールコーティングの溶媒を除く全成分
中の質量、以下、同じ)は29.4質量%であり、およびエリスリトールの含有量は70
.6質量%であり、
前記コーティングのカルボキシビニルポリマーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、
以下、同じ)は9.3質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.2質量%であり、キ
サンタンガムの含有量は26.1質量%であり、スクラロースの含有量は0.9質量%で
あり、HPMCの含有量は15.5質量%であり、エリスリトールの含有量は37.3質
量%であり、およびHPCの含有量は10.6質量%である、上記[11−1]記載の経
口用組成物。
本発明の第十一の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好
な嚥下性を有する。または、有効成分のバラシクロビル塩酸塩からくる不快味に対するマ
スキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の経
口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
本発明の好ましいコーティングを有する組成物は、少量の水又は唾液により錠剤表層が
速やかにゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより金属架橋増
粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギ
ン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較
的硬いゲルを形成することにより、粘膜上を滑りやすくなり嚥下性に改善をもたらす。ま
た、ゲル化したコーティング皮膜は嚥下するまでの短時間、薬物溶出を抑制することで不
快味マスキング効果を示すことが期待できる。さらにまた、本発明の好ましいコーティン
グを有する組成物は、嚥下後は皮膜が速やかに崩壊して薬物溶出に影響を与えないという
溶出性の改善が期待できる。本発明のコーティング用組成物は、上記好ましい性質を少な
くとも1つ以上、好ましくは全てを有する。本発明のさらに好ましいコーティング用組成
物は、服用量が多い薬剤を製剤化する場合に、薬物溶出に影響を与えずに服用性が改善さ
れた製剤とすることができる。本発明の特に好ましいコーティング用組成物により不快味
マスキング効果がより一層改善される。
また、本発明の好ましいコーティング用組成物により、通常のコーティング技術を用い
て容易にコーティング製剤を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられる第1の増粘剤は金属架橋増粘剤である。金属架橋増粘剤とは、少量
の水により多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより架橋され、水の非存在下(
アルコール溶媒等の存在下)では多価金属化合物から多価金属イオンが生成されないため
に架橋されない物質を意味し、そのような性質を示す物質であれば特に限定されないが、
具体的には、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコマンナン、カルメロース
ナロリウム等が挙げられ、好ましくは、カルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリ
ウムが挙げられ、より好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。この架橋形成
により、粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することで、後述するように、
服用時に粘膜上を滑りやすくなり嚥下性に改善をもたらす、嚥下するまでの短時間、薬物
溶出を抑制することで不快味マスキング効果を示すことが期待できる。
本発明に用いられるカルボキシビニルポリマーは、特に限定されないが、表示粘度が4
000〜60000mPa・s(0.5%、25℃、20rpm)のものが好ましく使用で
きる。表示粘度が、4000〜40000mPa・sのものが溶出遅延を起こしにくいた
め、さらに好ましい。カルボキシビニルポリマーとして、より具体的には、市販のもの、
例えば、カーボポール971P(商品名) (Lubrizol AdvancedMat
erial Inc.、表示粘度:6420mPa・s)、カーボポール974P(商品名)
(Lubrizol Advance Material Inc.,表示粘度:3285
0mPa・s)、ハイビスワコー103(商品名)(和光純薬工業、表示粘度:15000
mPa・s)、ハイビスワコー104(商品名)(和光純薬工業、表示粘度:26000
mPa・s)、ハイビスワコー105(商品名)(和光純薬工業、表示粘度:4000mP
a・s)などを用いることができる。
本発明に用いられるアルギン酸ナトリウムは、特に限定されないが、表示粘度が600
mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。表示粘度
が、さらに800〜1600mPa・sのものが好ましい。アルギン酸ナトリウムとして
、より具体的には、市販のもの、例えば、キミカアルギンI−8(キミカ社、表示粘度、
800〜900mPa・s(1%、20℃))、ダックアルギン(商品名)(紀文フードケ
ミファ、表示粘度:850mPa・s)などを用いることができる。
カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤は、水の存在下で
、後述する多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより架橋されることにより粘度
が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成する金属架橋増粘剤である。本発明の組成物
中のカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムは、好ましくは、実質的に多
価金属イオンにより架橋されていないものである。本発明のコーティング用組成物中の溶
媒を除く全成分中の質量%として、カルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウ
ムの含有量は3〜15質量%が好ましく、10〜13質量%がより好ましい。あるいは、
本発明のコーティング用組成物中の溶媒を除く全成分中の質量%として、カルボキシビニ
ルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムの含有量は3〜20質量%が好ましく、3〜15
質量%または8〜18質量%がより好ましく、9〜17質量%がさらに好ましい。本発明
の経口用組成物のコーティング中の全成分(以下、コーティング皮膜と記載する場合があ
る)に対する比率も同様である。
本明細書において、多価金属化合物とは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、
亜鉛などの多価金属の製薬学的に許容可能な水溶性塩を意味する。具体的には、塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩
化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸ア
ルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸
化亜鉛、硫酸亜鉛又はそれらの水和物等が挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム又は
その水和物であり、さらに好ましくは、塩化カルシウム2水和物である。多価金属化合物
から生成する多価金属イオンは、具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、
アルミニウムイオン、二価もしくは三価鉄イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。好ましく
は、カルシウムイオンである。
本発明に用いられる多価金属化合物の配合量はカルボキシビニルポリマーおよびアルギ
ン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤に対して2〜15質量%が好まし
い。さらに好ましくは、2〜11質量%である。あるいは、本発明に用いられる多価金属
化合物の配合量は、本発明のコーティング用組成物中の溶媒を除く全成分中の質量%とし
て、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.7質量%である。
本発明に用いられるキサンタンガムは特に限定されないが、表示粘度が600mPa・
s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が
800〜1600mPa・sのものが好ましい。キサンタンガムとして、より具体的には
、市販のもの、例えば、KeltrolCG−T(商品名)(三晶、表示粘度:1555
mPa・s)、サンエース(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:1600m
Pa・s)などを用いることができる。
本発明に用いられるグアガムは特に限定されないが、表示粘度が 600mPa・s以
上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が80
0〜1600mPa・s(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましい。グアガムと
して、より具体的には、市販のもの、例えば、グアーガムRG100(商品名)(エムア
ールシーポリサッカライト、表示粘度:1100mPa・s)を用いることができる。ま
たビストップD−2029(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:約450m
Pa・s(0.5%))も用いることができる。
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムは第2の増粘剤であり、第2の
増粘剤を添加することで錠剤間に適度な付着性が生じ、口腔内で錠剤同士のまとまりがよ
くなり嚥下しやすくなる。コーティング皮膜中のキサンタンガム、グアガムおよびアルギ
ン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤の含有量は
、他の成分組成に応じて適宜調整することができるが、良好な服用性をもたらすためには
10〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
本発明のコーティング用組成物および経口用組成物における第1の増粘剤と第2の増粘
剤の組合せ(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤
はアルギン酸ナトリウムではない)として、次の組合せを例示することができる。
(1) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組
合せ;
(2) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;
(3) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:アルギン酸ナトリウ
ムの組合せ;
(4) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムおよ
びグアガムの組合せ;
(5) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムおよ
びアルギン酸ナトリウムの組合せ:
(6) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムおよびアル
ギン酸ナトリウムの組合せ;
(7) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガム、グ
アガムおよびアルギン酸ナトリウムの組合せ;
(8) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ

(9) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;なら
びに
(10) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムおよび
グアガムの組合せ。
本発明の好ましい態様における第1の増粘剤と第2の増粘剤の組合せとして、次の組合
せを例示することができる。
(1) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組
合せ;
(2) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;
(3) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:アルギン酸ナトリウ
ムの組合せ;
(4) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ
;ならびに
(5) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:グアガムの組合せ。
本発明のさらに好ましい態様における第1の増粘剤と第2の増粘剤の組合せは、(1)
第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せであ
る。
カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1
の増粘剤、多価金属化合物、ならびにキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリ
ウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤を含むコーティング用
組成物でコーティングされている経口用組成物(例、錠剤等)の表層は、少量の水又は唾
液により速やかにゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金属イオンによりカ
ルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギン酸ナトリウムが架橋されることにより粘
度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することによって、粘膜上を滑りやすくな
り嚥下性が改善される。同時にそのゲル化した皮膜は嚥下するまでの短時間薬物溶出を抑
制することで不快味マスキング効果を示す。後述するマルチユニットに用いる場合、口腔
内で錠剤同士のまとまりもよくなり、更に嚥下性が改善される。
本発明に用いることができるスクラロースは、スクロースの代用として広く用いられて
いる甘味料である。コーティング皮膜中のスクラロースの含有量(コーティング皮膜中の
溶媒を除く全成分に対する質量%)は0.01〜5質量%が好ましく、0.5〜1質量%
または0.1〜2質量%がより好ましい。本発明に用いることができるスクラロースは、
不快味マスキング効果をより一層改善する効果を示すと考えられる。
本発明に用いることができる糖又は糖アルコールは、20℃の溶解度が30以上のもの
である。好ましくは50以上のものである。溶解度とは、100 gの水に溶解する溶質
の最大質量(g)を意味する。本発明に用いることができる好ましい糖又は糖アルコールと
しては、トレハロース、マルトース、エリスリトール、マルチトール(還元麦芽糖水飴)
等が挙げられる。口に入れたときに適度な甘みを感じるエリスリトールやマルチトールは
、服用感の点で好ましい。また、エリスリトール、マルチトール、トレハロースは吸湿性
が低く、製剤の保存安定性上特に好ましい。コーティング皮膜中の糖又は糖アルコールの
含有量(コーティング皮膜中の溶媒を除く全成分に対する質量%)は10〜50質量%が
好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
本発明に用いることができる20℃の溶解度が 30以上の糖又は糖アルコールは、増
粘剤によるゲルの膨潤を速める。さらに、このことによってゲルの崩壊をも促進し薬物の
溶出性を改善する効果を示すと考えられる。
本発明に用いられるHPMCは、特に限定されないが、粘度が100mPa・s以下の
ものが好ましく、10mPa・s以下のものがより好ましい。HPMCとして、より具体
的には、市販のもの、例えば、TC−5E(商品名)(信越化学、表示粘度:3mPa・
s)、TC−5R(商品名)(信越化学、表示粘度:6mPa・s)などを用いることが
できる。
コーティング皮膜中のHPMCの含有量(コーティング皮膜中の溶媒を除く全成分に対
する質量%)は5〜35質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。さらに好
ましくは、10〜20質量%または13〜25質量%である。
HPMCは口腔内で20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールと組み合わせるこ
とにより、当該糖又は糖アルコール単独の場合よりも、ゲルの崩壊を促進させる。このこ
とにより、早期にゲルの崩壊が必要な場合に、当該糖又は糖アルコールの単純な増量を防
ぐことができる。
上記したように、HPMCと20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールは、併用
することで相乗効果を示し、ゲルの崩壊を促進させる。このことによって、当該ゲルが薬
物核にコーティングされている場合に、薬物の溶出性の改善が効果的となる。HPMCと
当該糖又は糖アルコールの配合比(質量比)は1:1〜1:4が好ましく、1:2〜1:3が
より好ましい。
本発明の第五〜第八の態様に用いられる増粘剤とは、水分に接することによりゲル化す
る物質を意味し、そのような性質を示す物質であれば特に限定されないが、本発明の第一
〜第四の態様の説明に記載した金属架橋増粘剤や第2の増粘剤が含まれる。さらに具体的
には、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、寒天、ア
ルギン酸ナトリウム、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導
体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、グ
アガム、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン等が挙げられる。
増粘剤は単独でまたは数種類を組み合わせて用いてもよく、金属架橋増粘剤を含む2種
以上の組み合わせが好ましい。金属架橋増粘剤としてカルボキシビニルポリマーおよびア
ルギン酸ナトリウムから選択される1種以上と、キサンタンガム、グアガム及びアルギン
酸ナトリウムから選ばれる1種以上との組み合わせ(ただし、同物質の組み合わせは除く
)が好ましい例として挙げられる。
本発明のコーティング用組成物及び本発明のコーティングを有する経口用組成物は、さ
らにヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載する場合がある)等を含んでい
てもよい。HPCは、アルコールに溶解して適度な粘性が得られるため、コーティング用
組成物をエタノールに分散してスプレーコーティングを行う際に、粒子の速い沈降を抑え
ることができ、均一性を保つ上で有利である。さらに、結合剤として錠剤表面への粒子の
付着を助け、コーティング効率を高めると共に滑らかな皮膜を形成できる。このような理
由で、コーティング用組成物にHPCの一定量を添加することはコーティングを有する経
口用組成物の製造に有利となる。
本発明に用いることができるHPCとしては、特に限定されないが、低粘度のものが好
ましく、10mPa・s(2%、20℃)以下のものが好ましい。HPCとして、より具体
的には、市販のもの、例えば、HPC−L(商品名)(日本曹達、表示粘度:6.0〜1
0mPa・s)、HPC−SL(商品名)(日本曹達、表示粘度:3.0〜5.9mPa
・s)などを用いることができる。コーティング皮膜中のHPCの含有量(コーティング
皮膜中の溶媒を除く全成分中の質量)は、0.1〜15質量%が好ましく、5〜15質量
%または0.1〜12質量%がより好ましい。スプレーコーティングに用いられる本発明
のコーティング用組成物 (コーティング液)中のHPCの含有量は、コーティング液の全
質量の0.1〜5質量%、好ましくは、0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜1
.8質量%である。
本発明のコーティング組成物の調製に使用することができる溶媒としては、水、アルコ
ール、または水とアルコールの混合溶媒等が用いることができる。この中でもアルコール
が好ましい。アルコールとしては、エタノールあるいは無水エタノールが好ましい。ここ
で、エタノールは、エタノール (CO)95.1〜96.9vol%以上を含有し
、無水エタノールは、エタノール99.5vol%以上含有するものをいう。好ましくは
、95.1〜96.9vol%以上のエタノールである。
本発明のコーティング用組成物の調製にグリセリンを含ませてもよい。グリセリンは、
コーティング用組成物中で可塑剤として働き、コーティング皮膜が水に接触したときのゲ
ルの膨潤を促進する効果を有すると考えられる。本発明の組成物に用いられるグリセリン
としては、特に限定されないが、定量の際、換算した脱水物に対し、グリセリン98.0
%以上を含む、濃グリセリンが好ましい。グリセリンを含める場合、その含有量は、溶媒
を含むコーティング用組成物の全質量の0.1〜5質量%、好ましくは、0.5〜3質量
%、さらに好ましくは、0.5〜1質量%である。
なお、コーティング用組成物の調製には、使用する増粘剤の種類又は量に応じ、水ある
いは水・アルコール混合溶媒などの水系の溶媒を用いることもできる。本発明のコーティ
ング用組成物として水系の溶媒を用いる場合、コーティング用組成物の濃度を高くすると
粘度が高くなり操作性が悪くなる場合があるため、適宜コーティング用組成物の性質に応
じたコーティング方法を選択する必要がある。
本発明のいくつかの態様のコーティング用組成物は、
第1の増粘剤としてカルボキシビニルポリマー(例、カーボポール974P(商品名))

多価金属化合物として塩化カルシウム;
第2の増粘剤としてキサンタンガム;
スクラロース;
HPMC(例、TC−5E(商品名));
20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールとしてエリスリトール;
HPC(例、HPC−L(商品名));および
溶媒としてエタノール
を含む。
好ましくは、上記コーティング用組成物において、カルボキシビニルポリマーの含有量
(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は3〜20質量%、より好ましくは9〜17
質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0
.7質量%であり、キサンタンガムの含有量は10〜40質量%、より好ましくは20〜
30質量%であり、スクラロースの含有量は0.01〜5質量%、より好ましくは0.5〜
1質量%であり、HPMCの含有量は5〜35質量%、より好ましくは10〜20質量%で
あり、エリスリトールの含有量は10〜50質量%、より好ましくは30〜40質量%で
あり、HPCの含有量は0.1〜15質量%、より好ましくは5〜15質量%である。
さらに好ましくは、上記コーティング用組成物において、カルボキシビニルポリマーの
含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は12.7質量%であり、塩化カルシ
ウムの含有量は0.5質量%であり、キサンタンガムの含有量は25.3質量%であり、
スクラロースの含有量は0.8質量%であり、HPMCの含有量は15.2質量%であり
、エリスリトールの含有量は35.4質量%であり、HPCの含有量は10.1質量%で
ある。
別のさらに好ましい態様では、上記コーティング用組成物において、カルボキシビニル
ポリマーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は9.4質量%であり、塩
化カルシウムの含有量は0.4質量%であり、キサンタンガムの含有量は26.3質量%
であり、スクラロースの含有量は0.9質量%であり、HPMCの含有量は15.8質量
%であり、エリスリトールの含有量は36.8質量%であり、HPCの含有量は10.5
質量%である。
別のさらに好ましい態様では、上記コーティング用組成物において、カルボキシビニル
ポリマーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は16.7質量%であり、
塩化カルシウムの含有量は0.6質量%であり、キサンタンガムの含有量は23.4質量
%であり、スクラロースの含有量は0.8質量%であり、HPMCの含有量は13.9質
量%であり、エリスリトールの含有量は33.4質量%であり、HPCの含有量は11.
1質量%である。
別のさらに好ましい態様では、上記コーティング用組成物において、カルボキシビニル
ポリマーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は9.3質量%であり、塩
化カルシウムの含有量は0.2質量%であり、キサンタンガムの含有量は26.1質量%
であり、スクラロースの含有量は0.9質量%であり、HPMCの含有量は15.5質量
%であり、エリスリトールの含有量は37.3質量%であり、HPCの含有量は10.6
質量%である。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を調製する方法としては、水、アルコール
、または水とアルコールの混合溶媒等に本発明のコーティング用組成物の構成成分を溶解
又は均一に分散させればよい。好ましくは、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に
その他の構成成分を均一分散させる方法が好ましい。具体的には、多価金属化合物を溶解
したアルコール溶液に、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる
群から選択される少なくとも1つの第2の増粘剤(好ましくは、キサンタンガム)、ならび
にカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1
の増粘剤(好ましくは、カルボキシビニルポリマー)(ただし、第1の増粘剤がアルギン
酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を、好まし
くは、(i)さらにHPMC及び/又は20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコール
を、あるいは、(ii)さらにスクラロース、HPMC及び20℃の溶解度が30以上の
糖又は糖アルコールからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む微粉末を均一に
分散させることにより調製すればよい。さらに好ましくは溶媒としてエタノールを用いる
ことである。
より好ましくは、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群か
ら選択される少なくとも1つの第2の増粘剤(さらに好ましくは、キサンタンガム)、金属
架橋増粘剤である第1の増粘剤(さらに好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびア
ルギン酸ナトリウムからなる群から選択される増粘剤、より一層好ましくは、カルボキシ
ビニルポリマー)(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の
増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、HPMC、及び20℃の溶解度が30以上の
糖又は糖アルコールの微粉末をエタノールとグリセリンの混液に均一に分散させた懸濁液
を別に調製し、そこに多価金属化合物をエタノールに溶解した溶液を加えることによりコ
ーティング液を調製することである。
さらに好ましくは、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群
から選択される少なくとも1つの第2の増粘剤(さらに好ましくは、キサンタンガム)、金
属架橋増粘剤である第1の増粘剤(さらに好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよび
アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される増粘剤、より一層好ましくは、カルボキ
シビニルポリマー)(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2
の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、スクラロース、HPMC、及び20℃の溶
解度が30以上の糖又は糖アルコールの微粉末をエタノールとグリセリンの混液に均一に
分散させた懸濁液を別に調製し、そこに多価金属化合物をエタノールに溶解した溶液を加
えることによりコーティング液を調製することである。
本発明の第五の態様のコーティング用組成物を調製する方法としては、増粘剤を分散さ
せた懸濁液または溶解した溶液にHPMC及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アル
コールを含む微粉末を溶解あるいは均一に分散させることにより調製する。上記と同様に
、溶媒としてアルコールを用いることが好ましい。さらに好ましくはエタノールである。
本発明のコーティング用組成物が均一に分散した懸濁液となるように必要に応じて構成
成分の粒子径をジェットミル等の粉砕機を用いて細かくすることが好ましい。粒子径とし
ては、メジアン径(D50:粉体をある粒子径から2つに分けたとき大きい側と小さい側
が等量となる径)が35μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、10μm以
下がさらに好ましい。
本発明のコーティング用組成物を薬物核あるいは経口用固形物にコーティングする方法
としては、公知のコーティング技術を用いることができ、特に限定されない。例えば、パ
ンコーティング装置、流動層コーティング装置、通気式回転ドラムコーティング装置等が
使用できる。特に後述するミニタブレットのコーティングにおいては通気式回転ドラムコ
ーティング装置が適している。またこれらの装置を用いてスプレーコーティングや粉末コ
ーティングを行うことにより、薬物核あるいは経口用固形物にコーティングすることがで
きる。好ましいコーティング方法はスプレーコーティングである。特にスプレーノズルを
用いて連続的に供給するのが好ましい。薬物核あるいは経口用固形物に対して単回のコー
ティングにてコーティングすることができる。しかし、単回に限定されることなく、複数
回のコーティングを行ってもよい。
上記した好ましい例示のように溶媒としてアルコールを用いれば、カルボキシビニルポ
リマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が実質的に多価金属イオンにより架橋さ
れておらず粘度の低いコーティング用組成物を得ることができる。このため、スプレーコ
ーティングを容易に行うことができる。またアルコール溶液であるためコーティング後の
乾燥も短時間で行うことができ、製造上有利である。
なお、本発明の第二の態様の経口用組成物は、上記のように溶媒としてアルコールを用
いたコーティングにより得られた場合、コーティング皮膜中のカルボキシビニルポリマー
、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤は、皮膜に水分が接触しない状態であれば、実
質的に多価金属イオンにより架橋されていない状態である。
溶媒として水を用いて経口用組成物を製造することもできる。溶媒として水を用いた場
合、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が実質的に多価
金属イオンにより架橋され、粘度の高いコーティング用組成物となる。このためこのコー
ティング用組成物で薬物核あるいは経口用固形物をコーティングすることにより、多価金
属イオンによって架橋されたカルボキシビニルポリマー、多価金属イオンによって架橋さ
れたアルギン酸ナトリウム等からなる群から選択されるゲル状物質を含む、本発明の第九
の態様の経口用組成物が製造される。
本発明のコーティング用組成物の固形成分量は、コーティングされる薬物核あるいは経
口用固形物に対し2〜30質量%が好ましく、3〜15質量%が更に好ましい。このよう
にして得られるコーティングされた経口用組成物のコーティング皮膜の厚さは、10μ〜
100μmであり、好ましくは、20〜70μmである。
スプレーコーティングに用いられる本発明のコーティング用組成物(コーティング液)の
カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の
増粘剤の含有量は、コーティング液中に存在する場合には、コーティング液の全質量に対
し、例えば0.5〜5質量%、好ましくは、0.5〜4質量%、さらに好ましくは、0.
5〜3質量%である。
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少な
くとも1種の第2の増粘剤の含有量は、コーティング液中に存在する場合には、コーティ
ング液の全質量の例えば1〜5質量%、好ましくは、1〜4質量%、さらに好ましくは、
3〜4質量%である。
増粘剤全体の含有量は、コーティング液中に存在する場合には、コーティング液の全質
量の例えば1.5〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%、さらに好ましくは3.5
〜7質量%である。
HPMCの含有量は、コーティング液中に存在する場合には、コーティング液の全質量
の1〜10質量%、好ましくは、1〜5質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%
である。
スプレーコーティングに用いられる本発明のコーティング用組成物(コーティング液)中
の20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールは、コーティング液中に存在する場合
には、全質量の1〜10質量%、好ましくは、1〜6質量%、さらに好ましくは、3〜6
質量%含まれる。
スクラロースの含有量は、コーティング液中に存在する場合には、コーティング液の全
質量の0.001〜0.7質量%、好ましくは、0.01〜0.3質量%、さらに好まし
くは0.05〜0.2質量%である。
本発明のコーティング用組成物は、含まれるべき成分を組合せたキット、または含まれ
るべき成分を2つ以上に分けた組成物の組合せまたはキットも含まれる。例えば、第1の
増粘剤及び第2の増粘剤、必要に応じて(i)HPMC及び20℃の溶解度が30以上の
糖又は糖アルコール、あるいは(ii)スクラロース、HPMC及び20℃の溶解度が3
0以上の糖又は糖アルコールからなる群から選択される少なくとも1種以上を含むコーテ
ィング用組成物(A)と、多価金属化合物を含むコーティング用組成物(B)との組合せ
等である。また、前記コーティング用組成物(A)と多価金属化合物(C)とを組合せた
キット、第1の増粘剤及び第2の増粘剤の組合せ組成物(D)、HPMC及び20℃の溶
解度が30以上の糖又は糖アルコールを含むコーティング用組成物(E)と、多価金属化
合物(C)とを組合せたキット、第1の増粘剤及び第2の増粘剤の組合せ組成物(D)、
スクラロース、HPMC及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールからなる群
から選択される少なくとも1種以上を含むコーティング用組成物(E‘)と、多価金属化
合物(C)とを組合せたキット等が例示される。
これらの組合せまたはキットに含まれる成分を合わせて、上記の通り、薬物核あるいは
経口用固形物にコーティングしてもよい。また、アルコール溶媒または水に溶解または均
一に分散したそれぞれのコーティング用組成物を薬物核あるいは経口用固形物に順番にコ
ーティングしてもよい。またこの時、溶媒を変えてコーティングしてもよい。上記の例示
においては、アルコール溶媒に溶解または均一に分散した組成物(A)を最初に薬物核あ
るいは経口用固形物にコーティングし、水に溶解した組成物(B)を次にコーティングす
ることができる。この場合、組成物(A)と組成物(B)の境界では、第1の増粘剤が多
価金属イオンによって部分的に架橋されたコーティングを含む本発明の第九の態様の経口
用組成物が製造される。
本発明の第二の態様の経口用組成物は本発明の第一の態様のコーティング用組成物を薬
物核にコーティングすることにより得ることができる。ただし、この方法に限定されるわ
けではなく、薬物核の表面にカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1
の増粘剤、多価金属化合物、及びキサンタンガム、グアガム、アルギン酸ナトリウム等の
第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘
剤はアルギン酸ナトリウムではない)を有している経口用組成物であれば、本発明の第二
の態様の経口用組成物に含まれる。
本発明の第六の態様の経口用組成物は本発明の第五の態様のコーティング用組成物を薬
物核にコーティングすることにより得ることができる。ただし、この方法に限定されるわ
けではなく、薬物核の表面に増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールお
よびHPMCを有している経口用組成物であれば、本発明の第六の態様の経口用組成物に
含まれる。
本発明において、経口用組成物に用いられる有効成分を含有する薬物核は、錠剤核、丸
剤核、カプセル剤核、ペレット核、顆粒剤核等の固形製剤が挙げられる。経口用固形物は
、固形である薬剤核を含み、その他経口で使用する為の固形物であれば特に限定されない
。服用量の多い製剤においては、製剤の大型化を避け、1錠あたりの薬剤含有量を少なく
し、嵩を最小限にできる形態であるミニタブレットが薬物核として好ましい。ミニタブレ
ットは通常の設備で製造可能である。
本明細書中に用いられるミニタブレットとは、錠剤の一形態であり、径及び厚さが6m
m以下の粒状の固形製剤をいう。服用量が多い有効成分の場合、径が3〜4mmであれば
、1回の服用個数は20〜100個程度となる。本明細書中においては、このように1回
の服用粒数が10個以上の経口製剤における1回分の服用分を、マルチユニットと称する
。好ましくは、径及び厚さが0.5〜5mm、より好ましくは、2〜4mmの粒状の錠剤
である。
本発明の経口用組成物において、有効成分を含有する薬物核あるいは経口用固形物とコ
ーティング(本明細書中で「オーバーコーティング」という場合がある。)の間に、シー
ルコーティングを設けてもよい。シールコーティングを有する本発明の経口用組成物は、
本発明のコーティング用組成物を、シールコーティングを有するシールコート薬物核にコ
ーティングすることなどにより得ることができる。
薬物核をシールコーティングすることにより、薬物核の成分が保存中にコーティング層
に移動してコーティング層の成分と配合変化を起こすことを防ぐ、薬物核の不快味成分が
保存中にコーティング層に移動してコーティングによる服用時の不快味マスキング効果を
減弱することを防ぐ、あるいはコーティングによる服用時の不快味マスキング効果を増強
することが期待される。
シールコーティングは、シールコーティング組成物を、有効成分を含有する薬物核に公
知のコーティング技術を用いてコーティングすることにより得られる。シールコーティン
グ組成物は、経口用組成物の保存中に薬物核の成分がコーティングに移動するのを防ぐこ
とができるものであればよく、例えば、(i)HPMC、HPC、エチルセルロース、ポ
リビニルピロリドン、プルラン、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステルの共重合体
などからなる群から選択される少なくとも1つ、あるいは、(ii)HPMC、HPC、
エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、アクリル酸エステル・メタクリル
酸エステルの共重合体、α化デンプン、エリスリトール、マクロゴール6000(商品名
)、タルク、軽質無水ケイ酸などからなる群から選択される少なくとも1つを含む組成物
が挙げられる。
シールコーティング組成物の調製に使用することができる溶媒としては、水、アルコー
ル、または水とアルコールの混合溶媒等が用いることができる。
シールコーティング用組成物の固形成分量は、コーティングされる薬物核あるいは経口
用固形物に対し1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。このようにし
て得られるシールコーティングを含む経口用組成物のシールコーティング皮膜の厚さは、
10〜80μmであり、好ましくは、20〜40μmである。
本発明のいくつかの態様の経口用組成物は、シールコーティングを有さない。
本発明の経口用組成物において、シールコーティングとコーティングの間にさらにミド
ルコーティングを設けてもよい。ミドルコーティングを有する本発明の経口用組成物は、
本発明のコーティング用組成物を、シールコーティングおよびミドルコーティングを有す
るミドルコート−シールコート薬物核にコーティングすることなどにより得ることができ
る。
薬物核にミドルコーティングを設けることにより、不快味マスキング効果を保ったまま
薬物の溶出速度を高めることが可能となる。
ミドルコーティングは、ミドルコーティング組成物を、シールコーティングを有するシ
ールコート薬物核に公知のコーティング技術を用いてコーティングすることにより得られ
る。ミドルコーティング組成物は、本発明のコーティング組成物であるオーバーコーティ
ングの崩壊性を増強するものであればよく、例えば、前述した20℃の溶解度が30以上
の糖又は糖アルコール、低粘度のHPMCなどからなる群から選択される少なくとも1つ
を含む組成物、好ましくは、エリスリトール、TC−5E(信越化学)などからなる群か
ら選択される少なくとも1つが挙げられる。
ミドルコーティング組成物の調製に使用することができる溶媒としては、水、アルコー
ル、または水とアルコールの混合溶媒等が用いることができる。
ミドルコーティング用組成物の固形成分量は、コーティングされる薬物核あるいは経口
用固形物に対し1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。このようにし
て得られるミドルコーティングを含む経口用組成物のミドルコーティング皮膜の厚さは、
10〜80μmであり、好ましくは、20〜40μmである。
本発明のいくつかの態様の経口用組成物は、ミドルコーティングを有さない。
本発明の経口用組成物は、例えば、
(i)薬物核/オーバーコーティング;
(ii)薬物核/シールコーティング/オーバーコーティング;あるいは
(iii)薬物核/シールコーティング/ミドルコーティング/オーバーコーティング
から構成され、
好ましくは、
(ii)薬物核/シールコーティング/オーバーコーティング;あるいは
(iii)薬物核/シールコーティング/ミドルコーティング/オーバーコーティング
から構成され、
より好ましくは、
(ii)薬物核/シールコーティング/オーバーコーティング
から構成される。
本発明のいくつかの態様の経口用組成物は、
有効成分を含有する薬物核(好ましくは、錠核、より好ましくはミニタブレット)と;
該薬物核に、
第1の増粘剤としてカルボキシビニルポリマー(例、カーボポール974P(商品名))

多価金属化合物として塩化カルシウム、
第2の増粘剤としてキサンタンガム、
スクラロース、
HPMC(例、TC−5E(商品名))、
20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールとしてエリスリトール、および
HPC(例、HPC−L(商品名))、
を含むコーティング;
を有し、
薬物核と前記コーティングの間にさらにシールコーティングを有するが、
シールコーティングと前記コーティングの間のミドルコーティングを有さない。
好ましくは、上記コーティング用組成物において、オーバーコーティングのカルボキシ
ビニルポリマーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は3〜20質量%、
より好ましくは9〜17質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.1〜1質量%、よ
り好ましくは0.2〜0.7質量%であり、キサンタンガムの含有量は10〜40質量%
、より好ましくは20〜30質量%であり、スクラロースの含有量は0.01〜5質量%、
より好ましくは0.5〜1質量%であり、HPMCの含有量は5〜35質量%、より好まし
くは10〜20質量%であり、エリスリトールの含有量は10〜50質量%、より好まし
くは30〜40質量%であり、HPCの含有量は0.1〜15質量%、より好ましくは5〜
15質量%である。
本発明のいくつかの態様では、上記シールコーティングは、HPMCとマクロゴール6
000(商品名)を含む。この場合、好ましくは、シールコーティングのHPMCの含有量
(シールコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は60〜99質量%、
より好ましくは90〜98質量%であり、マクロゴール6000(商品名)の含有量は1〜
40質量%、より好ましくは2〜10質量%である。
本発明の別のいくつかの態様では、上記シールコーティングは、エリスリトールと、α
化デンプンを含む。この場合、好ましくは、シールコーティングのエリスリトールの含有
量(シールコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は60〜99質量%
、より好ましくは80〜95質量%であり、α化デンプンの含有量は1〜40質量%、より
好ましくは5〜20質量%である。
本発明の別のいくつかの態様では、上記シールコーティングは、HPMCと、エリスリ
トールを含む。この場合、好ましくは、シールコーティングのHPMCの含有量(シール
コーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は5〜45質量%、より好まし
くは20〜40質量%であり、エリスリトールの含有量は55〜95質量%、より好ましく
は60〜80質量%である。
好ましくは、上記経口用組成物において、シールコーティングは、HPMCとマクロゴ
ール6000(商品名)を含む。
この時、上記経口用組成物において、オーバーコーティングのカルボキシビニルポリマ
ーの含有量(オーバーコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は12.
7質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.5質量%であり、キサンタンガムの含有
量は25.3質量%であり、スクラロースの含有量は0.8質量%であり、HPMCの含
有量は15.2質量%であり、エリスリトールの含有量は35.4質量%であり、HPC
の含有量は10.1質量%である。また、シールコーティングのHPMCの含有量(シー
ルコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は95.2質量%であり、マ
クロゴール6000(商品名)の含有量は4.8質量%である。
好ましくは、上記経口用組成物において、シールコーティングは、HPMCとマクロゴ
ール6000(商品名)を含む。
この時、上記経口用組成物において、オーバーコーティングのカルボキシビニルポリマ
ーの含有量(オーバーコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は9.4
質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.4質量%であり、キサンタンガムの含有量
は26.3質量%であり、スクラロースの含有量は0.9質量%であり、HPMCの含有
量は15.8質量%であり、エリスリトールの含有量は36.8質量%であり、HPCの
含有量は10.5質量%である。また、シールコーティングのHPMCの含有量(シール
コーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は95.2質量%であり、マク
ロゴール6000(商品名)の含有量は4.8質量%である。
好ましくは、上記経口用組成物において、シールコーティングは、エリスリトールと、
α化デンプンを含む。
この時、上記経口用組成物において、オーバーコーティングのカルボキシビニルポリマ
ーの含有量(オーバーコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は16.
7質量%であり、塩化カルシウムの含有量は0.6質量%であり、キサンタンガムの含有
量は23.4質量%であり、スクラロースの含有量は0.8質量%であり、HPMCの含
有量は13.9質量%であり、エリスリトールの含有量は33.4質量%であり、HPC
の含有量は11.1質量%である。また、シールコーティングのエリスリトールの含有量
(シールコーティングの溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は90質量%であり、
α化デンプンの含有量は10質量%である。
好ましくは、上記経口用組成物において、シールコーティングは、HPMCと、エリス
リトールを含む。
この時、上記経口用組成物において、オーバーコーティングのカルボキシビニルポリマ
ーの含有量(溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は9.3質量%であり、塩化カル
シウムの含有量は0.2質量%であり、キサンタンガムの含有量は26.1質量%であり
、スクラロースの含有量は0.9質量%であり、HPMCの含有量は15.5質量%であ
り、エリスリトールの含有量は37.3質量%であり、HPCの含有量は10.6質量%
である。また、シールコーティングのHPMCの含有量(シールコーティングの溶媒を除
く全成分中の質量、以下、同じ)は29.4質量%であり、エリスリトールの含有量は7
0.6質量%である。
本発明において用いられる薬物核あるいは経口用固形物は、有効成分となる所望の薬物
に加えて、製剤技術分野で慣用の製剤担体を配合して調製される。かかる製剤担体として
は、製剤技術分野で公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、塩
化ナトリウム、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ
酸塩等の賦形剤、水、エタノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、
カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、セラック、メチルセル
ロース、HPMC、HPC、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン、プルラン
等の結合剤;クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和
物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム
、無水リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤;カルメロースカルシウム、低置換度ヒド
ロキシプロピセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファ
−化デンプン、乾燥デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、
ポリソルベート80等の崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;精製タルク、
ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、コロイド状ケイ酸等の滑沢剤等が例示できる
。カルボキシメチルスターチナトリウムを用いると、崩壊性が向上する場合がある。プリ
モジェル(松谷化学)エキスプロタブ(木村産業)、Glycolys(ロケットジャパ
ン)が例示される。
ミニタブレットを用いてコーティング製剤とし、それをマルチユニットとして投与した
場合、水に接触した後、錠剤表層がゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金
属イオンによりカルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギン酸ナトリウム等の第1
の増粘剤が架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成するこ
とにより滑りやすくなり、錠剤間のまとまりも良く嚥下しやすくなる。また、形成された
ゲル層により薬物の放出が短時間抑制されるため不快味のマスキングもより効果が示され
る。
本発明のいくつかの態様の経口用組成物において、薬物核(好ましくは、錠核、より好
ましくはミニタブレット)は、有効成分としてレボフロキサシン水和物を含み、さらに、
結晶セルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、α化デンプンおよびフマル酸ス
テアリルナトリウムを含む。好ましくは、前記錠核のレボフロキサシン水和物の含有量(
錠核の溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は7〜70質量%、より好ましくは35
〜70質量%であり、結晶セルロースの含有量は1〜20質量%、より好ましくは5〜7
質量%であり、カルボシメチルスターチナトリウムの含有量は5〜30質量%、より好ま
しくは15〜20質量%であり、α化デンプンの含有量は0.3〜20質量%、より好ま
しくは1〜5質量%であり、およびフマル酸ステアリルナトリウムの含有量は0.3〜2
0質量%、より好ましくは1〜5質量%である。特に好ましくは、前記錠核のレボフロキ
サシン水和物の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は69.7質量
%であり、結晶セルロースの含有量は6.2質量%であり、カルボキシメチルスターチナ
トリウムの含有量は17.7質量%であり、α化デンプンの含有量は2.7質量%であり
、およびフマル酸ステアリルナトリウムの含有量は3.7質量%である。
本発明の別のいくつかの態様の経口用組成物において、薬物核(好ましくは、錠核、よ
り好ましくはミニタブレット)は、有効成分としてバラシクロビル塩酸塩を含み、さらに
、部分α化デンプン、α化デンプン、タルクおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含み
、さらに任意でカルボキシメチルスターチナトリウムを含む。好ましくは、前記薬物核は
、バラシクロビル塩酸塩の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ)は7
〜80質量%、より好ましくは35〜80質量%であり、部分α化デンプンの含有量は2
〜40質量%、より好ましくは5〜20質量%であり、カルボキシメチルスターチナトリ
ウムの含量は0〜30重量%、より好ましくは0〜15重量%であり、α化デンプンの含
有量は0.3〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%であり、タルクの含有量は0
.3〜20質量%、より好ましくは1〜5質量%であり、およびフマル酸ステアリルナト
リウムの含有量は0.3〜20質量%、より好ましくは1〜5質量%である。特に好まし
くは、前記薬物核は、バラシクロビル塩酸塩の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質量
、以下、同じ)は75.6質量%であり、部分α化デンプンの含有量は4.6質量%であ
り、カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量は13.6質量%であり、α化デンプ
ンの含有量は2.0質量%であり、タルクの含有量は2.7質量%であり、およびフマル
酸ステアリルナトリウムの含有量は1.4質量%である。また、特に好ましくは、前記薬
物核は、バラシクロビル塩酸塩の含有量(錠核の溶媒を除く全成分中の質量、以下、同じ
)は75.6質量%であり、部分α化デンプンの含有量は18.7質量%であり、α化デ
ンプンの含有量は1.5質量%であり、タルクの含有量は2.7質量%であり、およびフ
マル酸ステアリルナトリウムの含有量は1.4質量%である。
本発明の第四の態様および第八の態様の経口用組成物の製造方法の説明は、上記に記載
したとおりである。
また、本発明の第三の態様および第七の態様の経口用組成物は、上記に記載した製造方
法により得ることができる。なお、本発明の第三の態様の経口組成物は、多価金属化合物
を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1
の増粘剤(好ましくはカルボキシビニルポリマー)およびキサンタンガム、グアガム、ア
ルギン酸ナトリウム等の第2の増粘剤(好ましくはキサンタンガム)(ただし、第1の増
粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではな
い)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることによ
り製造するため、上記に記載したとおり、コーティング皮膜中のカルボキシビニルポリマ
ー等の第1の増粘剤は、皮膜に水分が接触しない状態であれば、実質的に多価金属イオン
により架橋されていない状態である。また、本発明の経口用組成物は使用したアルコール
溶媒により、容易にコーティングを洗い流すことが可能である。一方アルコール以外の溶
液、例えば水溶液を溶媒として用いてコーティングした経口用組成物は、コーティング皮
膜中のカルボキシビニルポリマー等の第1の増粘剤は、実質的に多価金属イオンにより架
橋されている状態にあるので、コーティングを洗い流すことが容易ではない。
本発明における経口用組成物の嚥下しやすさについては、具体的には、後述の試験例1
に記載の試験法、すなわち、下端を脱脂綿(25〜30mg)で栓をした長さ5cmの垂直
に固定したシリコンチューブ (8×12)を用いた評価において、充填した経口用組成物
に対するチューブ内に挿入したプロ−プ (径 6mmの球状)の移動(速度8mm/sec
、上下移動距離40mm)に要した最大応力として表すことができる。本発明の経口用組
成物は、前記最大応力が、41g以下であるものが好ましく、30g以下であるものがよ
り好ましく、20g以下であるものがさらに好ましい。また、応力・距離曲線下面積が6
00g・mm以下であるものが好ましく、400g・mm以下であるものがより好ましく
、200g・mm以下であるものがさらに好ましい。
本発明における不快味マスキング効果については、具体的には、後述の試験例2に記載
の試験法、すなわち、垂直に立てた2mLプラスチックシリンジに、有効成分を含む経口
用組成物を試験例2と同様に詰め、上から37℃に加温した水を2mL/minの流速で
一定時間、例えば30秒間又は2分間滴下した際に、シリンジの口から流出する液中の有
効成分の濃度により表すことができる。本発明の経口用組成物は、上記試験で30秒間水
を滴下した際に有効成分の不快味の閾値濃度以下の濃度になっていれば実用化に十分なマ
スキングがされていると判断される。例えば、レボフロキサシン水和物の場合は、30秒
間水を滴下した際にレボフロキサシンの濃度が1,000μg/mL以下であるものは、
不快味マスキングが良好であり好ましい。水を使用しないで服用する製剤の場合も上記試
験で有効成分の不快味の閾値濃度以下の濃度になっていれば実用化に十分なマスキングが
されていると判断され、例えば、レボフロキサシン水和物の場合は、濃度が100μg/
mL以下、好ましくは50μg/mL以下、さらに好ましくは10μg/mL以下である
。バラシクロビル塩酸塩の場合は、濃度が、例えば100μg/mL以下、好ましくは6
0μg/mL以下、さらに好ましくは20μg/mL以下である。
本発明における溶出性については、具体的には、後述の試験例3に記載の試験例日本薬
局方溶出試験パドル法による日本薬局方崩填試験液l液及び回転数50回転における評価
において、30分経過時の溶出率として表すことができる。本発明の経口用組成物は、前
記溶出率が60%以上であるものが好ましく、80%以上であるものがより好ましい。さ
らに好ましくは90%以上であるものであり、実質的な溶出遅延が生じておらず、即放性
錠剤の溶出基準を満たす。
本発明における経口用組成物に用いられる薬物核に含有される有効成分は特に限定され
ないが、本発明の目的からすると1回の服用量の多い薬物が特に好適である。例えば、抗
生物質であるアモキシリン、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、ホスホマイシン
、セフタジジム、アンピシリン、シクラシリン、レナンピシリン、セフォチアムヘキセチ
ル、スルタミシリン、バンコマイシン、ポリミキシンB、エリスロマイシン、クラリスロ
マイシン、テリスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ロ
キタマイシン、ロキシスロマイシン、カナマイシン、セフチブテン、クロラムフェニコー
ル、サイクロセリン、リファブチン、合成抗菌剤であるオフロキサシン、エノキサシン、
レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレ
ノキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、リネゾリド、サルファ剤であるサラゾス
ルファピリジン、抗真菌剤であるボリコナゾール、イトラコナゾール、抗ウイルス剤であ
るアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、バルガンシクロビル、ネルフィナ
ビル、ラルテグラビル、ラビブジン、エムトリシタビン、リトナビル、リバビリン、アバ
カビル、エファビレンツ、ネルフィナビル、テノホビル、ジソプロキシル、ダルナビル、
アタザナビル、高脂血症薬であるプロブコール、クロフィブラート、コレスチミド、コレ
スチラミン、駆虫薬であるプラジカンテル、アルベンダゾール、抗原虫薬であるチニダゾ
ール、メトロニダゾール、肝疾患用剤である分岐鎖アミノ酸、解毒剤である活性炭、消化
器官用剤である5−アミノサリチル酸、ポリカルボフィルカルシウム、抗悪性腫瘍薬であ
るイマニチブメシル酸塩、免疫抑制剤であるミコフェノール酸モフェチル、その他の薬物
としてイノシンプラノベクス等が挙げられる。更に、これらの薬物に限定されるものでは
なく、漢方薬、OTC薬や健康食品にも本発明のコーティング用組成物を適用することが
できる。
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
(1)プラセボミニタブレット(素錠P)の製造:
以下の成分を秤量し、混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのプラセボミニタ
ブレット約25mg/錠を2kg(約80,000錠)得た。
乳糖 2.050kg
結晶セルロース 0.519kg
ステアリン酸マグネシウム 0.026kg
(2)レボフロキサシン水和物ミニタブレット及びバラシクロビル塩酸塩ミニタブレット
の製造:
水溶性が高く苦味を有するモデル薬物としてレボフロキサシン水和物又はバラシクロビ
ル塩酸塩を選び、レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットA〜C(素錠A〜C)及び
バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレットD〜G(素錠D〜G)を製造した。
(i)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットA(素錠A)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレックVG−25)に投入後混合し、バイン
ダーとして8w/w%HPC水溶液2000gを加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 4.100kg
結晶セルロース 0.364kg
カルメロース 0.392kg
フマル酸ステアリルナトリウム 0.108kg
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末4.
277kgにフマル酸ステアリルナトリウム0.087kgを加えて混合後打錠して直径
3.1mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を3
.612kg(約150,500錠)得た。
(ii)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットB(素錠B)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(ハイスピードミキサー)に投入後混合し、水を加
え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 205.0g
結晶セルロース 18.2g
α化デンプン(SWELSTAR PD−1;旭化成) 19.6g
α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成) 9.0g
フマル酸ステアリルナトリウム 5.4g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末23
9.9gに、フマル酸ステアリルナトリウム4.9gを加えて混合後打錠して直径3.1
mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を約220
g(約9,200錠)得た。
(iii)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットC(素錠C)の製造:
<3kgスケールの製造>
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレック VG−25)に投入後混合し、バイ
ンダーとして5w/w%α化デンプン(SWELSTARWB−1;旭化成)水溶液1.
93kg及び水1.57kgを加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 2.471kg
結晶セルロース 0.220kg
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 0.627kg
フマル酸ステアリルナトリウム 0.065kg
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末3.
095kgにフマル酸ステアリルナトリウム0.058kgを加えて混合後打錠して直径
3.1mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を約
3kg(約125,000錠)得た。
<50kgスケールの製造>
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレック VG−100)に投入後混合し、バ
インダーとして5w/w%α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)水溶液
9.36kg及び水7.00kgを加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 11.993kg
結晶セルロース 1.065kg
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 3.042kg
フマル酸ステアリルナトリウム 0.316kg
造粒物を流動層乾燥機(パウレックWSG−30)で乾燥した。この操作を3回繰り返
し、サブバッチをまとめて乾燥品とした。乾燥品を整粒して得られた粉末フマル酸ステア
リルナトリウムを粉末100mgあたり1.87mgを加えて混合後打錠して直径3.1
mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレットを約49kg得た。
(iv)バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠D)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(ハイスピードミキサー)に投入後混合し、バイン
ダーとして6.4w/w%α化デンプン(SWELSTARWB−1;旭化成)水溶液1
00gを加え造粒を行った。
バラシクロビル塩酸塩 178.0g
結晶セルロース 10.2g
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 32.0g
フマル酸ステアリルナトリウム 4.3g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末19
7.6gにフマル酸ステアリルナトリウム3.6gを加えて混合後打錠して直径3.1m
m厚さ3.1mmのバラシクロビル塩酸塩ミニタブレット約24mg/錠を177.7g
(約7,400錠)得た。
(v)バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠E)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレック VG−25)に投入後混合し、バイ
ンダーとして6w/w%α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)水溶液1
000gを加え造粒を行った。
バラシクロビル塩酸塩 2224g
部分α化デンプン(PCS) 136g
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 400g
タルク 80g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末にフ
マル酸ステアリルナトリウムを粉末100mgあたり1.38mg加えて混合後打錠して
直径3.1mm厚さ3.1mmのバラシクロビル塩酸塩ミニタブレットを2700g得た
(vi)バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠F)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレック VG−25)に投入後混合し、バイ
ンダーとして6w/w%α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)水溶液7
50gを加え造粒を行った。
バラシクロビル塩酸塩 2224g
部分α化デンプン(PCS) 536g
タルク 80g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末にフ
マル酸ステアリルナトリウムを粉末100mgあたり1.38mg加えて混合後打錠して
直径3.1mm厚さ3.1mmのバラシクロビル塩酸塩ミニタブレットを約2600g得
た。
(vii)バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠G)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレック VG−25)に投入後混合し、バイ
ンダーとして6w/w%α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)水溶液7
50gを加え造粒を行った。
バラシクロビル塩酸塩 2224g
部分α化デンプン 551g
タルク 80g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末にフ
マル酸ステアリルナトリウムを粉末100mgあたり1.38mg加えて混合後打錠して
直径3.1mm厚さ3.1mmのバラシクロビル塩酸塩ミニタブレットを約2700g得
た。
表1に素錠A〜Gの処方(有効成分含量を500mgとしたときの各成分含量)を示す
実施例1〜2
エタノールに濃グリセリンを混和後、HPC(HPC−L;日本曹達、表示粘度:6〜
10mPa・s)を加え溶解した。HPMC(TC−5E;信越化学、表示粘度:3mP
a・s)及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P;Lubrizol A
dvanced Material Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加
え均一分散した。更に、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(K
eltrolCG−T;三晶、表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシ
ン企業 SJ−3)で粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物を
エタノールに溶解した液を加えて均一分散し、コーティング液とした。このコーティング
液を上記素錠Aにコーティング装置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプ
レーコーティングし、コーティングミニタブレットを得た(コーティング率:コーティン
グミニタブレットに対する質量比で約10%)。1回のコーティングで140gの素錠(
約5,833錠)をコーティングした。
また、実施例1−Pおよび2−Pとして、素錠Aの代わりに素錠Pを用いた以外は各々
実施例1および2と同じ調整法でコーティングミニタブレットを得た(140gの素錠、
約5,833錠)。
実施例3
実施例1のコーティング液調製法においてHPC−Lを加えず、あとは実施例1に準じ
た調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例4
実施例2のコーティング液調製法においてカーボポール971Pの代わりにカーボポー
ル974P(LubrizolAdvance Material Inc., 表示粘度
:32850mPa・s)を用いた以外は実施例1に準じた調製法でコーティングミニタ
ブレットを得た。
実施例1−1
実施例1のコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェットミルで粉
砕したマンニトール(マンニットP;三菱商事フードテック)を用いた以外は実施例1に準
じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例1−2
実施例1のコーティング液調製法においてHPMCを加えず、あとは実施例1に準じた
調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例1−3
実施例1のコーティング液調製法においてHPMCを加えず、エリスリトールを増量し
た以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例1−4
実施例1のコーティング液調製法において、カーボポール971Pを増量し、エリスリ
トールを減量した以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た
実施例1−5
実施例1のコーティング液調製法においてエリスリトールを加えず、HPMCを増量し
た以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例 2−1
実施例1のコーティング液調製法において、カーボポール971Pを加えず、あとは実
施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例 2−2
実施例 1のコーティング液調製法において、キサンタンガムを加えず、あとは実施例
1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
比較例 1
比較例1として、前記レボフロキサシン水和物ミニタブレットの製造により得られた素
錠Aを用いた。
比較例2
遮光や苦味マスキングを目的とした通常のフイルムコーティングミニタブレットを調製
した。水にHPMC、マクロゴール6000 (和光純薬)を溶解後、タルク (松村産業)、
酸化チタン (フロイント産業)を均一分散し、コーティング液とした。このコーティング
液を上記素錠P又は素錠Aにコーティング装置 (パウレック ドリアコー夕ー200)を
用いてコーティングし、コーティングミニタブレットを得た(コーティング率:コーティ
ングミニタブレットに対する質量比で約10%)。
比較例 3
実施例 1のコーティング液調製法においてHPMC及び塩化カルシウム2水和物を加
えず、ジェットミル粉砕したエリスリトールの代わりにジェットミルで粉砕したマンニト
ール (マンニットP;三菱商事フードテック)を用いた以外は実施例1に準じた調製法で
コーティングミニタブレットを得た。
表2に実施例 1〜4、1−1〜2−2及び比較例2〜3のコーティング液処方(部数
)を示す。
実施例5
水にマクロゴール6000を溶解後、HPMC (TC−5R;信越化学)を溶解した
コーティング液(シールコーティング液処方I)を前記素錠C140gにコーティング装
置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプレーコーティングし、シールコー
ティングミニタブレットを得た(コーティング率:シールコーティングミニタブレットに
対する質量比で約4%)。次に、エタノールにHPC(HPC−L;日本曹達、表示粘度
:6〜10mPa・s)を加え溶解後、HPMC(TC−5E;信越化学)及びカルボキ
シビニルポリマー(カーボポール971P;LubrizolAdvanced Mat
erial Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加え均一分散した。更に
、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(KeltrolCG−T
;三晶、表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシン企業 SJ−3)で
粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物をエタノールに溶解した
液を加えて均一分散し、オーバーコーティング液とした。このオーバーコーティング液を
上記シールコーティングミニタブレットにコーティング装置(パウレック ドリアコータ
ー200)を用いてスプレーコーティングし、コーティングミニタブレットを得た(コー
ティング率:コーティングミニタブレットに対する質量比で約8%)。
実施例6
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェット
ミルで粉砕した還元麦芽糖水飴(アマルティーMR−100;三菱商事フードテック)を用
いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例7
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェット
ミルで粉砕したトレハロース(トレハロースS;旭化成ケミカルズ)を用いた以外は実施例
5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例8
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてキサンタンガムの代わりにジェット
ミルで粉砕したグアガム(グアーガムRG100;エムアールシーポリサッカライト、表
示粘度:1100mPa・s)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミ
ニタブレットを得た。
実施例9−1
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてキサンタンガムの代わりにジェット
ミルで粉砕したアルギン酸ナトリウム(キミカアルギンI−8;キミカ)を用いた以外は実
施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例9−2
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてカルボキシビニルポリマーの代わり
にジェットミルで粉砕したアルギン酸ナトリウム(キミカアルギンI−8;キミカ)を用い
た以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例10
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Aを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコ
ーティングミニタブレットを得た。
実施例11
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Bを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコ
ーティングミニタブレットを得た。
実施例12
実施例5と同じ素錠C約2kgに実施例5と同じ組成のシールコーティング液(シール
コーティング液処方I)をコーティング装置(パウレックコーター7)を用いてスプレー
コーティングし、シールコーティングミニタブレットを得た(コーティング率:シールコ
ーティングミニタブレットに対する質量比で約4%)。次に、エタノールにスクラロース
及びHPC(HPC−L;日本曹達)を加え溶解後、HPMC(TC−5E;信越化学)
及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P;LubrizolAdvanc
ed Material Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加え均一分散
した。更に、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(Keltro
l CG−T;三晶、表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシン企業
SJ−3)で粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物をエタノー
ルに溶解した液を加えて均一分散し、オーバーコーティング液とした。このオーバーコー
ティング液を上記シールコーティングミニタブレットにコーティング装置(パウレックコ
ーター7)を用いてスプレーコーティングし、コーティングミニタブレットを得た(コー
ティング率:コーティングミニタブレットに対する質量比で4.5%)。
実施例13
実施例12と同じ素錠C約50kgとに実施例12と同じ組成のシールコーティング液
(シールコーティング液処方I)をコーティング装置(パウレックコーター150)を用
いてスプレーコーティングし、シールコーティングミニタブレットを得た(コーティング
率:シールコーティングミニタブレットに対する質量比で約4%)。次に、実施例12と
同じ組成のオーバーコーティング液を上記シールコーティングミニタブレットにコーティ
ング装置(パウレックコーター150)を用いてスプレーコーティングし、コーティング
ミニタブレットを得た(コーティング率:コーティングミニタブレットに対する質量比で
4.5%)。
比較例4
比較例4として、前記素錠Cを用いた。
比較例5
比較例5として、実施例5で調製したシールコーティングミニタブレットを用いた。
比較例6
比較例6として、素錠Dを用いた。
表3に、実施例5〜8、9−1〜9−2、10〜13及び比較例4〜5の使用した素錠
、シールコーティング及びオーバーコーティング液処方(部数)を示す。また、表4に実
施例5〜23及び比較例5〜6にコーティングしたシールコーティング液およびミドルコ
ーティング液の処方(部数)を示す。表3中のコーティング率(%)は、次のようして求
めたものである。

シールコーティングのコーティング率(%)=(シールコーティング後の100錠の質
量−素錠100錠の質量)/シールコーティング後の100錠の質量×100

オーバーコーティングのコーティング率(%)=(オーバーコーティング後の100錠
の質量−シールコーティング錠100錠の質量)/オーバーコーティング後の100錠の
質量×100

(なお、それぞれの錠剤質量は水分補正値)
実施例14
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Dを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコ
ーティングミニタブレットを得た。オーバーコーティングのコーティング率はコーティン
グミニタブレットに対する質量比で5.0%とした。
実施例15
水にエリスリトールを溶解後、α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)
を溶解したコーティング液を前記素錠E約2kgにコーティング装置(パウレックコータ
ー7)を用いてスプレーコーティングし、シールコーティングミニタブレットを得た(シ
ールコーティング液処方IV、コーティング率:シールコーティングミニタブレットに対
する質量比で4.9%)。次に、エタノールにスクラロース及びHPC(HPC−L;日
本曹達)を加え溶解後、HPMC(TC−5E;信越化学)及びカルボキシビニルポリマ
ー(カーボポール971P;LubrizolAdvanced Material In
c.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加え均一分散した。更に、エリスリトール
(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(Keltrol CG−T;三晶、表示粘
度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシン企業 SJ−3)で粉砕後順次添加
し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物をエタノールに溶解した液を加えて均一
分散し、オーバーコーティング液とした。このオーバーコーティング液を上記シールコー
ティングミニタブレットにコーティング装置(パウレックコーター7)を用いてスプレー
コーティングし、コーティングミニタブレットを得た(コーティング率:コーティングミ
ニタブレットに対する質量比で約5%)。
実施例16
実施例15のシールコーティング液調製法において、α化デンプンを減量し、エリスリ
トールを増量(シールコーティング処方V)した以外は実施例15に準じた調製法でコー
ティングミニタブレットを得た。
実施例17
実施例15のシールコーティング液調製法において、シールコーティング液処方Vの代
わりにシールコーティング液処方Iとし、オーバーコーティング液調製法においてカルボ
キシビニルポリマー、塩化カルシウム及びHPC−Lの添加量を減量し、スクラロースを
追加した以外は実施例15に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例18
実施例17のシールコーティング液調製法において軽質無水ケイ酸を追加し(シールコ
ーティング液処方II)、オーバーコーティングにおいてコーティング率をコーティング
ミニタブレットに対する質量比で3.0%に減らした以外は実施例17に準じた調製法で
コーティングミニタブレットを得た。
実施例19
実施例18の素錠Eの代わりに素錠Fを用い、シールコーティング調製法において軽質
無水ケイ酸の代わりにタルクを用いた(シールコーティング液処方III)以外は実施例
18に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
実施例20
実施例18の素錠Eの代わりに素錠Fを用い、シールコーティングのコーティング率を
増加し、オーバーコーティング液調製法においてカルボキシビニルポリマーの添加量増量
及びオーバーコーティングのコーティング率を増加した以外は実施例18に準じた調製法
でコーティングタブレットを得た。
実施例21
実施例18の素錠Fの代わりに素錠Gを用い、シールコーティング液調製法において、
HPMCをTC−5Rからより低粘度のTC−5Eに変更し、マクロゴール6000及び
軽質無水ケイ酸の代わりにエリスリトールを添加し、更に溶媒にエタノールを加えた(シ
ールコーティング処方VI)以外は実施例18に準じた調製法でコーティングミニタブレ
ットを得た。
実施例22
実施例21のシールコーティングのコーティング率を増加し、オーバーコーティング液
調製法においてカルボキシビニルポリマーの添加量増量及びオーバーコーティングのコー
ティング率を増加した以外は実施例21に準じた調製法でコーティングタブレットを得た
実施例23
水とエタノールの混液(35:15)にHPMC(TC−5R;信越化学)を溶解後、
タルクを分散させたコーティング液(シールコーティング処方VIII)を前記素錠G約
5kgにコーティング装置(パウレックコーター7)を用いてスプレーコーティングし、
シールコーティングミニタブレットを得た(コーティング率:シールコーティングミニタ
ブレットに対する質量比で3.0%)。次に、エリスリトールを水に溶解させたコーティ
ング液(ミドルコーティング処方VIII)をコーティング装置(パウレックコーター7
)を用いてスプレーコーティングし、ミドルコーティングミニタブレットを得た(コーテ
ィング率:ミドルコーティングミニタブレットに対する質量比で3.0%)。エタノール
にスクラロース及びHPC(HPC−L;日本曹達)を加え溶解後、HPMC(TC−5
E;信越化学)及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P;Lubrizo
lAdvanced Material Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順
次加え均一分散した。更に、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム
(Keltrol CG−T;三晶、表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(
セイシン企業 SJ−3)で粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水
和物をエタノールに溶解した液を加えて均一分散し、オーバーコーティング液とした。こ
のオーバーコーティング液を上記ミドルコーティングミニタブレットにコーティング装置
(パウレックコーター7)を用いてスプレーコーティングし、コーティングミニタブレッ
トを得た(コーティング率:コーティングミニタブレットに対する質量比で4.0%)。
比較例6
比較例6として前記素錠Dを用いた。
表5に、実施例14〜23及び比較例6で使用した素錠、シールコーティング処方及び
オーバーコーティング液処方(部数)を示す。また、表5中のコーティング率(%)は、
次のようして求めたものである。

シールコーティングのコーティング率(%)=(シールコーティング後の100錠の質
量−素錠100錠の質量)/シールコーティング後の100錠の質量×100

ミドルコーティングのコーティング率(%)=(ミドルコーティング後の100錠の質
量―シールコーティング錠100錠の質量)/ミドルコーティング後の100錠の質量×
100

オーバーコーティングのコーティング率(%)=(オーバーコーティング後の100錠
の質量−シールコーティング錠又はミドルコーティング錠100錠の質量)/オーバーコ
ーティング後の100錠の質量×100

(なお、それぞれの錠剤質量は水分補正値)
参考例1
特許文献4の製造例1記載のA液に準じ、処方液を調製した。すなわち、精製水55.
0gを取り、その中にポリビニルアルコールケン化物(和光純薬工業)3.0gを攪拌し
ながらゆっくりと添加し、70℃に加熱しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。同
様に精製水45.0gを取り、その中にカーボポール974P1.0gを攪拌しながらゆ
っくりと添加し、約30分間攪拌して完全に溶解させた。これら2つの溶液を合わせて十
分に攪拌した。この時点で得られた溶液は塩化カルシウム非添加のためポリアクリル酸は
架橋されていないにもかかわらず非常に粘度が高く、実施例1記載のスプレーコーティン
グ装置を用いてスプレーコーティングすることはできなかった。従って、さらに塩化カル
シウムを添加し、塩化カルシウムが電離して生じるカルシウムイオンによってポリアクリ
ル酸が架橋された溶液を用いてスプレーコーティングを行うことは困難と推定された。
参考例2
参考例1の処方にグリセリン0.33gを添加し、精製水の添加量を合計250gとし
た以外は参考例1に準じて内層コーティング液を調製した。精製水170gにグリセリン
1.0g、ポリビニルピロリドン(PVPK−90、ISP Japan Ltd.)3.
5g、塩化カルシウム0.5gおよびキサンタンガム(Keltrol CG−T;三晶
、表示粘度:1555mPa・s)0.5gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に
加熱しながら約30時間攪拌して完全に溶解させ、外層コーティング液を調製した。
この内層コーティング液を上記素錠Pにコーティング装置(パウレック ドリアコータ
ー200)を用いてスプレーコーティングして乾燥後、外層コーティング液を同様にスプ
レーコーティングし、コーティングミニタブレットを得た。コーティングを2回に分けて
実施したにもかかわらず、内層コーティングおよび外層コーティングを合わせたコーティ
ング量はミニタブレットに対する質量比約4.3%に留まった。
試験例1(滑りやすさの評価)
シリコンチューブ(8×12:内径8mm、外径12mm)を5cmの長さに切り、ア
ルミブロックに粘着テープで垂直に固定した。下端を脱脂綿(25〜30mg)で栓をし
、上からミニタブレットを20錠入れタッピングした。シリンジで水5mLをシリコンチ
ューブ内に通し、水が抜けたら直ちにStableMicro Systems社製テク
スチャーアナライザー(TA−XT−Plus)にセットしたプローブ(径6mmの球状
プローブ)をチューブ内に挿入し、上から下へ8mm/secの速度で40mm移動させ
その時の応力を測定した。
試験例2(苦味マスキングの評価)
2.5mLプラスチックシリンジを垂直に立て、レボフロキサシン水和物又はバラシク
ロビル塩酸塩を含むコーティングミニタブレット約27〜30個(レボフロキサシン又は
バラシクロビルとして500mg)を詰め、上から37℃に加温した水を2mL/min
の流速で滴下した。30秒又は2分間滴下し、シリンジの口から流出する液を集め、レボ
フロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩の濃度を測定した。
試験例3(溶出性の評価)
レボフロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩を含むコーティングミニタブレット
約27〜30個(レボフロキサシン又はバラシクロビルとして500mg)について、日
本薬局方溶出試験パドル法にて試験を行い(試験液:日本薬局方崩壊試験液1液、回転数
:50回転)試験開始後30分における溶出率を測定した。
試験結果を表6〜8に示す。
試験例 1による評価結果 (滑りやすさの評価)
比較例1(素錠A)、比較例2(素錠Aに通常のフイルムコーティング)及び、カルボキシ
ビニルポリマー及びキサンタンガムを含むが多価金属塩を含まない比較例3では最大応力
および応力・距離曲線下面積が大きな値を示し、粘膜上の滑りが悪く、嚥下しにくいこと
が推定された。比較例3では、水による多価金属イオンの生成がないために多価金属イオ
ンによるカルボキシビニルポリマーの架橋が生じないことによる結果と考えられた。カル
ボキシビニルポリマー、多価金属塩及びキサンタンガムを含む実施例1〜4及び 1−1
〜1−5は、応力が41g以下、応力・距離曲線下面積の値が、516g・mm以下であ
り、嚥下が容易であると推測された。
また、エリスリトールの代わりに還元麦芽糖水飴又はトレハロースを含む実施例6、7
、キサンタンガムの代わりにグアガム又はアルギン酸ナトリウムを含む実施例8、9−1
及びカルボキシビニルポリマーの代わりにアルギン酸ナトリウムを含む実施例9−2にお
いても最大応力および応力・距離曲線下面積は小さく嚥下が容易であると推測された。
また、実施例1−Pおよび2−Pの滑りやすさは、各々実施例1および2と同等であっ
た。このことから、素錠の形および本発明のコーティングが同じであれば素錠の組成が異
なっていても、同等の滑りやすさの効果が得られることが確認された。
また、参考例2で得られたコーティングミニタブレットは水添加により若干ゲル化が観
察された。しかしながら、その最大応力は62.7g、応力・距離曲線下面積は786g
・mmと、本発明実施例に比べていずれも大きな値を示し、粘膜上の滑りが悪く、嚥下し
にくいことが推定された。
実施例5以降の検討においてはシールコーティングを行っているが、シールコーティン
グの測定値への影響はほとんど見られなかった。素錠の結果も併せると、様々な表面物性
の錠剤に対して最外層に本発明のコーティングを行うことで滑りやすさを改善できること
が推定された。
実施例12、13、15〜23で示したように、スクラロースをコーティング溶液に添
加しても、良好な滑りやすさが達成することができた。
なお、表7及び8中、最大応力欄の○は応力が41g以下、応力・距離曲線下面積欄の
○は応力・距離曲線下面積の値が、516g・mm以下を表す。
試験例 2による評価 (苦味マスキングの評価)
比較例1 (素錠A)、比較例2 (素錠Aに通常のフイルムコーティング)は、2分間水を
滴下した際に流出液中のレボフロキサシン水和物濃度が他の処方に比べて著しく高い値を
示した。比較例2は比較例1に比べて濃度が低くなったが、マスキング効果としては不十
分であると考えられた。カルボキシビニルポリマー、多価金属塩及びキサンタンガムを含
む実施例1〜4及び1−1〜1−5は、2分間水を滴下した際に溶出液濃度が3μg/m
L以下であり、良好な苦味マスキング効果を有すると考えられる。これらの結果から、カ
ルボキシビニルポリマーとキサンタンガムを組み合わせることで高い苦味マスキング効果
が得られることが明らかになった。
また、実施例5以降の検討においてはオーバーコーティング液のコーティング量を下げ
て実施しているが、レボフロキサシン水和物においては、30秒間水を滴下した際に溶出
液濃度は50μg/mL以下であった。レボフロキサシン水和物含有の素錠Cにオーバー
コーティングを施した実施例5〜9−2及び実施例12、13では比較例5(素錠Cにシ
ールコーティングのみ)に比べて流出液中の薬物濃度は約1/180〜1/3という低い
値を示し、バラシクロビル塩酸塩含有の素錠DないしGのいずれかにオーバーコーティン
グを施した実施例14〜23では比較例6(素錠Dにシールコーティングのみ)に比べて
流出液中の薬物濃度は1/6000〜1/100(例えば、実施例14では比較例6に比
べて流出液中の薬物濃度は約1/360)という低い値を示し、各々オーバーコーティン
グにおいて実用上十分なマスキング効果が確認された。更に、スクラロースを添加した実
施例12、13および実施例15〜23では、不快味マスキング効果がより一層改善する
ことが期待された。
素錠にシールコーティングのみを施した比較例2および5の流出液中の薬物濃度は、各
々の素錠である比較例1および4に比べて約1/15および約1/20という低い値を示
した。このことは、本発明のオーバーコーティングとシールコーティングを組み合わせる
ことにより、服用時の不快味マスキング効果を増強する効果、および/または、薬物核の
不快味成分等の成分が保存中にオーバーコーティング層に移動することを防ぎ、薬物核成
分とオーバーコーティング層成分との配合変化やマスキング効果の減弱を防ぐ効果、が発
揮されたものと考えられた。
特に、本発明のオーバーコーティングとミドルコーティングとシールコーティングを組
み合わせた実施例23は、本発明のオーバーコーティングとミドルコーティングを組み合
わせた他の実施例と比べても流出液中の薬物濃度が低い値を示し、服用時の高い不快味マ
スキング効果が確認された。
なお、表7中、30秒間流出液濃度欄の○は溶出液濃度が50μg/mL以下を表し、
表8中、30秒間流出液濃度欄の○は溶出液濃度が60μg/mL以下を表す。
試験例3による評価結果
比較例1、2は溶出速度が極めて速かった。HPMCと糖アルコールを含む実施例1〜
4、カーボポールを含まず、キサンタンガムとHPMCおよびエリスリトールを含む実施
例2−1では30分の溶出率が80%以上となり、優れた溶出性を示した。増粘剤として
カーボポールのみを用いた実施例2−2では、70%以上の溶出率であった。実施例1と
実施例1−4の結果から、皮膜中のカーボポールの含量が12%では溶出遅延は起きてい
ないが16質量%まで増量すると僅かに遅延することがわかった。
実施例5〜7の結果から、エリスリトールをマルチトール(還元麦芽糖水飴)またはト
レハロースに代えても同様に優れた溶出性を示すことがわかった。
実施例5以降の検討においてはオーバーコーティング液のコーティング量を下げて実施
しているが、実施例5以降の全ての処方において実用上十分な溶出率を示し、素錠の処方
の違い、あるいはシールコーティングによる影響も見られなかった。
なお、表7及び表8中、30分の溶出率欄の◎は30分の溶出率が80%以上を表し、
○は30分の溶出率が60%以上を表す。
以上のように本発明の経口用組成物は、少量の水又は唾液により錠剤表層が速やかにゲ
ル化し、錠剤同士がまとまりやすく、粘膜上を滑りやすくなり嚥下しやすくなる。また、
ゲル化したコーティング皮膜は嚥下するまでの短時間薬物溶出を抑制することで不快味マ
スキング効果を示し、嚥下後は皮膜が速やかに崩壊して薬物流出に影響を与えない。

Claims (1)

  1. 明細書に記載された発明。
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