JP2018053342A - 銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置 - Google Patents

銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置 Download PDF

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良宏 岡部
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Abstract

【課題】粒度分布が狭く、分散性が高いペースト用銀粉を、低コストで製造する銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置の提供。【解決手段】銀塩と揮発性の錯体化剤を混合して生成した銀錯体を含む銀錯体溶液と、還元剤を含む還元剤溶液とを混合し、前記銀錯体を還元して銀粉を得る銀粉の製造方法であって、銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内の酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−300mV以上であり、粒子成長工程S3において、受槽内では、銀微粒子含有反応液を攪拌して銀錯体をさらに還元して銀微粒子を成長させた銀粒子を受槽液面に向かって流動させ、受槽液面に位置する排気設備を用いて気化する錯体化物質を排気することにより、銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内における銀/塩化銀電極基準の酸化還元電位よりも下げる銀粉の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、銀粉の製造方法、ならびにその製造に用いる製造装置に関するものであり、更に詳しくは、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストの主たる成分となる銀粉の製造方法及び製造装置に関する。
電子機器の配線層や電極などの形成には、樹脂型、焼成型の銀ペーストが多用されている。一般的な銀ペーストに使用される銀粉の粒径は0.1μmから数μmであり、形成する配線の太さや電極の厚さなどによって使用する銀粉の粒径を選択する。ペースト中に銀粉を均一に分散させることで、均一な太さの配線あるいは均一な厚さの電極を形成することができる。
銀ペースト用に使用される銀粉に求められる特性としては、用途及び使用条件により様々であるが、一般的に重要と考えられるのは、粒径が均一で凝集が少なく、銀ペースト中への分散性が高いことである。更に、銀ペースト用の銀粉に求められる事項として、製造コストが低いことも重要である。
上述した銀ペーストに使用される銀粉の製造では、硝酸銀などの銀塩のアンミン錯体を含む溶液が入った槽内に還元剤溶液を投入して還元するバッチ式で行なわれることが多かった。しかしながら、バッチ式では、還元剤が投入された位置で局部的に還元反応が始まり、還元剤の投入開始から終了までの間銀粒子の核が随時発生していくため、均一な粒径の銀粉を得ることは難しく、また連続方式に比べると生産性にも劣る。
例えば、特許文献1には、貴金属塩含有水溶液中に還元剤含有水溶液を加えて貴金属粉末を還元析出させる方法であって、貴金属塩含有水溶液又は還元剤含有水溶液のどちらか一方に予め分散剤を添加(以下「分散剤の第一添加」という)しておき、その後、貴金属粉末の析出後で粒子の二次凝集が生じる前に、更に分散剤を添加(以下「分散剤の第二添加」という)し、更に、第二添加の際のガス発生物質の投入、スタティックミキサーの使用、邪魔板等を導入し攪拌混合することを特徴とする、極めて粒度分布の幅の狭い球状の単分散性貴金属粉末の製造方法が開示されている。更に、銀塩のアンミン錯体を含む溶液と還元剤溶液を連続的に混合して還元する連続方式による粒度分布改善の試みも提案されているが、今日においては見かけの粒子径と実際の粒子径との差が2倍以上であり、不十分と言える。
特許文献2には、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これに還元剤を添加することにより銀粒子を還元析出させ、濾過、洗浄、乾燥させるという製造方法を基本として、銀アンミン錯体水溶液S1が一定の第一流路aを流れ、その第一流路aの途中に合流する第二流路bを設け、この第二流路bを通じて有機還元剤及び必要に応じて添加剤S2を流し、第一流路aと第二流路bとの合流点mで接触混合して還元析出させる、粉粒の凝集の少ない、単分散により近い分散性を備える微粒銀粉製造方法が開示されている。
この方法で得られる銀粉では、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径DIAが0.6μm以下、結晶子径が10nm以下であり、微細粒子である。このため、導電性向上のために銀ペーストに通常混合される数μmの粒径を持つ板状銀粉と混合したときに分離しやすいため、一般的な銀ペーストの用途には不向きであり、用途が限られたものとなってしまっていた。また、反応溶液中の銀濃度が1g/l〜6g/lと低く、生産性に優れた製造方法とは言い難かった。
この課題に対して、特許文献3には、銀錯体を含む銀溶液と還元剤溶液をそれぞれ定量的かつ連続的に流路内に供給し、銀溶液と還元剤溶液を流路内で混合してなる反応液中で銀錯体を定量的かつ連続的に還元して銀粉を得る銀粉の製造方法において、前記銀溶液と前記還元剤溶液を流路内で混合して得た反応液を該流路から、該反応液を滞留する受槽に送り、該受槽内における滞留時間が還元反応が終了する時間以上となるように撹拌しながら滞留させた後、固液分離することを特徴とする銀粉の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、銀錯体を含む溶液に還元剤溶液を連続的に混合して還元する銀粉の製造方法において、銀錯体を含む溶液と還元剤溶液を混合した反応液中の酸化還元電位を制御することによって、核発生とその粒成長が一定に制御され、得られる銀粉の大きさが揃った、粒度分布が狭い銀粉の製造方法が開示されている。
特開平08−003605号公報 特開2005−48236号公報 特開2015−045066号公報 特開2015−045065号公報
しかしながら、上記特許文献3,4は、反応部として、内径12mm長さ10mの軟質塩化ビニル樹脂製チューブを用いているために、長時間の操業を行った場合に詰まり易いという課題があり、また、受槽において60分程度の保持時間を必要としているため、生産効率が悪いという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、平均粒径が0.3μmから2μmで粒度分布が狭く、分散性が高い電子機器の配線層や電極などの形成に利用されるペースト用銀粉を、低コストで製造する銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、銀塩と揮発性の錯体化剤を混合して生成した銀錯体を含む銀錯体溶液と、還元剤を含む還元剤溶液とを混合し、前記銀錯体を還元して銀粉を得る銀粉の製造方法であって、前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを定量的かつ連続的に流路内に供給混合して混合液を得る混合液調整工程と、前記混合液中の前記銀錯体を還元して銀微粒子を生成させ、該銀微粒子を含む反応液を生成する銀微粒子含有反応液生成工程と、前記銀微粒子を含む銀微粒子含有反応液を前記流路内下側方向に流送し、連続して受槽内底部から受槽内に投入する銀微粒子含有反応液受槽投入工程と、前記受槽内で前記銀微粒子含有反応液を撹拌設備を用い撹拌流動し、前記銀微粒子含有反応液中の銀錯体を還元して銀微粒子が成長した銀粒子を得る粒子成長工程と、前記粒子成長工程で得られた銀粒子を含む銀粒子スラリー得て、該銀粒子スラリーを前記受槽から回収する銀粒子スラリー回収工程と、回収した銀粒子スラリーを固液分離、洗浄、乾燥して銀粉を得る銀粉製造後工程とを有し、前記銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内の酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−300mV以上であり、前記粒子成長工程において、前記受槽内では、前記銀微粒子含有反応液を攪拌して銀錯体をさらに還元して銀微粒子が成長した銀粒子を前記受槽液面に向かって流動させ、前記受槽の頂部に位置する排気設備を用いて気化する錯体化物質を排気することにより、銀粒子スラリー回収工程で、前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位を、前記銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内における銀/塩化銀電極基準の酸化還元電位よりも下げることを特徴とする。
このようにすれば、平均粒径が0.3μmから2μmで粒度分布が狭く、分散性が高い電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストなどのペースト用銀粉を、低コストで製造することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記受槽の底部を30度以下の傾斜にし、前記攪拌設備の撹拌羽の設置高さが前記傾斜の高さの範囲内としてもよい。
このようにすれば、横方向、下方向に発生した流れが当該傾斜した底面に当たり流れの方向を変えることで、銀粉に対する浮力とすることができる。
また、本発明の一態様では、前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−500mV以下としてもよい。
このようにすれば、銀粒子スラリーとして回収されるまでに還元反応を安定して終了させることができ、凝集を防止できる。
また、本発明の一態様では、前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−520mV〜−620mVとしてもよい。
このようにすれば、銀粉の形状の悪化を防止できる。
また、本発明の一態様では、前記錯体化物質の添加量が銀1モルに対して23モル以上75モル以下としてもよい。
このようにすれば、銀塩が溶解した際の銀イオンに対するカウンターイオンが不純物として銀粉中に残留することも防止でき、また生産コストを抑制できる。
また、本発明の一態様では、前記揮発性の錯体化物質がアンモニアとしてもよい。
このようにすれば、揮発後に析出して排気装置などを汚染することがなく、かつ比較的高い安全性が得られる。
また、本発明の一態様では、前記還元剤がアスコルビン酸としてもよい。
このようにすれば、高い反応安定性が得られる。
また、本発明の一態様では、前記還元剤溶液がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変性シリコーンオイル系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤の少なくともいずれか1つ、または2つ以上を組合せた分散剤を含むとしてもよい。
このようにすれば、蒸発によって錯体化物質による分散性が減少しても銀粉の分散性を向上させることができる。
また、前記銀粉中の塩素濃度が30ppm以下としてもよい。
このようにすれば、カウンターイオンである塩素の残留を防止できる。
また、本発明の他の態様では、銀錯体溶液と還元剤溶液を一つの流路に送液する複数の供給管と、前記流路内に設けられ、前記送液された前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを混合させる混合部と、前記流路内に設けられ、前記混合部から送液された前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを反応させる反応部と、前記反応部で反応させた銀微粒子を含む反応液を対流させる受槽と、前記受槽の底部側に配置され、前記銀微粒子を含む反応液を受槽液面に向かって移動させる撹拌設備と、流動撹拌されながら滞留している前記銀微粒子を含む前記受槽内の反応液を前記受槽液面から固液分離機構部に送液する排出機構と、前記受槽頂部に配置され、前記銀微粒子を含む反応液から発生した蒸発気体を排気する排気機構とを備え、前記反応部の排出口は前記受槽の底部側に設けられ、前記受槽の底部が30度以下の傾斜をもち、前記撹拌設備の撹拌羽の設置高さが前記傾斜の高さの範囲内であることを特徴とする銀粉の製造装置である。
このようにすれば、平均粒径が0.3μmから2μmで粒度分布が狭く、分散性が高い電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストなどのペースト用銀粉を、低コストで製造することができる。
また、本発明の他の態様では、前記排気機構の排気出力を酸化還元電位の測定値に連動して調節する機構を備えることとしてもよい。
このようにすれば、一連の作業として銀粉を効率的に製造することができる。
本発明によれば、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストなどのペースト用銀粉として好適な平均粒径が0.3μmから2μmで粒度分布が狭く、分散性が高い銀粉を低コストで製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法の概略を示す工程図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置を模式的に示した図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について以下の順序に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.銀粉の製造方法
1−1.混合液調整工程
1−2.銀微粒子含有反応液生成工程
1−3.粒子成長工程
1−4.銀粒子スラリー回収工程
1−4.銀粉製造後工程
2.銀粉の製造装置
[1.銀粉の製造方法]
図1は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法の概略を示す工程図である。本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法は、混合液調整工程S1と、銀微粒子含有反応液生成工程S2と、粒子成長工程S3と、銀粒子スラリー回収工程S4と、銀粉製造後工程S5を有する。以下工程を追って説明する。
[1−1.混合液調整工程]
本実施形態に係る混合液調整工程S1では、まず、銀塩と揮発性の錯体化物質とを混合して生成した銀錯体を含む銀錯体溶液を得る。銀塩については特に限定されず、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀、酢酸銀、塩化銀など公知のものが使用できる。
錯体化物質としては一般的には、アンモニア、シアン化物、ハロゲン、チオ硫酸、チオシアン酸、エチレンジアミン四酢酸、などが用いられているが、本発明においては揮発性の高いものであれば、特に限定されない。ヨウ素―ヨウ化カリウム水溶液のような昇華性の物質も好適に用いられるが、揮発後に析出して排気装置などを汚染することがなく、かつ比較的安全性が高いアンモニア水等を使用することが好ましい。
銀塩、錯体化物質のいずれも工業的に用いられるものが使用できるが、高純度のものが好ましい。水に対する溶解度の高い銀塩を用いた場合には、水に溶解した時点で水分子との錯体を形成しており、その水分子を上記錯体化物質で置換することとなるが、この場合には上記錯体化物質が水分子と完全に置換している必要はない。
錯体化物質の添加量は、製造工程において避けられない感光による還元や、ガラスやビニールホース等、製造時に接触することが避けられない物質による還元を防止するために、銀イオンを十分安定化できる量とすることが好ましい。通常、この量は銀イオンに対して2化学当量程度とされる。
水に対する溶解度の低い銀塩を錯体化物質に混合し、溶解する方法としては、銀塩の水系スラリーに錯体化物質を添加する方法もあるが、銀錯体を含む銀錯体溶液の濃度を高めて生産性を上げるために、錯体化物質の水溶液に直接銀塩を投入、溶解して銀錯体を含む銀錯体溶液とすることが好ましい。
水に対する溶解度の高い銀塩を用いる場合には、水に銀塩を高濃度で溶解した後、銀を錯体化するために最低限必要な量の錯体化物質を添加することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法では後述するように、当該揮発性の高い錯体化物質を揮発させることで還元速度を調整する。更に混合部では銀の還元反応をできる限り抑えることで均一な核発生をさせつつ、銀の混合反応管壁面への析出を抑えることが重要であることから、錯体化物質の濃度は高いことが好ましい。
また、上記揮発性錯体化物質の添加量は、銀塩1モルに対して23モル以上であることが好ましい。この量とすることにより上述した錯体化物質を揮発させて還元速度を調整することが容易となるだけでなく、銀塩が溶解した際の銀イオンに対するカウンターイオンが不純物として銀粉中に残留することも防止できる。
また、上記揮発性錯体化物質の添加量は75モル以下であることが好ましい。75モルを超えると、還元速度を調整するために揮発させなければならない錯体化物質の量が徒に増大し、生産コストが増大するからである。
特に銀塩として塩化銀をもちいる場合には、カウンターイオンである塩素の残留が懸念されるが、上記揮発性錯体化物質の添加量を上記範囲とすることにより、銀粉中の塩素濃度を30ppm以下に抑えることが可能となる。
本実施形態に係る混合液調整工程S1では、次に、還元剤を水に溶解、あるいは希釈し、還元剤溶液を製造する。還元剤は、工業的に用いられるものであればよく、特に限定されない。例えば、金属元素を含む還元剤としては、アルカリ金属や亜鉛などの金属単体、金属のアマルガム、ホウ素やアルミニウムなどの水素化物、低酸化状態の金属塩が挙げられる。
金属元素を含まない還元剤としては、硫化物、チオ硫酸塩、シュウ酸、ギ酸、アルデヒド、アルコール、糖類などが挙げられる。本実施形態に用いる還元剤としては、これら公知のものが使用できるが、不純物の混入を避けるためには、金属元素を含まない還元剤を用いることが好ましい。
また、ある程度安定した反応性をもち、かつ銀を速やかに還元できる還元剤としては、ヒドラジン、ホルマリン、アスコルビン酸などが挙げられるが、反応の安定性の観点から、特にアスコルビン酸を用いることが好ましい。還元剤の添加量は、銀に対して化学当量で1.2以上とすればよく、コストの面から、1.6以下であることが好ましい
本実施形態に係る混合液調整工程S1では、次に、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液とをそれぞれ定量的かつ連続的に供給し、混合する。以下図2を用いながら説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置を模式的に示した図である。図2に示す装置によれば、銀錯体を含む銀錯体溶液をポンプ30により、還元剤溶液をポンプ20によって、それぞれ定量的かつ連続的に供給管11、12に供給し、上記供給管が合流する部分を始点とし、受槽40内の底部の排出口15aを終点とする流路14に送液する。流路14は、送液された銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液とを混合させて混合液とする混合部13と、混合部13で得られた混合液中の上記銀錯体を還元させて銀微粒子を生成し、銀微粒子を含む反応液を得る反応部15から構成される。
上記混合部13においては、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液と混合させた混合液中の銀濃度を25〜50g/Lの範囲で調整することが好ましい。これにより、粒度分布がより狭い銀粉を高い生産性で製造することが可能となる。
上記銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を供給管11、12に供給する手段としては、図2に示すように、ポンプ20、30を使用することが好ましく、脈動の小さい定量ポンプが望ましい。また、ポンプの流量は、インバータ制御で可変なものが望ましく、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液のそれぞれの流量が一定となるように調整してその混合比を制御することが好ましい。還元反応時の銀錯体の濃度と還元剤の濃度が一定に保たれることで、核発生の速度とその濃度が一定となり、さらに粒成長速度も一定となるため、得られる銀微粒子の粒度分布を狭くすることができる。
尚、ポンプを使用せず、高所に銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を保持しておき、落差などを利用して供給管11、12に供給しても良い。また、図2では、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液をそれぞれ供給管11、12に供給しているが、後述する酸化還元電位を調整するため、あるいは銀微粒子スラリーの濃度調整のため等、各種の溶液を供給するために、供給管を3本以上としても良い。流路14の混合部13内で混合する方法としては、上記したように供給管を合流させる部位をY字状にして、直管である混合部内で混合する方法がある。その他、上記供給管を合流させる部位を同芯管状にして合流させ、混合も同時に行う方法、あるいは供給管を合流させる部位の後の混合部内部にスタティックミキサーなどを用いて混合を早める方法等を用いることが好ましい。
本実施形態においては、銀粉の均一性及び生産性向上のために、後述の粒子成長工程において、錯体化物質を蒸発させることが必要である。通常使用される錯体化物質には、分散性向上の効果があるものがあるが、この蒸発によって錯体化物質による分散性が得られなくなる場合があるため、銀粉の分散性向上のために、上記銀錯体を含む銀錯体溶液、あるいは還元剤溶液に分散剤を添加することが好ましい。
分散剤としては、無機分散剤や水溶性高分子など、公知のものが好適に用いられる。無機分散剤としては、ポリリン酸マグネシウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、炭酸バリウムなどがあげられる。水溶性高分子としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の少なくとも1種であることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンの少なくとも1種であることがより好ましい。
[1−2.銀微粒子含有反応液生成工程]
本実施形態に係る銀微粒子含有反応液生成工程S2では、流路14の後部の反応部15において、流路14の前部の混合部13で生成された銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液との混合液中で、上記銀錯体を還元させて銀微粒子を生成し、当該銀微粒子を含む反応液を得る。
また、上記銀の還元反応時の反応液の温度は、銀塩の十分な溶解度と、安定した揮発性が得られることから、25〜40℃とすることが好ましい。特に揮発性錯体化剤としてアンモニアを用いた場合、25℃未満では、銀塩のアンモニア水に対する溶解度が小さくなり、反応液中の銀濃度を高められないことにより所望の粒径が得られない可能性がある。一方、40℃を超えると、アンモニアの揮発が激しくなり、溶解度が低下して核発生速度が大きくなり粒径が変動する可能性があり、さらに銀塩の析出が起きることがある。
混合部13は、上述したような混合を早める機構を持つことが好ましいが、そうした場合、混合液中では速やかに銀微粒子が生成し、銀微粒子含有反応液となるため、当該銀微粒子の混合反応管壁面への析出を抑えるために速やかに、受槽内に排出することが好ましい。具体的には、混合液生成後15秒以内に反応部15を経由して受槽に排出されることが好ましい。
また、流路14から受槽40への反応部の排出口15aは受槽内の底部40bに配置されていることが必要である。更に、銀微粒子含有反応液が含まれる上記流路14内の反応部15の何れかで、反応液の酸化還元電位を測定することが必要である。このとき酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−300mV以上である。上記の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−300mV未満である場合には、還元反応が進みすぎており、得られた銀粉が凝集している可能性、更には混合反応管が詰まる可能性もある為、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−300mV未満とならないよう、流路14内の送液速度を調整する必要がある。もし当該酸化還元電位が−300mVを下回りそうになった場合には、銀錯体を含む銀錯体溶液及び還元剤溶液の2液の送液速度を速めればよい。その際、上記2液の供給速度の比率が変わらないように注意する必要がある。
上記の酸化還元電位測定箇所は、反応部の中でも受槽の底部に近いほど好ましく、反応部の排出口15aで測定することがもっとも好ましい。但し、測定器が反応液に埋没すること等から、受槽の底部40bで酸化還元電位を測定することが難しい場合には、流路14を構成する送液管の反応部15に、酸化還元電位を測定するための穴を形成するか、あるいは隙間を設けて、そこで酸化還元電位を測定することも出来る。いずれの場合においても、上記反応液が漏れないようにすることが好ましい。
いずれの方法で測定する場合においても、測定に用いる酸化還元電位計の電極は、銀粉製造装置に固定しても良いが、ハンディータイプのものを用いて適時測定を行っても良い。
本実施形態において、銀粉の製造に用いる銀塩、錯体化物質、還元剤など、還元に必要な時間にかかわる種々の条件や、送液速度によって、流路14内において、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液とを混合させた混合液内で、銀微粒子の発生する位置、すなわち反応開始の位置が変化しうる。
本実施形態においては、流路14における、混合部13及び反応部15の識別は、一例として、上記銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液が合流した後、反応がほとんど起きていない混合液の状態であれば目視で透明であるので、上記流路14内を目視できるようにした時に透明な領域を混合部13とし、反応が始まり銀微粒子の発生により目視で黒色、あるいは茶色等に着色し透明度が落ちてきたと判断される領域以降を反応部15と識別することができる。
[1−3.粒子成長工程]
本実施形態に係る粒子成長工程S3では、受槽40内の底部40bに配置された反応部の排出口15aより排出された銀微粒子含有反応液を、受槽40内に配置された撹拌設備45を用いて流動させ、還元反応を終了させる。
具体的には、受槽40内の底部40bに配置された反応部の排出口15aより排出された反応液中の銀微粒子を、徐々に受槽液面42に向かって移動するように撹拌する。後述するように、本実施形態においては上記受槽頂部に設けた排気機構60により錯体化物質を揮発させることで、受槽40内の反応液の深さ方向に酸化還元電位の勾配を設ける。それにより反応液中の銀微粒子が液面に向かって移動する過程で還元反応が進行し、当該銀微粒子が受槽液面42付近まで移動した時点で、還元反応が終了して銀粒子とすることができる。このため、上記銀微粒子含有反応液が受槽の底部40bより投入され、定常的な流れで上記銀微粒子が受槽液面42に向かって移動すること、及び酸化還元電位の勾配を制御するための錯体化物質の排気が必要となる。
本実施形態においては、受槽40内の反応液の還元に伴って当該反応液中の銀微粒子が成長し銀粒子となるが、上記のような定常的な流れを形成する攪拌設備45がなく、銀微粒子が安定的に液面に向かって移動しない場合には、成長した銀微粒子と未成長の銀微粒子が混合されることで更に成長し、粒度分布が広くなる可能性がある。また、排出が遅くなることで生産性も低下する。
したがって、本実施形態に用いる受槽40の構造は、図2に示すように、受槽の底部40bが底部中央に向かって傾斜し、更に上記撹拌設備45の撹拌羽の設置高さが受槽の底部40bの傾斜の高さの範囲内となることが好ましい。
撹拌設備45の攪拌羽が回転すると、一般的に上方向、横方向、下方向に流れが発生するが、上記条件を満たすように設置することで、横方向、下方向に発生した流れが上記の傾斜した底面に当たり流れの方向を変えることで、銀粉に対する浮力とすることができる。
しかし、浮力が強すぎ、受槽液面42に向かって移動した銀微粒子が液面に露出するようになると、銀粉表面に錯体化剤が存在しない状態となることから、カウンターイオンが吸着しやすくなる。特に銀塩として塩化銀を使用している場合には塩素が銀粉中に残存する原因となるため、好ましくない。
従って、上記受槽の底部40bの傾斜は水平方向から30度以下であることが好ましく、定常的に銀微粒子を液面に向かって移動させつつ、還元反応を進ませる流れが維持できるよう、攪拌羽の形状や回転数を適宜調整することが好ましい。尚、この流れは、上記の銀微粒子が1分程度の時間をかけて徐々に液面に向かって移動するような流れであることが好ましい。このような流れとすることで、銀の還元速度が速すぎることで、銀粒子の形状が歪になることを防止でき、また反応のための保持時間を取りすぎることによるコスト増も防止できる。
更に、粒子成長工程S3においては、上述したように受槽の上で排気を行うことによって、揮発性錯体を蒸発させることが必要である。排気の目的は、受槽液面42付近の酸化還元電位を制御して、受槽40中の深さ方向に反応液の酸化還元電位の勾配を作るためであり、液面付近での酸化還元電位の測定値に応じて排気の強さを制御することが重要である。更に上記排気の制御をより適切におこなうために、排気機構60を受槽40の頂部に設け、排気は受槽の頂上で行うことが好ましい。
更に、本実施形態においては、受槽液面42において酸化還元電位を測定し、上記送液管の反応部15での酸化還元電位の測定値との差から、濃度勾配を確認しつつ、当該酸化還元電位が後述する範囲内となるように、排気機構60の排気量を適宜調整することが必要である。
具体的には、受槽液面42における酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−500mV以下、より、好ましくは−520mV以下であれば、銀粒子スラリーとして回収されるまでに還元反応を安定して終了させることができ、凝集を防止できるが、−620mV以下となった場合には、還元速度の速度が速すぎ、銀粒子の形状の悪化を招く可能性があるため、避けることが好ましい。
従来も、揮発性錯体の排気や受槽中の還元反応によって、酸化還元電位の変化は起こっていたが、槽内を均一化する攪拌や混合を行っていたため、酸化還元電位の変化が遅く、還元反応に時間がかかり、コスト増の原因となっていた。
本実施形態では、酸化還元電位の勾配中を上記銀微粒子が移動することにより、還元反応が進むことで速やかに、成長した銀粒子を得ることができる。なお、受槽40には、液を深さ方向に均一化するような邪魔板などは設けないことが好ましい。上記酸化還元電位の勾配を定常的に作ることが難しくなり、効果が得られなくなる可能性があるためである。
[1−4.銀粒子スラリー回収工程]
本実施形態に係る銀粒子スラリー回収工程S4では、粒子成長工程S3で得られた、流動撹拌されながら滞留している銀粒子を含む銀粒子スラリーを受槽40の受槽液面42から固液分離機構部90に送液する排出機構50を用い、固液分離機構部90に送液する。回収にはポンプなどを用いることが好ましいが、オーバーフロー方式など、公知の方法を用いることもでき、特に限定されない。
銀粒子スラリー回収工程S4では、銀微粒子が受槽液面42付近まで流動してきた時点で、反応液の還元反応は終了しているが、揮発性錯体は反応液中に存在しており、揮発性錯体が送液中に蒸発し、酸化還元電位が−620mVを下回ることを抑え、また、人体への暴露を防ぐために、銀粒子スラリーは配管等の内部を送液することが好ましい。
[1−5.銀粉製造後工程]
本実施形態に係る銀粉製造後工程S5では、回収した銀粒子スラリーを固液分離し、洗浄、乾燥して銀粉を得る。固液分離に用いる装置は特に限定されず、通常用いられる遠心分離機、吸引濾過機、フィルタープレス等を使用できる。
本実施形態に係る銀粉製造後工程S5では、銀粒子スラリーの固液分離後に、銀粒子を洗浄する。銀粒子の表面には、水溶性高分子や還元剤等、不要な物質が付着している。銀ペーストを用いて配線層や電極を形成した場合に、上記物質が残留して導電性を低下させないよう、銀粒子を洗浄することが好ましい。
なお、銀粒子とペーストとのなじみを改善するため、更には銀の粒子表面を構造的に安定させて、銀の粒子同士が接触した際の金属結合を防止するために、上記銀粒子スラリー、あるいは洗浄液に表面処理剤を添加し、銀粒子の表面処理を行うことが好ましい。表面処理剤としては、例えば脂肪酸、有機金属、ゼラチン等の保護コロイドを用いることができる。脂肪酸はエマルジョンとして添加してもよい。
本実施形態に係る銀粉製造後工程S5では、上記洗浄後に固液分離し、得られた銀の殿物を乾燥する。固液分離は、濾過や遠心機を用いることができるが、連続的に送液して固液分離する場合はフィルタープレスを用いることが好ましい。また、洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、銀粒子を水に投入し、撹拌機又は超音波洗浄器を使用して撹拌した後、固液分離して銀粉を回収する方法を用いることができる。この方法において、銀粒子の水への投入、撹拌洗浄及び固液分離からなる操作を、数回繰返して行うことが好ましい。また、洗浄に用いる水は、銀粉に対して有害な不純物元素を含有していない水を使用し、特に純水を使用することが好ましい。
乾燥方法としては、一般的に公知の方法を用いることができる。例えば、固液分離した銀粒子をステンレスパッド上に置き、大気オーブン又は真空乾燥機等、市販の乾燥装置を用いて、40〜80℃の温度で加熱保持すればよい。
本実施形態に係る銀粉の製造方法では、得られた銀粉に対して、解砕処理を行うことができる。乾燥後の銀粒子は、容易に手でほぐれる程度ではあるが、凝集しているために、ペーストにする際に、溶剤や樹脂との混合に余分な手間がかかることから、解砕することが好ましい。解砕に用いる装置としては、特に限定されるものではないが、銀粉へのダメージが少ない、ジェットミル、高速撹拌機等の解砕力が弱い装置を用いることが好ましく、解砕の部分的なバラツキを抑えるために特に真空減圧雰囲気で解砕できるものが、さらに好ましい。
[2.銀粉の製造装置]
図2は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置を模式的に示した図である。本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100は、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法に用いられる。以下、図2を用いて詳しく説明する。
本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100は、銀錯体溶液と還元剤溶液を一つの流路14に送液する複数の供給管11、12と、上記流路14内に設けられ、上記送液された上記銀錯体溶液と上記還元剤溶液とを混合させる混合部13と、上記流路14内に設けられ、上記混合部13から送液された上記銀錯体溶液と上記還元剤溶液とを反応させる反応部15と、上記反応部15で反応させた銀微粒子を含む反応液を対流させる受槽40と、上記受槽40の底部側に配置され、上記銀微粒子を含む反応液を受槽液面42に向かって移動させる撹拌設備45と、流動撹拌されながら滞留している上記銀微粒子を含む上記受槽40内の反応液を上記受槽液面42から固液分離機構部90に送液する排出機構50と、上記受槽頂部に配置され、上記銀微粒子を含む反応液から発生した蒸発気体を排気する排気機構60とを備え、上記反応部の排出口15aは上記受槽内の底部40bに設けられ、上記受槽の底部が30度以下の傾斜をもち、上記撹拌設備の撹拌羽の設置高さが上記傾斜の高さの範囲内であることを特徴とする。
供給管11、12は、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を送液するためのものであり、材質は銀錯体や還元剤と反応しないものであればよく、塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレンなどから選択できる。上記したように、図2の本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100においては、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液をそれぞれの供給管11、12に供給しており、計2本となっているが、酸化還元電位を調整するため、あるいは銀微粒子スラリーの濃度調整のため等、各種の溶液を供給するために、供給管を3本以上としても良い。
上記混合部13は、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を、例えばポンプ等によってそれぞれ定量的かつ連続的に供給される供給管11、12が合流する部分を始点とし、受槽40内底部40bの反応部の排出口15aを終点とする、流路14の前部であり、銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液とを混合させる部位である。
図2では、一般的なY字管を示しているが、混合を促進する機構として、スタティックミキサーや同芯管などを用いることもできるが、特に混合を促進する機構を有していなくともよい。混合部13の材質は、銀錯体を含む銀錯体溶液や還元剤溶液と反応しないことと、還元反応後の銀が付着しないことが重要であり、ガラスが好ましい。
また、反応部15は、流路14の後部であり、混合部13で生成された銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液との混合液中で、上記銀錯体を還元させて銀微粒子を生成し、当該銀微粒子を含む反応液を得る部位である。
上述したように、混合部13内で銀溶液と還元剤溶液とが混合されてから反応部15内で反応液となり、その反応部15内を流下して反応部の排出口15aから受槽の底部40bに排出されるに至るまでの時間(流下時間)が15秒以下となるような流路長となるように上記混合反応管を構成することが好ましい。更に、混合部13、反応部15は、詰まりにくくするために、直線的構成とすることが好ましく、液面に対し垂直に配置されていることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100においては、図2に示すように、混合部13と反応部15を有する流路14を直線的構成としているが、反応液を受槽40に流下させることが難しい場合には、流路14を軟質チューブ等の管状物で構成し、受槽内の底部40bに排出口を配置させるように接続して送液する機構としてもよい。また、流路14を構成する送液管の反応部15に、酸化還元電位測定のための穴や隙間を設けてもよい。
供給管11、12に銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を供給する機構としては、一般的な定量ポンプを用いることができ、図2にはそれぞれ定量ポンプ20、30を示してある。ポンプを使用する際には定量的かつ連続的に供給できるよう、脈動の小さいものを用いることが好ましいが、落差を利用するなど、他の機構等を利用してもよく、特にポンプに限定されない。
受槽40は、反応部の排出口15aから排出された反応液を攪拌するために、例えば攪拌機等の攪拌設備45を備える。上述したように、受槽内の反応液に、排気機構60によって上記揮発性錯体化剤の濃度勾配を設ける必要があることから、攪拌設備45は水平方向の攪拌力は大きく、深さ方向の攪拌能力は小さいことが好ましい。
また、受槽40の構造は、図2に示すように、受槽の底部40bが傾斜し、更に攪拌設備45の攪拌羽の設置高さが上記傾斜の高さの範囲内となることが好ましい。また、上記底面の傾斜は水平方向から30度以下であることが好ましい。尚、この角度は、当該底面の傾斜を直線とみなした場合であり、底面が湾曲している場合、段差が設けられている場合であっても、底面とみなせる範囲の高さ方向及び径方向の長さの平均値をもって、この角度とみなすことができる。
受槽40の容積は、反応時間に流入する反応液の流量、すなわち銀溶液の流量と還元剤溶液の流量の和に、還元反応が終了する時間を乗じた液量以上であることが必要である。しかし、排気量が比較的大きい排気装置を設置した場合には、反応時間は1分程度とすることが出来、本実施形態に係る受槽40は従来に比べ、格段に小さいものでも十分である。
受槽40の材質については、特に限定されるものではないが、洗浄の容易さなどを考慮し、受槽40内部はテフロン(登録商標)コートなどの処理を施されたものであることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100においては、受槽40の受槽液面42から固液分離機構部90に送液する排出機構50をもつ。受槽40で得られた銀粒子を含む銀粒子スラリーを受槽40から回収し、送液できる機構であればよく、図2に示すように、ポンプなどを用いることが好ましいが、オーバーフローなどの方式によるものであってもよい。
排気装置60は、受槽より頂部に配置され、上記錯体化物質を排気し、受槽40内の反応液に濃度勾配を連続して設けることが重要である。従って、十分な排気能力を備えているものである必要があり、その設置場所は受槽40の直頂部であることが特に好ましい。
更に、本発明においては、受槽液面42において酸化還元電位を測定し、上記流路内反応部での酸化還元電位の測定値との差から、濃度勾配を確認しつつ、当該酸化還元電位が後述する範囲内となるように、排気機構60の排気量を適宜調整することが必要である。
酸化還元電位を測定しつつ、適宜手動で当該排気量を調整しても良いが、自動で酸化還元測定装置80の測定値を読み込み、自動で排気出力を調整する調整機構70を組み込むことが好ましい。その際は、シーケンサー等を利用して、排気量の変動を最小限度に抑えつつ適度に排気出力の増減をコントロールできる機構とすることが好ましい。更には、一定の酸化還元電位を設定し、受槽液面42における酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)がその値となるよう排気出力を自動調整する機構とすることが好ましい。ここで排気出力、とは排気設備のファン等に印加される電流と電圧の積とすることができる。
酸化還元電位の測定値については、受槽液面42における酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−500mV以下、より、好ましくは−520mV以下に調整することが好ましく、−620mV以上であることが好ましい。従って、当該測定値が上昇し、−520mV、あるいは−500mVに近づいた場合には排気を強め、測定値が低下し−620mVに近づいた場合には、排気を弱めるよう、調整すればよい。受槽液面42における酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)の測定は、排出機構50の近傍で行うことが好ましい。電極は装置に固定しても良いが、ハンディータイプのものを用いて適時測定を行っても良い。
以上のような本発明の一実施形態に係る銀粉の製造装置100を用いれば、流路14の反応部15から受槽40中に排出された反応液中の銀微粒子に対して、排気機構60による揮発性の錯体化物質の排気により反応液中に錯体化物質の濃度勾配を設けつつ、攪拌設備45により銀微粒子を流動させ、移動させることにより、反応液中の銀錯体を速やかに還元し、排出機構50により、銀粒子を回収することが出来る。
従って、平均粒径が0.1μmから数μmで一次粒子の粒度分布が狭く、分散性が高い銀粉を生産性が高く低コストで製造することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置について実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
使用した装置の概略は図2に示すとおりであり、受槽40は内径800mmで、上端から150mmに液面があるときの液量が50Lである、外部がステンレス製で内表面にテフロン(登録商標)コートしたものを使用し、ヒーターにより内部を36℃に保つようにした。また、流路14の混合部13及び反応部15は以下のようにした。
混合部13については、図2に示すように銀錯体を含む銀錯体溶液の供給管11と還元剤溶液の供給管12の結合部から混合部13までをガラス製のY字管とし、混合部13の内部にはスタティックミキサーを挿入した。また、反応部15は図2のように直線状に設置した1mのビニールホースとした。
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液:
銀塩:塩化銀90.00kg(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%、水分率15.01%)
錯体化溶液:25%アンモニア水
を36℃に保持しながら攪拌混合し、溶解して銀錯体を含む銀錯体溶液1080Lを作製した。(銀に対して30モル)
還元剤溶液:
還元剤:アスコルビン酸40.20kg(関東化学(株)製、試薬)
分散剤:ポリビニルアルコール(PVA)3.52kg((株)クラレ製、PVA205)
を、36℃に保持した純水に溶解して還元剤溶液440Lとした。
供給混合条件
銀錯体を含む銀錯体溶液をチューブポンプ30で2.7L/分の速度で供給管11に、還元剤溶液をチューブポンプ20で0.9L/分の速度で供給管12に送液した。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は40g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.4である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入されるまでの時間は18秒であり、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−33mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始と同時に排気装置60をアンモニアが銀粉製造装置の設置室内にこもらない程度に起動し、及び攪拌設備45を銀微粒子が沈降しない程度の回転数で起動した。送液開始後13分に排気装置60を受槽液面42近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始し、攪拌設備45の回転数を銀微粒子が1分程度かけて液面に移動するような回転数に調整した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した。この時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−558mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
受槽40の受槽液面42から排出機構50によりフィルタープレスに送液し、固液分離を開始した。約400分で銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液の送液を終了した。続いて、固液分離した銀粒子を0.01mol/LのNaOH水溶液680L中に投入し、15分間撹拌した後、フィルタープレスで濾過して回収した。0.01mol/LのNaOH水溶液への投入、撹拌、及び濾過からなる操作を更に2回繰返し、純水680L中への投入、撹拌、及び濾過からなる操作を行った後、得られた銀粒子をステンレスパッドに移し、真空乾燥機にて60℃で16時間乾燥して銀粉を得た。
[実施例2]
実施例2では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
ポンプ30の送液速度を2.0L/分とした以外は実施例1と同様にした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は36.8g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.9である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入されるまでの時間は22秒であり、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−297mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後16分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始し、攪拌設備45の回転数を銀微粒子が1分程度かけて液面に移動するような回転数に調整した。送液開始後約17分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した。この時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−553mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例3]
実施例3では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
供給混合条件ポンプ30の送液速度を3.1L/分とした以外は実施例1と同じ条件とした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は41.3g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.2である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入されるまでの時間は16秒であり、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−5mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後11分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始し、攪拌設備45の回転数を銀微粒子が1分程度かけて液面に移動するような回転数に調整した。送液開始後約12分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した。この時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−548mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例4]
実施例4では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
混合液調整工程は実施例1と同様に行った。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−28mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−510mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−506mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例5]
実施例5では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
混合液調整工程は実施例1と同様に行った。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−67mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−610mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−617mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例6]
実施例6では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
反応液調整工程
銀錯体を含む銀錯体溶液:
銀塩:塩化銀90.00kg(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%、水分率15.01%)
錯体化溶液:25%アンモニア水
を36℃に保持しながら攪拌混合し、溶解して銀錯体を含む銀錯体溶液828Lを作製した。(銀に対して23モル)
還元剤溶液:
実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を2.1L/分とした以外は実施例1と同じ条件とした。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−53mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−562mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例7]
実施例7では実施例1と同じ装置を用いた。
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液:
銀塩:塩化銀90.00kg(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%、水分率15.01%)
錯体化溶液:25%アンモニア水
を36℃に保持しながら攪拌混合し、溶解して銀錯体を含む銀錯体溶液3521Lを作製した。(銀に対して75モル)
還元剤溶液:
実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を6.8L/分とした以外は実施例1と同じ条件とした。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−42mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−548mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例8]
混合部13について、銀錯体を含む銀錯体溶液の供給管11と還元剤溶液の供給管12の結合部から流路14の混合部13までをガラス製の同芯管とした以外は実施例1と同じである。
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液:
実施例1と同じ条件で製造した。
還元剤溶液:
還元剤:アスコルビン酸40.20kg(関東化学(株)製、試薬)
分散剤:ポリビニルピロリドン3.52kg(((株)ISP製、K15)
を、36℃に保持した純水に溶解して還元剤溶液440Lとした。
供給混合条件
実施例1と同じ条件とした。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−25mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−551mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[実施例9]
混合部13について、銀錯体を含む銀錯体溶液の供給管11と還元剤溶液の供給管12の結合部から流路14の混合部13までをガラス製の同芯管とした以外は実施例1と同じである。
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液:
実施例1と同じ条件で製造した。
還元剤溶液:
還元剤:アスコルビン酸40.20kg(関東化学(株)製、試薬)
分散剤:なし
を、36℃に保持した純水に溶解して還元剤溶液440Lとした。
供給混合条件
実施例1と同じ条件とした。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−22mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−553mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[比較例1]
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液、還元剤溶液は実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を1.4L/分とした以外は実施例1と同様にした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は32.5g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は2.7である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
銀微粒子含有反応液受槽投入工程混合液が生成されてから受槽40内へ投入されるまでの時間は28秒であり、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−320mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後21分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始し、攪拌設備45の回転数を銀微粒子が1分程度かけて液面に移動するような回転数に調整した。送液開始後約22分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した。この時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−561mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[比較例2]
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液、還元剤溶液は実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を1.4L/分とし、ポンプ20の送液速度を0.5L/分とした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は37.3g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.5である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−315mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−350mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−354mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[比較例3]
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液、還元剤溶液は実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を1.4L/分とし、ポンプ20の送液速度を0.5L/分とした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は37.3g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.5である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−319mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−630mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−628mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[比較例4]
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液:
銀塩:塩化銀90.00kg(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%、水分率15.01%)
錯体化溶液:25%アンモニア水
を36℃に保持しながら攪拌混合し、溶解して銀錯体を含む銀錯体溶液684Lを作製した。(銀に対して19モル)
還元剤溶液:
実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を2.1L/分とした以外は実施例1と同様にした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は30.4g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.8である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での、反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−312mVであった。
[粒子成長工程]
排気装置を稼動せずに反応させた。送液開始後約19分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−312mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[比較例5]
比較例5では、反応部を直径80cmの円形に丸め、螺旋形状に設置し10mのビニールホースとした。また受槽の底部の傾斜を設けなかった、さらに受槽の頂部に排気機構を設けなかった。他は実施例1と同様とした。
[混合液調整工程]
銀錯体を含む銀錯体溶液、還元剤溶液は実施例1と同じ条件で製造した。
供給混合条件
ポンプ30の送液速度を1.4L/分とし、ポンプ20の送液速度を0.5L/分とした。このときの銀錯体を含む銀錯体溶液と還元剤溶液を混合した混合液中の銀濃度は37.3g/Lであり、銀に対する還元剤の化学当量は1.5である。
[銀微粒子含有反応液生成工程]
混合液が生成されてから受槽40内へ投入された時点での反応部の排出口15aでの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)は−321mVであった。
[粒子成長工程]
送液開始後13分に排気装置60を液面近くに設置した酸化還元電位計と連動させ、当該酸化還元電位計の測定値を−550mVに保つように設定して稼動を開始した。送液開始後約14分で反応槽内の液面が槽上端から150mmに達した時点での受槽液面42近くの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−538mVであることが確認された。
[スラリー回収工程、銀粉製造後工程]
スラリー回収工程、銀粉製造後工程は実施例1と同様に行い、銀粉を得た。
[評価方法]
上記の実施例及び比較例で得られた銀粉の球状性はFE-SEM(日立製作所製、型式S−4700)を用いて20000倍で観察した像の中の任意の1000個の粒子について、画像処理ソフトMac-View(MOUNTECH社製)を用いて測定した各粒子のアスペクト比を用いて評価した。アスペクト比(長径/短型)が1.5を超える粒子の数が200を超えれば×、200以下であれば○、50以下であれば◎とした。
銀粉の分散性は、上記Mac-Viewで測定した各粒子の長径と短径の平均値をSEM径とし、MICROTRAC(登録商標)(日機装製、型式HRA 9320X−100)を用いて測定した、体積分布でのD50をMICROTRAC径としたときのMICROTRAC径/ SEM径を用いて評価した。MICROTRAC径/ SEM径が2以上であれば×、1.8〜2であれば○、1〜1.8であれば◎とした。また、以上の実施例と比較例の条件と結果を表1及び表2に示す。
全ての実施例は、球状性が○〜◎となり良好な結果が得られた。また、全ての実施例において、流路14に詰まりは見られず、得られた銀粉の重量より換算した銀の還元率は、実施例4のみ99.9%で実施例4以外は100%となった。また、銀粉中の塩素濃度は実施例1〜8がそれぞれ順に、17、29、21、13、11、22、9、28、26ppmと全てにおいて30ppm未満となった。
一方、比較例1及び比較例4の球状性は×であった。また、比較例2及び比較例4の銀の還元率はそれぞれ、87.7%、72.2%と低い数値となった。さらに比較例3及び比較例4の塩素濃度は、30ppmを超えた数値であり、それぞれ31ppm、68ppmと高い数値となった。比較例5では反応管の詰まりが発生し、稼働を停止した。
よって本発明の一実施形態に係る銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置は、上記のとおり粒度分布が狭く、分散性が高い銀粉を低コストで製造できた。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、銀粉の製造方法及び銀粉の製造装置の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S1 混合液調整工程 S2 銀微粒子含有反応液生成工程 S3 粒子成長工程 S4 銀粒子スラリー回収工程 S5 銀粉製造後工程
11 供給管 12 供給管 13 混合部 14 流路 15 反応部 15a 反応部の排出口 20 ポンプ 30 ポンプ 40 受槽 40b 受槽の底部 42 受槽液面 45 攪拌設備 50 排出機構 60 排気機構 70 調節機構 80 酸化還元測定装置 90 固液分離機構部 100 銀粉の製造装置

Claims (11)

  1. 銀塩と揮発性の錯体化剤を混合して生成した銀錯体を含む銀錯体溶液と、還元剤を含む還元剤溶液とを混合し、前記銀錯体を還元して銀粉を得る銀粉の製造方法であって、
    前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを定量的かつ連続的に流路内に供給混合して混合液を得る混合液調整工程と、
    前記混合液中の前記銀錯体を還元して銀微粒子を生成させ、該銀微粒子を含む反応液を生成する銀微粒子含有反応液生成工程と、
    前記銀微粒子を含む銀微粒子含有反応液を前記流路内下側方向に流送し、連続して受槽内底部から受槽内に投入する銀微粒子含有反応液受槽投入工程と、
    前記受槽内で前記銀微粒子含有反応液を撹拌設備を用い撹拌流動し、前記銀微粒子含有反応液中の銀錯体を還元して銀微粒子が成長した銀粒子を得る粒子成長工程と、
    前記粒子成長工程で得られた銀粒子を含む銀粒子スラリー得て、該銀粒子スラリーを前記受槽から回収する銀粒子スラリー回収工程と、
    回収した銀粒子スラリーを固液分離、洗浄、乾燥して銀粉を得る銀粉製造後工程とを有し、
    前記銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内の酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−300mV以上であり、
    前記粒子成長工程において、前記受槽内では、前記銀微粒子含有反応液を攪拌して銀錯体をさらに還元して銀微粒子が成長した銀粒子を前記受槽液面に向かって流動させ、前記受槽の頂部に位置する排気設備を用いて気化する錯体化物質を排気することにより、銀粒子スラリー回収工程で、前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位を、前記銀微粒子含有反応液が含まれる前記流路内における銀/塩化銀電極基準の酸化還元電位よりも下げることを特徴とする銀粉の製造方法。
  2. 前記受槽の底部を30度以下の傾斜にし、前記攪拌設備の撹拌羽の設置高さが前記傾斜の高さの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の銀粉の製造方法。
  3. 前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−500mV以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銀粉の製造方法。
  4. 前記受槽から前記銀粒子スラリーを回収する時の前記受槽液面での酸化還元電位が銀/塩化銀電極基準で−520mV〜−620mVであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  5. 前記錯体化物質の添加量が銀1モルに対して23モル以上75モル以下である請求項1〜4のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  6. 前記揮発性の錯体化物質がアンモニアであることを特徴とする、請求項5に記載の銀粉の製造方法。
  7. 前記還元剤がアスコルビン酸であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  8. 前記還元剤溶液がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変性シリコーンオイル系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤の少なくともいずれか1つ、または2つ以上を組合せた分散剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  9. 前記銀粉中の塩素濃度が塩素濃度が30ppm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  10. 銀錯体溶液と還元剤溶液を一つの流路に送液する複数の供給管と、
    前記流路内に設けられ、前記送液された前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを混合させる混合部と、
    前記流路内に設けられ、前記混合部から送液された前記銀錯体溶液と前記還元剤溶液とを反応させる反応部と、
    前記反応部で反応させた銀微粒子を含む反応液を対流させる受槽と、
    前記受槽の底部側に配置され、前記銀微粒子を含む反応液を受槽液面に向かって移動させる撹拌設備と、
    流動撹拌されながら滞留している前記銀微粒子を含む前記受槽内の反応液を前記受槽液面から固液分離機構部に送液する排出機構と、
    前記受槽頂部に配置され、前記銀微粒子を含む反応液から発生した蒸発気体を排気する排気機構とを備え、
    前記反応部の排出口は前記受槽の底部側に設けられ、
    前記受槽の底部が30度以下の傾斜をもち、前記撹拌設備の撹拌羽の設置高さが前記傾斜の高さの範囲内であることを特徴とする銀粉の製造装置。
  11. 前記排気機構の排気出力を酸化還元電位の測定値に連動して調節する機構を備えることを特徴とする請求項10に記載の銀粉の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110350054A (zh) * 2019-06-13 2019-10-18 东方环晟光伏(江苏)有限公司 一种太阳能晶硅电池片的印刷方法
CN116024433A (zh) * 2022-12-22 2023-04-28 山东金创金银冶炼有限公司 一种高银贵液两段锌粉搅拌置换工艺

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