以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関等の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の筐体内側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客により入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、後側が開放された直方体形状の筐体11の内部に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。尚、現金自動預払機1は、筐体2の後側が開閉可能な扉となっており、この扉を開放することで、外部から紙幣入出金機10へのアクセスが可能となる。
紙幣入出金機10は、大きく分けて、筐体11における上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部12、顧客との間で紙幣を授受する入出金部13、図中太線で示す搬送路を介して紙幣を各部へ搬送する搬送部14、紙幣を鑑別する鑑別部15及び紙幣を一時的に収納する一時保留部16が設けられている。この上部ユニット10Uは、前後方向に延びるスライドレール17を介して筐体11に取り付けられている。この為、紙幣入出金機10は、筐体2の後側の扉が開放された状態で、スライドレール17を伸縮させながら上部ユニット10Uを前後方向(すなわち収納方向及び引出方向)へスライドさせることで、図2に示すように、上部ユニット10Uを筐体11の内部に収納した状態と、図3(A)に示すように、筐体11の後側に引き出した状態とに遷移させることができるようになっている。
一方、下部ユニット10Lは、直方体形状の金庫筐体20により覆われていて、この金庫筐体20の内部に、前後方向に延びるスライドレール21を介して下部フレーム22が取り付けられている。この下部フレーム22は、5個の紙幣カセット23(23A〜23E)並びにリジェクトカセット24を、後側から前側へ向けて順次整列させるようにして着脱可能に保持する。この為、紙幣入出金機10は、筐体2の後側の扉が開放された状態で、スライドレール21を伸縮させながら下部フレーム22を前後方向(すなわち収納方向及び引出方向)へスライドさせることで、図2に示すように、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24を下部フレーム22とともに筐体11の内部に収納した状態と、図3(B)に示すように、筐体11の後側に引き出した状態とに遷移させることができるようになっている。
さらに、金庫筐体20の上面には、金庫筐体20内部に収納された紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24のそれぞれの上面と対向する位置に上下方向に貫通する孔が設けられ、各孔の内側に受渡搬送部25(25A〜25F)が配置されている。また、上部ユニット10Uの搬送部14には、複数の受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれに向かって延びる搬送路が形成されている。複数の受渡搬送部25(25A〜25F)は、それぞれ上部ユニット10Uの搬送路と紙幣カセット23(23A〜25E)及びリジェクトカセット24との間を接続する搬送路を形成している。現金自動預払機1は、この受渡搬送部25(25A〜25F)を介して、上部ユニット10Uの搬送路と、下部ユニット10Lの紙幣カセット23(23A〜23F)及びリジェクトカセット24との間で紙幣を受け渡すようになっている。
ここで、上部ユニット10Uについてさらに詳しく説明する。上部ユニット10Uの紙幣制御部12は、図示しないCPUと、ROM、RAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部とにより構成されている。このうちCPUは、記憶部から各種プログラムを読み出して実行することにより、取引に関する種々の処理を行う。
入出金部13(図2)は、上部ユニット10U内における前上部に位置している。この入出金部13は、顧客から受け取った紙幣及び顧客へ引き渡す紙幣を収容する収容器13Aを内部に有しており、その上方をシャッタ13Bにより開放又は閉塞する。またシャッタ13Bは、筐体2に設けられた入出金口5(図1)のシャッタと連動して開放又は閉塞する。この入出金部13は、入金取引等において顧客により収容器13A内に紙幣が投入されると、シャッタ13Bを閉塞した後、収容器13A内の紙幣を1枚ずつに分離し、搬送部14に順次引き渡す。また入出金部13は、出金取引等において搬送部14により搬送されてくる紙幣を順次受け取り、収容器13A内に順次放出して集積させた後、シャッタ13Bを開放して顧客に受け取らせる。
搬送部14は、上部ユニット10U内における下端部分に位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部14内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。この搬送部14は、図4に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部30と、当該一時保留切替部30の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部31及び後搬送部32とにより構成されている。一時保留切替部30は、いわゆる3ウェイの切替となっており、紙幣制御部12の制御に基づき、前搬送部31、後搬送部32及び一時保留部16の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を3通りに切り替える。
また、搬送部14内には、一時保留切替部30の他に複数の切替部が配置されている。各切替部は、回動可能なブレード(図中に三角形で示す)及びその周囲に配置された回転可能な複数のローラ(図示せず)により構成されている。この切替部は、紙幣制御部12の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
前搬送部31内には、前方から順に、リジェクト切替部33、鑑別部15及び切替部34が直列に配置されており、前後方向に沿った略直線状の前搬送路31Aが形成されている。さらに、前搬送部31内には、リジェクト切替部33が配置された箇所で前搬送路31Aから分岐して下方へと延びる前搬送路31Bと、切替部34が配置された箇所で前搬送路31Aから分岐して下方へと延びる前搬送路31Cとが形成されている。前搬送路31Bは、リジェクトカセット24の上方に配置された受渡搬送部25Fへと延び、前搬送路31Cは、紙幣カセット23Eの上方に配置された受渡搬送部25Eへと延びている。リジェクト切替部33及び切替部34は、それぞれ紙幣制御部12の制御に基づいて紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。
後搬送部32内には、前方から順に、切替部35、36、37がほぼ直列に配置されており、前後方向に沿った略直線状の後搬送路32Aが形成されている。さらに、後搬送部32内には、切替部35、36、37が配置された箇所でそれぞれ後搬送路32Aから分岐して下方へと延びる後搬送路32B、32C、32Dと、後搬送路32Aの後端から下方へと延びる後搬送路32Eとが形成されている。後搬送路32B、32C、32D、32Eは、それぞれ紙幣カセット23D、23C、23B、23Aの上方に配置された受渡搬送部25D、25C、25B、25Aへと延びている。切替部35、36、37は、それぞれ紙幣制御部12の制御に基づいて紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。また搬送部14は、前搬送路31A及び後搬送路32A上に数枚程度の紙幣を貯留できるようにもなっている。
鑑別部15(図2及び図4)は、前搬送部31内に組み込まれており、前搬送路31A上で入出金部13と一時保留切替部30との間に位置している。この鑑別部15は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、各センサにより各紙幣から種々の情報を読み取り、得られた情報(以下これを読取情報と呼ぶ)を紙幣制御部12(図2)へ供給する。
これに応じて紙幣制御部12は、各紙幣の状態を判定し、当該紙幣が正常であり受入可能であるか、或いは異常であり利用者に返却すべきであるかを決定する。具体的に紙幣制御部12は、得られた読取情報を基に、各紙幣における搬送状態並びに金種や損傷の程度、或いは真偽等を判定し、このときの判定結果を基に各紙幣の搬送先を決定して、搬送部14の各切替部や各搬送路における搬送動作を制御する。
一時保留部16(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を一時的に貯留し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
ここで、下部ユニット10Lについてさらに詳しく説明する。下部ユニット10Lの紙幣カセット23(23A〜23E)は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成され、内部に紙幣を集積して収納する。また各紙幣カセット23(23A〜23E)は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。紙幣カセット23(23A〜23E)は、鑑別部15及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判定された紙幣が、その金種に応じて搬送部14から受渡搬送部25A〜25Eを介して搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣カセット23(23A〜23E)は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し、受渡搬送部25A〜25Eを介して搬送部14へ引き渡す。
リジェクトカセット24は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクトカセット24は、鑑別部15及び紙幣制御部12により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判定された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が搬送部14から受渡搬送部25Fを介して搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。
[2.入金処理及び出金処理]
次に、現金自動預払機1により利用者(金融機関の顧客)との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について説明する。このうち入金処理については、前段の入金計数処理と、後段の入金収納処理に分けて説明する。
[2−1.入金計数処理]
紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部12の制御に基づき、先に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部12は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金処理を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、入出金部13の内部へ紙幣を投入させて1枚ずつに分離し、搬送部14へ順次引き渡す。搬送部14は、入出金部13から受け取った紙幣をリジェクト切替部33及び前搬送部31により後方へ順次搬送し、前搬送路31Aに沿って後方へ進行させながら、鑑別部15により各紙幣を順次鑑別し、後側の一時保留切替部30へ順次引き渡す。このとき鑑別部15は、得られた鑑別結果を紙幣制御部12へ送出する。
紙幣制御部12は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部12は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部12は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣カセット23(23A〜23E)を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクトカセット24を、それぞれ最終的な搬送先として決定し、記憶しておく。
続いて紙幣制御部12は、紙幣の判断結果に応じて一時保留切替部30による紙幣の搬送先を切り替えることにより、入金受入紙幣を一時保留部16へ搬送して収納させ、また入金リジェクト紙幣を後搬送部32内へ進行させて後搬送路32A内に貯留させる。やがて紙幣制御部12は、入出金部13から全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部32の後搬送路32A内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却し、必要に応じて再投入させる。
一方、紙幣制御部12は、後搬送部32の後搬送路32A内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。このとき紙幣制御部12は、入出金部13から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。ここで紙幣制御部12は、顧客により入金処理の中止が指示された場合、一時保留部16に保留している全ての紙幣を搬送部14により入出金部13へ搬送して顧客に返却する。
[2−2.入金収納処理]
紙幣制御部12は、顧客により入金処理の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部12は、まず一時保留部16において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、一時保留切替部30へ受け渡す。このとき紙幣制御部12は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部30による紙幣の搬送経路を切り替える。具体的に一時保留切替部30は、紙幣の搬送先がリジェクトカセット24又は紙幣カセット23Eであれば、当該紙幣を前搬送部31へ受け渡す。また一時保留切替部30は、紙幣の搬送先が紙幣カセット23A〜23Dであれば、当該紙幣を後搬送部32へ受け渡す。
さらに紙幣制御部12は、各紙幣の搬送先に応じて前搬送部31及び後搬送部32の各切替部を適宜制御することにより、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣カセット23(23A〜23E)に収納させ、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクトカセット24に収納させる。
[2−3.出金処理]
紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部12の制御に基づき、指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。以下では、搬送部14の後搬送路32Aと接続される紙幣カセット23A〜23Dに収納されている紙幣を出金する場合を例に説明する。
紙幣制御部12は、顧客から操作表示部6(図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付け、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部12は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣カセット23内に収納されている紙幣を順次繰り出し、搬送部14に順次受け渡す。搬送部14は、前搬送部31内を前方へ向けて進行する紙幣の走行状態を鑑別部15により鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12(図2)へ送出する。紙幣制御部12は、紙幣の走行状態に応じてリジェクト切替部33を切り替え、当該走行状態に問題が無ければ入出金部13へ進行させ、例えば重送のように搬送状態に問題があればリジェクトカセット24へ進行させて、それぞれ紙幣を収納させる。やがて紙幣制御部12は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部13へ搬送し終えると、顧客に取り出させる。
[3.受渡搬送部及びその周辺部の構成]
次に、受渡搬送部25(25A〜25F)と、その周辺部の構成について説明する。まず、受渡搬送部25(25A〜25F)の周辺部の構成として、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれの下方に位置する紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24の上部の構成について説明する。尚、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24の上部の基本的な構成は同一の為、ここでは、紙幣カセット23Aの上部の構成についてのみ説明することとする。
図5に、紙幣カセット23Aの上部を上から見た上面図、前から見た前面図、左から見た側面図からなる三面図を示す。紙幣カセット23Aの上部は、左右方向(すなわち幅方向)の両端部40L、40Rを除く中央部40Cが両端部40L、40Rよりも一段低く形成されていて、この中央部40Cの後寄りに、受渡搬送部25Aとの間で搬送される紙幣をガイドするカセット側ガイド部41が設けられている。カセット側ガイド部41は、前側に配置された前側搬送ガイド42と、後側に配置された後側搬送ガイド43とを有している。前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43は、所定の間隔(例えば5[mm])を空けて配置されていて、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43との間に搬送空間44Sを形成している。この搬送空間44Sが、紙幣の紙面を前後方向に向けて、上下方向に搬送するカセット側搬送路44となっている。つまり、このカセット側搬送路44は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。
後側搬送ガイド43は、前面が平坦に形成された本体部45の上端に爪部46が設けられている。爪部46には、左右方向(カセット側搬送路44の幅方向)に沿って複数の爪体47が離散的に、すなわち左右方向に所定の間隔でなる隙間48を形成しながら配置されている。因みに爪部46には、左右方向の長さが異なる複数種類の爪体47が、所定の順序で配置されている。また、各爪体47は、それぞれ直方体状に形成されており、それぞれの前面及び上面の位置が揃えられている。さらに、各爪体47の前面は、本体部45の前面と連続していて、さらに爪体47の前側上端部は、角を切り落としたような傾斜面となっている。
一方、前側搬送ガイド42は、後側搬送ガイド43と前後対称の構成となっている。つまり、前側搬送ガイド42も、左右方向に沿って所定の間隔でなる隙間48を形成しながら配置された複数の爪体47を有している。そして、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43は、対向する後面と前面とが平行で、且つ左右方向及び上下方向に各爪体47の位置が揃うようにして配置されている。尚、対向する前側搬送ガイド42の後面及び後側搬送ガイド43の前面は、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。
また、各爪体47の隙間48の底面は、紙幣カセット23Aの中央部40Cの上面と同一面となっている。
さらに、紙幣カセット23Aの中央部40Cの上面には、前側搬送ガイド42の左右両端の隙間48のそれぞれの前方近傍に、後述する受渡搬送部25Aの下側ローラ102が嵌合する前後方向に延びる溝(これを下側溝と呼ぶ)49が形成されている。カセット側ガイド部41は、前側搬送ガイド42及び後側搬送ガイド43とこの下側溝49とで構成される。この下側溝49は、図6に示すように、左右方向から見た断面が上底より下底が小さい逆台形状となっていて、受渡搬送部25Aの下側ローラ102が嵌合した際に、下側ローラ102の周側面が下側溝49の底面とは接触せずに、下側溝49の前後の斜面上の2箇所で接触するようになっている。このように下側ローラ102の周側面と下側溝49とが2箇所で接触することにより、下側ローラ102は下側溝49に対して前後方向にふらつくことがないように嵌合され、これにより下側ローラ102の前後方向の位置が決まる。
紙幣カセット23Aの上部の構成は、このような構成となっている。他の紙幣カセット23B〜23E、及びリジェクトカセット24の上部の構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、紙幣カセット23A〜23E及びリジェクトカセット24のそれぞれの上部に設けられたカセット側ガイド部41は、下部フレーム22にセットされた状態において、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置、及び上下方向の位置は等しくなっている。
次に、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれの上方に位置する搬送部14の下部の構成について説明する。尚、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれの上方に位置する搬送部14の下部の構成は、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれの下方に位置する紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24の上部の構成と上下対称の構成となっている。
すなわち、図7の三面図に示すように、搬送部14の下部は、左右方向(すなわち幅方向)の両端部60L、60Rを除く中央部60Cが両端部60L、60Rよりも一段高く形成されている。そして、この中央部60Cにおいて、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれの上方に、受渡搬送部25(25A〜25F)との間で搬送される紙幣をガイドする搬送部側ガイド部61が設けられている。
受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの上方に設けられた搬送部側ガイド部61は、全て同一構成の為、ここでは、受渡搬送部25Aの上方に設けられた搬送部側ガイド部61について説明する。搬送部側ガイド部61は、カセット側ガイド部41と同様、前側に配置された前側搬送ガイド62と、後側に配置された後側搬送ガイド63とを有している。前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63は、所定の間隔(例えば5[mm])を空けて配置されていて、前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63との間の搬送空間64Sが、紙幣の紙面を前後方向に向けて上下方向に搬送する搬送部側搬送路64となっている。つまり、この搬送部側搬送路64は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。尚、この搬送部側搬送路64が、図4に示した後搬送路32Eである。
後側搬送ガイド63は、前面が平坦に形成された本体部65の下端に爪部66が設けられている。爪部66には、左右方向(搬送部側搬送路64の幅方向)に沿って複数の爪体67が離散的に、すなわち左右方向に所定の間隔でなる隙間68を形成しながら配置されている。因みに爪部66には、左右方向の長さが異なる複数種類の爪体67が、所定の順序で配置されている。また、各爪体67は、それぞれ直方体状に形成されており、それぞれの前面及び下面の位置が揃えられている。さらに、各爪体67の前面は、本体部65の前面と連続していて、さらに爪体67の前側下端部は、角を切り落としたような傾斜面となっている。
一方、前側搬送ガイド62は、後側搬送ガイド63と前後対称の構成となっている。つまり、前側搬送ガイド62も、左右方向に沿って所定の間隔でなる隙間68を形成しながら配置された複数の爪体67を有している。そして、前側搬送ガイド62と後側搬送ガイド63は、対向する後面と前面とが平行で、且つ左右方向及び上下方向に各爪体67の位置が揃うようにして配置されている。尚、対向する前側搬送ガイド62の後面及び後側搬送ガイド63の前面は、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。
また、各爪体67の隙間68の天井面は、搬送部14の中央部60Cの下面と同一面となっている。
さらに、搬送部14の中央部40Cの下面には、搬送部側ガイド部61の前側搬送ガイド62の左右両端の隙間68のそれぞれの前方近傍に、後述する受渡搬送部25Aの上側ローラ100が嵌合する前後方向に延びる溝(これを上側溝と呼ぶ)69が形成されている。搬送部側ガイド部61は、前側搬送ガイド62及び後側搬送ガイド63とこの上側溝69とで構成される。この上側溝69は、図6に示した紙幣カセット23A側に設けられた下側溝49と上下対称であり、左右方向から見た断面が台形状となっている。この上側溝69も、下側溝49と同様、受渡搬送部25Aの上側ローラ100が嵌合した際に、上側ローラ100が上側溝69の天井面とは接触せずに、上側溝69の前後の斜面上の2箇所で接触するようになっている。
受渡搬送部25Aの上方に設けられた搬送部側ガイド部61の構成は、このようになっている。他の受渡搬送部25B〜25Fの上方に設けられた搬送部側ガイド部61の構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの上方に設けられた搬送部側ガイド部61は、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置及び上下方向の位置は等しくなっている。
次に、受渡搬送部25(25A〜25F)の構成について説明する。尚、各受渡搬送部25A〜25Fの基本的な構成は、全て同一の為、ここでは、紙幣カセット23Aの上方に設けられた受渡搬送部25Aの構成についてのみ説明することとする。
図8に受渡搬送部25Aの斜視図、図9(A)に受渡搬送部25Aを前から見た前面図、図9(B)に受渡搬送部25Aを左から見た側面図を示す。尚、図9(B)は、受渡搬送部25Aの内部構造を分かり易くする為、一部(後述する受渡フレーム80)を省略するとともに、内部(後述する上側ローラ100及び下側ローラ102の部分)を露出させた図となっている。
図8、図9に示すように、受渡搬送部25Aは、薄板状の受渡フレーム80に各部品が取り付けられた構成となっていて、この受渡フレーム80が、金庫筐体20の上面に設けられた孔の内側に取り付けられている。受渡フレーム80の中央には、左右方向に長く上下方向に貫通する孔80Hが形成されている。この孔80Hの内側に、受渡ガイド部81が取り付けられている。
受渡ガイド部81は、孔80Hの前寄りに位置する前側搬送ガイド82と、孔80Hの後寄りに位置する後側搬送ガイド83とを有している。後側搬送ガイド83は、前側搬送ガイド82との間に所定の間隔(例えば5[mm])でなる搬送空間84Sを形成した状態で、前側搬送ガイド82が取り付けられている。この搬送空間84Sは、紙幣の紙面を前後方向に向け、上下方向に沿って搬送する受渡搬送路84となっている。つまり、この受渡搬送路84は、上下方向が搬送方向、左右方向が幅方向となっている。
後側搬送ガイド83は、前後方向の長さが孔80Hの前後方向の長さの半分よりわずかに短く、上下方向の長さが孔80Hの上下方向の長さよりわずかに長く、左右方向の長さが孔80Hの左右方向よりわずかに短い直方体状の本体部85を中心に構成されている。本体部85は、左右両端部の側面に、前後方向に延びる溝85G(図9(B))が形成されていて、この溝85Gに、受渡フレーム80に固定された円柱状の回動軸80Pが挿入されている。この為、後側搬送ガイド83は、前側搬送ガイド82との間に受渡搬送路84を形成した状態のまま前側搬送ガイド82とともに、受渡フレーム80に対して、図9(B)に示す基準位置から前後方向にスライドでき、且つ回動軸80Pを中心に図9(B)中時計回り方向及び反時計回り方向に回動して前後方向に傾くことができるようになっている。これにより、受渡ガイド部81は、受渡搬送路84を基準位置から前後方向にスライドさせたり、前後方向に傾けたりすることができる。尚、対向する前側搬送ガイド82の後面と後側搬送ガイド83の前面は、常に平行であり、それぞれ紙幣をガイドするガイド面となっている。
さらに、後側搬送ガイド83の本体部85は、下端に爪部86が形成されている。この爪部86には、左右方向(つまり受渡搬送路84の幅方向)に沿って複数の爪体87が隙間88を空けて離散的に配置されている。各爪体87は、小さな直方体状に形成されており、それぞれの前面及び下面の位置を互いに揃えている。
下側の各爪体87の左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部25Aの下方に位置するカセット側ガイド部41に形成された各爪体47と相補的に定められている。すなわち、受渡ガイド部81における後側搬送ガイド83の各爪体87の左右方向の位置及び長さは、カセット側ガイド部41の各隙間48とそれぞれ対応していて、受渡ガイド部81における後側搬送ガイド83の各隙間88の左右方向に関する位置及び長さは、カセット側ガイド部41の各爪体47とそれぞれ対応している。
前側搬送ガイド82は、後側搬送ガイド83とほぼ前後対称に構成されていて、本体部85の下端に爪部86が形成されている。この爪部86には、後側搬送ガイド83と同様、左右方向に関し、カセット側ガイド部41の各爪体47と相補的な位置及び長さとなるように、複数の爪体87が左右方向に沿って隙間88を空けて離散的に配置されている。尚、図9(B)に示すように、受渡ガイド部81の各爪体87の前後方向の長さは、カセット側ガイド部41の各爪体47よりも長くなっている。
さらに、前側搬送ガイド82及び後側搬送ガイド83のそれぞれの本体部85の上端には、爪部86と上下対称に構成された爪部96が設けられている。この爪部96には、下側の各爪体87とそれぞれ上下対称な形状でなる複数の爪体97が、左右方向に沿って隙間98を空けて離散的に配置されている。各爪体97は、小さな直方体状に形成されており、それぞれの前面及び上面の位置を互いに揃えている。
上側の各爪体97の左右方向の位置及び長さは、受渡搬送部25Aの上方に位置する搬送部側ガイド部61に形成された各爪体67と相補的に定められている。すなわち、受渡ガイド部81における上側の各爪体97の左右方向の位置及び長さは、搬送部側ガイド部61の各隙間68とそれぞれ対応していて、受渡ガイド部81における上側の各隙間98の左右方向に関する位置及び長さは、搬送部側ガイド部61の各爪体67とそれぞれ対応している。尚、図9(B)に示すように、受渡ガイド部81の各爪体97の前後方向の長さは、カセット側ガイド部41の各爪体67よりも長くなっている。
よって、受渡搬送部25Aは、筐体11内に下部フレーム22とともに紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24が収納されたときには、図9(A)に示すように、下側の各爪体87が、紙幣カセット23Aのカセット側ガイド部41に形成された隙間48に入り込むとともに、下側の各隙間88に、カセット側ガイド部41に形成された爪体47が入り込むようになっている。このようにして受渡ガイド部81とカセット側ガイド部41が連結される。
さらに、受渡搬送部25Aは、筐体11内に上部ユニット10Uが収納されたときには、上側の各爪体97が、搬送部14の搬送部側ガイド部61に形成された隙間68に入り込むとともに、上側の各隙間98に、搬送部側ガイド部61に形成された爪体67が入り込むようになっている。このようにして受渡ガイド部81と搬送部側ガイド部61が連結される。
このように、受渡ガイド部81とカセット側ガイド部41及び搬送部側ガイド部61とが連結されることにより、受渡搬送部25Aの受渡搬送路84の上端が搬送部14側の搬送部側搬送路64の下端と接続され、受渡搬送路84の下端が紙幣カセット23A側のカセット側搬送路44の上端と接続されるようになっている。
さらに、受渡搬送部25Aの前側搬送ガイド82は、上側の爪体97のうち、左右両端の爪体97の内部の前側(すなわちガイド面とは反対側)に、爪体97より薄い円盤状の上側ローラ100が、爪体97の上面(すなわち搬送部側ガイド部61と対向する面)の前側に設けられた孔から一部が上方に(すなわち搬送部側ガイド部61側に)突出するようにして取り付けられている。爪体97内部の左右両側面には、上下方向に延びる溝97G(図9(B))が形成されていて、この溝97Gに、上側ローラ100に設けられた左右方向に延びる円柱状の回動軸100Pの両端がそれぞれ挿入されている。この為、上側ローラ100は、爪体97に対して、上下方向(すなわち受渡搬送路84の搬送方向)にスライドでき、且つ左右方向(すなわち受渡搬送路84の幅方向)に平行な回動軸100Pを中心に回動できるようになっている。さらに、上側ローラ100は、爪体97の内部に設けられたバネなどの付勢部材101により上方(すなわち搬送部側ガイド部61側に)に付勢されている。
さらに、前側搬送ガイド82の下側の爪体87のうち、左右両端の爪体87の内部の前側にも、同様の下側ローラ102が、爪体87の下面面(すなわちカセット側ガイド部41と対向する面)の前側に設けられた孔から一部が下方に(すなわちカセット側ガイド部41側に)突出するようにして取り付けられている。爪体87内部の左右両側面にも、上下方向に延びる溝87Gが形成されていて、この溝87Gに、下側ローラ102に設けられた左右方向に延びる円柱状の回動軸102Pの左右両端がそれぞれ挿入されている。この為、下側ローラ102は、爪体87に対して、上下方向にスライドでき、且つ左右方向に平行な回動軸102Pを中心に回動できるようになっている。さらに、下側ローラ102は、爪体87の内部に設けられたバネなどの付勢部材101により下方(すなわちカセット側ガイド部41側)に付勢されている。
受渡搬送部25Aの受渡ガイド部81の下側の左右両端に位置する下側ローラ102は、図9に示すように、カセット側ガイド部41の左右両端の下側溝49に嵌合することで、受渡ガイド部81とカセット側ガイド部41との間の前後方向の位置を規定するようになっている。一方、受渡ガイド部81の上側の左右両端に位置する上側ローラ100は、搬送部側ガイド部61の左右両端の上側溝69に嵌合することで、受渡ガイド部81と搬送部側ガイド部61との間の前後方向の位置を規定するようになっている。
受渡搬送部25Aの構成は、このようになっている。他の受渡搬送部25B〜25Fの構成も、基本的に同様の構成となっている。尚、受渡搬送部25A〜25Fがそれぞれ有する受渡ガイド部81は、前後方向の位置は異なるが、左右方向の位置及び上下方向の位置は等しくなっている。
[4.受渡搬送部の動作]
次に、筐体11内に上部ユニット10Uを収納するとき、及び筐体11内に下部フレーム22とともに紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24を収納するときの受渡搬送部25(25A〜25F)の動作について説明する。
筐体11から上部ユニット10Uが後方(すなわち受渡搬送路84の搬送方向及び幅方向と直交する方向)に引き出され、且つ筐体11から下部フレーム22とともに紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24が後方に引き出されたとき、受渡搬送部25(25A〜25F)は、それぞれ金庫筐体20に対して、前後方向(すなわち引出方向及び収納方向)にスライド可能で、且つ左右方向に平行な回動軸80Pを中心に回動可能な状態となっている。さらに、受渡搬送部25(25A〜25F)は、2個の上側ローラ100が上側の爪体97の上面から上方に突出しているとともに、2個の下側ローラ102が下側の爪体87の下面から下方に突出している状態となっている。
ここで、例えば、筐体11内部に上部ユニット10Uを収納する為に、筐体11の後方から上部ユニット10Uが筐体11内部へと前方に押し込まれていくとする。このとき、例えば、一番後側の受渡搬送部25Aは、まず、左右2個の上側ローラ100が、上部ユニット10Uに配置された搬送部14の中央部60Cの下面と接触して、この下面により爪体97の内部へと押し込まれる。このまま、上部ユニット10Uが押し込まれると、左右2個の上側ローラ100は、爪体97の内部に押し込まれた状態のまま回転する。
その後、搬送部14の一番前側に配置されている搬送部側ガイド部61の左右2個の上側溝69が、一番後側の受渡搬送部25Aの左右2個の上側ローラ100に到達すると、このとき、左右2個の上側ローラ100が、左右2個の上側溝69に入り込んで嵌合する。これにより、一番後側の受渡搬送部25Aの上方に、一番前側の搬送部側ガイド部61が位置する状態で、受渡搬送部25Aの受渡ガイド部81の前後方向の位置が一旦規定される。このとき、一番後側の受渡搬送部25Aと、一番前側の搬送部側ガイド部61とが連結された状態となる。
この時点では、まだ上部ユニット10Uの収納が完了していない為、さらに上部ユニット10Uが筐体11内部に押し込まれていく。すると、一番後側の受渡搬送部25Aの左右2個の上側ローラ100は、一番前側の搬送部側ガイド部61の左右2個の上側溝69から離脱して、再び、搬送部14の中央部60Cの下面と接触して、この下面により爪体97の内部へと押し込まれる。
そして、一番後側の受渡搬送部25Aは、左右2個の上側ローラ100が、一番前側の搬送部側ガイド部61につづく5個の搬送部側ガイド部61のそれぞれの左右2個の上側溝69に対して、順に嵌合と離脱を繰り返していき、上部ユニット10Uが完全に収納されるまで押し込まれると、このとき、左右2個の上側ローラ100が、1番後側の搬送部側ガイド部61の左右2個の上側溝69に入り込んで嵌合する。
同様に、他の5個の受渡搬送部25B〜25Fも、それぞれ左右2個の上側ローラ100が、6個の搬送部側ガイド部61のそれぞれの左右2個の上側溝69に対する嵌合と離脱を繰り返していく(一番前の受渡搬送部25Fの上側ローラ100は嵌合のみ)。そして、最終的に、他の5個の受渡搬送部25B〜25Fは、それぞれ左右2個の上側ローラ100が、1番後側の搬送部側ガイド部61より前方に配置された5個の搬送部側ガイド部61のそれぞれの左右2個の上側溝69に入り込んで嵌合する。この時点で、搬送部14の下部に設けられた6個の搬送部側ガイド部61が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの上方に位置した状態で、受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの受渡ガイド部81の前後方向の位置が規定される。かくして、搬送部14の下部に設けられた6個の搬送部側ガイド部61が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれと連結される。
一方で、筐体11内部に下部フレーム22とともに紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24を収納する為に、筐体11の後方から下部フレーム22が筐体11内部へと前方に押し込まれていくとする。
このとき、6個の受渡搬送部25A〜25Fは、上部ユニット10Uが収納されるときと同様、それぞれ左右2個の下側ローラ102が、6個のカセット側ガイド部41のそれぞれの左右2個の下側溝49に対する嵌合と離脱を繰り返していく(一番前の受渡搬送部25Fの下側ローラ102は嵌合のみ)。そして、最終的に、6個の受渡搬送部25A〜25Fは、それぞれ左右2個の下側ローラ102が、6個のカセット側ガイド部41のそれぞれの左右2個の下側溝49に入り込んで嵌合する。この時点で、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24のそれぞれの上部に設けられた6個のカセット側ガイド部41が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの下方に位置した状態で、受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの受渡ガイド部81の前後方向の位置が規定される。かくして、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24のそれぞれの上部に設けられた6個のカセット側ガイド部41が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれと連結される。
ところで、現金自動預払機1では、筐体11に上部ユニット10Uを収納した際に、6個の搬送部側ガイド部61の位置が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前後方向にずれる場合がある。また、現金自動預払機1では、筐体11に下部フレーム22を収納した際に、6個のカセット側ガイド部41の位置が、6個の受渡搬送部25A〜25Fのそれぞれの基準位置にある受渡ガイド部81の真下から前後方向にずれる場合がある。この為、受渡搬送部25(25A〜25F)は、搬送部側ガイド部61の位置及びカセット側ガイド部41の位置がそれぞれ前後方向にずれても、受渡搬送部25(25A〜25F)の受渡搬送路84を、搬送部側ガイド部61の搬送部側搬送路64及びカセット側ガイド部41のカセット側搬送路44に接続できるようになっている。
すなわち、受渡搬送部25(25A〜25F)は、上述したように、受渡ガイド部81を基準位置から前後方向にスライド可能で且つ回動軸80Pを中心に回動して前後方向に傾けることが可能であり、これにより、上下方向に延びる受渡搬送路84を前後方向にスライドさせたり、前後方向に傾けたりすることができるようになっている。
この為、例えば、受渡搬送部25Aは、上方の搬送部側ガイド部61の位置が、基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前方にずれている場合、この搬送部側ガイド部61の上側溝69に入り込んだ上側ローラ100が前方へ引っ張られることにより、受渡ガイド部81が搬送部側ガイド部61に追従して前方にスライドする、又は前方に傾く、もしくは前方にスライドして且つ前方に傾く。これにより、受渡搬送部25Aの受渡搬送路84が搬送部側ガイド部61の搬送部側搬送路64に接続される。
また、例えば、受渡搬送部25Aは、下方のカセット側ガイド部41の位置が、基準位置にある受渡ガイド部81の真下から後方にずれている場合、このカセット側ガイド部41の下側溝49に下側ローラ102が入り込む際に、後方へ引っ張られることにより、受渡ガイド部81がカセット側ガイド部41に追従して後方にスライドする、又は後方に傾く、もしくは後方にスライドして且つ後方に傾く。これにより、受渡搬送部25Aの受渡搬送路84がカセット側ガイド部41のカセット側搬送路44に接続される。
ここで、搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41のずれに応じた、受渡搬送部25Aの動作例を、図10に示す。図10(A)は、搬送部側ガイド部61が、基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前方にずれていて、且つカセット側ガイド部41が、基準位置にある受渡ガイド部81の真下から後方にずれている場合の例である。
この場合、受渡搬送部25Aは、受渡ガイド部81が図中時計回り方向に回動して、搬送部側ガイド部61の上側溝69に上側ローラ100が嵌合するとともに、カセット側ガイド部41の下側溝49に下側ローラ102が嵌合する。つまり、受渡ガイド部81は、前後方向にずれている搬送部側ガイド部61とカセット側ガイド部41とを繋ぐように傾く。これにより、受渡ガイド部81と、搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41とが連結され、受渡搬送路84と、搬送部側搬送路64とカセット側搬送路44とが確実に接続される。
図10(B)は、搬送部側ガイド部61が、基準位置にある受渡ガイド部81の真上から後方にずれていて、且つカセット側ガイド部41が、基準位置にある受渡ガイド部81の真下から前方にずれている場合の例である。
この場合、受渡搬送部25Aは、受渡ガイド部81が図中反時計回り方向に回動して、搬送部側ガイド部61の上側溝69に上側ローラ100が嵌合するとともに、カセット側ガイド部41の下側溝49に下側ローラ102が嵌合する。つまり、受渡ガイド部81は、前後方向にずれている搬送部側ガイド部61とカセット側ガイド部41とを繋ぐように傾く。これにより、受渡ガイド部81と、搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41とが連結され、受渡搬送路84と、搬送部側搬送路64とカセット側搬送路44とが確実に接続される。
図10(C)は、搬送部側ガイド部61とカセット側ガイド部41が、ともに基準位置にある受渡ガイド部81の真上から前方にずれている場合の例である。この場合、受渡搬送部25Aは、受渡ガイド部81が前方にスライドして、搬送部側ガイド部61の上側溝69に上側ローラ100が嵌合するとともに、カセット側ガイド部41の下側溝49に下側ローラ102が嵌合する。つまり、受渡ガイド部81は、前方にずれている搬送部側ガイド部61とカセット側ガイド部41とを繋ぐように前方にスライドする。これにより、受渡ガイド部81と、搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41とが連結され、受渡搬送路84と、搬送部側搬送路64とカセット側搬送路44とが確実に接続される。
ここでは、受渡搬送部25Aの動作例を説明したが、他の受渡搬送部25B〜25Fについても同様に動作する。このようにして、受渡搬送部25(25A〜25F)は、搬送部側ガイド部61の位置及びカセット側ガイド部41の位置がそれぞれ前後方向にずれても、受渡搬送部25(25A〜25F)の受渡搬送路84を、搬送部側ガイド部61の搬送部側搬送路64及びカセット側ガイド部41のカセット側搬送路44に接続できるようになっている。
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、金庫筐体20の上面に、金庫筐体20の上方に配置された搬送部14と、金庫筐体20の内部に前後方向に並べて配置された紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24との間で紙幣を受け渡す受渡搬送部25(25A〜25F)を、前後方向に間隔を空けて複数個設けた。
さらに、受渡搬送部25(25A〜25F)に、前後方向にスライド可能で且つ前後方向に傾くように回動可能な受渡ガイド部81を設けた。さらに、この受渡ガイド部81を構成する前側搬送ガイド42の上側の左右両端に位置する2個の爪体97のそれぞれの内部に、爪体97の上面から上方に突出するように付勢された上側ローラ100を設け、前側搬送ガイド42の下側の左右両端に位置する2個の爪体87のそれぞれの内部に、爪体87の下面から下方に突出するように付勢された下側ローラ102を設けた。
一方、受渡搬送部25(25A〜25F)の上方(すなわち受渡搬送路84の上端側)に位置する搬送部14の下部には、受渡搬送部25(25A〜25F)の受渡ガイド部81と連結する搬送部側ガイド部61を前後方向に間隔を空けて複数個設けた。さらにこの複数の搬送部側ガイド部61のそれぞれに、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれに設けられた左右2個の上側ローラ100が嵌合する左右2個の上側溝69を設けた。
さらに、受渡搬送部25(25A〜25F)の下方(すなわち受渡搬送路84の下端側)に位置する紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24のそれぞれの上部には、受渡搬送部25(25A〜25F)の受渡ガイド部81と連結するカセット側ガイド部41を設けた。さらにカセット側ガイド部41に、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれに設けられた左右2個の下側ローラ102が嵌合する左右2個の下側溝49を設けた。
これにより、紙幣入出金機10は、筐体11に上部ユニット10U又は下部フレーム22を収納した際に、搬送部側ガイド部61やカセット側ガイド部41の位置が、受渡ガイド部81の真上から前後方向にずれていても、受渡ガイド部81の上側ローラ100と下側ローラ102が、それぞれ上部ユニット10U側の上側溝69と、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24側の下側溝49とに嵌合することにともなって、受渡ガイド部81が前後方向にスライドしたり前後方向に傾くことで、受渡ガイド部81を搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41に追従させてこれらと連結させることができる。
かくして、紙幣入出金機10は、受渡ガイド部81に対して搬送部側ガイド部61やカセット側ガイド部41が前後方向にずれていても、受渡ガイド部81により形成される受渡搬送路84を、搬送部側ガイド部61により形成される搬送部側搬送路64及びカセット側ガイド部41により形成されるカセット側搬送路44に確実に接続することができる。
また、紙幣入出金機10は、受渡ガイド部81に設けた2個の上側ローラ100及び2個の下側ローラ102が、搬送部側ガイド部61に設けた2個の上側溝69、及びカセット側ガイド部41に設けた2個の下側溝49に嵌合することで、受渡ガイド部81を搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41に追従させるようにした。
ここで、上側ローラ100及び下側ローラ102と上側溝69及び下側溝49は、全て受渡ガイド部81の左右方向(すなわち幅方向)の両端より内側に配置されている。この為、紙幣入出金機10は、従来のように、受渡ガイド部81の幅方向の一端の外側に、受渡ガイド部81を搬送部側ガイド部61及びカセット側ガイド部41に追従させる機構を別途設ける必要がなく、従来と比べて、筐体11の幅方向のサイズを小さくすることができる。かくして、紙幣入出金機10は、従来と比べて、筐体11を小型化することができ、これにともなって、現金自動預払機1の筐体2を小型化することもできる。
ところで、従来の現金自動預払機では、上述したように、受渡搬送部ごとに設けられた回転制御レバーを、受渡搬送部ごとに設けられた押付アームによって、それぞれ別々に押圧しなければならない為、受渡搬送部を複数個設ける場合には、受渡搬送部ごとに設けられた回転制御レバー及び押付アームを、幅方向にずらして配置しなければならなかった。
このような従来の現金自動預払機において、受渡搬送部の下方に配置される複数の紙幣カセットを、これら複数の紙幣カセットを着脱可能に保持するフレームとともに筐体内部から筐体外部に引き出される引出方向、及び筐体外部から筐体内部に収納される収納方向に移動可能とした場合、複数の紙幣カセットのそれぞれの上部に押付アームを取り付けることになる。
この場合、フレームに対してセットされる複数の紙幣カセットの前後方向の並び順が重要であり、例えば、本来1番前にセットする紙幣カセットを、1番後ろにセットするなどして並び順を変えてしまうと、受渡搬送部側の回転制御レバーと、紙幣カセット側の押付アームとの幅方向の位置が対応しなくなり、フレームを収納する際に、回転制御レバーや押付アームが破損してしまう恐れがあった。
これに対して、本実施の形態の現金自動預払機1では、各受渡搬送部25(25A〜25F)において、下側ローラ102の左右方向の位置(すなわち受渡搬送路84の幅方向における下側ローラ102の位置)及び大きさが等しく、且つ各カセット側ガイド部41においても、下側溝49の左右方向の位置及び大きさが等しい。
ゆえに、現金自動預払機1は、下部フレーム22を筐体11内部に収納する際には、各受渡搬送部25(25A〜25F)の下側ローラ102が、各カセット側ガイド部41の下側溝49に対して、順に嵌合と離脱を繰り返していき、最終的に、各受渡搬送部25(25A〜25F)の下側ローラ102が、対応する各カセット側ガイド部41の下側溝49に嵌合する。
このように、現金自動預払機1では、各受渡搬送部25(25A〜25F)が、それぞれ共通の位置及び大きさの下側ローラ102を有し、且つ各カセット側ガイド部41が、それぞれ共通の位置及び大きさの下側溝49を有している為、紙幣カセット23(23A〜23E)の前後方向の並び順を代えても、下側ローラ102などが破損することなく、各受渡ガイド部81と各カセット側ガイド部41を連結できる。
また、現金自動預払機1では、各受渡搬送部25(25A〜25F)が共通であり、各カセット側ガイド部41の構成も共通である為、製造コストを抑えることができるという効果も得られる。
[6.他の実施の形態]
[6−1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、受渡ガイド部81を構成する前側搬送ガイド42の上側の左右両端に位置する2個の爪体97のそれぞれに上側ローラ100を設け、前側搬送ガイド42の下側の左右両端に位置する2個の爪体87のそれぞれに下側ローラ102を設けた。
これに限らず、図11に示すように、受渡ガイド部81を構成する前側搬送ガイド42の上側の中央に位置する1個の爪体97に1個の上側ローラ100を設け、前側搬送ガイド42の下側の中央に位置する1個の爪体87に1個の下側ローラ102を設けるなどしてもよい。この場合、搬送部14の下部には、中央部60Cの左右方向の中央に、上側ローラ100が嵌合する1個の上側溝69を設ければよい。また、紙幣カセット23(23A〜23E)及びリジェクトカセット24のそれぞれの上部には、中央部40Cの左右方向の中央に、下側ローラ102が嵌合する1個の下側溝49を設ければよい。
また、これに限らず、上側ローラ100を、左右両端の爪体97及び中央の爪体97以外の爪体97に設けるようにしてもよく、同様に下側ローラ102を、左右両端の爪体87及び中央の爪体87以外の爪体87に設けるようにしてもよい。
さらに、これに限らず、上側ローラ100を、前側搬送ガイド42ではなく後側搬送ガイド43に設けてもよいし、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43の両方に設けてもよい。同様に下側ローラ102を、前側搬送ガイド42ではなく後側搬送ガイド43に設けてもよいし、前側搬送ガイド42と後側搬送ガイド43の両方に設けてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、前側搬送ガイド42の上側の爪体97の前側(すなわちガイド面とは反対側の前端部寄り)に上側ローラ100を設け、下側の爪体87の前側(すなわちガイド面とは反対側の前端部寄り)に下側ローラ102を設けた。これに限らず、上側ローラ100及び下側ローラ102の前後方向の位置については、爪体97及び爪体87の前面とガイド面との間であれば、どの位置に設けてもよい。また、上側ローラ100及び下側ローラ102の径の大きさについては、上側ローラ100及び下側ローラ102が、爪体97及び爪体87に取り付け可能で、且つ爪体97及び爪体87より上方及び下方に突出可能であれば、どのような大きさであってもよい。尚、上側溝69及び下側溝49は、上側ローラ100及び下側ローラ102の径に合う大きさとなっていればよい。
[6−2.他の実施の形態2]
また、上述した実施の形態では、受渡搬送部25(25A〜25F)の上方に位置する上部ユニット10Uと、下方に位置する下部フレーム22が、それぞれ筐体11内部から引き出し可能となっている現金自動預払機1に本発明を適用した。これに限らず、本発明は、上部ユニット10Uと下部フレーム22のどちらか一方のみが筐体11内部から引き出し可能な現金自動預払機にも適用することができる。
例えば、下部フレーム22のみが筐体11内部から引き出し可能な現金自動預払機に適用する場合、図12に示すように、受渡搬送部25(25A〜25F)の代わりに、受渡搬送部25から上側ローラ100を取り除いた、受渡搬送部200を現金自動預払機に設けるようにすればよい。尚、受渡搬送部200については、下方のカセット側ガイド部41にのみ追従すればよい為、例えば、回動軸80Pの上下方向の位置を、受渡搬送部200の上下方向の中心より上方に位置させてもよく、また、回動のみ可能として前後方向へはスライドできないようにしてもよい。
[6−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した実施の形態では、受渡搬送部25(25A〜25F)側に上側ローラ100及び下側ローラ102を設け、受渡搬送部25(25A〜25F)の上方に位置する搬送部側ガイド部61側に上側溝69、下方に位置するカセット側ガイド部41側に下側溝49を設けた。これとは逆に、例えば、図13に示すように、搬送部側ガイド部61側に上側ローラ100を設けるとともに、カセット側ガイド部41側に下側ローラ102を設け、受渡搬送部25(25A〜25F)側に上側溝69及び下側溝49を設けるようにしてもよい。このような構成でも、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[6−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれに、位置決め手段及び突起部の具体例として円盤状の上側ローラ100及び下側ローラ102を設けた。これに限らず、例えば図14に示すように、受渡搬送部25(25A〜25F)のそれぞれに、円盤状の上側ローラ100及び下側ローラ102に代えて、断面蒲鉾型で板状の上側突起部210及び下側突起部211を設けてもよい。
上側突起部210は、上側の爪体97より薄く、爪体97の内部に、爪体97の上面に設けられた孔から半円形の部分が突出するようにして取り付けられている。上側突起部210は、左右両側面に、それぞれ上下方向に間隔を空けて2本ずつ円柱状のスライド軸210Pが設けられていて、左右2本ずつのスライド軸210Pが、爪体97内部の左右両側面に形成された上下方向に延びる溝97Gに挿入されている。この為、上側突起部210は、爪体97に対して、上下方向にスライドできるようになっている。さらに、上側突起部210は、爪体97の内部に設けられた付勢部材101により上方に付勢されている。
一方、下側突起部211は、下側の爪体87より薄く、爪体87の内部に、爪体87の下面に設けられた孔から半円形の部分が突出するようにして取り付けられている。下側突起部211は、左右両側面に、それぞれ上下方向に間隔を空けて2本ずつ円柱状のスライド軸211Pが設けられていて、左右2本ずつのスライド軸211Pが、爪体87内部の左右両側面に形成された上下方向に延びる溝87Gに挿入されている。この為、下側突起部211は、爪体87に対して、上下方向にスライドできるようになっている。さらに、下側突起部211は、爪体87の内部に設けられた付勢部材101により下方に付勢されている。
そして、上側突起部210が、上側ローラ100の代わりに上側溝69に嵌合し、下側突起部211が、下側ローラ102の代わりに下側溝49に嵌合することで、これら上側突起部210及び下側突起部211が、上側ローラ100及び下側ローラ102と同様に機能する。尚、上側突起部210の左右両側面に、それぞれ2本ずつ設けられた円柱状のスライド軸210Pの代わりに、上下方向に延びる板状のスライド軸を設けるようにしてもよい。下側突起部211についても同様である。
また、これに限らず、上側ローラ100及び下側ローラ102、上側突起部210及び下側突起部211と同様に機能するものであれば、これらとは構成の異なる位置決め手段及び突起部を、受渡搬送部25(25A〜25F)に設けてもよい。
[6−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した実施の形態では、上側溝69及び下側溝49を、それぞれ断面台形状の溝とした。これに限らず、それぞれ上側ローラ100及び下側ローラ102の周側面と、前後方向(すなわち引出方向及び収納方向)に離れた2箇所で接触できる形状であればよく、例えば断面V字型の溝などとしてもよい。
[6−6.他の実施の形態6]
また、上述した各実施の形態では、本発明を、媒体処理装置の具体例としての紙幣入出金機10に適用したが、これに限らず、2つのガイド部を連結して搬送路を接続する機構を有する媒体処理装置であれば、紙幣入出金機10とは異なる構成の媒体処理装置にも適用できる。さらに、上述した各実施の形態では、媒体取引装置の具体例としての現金自動預払機1に本発明を適用したが、これに限らず、2つのガイド部を連結して搬送路を接続する機構を有する媒体処理装置を備えた媒体取引装置であれば、現金自動預払機1とは異なる構成の媒体取引装置にも適用できる。例えば、紙幣以外の媒体(切符、チケットなど)を搬送する媒体処理装置を備えた媒体取引装置にも適用できる。
[6−7.他の実施の形態7]
さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第1搬送路としての受渡搬送路84を形成する搬送ガイド部の具体例として受渡ガイド部81を設けたが、これに限らず、受渡ガイド部81と同様に機能するものであれば、受渡ガイド部81とは異なる構成の搬送ガイド部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第2搬送路としてのカセット側搬送路44を形成する接続側搬送ガイド部の具体例としてカセット側ガイド部41を設けた。これに限らず、カセット側ガイド部41と同様に機能するものであれば、カセット側ガイド部41とは異なる構成の接続側搬送ガイド部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、第2搬送路としての搬送部側搬送路64を形成する接続側搬送ガイド部の具体例として搬送部側ガイド部61を設けた。これに限らず、搬送部側ガイド部61と同様に機能するものであれば、搬送部側ガイド部61とは異なる構成の接続側搬送ガイド部を設けてもよい。
[6−8.他の実施の形態8]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。