JP2018027262A - 入浴介護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】椅子を高く上昇させることなく、洗場と浴槽との間を移動させることができる入浴介護装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る入浴介護装置は、被介護者の浴槽での入浴を補助するための入浴介護装置であって、浴槽に取り付けられる装置本体と、装置本体に対して上下動可能に取り付けられるとともに、背凭れ部と、当該背凭れ部の下端部312に連結された座部32とを有し、当該背凭れ部及び座部における、少なくとも座部を含む本体部が、装置本体に対し上方に向けて傾斜可能に構成されている、椅子3と、本体部を、装置本体に対し傾斜させる傾斜機構と、装置本体に設けられ、椅子の上下動及び本体部の傾斜のための動力を付与する、昇降駆動部と、を備え、本体部は、椅子が上方に移動するのに連動して、傾斜機構により、装置本体に対し傾斜するように構成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば、歩行困難な老人や身体障害者を椅子に着座させた状態で入浴させることができる入浴介護装置に関する。
従来より、被介護者の入浴を補助するための種々の入浴介護装置が提案されている。例えば、特許文献1に開示された入浴介護装置は次のように構成されている。すなわち、この入浴介護装置は、被介護者を着座させる椅子を有するとともに、この椅子を昇降させる昇降椅子ユニットと、この昇降椅子ユニットを洗場と浴槽との間で移動させるためのレールユニットと、を備えている。
この入浴介護装置は次のように利用される。まず、浴槽外の洗場において、椅子昇降ユニットを駆動し、椅子を下降させる。そして、被介護者を椅子に着座させた後、椅子の下面が浴槽の上枠を超える位置まで椅子を上昇させる。続いて、椅子昇降ユニットをレールユニットにより、洗場から浴槽へスライドさせる。そして、椅子が浴槽の上方に位置すると、椅子を下降させ、被介護者を椅子に着座させたまま入浴させる。
特開2015−58054号公報
しかしながら、上記入浴介護装置では、椅子の下面が浴槽の上枠を超える位置まで椅子を高く上昇させなければならないが、このようにすると、椅子の位置が高くなりすぎ、被介護者などの利用者が不快に感じるおそれがある。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、椅子を高く上昇させることなく、洗場と浴槽との間を移動させることができる入浴介護装置を提供することを目的としている。
本発明に係る入浴介護装置は、被介護者の浴槽での入浴を補助するための入浴介護装置であって、前記浴槽に取り付けられる装置本体と、前記装置本体に対して上下動可能に取り付けられるとともに、背凭れ部と、当該背凭れ部の下端部に連結された座部とを有し、当該背凭れ部及び座部における、少なくとも前記座部を含む本体部が、前記装置本体に対し上方に向けて傾斜可能に構成されている、椅子と、前記本体部を、前記装置本体に対し傾斜させる傾斜機構と、前記装置本体に設けられ、前記椅子の上下動及び前記本体部の傾斜のための動力を付与する、昇降駆動部と、を備え、前記本体部は、前記椅子が上方に移動するのに連動して、前記傾斜機構により、前記装置本体に対し傾斜するように構成されている。
この構成によれば、椅子の本体部が回転可能に構成されているが、この回転は、椅子の上下動に連動して行われる。これにより、次の利点がある。例えば、このように連動が行われない場合、被介護者を洗場から浴槽へ移動させるには、椅子全体が浴槽の上枠を超える位置まで上昇させなければならない。そのため、被介護者が高い位置まで持ち上げられて不快に感じる可能性がある。これに対して、本発明によれば、椅子が上昇したときには、これに連動して、上昇の途中から椅子の本体部が上方に回転する。そのため、椅子を高く上昇させなくても、椅子が浴槽の上枠を超えるようにすることができる。
また、本体部の回転用の駆動部を、椅子の上下動用の駆動部と別個に設けるのではなく、椅子の上下動と本体部の回転とを1つの駆動部、つまり昇降駆動部のみで行っている。そのため、装置の駆動構造を簡素化することができる。
上記入浴介護装置において、前記背凭れ部は、上部背凭れ部と、前記上部背凭れ部の下方に回転可能に連結された下部背凭れ部と、を備え、前記下部背凭れ部が前記本体部に含まれるものとすることができる。
本発明に係る傾斜機構は、種々の態様を採用することができる。以下、例を挙げる。
上記各入浴介護装置において、前記傾斜機構は、前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、前記装置本体に取り付けられた押圧部と、前記押圧部よりも下方で、前記移動部材に回転自在に取り付けられた回転部材と、を備え、前記移動部材の上昇により前記回転部材の一端部が前記押圧部により押圧されると、前記回転部材が回転し、当該回転部材の他端部が前記本体部を押圧することで、当該本体部を傾斜させるように構成することができる。
上記入浴介護装置において、前記回転部材の一端部は、前記移動部材に対し上下動可能に取り付けられるとともに、当該一端部を中心に回転可能に構成され、前記回転部材の他端部は前記本体部に回転可能に取り付けることができる。
上記入浴介護装置において、前記回転部材の一端部と他端部の間の中間部分が前記移動部材に対し回転可能に取り付けることができる。なお、中間部分とは、一端部と他端部との間のいずれの位置でもよい。
上記入浴介護装置において、前記傾斜機構は、前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、前記椅子の本体部または前記装置本体のいずれか一方に取り付けられる当接部材と、前記椅子の本体部または前記装置本体のいずれか他方に取り付けられ、前記移動部材の上下動に伴う、前記当接部材の相対的な移動をガイドするガイド部材と、を備え、前記移動部材の上下動に伴い、前記当接部材が前記ガイド部材の少なくとも一部に当接しているとき、前記本体部が傾斜するように押圧されるように構成することができる。
上記入浴介護装置において、前記傾斜機構は、前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、前記移動部材において、前記本体部よりも上方に設けられた支点部材と、一端部が前記本体部に連結されるとともに、他端部が前記装置本体に連結され、前記一端部と他端部との間の中間部分が前記支点部材に掛け渡されている、線状材と、を備えることができる。
上記各入浴介護装置において、前記椅子の本体部は、前記座部の下方からの力を受けると、前記装置本体に対して傾斜可能に構成することができる。
上記入浴介護装置において、前記椅子が前記浴槽の底面と接触している状態から、当該椅子が下降されると、前記浴槽の底面から受ける力により、前記本体部が、前記浴槽の底面に沿って滑り、前記装置本体から離れるように傾斜するように構成することができる。
上記入浴介護装置において、前記椅子は、前記座部の下面側に前記浴槽の底面と接触可能なローラをさらに有することができる。
上記各入浴介護装置においては、前記椅子に取り付けられ、前記利用者の足を支持するフットサポートをさらに備えることができる。
上記フットサポートは、前記本体部の下面または背面に揺動可能に取り付けられ、前記椅子の前方へ延びる連結部材と、前記連結部材の先端に取り付けられ被介護者の足が載置される足載置部と、を備えることができる。一対の連結部材と、各連結部材に取り付けられる各左足用足載置部及び右足用足載置部を設けることができる。また、連結部材は伸縮自在とすることもできる。
本発明に係る入浴介護装置によれば、椅子を高く上昇させることなく、洗場と浴槽との間を移動させることができる。
本発明の第1実施形態に係る入浴介護装置の側面図である。 図1の平面図である。 図1の入浴介護装置の一部斜視図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 図1の入浴介護装置の動作を示す側面図である。 図1の入浴介護装置の動作を示す側面図である。 図1の入浴介護装置の動作を示す側面図である。 図1の入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る入浴介護装置を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る入浴介護装置を示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第3実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第4実施形態に係る入浴介護装置を示す側面図である。 本発明の第4実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第4実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第4実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第5実施形態に係る入浴介護装置を示す側面図である。 本発明の第5実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第5実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明の第5実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明に係る他の入浴介護装置を示す側面図である。 本発明に係る他の入浴介護装置の動作を示す側面図である。 本発明に係る他の入浴介護装置を示す側面図である。 本発明に係る他の入浴介護装置を示す側面図である。
<1.第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る入浴介護装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は第1実施形態に係る入浴介護装置の側面図、図2は図1の平面図、図3は入浴介護装置の一部斜視図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。但し、図3では説明の便宜上、上部背凭れ部311を省略して容以下では、図1のほか、各図に示す方向を基準に説明を行うこととする。但し、この向きによって、本発明が限定されるものではない。
図1〜図5に示すように、この入浴介護装置は、浴室において、被介護者が洗場Wから浴槽9へ入浴するのを補助するためのものであり、椅子3を昇降させる昇降椅子ユニット1と、この昇降椅子ユニット1を浴槽9へと移動させるレールユニット2と、を備えている。以下、これら昇降椅子ユニット1及びレールユニット2について詳細に説明する。
(1)昇降椅子ユニット1
図1及び図2に示すように、昇降椅子ユニット1は、被介護者が着座する椅子3と、この椅子3を上下方向に昇降させる昇降装置4とを備えている。
(1−1)昇降装置
図1〜図3に示すように、この昇降装置4は、レールユニット2上で移動する直方体状のケーシング(装置本体)41と、このケーシング41の前面に配置された板状の移動部材42と、を備えている。ケーシング41の前面411は傾斜面となっており、下方にいくにしたがって前方に延びるように形成されている。そして、図3〜図5に示すように、ケーシング41の前面411の両側には、上下方向に延びる板状のブラケット415が設けられており、各ブラケット415の上下の端部には、それぞれ円柱状のガイドローラ43が回転可能に取り付けられている。具体的には、各ガイドローラ43は、左右方向に延びる軸周りに回転可能に取り付けられている。なお、下側のガイドローラ43が、本発明の押圧部に相当する。
一方、移動部材42は、矩形の板状に形成された本体部421と、この本体部421の両側縁に一体的に取り付けられた断面L字型の一対のガイド部422とを備えており、後述するように、この移動部材42に椅子3が固定されている。そして、本体部421とガイド部422との間に形成される溝425に、上述したガイドローラ43が係合している。これにより、移動部材42は、ガイドローラ43によりガイドされて上下動可能となっている。また、図4及び図5に示すように、本体部421においてケーシング41側を向く面には上下方向に延びるラック61が取り付けられており、このラック61には、ケーシング41に設けられたピニオン62が噛み合っている。ピニオン62は、ケーシング41に内蔵された図示を省略する椅子昇降用モータ(昇降駆動部)により回転駆動するようになっており、ピニオン62の正逆回転により移動部材42が椅子3とともに上下動するようになっている。このとき、ケーシング41の前面411は傾斜面となっており、上下に並ぶガイドローラ43もこの傾斜面に沿って設けられているため、移動部材42は傾斜面411に沿って斜め方向に上下動するようになっている。例えば、移動部材42が下降する場合、移動部材42及び椅子3はやや前方に移動する。なお、ピニオン62は、モータ故障時などに、ケーシング41の外部から手動で正逆回転できるような構造としてもよい。なお、移動部材42が鉛直方向に上下動するような構造としてもよい。
また、移動部材42の各ガイド部422の側面の下部には、上下方向に延びる長孔423がそれぞれ形成されており、各長孔423には、左右方向に延びる軸部材44が上下動可能に挿通されている。そして、各軸部材44において、ガイド部422の内側に位置する端部には、円柱状の移動ローラ45がそれぞれ取り付けられており、各移動ローラ45は、ガイドローラ43と同様に、溝425に係合している。一方、各軸部材44において、ガイド部422の外側に位置する端部には、軸部材44から径方向外方に延びるハンドル部材(回転部材)46がそれぞれ取り付けられている。なお、各ハンドル部材46は、移動ローラ45が長孔423の最上部に配置されているときには、ハンドル部材46の下端部が移動部材42よりもやや前方に位置するように傾斜しており、これが初期状態となっている。
(1−2)椅子
次に、椅子3について説明する。図2に示すように、椅子3は、主として被介護者の背中を支持する背凭れ部31と、この背凭れ部31に連結され被介護者の臀部を支持する座部32を備えている。さらに、この椅子3には、座部32の先端に車輪ユニット34が設けられている。
(a)背凭れ部
図1〜図3に示すように、背凭れ部31は、移動部材42の上部に固定される上部背凭れ部311と、その下方に配置される下部背凭れ部312と、上部背凭れ部311及び下部背凭れ部312を回転自在に連結する回転軸33と、を備えており、下部背凭れ部312には後述する座部32が一体的に連結されている。上部背凭れ部311は上下方向に延びる平面視矩形状に形成されており、主に被介護者の背中の上部を支持する。なお、上部背凭れ部311は、上部から下部に向かうにつれて、後ろから前にかけて傾斜していてもよいし、鉛直方向に延びていてもよい。
下部背凭れ部312は、上部背凭れ部311の下方に位置し、主に被介護者の背中の下部を支持するようにやや屈曲した形状に形成されている。なお、下部背凭れ部312は、上部背凭れ部311に対して前方側にやや傾いた平面状に形成されていてもよい。そして、上部背凭れ部311の下端と、下部背凭れ部312の上端とが、水平方向に延びる回転軸33によって接続されている。これにより、下部背凭れ部312は、回転軸33周りに上部背凭れ部311に対して上下方向に回転する。
また、下部背凭れ部312の背面の下部(おおよそ座部32との連結部分)には、上述したハンドル部材46の端部がブラケット465を介して回転可能に接続されている。
なお、下部背凭れ部312の下端(座部32の座面)から上端までの上下方向の長さは、特に限定されないが、仙骨上端から肩甲骨下角までの日本人の平均長さである20〜45cmが好ましい。すなわち、上下方向の長さが短すぎると、座部32に着座した被介護者の腰の位置で下部背凭れ部312が上部背凭れ部311に対して上方に回転する。そのため、下部背凭れ部312の上部背凭れ部311に対する上昇角度(屈曲角度)を大きくすると、座部32に着座した被介護者の腰に大きな負担がかかる。結果として、被介護者の負担を考慮すると、下部背凭れ部312を上部背凭れ部311に対して大きく回転できない。よって、被介護者を寝かせた楽な姿勢で十分な深さまで入浴させることが難しい。
その一方で、下部背凭れ部312の上下方向の長さが長すぎると、座部32に着座した被介護者の上体の曲がりにくい場所で下部背凭れ部312が上部背凭れ部311に対して上方に回転する。そのため、例えば被介護者の首に大きな負担がかかる。さらには、下部背凭れ部312の上下方向の長さが大きいため、下部背凭れ部312が上方に回転すると前方に長く突出し、長手方向の寸法が短い浴槽9には適さない。以上の観点から、下部背凭れ部312の長さを上記のように設定することが好ましい。また、下部背凭れ部312の上部背凭れ部311に対する回転角度は概ね15〜60度であることが好ましい。
(b)座部
上記のように、座部32は下部背凭れ部312の下端側に連続し、下部背凭れ部312と一体的に形成されている。座部32は、主に被介護者の臀部を支持するように、平面状に形成され、下部背凭れ部312に対して屈曲するように前後方向に、やや上方に傾斜して延びている。また、座部32は下部背凭れ部312に連続しているため、下部背凭れ部312とともに回転する。また、上部背凭れ部311と下部背凭れ部312とが分離しつつも、上部背凭れ部311、下部背凭れ部312、及び座部32が全体として連続的な面を形成することで、被介護者の背中から臀部が安定的に支持される。
そして、本実施形態では、背凭れ部31のうち、上部背凭れ部311の背面が移動部材42の前面に固定されており、下部背凭れ部312の背面は、その屈曲部分よりも上方の部分が移動部材42の前面に当接している。したがって、下部背凭れ部312は、上部背凭れ部311とともに移動部材42に沿うように傾斜して配置されている。また、下部背凭れ部312は、上部背凭れ部311に対して前方へは回転するが、移動部材42に当接しているため、後方への回転が規制されている。
以上の移動部材の長孔423、移動ローラ45、ハンドル部材46等が、椅子3を傾斜させるための本発明の傾斜機構に相当する。また、下部背凭れ部312及び座部32が本発明の本体部に相当する。この点は後述する各実施形態においても同じである。
(c)車輪ユニット
上記のように、車輪ユニット34は座部32の先端に設けられている。具体的には、一対の車輪ユニット34が座部32の左右の両側に取り付けられており、各車輪ユニット34は、座部32の先端の下面から下方に延びるブラケット341と、このブラケット341の下端に回転可能に取り付けられた車輪342と、を備えている。上述したように、下部背凭れ部312及び座部32が回転して入浴姿勢にあるとき、座部32は下部背凭れ部312に対して屈曲した状態で連結されているため、後述する入浴姿勢では、図7に示すように、この屈曲部分が最も下方に位置するが、上記車輪342は、この屈曲部分よりも上方に位置するように、ブラケット341の大きさが調整されている。
(2)レールユニット
次に、レールユニット2について説明する。図1及び図2に示すように、レールユニット2は、浴槽9に固定される固定レール部21と、上述したケーシング41の下面に固定され、固定レール部21にスライド可能に支持されるスライド支持部22と、このスライド支持部22を支持する支持脚部23を備えている。以下、各部材について詳細に説明する。
(2−1)固定レール部
固定レール部21は、レール部本体211と、このレール部本体211の両端部にそれぞれ連結された一対のレール支持アーム212と、を備えている。図1に示すように、レール部本体211は、左右方向に延び、浴槽9の後側の上枠91上に位置するように、浴室Wの壁面に取り付けられている。また、レール部本体211の上面には、後述するスライド支持本体221をスライド可能に受け入れるレール溝213が形成されている。
図2に示すように、レール支持アーム212は、板状に形成され、レール部本体211の両端から、このレール部本体211と直交するように、前方に延びるように形成されている。そして、これらレール支持アーム212は、浴槽9の左右の上枠91上に板状面が沿うように配置されており、レール部本体211にかかる荷重を浴槽9の上枠91で支持する。
(2−2)スライド支持部
スライド支持部22は、ケーシング41の下面に固定され、左右方向に延びるスライド支持本体221と、このスライド支持本体221の両側(前後の端部)に固定される複数の支持ローラ222とを備えている。スライド支持本体221と支持ローラ222は、上述した固定レール部21のレール溝213に嵌まり、支持ローラ222が転がることで、スライド支持本体221とともに昇降装置4及び椅子3が左右方向に移動可能となっている。すなわち、昇降椅子ユニット1は、スライド支持部22によって洗場Wと浴槽9との間を往復動可能となっている。また、昇降椅子ユニット1は、洗場W側及び浴槽9側それぞれにおいて、ロックピンなどのロック手段により固定することができる。
(2−3)支持脚部
支持脚部23は、スライド支持部22を支持するものであり、スライド支持本体221の左側の下面から下方に延びる棒状の垂直部231と、この垂直部231の下端から前方へ水平に延びる棒状の水平部232と、を備えている。垂直部231は、洗場Wの床面付近まで延びており、これによって、水平部232は洗場Wの床面の近傍で床面に沿って延びている。そして、水平部232の前後の両端部には、車輪342がそれぞれ取り付けられており、各車輪342が床面に接している。これら車輪342は、スライド支持部22が固定レール部21に沿って移動する際に、洗場Wの床面上で回転しつつ移動するようになっている。
なお、垂直部231のスライド支持本体221への取り付け位置を変更することで、洗場床面WFの広さに応じて浴槽9の外側面と車輪342との間の水平距離を調整可能である。
(3)入浴介護装置の使用方法
次に、上記入浴介護装置の使用方法について、図6〜図9も参照して説明する。
まず、スライド支持部22を固定レール部21の左端部から嵌め込み、図1及び図2に示すように、昇降椅子ユニット1を浴槽9の外側(左側)に配置する。次に、リモートコントローラを用い、昇降装置4の椅子昇降用モータを作動して移動部材42を昇降させ、座部32を含む椅子3の高さを、被介護者の体長等に応じて着座しやすい高さに調整する。続いて、介護者は、例えば、車椅子に乗せた被介護者を椅子3に横付けし、被介護者を車椅子から椅子3に移動させる。
続いて、上記リモートコントローラを操作して、椅子昇降用モータを作動させ、移動部材42を上昇させる。これにより、移動部材42とともに椅子3が上昇する。そして、図6に示すように、移動部材42が上昇する過程では、移動部材42の下部に配置されている移動ローラ45が、ガイドローラ43に当接する。この状態から移動部材42がさらに上昇すると、ガイドローラ43が移動ローラ45を下方に押圧する。これにより、移動ローラ45は、長孔423に沿って下方に押し遣られ、これとともにハンドル部材46が上方に回転する。そして、図7に示すように、ハンドル部材46は下部背凭れ部312を前方に押し遣り、その結果、下部背凭れ部312及び座部32が一体となって回転軸33を中心に上方に回転する。このとき、被介護者の背骨の上部は、固定された上部背凭れ部311に支持される一方、被介護者の背骨の下部、腰、及び臀部が、上方に回転した下部背凭れ部312及び座部32に支持され、被介護者の体が少し寝たような入浴姿勢となる。
このように、下部背凭れ部312及び座部32は、椅子3の上昇と連動して上方に回転するが、洗場W側において、座部32の下面及び車輪342が、浴槽9の上枠91及びレール支持アーム212よりも少し高い位置となるまで、椅子3を上昇させる。そして、座部32の下面及び車輪342が、浴槽9の上枠91及びレール支持アーム25を超えると、昇降椅子ユニット1を洗場床面WFから浴槽9側へ右方向にスライドさせる。このとき、スライド支持部22は、支持脚部23とともに、この支持脚部23に支持された状態で右側へ移動する。そして、椅子3が浴槽9の上方に位置すると、昇降椅子ユニット1がスライドしないように、その位置にロックする。
続いて、椅子昇降用モータを駆動し、椅子3を下降させる。この下降に伴って、上記とは反対に、下部背凭れ部312及び座部32は下方に回転し、被介護者の体は少し寝たような姿勢から背筋が伸びた姿勢となる。そして、移動部材42がさらに下降し、ガイドローラ43から移動ローラ45が離間すると、下部背凭れ部312の背面が移動部材42に当接した状態となり、それ以上の下方への回転が規制される。その後、図8に示すように、車輪342が浴槽9の底面93に接触するまで、椅子3をさらに下降させる。これにより、車輪342が浴槽9の底面93に押し付けられて反力を受け、下部背凭れ部312及び座部32は、移動部材42から離れるように、回転軸33を中心に上部背凭れ部311に対して屈曲するように回転する。そして、図9に示すように、椅子3をさらに下降させると、下部背凭れ部312及び座部32がさらに回転するとともに、車輪342が浴槽9の底面93を滑るように前方に移動する。これにより、椅子3に着座している被介護者の体が少し寝たような入浴姿勢となり、被介護者の体の全部又は大部分を浴槽9内のお湯に浸けることができる。
入浴が終了後、これとは逆に図9、図8の順に椅子3を上昇させると、下部背凭れ部312及び座部32が上部背凭れ部311に対して下方に回転する。そして、下部背凭れ部312の背面が移動部材42に当接するまで回転すると、その後は、上部背凭れ部311と下部背凭れ部312とがほぼケーシング41前面の傾斜面に沿った状態のまましばらく上昇する。続いて、図6に示すように、移動ローラ45がガイドローラ43に当接すると、その後は、図7に示すように、下部背凭れ部312及び座部32が上部背凭れ部311に対して上方に回転する。そして、座部32及び車輪342が浴槽の上枠91を超える位置まで上昇すると、昇降椅子ユニット1のスライドのロックを解除し、昇降椅子ユニット1を洗場W側へスライドさせる。そして、椅子3を下降後、介護者が車椅子を椅子3に横付けし、被介護者を車椅子に移動する。こうして、入浴介護が完了する。
(4)特徴
(4−1)
上記入浴介護装置によれば、下部背凭れ部312及び座部32が、上部背凭れ部311に対して上下方向に回転可能に構成されているが、この回転は、椅子3の上下動に連動して行われる。これにより、次の利点がある。例えば、上記のような連動が行われない場合、被介護者を洗場Wから浴槽9へ移動させるには、椅子3全体が浴槽の上枠91を超える位置まで上昇させなければならない。そのため、被介護者が高い位置まで持ち上げられ不快に感じる可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、椅子3が上昇したときには、これに連動して、上昇の途中から下部背凭れ部312及び座部32が上方に回転する。そのため、椅子3を高く上昇させなくても、下部背凭れ部312及び座部32が浴槽の上枠91を超えるようにすることができる。
(4−2)
また、下部背凭れ部312及び座部32の回転用の駆動部を、椅子3の上下動用の駆動部と別個に設けるのではなく、本実施形態では、椅子3の上下動と下部背凭れ部312の回転とを1つの駆動部、つまり椅子昇降用モータのみで行っている。そのため、装置の駆動構造を簡素化することができる。
(4−3)
上記入浴介護装置では、座部32に設けられた車輪342が浴槽9の底面93を滑ることで、下部背凭れ部312及び座部32は、回転軸33を中心に上方に回転する。よって、簡素な構成で下部背凭れ部312及び座部32の大部分の上面を、浴槽9の底面93に平行な水平方向に沿う方向に近づけることができる。よって、上部背凭れ部311、下部背凭れ部312、及び座部32に着座している被介護者の姿勢が、上下方向に背筋が伸びた姿勢から少し寝たような入浴姿勢となる。このような入浴姿勢で浴槽9内に被介護者を浸けることで、浴槽9の水面が低い場合であっても、被介護者の体の全部又は大部分を浴槽9内のお湯に浸けることができる。
このとき、回転軸33を中心に下部背凭れ部312を上方に回転すると、一体に形成された座部5も下部背凭れ部312に対して同じ角度を持った状態で回転して上方に持ち上げられる。したがって、座部5に着座した被介護者は、腰の部分が安定した姿勢を保ちながら、足先側が上方にスムーズに持ち上げられる。
(4−4)
上記実施形態の入浴介護装置では、被介護者を入浴姿勢にする場合に、下部背凭れ部312及び座部32が、上部背凭れ部311に対して折れ曲がり、座部32の前端部が前方に移動する。このとき、上部背凭れ部311は前方に動かないため、着座している被介護者が、前方に行き過ぎることがない。つまり、上部背凭れ部311及び下部背凭れ部312の両方が前方に寝るように突出する場合に比べて、座部32の位置が前方に大きく突出するのを抑制できる。そのため、長手方向の寸法が短い浴槽9においても、被介護者の足先が浴槽9の先端の内壁に当たるのを抑制できる。
以下、本発明の第2〜第5実施形態について説明するが、これらの実施形態では、傾斜機構の構成が相違している。しかし、いずれの傾斜機構も第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る入浴介護装置Bの構成について図10〜図12を用いて説明する。図10〜図12は、本発明の第2実施形態に係る入浴介護装置の動作を示す側面図である。第2実施形態に係る入浴介護装置では、基本的に、椅子3を傾斜させる傾斜機構が第1実施形態と相違している。したがって、以下では、主として、第1実施形態と相違する構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
(1)入浴介護装置の構成
本実施形態においては、移動部材42に設けられた一対のハンドル部材(回転部材)47の構成が相違する。すなわち、図10に示すように、各ハンドル部材47は一方向に延びる板状に形成され、その中心部が移動部材42のガイド部422の側面の下部に回転可能に連結されている。そして、ハンドル部材47の両端には、回転可能なローラが固定されている。ここでは、上方に配置されているローラを第1ローラ471、下方に配置されているローラを第2ローラ472と称することとする。
また、ケーシング41の両側面には、前後方向に延びる段部(押圧部)412が形成されている。より詳細に説明すると、ケーシング41の両側面は、段部412を境界としてその上側が側方に膨出しており、この膨出部分の下面が段部を形成している。上述した第1ローラ471は、この段部412に係合して上方への移動が規制されるとともに、ハンドル部材47の回転に伴って、段部412に沿って前後方向に移動可能となっている。一方、第2ローラ472は、ハンドル部材47の回転に伴って、下部背凭れ部312の背面に当接し、さらにこれを前方に押し遣るように構成されている。これにより、下部背凭れ部312及び座部32が上方に向かって回転可能となっている。なお、椅子3が下降した初期位置では、ハンドル部材47は、上昇したときに、第1ローラ471が段部412に係合するように、上側がやや後ろ側に傾いており、これが初期状態となっている。
(2)入浴介護装置の使用方法
次に、上述の入浴介護装置の使用方法について、図10〜図12を用いて説明する。
まず、図10の状態から、上記リモートコントローラを操作して、椅子昇降用モータを作動させ、移動部材42を上昇させる。これにより、移動部材42とともに椅子3が上昇する。そして、移動部材42が上昇する過程では、図11に示すように、ハンドル部材47の上側に配置されている第1ローラ471がケーシング41の段部412に当接すると、ハンドル部材47はそれ以上の上昇が規制される。そして、移動部材42がさらに上昇すると、図12に示すように、第1ローラ471は段部412に沿って後方に移動するため、ハンドル部材47は第2ローラ472が上方に向かうように回転を始める。そして、ハンドル部材47の回転が進むと、第2ローラ472は下部背凭れ部312の背面を押圧し、前方に押し遣る。これにより、下部背凭れ部312及び座部32が上方に向かって回転し、椅子3の上昇の過程で、座部32及び車輪342が浴槽9の上枠91を超えるようになる。一方、移動部材42が下降すると、これとは反対の動作が行われ、下部背凭れ部312及び座部32は下方に回転し、下部背凭れ部312の背面が移動部材42に当接する位置まで戻る。
<3.第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る入浴介護装置の構成について図13〜図16を用いて説明する。図13〜図16は、第3実施形態に係る入浴介護装置の側面図である。第3実施形態に係る入浴介護装置では、基本的に、椅子3を傾斜させる傾斜機構が第1実施形態と相違している。したがって、以下では、主として、第1実施形態と相違する構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
(1)入浴介護装置の構成
本実施形態においては、ケーシング41の前面の両側に、移動部材42よりも外側に、一対の板状のガイド部材48が設けられている。各ガイド部材48には、ケーシング41の上下方向の中間部に突出部485が設けられている。これにより、ガイド部材48の前面には3つの領域が形成される。すなわち、ガイド部材48の下端から突出部485までの平坦な第1領域481、突出部485の下端から上端部に至る傾斜した第2領域482、及び突出部485の上端部全体に亘る平坦な第3領域483が形成されている。このうち、第1領域481と第3領域483は、ケーシング41の前面411の傾斜とほぼ同じ角度で傾斜している。そして、これら第1〜第3領域481〜483は滑らかに連続しており、後述するように椅子3に設けられた傾斜用ローラ(当接部材)35が当接するようになっている。
一方、下部背凭れ部312の背面の下部の両側には、それぞれ、ブラケット36を介して、上述した傾斜用ローラ35が回転可能に取り付けられている。各傾斜用ローラ35は、左右方向に延びる軸周りに回転可能となっており、上述したガイド部材48の前面の第1〜第3領域481〜483に沿って移動可能となっている。なお、下部背凭れ部312が移動部材42に当接し、下方への回転が規制されている初期状態から移動部材42が上昇すると、傾斜用ローラ35がスムーズに第1領域481に載るような位置に、傾斜用ローラ35は取り付けられている。
(2)入浴介護装置の使用方法
次に、上述の入浴介護装置の使用方法について、図13〜図16を用いて説明する。
まず、図13の状態から、上記リモートコントローラを操作して、椅子昇降用モータを作動させ、移動部材42を上昇させる。これにより、移動部材420とともに椅子3が上昇する。そして、移動部材42が上昇していくと、図14に示すように、椅子3の傾斜用ローラ35がケーシング41のガイド部材48に達し、ガイド部材48の第1領域481を転がりながら上昇していく。そして、移動部材42がさらに上昇すると、傾斜用ローラ35は、第1領域481から第2領域482に移動する。第2領域482は下から上にいくにしたがって前方に傾斜しているため、傾斜用ローラ35が第2領域482に沿って移動すると、傾斜用ローラ35は第2領域482の傾斜に伴って前方に押し遣られる。これにより、下部背凭れ部312及び座部32が上方に向かって回転する。そして、傾斜用ローラ35が第3領域483に達すると、それ以上傾斜用ローラ35が押し遣られることはなく、下部背凭れ部312及び座部32の回転が停止し、その傾斜状態が維持される。こうして、椅子3の上昇の過程で、座部32及び車輪342が浴槽9の上枠91を超えるようになる。
その後、昇降椅子ユニット1を浴槽側へスライドさせた後、移動部材42を下降させると、傾斜用ローラ35は、第3領域483、第2領域482、及び第1領域481の順に進んでいき、これに伴って、下部背凭れ部312及び座部32は下方に回転し、下部背凭れ部312が移動部材42に当接する位置まで戻る。また、浴槽9内での椅子の動作は、第1及び第2実施形態と同様であり、具体的には、図16に示すとおりである。
<4.第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る入浴介護装置の構成について図17〜図20を用いて説明する。図17〜図20は、第4実施形態に係る入浴介護装置の側面図である。第4実施形態に係る入浴介護装置では、基本的に、椅子3を傾斜させる傾斜機構が第1実施形態と相違している。したがって、以下では、主として、第1実施形態と相違する構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
(1)入浴介護装置の構成
本実施形態においては、ケーシング41の前面411の両側それぞれに、ブラケット(図示省略)を介して傾斜用ローラ(当接部材)492が設けられている。各ブラケット491は、移動部材42よりも外側に配置されて、ケーシング41の前面411からそれぞれ前方に突出している。一方、各傾斜用ローラ492は、ブラケット491から左右方向に延びる軸周りに回転可能となっている。また、ケーシング41の前面411において、ブラケット491よりも外側の部分は、後方にやや窪んでおり、移動部材42が上下動するときに、後述する椅子3のガイド部材37がケーシング41の前面411に干渉しないで通過できるようになっている。
一方、椅子3の下部背凭れ部312の背面の両側には、それぞれ、板状のガイド部材37が設けられている。各ガイド部材37は、側面視で三角形状に形成されており、三辺のうちの一辺が下部背凭れ部312の背面に連結されている。そして、後ろ側を向くガイド部材37の辺のうち、上側の辺は下部背凭れ部312が初期状態にあるときに、上方から下方にいくにしたがって、後ろ側に延びるように傾斜している。この辺に係る面を第1面371と称することとする。そして、第1面371の先端から前方へ向かい下部背凭れ部312まで延びる辺に係る面を第2面372と称することとする。
(2)入浴介護装置の使用方法
次に、上述の入浴介護装置の使用方法について、図17〜図20を用いて説明する。
まず、図17の状態から、上記リモートコントローラを操作して、椅子昇降用モータを作動させ、移動部材42を上昇させる。これにより、移動部材42とともに椅子3が上昇する。そして、移動部材42が上昇していくと、図18に示すように、椅子3のガイド部材37の第1面371の上端が、ケーシング41の傾斜用ローラ492に当接する。そして、移動部材42をさらに上昇させると、相対的に、傾斜用ローラ492がガイド部材37の第1面371に沿って下方へ移動するため、これに伴って、図19に示すように、ガイド部材37の第1面371が傾斜用ローラ492によって押圧される。これにより、下部背凭れ部312は回転軸33周りに上方に回転していく。そして、傾斜用ローラ492がガイド部材37の第1面371の下端まで移動すると、移動部材42の上昇が停止される。これに伴い、下部背凭れ部312の上方への回転も停止し、その傾斜状態が維持される。こうして、椅子3の上昇の過程で、座部32及び車輪342が浴槽9の上枠91を超えるようになる。
一方、移動部材42が下降すると、傾斜用ローラ492は、相対的に、第1面371の下端から上端まで移動し、これに伴って、下部背凭れ部312及び座部32は下方に回転し、下部背凭れ部312の背面が移動部材42に当接する位置まで戻る。また、浴槽9内での椅子3の動作は、第1及び第2実施形態と同様であり、具体的には、図20に示すとおりである。
<5.第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る入浴介護装置の構成について図21〜図24を参照しつつ説明する。図21〜図24は、本発明の第5実施形態に係る入浴介護装置の椅子の側面図である。第5実施形態に係る入浴介護装置では、基本的に、椅子を傾斜させる傾斜機構が第1実施形態と相違している。したがって、以下では、主として、第1実施形態と相違する構成について説明し、第1実施形態と同じ構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
(1)入浴介護装置の構成
本実施形態においては、ケーシング41の構造は第1実施形態と同様である。また、移動部材42にハンドル部材は設けられておらず、椅子3にローラも設けられていない。これに代わり、本実施形態に係る装置では、移動部材42の両側面の上端部に回転可能な支点ローラ(支点部材)71がそれぞれ取り付けられている。また、この入浴介護装置には、座部32の先端部の両側及びケーシング41の上端部の両側をそれぞれ連結し、支点ローラ71に掛け渡される一対のベルト部材(線状材)72が設けられている。より詳細には、各ベルト部材72は、座部32の先端から上方の支点ローラ71まで延び、この支点ローラ71に掛け渡された後、下方に延びてケーシング41の上端部に連結されている。尚、ベルト部材72のほか、本発明の線状材として、ワイヤなどの細線を用いることもできる。
(2)入浴介護装置の使用方法
次に、上述の入浴介護装置の使用方法について、図21〜図24を用いて説明する。
まず、図21の状態から、上記リモートコントローラを操作して、椅子昇降用モータを作動させ、移動部材42を上昇させる。これにより、図22に示すように、移動部材42とともに椅子3が上昇する。そして、移動部材42が上昇していくと、支点ローラ71も上昇するため、ベルト部材72において支点ローラ71から座部32の先端までの長さが短くなり、これに伴って、座部32の先端がベルト部材72によって上方へ引っ張られる。これにより、図23に示すように、下部背凭れ部312は回転軸33周りに上方に回転していく。こうして、椅子3の上昇の過程で、下部背凭れ部312及び座部32が浴槽9の上枠91を超えるようになる。
一方、移動部材42が下降すると、支点ローラ71も下降するため、ベルト部材72において支点ローラ71から座部32の先端までの長さが長くなり、これに伴って、下部背凭れ部312及び座部32は下方に回転し、移動部材42に当接する位置まで戻る。また、浴槽9内での椅子3の動作は、第1及び第2実施形態と同様であり、具体的には、図24に示すとおりである。
<6.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
<6−1>
上記各実施形態では、座部が浴槽の底面を滑るように車輪342を設けているが、車輪342は必須ではなく、座部32の下面が浴槽9の底面93を滑ればよい。したがって、座部32の下面を滑りやすい部材で形成したり、あるいは滑りやすい塗料を塗布したりすることも可能である。
<6−2>
上記各実施形態において、背凭れ部31は、上部背凭れ部311及び下部背凭れ部312の2つの部材から構成されている。しかし、背凭れ部31は一体的に形成されていてもよい。この点について、図25及び図26を参照しつつ説明する。図25及び図26は、本発明に係る入浴介護装置の側面図である。但し、傾斜機構については省略する。この例に係る入浴介護装置では、椅子3の背凭れ部31は、上部背凭れ部と下部背凭れ部とに分離されておらず、座部32を含めて一体的に形成されている。そして、背凭れ部31の上部の背面に、左右方向に延びる回転軸39が設けられ、背凭れ部31はこの回転軸39を介して移動部材42に固定されている。したがって、この椅子3は、背凭れ部31の背面が移動部材42に当接した状態から、背凭れ部31を含む椅子3全体が回転軸39によって上方に回転可能となっている。
この構成により、次のように動作する。図25に示すように、椅子3を浴槽9内で、座部32が浴槽9の底面93に接触するまで下降させる。この状態から移動部材42をさらに下降させると、座部32は浴槽9の底面93から押圧され、椅子3全体が上方に回転する。これにより、移動部材42と椅子3の背凭れ部31とのなす角は基準の傾斜角度よりも大きくなり、椅子3に着座している被介護者の姿勢が、上下方向に沿う方向から少し寝たような入浴姿勢となる。このような入浴姿勢で浴槽9内に被介護者を浸けることで、浴槽9の水面が低い場合であっても、被介護者の体の全部又は大部分を浴槽9内のお湯に浸けることができる。
なお、椅子3を傾斜させるための傾斜機構としては、第1〜第5実施形態の傾斜機構のいずれも採用することができ、椅子3の上下動と連動して椅子3を移動部材42に対して傾斜させることができる。
<6−3>
上記の説明では、椅子3の一部又は全部を傾斜させる種々の傾斜機構の例について説明した。すなわち、第1及び第2実施形態で示したリンク機構を用いた傾斜機構、第3及び第4実施形態で示した凸部上を通過させる傾斜機構、第5実施形態で示した定滑車のように、線状材を用いて引き上げる傾斜機構について説明したが、椅子3の傾斜機構は、椅子3の昇降と連動して傾斜させるような機構であれば、種々の機構が採用可能である。
<6−4>
また、上記実施形態では、椅子昇降用モータを正逆回転させてピニオン62とラック61により椅子3を上下動させているが、その機構は特には限定されず、種々の公知の機構を採用することができる。
<6−5>
上記実施形態では、下部背凭れ部312及び座部32が一体に形成され、下部背凭れ部312の上面と座部32の上面とのなす角度が常に一定であるがこれに限定されない。例えば、下部背凭れ部312と座部32との成す角度は、この装置を使用する被介護者の障害の程度及び体型などに応じて調整できてもよい。また、上記実施形態では、下部背凭れ部312がやや屈曲した形状となっているが、これに限定されず、真っ直ぐに延びた形状でもよい。
<6−6>
上記実施形態では、背凭れ部31を上部背凭れ部311及び下部背凭れ部312の2つの部材から構成している。しかし、下部背凭れ部312が複数に分割された部材から構成され、各分割された部材どうしが順次的に各回転軸を介して連結されていてもよい。これにより、各分割された部材ごとにその上面の交差角度を異ならせることができ、下部背凭れ部312の上面を全体として湾曲した形状とできる。
<6−7>
上記実施形態では、レールユニット2により、昇降椅子ユニット1を水平方向にスライドさせて、昇降椅子ユニット1を洗場Wから浴槽9側に移動させているが、椅子昇降ユニットを洗場Wと浴槽9との間で移動できるのであれば、種々の機構を採用することができる。
<6−8>
上記各実施形態の椅子昇降ユニットには、被介護者(利用者)の足を載置することができるフットサポートを設けることもできる。例えば、図27に示す例では、第1実施形態に係る椅子昇降ユニットにフットサポート80を設けている。このフットサポート80は、座部の下面から延びる棒状の連結部材81と、被介護者の足を載置する一対の足載置部82と、を備えている。連結部材の一端部は、下部背凭れ部312の下部の背面に揺動可能に取り付けられており、例えば、ラチェット機構83などで、その角度を変更できるようになっている。そして、この連結部材81は、下部背凭れ部312から前方に延び、その先端部に上述した足載置部82が設けられている。足載置部82は、例えば、矩形の平板状に形成されており、一対の足載置部82の間に連結部材81の先端が回転可能に連結されている。すなわち、足載置部82は、連結部材81に対する角度を変更することができる。
被介護者は椅子に座った状態で、足を足載置部82に足を載せるが、図27は、椅子3が浴槽9の上枠91を超える状態を示している。このときは、連結部材81を上方に揺動して座部32に近づけることで、フットサポート80が浴槽9の上枠91よりも上方に位置するように配置する。これにより、被介護者の足も浴槽9の上枠91よりも上方に位置する。一方、椅子3を浴槽9内に下降させるときには、例えば、図28に示すように、連結部材81を下方に揺動して、被介護者の足の位置を変更することができる。なお、一対の足載置部82が独立して移動できるように、連結部材81を2個設けることもできる。また、連結部材81を伸縮できるように構成することもできる。
1 :昇降椅子ユニット
3 :椅子
31 :背凭れ部
311 :上部背凭れ部
312 :下部背凭れ部
33 :回転軸
32 :座部
4 :昇降装置
41 :ケーシング(装置本体)

Claims (10)

  1. 利用者の浴槽での入浴を補助するための入浴介護装置であって、
    前記浴槽に取り付けられる装置本体と、
    前記装置本体に対して上下動可能に取り付けられるとともに、背凭れ部と、当該背凭れ部の下端部に連結された座部とを有し、当該背凭れ部と座部における、少なくとも前記座部を含む本体部が、前記装置本体に対し上方に向けて傾斜可能に構成されている、椅子と、
    前記本体部を、前記装置本体に対し傾斜させる傾斜機構と、
    前記装置本体に設けられ、前記椅子の上下動及び前記本体部の傾斜のための動力を付与する、昇降駆動部と、
    を備え、
    前記本体部は、前記椅子が上方に移動するのに連動して、前記傾斜機構により、前記装置本体に対し傾斜するように構成されている、入浴介護装置。
  2. 前記背凭れ部は、上部背凭れ部と、前記上部背凭れ部の下方に回転可能に連結された下部背凭れ部と、を備え、
    前記下部背凭れ部が前記本体部に含まれる、請求項1に記載の入浴介護装置。
  3. 前記傾斜機構は、
    前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、
    前記装置本体に取り付けられた押圧部と、
    前記押圧部よりも下方で、前記移動部材に回転自在に取り付けられた回転部材と、
    を備え、
    前記移動部材の上昇により前記回転部材の一端部が前記押圧部により押圧されると、前記回転部材が回転し、当該回転部材の他端部が前記本体部を押圧することで、当該本体部を傾斜させるように構成されている、請求項1または2に記載の入浴介護装置。
  4. 前記回転部材の一端部は、前記移動部材に対し上下動可能に取り付けられるとともに、当該一端部を中心に回転可能に構成され、
    前記回転部材の他端部は前記本体部に回転可能に取り付けられている、請求項3に記載の入浴介護装置。
  5. 前記回転部材の一端部と他端部の間の中間部分が前記移動部材に対し回転可能に取り付けられている、請求項3に記載の入浴介護装置。
  6. 前記傾斜機構は、
    前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、
    前記椅子の本体部または前記装置本体のいずれか一方に取り付けられる当接部材と、
    前記椅子の本体部または前記装置本体のいずれか他方に取り付けられ、前記移動部材の上下動に伴う、前記当接部材の相対的な移動をガイドするガイド部材と、
    を備え、
    前記移動部材の上下動に伴い、前記当接部材が前記ガイド部材の少なくとも一部に当接しているとき、前記本体部が傾斜するように押圧される、請求項1または2に記載の入浴介護装置。
  7. 前記傾斜機構は、
    前記椅子を支持し、前記昇降駆動部により、前記装置本体に対して上下動可能な移動部材と、
    前記移動部材において、前記本体部よりも上方に設けられた支点部材と、
    一端部が前記本体部に連結されるとともに、他端部が前記装置本体に連結され、前記一端部と他端部との間の中間部分が前記支点部材に掛け渡されている、線状材と、
    を備えている、請求項1または2に記載の入浴介護装置。
  8. 前記椅子の本体部は、前記座部の下方からの力を受けると、前記装置本体に対して傾斜可能に構成されている、請求項1から7のいずれかに記載の入浴介護装置。
  9. 前記椅子が前記浴槽の底面と接触している状態から、当該椅子が下降されると、前記浴槽の底面から受ける力により、前記本体部が、前記浴槽の底面に沿って滑り、前記装置本体から離れるように傾斜する、請求項8に記載の入浴介護装置。
  10. 前記椅子は、前記座部の下面側に前記浴槽の底面と接触可能なローラをさらに有している、請求項9に記載の入浴介護装置。
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