JP2018096539A - ボールねじ装置のボールナット部材及びボールねじ軸 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要とする荷重負荷能力に応じてナット部材とねじ軸との間で荷重を負荷するボール個数を容易に増減することが可能であり、しかも複雑な形状の循環部品が不要となるボールねじ装置のボールねじナットを提供する。【解決手段】ボールねじナットは、軸部材の軸方向に沿って重ねて配置された複数のナット構成要素を備え、前記ナット構成要素は、当該ボールねじナットの軸方向の両端に配置される一対の端部要素と、前記一対の端部要素の間に配置される一乃至複数の中間要素と、から構成されている。また、前記端部要素と前記中間要素との境界部、又は互いに隣接する前記中間要素同士の境界部には、前記ボールが前記軸部材と前記ボールねじナットとの間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道が設けられ、前記ボールねじナットに備えられた前記負荷軌道の全長は前記中間要素の数に応じて任意に変更可能である。【選択図】 図3

Description

本発明は、回転運動と直線運動を相互に変換することが可能なボールねじ装置に関するものである。
ボールねじ装置は回転運動と直線運動を相互に変換することが可能な機械要素であり、各種工作機械、搬送装置、産業用ロボット等において、サーボモータが発生する回転運動を直線運動に変換する目的で多用されている。前記ボールねじ装置は、多数のボールと、これらボールが転走する螺旋状の転動溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ボールを介して前記ねじ軸の周囲に螺合するナット部材と、を備えている。
一般に、前記ナット部材は、前記ねじ軸を挿通させる貫通孔を備えたナット本体と、前記ナット本体に装着されて前記ボールの無限循環路を構築する循環部品とから構成されている。前記ナット本体の貫通孔の内周面には、前記ねじ軸の転動溝と対向する負荷転動溝が螺旋状に形成されており、ボールは前記ねじ軸と前記ナット部との間で荷重を負荷しながら前記負荷転動溝を転動する。前記循環部品は、前記負荷転動溝の端部同士を接続するボール戻し通路を備えており、前記負荷転動溝を転走し終えて無負荷状態となったボールを前記ねじ軸の転動溝から離脱させ、当該ボールを前記負荷転動溝の一端から他端へと循環させる。
前記ナット部材が前記ねじ軸に対して円滑に運動するためには、前記無限循環路内におけるボールの循環に対して作用する抵抗を最小限に抑えることが重要であり、そのためには前記ナット本体及び前記循環部品の加工精度、両部品の組み立て精度を高めることが必要であるが、このことはボールねじ装置の生産コストを上昇させる要因となっていた。また、前記循環部品に設けられるボール戻し通路は、ボールを前記ねじ軸の転動溝から離脱させ、併せてボールの転走方向を変化させる必要性から、複雑な形状を有しており、理想的なボールの循環軌道を実現することが難しかった。
一方、循環部品を用いることなくボールの無限循環路を構築したボールねじ装置としては、特許文献1に開示されたものが知られている。この特許文献1のボールねじ装置は、複数のリング状のボールガイド部材をねじ軸の軸方向へ多重配置してナット部材を構成しており、個々のボールガイド部材にはねじ軸の周囲1巻き分のボールガイド溝が設けられている。各ボールガイド部材は一対のボールガイド片を向かい合わせに接合して構成されており、一対のボールガイド片の分割面に沿って負荷転動溝とトンネル状のボール戻し通路が切れ目なく連続的に形成されている。
特開2012−189186
前記ねじ軸の回転に伴う前記ナット部材の軸方向への推進力を高めるためには、前記ナット部材と前記ねじ軸との間で荷重を負荷するボール個数、換言すれば前記ナット部材に具備される負荷転動溝の長さを増加させることが必要となる。しかし、特許文献1に開示されるボールねじ装置では1個のボールガイド部材がねじ軸の周囲一巻分のボールカイド溝に対応し、負荷転動溝は前記ボールガイド溝の一部分として存在するので、負荷転動溝の長さを増加させるには、複数のボールガイド部材を多重的に配置する必要が生じ、前記ナット部材の軸方向長さが長尺化するといった課題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、必要とする荷重負荷能力に応じてナット部材とねじ軸との間で荷重を負荷するボール個数を容易に増減することが可能であり、しかも複雑な形状の循環部品が不要となるボールねじ装置のボールねじナット及びボールねじ軸を提供することにある。
すなわち第一の発明は、軸部材が挿通される貫通孔を有すると共に、多数のボールを介して前記軸部材に組み付けられ、当該軸部材に対して螺旋状に運動自在に構成されたボールねじナットに関するものであり、当該ボールねじナットは前記軸部材の軸方向に沿って重ねて配置された複数のナット構成要素を備え、前記ナット構成要素は、当該ボールねじナットの軸方向の両端に配置される一対の端部要素と、前記一対の端部要素の間に配置される少なくとも一つの中間要素と、から構成されている。また、前記端部要素と前記中間要素との境界部、又は互いに隣接する前記中間要素の境界部には、前記ボールが前記軸部材と前記ボールねじナットとの間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道が形成されている。
第二の発明は、ナット部材の貫通孔に挿通されると共に、多数のボールを介して前記ナット部材に組み付けられ、当該ナット部材に対して螺旋状に運動自在なボールねじ軸であって、前記ボールねじ軸は前記ナット部材の軸方向に沿って重ねて配置された複数のねじ軸構成要素を備え、前記ねじ軸構成要素は、当該ボールねじ軸の軸方向の両端に配置される一対の端部要素と、前記一対の端部要素の間に配置される少なくとも一つの中間要素と、から構成されている。また、前記端部要素と前記中間要素との境界部、又は互いに隣接する前記中間要素の境界部には、前記ボールが前記ボールねじ軸と前記ナット部材との間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道が形成されている。
本発明によれば、一対の端部要素の間に挟み込む中間要素の数を変更するのみで、ボールが荷重を負荷しながら転動する負荷軌道の長さを任意に変更することが可能であり、必要とする荷重負荷能力に応じて前記負荷軌道を転動するボールの個数を容易に増減し、ボールねじナット又はボールねじ軸を自由に構成することが可能である。また、前記端部要素及び前記中間要素を軸方向に重ねて配置するのみで、ボールねじナット又はボールねじ軸を自由に構成することができ、複雑な形状の循環部品を用いることなく、ボールねじナット又はボールねじ軸を構成することが可能である。
本発明を適用したボールねじ装置の第一実施形態を示す斜視図である。 第一実施形態に係るボールねじナットを示す断面図である。 第一実施形態に係るボールねじナットの分解斜視図である。 第一実施形態のボールねじナットの中間要素を示す斜視図である。 第一実施形態のボールねじナット中間要素の個数を増やした例を示す斜視図である。 第一実施形態に係るボールねじナットの負荷軌道を示した断面図である。 第一実施形態に係るボールねじナットの無負荷軌道を示した断面図である。 本発明を適用したボールねじナットの第二実施形態を示す斜視図である。 第二実施形態に係るボールねじナットを示す断面図である。 第二実施形態に係るボールねじナットの分解斜視図である。 第二実施形態に係るボールねじナットの一方の端部要素を取り外した状態を示す側面図である。 本発明を適用したボールねじ装置の第三実施形態を示す斜視図である。 第三実施形態に係るボールねじナットの分解斜視図である。 第三実施形態に係るボールねじナットの第一中間要素の一方の端面を示す斜視図である。 第三実施形態に係るボールねじナットの第一中間要素の他方の端面を示す斜視図である。 本発明を適用したボールねじ装置のボールねじ軸の第四実施形態を示す斜視図である。 第四実施形態に係るボールねじ軸と組み合わせて使用可能なナット部材を示す斜視図である。 第四実施形態に係るボールねじ軸の断面図である。 第四実施形態に係るボールねじ軸の分解斜視図である。 第四実施形態のボールねじ軸の中間要素を示す斜視図である。 本発明を適用したボールねじ装置のボールねじ軸の第五実施形態を示す斜視図である。 第五実施形態に係るボールねじ軸の分解斜視図である。 第五実施形態に係るボールねじ軸の第一中間要素を示す斜視図である。 第五実施形態に係るボールねじ軸の第一中間要素を示す正面図である。
以下、添付図面を用いて本発明のボールねじ装置のボールねじナット及びボールねじ軸を詳細に説明する。
図1は本発明を適用したボールねじ装置の第一実施形態を示すものである。
このボールねじ装置1は、外周面にボールの転動溝20が螺旋状に形成されたねじ軸(軸部材)2と、多数のボールを介して前記ねじ軸20の周囲に螺合する円筒状のボールねじナット3とから構成されている。また、前記ボールねじナット3は前記ボールの無限循環路を備えている。前記ボールは前記ねじ軸2とボールねじナット3との間に介在しており、例えば前記ねじ軸2を前記ボールねじナット3に対して回転させることにより、当該ボールねじナット3が前記ねじ軸2の軸方向へ移動し、又は前記ボールねじナット3を前記ねじ軸2に対して回転させることにより、当該ねじ軸2が前記ボールねじナット3の軸方向へ移動する。
図2は前記ボールねじナット3を軸方向に沿って切断した断面図、図3は前記ボールねじナット3の構成を示す分解斜視図である。前記ボールねじナット3は前記ねじ軸2が挿通される貫通孔を有して円筒状に形成されており、前記貫通孔の内周面には前記ねじ軸2に形成された螺旋状の転動溝20と対向する負荷軌道が形成されている。ボール4は前記負荷軌道30に配列されており、前記ボールねじナット3と前記ねじ軸2との間で荷重を負荷しながら当該負荷軌道30を転動する。
前記ボールねじナット3の負荷軌道30は前記ねじ軸2の転動溝20と正対した螺旋状に形成されているが、当該螺旋の一巻分よりも若干短く形成されており、前記負荷軌道30の端部同士は無負荷軌道31によって接続されている。この無負荷軌道31は前記ボール4を螺旋の一巻分だけ戻すように形成されており、当該負荷軌道30の両端が無負荷軌道31によって接続されることで、ねじ軸2の周囲を1周するボール4の無限循環路が形成されている。この第一実施形態の前記ボールねじナット3にはボール4の無限循環路が2回路設けられている。
この第一実施形態のボールねじナット3は複数のナット構成要素3a,3b,3cから構成されており、かかるナット構成要素が当該ボールねじナット3の軸方向に沿って重ねて配置されている。前記ナット構成要素は、一対の端部要素3a,3bと、これら端部要素3a,3bの間に挟まれたリング状の中間要素3cとから構成されている。前記一対の端部要素3a,3bは同一形状のリング状部材であり、互いに逆向きに向かい合うように配置されている。前記ボール4の無限循環路は前記端部要素3a,3bと前記中間要素3cの境界部に設けられており、前記負荷軌道30及び前記無負荷軌道31のそれぞれを二分するように前記端部要素と前記中間要素の分割面が位置している。すなわち、図3に示すように、前記一対の端部要素3a,3bの間に前記中間要素3cを挟んで前記ボールねじナット3を構成することによって、ボール4の無限循環路が2回路設けられ、且つ、すべてのボール4は前記端部要素3a,3bと前記中間要素3cとの間に位置している。
前記負荷軌道30は前記端部要素3a,3bと前記中間要素3cとの分割面に位置していることから、当該負荷軌道30は前記無限循環路の中心線で一対の負荷溝成分30a,30bに分割されており、一方の負荷溝成分30aは前記端部要素3a,3bに、他方の負荷溝成分30bは前記中間要素3cに形成されている。また、同様にして、前記無負荷軌道31も前記無限循環路の中心線で一対の無負荷溝成分31a,31bに分割されており、一方の無負荷溝成分31aは前記端部要素3a,3bに、他方の無負荷溝成分31bは前記中間要素3cに形成されている。
換言すれば、前記ボールネジナット3は前記負荷軌道30及び前記無負荷軌道31の中心を通る分割面で前記一対の端部要素3a,3bとこれらの間に挟まれる前記中間要素3cに分割されている。
図4は前記中間要素3cを示す斜視図である。前記端部要素3aに面した前記中間要素3cの軸方向端面32aは前記ボール4の無限循環路に沿って形成されており、軸方向に直交する平面とはなっていない。この軸方向端面32aの内周縁には前記負荷溝成分30bが形成されている。また、図4からは把握できないが、前記端部要素3bに面した前記中間要素3cの軸方向端面32bは、図4に示された軸方向端面32aと同一の形状に形成されている。但し、前記軸方向端面32aに形成された無負荷溝成分31bは前記軸方向端面32bに形成された無負荷溝成分31bに対して、前記中間要素3cの周方向へ120度変位した位置に設けられている。このため、前記ボールねじナット3に設けられた2回路の無限循環路は、図2から把握できるように、それぞれの無負荷軌道31の位置が軸方向に重ならず、その分だけ前記ボールねじナット3の軸方向の全長を短く設計することが可能となっている。
この第一実施形態では一対の端部要素3a,3bの間に一個の中間要素3cを配置しているが、前記中間要素3cは二個以上であっても差し支えない。例えば、図5に示すように、一対の端部要素3a,3bの間に九個の中間要素3cを配置した場合には、互いに隣接する中間要素3cの間にもボール4の無限循環路が構築され、前記ボールねじナット3は10回路のボール4の無限循環路を有することになる。
すなわち、この第一実施形態のボールねじ装置1では、一対の端部要素3a,3bの間に挟む中間要素3cの個数を変更するのみで、前記ボールねじナット3が備える無限循環路の回路数、すなわちボール4が荷重を負荷しながら転動する負荷軌道30の全長を容易に増減することが可能であり、ボールねじ装置の用途に応じて最適な荷重負荷能力のボールねじナット3を容易に構成することができる。
図6は前記ボールねじナット3に形成された負荷軌道30の断面を示すものである。前記負荷軌道30はボール4の半径よりも深い溝状に形成されており、ボール4は赤道を前記負荷軌道30内に没した状態で当該負荷軌道30を転動している。また、前記負荷軌道30の開口幅Wはボール4の直径dよりも狭く設定されており、前記ねじ軸2を前記ボールねじナット3から抜き出しても、ボール4が負荷軌道30内に保持されるようになっている。
図7は前記ボールねじナット3に形成された無負荷軌道31の断面を示すものである。前記無負荷軌道31はトンネル状に形成されており、その内径はボール4の直径よりもわずかに大きく設定されている。これにより、前記ボール4は無負荷状態で前記無負荷軌道31内を転動する。また、前記端部要素3a,3b及び前記中間要素3cの夫々には前記無負荷軌道31内のボール4を前記ねじ軸2から分離する側壁部33が設けられている。これら側壁部33は前記無負荷溝成分31a,31bとねじ軸2の間に設けられており、前記端部要素3a,3bと前記中間要素3cを結合すると、前記端部要素3a,3bの側壁部33と前記中間要素3cの側壁部33とが互いに突き当てられて、前述したトンネル状の無負荷軌道31が完成する。
この第一実施形態のボールねじナット3では、前記端部要素3a,3bと前記中間要素3cを接合するのみで無負荷軌道31を含んだボール4の無限循環路が完成するので、当該無限循環路を構築するにあたり、前記端部要素3a,3b及び前記中間要素3cの他に他の部品は必要なく、極めて簡単にボールねじナット3を構成することが可能である。
また、前記負荷軌道30は前記端部要素3a,3bの負荷溝成分30aと前記中間要素3cの負荷溝成分30bを接合して完成するので、開口幅Wがボール4の直径dよりも狭い負荷軌道30を容易に形成することが可能であり、ねじ軸2をボールねじナット3から抜き取ってもボール4の脱落することのないボールねじ装置を容易に製作することができる。加えて、同様な理由から、前記無負荷軌道31を容易にトンネル状に形成することが可能であり、当該無負荷軌道をボールの循環に理想的な軌道で設計することが可能となる。
尚、前述した第一実施形態ではボールねじナット3と組み合わせる軸部材としてねじ軸2を示したが、前記負荷軌道30内に配列されたボール4が当該軸部材と前記ボールねじナット3との間で荷重を負荷しながら転動するのであれば、前記軸部材はねじ軸2である必要はなく、例えば円筒状に形成された丸軸であっても差し支えない。
図8は本発明を適用したボールねじナットの第二実施形態を示すものである。
この第二実施形態のボールねじナット9は、前述した第一実施形態のボールねじ装置1のボールねじナット3に置換可能であり、多数のボールを介して前記ねじ軸2に螺合する。また、このボールねじナット9は外周面から突出した鍔状のフランジ部90を有しており、前記フランジ部90には固定ボルトを挿通させる複数の貫通孔91が設けられている。当該ボールねじナット9は前記固定ボルトを用いてテーブル等の可動体に固定される。
図9は前記ボールねじナット9を軸方向に沿って切断した断面図、図10は前記ボールねじナット9の構成を示す分解斜視図である。前記ボールねじナット9は前記ねじ軸2が挿通される貫通孔を有して円筒状に形成されており、前記貫通孔の内周面には前記ねじ軸2に形成された螺旋状の転動溝20と対向する負荷軌道92が形成されている。図9では省略しているが、前記負荷軌道92には前述の第一実施形態と同様に複数のボール4が配列されており、これらボールは前記ボールねじナット9と前記ねじ軸2との間で荷重を負荷しながら当該負荷軌道92を転動する。
前記負荷軌道92は前記ねじ軸2の転動溝20と正対した螺旋状に形成されているが、当該螺旋の一巻分よりも若干短く形成されており、前記負荷軌道92の端部同士は無負荷軌道93によって接続されている。この無負荷軌道93は前記ボール4を螺旋の一巻分だけ戻すように形成されており、当該負荷軌道92の両端が無負荷軌道93によって接続されることで、ねじ軸2の周囲を1周するボール4の無限循環路が形成されている。前述の第一実施形態では前記ボールねじナット3に対してボール4の無限循環路が2回路設けられていたが、この第二実施形態では前記ボールねじナット9に対してボール4の無限循環路が3回路設けられている。
この第二実施形態のボールねじナット9は複数のナット構成要素9a,9b,9c,9dから構成されており、これらナット構成要素が当該ボールねじナット9の軸方向に沿って重ねて配置されている。前記ナット構成要素は、一対の端部要素9a,9bと、これら端部要素9a,9bの間に挟まれた二個のリング状中間要素9c,9dとから構成されている。前記一対の端部要素9a,9bの相違は前記フランジ部の有無であり、これら一対の端部要素9a,9bは互いに逆向きに向かい合うように配置されている。また、二個の中間要素9c,9dは同一形状のリング状部材である。
そして、これらナット構成要素9a,9b,9c,9dを重ねて配置することにより、前述の第一実施形態と同様に、前記端部要素3aと前記中間要素3cの境界部、前記中間要素3cと前記中間要素3dの境界部、前記中間要素3dと前記端部要素3bの境界部に前記ボールの無限循環路が設けられ、3回路の無限循環路を有するボールねじナット9が完成する。尚、組み合わせた4個のナット構成要素9a,9b,9c,9dはこれらを貫通する結合ボルトによって分離不能に一体化される。
図11は前記中間要素9cから前記端部要素9aを取り外した状態を示す側面図である。互いに隣接する各ナット構成要素9a,9b,9c,9dの境界部には二種類の面が形成されている。一方は、前記無限循環路に沿って前記ボールねじナット9を各ナット構成要素に区分した分割面94であり、かかる分割面94は前記ボールねじナット9の軸方向に対して傾斜すると共に、前記無負荷軌道93に対応した曲面を有している。また、他方は前記ボールねじナット9の軸方向に対して直交する平面として形成された接合面95である。前記分割面94は前記貫通孔を取り囲むように形成され、更に、前記接合面95は前記分割面94を取り囲むように当該分割面の外側に形成されている。
図9に示すように、各ナット構成要素を組み合わせて前記ボールねじナットを組み立てると、例えば、前記端部要素9aの接合面95と前記中間要素9cの接合面95が互いに当接し、前記端部要素9aと前記中間要素9cの位置決めがなされる。一方、前記端部要素9aの分割面94は前記中間要素9cの分割面94には当接せず、これら分割面の間には僅かな隙間が形成される。このような隙間を互いに対向する分割面94の間に形成している理由は、前記接合面95の当接による前記端部要素9aと前記中間要素9cの位置決め精度を高めるためであり、また、前記無限循環路の中心において前記端部要素9aと前記中間要素9cの合わせ目に段差が発生するのを未然に防止するためである。尚、前記中間要素3cと前記中間要素3dの境界部、前記中間要素3dと前記端部要素3bの境界部においても、前記端部要素9aと前記中間要素9cの接合と同じ構造が用いられている。
以上のように、この第二実施形態のボールねじナット9でも、前記端部要素9a,9bの間に前記中間要素を挟み込むのみで、無負荷軌道を含んだボール4の無限循環路が完成し、当該無限循環路を構築するにあたり、前記端部要素5a,5b及び前記中間要素5c,5dの他に他の部品は必要なく、極めて簡単にボールねじナット5を構成することが可能である。
図12は本発明が適用されたボールねじ装置の第三実施形態を示すものである。
この第三実施形態のボールねじ装置1Aは、前述した第一実施形態のボールねじ装置1と同様に、ねじ軸2と、多数のボールを介して前記ねじ軸に螺合するボールねじナット5と、から構成されている。前記ねじ軸2は前述の第一実施形態と同一である。
図13は前記ボールねじナット5の分解斜視図である。この第三実施形態のボールねじナット5は前記ねじ軸2が挿通される貫通孔を有して円筒状に形成されており、前記貫通孔の内周面には前記ねじ軸2に形成された螺旋状の転動溝20と対向する負荷軌道が設けられている。ボール4は前記負荷軌道に配列されており、前記ボールねじナット5と前記ねじ軸2との間で荷重を負荷しながら当該負荷軌道を転動する。
この第三実施形態のボールねじナット5は複数のナット構成要素5a,5b,5c,5dから構成されており、かかるナット構成要素が当該ボールねじナット5の軸方向に沿って重ねて配置されている。前記ナット構成要素は、一対の端部要素5a,5bと、これら端部要素5a,5bの間に挟まれた一対の第一中間要素5c,5dとから構成されている。前記一対の端部要素5a,5bは同一形状のリング状部材であり、互いに逆向きに配置されている。前記第一中間要素5dは前記第一中間要素5cと同一形状のリング状部材であり、当該第一中間要素5cとは逆向きに配置されている。前記ボール4が前記ボールねじナット5と前記ねじ軸2との間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道は、前記端部要素5aと前記第一中間要素5cの境界部、前記第一中間要素5cと前記第一中間要素5dの境界部、前記第一中間要素5dと前記端部要素5bの境界部に存在し、各境界部の負荷軌道が螺旋状に連続して、一条の負荷軌道を構成している。すなわち、前記ボールねじナット5の内周面には前記ねじ軸2の周囲三巻分の長さの負荷軌道50が螺旋状に設けられている。
また、前記ボールねじナット5には前記負荷軌道の両端を繋ぐ無負荷軌道が設けられている。前記無負荷軌道は、前記第一中間要素5c,5dに対して軸方向に沿って形成されたボール戻し孔51aと、前記端部要素5a,5bと前記第一中間要素5c,5dとの境界部に形成されたボール逃がし通路51とから構成されている。前記ボール逃がし通路51は前記負荷軌道と前記ボール戻し孔51aとの間でボール4を往来させる。すなわち、前記一対の端部要素5a,5bの間に前記一対の第一中間要素5c,5dを挟んで前記ボールねじナット5を構成することにより、ねじ軸2の周囲三巻分の前記負荷軌道50の両端が前記無負荷軌道で繋がれ、当該ボールねじナット5に対してボール4の無限循環路が一回路設けられる。
図14及び図15は前記第一中間要素5cを示す斜視図である。図14は前記端部要素5aに面した前記第一中間要素5cの軸方向端面52aを示す一方、図15は前記第一中間要素5dに面した前記第一中間要素5cの軸方向端面52bを示している。前記軸方向端面52a,52bは前記ボール4の負荷軌道に沿って形成されており、軸方向に直交する平面とはなっていない。前記第一中間要素5cの内周面には前記ねじ軸2の雄ねじ山に対向する螺旋状の雌ねじ山52cが形成されている。前記雌ねじ山52cの両側面には前記負荷軌道を構成する負荷溝成分50aが設けられている。例えば、前記第一中間要素5c,5dの境界部では、当該第一中間要素5cに設けられた負荷溝成分50aと当該第一中間要素5dに設けられた負荷溝成分50aが向かい合うことによって、前記ボール4が転動する負荷軌道が構成される。また、前記端部要素5a,5bにも同様な負荷溝成分が設けられており、前記第一中間要素5cと前記端部要素5aの境界部においても、一対の負荷溝成分が向かい合うことによって、前記ボール4が転動する負荷軌道が構成される。
一方、前記第一中間要素5cの軸方向端面52aには、図14に示すように、前記負荷溝成分50aと前記ボール戻し孔51aを接続する誘導溝51bが設けられている。この誘導溝51bは前記端部要素5aにも同様に形成されている。このため、前記第一中間要素5cと前記端部要素5aの境界部では、一対の誘導溝51bが向かい合うことによって、前記ボール4を前記負荷軌道とボール戻し孔51aに往来させるボール逃がし通路51が構成される。
この第三実施形態では一対の端部要素5a,5bの間に一対の第一中間要素5c,5dを配置し、前記ボールねじナットに対して三巻の前記負荷軌道を含む無限循環路を1回路形成したが、一対の第一中間要素5c,5dの間に任意の個数の第二中間要素を挟み込むことにより、前記負荷軌道の巻き数を任意に増加させることが可能である。例えば、前記第一中間要素5c,5dの間に一個の第二中間要素を増やすことにより、前記ボールねじナットに対して四巻の前記負荷軌道を含む1回路の無限循環路を形成することができ、また、二個の第二中間要素を増やすことにより、前記ボールねじナットに対して五巻の前記負荷軌道を含む1回路の無限循環路を形成することができる。但し、前記第二中間要素は前記第一中間要素5c,5dの軸方向端面52aに接して螺旋状の負荷軌道を構成することから、当該第二中間要素の軸方向端面は表裏共に図15に示した前記第一中間要素5cの軸方向端面52bと同じ形状となる。
また、この第三実施形態では一対の端部要素5a,5bの間に一個の第三中間要素を配置し、前記ボールねじナットに対して二巻の前記負荷軌道を含む無限循環路を1回路形成することも可能である。但し、前記第三中間要素は前記端部要素5a,5bに接して螺旋状の負荷軌道及び前記ボール逃がし通路51を構成することから、当該第三中間要素の軸方向端面は表裏共に図14に示した前記第一中間要素5cの軸方向端面52aと同じ形状となる。
前記第一中間要素5c,5d、第二中間要素又は第三中間要素のそれぞれは、前記ねじ軸2の周囲における前記負荷軌道の一巻分に対応しているので、前記第一中間要素5c,5d、第二中間要素又は第三中間要素の軸方向の厚さは前記ねじ軸2における螺旋状の転動溝20のリード長に対応している。
すなわち、この第三実施形態のボールねじ装置1では、一対の端部要素5a,5bの間に第一中間要素、第二中間要素又は第三中間要素を適宜組み合わせて挟み込むのみで、1回路の無限循環路に含まれる負荷軌道の全長を容易に増減することが可能であり、ボールねじ装置の用途に応じて最適な荷重負荷能力のボールねじナット5を容易に構成することができる。
以上のように、この第三実施形態のボールねじナット5でも、前記端部要素5a,5bの間に中間要素を挟み込むのみで無負荷軌道を含んだボール4の無限循環路が完成するので、当該無限循環路を構築するにあたり、前記端部要素5a,5b及び前記中間要素の他に他の部品は必要なく、極めて簡単にボールねじナット5を構成することが可能である。
また、この第三実施形態においても、第一実施形態と同様に、開口幅Wがボール4の直径dよりも狭い負荷軌道を容易に形成することが可能であり(図6参照)、ねじ軸2をボールねじナット5から抜き取ってもボール4の脱落することのないボールねじ装置を容易に製作することができる。
図16は本発明の第四実施形態を示すものであり、ボールねじ装置のボールねじ軸を示している。
このボールねじ軸6の外周面には多数のボール4が螺旋状に配列されると共に、当該ボールねじ軸6は前記ボール4の無限循環路を有しており、前記ボール4は当該ボールねじ軸6とナット部材との間で荷重を負荷しながら転動する。図17は前記ボールねじ軸6と組み合わせて使用することが可能なナット部材7を示している。前記ナット部材7は前記ボールねじ軸6を挿通する貫通孔を有しており、当該貫通孔の内周面には螺旋状の転動溝70が形成されている。前記ボールねじ軸6は前記ボール4を介して前記ナット部材7に螺合する。また、前記ボールねじ軸6の中心には駆動軸が嵌合する軸孔60が設けられており、当該軸孔60に嵌合した駆動軸を回転させると、ナット部材7の貫通孔内で前記ボールねじ軸6を回転させることができる。前記ボールねじ軸6が回転すると、前記ボール4が前記ナット部材7の転動溝70を転がり、前記ボールねじ軸6の回転方向に応じて前記ナット部材7が軸方向へ進退する。
図18は前記ボールねじ軸6を軸方向に沿って切断した断面図、図19は前記ボールねじ軸6の構成を示す分解斜視図である。前記ボールねじ軸6は中心に前記軸孔60を有して円柱状に形成されており、外周面には前記ナット部材7に形成された螺旋状の転動溝70と対向する負荷軌道61が設けられている。ボール4は前記負荷軌道61に配列されており、前記ボールねじ軸6と前記ナット部材7との間で荷重を負荷しながら当該負荷軌道61を転動する。
前記ボールねじ軸6の負荷軌道61は前記ナット部材7の転動溝70と正対した螺旋状に形成されているが、当該螺旋の一巻分よりも若干短く形成されており、前記負荷軌道61の端部同士は無負荷軌道62によって接続されている。この無負荷軌道62は前記ボール4を螺旋の一巻分だけ戻すように形成されており、当該負荷軌道61の両端が無負荷軌道62によって接続されることで、前記ボールねじ軸6の周囲を1周するボール4の無限循環路が形成されている。この第四実施形態の前記ボールねじ軸6にはボール4の無限循環路が3回路設けられている。
この第四実施形態のボールねじ軸6は複数のねじ軸構成要素6a,6b,6cから構成されており、これらねじ軸構成要素が当該ボールねじ軸6の軸方向に沿って重ねて配置されている。前記ねじ軸構成要素は、一対の端部要素6a,6bと、これら端部要素6a,6bの間に挟まれた円板状の二個の中間要素6cとから構成されている。前記一対の端部要素6a,6bは同一形状の円板状部材であり、互いに逆向きに向かい合うように配置されている。前記ボール4の無限循環路は前記端部要素6a,6bと前記中間要素6cの境界部、及び二個の中間要素6cの境界部に設けられており、前記負荷軌道61及び前記無負荷軌道62のそれぞれを二分するように前記端部要素と前記中間要素の分割面が位置している。すなわち、図16に示すように、前記一対の端部要素6a,6bの間に二個の前記中間要素6cを挟んで前記ボールねじ軸6を構成することによって、ボール4の無限循環路が3回路設けられる。
図19に示すように、前記負荷軌道61は前記無限循環路の中心線で一対の負荷溝成分61aに分割されており、前記端部要素6a,6b及び前記中間要素6cには前記負荷溝成分61aが形成されている。また、同様にして、前記無負荷軌道62も前記無限循環路の中心線で一対の無負荷溝成分62aに分割されており、前記端部要素6a,6b及び前記中間要素6cには前記無負荷溝成分62aが形成されている。このため、前記端部要素6a,6bと前記中間要素6cを接合し、又は前記中間要素6c同士を接合すると、前記ボールねじ軸6の周囲一巻分の無限循環路が完成する。
図20は前記中間要素6cを示す斜視図である。前記中間要素6cの軸方向端面63は前記ボール4の無限循環路に沿って形成されており、軸方向に直交する平面とはなっていない。この軸方向端面63の外周縁には前記負荷溝成分61a及び前記無負荷溝成分62aが形成されている。図20からは把握できない前記中間要素の反対側の軸方向端面は前記軸方向端面63と同一形状に形成されている。また、前記中間要素6cと向かい合う前記端部要素6a,6bの軸方向端面も前記中間要素6cの軸方向端面63と同一形状に形成されている。
この第四実施形態では一対の端部要素3a,3bの間に二個の中間要素3cを配置しているが、前記中間要素3cは一個以上であれば差し支えない。例えば、一対の端部要素6a,6bの間に三個の中間要素6cを配置した場合には、前記ボールねじ軸6は4回路のボール4の無限循環路を有することになる。
すなわち、この第四実施形態のボールねじ軸6では、一対の端部要素6a,6bの間に挟む中間要素6cの個数を変更するのみで、当該ボールねじ軸6が備える無限循環路の回路数、すなわちボール4が荷重を負荷しながら転動する負荷軌道61の全長を容易に増減することが可能であり、ボールねじ装置の用途に応じて最適な荷重負荷能力のボールねじ軸6を容易に構成することができる。
また、前記負荷軌道61は前記端部要素6a,6b又は前記中間要素6cに形成された負荷溝成分61aを向かい合わせに組み合わせて完成するので、開口幅Wがボール4の直径dよりも狭い負荷軌道61を容易に形成することが可能であり、前記ボールねじ軸6を前記ナット部材7から抜き取ってもボール4の脱落することのないボールねじ装置を容易に製作することができる。また、同様な理由から、前記無負荷軌道62を容易にトンネル状に形成することが可能であり、当該無負荷軌道62をボール4の循環に理想的な軌道で設計することが可能となる。
図21は本発明の第五実施形態を示すものであり、ボールねじ装置のボールねじ軸を示している。
第四実施形態のボールねじ軸6と同様に、この第五実施形態のボールねじ軸8の外周面には多数のボール4が螺旋状に配列されると共に、当該ボールねじ軸8は前記ボール4の無限循環路を有している。このボールねじ軸8は、例えば図17に示すナット部材7と組み合わせて使用することが可能であり、前記ボール4は当該ボールねじ軸8と前記ナット部材7との間で荷重を負荷しながら転動する。
前記ボールねじ軸8は前記ボール4を介して前記ナット部材7に螺合する。また、前記ボールねじ軸8の中心には駆動軸が嵌合する軸孔80が設けられており、当該軸孔80に嵌合した駆動軸を回転させると、ナット部材7の貫通孔内で前記ボールねじ軸8を回転させることができる。これにより、前記ボールねじ軸8の回転方向に応じて前記ナット部材7が軸方向へ進退する。
前記ボールねじ軸8は中心に前記軸孔80を有して円柱状に形成されており、外周面には前記ナット部材7に形成された螺旋状の転動溝70と対向する負荷軌道81が設けられている。ボール4は前記負荷軌道81に配列され、当該ボールねじ軸8と前記ナット部材7の双方に接している。
図22は前記ボールねじ軸8の分解斜視図である。この第五実施形態のボールねじ軸8は複数のねじ軸構成要素8a,8b,8c,8dから構成されており、これらねじ軸構成要素が当該ボールねじ軸8の軸方向に沿って重ねて配置されている。前記ねじ軸構成要素は、一対の端部要素8a,8bと、これら端部要素8a,8bの間に挟まれた一対の第一中間要素8c,8dとから構成されている。前記一対の端部要素8a,8bは同一形状の円板状部材であり、互いに逆向きに配置されている。前記第一中間要素8dは前記第一中間要素8cと同一形状の円板状部材であり、当該第一中間要素8cとは逆向きに配置されている。前記ボール4が前記ボールねじ軸8と前記ナット部材7との間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道81は、前記端部要素8aと前記第一中間要素8cの境界部、前記第一中間要素8cと前記第一中間要素8dの境界部、前記第一中間要素8dと前記端部要素8bの境界部に存在し、各境界部の負荷軌道が螺旋状に連続して、一条の負荷軌道を構成している。すなわち、前記ボールねじ軸8の外周面には当該ボールねじ軸8の周囲三巻分の長さの負荷軌道81が螺旋状に設けられている。
また、前記ボールねじ軸8には前記負荷軌道81の両端を繋ぐ無負荷軌道が設けられている。前記無負荷軌道は、前記第一中間要素8c,8dに対して軸方向に沿って形成されたボール戻し孔82aと、前記端部要素8a,8bと前記第一中間要素8c,8dとの境界部に形成されたボール逃がし通路82とから構成されている。前記ボール逃がし通路82は前記負荷軌道81と前記ボール戻し孔82aとの間でボール4を往来させる。すなわち、前記一対の端部要素8a,8bの間に前記一対の第一中間要素8c,8dを挟んで前記ボールねじ軸8を構成することにより、当該ボールねじ軸8の周囲三巻分の前記負荷軌道81の両端が前記無負荷軌道で繋がれ、当該ボールねじ軸8に対してボール4の無限循環路が一回路設けられる。
図23及び図24は前記第一中間要素8cを示す斜視図である。図23は前記端部要素8aに面した前記第一中間要素8cの軸方向端面83aを示す一方、図24は前記第一中間要素8dに面した前記第一中間要素8cの軸方向端面83bを示している。前記軸方向端面83a,83bは前記ボール4の負荷軌道に沿って形成されており、軸方向に直交する平面とはなっていない。前記第一中間要素8cの外周面には前記ナット部材の雌ねじ山に対向する螺旋状の雄ねじ山83cが形成されている。前記雄ねじ山83cの両側面には前記負荷軌道を構成する負荷溝成分81aが設けられている。例えば、前記第一中間要素8c,8dの境界部では、当該第一中間要素8cに設けられた負荷溝成分81aと当該第一中間要素8dに設けられた負荷溝成分81aが向かい合うことによって、前記ボール4が転動する負荷軌道81が構成される。また、前記端部要素8a,8bにも同様な負荷溝成分81aが設けられており、前記第一中間要素8cと前記端部要素8aの境界部においても、一対の負荷溝成分81aが向かい合うことによって、前記ボール4が転動する負荷軌道81が構成される。
一方、前記第一中間要素8cの軸方向端面83aには、図23に示すように、前記負荷溝成分81aと前記ボール戻し孔82aを接続する誘導溝82bが設けられている。前記誘導溝82bは前記端部要素8aにも同様に形成されている。このため、前記第一中間要素8cと前記端部要素8aの境界部では、一対の誘導溝82bが向かい合うことによって、前記ボール4を前記負荷軌道81とボール戻し孔82aに往来させるボール逃がし通路82が構成される。このボール逃がし通路82は前記負荷軌道を転動するボール4を前記ナット部材7の転動溝70から分離すると共に、当該ボール4を前記ボールねじ軸8の中心方向へ引き込み、前記ボール戻し孔82aに送り込む。
この第五実施形態では一対の端部要素8a,8bの間に一対の第一中間要素8c,8dを配置し、前記ボールねじ軸8に対して三巻の負荷軌道81を含む無限循環路を1回路形成したが、一対の第一中間要素8c,8dの間に任意の個数の第二中間要素を挟み込むことにより、前記負荷軌道81の巻き数を任意に増加させることが可能である。例えば、前記第一中間要素8c,8dの間に一個の第二中間要素を増やすことにより、前記ボールねじ軸8に対して四巻の負荷軌道81を含む1回路の無限循環路を形成することができ、また、二個の第二中間要素を増やすことにより、前記ボールねじ軸8に対して五巻の負荷軌道を含む1回路の無限循環路を形成することができる。但し、前記第二中間要素は前記第一中間要素8c,8dの軸方向端面83aに接して螺旋状の負荷軌道を構成することから、当該第二中間要素の軸方向端面は表裏共に図20に示した前記第一中間要素8cの軸方向端面83bと同じ形状となる。
また、この第五実施形態では一対の端部要素8a,8bの間に一個の第三中間要素を配置し、前記ボールねじ軸8に対して二巻の前記負荷軌道を含む無限循環路を1回路形成することも可能である。但し、前記第三中間要素は前記端部要素8a,8bに接して螺旋状の負荷軌道81及び前記ボール逃がし通路82を構成することから、当該第三中間要素の軸方向端面は表裏共に図23に示した前記第一中間要素8cの軸方向端面83aと同じ形状となる。
前記第一中間要素8c,8d、第二中間要素又は第三中間要素のそれぞれは、前記ボールねじ軸8の周囲における前記負荷軌道81の一巻分に対応しているので、前記第一中間要素8c,8d、第二中間要素又は第三中間要素の軸方向の厚さは前記ナット部材7における螺旋状の転動溝70のリード長に対応している。
すなわち、この第五実施形態のボールねじ軸8では、一対の端部要素8a,8bの間に第一中間要素、第二中間要素又は第三中間要素を適宜組み合わせて挟み込むのみで、1回路の無限循環路に含まれる負荷軌道81の全長を容易に増減することが可能であり、ボールねじ装置の用途に応じて最適な荷重負荷能力のボールねじ軸8を容易に構成することができる。
以上のように、この第五実施形態でも、前記端部要素8a,8bの間に中間要素を挟み込むのみで無負荷軌道を含んだボール4の無限循環路が完成するので、当該無限循環路を構築するにあたり、前記端部要素8a,8b及び前記中間要素の他に他の部品は必要なく、極めて簡単にボールねじ軸8を構成することが可能である。
また、前記負荷軌道81は前記端部要素8a,8b又は前記中間要素8cに形成された負荷溝成分81aを向かい合わせに組み合わせて完成するので、開口幅Wがボール4の直径dよりも狭い負荷軌道81を容易に形成することが可能であり、前記ボールねじ軸8を前記ナット部材7から抜き取ってもボール4の脱落することのないボールねじ装置を容易に製作することができる。また、同様な理由から、前記無負荷軌道の一部であるボール逃がし通路82を容易にトンネル状に形成することが可能であり、当該ボール逃がし通路82をボール4の循環に理想的な軌道で設計することが可能となる。
1…ボールねじ装置、2…ねじ軸、3,5…ボールねじナット、4…ボール、6,8…ボールねじ軸、7…ナット部材

Claims (9)

  1. 軸部材が挿通される貫通孔を有すると共に、多数のボールを介して前記軸部材に組み付けられ、当該軸部材に対して螺旋状に運動自在なボールねじナットであって、
    前記ボールねじナットは前記軸部材の軸方向に沿って重ねて配置された複数のナット構成要素を備え、
    前記ナット構成要素は、当該ボールねじナットの軸方向の両端に配置される一対の端部要素と、前記一対の端部要素の間に配置される少なくとも一つの中間要素と、から構成され、
    互いに隣接する前記ナット構成要素の境界部には、前記ボールが前記軸部材と前記ボールねじナットとの間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道が形成されることを特徴とするボールねじナット。
  2. 互いに隣接する前記ナット構成要素の境界部には、前記負荷軌道を含む前記ボールの無限循環路が一回路形成され、前記ナット構成要素のうちの中間要素の数に応じて前記無限循環路が複数回路形成されることを特徴とする請求項1記載のボールねじナット。
  3. 前記負荷軌道は前記中間要素を挟んだ一方の端部要素から他方の端部要素にかけて螺旋状に連続し、前記負荷軌道を含む前記ボールの無限循環路が一回路形成されることを特徴とする請求項1記載のボールねじナット。
  4. 前記軸部材の外周面には前記ボールが荷重を負荷しながら転がる転動溝が形成され、前記中間要素の軸方向厚さは前記転動溝のリード長に対応していることを特徴とする請求項1又は請求項3記載のボールねじナット。
  5. 互いに隣接する前記ナット構成要素の境界部には、前記貫通孔の周囲に形成されると共にボールねじナットの軸方向に対して傾斜した曲面状の分割面と、前記分割面の外側に形成されると共に前記ボールねじナットの軸方向に対して直交する平面状の接合面と、が設けられ、
    各ナット構成要素の前記接合面同士が互いに当接して当該ナット構成要素の位置決めがなされる一方、各ナット構成要素の前記分割面同士は接触することなく隙間を介して対向することを特徴とする請求項1記載のボールねじナット。
  6. ナット部材の貫通孔に挿通されると共に、多数のボールを介して前記ナット部材に組み付けられ、当該ナット部材に対して螺旋状に運動自在なボールねじ軸であって、
    前記ボールねじ軸は前記ナット部材の軸方向に沿って重ねて配置された複数のねじ軸構成要素を備え、
    前記ねじ軸構成要素は、当該ボールねじ軸の軸方向の両端に配置される一対の端部要素と、前記一対の端部要素の間に配置される少なくとも一つの中間要素と、から構成され、
    前記端部要素と前記中間要素との境界部、又は互いに隣接する前記中間要素の境界部には、前記ボールが前記ボールねじ軸と前記ナット部材との間で荷重を負荷しながら転動する負荷軌道が形成されることを特徴とするボールねじ軸。
  7. 前記端部要素と前記中間要素との境界部、又は互いに隣接する前記中間要素の境界部には、前記負荷軌道を含む前記ボールの無限循環路が一回路形成され、前記中間要素の数に応じて前記無限循環路が複数回路形成されることを特徴とする請求項6記載のボールねじ軸。
  8. 前記負荷軌道は前記中間要素を挟んだ一方の端部要素から他方の端部要素にかけて螺旋状に連続する一方、前記負荷軌道を含む前記ボールの無限循環路が一回路形成されることを特徴とする請求項6記載のボールねじ軸。
  9. 前記ナット部材の貫通孔の内周面には前記ボールが荷重を負荷しながら転がる転動溝が設けられ、前記中間要素の軸方向厚さは前記転動溝のリード長に対応していることを特徴とする請求項6又は請求項8記載のボールねじ軸。
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