JP2018076578A - 水電解装置、水素水の製造方法 - Google Patents

水電解装置、水素水の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度の水素水を高流量で得る。
【解決手段】第一ターミナルプレート及び第一メッシュ電極を有する陽極部と、第二ターミナルプレート及び第二メッシュ電極を有する陰極部と、を有し、固体電解質膜の一方の面と第一ターミナルプレートとの間に第一メッシュ電極が挟まれ且つその間を一方の面に沿って第一水が流通し、固体電解質膜の他方の面と第二ターミナルプレートとの間に第二メッシュ電極が挟まれ且つその間を流路として他方の面に沿って第二水が流通する水電解セルと、陽極部と陰極部との間で電流を流すことで水電解して陰極部に水素を生成する電源であって、第二水の流量が増加すると、第二水の水素濃度が増加する流量領域と、流量領域よりも流量が増加していくと水素濃度がやや低下する他の流量領域と、が生じる電流値の電流を流す電源と、流量領域又は他の流量領域の流量において第二水が流通するように、第二水を供給する供給部と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、水電解装置、水素水の製造方法に関する。
特許文献1には、Pt(プラチナ)などの金属メッシュを電極として用いた水電解セルに対して、金属メッシュ面に沿って水を供給して水電解を行う構成が開示されている。
特開2006−175384号公報
ここで、水電解セルに水を流通させ、水電解により生成された水素を水に溶解して、水素水を製造する場合において、高濃度の水素水を得る方法として、水電解セルに流通させる水流量を低減する方法が考えられる。この方法は、水素(溶質)に対する水(溶媒)の比率を低減して、高濃度の水素水を得るものである。しかしながら、この方法では、水の流量を低減するため、単位時間に得られる水素水の量が少なくなる。
本発明は、上記事実を考慮し、高濃度の水素水を高流量で得ることを目的とする。
請求項1の発明は、固体電解質膜と、第一ターミナルプレート及び板状の第一メッシュ電極を有する陽極部と、第二ターミナルプレート及び板状の第二メッシュ電極を有する陰極部と、を有する水電解セルであって、前記固体電解質膜の一方の面と前記第一ターミナルプレートとの間に前記第一メッシュ電極が挟まれ且つその間を前記一方の面に沿って第一水が流通し、前記固体電解質膜の他方の面と前記第二ターミナルプレートとの間に前記第二メッシュ電極が挟まれ且つその間を流路として前記他方の面に沿って第二水が流通する前記水電解セルと、前記陽極部と前記陰極部との間に電流を流すことで前記水電解セルにおいて水電解して、前記陰極部に水素を生成する電源であって、前記流路を流通する第二水の流量が増加すると、前記流路を流通する第二水に溶解される水素の水素濃度が増加する流量領域と、当該流量領域よりもさらに前記流量が増加していくと前記水素濃度がやや低下する他の流量領域と、が生じる電流値の前記電流を流す前記電源と、前記流量領域又は前記他の流量領域の流量において前記第二水が前記流路を流通するように、前記第二水を前記流路へ供給する供給部と、を備える。
この構成によれば、水電解セルの流路を流通する第二水の流量が増加すると、流路を流通する第二水に溶解される水素の水素濃度が増加する流量領域の流量において、第二水を流通させる。または、流量領域よりもさらに第二水の流量を増加していくと、水素濃度がやや低下する他の流量領域、すなわち、流量領域よりもさらに第二水の流量を増加しても水素濃度がさほど低下しない領域において、第二水を流通させる。
ここで、流路を流通する第二水に溶解される水素の水素濃度が増加する流量領域の流量を用いる場合では、高濃度の水素水を得るために、流量を増加させる必要がある。したがって、高濃度の水素水を高流量で得ることができる。また、他の流量領域の流量を用いる場合では、水素水の水素濃度は、流量領域の水素濃度に比べて水素濃度がさほど低下しないので、高濃度の水素水を流量領域よりもさらに高流量で得ることができる。
請求項2の発明では、前記電源は、前記流量領域の流量よりも少ない流量の範囲で前記流量が増加すると、前記水素濃度が低下する第一流量領域と、前記流量領域としての第二流量領域と、前記他の流量領域としての第三流量領域と、が生じる電流値の電流を流し、前記供給部は、前記第二流量領域又は前記第三流量領域の流量において前記第二水が前記流路を流通するように、前記第二水を前記流路へ供給する。
この構成によれば、第二水の流量が増加すると水素濃度が増加する第二流量領域の流量において、第二水を流通させる。または、第二流量領域よりもさらに第二水の流量を増加していくと、水素濃度がやや低下する第三流量領域、すなわち、第二流量領域よりもさらに第二水の流量を増加しても水素濃度がさほど低下しない第三流量領域において、第二水を流通させる。
ここで、第二流量領域の流量よりも少ない流量の範囲で第二水の流量が増加すると水素濃度が低下する第一流量領域の流量において、第二水を流通させる構成(比較例)では、高濃度の水素水を得るためには、流量を低減する必要がある。これに対して、第二流量領域の流量を用いる場合では、高濃度の水素水を得るために、流量を増加させる必要がある。したがって、前述の比較例に比べて、高濃度の水素水を高流量で得ることができる。また、第三流量領域の流量を用いる場合では、水素水の水素濃度は、第二流量領域の水素濃度に比べて水素濃度がさほど低下しないので、高濃度の水素水を第二流量領域よりもさらに高流量で得ることができる。
請求項3の発明では、前記流路を流通した第二水と該第二水に含まれる水素とを混合する気液混合器を備える。
この構成によれば、水電解セルでは溶解しきれなかった水素を、気液混合器において水に溶解することができ、さらに、水素水の高濃度を図ることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水電解装置を準備する準備工程と、前記水電解装置における水電解セルの陰極部で前記流量領域又は前記他の流量領域の流量にて水を流通させつつ、前記水電解セルに電流を流して前記水電解セルで水電解して、水素水を製造する水電解工程と、を有する。
この製造方法によれば、第二水の流量が増加すると水素濃度が増加する流量領域の流量において、第二水を流通させる。または、流量領域よりもさらに第二水の流量を増加していくと、水素濃度がやや低下する他の流量領域、すなわち、流量領域よりもさらに第二水の流量を増加しても水素濃度がさほど低下しない領域において、第二水を流通させる。
ここで、流路を流通する第二水に溶解される水素の水素濃度が増加する流量領域の流量を用いる場合では、高濃度の水素水を得るために、流量を増加させる必要がある。したがって、高濃度の水素水を高流量で得ることができる。また、他の流量領域の流量を用いる場合では、水素水の水素濃度は、流量領域の水素濃度に比べて水素濃度がさほど低下しないので、高濃度の水素水を流量領域よりもさらに高流量で得ることができる。
さらに、この製造方法によれば、高濃度の水素水を得ながら、水電解により陰極部で生成されるOH-の量に比べて第二水の流量を多くすることが可能となる。したがって、従来法に比べて水素水のpHの上昇を抑制することができ、ほぼ中性の水素水を高濃度で得ることができる。その結果、水道水の電解により陰極部で生成されるCaCO3やMg(OH)2の水中への溶解度を高い値に保つことができる。これにより、陰極部の第二メッシュ電極上へのCaCO3やMg(OH)2の析出を防止することが可能となり、水道水を原料として、高濃度の水素水を生成することができる。
したがって、請求項5に記載されるように、前記水電解工程において、前記流量領域又は前記他の流量領域の流量にて、前記水としての水道水を流通させつつ、前記水電解セルに電流を流して前記水電解セルで水電解して、水素水を製造してもよい。
本発明は、上記構成としたので、高濃度の水素水を高流量で得ることができる。
本実施形態に係る水電解装置の構成を示す概略図である。 本実施形態に係る水電解セルの構成を示す分解斜視図である。 本実施形態に係る水電解セルの構成を示す断面図である。 本実施形態に係る水電解装置におけるカソード水の流量と溶存水素濃度との関係を示すグラフである。 (A)本実施形態に係る水電解装置における溶質/溶媒比Kと溶存水素濃度との関係を示すグラフであり、(B)理論水素発生量を求めるための式である。 本実施形態に係る水電解装置におけるカソード水の流量とカソード水中への水素ガスの溶解度との関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
〈水電解装置10〉
まず、本実施形態に係る水電解装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る水電解装置10の構成を示す概略図である。
水電解装置10は、純水(水の一例)を水電解して、水素水を生成する装置である。具体的には、水電解装置10は、図1に示されるように、第一供給路20と、第二供給路60と、水電解セル30と、第一排出路70と、第二排出路90と、気液混合器96と、溶存水素濃度計94と、電源80と、を有している。
[水電解セル30]
水電解セル30は、図2に示されるように、固体電解質膜32と、陽極部40と、陰極部50と、筐体38と、を有している。
固体電解質膜32としては、例えば、ナフィオン膜(ナフィオンは登録商標)などの固体高分子電解質膜が用いられる。なお、固体電解質膜32としては、ナフィオン膜に限られず、種々の固体電解質膜を用いることが可能である。
陽極部40は、板状(扁平状)とされた第一メッシュ電極42、431、432(以下、42〜432と示す)と、板状とされた第一ターミナルプレート44(端子)と、を有している。
第一メッシュ電極42〜432は、厚み方向に重ねられており、互いが厚み方向に接触するように配置されている。固体電解質膜32の一方の面32Aは、第一メッシュ電極42の一方の面42Aに接触している。第一ターミナルプレート44は、第一メッシュ電極432の一方の面432Bに接触している。第一ターミナルプレート44は、具体的には、平板状とされており、第一メッシュ電極432に接触する接触面には、水路を形成するための溝がなく、当該接触面は、全面が平面で形成されている。
陰極部50は、板状(扁平状)とされた第二メッシュ電極52、531、532、533、534、535(以下、52〜535と示す)と、板状とされた第二ターミナルプレート54(端子)と、を有している。第二メッシュ電極52〜535は、厚み方向に重ねられており、互いが厚み方向に接触するように配置されている。固体電解質膜32の他方の面32Bは、第二メッシュ電極52の一方の面52Aに接触している。第二ターミナルプレート54は、第二メッシュ電極535の一方の面535Bに接触している。第二ターミナルプレート54は、具体的には、平板状とされており、第二メッシュ電極535に接触する接触面には、水路を形成するための溝がなく、当該接触面は、全面が平面で形成されている。
水電解セル30では、第一メッシュ電極42〜432と第二メッシュ電極52〜535とで固体電解質膜32を挟み込み、この挟み込んだものが、第一、第二ターミナルプレート44、54の間に配置されている。すなわち、水電解セル30では、第一ターミナルプレート44、第一メッシュ電極432、431、42、固体電解質膜32、第二メッシュ電極52、531、532、533、534、535及び第二ターミナルプレート54がこの順で積層されている。そして、この積層体が、筐体38に収容されている。
第一、第二ターミナルプレート44、54としては、例えば、Ti又はステンレスが用いられる。固体電解質膜32に接触する第一、第二メッシュ電極42、52としては、例えば、水の電気分解活性に優れた触媒電極が用いられる。この触媒電極としては、例えば、Pt・Ni・ステンレス等の金属、PbO・NiやSbをドープしたSnO・IrO・Nb・TaOx等の酸化物、活性化炭素・ボロンドープダイヤモンド等の炭素電極などが用いられる。また、第一、第二メッシュ電極42、52としては、IrO等の触媒粒子を担持したTiなどであってもよい。
固体電解質膜32に接触しない第二メッシュ電極431、432、531、532、533、534、535としては、Tiやステンレス等の耐酸化性に優れた材料が用いられる。これにより、水電解セル30の劣化を抑制できる。
また、第一、第二メッシュ電極42〜431、52〜535としては、例えば、板状(扁平状)且つメッシュ状(網状)の電極が用いられる。具体的には、第一、第二メッシュ電極42〜431、52〜535は、例えば、平織りや綾織りなどによって、メッシュ状に形成されている。
また、第一、第二メッシュ電極42〜432、52〜535は、表裏の両面(一方の面及び他方の面)において、複数の凹凸を有している。これにより、第一ターミナルプレート44、第一メッシュ電極42〜432、固体電解質膜32、第二メッシュ電極52〜535及び第二ターミナルプレート54は、互いに、隣接する部材に対して接触する部分と隙間を有する部分とが形成される。
陽極部40では、図3に示されるように、固体電解質膜32の一方の面32Aと第一ターミナルプレート44との間に、純水(第一水としてのアノード水)が流通する流路40Aが形成されている。当該流路40Aは、具体的には、固体電解質膜32、第一メッシュ電極42〜432及び第一ターミナルプレート44の各々の間の隙間部分と、第一メッシュ電極42〜432の網目部分と、によって形成されている。そして、陽極部40では、固体電解質膜32の一方の面32Aと第一ターミナルプレート44との間において、固体電解質膜32の一方の面32A(第一メッシュ電極42〜432の面)に沿って純水(アノード水)が当該流路40Aを流通する。
また、陰極部50では、固体電解質膜32の他方の面32Bと第二ターミナルプレート54との間に、純水(第二水としてのカソード水)が流通する流路50Aが形成されている。当該流路50Aは、具体的には、固体電解質膜32、第二メッシュ電極52〜535及び第二ターミナルプレート54の各々の間の隙間部分と、第二メッシュ電極52〜535の網目部分と、によって形成されている。そして、陰極部50では、固体電解質膜32の他方の面32Bと第二ターミナルプレート54との間において、固体電解質膜32の他方の面32B(第二メッシュ電極52〜535の面)に沿って純水(カソード水)が当該流路50Aを流通する。なお、図2には、水電解セル30においてアノード水及びカソード水が流通する方向が矢印にて示されている。
第一、第二メッシュ電極42〜432、52〜535は、水電解セル30における水の流通方向の長さが、当該流通方向に直交する直交方向の幅より長くされている。第一、第二メッシュ電極42〜432、52〜535の大きさ(面積)は、例えば、幅30mm×長さ60mm(1:2)の大きさとされる。なお、第一、第二メッシュ電極42〜432、52〜535は、直交方向の幅が、流通方向の長さより広くされる構成であってもよい。この場合は、第一、第二メッシュ電極42〜432、52〜535の大きさ(面積)は、例えば、幅120mm×長さ20mm(6:1)の大きさとしてもよい。
また、水電解セル30では、固体電解質膜32と第一ターミナルプレート44との間に三枚の第一メッシュ電極42〜432が配置され、固体電解質膜32と第二ターミナルプレート54との間に六枚の第二メッシュ電極52〜535が配置されていたが、これに限られない。すなわち、固体電解質膜32と第一、第二ターミナルプレート44、54の各々との間に配置されるメッシュ電極の枚数は、例えば、水電解セル30で流す純水の流量と、水電解セル30内での圧力損失とによって規定される。
メッシュ電極の枚数を増やすことで、固体電解質膜32と第一、第二ターミナルプレート44、54の各々との間の隙間が大きくなり、流路断面積が大きくなるため、圧力損失を抑制できる。したがって、水電解セル30で流す純水の流量を多くしつつ、圧力損失を抑制したい場合には、固体電解質膜32と第一、第二ターミナルプレート44、54の各々との間に配置されるメッシュ電極の枚数が増加される。
さらに、筐体38は、陽極部40側の第一筐体381と、陰極部50側の第二筐体382と、で構成されている。第一筐体381及び第二筐体382の各々は、具体的には、第一、第二ターミナルプレート44、54の各々にその厚み方向に対向する対向壁381A、382Aと、対向壁381A、382Aの四辺に沿って配置され陰極部50及び陽極部40の各々を囲む周壁381B、382Bと、を有している。第一筐体381及び第二筐体382は、例えば、テフロン製(テフロンは登録商標)とされている。
第一筐体381及び第二筐体382の各々の内部には、第一メッシュ電極42〜432、第一ターミナルプレート44と、第二メッシュ電極52〜535、第二ターミナルプレート54との各々が収容されている。この収容状態で、固体電解質膜32の周縁部が、Oリング371、372を介して、第一筐体381の周壁381B及び第二筐体382の周壁382Bで挟まれて、第一筐体381及び第二筐体382がネジ止め等により固定されている。第一筐体381及び第二筐体382の各々の内部は、固体電解質膜32によって仕切られている。
第一筐体381及び第二筐体382の各々に収容された第一、第二ターミナルプレート44、54に電流を流すための電極ロッド33(図2参照)が、対向壁381A、382Aの各々を貫通し、第一、第二ターミナルプレート44、54の各々にネジ止めされている。この電極ロッド33を、陽極部40(第一ターミナルプレート44)及び陰極部50(第二ターミナルプレート54)の各々に、複数本(例えば、3本)ずつ配置して、各メッシュ電極の電位と電流密度が等しくなるようにするとともに、電流を小分けにして電極ロッド33の過熱が防止されている。なお、図2では、陰極部50(第二ターミナルプレート54)側に配置された電極ロッド33が示されている。電極ロッド33としては、例えば、直径6mmのSUS製ロッドが用いられる。
第一筐体381の内部空間は、収容される第一メッシュ電極42〜432の枚数が、第二筐体382に収容される第二メッシュ電極52〜535の枚数よりも少ないため、第二筐体382の内部空間よりも小さくされていてもよい。また、第一筐体381の内部空間を、第二筐体382の内部空間と同じとし、第一筐体381の内部空間にスペーサを収容して、空いた空間を埋めるように構成してもよい。当該スペーサは、例えば、平板で形成され、対向壁381Aと、第一ターミナルプレート44との間に収容される。また、当該スペーサは、例えば、第一筐体381及び第二筐体382と同じ材料で形成される。
第一筐体381の内部空間には、図3に示されるように、整流用の空間381H、381Gが、第一ターミナルプレート44及び第一メッシュ電極42〜432に対する流入側(図3における左側)及び流出側(図3における右側)に形成されている。アノード水は、第一筐体381の内部空間内では、流路40Aを通じて空間381Hから空間381Gへ流れる。また、第二筐体382の内部空間には、整流用の空間382H、382Gが、第二ターミナルプレート54及び第二メッシュ電極52〜535に対する流入側(図3における左側)及び流出側(図3における右側)に形成されている。カソード水は、第二筐体382の内部空間では、流路50Aを通じて空間382Hから空間382Gへ流れる。
また、第一メッシュ電極42〜432の大きさは、第一ターミナルプレート44の大きさと略同一とされている。第二メッシュ電極52〜535の大きさは、第二ターミナルプレート54の大きさと略同一とされている。このため、空間381H、381Gと、空間382H、382Gとは、固体電解質膜32のみで仕切られる構造となっている。
なお、第一メッシュ電極42〜432の大きさを第一ターミナルプレート44の大きさと略同一にし、第二メッシュ電極52〜535の大きさを第二ターミナルプレート54の大きさと略同一にする理由として、以下の理由が挙げられる。すなわち、当該理由として、Pt等の高価なメッシュ電極を無駄に大きくしないこと、メッシュ電極の電極面全体をターミナルプレートに接触させることにより均一な電界を形成することなどが挙げられる。
また、陽極部40側の空間381H、381Gと、陰極部50側の空間382H、382Gとの差圧が大きくなるような運転条件(例えば、片側だけ大流量)にする場合には、差圧による固体電解質膜32の変形・破損を防ぐため、固体電解質膜32を支持するTi等のメッシュを、固体電解質膜32の両面側に入れてもよい。この支持用のメッシュは、例えば、Oリング371、372付近までの大きさがあり、固体電解質膜32と共に第一筐体381の周壁381B及び第二筐体382の周壁382Bで挟まれて固定される。
第一筐体381の対向壁381A及び第二筐体382の対向壁382Aの各々には、流入口としての一対の流入管391C、392Cと、流出口としての一対の流出管391D、392Dと、が設けられている。対向壁381A及び対向壁382Aには、メネジ35が形成されており、一対の流入管391C、392C及び一対の流出管391D、392Dの外周に形成されたオネジ36がねじ込まれることで、各流入管391C、392C及び各流出管391D、392Dが取り付けられている。
一対の流入管391Cは、具体的には、流路40Aにアノード水を流入させる流入口として機能し、水電解セル30におけるアノード水の流通方向上流側に設けられている。この一対の流入管391Cは、アノード水の流通方向と直交する方向(Y方向)に沿って並んで配置されている。一対の流出管391Dは、具体的には、流路40Aからアノード水を流出させる流出口として機能し、水電解セル30におけるアノード水の流通方向下流側に設けられている。この一対の流出管391Dは、アノード水の流通方向と直交する方向に沿って並んで配置されている。また、各流入管391Cと各流出管391Dとは、アノード水の流通方向において対向して配置されている。
一対の流入管392Cは、具体的には、流路50Aにカソード水を流入させる流入口として機能し、水電解セル30におけるカソード水の流通方向上流側に設けられている。この一対の流入管392Cは、カソード水の流通方向と直交する方向(Y方向)に沿って並んで配置されている。一対の流出管392Dは、具体的には、流路50Aからカソード水を流出させる流出口として機能し、水電解セル30におけるカソード水の流通方向下流側に設けられている。この一対の流出管392Dは、カソード水の流通方向と直交する方向に沿って並んで配置されている。また、各流入管392Cと各流出管392Dとは、カソード水の流通方向において対向して配置されている。
[第一供給路20]
第一供給路20は、水電解セル30の陽極部40へアノード水(純水)を供給するための流路である。この第一供給路20は、図1に示されるように、下流端部が例えば、分岐して水電解セル30の一対の流入管391Cに接続され、上流端部が例えば、アノード水を貯留する貯留部(図示省略)に接続されている。
第一供給路20には、送水部としてのポンプ22が配置されている。このポンプ22によって、純水が水電解セル30の陽極部40へ圧送される。また、第一供給路20におけるポンプ22の下流側には、アノード水の流量を調整するための流量調整弁24が配置されている。
[第二供給路60]
第二供給路60は、水電解セル30の陰極部50へカソード水(純水)を供給するための流路である。この第二供給路60は、下流端部が例えば、分岐して水電解セル30の一対の流入管392Cに接続され、上流端部が例えば、カソード水を貯留する貯留部(図示省略)に接続されている。
第二供給路60には、送水部としてのポンプ62が配置されている。このポンプ62によって、純水が水電解セル30の陰極部50へ圧送される。また、第二供給路60におけるポンプ62の下流側には、カソード水の流量を調整するための流量調整弁64が配置されている。また、第二供給路60における流量調整弁64の下流側には、第二供給路60内のカソード水の圧力を計測する圧力計66が配置されている。
[第一排出路70]
第一排出路70は、水電解セル30の陽極部40を流通したアノード水(酸素水)が排出される流路である。この第一排出路70の上流端部は、例えば、分岐して水電解セル30の一対の流出管391Dに接続されている。第一排出路70の下流端部は、例えば、第一供給路20が接続された貯留部(図示省略)に接続されている。第一排出路70を流通したアノード水は、例えば、貯留部(図示省略)に貯留され、当該貯留部にて酸素が除去されて、当該貯留部から第一供給路20を通じて、再び水電解セル30の陽極部40に供給される。このように、アノード水が循環される(リサイクルされる)。
[第二排出路90]
第二排出路90は、水電解セル30の陰極部50を流通したカソード水(水素水)が排出される流路である。この第二排出路90の上流端部は、例えば、分岐して水電解セル30の一対の流出管392Dに接続されている。第二排出路90を流通した水素水は、例えば、そのまま、洗浄水として用いてもよいし、タンクなど貯留部に貯留してから用いてもよい。なお、第二排出路90には、カソード水の流量を調整するための流量調整弁92が配置されている。この流量調整弁92と流量調整弁64とによって、陰極部50の流路50A及び気液混合器96でのカソード水の流量が調整される。
[気液混合器96]
気液混合器96は、水素を水に混合する機能を有している。この気液混合器96は、第二排出路90における流量調整弁92の上流側に配置されている。
気液混合器96としては、例えば、幅40mm×長さ100mmの#100のTiメッシュを13枚重ねてテフロン製(テフロンは登録商標)の缶体の内部に配置したものが用いられる。この気液混合器96では、メッシュ面に沿って、水と水素が流れて、気液の接触面積の増大により混合が促進される。なお、気液混合器96としては、例えば、スタティックミキサー(例えば、ノリタケ社製CSM−12−5)などを用いてもよい。なお、「#100」とは、1インチあたり、横線及び縦線が共に100本存在することを意味する。
[溶存水素濃度計94]
溶存水素濃度計94は、カソード水に溶存する水素濃度を測定する機能を有している。この溶存水素濃度計94は、第二排出路90における流量調整弁92の下流側に配置されている。
溶存水素濃度計94としては、例えば、(有)共栄電子研究所製の溶存水素濃度計が用いられる。
[電源80]
電源80は、陽極部40の第一ターミナルプレート44と陰極部50の第二ターミナルプレート54とに電極ロッド33を介して接続されている。この電源80には、直流電源が用いられている。そして、電源80は、例えば、パソコン82(PC)の操作により、定電流モードにて運転している。
水電解セル30に流す電流の電流密度は、0.1A/cm以上3.5A/cm以下が好ましい。電流密度が0.1A/cm未満であると、水の電解反応が促進されず、水素水の濃度が上がらないためである。電流密度が3.5A/cmを超えると、陽極部40及び陰極部50の各電極が劣化・消耗し、水電解装置10の寿命が短くなる。
そして、水電解セル30に直流電流を流すことで、水電解セル30を流通する純水が電気分解される。純水が電気分解されると、陰極部50で水素が生成され、陽極部40で酸素が生成される。陰極部50で生成された水素は、陰極部50を流通する純水に溶解されて水素水が製造される。陽極部40で生成された酸素は、陽極部40を流通する純水に溶解されて酸素水が生じる。
[陰極部50の流路50A及び気液混合器96で流通させる流量]
ここで、陰極部50の流路50A及び気液混合器96で流通させるカソード水の流量について検討する。
図4には、前述の水電解装置10において、電源80の電流値と、陰極部50の流路50A及び気液混合器96で流通するカソード水の流量と、を変化させて、カソード水に溶解される水素濃度を測定した結果が示されている。
なお、本測定は、以下の測定条件で行っている。
第一、第二メッシュ電極42〜431、52〜535の面積を幅30mm×長さ60mmの大きさとした。陽極部40での流量を1L/minとし、陰極部50の流路50A及び気液混合器96での流量として、0.5、1、1.5、2、2.8、3.6、4.4L/minを用いた。当該流量は、流量調整弁64、92によって調整される。すなわち、流量調整弁64、92の各々での流量が、0.5、1、1.5、2、2.8、3.6、4.4L/minとなるように、流量調整弁64、92が調整される。電源80の電流値として、5、10、15、20、27Aを用いた。カソード水及びアノード水として用いた純水の電気伝導度は、0.76μS/cmである。
図4に示されるように、本測定で用いた電流値では、流量を0.5L/minから1.5L/minに増加させると、水素濃度は低下する傾向がみられる。これは、流量を増加させると、溶質(水素)に対する溶媒(水)の比率が増大するため、水素濃度が低下するものである。従来からみられた現象であり、物理化学の常識に合致する結果である。したがって、従来では、高濃度の水素水を得る場合は、水流量を低下させ、溶質(水素)に対する溶媒(水)の比率を下げて、水素水の高濃度化を図っていた。すなわち、従来では、1L/minよりも低流量の領域で運転することで、水素水の高濃度化を図っていた。
一方、前述の水電解装置10において、流量を1.5L/minから増加させていくと、図4に示されるように、水素濃度が上昇することが判明した。すなわち、溶質(水素)に対する溶媒(水)の比率が増大しても、水素濃度が上昇するという、物理化学の常識とは反対の現象が生じた。
この理由は、水流量を増加させることで、前述の水電解装置10の水電解セル30及び気液混合器96において、気泡が微細化され、気液接触の効率、すなわちガスの溶解度が上昇するためと考えられる。すなわち、当該現象は、陰極部50の第二メッシュ電極52〜535及び気液混合器96のTiメッシュのメッシュ面に沿ってカソード水を流通される構成において生じる現象と考えられる。
具体的には、前述の水電解装置10では、図4に示されるように、本測定で用いた電流値(5、10、15、20、27A)において、流量が増加すると水素濃度が低下する第一流量領域101と、流量が増加すると水素濃度が増加する第二流量領域102(流量領域の一例)と、流量が増加すると水素濃度が第二流量領域102における水素濃度よりもやや低下する第三流量領域103(他の流量領域の一例)と、が生じる。なお、図4では、電流値27Aにおける第一流量領域101、第二流量領域102及び第三流量領域103を示している。
第一流量領域101は、0.5L/minから、1.0L/min〜1.5L/minの範囲で水素濃度が最低値となる所定の流量値までの領域である。また、第一流量領域101は、流量が増加すると水素濃度が低下する傾きを有する領域である。
第二流量領域102は、1.0L/min〜1.5L/minの範囲で水素濃度が最低値となる所定の流量値から、2.8L/min〜3.6L/minの範囲で水素濃度が最高値となる所定の流量値までの領域である。また、第二流量領域102は、流量が増加すると水素濃度が増加する傾きを有する領域である。
第三流量領域103は、2.8L/min〜3.6L/minの範囲で水素濃度が最高値となる所定の流量値から、4.4L/minまでの領域である。また、第三流量領域103は、流量が増加すると水素濃度がやや低下する傾きを有する領域である。この第三流量領域103の傾きは、第二流量領域102の傾きとは、傾きの方向が違うが、傾きの大きさとしては、第二流量領域102の傾きよりも小さい。また、第三流量領域103の傾きは、第一流量領域101における傾きよりも小さい。傾きは、「(流量領域における濃度の上限値−下限値)/(流量領域における流量の上限値−下限値)」で求められる。
なお、第三流量領域103は、流量が増加すると水素濃度が第二流量領域102における水素濃度よりもやや低下する領域であればよく、4.4L/minを超える流量を用いた流量範囲として把握してもよい。また、水素水を半導体基板の洗浄に用いる場合では、後述するように、水素水の溶存水素濃度が0.9mg/L以上において、半導体基板に付着したアルミナ微粒子を100%近く除去できるため、第三流量領域103としては、溶存水素濃度が0.9mg/L以上となる流量範囲に設定することができる。
また、少なくとも、本測定で用いた電流値の最低値(5A)以上、最高値(27A以下)以下の範囲では、第一流量領域101と、第二流量領域102と、第三流量領域103と、が生じるものと考えられる。また、少なくとも第二流量領域102及び第三流量領域103が生じる電流値を用いればよく、5〜27A以外の電流値を用いてもよい。
また、本実施形態の水電解装置10は、気液混合器96を有しているが、気液混合器96を有していない構成であっても、第一流量領域101と、第二流量領域102と、第三流量領域103と、が生じる。
そして、本実施形態では、ポンプ62が水電解セル30の陰極部50へカソード水を供給し、その流量を流量調整弁64、92がよって調整することで、第二流量領域102の流量又は第三流量領域103の流量において、カソード水を陰極部50の流路50Aを流通させる。すなわち、本実施形態では、ポンプ62及び流量調整弁64、92が、第二流量領域102の流量又は第三流量領域103の流量において、カソード水を陰極部50の流路50Aを流通するように、カソード水を供給する供給部として機能する。
[溶質(水素)/溶媒(水)比Kと、水素濃度との関係]
ここで、図5(A)には、溶質(水素)/溶媒(水)比Kと、水素濃度との関係が示されている。図5(A)は、図4の横軸を、溶質/溶媒比Kとして、再プロットしたものである。なお、図5(A)の横軸は、対数で示している。
Kは以下のように求められる。
K=理論水素発生量[mL/min]/水流量[mL/min]×100[%]
理論水素発生量は、電流値I[A]から図5(B)に示される式で、Kh[mol/h]を算出し、状態方程式を用いて圧力=1気圧、温度=実測温度、でのガス流量[mL/min]に変換する。
この図5から、電流値(水素生成量)が上昇するに従い、高濃度化が始まるKの値も増加していることが分かる。そして、水素水濃度が最大となるKの値が、どの電流値においても10未満である。したがって、Kの値が10を下回る領域で運転することが好ましい。
[カソード水への水素の溶解度]
図4のデータを用いて、電流から求めた理論水素生成量のうちの何%がカソード水中に溶解したか検討した。その結果が図6に示されている。
この図から、どの電流値においても、カソード水の流量を増加させると水中への水素の溶解度が直線的に上昇していることが明らかになった。1L/min以下の低流量では、どの電流値においても水素の溶解度は20%未満である。しかし、4.4L/minの高流量にすると、5Aでは気体状の水素は全く排出されず、溶存酸素と反応して消失した水素以外の全ての水素が水に溶解し、10−27Aにおける溶解度も30−70%という非常に高い値を示した。
以上の結果から、カソード水を高流量とした場合に物理化学の常識とは反対に水素水の濃度が上昇する原因は、水電解セル30と気液混合器96での気液接触が良くなり、水素の溶解効率が上昇したためであることが明らかになった。
[水電解装置10を用いた水素水の製造方法]
本製造方法は、準備工程と、水電解工程と、を有している。準備工程では、前述した水電解装置10を準備する。
水電解工程では、水電解装置10の水電解セル30に純水を流通させつつ、電源80によって水電解セル30に電流を流して水電解セル30で水電解する。ここで、水電解セル30の陰極部50の流路50A及び気液混合器96で流通させる流量は、第二流量領域102の流量又は第三流量領域103の流量が用いられる。
そして、水電解より発生した水素が、水電解セル30においてカソード水に溶解され、さらに、気液混合器96において、水電解セル30で溶解しきれなかった水素がカソード水に溶解される。これにより、水素水が製造される。
製造された水素水は、例えば、部品の洗浄に用いられる。具体的には、例えば、超音波の照射を併用しながら、半導体基板に付着したシリカやアルミナの微粒子の除去に水素水を用いる洗浄方法が考えられる。特に、この洗浄方法では、溶存水素濃度が0.9mg/L以上の水素水に1mg/Lのアンモニアを添加したものと、超音波の照射を併用して洗浄を行うと、半導体基板に付着したアルミナ微粒子を100%近く除去できることが知られている。また、製造された水素水は、飲料用や農業用として利用することも可能である。
〈本実施形態に係る作用効果〉
次に、本実施形態に係る作用効果を説明する。
本実施形態の構成によれば、水電解セル30の陰極部50の流路50Aに流通させる流量として、第二流量領域102の流量又は第三流量領域103の流量を用いる。第二流量領域102は、流量が増加すると水素濃度が増加する傾きを有する領域である。このため、生成される水素水の水素濃度を上昇させたい場合には、流量を増加させればよいことになる。したがって、第二流量領域102の流量を用いる場合では、流量が増加した場合に水素濃度が増加したり低下したりする領域を用いる構成に比べ、得たい水素濃度に応じて流量を調整しやすい。
また、第三流量領域103は、第二流量領域102よりも水流量をさらに増加させたにもかかわらず、気液混合が良くなるため、水素濃度の低下がわずかである。したがって、第三流量領域103の流量を用いる場合では、流量が増加した場合に水素濃度が大きく変動する領域を用いる構成に比べ、得たい水素濃度に応じて流量を調整しやすい。
ここで、第二流量領域102の流量よりも少ない流量の範囲でカソード水の流量が増加すると水素濃度が低下する第一流量領域の流量において、カソード水を流通させる構成(比較例)では、高濃度の水素水を得るためには、流量を低減する必要がある。
これに対して、第二流量領域102の流量を用いる場合では、高濃度の水素水を得るために、流量を増加させる必要がある。したがって、前述の比較例に比べて、高濃度の水素水を高流量で得ることができる。また、第三流量領域103の流量を用いる場合では、水素水の水素濃度は、第二流量領域102の水素濃度に比べて水素濃度がさほど低下しないので、高濃度の水素水を第二流量領域102よりもさらに高流量で得ることができる。
また、陰極部50で生成されるOH-の量は電流密度に比例し、従来法では水素水のpHは9〜10の弱アルカリとなる。このpH領域では、CaCO3やMg(OH)2の水中への溶解度は10-6mol/L程度であり、しかもそのゼータ電位が「+」であるため、水道水中に含まれるCa2+とMg2+はそれぞれCaCO3やMg(OH)2として陰極部50に絶縁物として析出し、水電解は継続できなくなる。
一方、本製造方法で水素水を生成する場合には、水流量を多くできるため水素水のpHを7〜8に抑制できる。その結果、CaCO3とMg(OH)2の水中への溶解度をそれぞれ10-4mol/L と 10-2 mol/L 以上に増加でき、水道水の水電解により生成されるCaCO3とMg(OH)2の全てを水中へ溶解できる。これにより、本製造方法では水道水を水素水の原料とすることが可能となる。
〈変形例〉
本実施形態では、気液混合器96を有していたが、気液混合器96を有さない構成であってもよい。この場合でも、所定の電流値において、第一流量領域101、第二流量領域102及び第三流量領域103が生じ、陰極部50の流路50Aで流通させるカソード水の流量として、第二流量領域102の流量又は第三流量領域103の流量が用いられる。
本実施形態では、電気分解される水として、純水を用いたが、これに限られない。電気分解される水としては、イオン交換水や水道水などを用いてもよい。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
10 水電解装置
30 水電解セル
32 固体電解質膜
40 陽極部
42、431、432 第一メッシュ電極
44 第一ターミナルプレート
50 陰極部
50A 流路
52、531、532、533、534、535 第二メッシュ電極
54 第二ターミナルプレート
62 ポンプ(供給部の一例)
64、92 流量調整弁(供給部の一例)
80 電源
101 第一流量領域
102 第二流量領域(流量領域の一例)
103 第三流量領域(他の流量領域の一例)
96 気液混合器

Claims (5)

  1. 固体電解質膜と、第一ターミナルプレート及び板状の第一メッシュ電極を有する陽極部と、第二ターミナルプレート及び板状の第二メッシュ電極を有する陰極部と、を有する水電解セルであって、前記固体電解質膜の一方の面と前記第一ターミナルプレートとの間に前記第一メッシュ電極が挟まれ且つその間を前記一方の面に沿って第一水が流通し、前記固体電解質膜の他方の面と前記第二ターミナルプレートとの間に前記第二メッシュ電極が挟まれ且つその間を流路として前記他方の面に沿って第二水が流通する前記水電解セルと、
    前記陽極部と前記陰極部との間に電流を流すことで前記水電解セルにおいて水電解して、前記陰極部に水素を生成する電源であって、前記流路を流通する第二水の流量が増加すると、前記流路を流通する第二水に溶解される水素の水素濃度が増加する流量領域と、当該流量領域よりもさらに前記流量が増加していくと前記水素濃度がやや低下する他の流量領域と、が生じる電流値の前記電流を流す前記電源と、
    前記流量領域又は前記他の流量領域の流量において前記第二水が前記流路を流通するように、前記第二水を前記流路へ供給する供給部と、
    を備える水電解装置。
  2. 前記電源は、
    前記流量領域の流量よりも少ない流量の範囲で前記流量が増加すると、前記水素濃度が低下する第一流量領域と、前記流量領域としての第二流量領域と、前記他の流量領域としての第三流量領域と、が生じる電流値の電流を流し、
    前記供給部は、前記第二流量領域又は前記第三流量領域の流量において前記第二水が前記流路を流通するように、前記第二水を前記流路へ供給する
    請求項1に記載の水電解装置。
  3. 前記流路を流通した第二水と該第二水に含まれる水素とを混合する気液混合器
    を備える請求項1又は請求項2に記載の水電解装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水電解装置を準備する準備工程と、
    前記水電解装置における水電解セルの陰極部で前記流量領域又は前記他の流量領域の流量にて水を流通させつつ、前記水電解セルに電流を流して前記水電解セルで水電解して、水素水を製造する水電解工程と、
    を有する水素水の製造方法。
  5. 前記水電解工程は、
    前記流量領域又は前記他の流量領域の流量にて、前記水としての水道水を流通させつつ、前記水電解セルに電流を流して前記水電解セルで水電解して、水素水を製造する請求項4に記載の水素水の製造方法。
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