JP2018039995A - 可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、相溶性、誘電特性、湿熱信頼性及び耐熱酸化劣化性が改善された成形体を与える可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、それを含む硬化性組成物、これから得られる硬化物を提供する。
【解決手段】ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含み、構造単位(a)を2〜95モル%未満含有し、構造単位(a)の一部としての下記式(1)で表されるビニル基含有単位(a1)のモル分率が0.02〜0.8の範囲であり、構造単位(c)の一部としての共重合体の末端に存在する末端基(c1)の1分子当たりの数は1.5以上であり、Mnが300〜100,000であり、Mw/Mnが100.0以下であり、及びトルエン等の溶媒に可溶である多官能ビニル芳香族共重合体。
【化1】
Figure 2018039995


【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、相溶性、誘電特性、湿熱信頼性及び耐熱酸化劣化性が改善された新規な可溶性多官能ビニル芳香族共重合体とその製造方法、この共重合体を含有する硬化性組成物に関する。更に本発明は、上記硬化性組成物からなるフィルム、及びこれを硬化して得られる硬化体に関する。更に本発明は、上記硬化性組成物と基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、この硬化体と金属箔からなる積層体、及び樹脂付き銅箔に関する。
近年の情報通信量の増加にともない高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低誘電率と低誘電正接を有し、特に吸水後の誘電特性変化の小さい電気絶縁材料が求められている。さらにそれら電気絶縁材料が使われているプリント基板あるいは電子部品は実装時に高温のハンダリフローに曝されるために耐熱性の高い、すなわち高いガラス転移温度を示す材料が望まれている。特に最近は、環境問題から融点の高い鉛フリーのハンダが使われるために、より耐熱性の高い電気絶縁材料の要求が高まってきている。これらの要求に対し、種々の化学構造を持つビニル系化合物を使用した硬化樹脂が従来提案されている。
このような硬化樹脂としては、例えば、特許文献1(特開2004−123873号公報)にはジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物を有機溶媒中、ルイス酸触媒、及び、1−クロロエチルベンゼン、1−ブロモエチルベンゼン及びビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン等の特定構造の開始剤の存在下、20〜100℃の温度で重合させることによって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。また、特許文献2(特開2005−213443号公報)には4級アンモニウム塩の存在下で、ルイス酸触媒及び特定構造の開始剤により、ジビニル芳香族化合物を20〜100モル%含有してなる単量体成分を20〜120℃の温度でカチオン重合させることにより制御された分子量分布を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法が開示されている。これらの技術によって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は溶剤可溶性及び加工性に優れ、これを使用することによってガラス転移温度の高い耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
これらの可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、それ自体が重合性の2重結合を有するため、これを硬化させることにより高いガラス転移温度を持つ硬化物を与える。そのため、この硬化物又は可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、耐熱性に優れた重合体又はその前駆体であると言うことができる。そして、この可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は他のラジカル重合性モノマーと共重合して硬化物を与えるが、この硬化物も耐熱性に優れた重合体となる。
しかしながら、上記特許文献に開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の誘電特性や、硬化後の高温での連続使用における耐熱変色性や誘電特性変化といった観点から見ると、誘電特性や、高温での連続使用に対する耐熱変色性や耐熱酸化劣化性は十分とは言えない。
また、特許文献3(特開2007−332273号公報)には、ジビニル芳香族化合物(a)及びモノビニル芳香族化合物(b)を共重合して得られる共重合体であって、その末端基の一部にエーテル結合又はチオエーテル結合を介した鎖状炭化水素基又は芳香族炭化水素基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。
しかしながら、この可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、分子量を調節する為に、アルコール性水酸基を有する鎖状炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物及びチオアルコール性メルカプト基を有する鎖状炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物といった極性化合物を使用するために、末端にエーテル結合又はチオエーテル結合のいずれかを介した鎖状炭化水素基又は芳香族炭化水素基を末端基として含有するため、高度の誘電特性が求められる先端技術分野で使用される基板材料には適するとは言い難い。
一方、特許文献4(特開2010−229263号公報)及び特許文献5(特開2010−209279号公報)には、芳香族系エーテル化合物由来の末端基を有する多官能ビニル芳香族共重合体、及びチオ(メタ)アクリレート系化合物に由来する末端基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。しかしながら、これらに開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、靱性は改善されているものの、近年の情報通信量の増加に伴う高周波数帯域に於ける低誘電特性を有しておらず、先端電気・電子分野のような高機能で高度の電気的特性、熱的・機械的特性が要求される先端技術分野には適するとは言い難い。
他方、特許文献6(特開2008−81674号公報)には、環状オレフィンとスチレン類とを、ハロゲン系有機溶剤中、周期表第4族遷移金属化合物の共存下で共重合する環状オレフィン/スチレン類共重合体の製造方法が開示されている。しかしながら、この技術により製造された環状オレフィン/スチレン類共重合体は、その実施例に見られるように、ノルボルネン等の環状オレフィンに、スチレン、及びエチレンを共重合させた熱可塑性樹脂であり、プリント基板に電子部品を実装する際の高温のハンダリフローに曝される熱履歴には耐えられないものであった。ここでは、スチレン類の化合物を多数例示し、その中にはジビニルベンゼンの記載も見られるが、ジビニルベンゼンを使用した具体例はなく、先端電子機器分野で使用可能な耐熱性を有する熱硬化型の基板材料として適する樹脂は何ら開示されていない。
特許文献7(WO2006/104049号)には、ノルボルネン系単量体、芳香族ビニル化合物、および炭素数が2〜20のα−オレフィンを付加共重合して得られる透明性および屈折率が高く、固有複屈折値が小さいノルボルネン系付加共重合体が開示されている。芳香族ビニル化合物の例示の中にはジビニルベンゼンも使用可能な芳香族ビニル化合物の一例として記載されているが、具体例で使用されているのは、スチレンのみであった。また、その具体例では、熱可塑性樹脂としてのノルボルネン系付加共重合体が開示されているのみであり、先端電子機器分野で使用可能な耐熱性を有する熱硬化型の基板材料は何ら開示されていない。
特許文献8(WO2015/079978号)には、脂環式モノオレフィンエステルと、脂環式オレフィンモノマーを含有する単量体混合物、メタセシス重合触媒、並びに架橋剤を含有する重合性組成物が開示されている。そして、この重合性組成物を塊状重合して得られる重合体からなる架橋性樹脂成形体が、誘電正接、ピール強度、耐熱性等に優れていることが開示されている。ここで、架橋剤は、重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂成形体において、架橋反応を誘起する目的で使用されるものである。そのため、架橋剤としては、ラジカル発生剤が好適とされ、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤等である。そして、架橋剤の架橋反応を促進させるために、架橋助剤が併用される。架橋助剤としては、p−キノンジオキシム等のジオキシム化合物、トリメチロールプロパントリメタクレート等のメタクリレート化合物、ジアリルフマレート等のフマル酸化合物、ジアリルフタレート等のフタル酸化合物、トリアリルシアヌレート等のシアヌル酸化合物、マレイミド等のイミド化合物等が用いられている。一方、ジビニルベンゼンは連鎖移動剤として使用できる化合物の一例として開示されているが、その具体例で使用されている連鎖移動剤はスチレンのみである。この連鎖移動剤はメタセシス重合触媒を使用して脂環式オレフィンモノマーを重合させたときに、停止反応を起こして、重合体末端に導入され、分子量を調節することによって、積層板の層間ピール強度を高める働きをするものである。
特開2004−123873号公報 特開2005−213443号公報 特開2007−332273号公報 特開2010−229263号公報 特開2010−209279号公報 特開2008−81674号公報 WO2006/104049号 WO2015/079978号
本発明は、耐熱性、相溶性、透明性及び靱性が改善された硬化物又は成形体を与えることができる新規な可溶性多官能ビニル芳香族共重合体とその製造方法、この共重合体を含有する硬化性組成物を提供することを目的とする。また、本発明はこの共重合体を含有する硬化性組成物からなるフィルム、及びこれを硬化して得られる硬化体、並びに上記硬化性組成物と基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体、及び樹脂付き銅箔を提供することを目的とする。
本発明は、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有する多官能ビニル芳香族共重合体であって、
前記構造単位(a)を2モル%以上95モル%未満含有し、構造単位(a)の少なくとも一部は下記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)であり、
Figure 2018039995
(式中、R1は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を示す。)
前記構造単位(c)の少なくとも一部は多官能ビニル芳香族共重合体の末端に存在する末端基(c1)であり、1分子当たりの平均の末端基(c1)の数は1.5以上であり、
前記構造単位(a)、(b)及び(c)の総和に対するビニル基含有構造単位(a1)モル分率は0.02〜0.8の範囲であることを特徴とする多官能ビニル芳香族共重合体である。
上記多官能ビニル芳香族共重合体は、好ましくは数平均分子量Mnが300〜100,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であり、及びトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である。
また、本発明は、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物、及びシクロオレフィン化合物を含むモノマーを、ルイス酸触媒の存在下に重合してジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有する多官能ビニル芳香族共重合体を製造する方法であって、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物とシクロオレフィン化合物の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物を2〜95モル%、モノビニル芳香族化合物を95〜2モル%、及びシクロオレフィン化合物を96〜3モル%使用し、これらを含む重合原料を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶媒中、20〜120℃の温度で重合させることを特徴とする上記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)を含有し、前記構造単位(c)の少なくとも一部は多官能ビニル芳香族共重合体の末端に存在する末端基(c1)として存在し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法である。
上記多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法において、ルイス酸触媒としては、金属フッ化物又はその錯体が優れる。そして、全モノマー成分の合計100モルに対し、ルイス酸触媒を0.001〜100モルの範囲内で使用することが適する。
更に、本発明は上記の多官能ビニル芳香族共重合体と、ラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物である。
この硬化性組成物には、更に硬化性反応型樹脂又は熱可塑性樹脂を含有することができる。そして、上記硬化性反応型樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、エポキシ樹脂又は分子中に2個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類であることがよい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、末端又は側鎖に重合性不飽和結合を有する変性ポリフェニレンエーテルがある。
上記エポキシ樹脂としては、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂及び1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂がある。
また、本発明は上記の硬化性組成物を硬化してなる硬化物である。また、上記の硬化性組成物から形成された膜を金属箔の片面に有することを特徴とする樹脂付き金属箔である。更に、上記の硬化性組成物を有機溶剤に溶解させてなる回路基板材料用ワニスである。
更に、本発明は上記の硬化性組成物と基材からなる硬化性複合材料であって、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料である。また、この硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合材料である。更に、この硬化複合材料の層と金属箔層とを有することを特徴とする積層体である。
本発明の可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体又はこれを含む材料から得られる硬化物は、耐熱性、相溶性、誘電特性、湿熱信頼性及び耐熱酸化劣化性が改善される。また、本発明の製造方法によれば、上記共重合体を高効率で製造することができる。また、本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を硬化性化合物として使用することにより、分子内には、分子サイズの大きな自由体積を有し、極性基が少ないことから、高度の低誘電特性の硬化物が得られ、湿熱履歴後の誘電正接特性と耐熱酸化劣化性とを同時に向上させる。
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有する。
そして、数平均分子量Mnが300〜100,000、好ましくは500〜10,000、より好ましくは1,000〜3,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下、好ましくは1〜50、より好ましくは5〜10であり、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であることがよい。
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、溶媒可溶性であることが好ましいので、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、あるいは単に共重合体ともいう。
本明細書でいう構造単位は、共重合体の主鎖中に存在する繰り返し単位と末端又は側鎖に存在する単位又は末端基を含む。
ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、そのビニル基が1つだけ反応したものと、2つが反応したものなどいくつかの構造の異なるものがあり得るが、ビニル基が1つだけ反応した構造の構造単位である上記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)を、モル分率として0.02〜0.8の範囲で含む。好ましくは、0.05〜0.70、より好ましくは0.1〜0.6である。特に好ましくは、0.15〜0.5である。上記の範囲とすることによって、低誘電正接であり、靱性が高く、また、優れた耐熱性を有し、他の樹脂との相溶性に優れ、耐湿熱性、耐熱酸化劣化性、及び、成形加工性にも優れた樹脂組成物とすることができる。このモル分率が0.02より小さいと耐熱性が低下し、0.8よりも大きいと、積層体としたときの層間ピール強度が低下する。
ここで、上記モル分率は、構造単位(a)、(b)及び(c)の総和に対するビニル基含有構造単位(a1)のモル分率であり、これは下記式(2)で計算される。
(a1)/[(a)+(b)+(c)] (2)
ここで、(a)、(b)、(c)及び(a1)は、それぞれ構造単位(a)、(b)、(c)及び(a1)の存在量(モル)を示す。
また、シクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)についても、それが末端に存在するものと、ポリマー鎖の中間に存在するものなどいくつかの構造の異なるものがあり得るが、末端に存在する構造単位である末端基(c1)の導入量が1分子当たり、1.5個以上である。好ましくは、2.0個以上、より好ましくは、2.5個以上である。また、上限は10個が好ましく、より好ましくは5個、更に好ましくは、4個である。この導入量が1分子当たり、1.5個に満たないと、溶液粘度が高くなり、成形加工性が低下する。
共重合体の末端にシクロオレフィン化合物に由来する末端基の(c1)が入る場合を説明すると次のようになる。
共重合体が直鎖状のポリマーの場合、末端は2つ(開始末端と停止末端)なので、停止末端としてシクロオレフィン化合物に由来する末端基は1つしか入らない。しかし、分岐が一つできると、末端は4つ(開始末端2つと停止末端2つ)なので、例えば停止末端としてシクロオレフィン化合物を持つ末端基は2つになることになる。このように、分岐が増えると、末端の数が増えるので、シクロオレフィン化合物に由来する末端基も1分子に2個以上入り、その数は分岐の数が増えるに従って、増えていく。したがって、(c1)が1.5(個/分子)以上ということは、分岐があることを意味することにもつながる。なお、シクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)は、末端以外にも存在し得る他、他の構造単位も末端に存在し得るが、シクロオレフィン化合物は比較的、単独重合性が低い為に、シクロオレフィン化合物の連鎖が生じにくく、重合を停止させて末端に存在しやすい。
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、好ましくはジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)を2モル%以上で、95モル%未満含有する。
構造単位が、構造単位(a)、(b)及び(c)だけからなる場合は、構造単位(a)のモル分率は、構造単位(a)、(b)及び(c)の総和に対して0.02〜0.95となる。このモル分率は、下記式(3)で計算される。
(a)/[(a)+(b)+(c)] (3)
(ここで、(a)、(b)、及び(c)は、式(2)と同義である。)
上記モル分率は、好ましくは0.05〜0.80、より好ましくは0.10〜0.70モルの範囲である。特に好ましくは0.15〜0.65である。
なお、構造単位(a)、(b)及び(c)以外の構造単位を含む場合においても、好ましい含有率は5〜80モル%、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは15〜75モル%である。
一方、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)のモル分率は、好ましくは0.95〜0.02であり、より好ましくは0.75〜0.05であり、特に好ましくは0.60〜0.10である。
また、シクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)のモル分率は、好ましくは0.96〜0.03であり、より好ましくは0.75〜0.05であり、特に好ましくは0.60〜0.10である。
構造単位(b)のモル分率は下記式(4)で計算され、及び構造単位(c)のモル分率は下記式(5)で計算される。
(b)/[(a)+(b)+(c)] (4)
(c)/[(a)+(b)+(c)] (5)
(ここで、(a)、(b)、及び(c)は、式(2)と同義である。)
なお、構造単位(a)、(b)及び(c)以外の構造単位を含む場合においても、構造単位(b)又は構造単位(c)の好ましいモル分率は、上記の範囲である。
ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、耐熱性を発現させるための架橋成分としてのビニル基を含み、一方、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)は、硬化反応に関与するビニル基を有しないため、成形性等を与える。また、シクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)は、その導入量が多官能ビニル芳香族共重合体の分子量に影響を及ぼすことから、成形性や相溶性を与えることになる。したがって、構造単位(a)のモル分率が0.02に満たないと硬化物の耐熱性が不足し、0.95を超えると成形加工性が低下する。また、構造単位(b)のモル分率が0.95を超えると耐熱性が低下し、0.02に満たないと成形加工性が低下する。一方、構造単位(c)のモル分率が0.96を超えると耐熱性が低下し、0.03に満たないと成形加工性が低下する。
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体のMn(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量)は、好ましくは300〜100,000であり、より好ましくは400〜50,000、更に好ましくは500〜10,000である。Mnが300未満であると共重合体中に含まれる単官能の共重合体の量が増えるため、硬化物の耐熱性が低下する傾向にあり、また、Mnが100,000を超えると、ゲルが生成しやすくなり、また、粘度が高くなるため、成形加工性が低下する傾向にある。(Mw/Mn)の値は、好ましくは100.0以下、より好ましくは50.0以下、より好ましくは1.5〜30.0である。最も好ましくは、2.0〜20.0である。Mw/Mnが100.0を超えると、共重合体の加工特性が悪化する傾向にあり、また、ゲルが発生する傾向にある。
本発明の可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムから選ばれる溶剤に可溶であるが、有利には上記溶剤のいずれにも可溶である。溶剤に可溶で、多官能な共重合体であるためには、ジビニルベンゼンのビニル基の一部は架橋せずに残存し適度な架橋度であることが必要である。かかる共重合体又はその製造方法は上記特許文献等で知られている。そして、溶剤100gに5g以上溶解するものであることがよい。
次に、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法について説明する。この製造方法により、上記本発明の多官能ビニル芳香族共重合体を有利に製造することができる。
なお、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法を、本発明の共重合体の製造方法又は本発明の製造方法と略称することもある。
本発明の共重合体の製造方法では、ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物2〜98モル%、モノビニル芳香族化合物2〜98モル%を使用し、かつ、シクロオレフィン化合物を3〜300モル%使用し、これらを含む重合原料を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶媒中、20〜120℃の温度で重合させる。
ジビニル芳香族化合物は共重合体を分岐させ、多官能とさせると共に、共重合体を熱硬化する際に耐熱性を発現させるための架橋成分として重要な役割を果たす。ジビニル芳香族化合物の例としては、ジビニルベンゼン(各異性体含む)、ジビニルナフタレン(各異性体を含む)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成形加工性の観点から、より好ましくはジビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの異性体混合物)である。
モノビニル芳香族化合物は、共重合体の溶剤可溶性及び加工性を改善する。モノビニル芳香族化合物の例としては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニルなどのビニル芳香族化合物;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルビニルベンゼン、m−エチルビニルベンゼン、p−エチルビニルベンゼンなどの核アルキル置換ビニル芳香族化合物;などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。共重合体のゲル化を防ぎ、溶媒への溶解性、加工性の改善するために、特にスチレン、エチルビニルベンゼン(各異性体含む)、エチルビニルビフェニル(各異性体を含む)、及び、エチルビニルナフタレン(各異性体を含む)がコスト及び入手の容易さの観点から、好ましく使用される。誘電特性とコストの観点から、より好ましくは、スチレン、エチルビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの異性体混合物)である。
シクロオレフィン化合物(c)は、連鎖移動剤として、重合時に共重合体の分子量と分子量分布を制御することによって、炭化水素系樹脂材料の高度の誘電特性を維持しながら、溶剤可溶性及び加工性を改善する。本発明で用いられるシクロオレフィン化合物(c)は、環構造内に二重結合を有する、置換基を有していてもよい炭化水素類である。具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンの他、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのノルボルネン環構造を有する化合物(以下、ノルボルネン化合物と言う。)、インデン、アセナフチレンなどの芳香族環が縮合したシクロオレフィン化合物などを挙げることができる。
ノルボルネン化合物としては、たとえば、下記一般式(6)で示される化合物が挙げられる。

Figure 2018039995

(式中、R22〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R22とR25とは互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有してもよく、また、R22とR23とで、またはR24とR25とでアルキリデンを形成してもよい。mは0または1である。)
このようなノルボルネン化合物の具体的例を挙げると、m=0であるノルボルネン類としては、2−ノルボルネン;5−クロロ−2−ノルボルネン、5−ブロモ−2−ノルボルネンなどのハロゲン原子を有するノルボルネン類;5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなどのアルキル基を有するノルボルネン類;5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネンなどのシクロアルキル基を有するノルボルネン類;5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネンなどのシクロアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、p−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネン、o−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネン、m−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネンなどの芳香族炭化水素基を有するノルボルネン類;5−クロロメチル−2−ノルボルネン、p−クロロ−5−フェニル−2−ノルボルネンなどのハロゲン原子が置換された炭化水素基を有するノルボルネン類等を挙げることができる。
m=0であり、R22とR25とが互いに結合して単環または多環を形成するものとして、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン)、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などを挙げることができる。
また、m=0であり、R22とR23とで、またはR24とR25とでアルキリデンを形成するものとしては、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネンなどを挙げることができる。
m=1であるテトラシクロドデセン類としては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン;9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブロモテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのハロゲン原子を有するテトラシクロドデセン類;9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−デシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのアルケニル基を有するテトラシクロドデセン類;9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのシクロアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのシクロアルケニル基を有するテトラシクロドデセン類;9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの芳香族炭化水素基を有するテトラシクロドデセン類;9−クロロメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのハロゲン原子が置換された炭化水素基を有するテトラシクロドデセン類;を挙げることができる。
また、m=1であり、R22とR23とで、またはR24とR25とでアルキリデンを形成するものとしては、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどを挙げることができる。
一方、芳香族環が縮合したシクロオレフィン化合物としては、インデン系化合物、アセナフチレン系化合物、ベンゾフラン系化合物、ベンゾチオフェン系化合物などを挙げることができる。インデン系化合物としては、インデン、アルキルインデン類、ハロゲン化インデン類、アリールインデン類、アルコキシインデン類、アルコキシカルボニルインデン類、アシルオキシインデン類、アルキルシリルインデン類及びアルキルスタンニルインデン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
また、アセナフチレン系化合物としては、アセナフチレン、アルキルアセナフチレン類、ハロゲン化アセナフチレン類、アリールアセナフチレン類、アルコキシアセナフチレン類、アルコキシカルボニルアセナフチレン類、アシルオキシアセナフチレン類、アルキルシリルアセナフチレン類及びアルキルスタンニルアセナフチレン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
ベンゾフラン系化合物、及びベンゾチオフェン系化合物についても、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェンの他に、インデン系化合物、アセナフチレン系化合物と同様の官能基で変性されたベンゾフラン類、及びベンゾチオフェン類であっても良い。
上記に具体的に例示したシクロオレフィン化合物(c)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。これらのシクロオレフィン化合物で、工業的な入手の容易さ、誘電特性、並びに、本発明の共重合体の分子量制御の効果の高さの観点から、ノルボルネン化合物、インデン系化合物、及びアセナフチレン系化合物が好適に使用される。最も好ましくは、誘電特性と分子量制御の効果の高さの観点から、ノルボルネン化合物が使用される。
また、本発明の共重合体の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物、及びシクロオレフィン化合物の他に、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物やジビニル脂肪族化合物及びモノビニル脂肪族化合物等の他の単量体を使用し、他の単量体に由来する構造単位(e)を共重合体中に導入することができる。
上記他の単量体の具体例としては、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、1,2,4−トリビニルシクロへキサン、エチレングリコールジアクリレート、ブタジエン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。他の単量体は、全単量体の30モル%未満の範囲内で使用されることがよい。それにより、他の単量体に由来する構造単位(e)は、共重合体中の構造単位の総量に対して30モル%未満の範囲内とされる。
本発明の共重合体の製造方法では、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物、及びシクロオレフィン化合物、又は必要により更に他の単量体を含むモノマーを、ルイス酸触媒の存在下に重合することにより共重合体を製造する。
モノマーとなる各成分の使用割合は、ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物との合計100モル%に対し、次の範囲とすることがよい。
ジビニル芳香族化合物;2〜98モル%、好ましくは5〜80モル%、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは15〜65モル%。
モノビニル芳香族化合物;98〜2モル%、好ましくは75〜5モル%、より好ましくは60〜10モル%。
シクロオレフィン化合物は、他のモノマーに比べて一般に反応性が劣るので、一部は未反応で残すように過剰に使用することがよい。このため、シクロオレフィン化合物の使用量は、上記の合計100モル%に対し、好ましくは3〜300モル%、より好ましくは5〜200モル%、より好ましくは10〜150モル%の範囲がよい。好ましくは、全末端基の10モル%以上が上記末端基(c1)となるように使用することがよい。より好ましくは、全末端基の20モル%以上が上記末端基(c1)となるように使用することがよく、最も好ましくは、全末端基の50モル%以上が上記末端基(c1)となるように使用することがよい。
ここで使用されるルイス酸触媒(d)としては、金属イオン(酸)と配位子(塩基)からなる化合物であって、電子対を受け取ることのできるものであれば特に制限なく使用できる。ルイス酸触媒の中でも得られる共重合体の耐熱分解性の観点から、金属フッ化物又はその錯体が好ましく、特にB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ti、W、Zn、Fe及びV等の2〜6価の金属フッ化物又はその錯体が好ましい。これらの触媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。得られる共重合体の分子量及び分子量分布の制御及び重合活性の観点から、三フッ化ホウ素のエーテル錯体が最も好ましく使用される。ここで、エーテル錯体のエーテルとしては、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等がある。
ルイス酸触媒は、全モノマー成分の合計100モルに対し、ルイス酸触媒を0.001〜100モルの範囲内で使用することがよく、より好ましくは0.01〜50モルである。最も好ましくは0.1〜10モルである。100モルを越えると、重合速度が大きくなりすぎるため、分子量分布の制御が困難となる。また、0.001モルに満たないと、重合速度が小さくなりすぎるため、コストの増大を招き、工業的実施には適さなくなる。
本発明の共重合体の製造方法では、所望により助触媒として、1種以上のルイス塩基化合物を使用することができる。
上記ルイス塩基化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
1)酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル等のエステル系化合物、
2)メチルメルカプトプロピオン酸、エチルメルカプトプロピオン酸等のチオエステル系化合物、
3)メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン系化合物、
4)メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等のアミン系化合物、
5)ジエチルエーテル、テトラヒドロラン等のエーテル系化合物、
6)ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィド等のチオエーテル系化合物、及び
7)トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ビニルホスフィン、プロペニルホスフィン、シクロヘキセニルホスフィン、ジアルケニルホスフィン、トリアルケニルホスフィンなどのホスフィン系化合物。
これらの中でも、ルイス酸触媒と相乗的に作用して、重合速度及び重合体の分子量分布を容易に制御できる点からエステル系化合物及びケトン系化合物が好ましく使用される。
これらのルイス塩基化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。
助触媒成分であるルイス塩基化合物は、重合反応時に、対アニオンであるルイス酸触媒に配位することによって、活性種であるカルボカチオンと対アニオンの相互作用を制御することによって、連鎖移動剤として機能するシクロオレフィン化合物と、ジビニル芳香族化合物並びにモノビニル芳香族化合物との間の相対的な反応頻度を調節する。通常、ルイス塩基化合物を添加することによって、活性種であるカルボカチオンと対アニオンの相互作用が強まる為、ジビニル芳香族化合物並びにモノビニル芳香族化合物が過度に挿入反応を起こすのを抑え、シクロオレフィン化合物の挿入反応後の連鎖移動反応を生じ易くして、分子量の制御が容易となる。
助触媒としてのルイス塩基化合物は、好ましくは、全モノマーの合計100モルに対し0.005〜500モル、より好ましくは0.01〜100モル、より好ましくは0.1〜50モルである。上記範囲内であれば、重合速度が適切に保持されると同時に、モノマー間の反応の選択性が向上して、生産性に優れると共に、分子量の過度な増大や低下が抑えられ、成型加工性に優れる共重合体が得られる。
重合反応は、上記モノマーの混合物とルイス酸触媒等を含む重合原料を、誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶媒中、20〜120℃の温度でカチオン共重合させて共重合体を得る。
上記溶媒としては、カチオン重合を本質的に阻害しない化合物であり、かつ触媒、重合添加剤、助触媒、単量体及び生成するビニル芳香族共重合体を溶解して、均一溶液を形成するもので、誘電率が2〜15の範囲内である有機溶媒がよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒の誘電率が2未満であると、分子量分布が広くなるため好ましくなく、15を超えると重合速度が低下する。
有機溶媒としては、重合活性、溶解性のバランスの観点からトルエン、キシレン、n−へキサン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン又はエチルシクロへキサンが特に好ましい。また、溶媒の使用量は、得られる重合溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合終了時において重合溶液中の共重合体の濃度が1〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、特に好ましくは20〜70wt%となるように決定される。この濃度が1wt%に満たない場合は、重合効率が低いことに起因して、コストの増大を招き、90wt%を越えると、分子量及び分子量分布が増大し、成形加工性の低下を招く。
可溶性多官能ビニル芳香族重合体を製造する際、20〜120℃の温度で重合させることが必要である。好ましくは、40〜100℃である。重合温度が120℃を超えると、反応の選択性が低下するため、分子量分布の増大やゲルの発生といった問題点が生じ、20℃未満で重合を行うと、触媒活性が著しく低下するので、多量の触媒を添加する必要が生じる。
重合反応停止後、共重合体を回収する方法は特に限定されず、例えば、加熱濃縮法、スチームストリッピング法、貧溶媒での析出などの通常用いられる方法を用いればよい。
上記製造方法で得られる多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有すると共に、上記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)を含有し、末端には構造単位(c)の少なくとも一部が末端に末端基(c1)として存在する。そして、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である。
有利には、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体が得られる。
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体(本発明の製造方法で得られる多官能ビニル芳香族共重合体を含む。)とラジカル重合開始剤(ラジカル重合触媒ともいう。)とを含有する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、本発明の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くしたり、不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル重合開始剤を含有させるとよい。
ラジカル重合開始剤としては、公知の物質が用いられる。代表的な例を挙げると、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル重合開始剤(又は重合触媒)として使用できる。しかし、本樹脂組成物の硬化に用いられる触媒、ラジカル重合開始剤はこれらの例に限定されない。
ラジカル重合開始剤の配合量は、上記多官能ビニル芳香族共重合体100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲、好ましくは、0.1〜8重量部の範囲である。この範囲であれば、硬化反応を阻害することなく良好に反応が進行する。
本発明の硬化性組成物には、既知の硬化性反応型樹脂や熱可塑性樹脂を配合することができる。硬化性反応型樹脂としては、熱硬化性樹脂の他、多官能ビニル芳香族共重合体と共重合して硬化樹脂を与える樹脂又は化合物がある。例えば、ビニルエステル樹脂、ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化型ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂系樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリシアナート樹脂、フェノール樹脂、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、PPS樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等や、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等や、あるいはゴム類、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンを挙げることができる。
誘電特性、耐熱性、密着性と多官能ビニル芳香族共重合体との相溶性の観点から、好ましくは、熱硬化性反応型樹脂としては、ポリビニルベンジル樹脂、硬化型ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂系樹脂、エポキシ樹脂、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体を挙げることができる。さらに好ましくは、硬化性反応型樹脂としては、ポリビニルベンジル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂系樹脂、エポキシ樹脂、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、水添スチレン−ブタジエン共重合体を挙げることができる。特に好ましくは、硬化性反応型樹脂として、ポリフェニレンエーテル樹脂系樹脂、エポキシ樹脂、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類が挙げられる。
上記硬化性反応型樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂である場合、硬化性官能基を有するポリフェニレンエーテル系樹脂であることが好ましい。より好ましくは、不飽和炭化水素基を含有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂である。特に好ましくは、末端に不飽和炭化水素基を含有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂である。最も好ましくは、末端の不飽和炭化水素基が、ビニルベンジル基、ビニル基、アクリレート基、及びメタアクリレート基からなる群から選ばれる末端に不飽和炭化水素基を含有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂である。
末端に不飽和炭化水素基を含有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の1分子が有する不飽和炭化水素基の平均個数(末端官能基数)は、特に限定されない。好ましくは、硬化物の耐熱性並びに硬化性組成物の保存安定性及び流動性のバランスの観点から、1〜5個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1.5〜3個であることがさらに好ましい。
上記末端に不飽和炭化水素基を含有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の好適な具体例として、下記式(7)で表される変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を挙げることができる。
Figure 2018039995
(式中、mは1又は2を示し、Lは下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテル鎖を示す。Mは水素原子、又は下記式(9)で表される基で表される基を示すが、Mの少なくとも1つは水素原子以外の基である。Tは、mが1のとき水素原子を示し、mが2のときアルキレン基、下記式(10)で表される基、又は下記式(11)で表される基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、nは50以下の正の整数を示し、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、Xは炭素数1以上の有機基であり、酸素原子を含むこともある。Yはビニル基である。jは0又は1の整数を示す。)
Figure 2018039995
(式中、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。Fは、炭素数0の場合を含む、炭素数20以下の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基である。)
上記式(7)で表される変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記多官能ビニル芳香族共重合体とは良好な相溶性を有しており、相溶性の低下に伴う信頼性の低下という問題を克服し、任意の配合で高度の低誘電特性と靱性、並びに成形性と層間剥離強度といった特性が改良される。
また、上記式(7)で表される変性ポリフェニレンエーテルには、mが1又は2を示すものがある。つまり、式(7)で表される変性ポリフェニレンエーテルには、T−L−Mと、M−L−T−L−Mで表される2種類がある。
ここで、Lは、式(8)で表されるポリフェニレンエーテル鎖を示す。式(8)において、R〜Rは上記意味を有するが、水素原子又はアルキル基が好ましい。
また、Mは、水素原子、又は式(9)で表される基を示す。また、変性ポリフェニレンエーテルが、上記T−L−Mで表される場合には、Mは水素原子でなく、式(9)で表される基を示す。また、M−L−T−L−Mで表される場合には、2つのMの少なくとも一方は、水素原子ではなく、硬化物の耐熱性と靱性という理由から、2つのMはともに式(9)で表される基であることが好ましい。
また、mが1の場合は、Tは水素原子を示すので、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂がT−L−Mの場合には、H−L−Mで表される。また、mが2の場合、すなわち、変性ポリフェニレンエーテルがM−L−T−L−Mの場合には、Tは、アルキレン基、式(10)で表される基、又は式(11)で表される基を示す。この中でも、硬化物の靱性と変性ポリフェニレンエーテルの可溶性という理由から、mが2であり、Tがアルキレン基であることが好ましく、mが2であり、Tが2,2−プロピレン基であることがより好ましい。
〜R21において挙げられたアルキル基等の置換基としては、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
アルキル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、及びデシル基等が挙げられる。
アルケニル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、及び3−ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキニル基がより好ましい。具体的には、例えば、エチニル基、及びプロパ−2−イン−1−イル基(プロパルギル基)等が挙げられる。
アルキルカルボニル基は、アルキル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、及びシクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
アルケニルカルボニル基は、アルケニル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜18のアルケニルカルボニル基が好ましく、炭素数3〜10のアルケニルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びクロトノイル基等が挙げられる。
アルキニルカルボニル基は、アルキニル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜18のアルキニルカルボニル基が好ましく、炭素数3〜10のアルキニルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、プロピオロイル基等が挙げられる。
上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜7000であることが好ましく、800〜5000であることがより好ましい。1000〜3000であることが最も好ましい。また、上述したように、nは50以下の正の整数であるが、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の数平均分子量がこのような範囲内になるような数値であることが好ましい。具体的には、1〜50であることが好ましい。なお、ここで、数平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の数平均分子量がこのような範囲内であると、得られた硬化性組成物の硬化物の靱性と成形性がより高いものとなる。このことは、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の数平均分子量がこのような範囲内であると、比較的低分子量のものであるので、靱性を維持しながら、流動性が改良されることによる。通常のポリフェニレンエーテルでは、このような低い分子量のものを使用した場合、硬化物の耐熱性と靱性が低下する傾向がある。しかし、上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は、末端に重合性の不飽和二重結合を有するので、本発明の共重合体のようなビニル系の硬化性樹脂とともに共重合又は硬化させることによって、両者の架橋が好適に進行し、耐熱性と靱性が充分に高い硬化物が得られる。よって、得られた硬化性組成物の硬化物は、耐熱性及び靱性のともに優れたものが得られることとなる。
本発明の硬化性組成物は、異種材料間の接着信頼性向上という理由から、硬化性反応型樹脂として、エポキシ樹脂、又はエポキシ樹脂と硬化剤を含有することも好適な実施態様である。
上記エポキシ樹脂としては、特に制限はないが、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂、及び1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、シクロヘキサン型エポキシ樹脂及びアダマンタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が挙げられる。中でも4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては市販品として新日鉄住金化学株式会社製商品名YSLV‐80XYとして入手可能である。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等のエポキシ樹脂が挙げられる。前記ビフェニル型エポキシ樹脂としては市販品として三菱化学株式会社製商品名YX−4000、YL−6121Hとして入手可能である。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂等の変性ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、アダマンタン型エポキシ樹脂としては、1−(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1−(2,3,4−トリグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,3,4−トリグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、及び、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタンなどを挙げることができる。
上記のエポキシ樹脂の内、上記多官能ビニル芳香族共重合体との相溶性、誘電特性、及び成形品の反りの小ささの観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、又はアダマンタン型エポキシ樹脂が好適に使用される。
上記のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は1万未満であることが好ましい。より好ましいMwは、600以下であり、さらに好ましくは200以上550以下である。Mwが200未満の場合、この成分の揮発性が高くなり、キャストフィルム・シートの取扱い性が悪くなる傾向にある。一方で、Mwが1万を超えると、キャストフィルム・シートが固くかつ脆くなりやすく、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性が低下する傾向にある。
エポキシ樹脂を配合する場合、その含有量は、多官能ビニル芳香族共重合体100重量部に対して、下限が5重量部であり、かつ上限が100重量部であることが好ましい。より好ましい下限は10重量部であり、より好ましい上限は80重量部、更に好ましい上限は60重量部である。エポキシ樹脂の含有量が上記好ましい下限を満たすと、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性をより一層高めることができ、上記好ましい上限を満たすと、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性がより一層高くなり、ガラスクロスとの密着性が改良され、信頼性が高くなる。
上記エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール樹脂、又は芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物、該酸無水物の変性物、水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー、及び活性エステル化合物であることが好ましい。これらの好ましい硬化剤の使用により、耐熱性、耐湿性及び誘電特性のバランスに優れた硬化物となる硬化性組成物を得ることができる。
上記硬化剤として使用されるフェノール樹脂は特に限定されない。上記フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールノボラック樹脂、ビフェニル型ナフトールノボラック樹脂、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも、絶縁シートの柔軟性及び難燃性をより一層高めることができるので、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びNEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA―7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
上記硬化剤として使用される芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物についても、特に構造は限定されない。芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、又はジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物もしくは該酸無水物の変性物等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカジットMTA−10、リカジットMTA−15、リカジットTMTA、リカジットTMEG−100、リカジットTMEG−200、リカジットTMEG−300、リカジットTMEG−500、リカジットTMEG−S、リカジットTH、リカジットHT−1A、リカジットHH、リカジットMH−700、リカジットMT−500、リカジットDSDA及びリカジットTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。この場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。また、上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカジットHNA及びリカジットHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
また、上記硬化剤としての水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマーとしては、例えば、下記式(12)で表される水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマーを挙げることができる。
Figure 2018039995
(式中、pは1又は2を示し、Eは下記式(13)で表されるポリフェニレンエーテル鎖を示し、pは1又は2の整数を示す。Vはpが1の場合は水素原子を示し、pが2の場合は、アルキレン基、下記式(14)、又は式(15)で表される基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、qは50以下の正の整数を示し、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、R26、R27、R28、及びR29は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。)
Figure 2018039995
(式中、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、及びR37は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。Fは、炭素数0の場合を含む、炭素数20以下の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基である。)
また、上記硬化剤としての活性エステル化合物は、活性エステル基を有するものであればよいが、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。
上記活性エステル化合物としては、耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル化合物は、直鎖状または多分岐状であってもよい。少なくとも2つの活性エステル基を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ樹脂との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物を形成するためのカルボン酸化合物の具体例としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのなかでも、耐熱性の観点より、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がさらに好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオカルボン酸化合物の具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
活性エステル化合物を形成するためのフェノール化合物及びナフトール化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。これらのなかでも耐熱性、溶解性の観点から、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル化合物としては、たとえば、特開2002−12650号公報及び特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル化合物、あるいは、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル化合物としては、たとえば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、HPC−8000−65T」(以上、DIC社製)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
活性エステル化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができるが、たとえば、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
本発明の硬化性組成物中における、活性エステル化合物等の硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは、20〜120重量部、より好ましくは40〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部の範囲である。硬化剤の配合量を上記範囲とすることにより、硬化物としての誘電特性、及び耐熱性、線膨張係数を向上させることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、上記多官能ビニル芳香族共重合体との相溶性と耐湿性、接着性の観点から、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、キシリレン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物もしくは該酸無水物の変性物、水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー、又は活性エステル化合物であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記硬化性反応型樹脂として、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有するビニル化合物類を含むことができる。このようなビニル化合物類としては、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体と反応させることによって、架橋を形成させて、硬化させることができるものが挙げられる。具体的には、例えば、分子中に不飽和二重結合を2個以上有する化合物等が挙げられる。より具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のトリアルケニルイソシアヌレート化合物、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等のように分子中にビニル基を2個以上有するビニル化合物(多官能ビニル化合物)、及び分子中にビニルベンジル基を2個以上有するビニルベンジル化合物等が挙げられる。この中でも、トリアルケニルイソシアヌレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、多官能メタクリレート化合物、及び多官能ビニル化合物が好ましい。これらを用いると、硬化性組成物の粘度を低減し、成形性を向上させると考えられ、本実施形態に係る多官能ビニル芳香族共重合体を含む硬化性組成物の基材との密着性や外観をより高めることができる。また、ビニル化合物類は、例示したビニル化合物類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ビニル化合物類としては、上記した分子中に不飽和二重結合を2個以上有する化合物と、分子中に不飽和二重結合を1個有する化合物とを併用してもよい。分子中に不飽和二重結合を1個有する化合物としては、具体的には、分子中にビニル基を1個有する化合物(モノビニル化合物)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上記のような必須成分及び硬化性反応型樹脂等の任意成分に加えて、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分として、例えば、無機充填材、難燃剤、添加剤、及び反応開始剤等が挙げられる。また、他の成分を含む場合であっても、多官能ビニル芳香族共重合体と熱可塑性樹脂、及び硬化性反応型樹脂等の樹脂又は樹脂を形成する成分(以下、これらを樹脂成分という。)の合計含有量が、硬化性組成物に対して、20質量%以上であることが好ましく、25〜99.99質量%であることがより好ましく、30〜99.9質量%であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、多官能ビニル芳香族共重合体を含む硬化性組成物の有する優れた誘電特性を維持したまま、硬化物の、成形性及び耐熱性の優れたものが得られるという効果を、他の成分が阻害することなく、充分に発揮できる。
本発明の硬化性組成物には、無機充填材を含有してもよい。無機充填材は、樹脂組成物の硬化物の耐熱性や難燃性を高めるために添加するもの等が挙げられ、特に限定されない。無機充填材を含有させることによって、耐熱性や難燃性等を高めることができる。また、本発明の硬化性組成物は、一般的な絶縁基材用のエポキシ樹脂組成物等と比較すると、架橋密度が高いものの、極性の低い化学構造に起因して、分子の凝集力が小さく、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2が高くなる傾向がある。無機充填材を含有させることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性や難燃性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低いまま、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2の低減、及び硬化物の強靭化を図ることができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、無機充填材としては、そのまま用いてもよいが、ビニルシランタイプ、スチリルシランタイプ、メタクリルシランタイプ、又はアクリルシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものが好ましい。このようなシランカップリング剤で表面処理された無機充填材が配合された樹脂組成物を用いて得られる金属張積層板は、吸湿時における耐熱性が高く、また、層間ピール強度も高くなる傾向がある。
また、無機充填材を含有する場合、その含有量は硬化性組成物に対して、80質量%未満であることが好ましく、10〜75質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物には、難燃剤を含有してもよい。そうすることによって、樹脂組成物の硬化物の難燃性をさらに高めることができる。難燃剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤の具体例としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤や、塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤等が挙げられる。また、リン系難燃剤の具体例としては、例えば、縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル、環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等のホスフィン酸塩系難燃剤、リン酸メラミン、及びポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤等が挙げられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、硬化性組成物には、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、及びアクリル酸エステル系消泡剤等の消泡剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤、湿潤分散剤等の分散剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等、アミン系酸化防止剤等、公知の物質を使用できる。
本発明の硬化性組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的、あるいは回路基板を形成する回路基板材料とする目的でワニス状に調製して、樹脂ワニスとすることができる。
上記樹脂ワニスは、多官能ビニル芳香族共重合体とラジカル重合開始剤及び溶媒とを含有する。この樹脂ワニスは、回路基板用に適する。なお、ここでいう回路基板材料の用途は、具体的には、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
上記の樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、多官能ビニル芳香族共重合体及び硬化性反応型樹脂等の、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられ、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の硬化性組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、多官能ビニル芳香族共重合体及び硬化性反応型樹脂等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、本発明において、必要に応じて有機溶剤を使用するが、その種類としては、使用樹脂組成物に相溶するものであれば、特に限定されるものではない。その代表例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性溶剤類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤類等が挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。誘電特性の観点から、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が好ましい。
樹脂ワニスを作成する際に、使用する有機溶剤の量は、本発明の硬化性組成物100重量%に対して、5〜900重量%であることが好ましい。10〜700重量%であることがより好ましく。20〜500重量%であることが特に好ましい。なお、本発明の硬化性組成物が樹脂ワニス等の有機溶剤溶液である場合、その有機溶剤の量は組成物の計算には含めない。
本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムとして使用できる。例えば、半導体封止材料の硬化物は注型物又は成型物であり、かかる用途の硬化物を得る方法としては、硬化性組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また、回路基板用ワニスの硬化物は積層物であり、この硬化物を得る方法としては、回路基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを単独同士で、あるいは銅箔等の金属箔と積層し熱プレス成形して得ることができる。
また、チタン酸バリウム等の無機の高誘電体粉末、あるいはフェライト等の無機磁性体を硬化性組成物又はワニス中に配合することにより電子部品用材料、特に高周波電子部品材料としてより優れたものとなる。
また、本発明の硬化性組成物は、後述する硬化複合材料と同様、金属箔(金属板を含む意味である。以下、同じ。)と張り合わせて用いることができる。
次に、本発明の硬化性組成物の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性組成物による硬化性複合材料には、機械的強度を高め、寸法安定性を増大させるために基材を加える。
このような基材としては、公知の物が用いられるが、例えば、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成若しくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙などの天然セルロース系布などの布類、紙類等がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
基材の占める割合は、硬化性複合材料中に5〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、更に好ましくは20〜70wt%であることがよい。基材が5wt%より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90wt%より多くなると複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性組成物と必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の硬化性複合材料を、加熱等の方法により硬化することによって硬化複合材料が得られる。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また、一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
本発明の硬化性組成物又は硬化性複合材料の硬化、又は成形及び硬化は、温度80〜300℃、圧力0.1〜1000kg/cm、時間1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度150〜250℃、圧力1〜500kg/cm、時間1分〜5時間の範囲で行うことができる。
本発明の積層体は、本発明の硬化複合材料の層と金属箔の層より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば上で説明した本発明の硬化性組成物と基材から得た硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の硬化性組成物の積層体においては、硬化複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
金属箔との接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料の製造と同様の条件で行うことができる。
本発明の硬化性組成物をフィルム状に成形することにより、本発明の硬化性組成物の一形態であるフィルムとすることができる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明のフィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性組成物を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルムなどの樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の樹脂付き金属箔は、本発明の硬化性組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性組成物を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、成形材、シート又はフィルムに加工することができ、電気産業、宇宙・航空機産業、自動車等の分野において低誘電率、低吸水率、高耐熱性等の特性を満足できる低誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等に用いることができる。特に片面、両面、多層プリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等として用いることができる。さらに、半導体関連材料又は光学用材料、更には、塗料、感光性材料、接着剤、汚水処理剤、重金属捕集剤、イオン交換樹脂、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、防錆剤、防染剤、殺菌剤、防虫剤、医用材料、凝集剤、界面活性剤、潤滑剤、固体燃料用バインダー、導電処理剤、樹脂改質材、アスファルト改質材可塑剤、焼結バインダー等への適用が可能である。
また、本発明の硬化性組成物は、厳しい熱履歴後も高度の誘電特性(低誘電率・低誘電正接)を有し、かつ、厳しい環境下に於いても、高い密着信頼性を有する硬化物を与え、かつ、樹脂流動性に優れ、低線膨張で、配線埋め込み平坦性に優れている。そのため、電気・電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において、誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等として、近年、強く求められている小型・薄型化に対応して反り等の成形不良現象のない硬化成形品を提供することができる。更に、配線埋め込み平坦性と異種材料との密着性に優れることに由来して、信頼性に優れる樹脂組成物、硬化物又はこれを含む材料を実現できる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の軟化温度等の測定は以下に示す方法により試料調製及び測定を行った。
1)ポリマーの分子量及び分子量分布
可溶性多官能芳香族共重合体の分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
2)ポリマーの構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及びH−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−dを使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
3)末端基の解析
末端基の算出は、13C−NMR及びH−NMR測定結果に加えて、GC分析より得られる共重合体中に導入された各構造単位の総量に関するデータより、末端に導入された特定の構造単位の導入量を算出し、この末端に導入された特定の構造単位の導入量と上記のGPC測定より得られる数平均分子量とから、多官能ビニル芳香族共重合体1分子中に含まれる特定の構造単位の末端基数を算出した。
4)硬化物のガラス転移温度(Tg)
乾燥後の厚さが20μmになるように、ガラス基板に多官能ビニル芳香族共重合体をトルエンに溶解させた溶液を均一に塗布し、ホットプレートを用いて90分で30分間加熱し、乾燥させた。ガラス基板とともに得られた樹脂膜はTMA(熱機械分析装置)にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに多官能ビニル芳香族共重合体を硬化させた。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、接線法で軟化温度を求めた。
5)耐熱性評価及び耐熱変色性の測定
可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の耐熱性評価は、試料をTGA(熱天秤)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から400℃までスキャンさせることにより測定を行い、350℃における重量減少量の大きさを耐熱性の指標として求めた。一方、耐熱変色性の測定は、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体6.0g、ベンジルメタクリレート4.0g、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、パーブチルO)0.02gを混合し、窒素気流下で200℃、1時間加熱し、硬化物を得た。そして、得られた硬化物の変色量を目視にて確認し、○:熱変色なし、△:淡黄色、×:黄色に分類することにより耐熱変色性の評価を行った。
6)相溶性の測定
可溶性多官能ビニル芳香族共重合体のエポキシ樹脂との相溶性の測定は、試料5.0gをエポキシ樹脂(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)3.0g、及びフェノール樹脂(メラミン骨格系フェノール樹脂:群栄化学工業社製、PS−6492)2.0gをメチルエチルケトン(MEK)10gに溶解させ、溶解後の試料の透明性を目視にて確認し、○:透明、△:半透明、×:不透明もしくは溶解せず、に分類することにより相溶性の評価を行った。
実施例1
ジビニルベンゼン 0.63モル(89.7mL)、エチルビニルベンゼン 0.37モル(52.7mL)、ノルボルネン 1.00モル(94.2g)、酢酸ブチル 0.40モル(52.8mL)、トルエン 150mLを1.0Lの反応器内に投入し、70℃で30ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、共重合体を回収した。得られた共重合体を秤量して、共重合体A 117.8gが得られたことを確認した。
実施例及び比較例において、得られた共重合体は可溶性多官能ビニル芳香族共重合体である。
得られた共重合体AのMnは2500、Mwは24200、Mw/Mnは9.69であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Aはノルボルネンの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及び、GC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の末端へのノルボルネン由来の末端基(c1)の導入量は2.6(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を49.8モル%(54.1wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計20.3モル%(22.4wt%)、及び、ノルボルネンに由来する構造単位を29.9モル%(23.5wt%)含有していた(末端構造単位を含む)。共重合体A中に含まれる残存ビニル基を持つジビニルベンゼン由来の構造単位の含有量((a1)に相当)は、28.4モル%(30.8wt%)であった(末端構造単位を含む)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.20wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Aはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例2
ジビニルベンゼン 0.40モル(57.0mL)、エチルビニルベンゼン 0.235モル(33.4mL)、スチレン 0.365モル(42.0mL)、ノルボルネン 1.00モル(94.2g)、酢酸ブチル 0.52モル(68.6mL)、トルエン 135mLを1.0Lの反応器内に投入し、70℃で40ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体B 119.4gが得られたことを確認した。
得られた共重合体BのMnは1580、Mwは8700、Mw/Mnは5.50であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Bはノルボルネンの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及びGC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の末端へのノルボルネン由来の末端基(c1)の導入量は2.7(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を31.6モル%(36.6wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計13.5モル%(15.9wt%)、スチレンに由来する構造単位を19.2モル%(17.8wt%)及び、ノルボルネンに由来する構造単位を35.6モル%(29.8wt%)含有していた(末端構造単位を含む)。共重合体B中に含まれる残存ビニル基を持つジビニルベンゼン由来の構造単位の含有量((a1)に相当)は、16.9モル%(19.6wt%)であった(末端構造単位を含む)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.54wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Bはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例3
ジビニルベンゼン 0.514モル(73.2mL)、エチルビニルベンゼン 0.121モル(17.2mL)、スチレン 0.365モル(42.0mL)、ノルボルネン 1.00モル(94.2g)、酢酸ブチル 0.52モル(68.6mL)、トルエン 135mLを1.0Lの反応器内に投入し、70℃で40ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体C 121.5gが得られたことを確認した。
得られた共重合体CのMnは1860、Mwは10800、Mw/Mnは5.80であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Cはノルボルネンの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及びGC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の末端へのノルボルネン由来の末端基(c1)の導入量は2.9(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を39.5モル%(45.2wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計9.7モル%(11.3wt%)、スチレンに由来する構造単位を17.8モル%(16.3wt%)及び、ノルボルネンに由来する構造単位を32.9モル%(27.2wt%)含有していた(末端構造単位を含む)。共重合体C中に含まれる残存ビニル基を持つジビニルベンゼン由来の構造単位の含有量((a1)に相当)は、19.3モル%(22.1wt%)であった(末端構造単位を含む)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.31wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Cはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例4
ジビニルベンゼン 0.40モル(57.0mL)、エチルビニルベンゼン 0.235モル(33.4mL)、スチレン 0.365モル(42.0mL)、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン 1.00モル(160.26g)、酢酸ブチル 0.52モル(68.6mL)、トルエン 100mLを1.0Lの反応器内に投入し、70℃で40ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体D 172.3gが得られたことを確認した。
得られた共重合体DのMnは1760、Mwは10200、Mw/Mnは5.80であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Dはテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及びGC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の末端へのテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の末端基(c1)の導入量は2.1(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を37.8モル%(37.0wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計15.5モル%(15.4wt%)、スチレンに由来する構造単位を20.9モル%(16.4wt%)及び、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンに由来する構造単位を25.9モル%(31.2wt%)含有していた(末端構造単位を含む)。共重合体D中に含まれる残存ビニル基を持つジビニルベンゼン由来の構造単位の含有量((a1)に相当)は、20.2モル(19.8wt%)であった(末端構造単位を含む)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.12wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Dはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
比較例1
ジビニルベンゼン2.03モル(288.5mL)、エチルビニルベンゼン0.084モル(12.0mL)、スチレン2.11モル(241.7mL)、2−フェノキシエチルメタクリレート2.25モル(427.3mL)、酢酸ブチル100.0mL、トルエン1150mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で300ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体E 282.4gを得た。
得られた共重合体EのMnは2030、Mwは5180、Mw/Mnは2.55であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Eは2−フェノキシエチルメタクリレートの末端に由来する共鳴線が観察された。共重合体CのNMR測定結果、及びGC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体の2−フェノキシエチルメタクリレート由来の構造単位の導入量(c1)は2.3(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を59.2モル%及びスチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計40.8モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体E中に含まれるビニル基含有量は、35.3モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のDMA測定の結果、Tgは197℃であった。硬化物のTMA測定の結果、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は4.86wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は△であった。
共重合体Eはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
比較例2
ジビニルベンゼン 1.28モル(182.7mL)、エチルビニルベンゼン 0.97モル(137.8mL)、メタクリル酸t−ブチル 2.00モル(323.2mL)、トルエン 300mLを2.0Lの反応器内に投入し、50℃で50ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体F 234.6gが得られたことを確認した。
得られた共重合体FのMnは842、Mwは3640、Mw/Mnは4.32であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Fはメタクリル酸t−ブチルの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及びGC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体のメタクリル酸t-ブチル由来の構造単位の導入量(c1)は2.3(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を60.1モル%及びエチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計39.9モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体F中に含まれるビニル基含有量は、36.2モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.80wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Fはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例5
ジビニルベンゼン 0.40モル(57.0mL)、エチルビニルベンゼン 0.235モル(33.4mL)、p−メチルスチレン 0.365モル(48.1mL)、アセナフチレン 1.00モル(152.2g)、メチルエチルケトン 0.52モル(46.6mL)、トルエン 135mLを1.0Lの反応器内に投入し、70℃で40ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体G 152.3gが得られたことを確認した。
得られた共重合体GのMnは1780、Mwは9710、Mw/Mnは5.46であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Gはアセナフチレンの末端に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及び、GC分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の末端へのアセナフチレン由来の末端基(c1)の導入量は2.4(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を36.7モル%(35.7wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を16.3モル%(16.1wt%)、p−メチルスチレンに由来する構造単位を20.6モル%(18.2wt%)及び、アセナフチレンに由来する構造単位を26.4モル%(30.0wt%)含有していた(末端構造単位を含む)。共重合体G中に含まれる残存ビニル基を持つジビニルベンゼン由来の構造単位の含有量は、18.8モル%(18.3wt%)であった(末端構造単位を含む)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.36wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Gはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例1〜5、及び比較例1〜2で得られた共重合体A〜Gを使用して、これらの樹脂を用いた硬化性樹脂組成物のワニス、並びに硬化物の特性の評価を下記の試験方法に従って行った。
7)溶液粘度
硬化性樹脂組成物のワニス溶液粘度は、E型粘度計を使用して、測定温度:25℃で測定を行った。
8)曲げ強度及び曲げ破断伸び
曲げ試験に使用する試験片は、真空プレス成形機の下の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:1.0mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:5.0mm、厚さ:1.0mm、長さ、120mmの試験片を作成し、曲げ試験を行った。作成した曲げ試験片の曲げ強度及び曲げ破断伸びは万能試験装置を用いて測定を行った。そして、曲げ強度及び曲げ破断伸びは、基準となる配合の測定値に対して±10%未満の値となるものを○、10%以上の値となるものを◎−10〜−20%の範囲の値となるものを△、−20%以下の値となるものを×として評価を行った。基準とした配合は、表1及び表6に於いては、実施例6の配合とし、表2及び表3に於いては、実施例11の配合とし、表4及び表5では、比較例7の配合とした。なお、表5中の実施例25は、比較とするべき配合がないことから、測定データは記載しなかった。
9)線膨張係数及びガラス転移温度
線膨張係数及びガラス転移温度の試験に使用する試験片は、真空プレス成形機の下の平板形状の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、0.2mmのスペーサーを挟んで、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:0.2mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:3.0mm、厚さ:0.2mm、長さ、40mmの試験片を作成し、TMA(熱機械分析装置)の上方のチャックのみにセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに、試験片中の成形歪みの除去を行った。TMAを室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試験片の下側についても、分析用プローブにセットさせ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、0〜40℃に於ける寸法変化より、線膨張係数を算出した。
また、ガラス転移温度については、上記の試験片を、DMA(動的粘弾性装置)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度3℃/分で30℃から320℃までスキャンさせることにより測定を行い、tanδ曲線のピークトップによりTgを求めた。
10)誘電率及び誘電正接
JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の硬化物平板試験片を使用して、18GHzでの誘電率及び誘電正接を測定した。
また、硬化物平板試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、耐湿熱試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。
さらに、材料の高温耐熱酸化劣化性を確認する為、硬化物平板試験片を135℃、空気雰囲気下で150時間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、高温耐熱酸化劣化性試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。
11)銅箔引き剥し強さ
熱硬化性樹脂組成物のワニスにガラスクロス(Eガラス、目付71g/m)を浸漬して含浸を行い、80℃のエアーオーブン中で10分間乾燥させた。その際、得られるプリプレグのレジンコンテンツ(R.C)が50wt%となるように調整した。
このプリプレグを使用して、成形後の厚みが約0.6mm〜1.0mmになるように、上記の硬化性複合材料を必要に応じて複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ18μmの銅箔(商品名F2−WS銅箔、Rz:2.0μm、Ra:0.3μm)を置いて真空プレス成形機により成形硬化させて評価用積層体を得た。硬化条件は、3℃/分で昇温し、圧力3MPaで、200℃で60分間保持し、評価用銅張積層板としての積層体硬化物を得た。
このようにして得られた積層体硬化物から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた後、面に対して90°の方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機にて測定し、その応力の最低値を銅箔引き剥し強さとして記録した。(JIS C 6481に準拠)。
耐湿熱性試験後の銅箔引き剥がし強さの試験は、上記の試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、上記と同様にして測定した。
12)成形性
前項で成形を行った評価用銅張積層板を用いて、格子状に線幅(L)が0.5mm、線間隔(S)が1.0mm(L/S=0.5/1.0mm)にパターニングしたコア材を作成した。このコア材を黒化処理し、次いで、その上に、さらにプリプレグを積層し、2次成形することで、内層が格子状パターンの評価用積層基板を作成した。その作成した評価用積層基板について、例えば、樹脂ワニスの流動性不足によるボイド等の欠陥が生じていないかを確認した。その後、この評価用積層基板を沸騰水に4時間浸漬した後、280℃のはんだ槽に浸漬させた。その際、ボイドの存在が確認できず、はんだ槽に浸漬した後も膨れ、層間剥離、ミーズリング(白斑)などの不良現象の発生が見られないものを「○」、前記不良現象の発生は見られないが、反りが発生したものを「△」、前記不良現象が発生したものを「×」と評価した。
実施例6
実施例1で得られた共重合体−A 20gと、重合開始剤としてパークミルP 0.2g、酸化防止剤としてアデカスタブAO−60 0.04gをトルエン8.6gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスA)を得た。
調製したワニスAを下金型の上に滴下し、130℃で溶媒を減圧下、脱揮した後、金型を組上げ、200℃、3MPaの条件で1時間真空加圧プレスを行い、熱硬化させた。得られた厚さ:0.2mmの硬化物平板試験片について、18GHzの誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、硬化物平板試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、耐湿熱試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
実施例7〜10、比較例3〜4
表1に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と同じ方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。これらの試験により得られた結果を表1に示した。
表中、溶液粘度における固形分は、表1においては70%であり、表2〜表6においては60%である。ガラス転移温度において、NDはTgレスを意味する。誘電率85及び誘電正接85は、それぞれ85℃×85RH×2week放置後の誘電率及び誘電正接であり、誘電率135及び誘電正接135は、それぞれ135℃×85RH×150hr放置後の誘電率及び誘電正接である。また、誘電正接変化率1は、85℃×85RHの条件下で、放置前の誘電正接を基準とした、誘電正接85の変化率であり、耐湿熱性を意味する。誘電正接変化率2は、135℃×85RHの条件下で、放置前の誘電正接を基準とした、誘電正接135の変化率であり、耐熱酸化劣化性を意味する。表2〜表6において、銅箔引剥がし強さ85は、85℃×85RH×2week放置後の測定値である。
Figure 2018039995
実施例11〜28、比較例5〜8
表2〜表6に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と同様な方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。これらの試験により得られた結果を表2〜表6に示した。なお、ワニス濃度(固形分濃度)は60wt%とした。
さらに、これらの実施例及び比較例で示したワニスを使用して、前述の11)〜13)に記載の方法に従って、プリプレグ、試験用銅張積層板、及び、試験用めっき付き積層板を作成し、銅箔引き剥し強さ、銅めっき引き剥し強さ、並びに、成形性の評価を行った。試験結果を表2〜表6に示した。
Figure 2018039995
Figure 2018039995
Figure 2018039995
Figure 2018039995
Figure 2018039995
なお、表1〜表6において、使用した成分は、以下のとおり。
変性PPE−A:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1160、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−B:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2270、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−C:片末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2340、ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA120)とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート (新中村化学工業株式会社製)
YDCN700;o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポトートYDCN−700−3(低粘度タイプ、新日鉄住金化学株式会社製)
HP4032D;ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂:EPICLON HP−4032D、Mw=304、(DIC社製)
ナフトール型エポキシ樹脂:ESN−475V、エポキシ当量:340(新日鉄住金化学社製)
エピコート828;ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂:エピコート828US、Mw=370、(ジャパンエポキシレジン社製)
フルオレン骨格エポキシ樹脂:大阪ガスケミカル社製、オグソール EG−200
変性PPE−D:両末端にエポキシ基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1180、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物)
MEH7851;ビフェニル骨格フェノール樹脂、明和化成社製、MEH−7851−S
PS6492:メラミン骨格系フェノール樹脂、群栄化学工業社製、PS−6492
YLH903:アリル基含有骨格フェノール樹脂、ジャパンエポキシレジン社製、YLH−903
脂環式骨格酸無水物:新日本理化社製、MH−700
芳香族骨格酸無水物:サートマー・ジャパン社製、SMAレジンEF60
スチレン系共重合体:KRATON A1535(Kraton Polymers LLC製)
フェノキシ樹脂:重量平均分子量37000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」(不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)
アモルファス球状シリカ:アドマテックス社製、SE2050 SPE、平均粒子径0.5μm(フェニルシランカップリング剤により処理)
パークミルP:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、日油(株)製
パークミルD:ジクミルパーオキサイド、日油(株)製
ノフマーBC−90:2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、日油(株)製
アデカスタブAO−60:フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製
アデカスタブAO−80:フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製

Claims (16)

  1. ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有する多官能ビニル芳香族共重合体であって、
    構造単位(a)を2モル%以上95モル%未満含有し、構造単位(a)の少なくとも一部は下記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)であり、
    Figure 2018039995
    (式中、R1は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を示す。)
    構造単位(c)の少なくとも一部は多官能ビニル芳香族共重合体の末端に存在する末端基(c1)であり、1分子当たりの平均の末端基(c1)の数は1.5以上であり、
    構造単位(a)、(b)及び(c)の総和に対するビニル基含有構造単位(a1)モル分率は0.02〜0.8の範囲であることを特徴とする多官能ビニル芳香族共重合体。
  2. 数平均分子量Mnが300〜100,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であり、及び
    トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である請求項1に記載の多官能ビニル芳香族共重合体。
  3. ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物、及びシクロオレフィン化合物を含むモノマーを、ルイス酸触媒の存在下に重合してジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)、及びシクロオレフィン化合物に由来する構造単位(c)を含有する多官能ビニル芳香族共重合体であり、かつ、下記式(1)で表されるビニル基含有構造単位(a1)を含有し、構造単位(c)の少なくとも一部は多官能ビニル芳香族共重合体の末端に存在する末端基(c1)として存在する多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法であって、
    Figure 2018039995
    (式中、R1は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を示す。)
    ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物2〜98モル%、モノビニル芳香族化合物2〜98モル%を使用し、かつ、シクロオレフィン化合物を3〜300モル%使用し、これらを含む重合原料を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶媒中、20〜120℃の温度で重合させることを特徴とするトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  4. ルイス酸触媒が、金属フッ化物又はその錯体である請求項3に記載の多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  5. 全モノマー成分の合計100モルに対し、ルイス酸触媒を0.001〜100モルの範囲内で使用することを特徴とする請求項3又は4に記載の多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  6. 請求項1に記載の多官能ビニル芳香族共重合体と、ラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  7. 硬化性反応型樹脂又は熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記化性反応型樹脂が、硬化性官能基を有するポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記硬化性反応型樹脂が、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂及び1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の硬化性組成物。
  10. 前記硬化性反応型樹脂が、分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類であることを特徴とする請求項7に記載の硬化性組成物。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  12. 請求項6〜10のいずれかに記載の硬化性組成物と基材からなる硬化性複合材料であって、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料。
  13. 請求項12に記載の硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合材料。
  14. 請求項13に記載の硬化複合材料の層と金属箔層とを有することを特徴とする積層体。
  15. 請求項6〜10のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された膜を金属箔の片面に有することを特徴とする樹脂付き金属箔。
  16. 請求項6〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を有機溶剤に溶解させてなる回路基板材料用ワニス。
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