JP2018008417A - 化粧板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の化粧板において、上記ビス型第四級アンモニウム塩は、モノ型第四級アンモ二ウム塩よりも、メラミン樹脂と相対的に高い相溶性を有するので、メラミン樹脂中に溶解した状態で存在し、人体や掃除用具等がその表面とよく接触する環境下にあっても、除去されない。その結果、本発明の化粧板では、抗菌性、抗ウィルス性等の効果を維持することができる。
本発明の化粧板において、上記ビス型第四級アンモニウム塩が表層樹脂層に含まれる樹脂の固形分に対して、0.1〜5重量%含まれると、上記化粧板の表面は、充分な抗菌性、抗ウィルス性を有する。
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層を構成するメラミン樹脂中に、上記ビス型ピリジニウム塩が配合されていると、上記ビス型ピリジニウム塩を構成するピリジン環と上記メラミン樹脂を構成するトリアジン環とが親和性を有するが、ビス型ピリジニウム塩は、ピリジン環の立体障害のため、上記ビス型ピリジニウム塩をメラミン樹脂中に添加しても分子レベルでの混合が困難となり、表層樹脂層中で上記ビス型ピリジニウム塩の高濃度領域が上記ビス型ピリジニウム塩の低濃度領域のマトリクス中に分散し、いわゆるドメイン構造が形成されると推定される。このため、高濃度領域では、時間の経過に従って、化粧板の表面に付着した水分にビス型ピリジニウム塩が溶出し、上記ビス型ピリジニウム塩は、少しずつ上記化粧板の表面に放出される、いわゆる徐放性を示す。その結果、本発明の化粧板では、人体や掃除用具等がその表面とよく接触する環境下にあっても、その表面に上記ビス型ピリジニウム塩が次々に供給されるため、抗菌性、抗ウィルス性等の効果を長期間に渡って維持することができる。
本発明の化粧板において、ビス型ピリジニウム塩が上記した化合物であると、上記した効果を最も効果的に発揮することができる。
本発明の化粧板において、上記ビス型第四級アンモニウム塩がビス型キノリニウム塩またはビス型チアゾリウム塩であると、上記ビス型ピリジニウム塩と同様に抗菌性、抗ウィルス性を有するので、上記ビス型ピリジニウム塩の場合と同様、人体や掃除用具等がその表面とよく接触する環境下にあっても、その表面に上記ビス型キノリニウム塩またはビス型チアゾリウム塩が次々に供給されるため、抗菌性、抗ウィルス性等の効果を長期間に渡って維持することができる。
上記第四級アンモニウム塩がメラミン樹脂に全く溶解しない状態で配合されていると、粒状となるため、化粧板の表面に上記第四級アンモニウム塩が存在していても、人体や掃除用具等が接触することにより除去されてしまう。一方、表層樹脂層の内部に存在する第四級アンモニウム塩は、表面に移動することはないので、抗ウィルス性等の効果が段々と低下してしまう場合がある。しかしながら、本発明の化粧板において、第四級アンモニウム塩が上記メラミン樹脂中に溶け込んだ状態で配合されていると、上述のように、少しずつ上記化粧板の表面に放出されるか、空気中の水分に溶解して表面に露出するので、人体や掃除用具等がその表面とよく接触する環境下にあっても、抗菌性、抗ウィルス性等の効果を長期間に渡って維持することが可能となる。
本発明の化粧板の表層樹脂層において、高濃度領域が低濃度領域のマトリクス中に分散してなるものであると、高濃度領域から第四級アンモニウム塩が少しずつ上記化粧板の表面に放出される徐放性を示しやすいので、人体や掃除用具等がその表面とよく接触する環境下にあっても、抗菌性、抗ウィルス性等の効果を長期間に渡って維持することが可能となる。
本発明の化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層された表層樹脂層と、からなる化粧板であって、上記表層樹脂中には、ビス型第四級アンモニウム塩が配合されていることを特徴とする。
本発明の化粧板10では、基板11上に表層樹脂層12が設けられており、この表層樹脂層12中には、ビス型第四級アンモニウム塩が配合されている。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアリキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。
上記ビス型キノリニウム塩としては、上記一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の化学式(13)に表されるピリジニウム基を、下記化学式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、上記一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。
上記ビス型第四級アンモニウム塩の配合割合が0.1重量%未満であると、抗菌性、抗ウィルス性の効果が発揮されず、一方、上記ビス型第四級アンモニウム塩の配合割合が5重量%を超えても、抗菌性、抗ウィルス性の効果は、余り変わらず、化粧板の意匠性に与える影響が大きくなり、意匠性が劣化する。
図2に示すように、この化粧板20では、基板11上に形成された表層樹脂層22は、ビス型ピリジニウム塩の高濃度領域22aがビス型ピリジニウム塩の低濃度領域22bのマトリクス中に分散してドメイン構造が形成されている。
図3に示すように、この化粧板30では、表層樹脂層32の上にオーバーレイ層33が設けられており、オーバーレイ層33がビス型第四級アンモニウム塩を含んでいる。
このため、この化粧板30は、抗菌性、抗ウィルス性を示す。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂及び下記の表1に示すビス型第四級アンモニウム塩からなる抗菌剤(1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド)を含む溶液中に浸漬させる。その際、溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、上記抗菌剤のメラミン樹脂に対する含有割合は、表1に示すように、1.66wt%である。また、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
乾燥工程を経たロール紙を、上記した割合で表1に示す抗菌剤が配合されたメラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断する。
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたメラミン樹脂含浸紙を積層し、プレス機により、温度143℃、プレス圧80kg/cm2、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着し、化粧板を作製する。
ビス型第四級アンモニウム塩として、表1に示す抗菌剤を表1に示す含有割合となるように、メラミン樹脂を含む溶液に添加する以外は、実施例1と同様にして、化粧板を作製した。
ビス型第四級アンモニウム塩に代えて第四級アンモニウム塩であるジドデシルジメチルアンモニウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。
各実施例及び比較例で得られたビス型第四級アンモニウム塩が配合された化粧板の抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行った。
紫外線照射により殺菌した化粧板表面にバクテリオファージQβを含む液を滴下し、4時間化粧板表面で保持させた後、液を回収し、残存するウィルス濃度を測定した。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。
測定結果をビス型第四級アンモニウム塩の配合量(wt%)とともに表1に示す。表1には、ウィルス不活性度で表記する。ウィルス不活度はウィルス不活性度から導出できるからである。
作製した各メラミン化粧板の抗ウィルス性の耐摩耗性評価のため、AA−180の研磨紙を用い、加重1000Paで200回磨耗し、表面に摩耗による負荷をかけた。
作製した各メラミン化粧板の抗ウィルス性の水拭き耐久性評価のため、水でぬらしたマイクロファイバー布を用い、加重1000Paで36500回ふき取りを行い、水拭きによる負荷をかけた。
摩耗試験後及び水拭き耐久性試験後のメラミン化粧板、および、耐久性試験を行っていない化粧板(初期)について、抗ウィルス性を評価した。抗ウィルス機能は各負荷後の不活性度で評価した。結果を表1に示す。なお、表1では、水拭き耐久性試験後を水拭き試験後と記載している。
11、31 基板
12、22、32 表層樹脂層
22a 高濃度領域
22b 低濃度領域
33 オーバーレイ層
Claims (12)
- 基板と、
前記基板の一方面又は両面上に積層された表層樹脂層と、からなる化粧板であって、
前記表層樹脂中には、ビス型第四級アンモニウム塩が配合されていることを特徴とする化粧板。 - 前記表層樹脂層は、メラミン樹脂を含む請求項1に記載の化粧板。
- 前記ビス型第四級アンモニウム塩は、表層樹脂層に含まれる樹脂の固形分に対して、0.1〜5重量%含まれる請求項1または2に記載の化粧板。
- 前記ビス型第四級アンモニウム塩は、ビス型ピリジニウム塩である請求項1〜3のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記一般式(1)中、R3は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表される請求項5に記載の化粧板。
- 前記ビス型ピリジニウム塩は、1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドである請求項4〜6のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記ビス型第四級アンモニウム塩は、ビス型キノリニウム塩である請求項1〜3のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記ビス型第四級アンモニウム塩は、ビス型チアゾリウム塩である請求項1〜3のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記ビス型第四級アンモニウム塩は、前記メラミン樹脂中に溶け込んだ状態で配合されている請求項1〜9のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記表層樹脂層は、前記ビス型第四級アンモニウム塩の濃度が高い高濃度領域が前記ビス型第四級アンモニウム塩の濃度が低い低濃度領域のマトリクス中に分散してなる請求項1〜10のいずれか1に記載の化粧板。
- 前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/またはシランカップリング剤を含有する請求項1〜11のいずれか1に記載の化粧板。
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