JP2017533324A - セルロースエーテルのエステルを調製するための方法 - Google Patents
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Abstract
Description
−C(O)−R−COOA(式中、Rは二価の脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンである)の基を有するエステル化セルロースエーテルが生成される。カチオンは、好ましくは、NH4 +などのアンモニウムカチオン、またはナトリウムもしくはカリウムイオン、より好ましくはナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンである。最も好ましくは、Aは水素である。脂肪族一価アシル基は、好ましくは、アセチル、プロピオニル、及びn−ブチリルまたはi−ブチリルなどのブチリルからなる群から選択される。式−C(O)−R−COOAの好ましい基は、
−C(O)−CH2−CH2−COOHもしくは−C(O)−CH2−CH2−COO−Na+などの−C(O)−CH2−CH2−COOA、
−C(O)−CH=CH−COOHもしくは−C(O)−CH=CH−COO−Na+などの−C(O)−CH=CH−COOA、
−C(O)−C6H4−COOHもしくは−C(O)−C6H4−COO−Na+などの−C(O)−C6H4−COOAである。式−C(O)−C6H4−COOAの基において、カルボニル基及びカルボキシル基は、好ましくは、オルト位置に配置される。
i)HPMCXY及びHPMCX(式中、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP)、酢酸マレイン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAM)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、もしくは酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCA)などの、XはA(酢酸塩)であるか、またはXはB(酪酸塩)であるか、またはXはPr(プロピオン酸塩)であり、YはS(コハク酸塩)であるか、またはYはP(フタル酸塩)であるか、またはYはM(マレイン酸塩)である)、あるいは
ii)フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMCPrS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース(HEHPCPrS)、及び酢酸コハク酸メチルセルロース(MCAS)である。
セルロースエーテルの粘度は、米国薬局方(USP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁)に記載されるように、20℃の2重量%水溶液として決定された。米国薬局方に記載されるように、600mPa・s未満の粘度はウベローデ粘度測定により決定され、600mPa・s以上の粘度はブルックフィールド粘度計を使用して決定された。2重量%HPMC溶液の調製ならびにウベローデ及びブルックフィールド両方の粘度測定条件に対する説明は、米国薬局方(本明細書において言及されるUSP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁、ならびにASTM D−445及びISO 3105)に開示されている。
0.43重量%水性NaOH中2.0重量%HPMCAS溶液は、“Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550”に記載されるように調製され、続いてDIN 51562−1:1999−01(January 1999)に従い、20℃でウベローデ粘度測定が行われた。
HPMCAS中のエーテル基の含量は、“Hypromellose”,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP 35,pp3467−3469に記載されるのと同じ方法で決定される。
Mw及びMnは、別途記載のない限り、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743に従い測定された。移動相は、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaH2PO4及び0.1MのNaNO3を含有する60容量部の水性緩衝液との混合物であった。移動相はpH8.0に調節された。セルロースエーテルエステルの溶液は、0.45μmの孔径のシリンジフィルタを通してHPLCバイアル内に濾過された。
HPMC E3 LVは、下の表2に列挙されるメトキシル置換(DSM)及びヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、並びに上述のウベローデ方法に従い20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、3.2mPa・sの粘度を有した。HPMC E3 LVの重量平均分子量は約20,000ダルトンであった。HPMC E3 LVは、Methocel E3 LV PremiumセルロースエーテルとしてThe Dow Chemical Companyから市販されている低粘度HPMCである。これはより高い分子量のHPMCの部分脱重合により生成される。
氷酢酸、HPMC E4M、無水酢酸、無水コハク酸、酢酸ナトリウム(水を含まない)、及び塩素酸カリウムは、下の表1に列挙される量で、3L容量の反応槽内に導入された。氷酢酸はHPMC粉末によって容易に吸収された。反応槽内の塊は、外観は固形であった。エステル化をもたらすために、反応槽内の塊を85℃で3.5時間加熱した。加熱期間の間、塊は大きい塊状物を形成し、撹拌できなかった。85℃で、この塊を撹拌することができたが、均質な混合物を得ることはできなかった。エステル化及び部分脱重合が進行する間に、反応混合物の撹拌能力は改善したが、均質な混合物は長期間の間、尚も得られなかった。反応を1時間続けた後、反応塊は尚も不均質な塊状物を示した。3.5時間後の反応の完了後、均質な反応溶液が、比較実施例Aの反応中として形成された。次に、撹拌下で1.8Lの冷水を反応混合物に添加してHPMCASを沈殿させた。沈殿した生成物を反応器から除去し、5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより20Lの水で洗浄した。濾過により生成物を単離し、55℃で一晩乾燥させた。
高粘度HPMC E4Mの代わりに低粘度HPMC E3 LVが使用され、反応が塩素酸カリウムの不在下で行われたことを除き、実施例1〜8の手順を繰り返した。下の表1に列挙される氷酢酸、HPMC E3 LV、無水酢酸、無水コハク酸、及び酢酸ナトリウム(水を含まない)からなる反応混合物は、最初から十分に撹拌可能であった。
Claims (15)
- エステル化セルロースエーテルを生成するための方法であって、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と、ならびに脱重合剤と反応させるステップを含み、前記セルロースエーテルが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも500mPa・sの初期粘度を有し、前記セルロースエーテルの、前記脂肪族モノカルボン酸無水物及び/または前記ジカルボン酸無水物と、ならびに前記脱重合剤との反応が、1つの反応装置中で同時または順に行われる、方法。
- 前記セルロースエーテルが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも1000mPa・sの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記セルロースエーテル、前記脂肪族モノカルボン酸無水物及び/または前記ジカルボン酸無水物、ならびに前記脱重合剤を含む反応混合物が調製され、前記エステル化反応を行うために、前記反応混合物が続いて加熱される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記脱重合剤が、酸素とは異なる酸化剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記脱重合剤が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ金属塩素酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属過ヨウ素酸塩、アルカリ金属次亜臭素酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、アルカリ金属次亜ヨウ素酸塩、過酸化アルカリ金属、及び過酸化水素からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記脱重合剤が、塩素酸カリウムまたは塩素酸ナトリウムである、請求項5に記載の方法。
- 前記セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記脂肪族モノカルボン酸無水物が、無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸からなる群から選択され、前記ジカルボン酸無水物が、無水コハク酸、無水マレイン酸、及び無水フタル酸からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、無水コハク酸及び無水酢酸でエステル化されて酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エステル化セルロースエーテルの重量平均分子量が、出発材料として前記エステル化ステップで使用された前記セルロースエーテルの重量平均分子量よりも少なくとも25パーセント低い、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- モル比[ジカルボン酸無水物/前記セルロースエーテルの無水グルコース単位]が、0.2/1〜1.0/1である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 脱重合剤の量が、前記セルロースエーテルの無水グルコース単位1モル当たり0.005〜1モルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エステル化反応が、脂肪族カルボン酸の存在下で行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エステル化反応が、アルカリ金属カルボン酸塩の存在下で行われる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セルロースエーテルが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、1000mPa・s〜7,000mPa・sの粘度を有し、脱重合剤の量が、前記セルロースエーテルの無水グルコース単位1モル当たり0.02〜0.30モルであり、前記脱重合剤が、酸素とは異なる酸化剤である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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